JP6629530B2 - アイオノマー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、アイオノマー組成物、特にゴルフボール材料として好適なアイオノマー組成物に関する。さらに本発明は該アイオノマー組成物を用いたゴルフボール材、該ゴルフボール材を備えるゴルフボールに関する。
現在のゴルフボールは、ツーピースボールやスリーピースボール、フォーピースボールのような中心部のコア部を複数の弾性材料層とで被覆し、最外層カバーを設けた多層ゴルフボールが主流である。これら多層ゴルフボールの被覆の材料としては、高反発性の樹脂材料、例えばアイオノマーが広く用いられている。
多層ゴルフボールでは、コア、カバー層、コアとカバー層との間の層(中間層)の材質は、ボールの反発力、初速度、飛距離、スピン性能、打球感に影響する。一般的には、コア層にはブタジエンゴム、中間層にはアイオノマー系樹脂、カバー層にはウレタン樹脂やアイオノマー樹脂が使用されている。それぞれの層に用いる材料を様々に選択し、組み合わせることによって、それぞれのゴルフボールブランドに特徴的な、反発力、初速度、飛距離、スピン性能、打球感が調節されている。このためプレーヤーの様々な嗜好や技能に対応するための様々な多層ボールが製造されている。特にツーピースボール、スリーピースボールは、幅広い価格帯で販売されているため、アマチュアプレーヤーからプロプレーヤーまで幅広いプレーヤー層に普及している。
アイオノマーは、多層ボールのカバー層と中間層など、多くのゴルフボール材に使用される材料である。それゆえ従来からそれぞれのゴルフボール材に用いるアイオノマーや、これと併用する材料を適切に選択することで、ゴルフボール性能の改良が試みられてきた。そのような改良法として、特殊なアイオノマー、例えばアミン化合物を用いて変性されたアイオノマーを用いることが提案されている。
特開平10−127822号公報 特開平10−137363号公報 特開平10−137364号公報 特開平11−299933号公報
特許文献1には、カバー層にジアミン錯体アイオノマーを用い、中間層には低曲げ弾性率の材料を用いることによって、ボールの硬度を調節し、結果的に飛び性能、打撃耐久性、ソフトな打球感を兼ね備えたゴルフボールを得たことが記載されている。
特許文献2には、カバー層にアミン変性したアイオノマーと未変性のアイオノマーとのブレンド物を用いることによって、打球感、コントロール性に優れ、しかも反発性が改良されたゴルフボールを得たことが記載されている。
特許文献3には、内側カバー層にアミン変性したアイオノマーを含有させ、内側カバー層と外側カバー層とをそれぞれ異なる組成のアイオノマー含有組成物で作製することによって、耐久性を維持したまま反発性を向上し、コントロール性とソフトなフィーリングを示すゴルフボールを得たことが記載されている。
特許文献4には、カバー層にアミン変性したアイオノマーの組成物を加えることによって、打球感を損なわず反発性と飛行性に優れるゴルフボールを得たことが記載されている。
このように、アミン変性アイオノマーを用いて、飛距離、コントロール性、打球感などの主要なゴルフボール性能のバランスに優れるゴルフボールが提案されてきた。しかしながら、多くのゴルフプレーヤーは、更なるゴルフボール性能バランスの向上を望んでいる。無視できない数のゴルフプレーヤーは、特に飛距離に優れるゴルフボールを求めている。このようなゴルフボールのユーザーの更なる要求に応えるため、より長い飛距離を示すゴルフボールに貢献できると期待される、反発弾性率および硬度がより高い被覆用樹脂材料が望まれている。
またその一方で、アミン変性したアイオノマーを用いる場合には、アイオノマーの溶融混練時や射出成形時の発煙が問題となる場合がある。このため、アミン変性アイオノマーにも更なる改良が求められている。これまで、アイオノマーの変性に用いるアミン化合物を選択することによって発煙が抑えられることも報告されてきたが、そのような発煙が抑制された被覆材料を用いたゴルフボールでは飛距離に対する要求を十分に満たすことができない場合があった。
このように、ユーザーの更なる要求に応えるゴルフボールは未だ得られていない。本発明は、より飛距離に優れるゴルフボールが得られ、かつアイオノマーの溶融混練時や射出成型時の発煙も抑えられるアミン変性アイオノマー組成物を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは、発煙を抑制でき、しかも、これまでのゴルフボールに比べさらに飛距離と反発性に優れたゴルフボールを提供できるアイオノマー組成物を求めて鋭意努力した。その結果、特定のベースポリマーを用いたアイオノマーに特定のアミン化合物を配合して得られるアイオノマー組成物が有効であることを見出した。
すなわち本発明は以下のものである。
(発明1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位の合計の含有量が5.4モル%を超えるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)と、上記アイオノマー(A)のカルボキシル基を基準として0.01〜1当量となる量で、1分子中に2個以上のアミノ基を含有し、常圧における沸点が250℃以上である、アミン化合物(B)とを含み、上記アミン化合物(B)が鎖状脂肪族ポリアミンである、アイオノマー組成物。
(発明2)アイオノマー(A)が亜鉛アイオノマーを含む、発明1のアイオノマー組成物。
(発明3)ゴルフボール材として用いられる、発明1または2のアイオノマー組成物。
(発明4)発明1〜のいずれかのアイオノマー組成物から得られるゴルフボール材。
(発明5)カバー層あるいは中間層である、発明のゴルフボール材。
(発明6)発明またはのゴルフボール材を備える、ゴルフボール。
