JP6629154B2 - 建設機械の油圧システム - Google Patents

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Description

本発明は、オープンセンタ型の方向制御弁を備えた油圧ショベル等の建設機械の油圧システムに関する。
オープンセンタ型の方向制御弁を備えた油圧ショベルなどの建設機械の油圧システムが特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されているようなオープンセンタ型の方向制御弁、及び方向制御弁が配置されたセンタバイパス通路を有する油圧システムでは、通常、ブリードオフ流量を発生させており、このブリードオフ流量に相応するエネルギを必要としている。
特開2001−82410号公報
特許文献1に示されるようなオープンセンタ型の方向制御弁を備えた油圧システムは、アクチュエータの動作開始時の振動やショックを軽減して動作を滑らかにするために、ブリードオフ機能を採用している。このブリードオフ機能とは、流体ポンプからアクチュエータに供給される作動流体の一部を、ブリードオフ回路を経由してタンクへ排出することである。ブリードオフ回路からタンクへ捨てられる作動流体は、アクチュエータの仕事には使用されず、エンジンの負荷を増加させる要因となっている。これにより従来では、燃料消費量が増加する傾向にあった。
上記課題を解決するために、本発明の目的は、オープンセンタ型の方向制御弁を備えた油圧システムにあって、ブリードオフ機能の持つ良好な操作性を維持しつつ、エンジンの負荷を低減させることができる建設機械の油圧システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る建設機械の油圧システムは、エンジンにより駆動され、車体制御装置からの動作信号により供給流量の調整が可能な可変容量型の流体ポンプと、前記流体ポンプから供給される作動流体によって作動するアクチュエータと、操作量に応じて前記アクチュエータを作動させる操作指令装置と、前記流体ポンプに連なるセンタバイパス通路に設けられて前記アクチュエータに供給される作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁とを備えた建設機械の油圧システムにおいて、前記センタバイパス通路に設けられた前記方向制御弁の最下流に設けられて前記センタバイパス通路を開閉するセンタバイパスカット弁と、前記車体制御装置に設けられており、前記センタバイパスカット弁の開閉を決定するとともに前記流体ポンプの流量を制御するポンプ流量制御部とを備え、前記ポンプ流量制御部は、前記操作指令装置による操作が行われてその操作量が所定の閾値以上である場合に、前記センタバイパスカット弁を閉じて前記センタバイパス通路を遮断する信号を前記センタバイパスカット弁に対して出力するとともに、前記流体ポンプから供給される作動流体の流量を、前記操作指令装置の操作量に基づいて前記流体ポンプから供給される作動流体の流量からブリードオフ流量を減じた流量として、ブリードオフを行っている状態を仮想的に再現する信号を前記流体ポンプに対して出力することを特徴としている。
本発明に係る建設機械の油圧システムは、オープンセンタ型の方向制御弁を備えた油圧システムにあって、ブリードオフ機能の持つ良好な操作性を維持しつつ、エンジンの負荷を低減させることができる。これにより本発明は、従来に比べてエンジンの燃料消費量を低減させることができ、燃費効率を改善させることができる。
本発明に係る油圧システムの第1実施形態が備えられた建設機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。 第1実施形態に係る油圧システムに備えられた油圧駆動装置を示す回路図である。 第1実施形態に係る油圧システムに備えられた制御システムを示す図である。 図3に示した制御システムに備えられたポンプ流量制御部を示す図である。 図4に示したポンプ流量制御部に備えられたブリードオフ流量演算システムを示す図である。 図4に示したポンプ流量制御部に備えられた別のブリードオフ流量演算システムを示す図である。 周知のブリードオフ開口面積の計算式、及びポンプ吐出流量の計算式を示す図である。 第1実施形態における演算処理手順の一部を示したフローチャートである。 図8に示したフローチャートに続くフローチャートである。 図9に示したフローチャートに続くフローチャートである。 本発明に係る油圧システムの第2実施形態に備えられた油圧駆動装置を示す油圧回路図である。 本発明に係る油圧システムの第3実施形態に備えられた油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
以下、本発明に係る建設機械の油圧システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る油圧システムの第1実施形態が備えられた建設機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。
この図1に示す油圧ショベルは、走行体100と、旋回体101と、フロント作業機102とを有している。走行体100には左走行モータ111及び右走行モータ112が配置され、これらの走行モータ111,112によりクローラ106が回転駆動され、前方または後方に走行する。旋回体101には旋回モータ110が搭載され、この旋回モータ110により旋回体101が走行体100に対して右方向または左方向に旋回する。フロント作業機102は、ブーム103、アーム104、及びバケット105を有している。ブーム103はブームシリンダ107により上下動し、アーム104はアームシリンダ108によりダンプ側(開く側)またはクラウド側(掻き込む側)に上下動し、バケット105はバケットシリンダ109によりダンプ側またはクラウド側に上下動する。
図2は、第1実施形態に係る油圧システムに備えられた油圧駆動装置を示す回路図である。
この図2に示すように、第1実施形態に係る油圧システムは、パラレル式であり、エンジン1と、このエンジン1によって駆動される可変容量型の流体ポンプ(P1)2、可変容量型の流体ポンプ(P2)3と、パイロットポンプ4と、P1コントロール圧(以下、Pc1と称する)、及びトルク制御圧(以下、Tcと称する)により流体ポンプ(P1)2の容量を決定するP1レギュレータ5と、P2コントロール圧(以下、Pc2と称する)、及びトルク制御圧(以下、Tcと称する)により流体ポンプ(P2)3の容量を決定するP2レギュレータ6と、流体ポンプ(P1)2に連なる回路の上限圧力を決定するP1リリーフ弁7と、流体ポンプ(P2)3に連なる回路の上限圧力を決定するP2リリーフ弁8とを備えている。
また、流体ポンプ(P1)2に連なるP1センタバイパス通路9と、このP1センタバイパス通路9を遮断可能な油圧弁から成るP1センタバイパスカット弁120と、流体ポンプ(P2)3に連なるP2センタバイパス通路10と、このP2センタバイパス通路10を遮断可能な油圧弁から成るP2センタバイパスカット弁121とを備えている。
また、流体ポンプ(P1)2及び流体ポンプ(P2)3から供給される作動流体により駆動される前述のブームシリンダ107及びアームシリンダ108と、流体ポンプ(P1)2から供給される作動流体により駆動される前述の旋回モータ110及び左走行モータ111と、流体ポンプ(P2)3から供給される作動流体により駆動される前述のバケットシリンダ109及び右走行モータ112とを備えている。
また、流体ポンプ(P1)2に連なるP1センタバイパス通路9に設けられ、流体ポンプ(P1)2から供給される作動流体のうちの、旋回モータ110へ供給する作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁すなわちSW弁21と、アームシリンダ108へ供給する作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁すなわちAM2弁22と、ブームシリンダ107へ供給する作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁すなわちBM1弁23と、左走行モータ111へ供給する作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁すなわちTRL弁24とを備えている。
また、流体ポンプ(P2)3に連なるP2センタバイパス通路10に設けられ流体ポンプ(P2)3から供給される作動流体のうちの、アームシリンダ108へ供給する作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁すなわちAM1弁25と、ブームシリンダ107へ供給する作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁すなわちBM2弁26と、バケットシリンダ109へ供給する作動流体の流量と方向を制御するBK弁27と、右走行モータ112へ供給する作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁すなわちTRR弁28とを備えている。
また、パイロットポンプ4から作動流体を供給され、各操作方向の操作量に応じた圧力の作動流体をBM1弁23、BM2弁26、BK弁27へ供給し各弁を動作させブームシリンダ107及びバケットシリンダ109を作動させる操作指令装置41と、各操作方向の操作量に応じた圧力の作動流体をAM2弁22、AM1弁25、SW弁21へ供給し各弁を動作させアームシリンダ108及び旋回モータ110を作動させる操作指令装置42と、各操作方向の操作量に応じた圧力の作動流体をTRL弁24へ供給してTRL弁24を動作させ、左走行モータ111を作動させる操作指令装置43と、各操作方向の操作量に応じた圧力の作動流体をTRR弁28へ供給してTRR弁28を動作させ、右走行モータ112を作動させる操作指令装置44とを備えている。