本発明のアイオノマー組成物は、溶融時や射出成形時の発煙が抑えられていると同時に、より高い硬度と反発弾性率を示す。このような本発明のアイオノマー組成物は、加工時の作業性が良好であり、しかも、さらに高い硬度と反発弾性を示すゴルフボールの被覆材として有効である。このような本発明のアイオノマー組成物を用いたカバー層や中間層を他の部材と組み合わせることによって、より飛距離に優れるゴルフボールを製造することができる。
[成分(A):アイオノマー(A)]
本発明のアイオノマー組成物はアイオノマー成分(A)を含む。アイオノマー(A)は、ベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の酸基の少なくとも一部が金属イオンで中和された化合物である。成分(A)のベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸のみからなる共重合体のみならず、任意にその他の共重合成分が共重合された多元共重合体であってもよい。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの炭素数4〜8の不飽和カルボン酸などを例示することができ、とくにアクリル酸もしくはメタクリル酸の使用が好ましい。不飽和カルボン酸は1種類であっても、2種以上であってもよい。
任意の他の共重合成分としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステル、例えば、プロピレン、ブテン、1,3−ブタジエン、ペンテン、1,3−ペンタジエン、1−ヘキセンなどの不飽和炭化水素、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、例えば、ビニル硫酸やビニル硝酸などの酸化物、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化物、ビニル基含有1,2級アミン化合物、一酸化炭素、二酸化硫黄などを例示することができる。エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、工業的に入手可能な観点から、2元ランダム共重合体、3元ランダム共重合体、2元ランダム共重合体のグラフト共重合体あるいは3元ランダム共重合体のグラフト共重合体を用いるのが好ましく、より好ましくは2元ランダム共重合体又は3元ランダム共重合体である。
本発明の成分(A)のベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体に含まれる不飽和カルボン酸に由来する単位の合計量は、上記共重合体の構成単位の合計に対して5.4モル%を超え、好ましくは6.6モル%以上、より好ましくは7.0モル%以上であり、最も好ましくは7.3モル%以上である。不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有比率が5.4モル%を超えると反発弾性率や硬度の点で有利である。上記合計量の上限は限定されないが、製造の容易さや成形性からみて、10.0モル%以下が好ましい。
上述の任意共重合成分は、一般には15モル%以下、好ましくは10モル%以下の割合で共重合されていてもよい。このようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、好ましくは高圧ラジカル共重合によって得ることができる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)は、このようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を、常法によりイオン化することによって得ることができる。イオン化に使用することができるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、例えば、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.01〜1000g/10分程度、好ましくは0.1〜300g/10分程度のものである。アイオノマー(A)はまた、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体のケン化によっても得ることができる。
アイオノマー(A)においては、金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの1価金属、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、マンガン、銅、錫、ニッケル、コバルト、アルミニウムなどの多価金属を例示することができる。1価金属としては、ナトリウムが好ましい。多価金属としては2価金属が好ましく、亜鉛が特に好ましい。特に2価金属イオンのアイオノマーが発煙抑制効果に優れ、亜鉛アイオノマーが最も好ましい。アイオノマー(A)としては、中和度が、例えば0〜100%、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは30〜70%のものを用いる。
アイオノマー(A)として2種以上のものを使用してもよいが、少なくとも1種が亜鉛アイオノマーである場合が発煙抑制効果の観点から好適である。亜鉛アイオノマーがアイオノマー(A)に占める割合は、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上である。またアイオノマーとともにエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を併用することにより、溶融混合によってエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のイオン化を行ってもよい。また、アイオノマー(A)として上市されている市販品を用いてもよく、該市販品として、例えば、三井・デュポンポリケミカル社製のハイミラン(登録商標)シリーズ、デュポン社製のサーリン(登録商標)等を使用することができる。
[成分(B):アミン化合物(B)]
本発明のアイオノマー組成物は1分子中に2個以上のアミノ基を含有し、常圧における沸点(以下「沸点」という)が250℃以上である、アミン化合物(B)を含む。アミン化合物(B)としては、アイオノマー(A)の溶融混練温度域で液状にあってアイオノマー(A)との混合・反応が容易なものが適している。
アミン化合物(B)としては、例えば、一般式:HNCH-(CHHNCH-CHNH (ただしnは2〜6の整数)で表される沸点が250℃以上の鎖状脂肪族ポリアミンが用いられる。ただし上記沸点は市販品が示す沸点である。アミン化合物(B)は2種以上の混合物であってもよい。
上記沸点が250℃以上の鎖状脂肪族ポリアミンとしては、トリエチレンテトラミン(沸点267℃。nが2である上記一般式で表される化合物)、テトラエチレンペンタミン(沸点340℃。nが3である上記一般式で表される化合物)、ペンタエチレンヘキサミン(沸点380℃。nが4である上記一般式で表される化合物)が好ましい。最も好ましいアミン化合物(B)は、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、ペンタエチレンヘキサミンである。
成分(B)の配合割合は、アイオノマー(A)のカルボキシル基(フリーのもの及びイオン化されたものの双方)に対し、0.01〜1当量、好ましくは0.05〜1当量、更に好ましくは0.1〜0.8当量となる割合である。ここでいう「当量」とは、アイオノマーAのカルボキシル基の数に対するアミン化合物Bのアミノ基の数の比であり、アミノ基としては1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基の全てを含む。アミン化合物(B)の配合割合がカルボキシル基に対し1当量を越える量で使用しても物性改良効果は期待できず、かえって成形品からのブリードによる品質低下のおそれが生ずるので好ましくない。
[任意成分]
本発明のアイオノマー組成物には、必要に応じ、他の熱可塑性樹脂、粘着付与樹脂、ワックス、酸化防止剤、耐候安定剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、染料、無機充填剤など各種添加剤等を配合することができる。
[アイオノマー組成物の製造]
本発明のアイオノマー組成物は、通常の溶融混練装置において、成分(A)及び成分(B)、必要に応じ配合される添加剤を、成分(A)の融点以上の温度、好ましくはダイス温度180〜240℃程度の温度で溶融混練することによって製造することができる。溶融混合に際しては、スクリュー押出機、ロールミキサー、バンバリミキサー等の通常使用される混合装置を用いることができる。アミン化合物(B)が常温で液体の場合は、アイオノマー(A)に対してポンプによって滴下して供給し溶融混練することができる。アミン化合物(B)が常温で固体の場合はアイオノマー(A)とアミン化合物(B)をドライブレンドし、混合装置を用いて溶融混練することができる。成分(A)として2種以上のアイオノマーを使用する場合には、同時に成分(B)と混合してもよく、その一部成分のみを成分(B)と溶融混練しておき、得られた組成物と残余のアイオノマー成分を溶融混練してもよい。さらに任意成分を配合する場合は予め任意成分を成分(A)と成分(B)のどちらか、または両方にドライブレンドまたは溶融混練した後に両成分を溶融混練してもよいし、任意成分を成分(A)と成分(B)の溶融混練物に対して溶融混練してもよい。
本発明のアイオノマー組成物では、種々のアミン類の内でも、1分子中に2個以上のアミノ基を含有し、常圧における沸点が250℃以上である、アミン化合物(B)を選択し、これを不飽和カルボン酸に由来する構成単位の合計の含有量が5.4モル%を超えたエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)と組み合わせたことが特徴である。本発明のアイオノマー組成物を溶融して生成するアミン変性エチレン共重合体組成物において溶融時や射出成型時の発煙が抑えられると同時に、これから得られる成形体が極めて高い硬度と反発弾性を示す。
[ゴルフボール材、ゴルフボール]
本発明のアイオノマー組成物からなるゴルフボール材は、上記した成分(A)と成分(B)に、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂、粘着付与樹脂、ワックス、酸化防止剤、耐候安定剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、染料、無機充填剤など各種添加剤等を配合し、溶融混練、成形して得ることができる。該溶融混練条件は、上記したアイオノマー組成物の製造と同様である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明のアイオノマー組成物の例を表1に示す。表1に略記したアミン化合物(B)は以下のものである。
・BAMB:1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(沸点273℃)
・PEHA:ペンタエチレンヘキサミン(沸点380℃)
表1の空欄は使用しなかったことを示す。実施例8、実施例9、比較例7〜9は、アイオノマー成分として2種のアイオノマーを重量比で1:1となる量比で配合した例である。
[実施例1]
30mmφ2軸押出機を用いてアイオノマー(A)に対して、表1に示される量のアミン化合物(B)(アイオノマー(A)のカルボキシル基に対して0.6当量)をポンプでフィード口から滴下して供給し、ダイス温度200℃の条件で溶融混練することで、アイオノマー組成物を得た。
表1に示した実施例1,参考例2〜5,実施例6,参考例7,実施例8,実施例9,比較例1〜9も上記実施例1の方法に準じてアイオノマー組成物を得た。以下の方法で得られたアイオノマー組成物を評価した。
[硬度(ショアD)]
アイオノマー組成物を180℃に設定した熱プレス機を用いて250mm×250mm×3mm厚シートを作製した。このシートを適当な大きさに打ち抜いた試験片を23℃、相対湿度50%の雰囲気に2週間保存した。その後、シート2枚を重ねてAsker自動ゴム硬度計P1−D型にて硬度(ショアD)を測定した。測定条件JIS K7215に準拠した。
[反発弾性率]
アイオノマー組成物を180℃に設定した熱プレス機を用いて250mm×250mm×3mm厚シートを作製した。適当な大きさに打ち抜いたシートを5枚重ねて再度160℃に設定した熱プレス機で層厚み約13mmの試験片を作製した。この試験片を23℃、相対湿度50%の雰囲気に2週間保存した。その後、この試験片をリュプケ反発弾性試験機にて測定した。測定条件はJIS K6255に準拠した。
各アイオノマー組成物の評価結果を表1に示す。
Figure 0006629530
比較例1、2、8、9は、アイオノマー(A)の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の合計の含有量が5.4モル%以下である点で本発明の範囲外である。比較例1、2、8、9は実施例に比べて硬度が低い。
比較例3、7は、アイオノマー(A)の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の合計の含有量が5.4モル%以下である点、成分(B)を用いない点で、本発明の範囲外である。比較例3、7は、実施例に比べて反発弾性率と硬度の両方が低い。
比較例4、5、6は、成分(B)を用いない点で、本発明の範囲外である。比較例4、5、6は、実施例に比べて反発弾性率と硬度の両方が低い。
このように、実施例のアイオノマー組成物は高い反発弾性率、高い硬度を示す。実施例のアイオノマー組成物は、より長い飛距離を達成できるゴルフボールのカバー層や中間層などの材料に適していると言える。
さらに、沸点が250℃未満のアミン化合物を用いた点で本発明の範囲外にある比較用アイオノマー組成物を製造した。得られた比較品(比較例10、比較例11)と、実施例1、実施例2および実施例7について、アイオノマー組成物の溶融混練時の発煙性について比較した。比較結果を表2に示す。表2に略記したアミン化合物(B)は以下のものである。
・BAMB:1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(沸点273℃)。
・PEHA:ペンタエチレンヘキサミン(沸点380℃)。
・(比較用)BAC:1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(沸点220℃)。
[発煙性評価]
・ランクA:発煙が認められないか、あるいは発煙量が僅かで問題とならない。
・ランクB:発煙量が多く、作業環境が悪化する。
Figure 0006629530
表2から、アミン化合物(B)として沸点が250℃未満である1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを用いた比較例10、11は、発煙抑制効果が劣ることが分かる。
表1の実施例と比較例の結果から、アイオノマー(A)の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の合計の含有量が5.4モル%を超えると高反発弾性率と高硬度を備えるアイオノマー組成物が得られることが分かる。また、表2の実施例と比較例の結果から、特に沸点が250℃以上のアミン化合物(B)と亜鉛アイオノマーを用いる場合に発煙抑制に関して良い結果が得られることが分かる。
本発明のアイオノマー組成物は、その製造における溶融混練時の発煙が抑制されており、作業環境を良好に保つことが出来る。しかも本発明のアイオノマー組成物から得られるゴルフボール材は、極めて高い反発弾性と硬度を示すから、飛距離を重視するゴルフボールユーザーの要求に応えることができる。したがって、本発明のアイオノマー組成物を用いれば、作業環境に配慮しつつ、消費者のより高い要求を満たすゴルフボール材、これを用いたゴルフボール製品を製造することが可能となる。その結果、本発明によりゴルフボール製造の効率化と製品の品質向上を同時に達成することができる。

Claims (6)

  1. 不飽和カルボン酸に由来する構成単位の合計の含有量が5.4モル%を超えるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(A)と、上記アイオノマー(A)のカルボキシル基を基準として0.01〜1当量となる量で、1分子中に2個以上のアミノ基を含有し常圧における沸点が250℃以上であるアミン化合物(B)とを含み、上記アミン化合物(B)が鎖状脂肪族ポリアミンである、アイオノマー組成物。
  2. アイオノマー(A)が亜鉛アイオノマーを含む、請求項1に記載のアイオノマー組成物。
  3. ゴルフボール材用である、請求項1または2に記載のアイオノマー組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載されたアイオノマー組成物から得られるゴルフボール材。
  5. カバー層あるいは中間層である、請求項に記載のゴルフボール材。
  6. 請求項またはに記載のゴルフボール材を備える、ゴルフボール。
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