また、流体ポンプ(P1)2から供給される作動流体の圧力(以下、P1圧と称する)を測定する圧力センサ130と、流体ポンプ(P2)3から供給される作動流体の圧力(以下、P2圧と称する)を測定する圧力センサ131と、P1センタバイパスカット弁120の下流に設けられP1センタバイパス通路9の作動流体の圧力(以下、T圧と称する)を測定する圧力センサ132と、操作指令装置41のBMu(ブーム上げ)操作を測定する圧力センサ133と、操作指令装置41のBMd(ブーム下げ)操作圧を測定する圧力センサ134と、操作指令装置41のBKc(バケットクラウド)操作圧を測定する圧力センサ135と、操作指令装置41のBKd(バケットダンプ)操作圧を測定する圧力センサ136と、操作指令装置42のAMc(アームクラウド)操作圧を測定する圧力センサ137と、操作指令装置42のAMd(アームダンプ)操作圧を測定する圧力センサ138と、操作指令装置42のSWL(旋回左)操作圧を測定する圧力センサ139と、操作指令装置42のSWR(旋回右)操作圧を測定する圧力センサ140と、操作指令装置43のTRLF(走行左側前進)操作圧を測定する圧力センサ141と、操作指令装置43のTRLR(走行左側後退)操作圧を測定する圧力センサ142と、操作指令装置44のTRRF(走行右側前進)操作圧を測定する圧力センサ143と、操作指令装置44のTRRR(走行右側後退)操作圧を測定する圧力センサ144とを備えている。
ここで、方向制御弁を構成する弁21〜28は、操作指令装置41〜44から作動流体が供給されない場合に内蔵のばねの力により中立位置に戻る弁となっている。また、P1センタバイパスカット弁120及びP2センタバイパスカット弁121は、制御用の作動流体が供給されない場合に内蔵のばねの力により開位置を保つノーマルオープン型の弁となっている。
図3は、第1実施形態に係る油圧システムに備えられた制御システムを示す図である。
第1実施形態に備えられた制御システムは、車体制御装置60と、エンジン1の回転速度指令(以下、NROと称する)を指定するエンジン速度指令装置53と、車体制御装置60から供給されるエンジン目標回転速度(以下、NRと称する)を受けてエンジン1の回転速度を制御するエンジン制御装置65とを備えている。エンジン制御装置65の内部には、入力信号を受け取る入力部66と、演算に必要な情報を予め記憶しておく記憶部67と、入力部66が受け取った信号、及び記憶部67に予め記憶された情報を基にエンジン回転速度の制御に必要な制御量を演算する演算制御部68と、この演算制御部68が演算した制御量を出力する出力部69とを有する。また、エンジン制御装置65から入力される動作信号に応じてエンジン1の燃料噴射量を調整する電子ガバナ55と、エンジン1の回転速度(以下、NEと称する)を測定する回転速度センサ54とを備えている。
車体制御装置60の内部には、入力信号を受け取る入力部61と、演算に必要な情報を予め記憶しておく記憶部62と、入力部61が受け取った信号、及び記憶部62に予め記憶された情報を基に車体の制御に必要な制御量を演算する演算制御部63と、この演算制御部63が演算した制御量を出力する出力部64とを備えている。
また、この車体制御装置60の内部には、本発明の特徴的な機能であり演算制御部63から供給される圧力センサ130〜144の値、及びNEの値から流体ポンプ(P1)2の流量(以下、Q1と称する)、及び流体ポンプ(P2)3の流量(以下、Q2と称する)を演算するポンプ流量制御部70を備えている。
また、パイロットポンプ4から作動流体の供給を受けて車体制御装置60から入力される動作信号に応じてP1センタバイパスカット弁120の開閉を制御する圧力を供給する電磁弁すなわちP1センタバイパスカット制御弁122と、パイロットポンプ4から作動流体の供給を受けて車体制御装置60から入力される動作信号に応じてP2センタバイパスカット弁121の開閉を制御する圧力を供給する電磁弁すなわちP2センタバイパスカット制御弁123と、パイロットポンプ4から作動流体の供給を受けて車体制御装置60から入力される動作信号に応じてPc1圧を供給する電磁弁すなわちP1コントロール圧制御弁124と、パイロットポンプ4から作動流体の供給を受けて車体制御装置60から入力される動作信号に応じてPc2圧を供給する電磁弁すなわちP2コントロール圧制御弁125と、パイロットポンプ4から作動流体の供給を受けて車体制御装置60から入力される動作信号に応じてTc圧を供給するトルク制御圧制御弁126とを備えている。
なお、P1センタバイパスカット制御弁122及びP2センタバイパスカット制御弁123は、動作信号の入力が無い場合には内蔵のばねの力により弁の下流をタンクと連通させる位置に移動する2位置切換弁である。
図4は、図3に示した制御システムに備えられたポンプ流量制御部を示す図である。
この図4に示すように、ポンプ流量制御部70は、P1センタバイパスカット弁120の開閉を決定しP1センタバイパスカット制御弁122の動作信号(以下、SCBC1と称する)を演算するP1センタバイパスカット弁制御部71と、流体ポンプ(P1)2のブリードオフ流量(以下、Qb1と称する)を演算するP1ブリードオフ流量演算システム80と、車体制御装置60の演算制御部63から供給される流体ポンプ(P1)2からの作動流体の本来のP1流量(以下、Q1orgと称する)と、Q1orgからQb1を引いた値のどちらか一方をSCBC1に応じて選択しQ1とするP1流量選択部72と、P1流量選択部72が選択したQ1と車体制御装置60の入力部61から供給されるNEから流体ポンプ(P1)2の容量を決定しP1コントロール圧制御弁124の動作信号(以下、SPc1と称する)を演算するP1容量指令値演算部73とを備えている。
また、ポンプ流量制御部70は、P2センタバイパスカット弁121の開閉を決定しP2センタバイパスカット制御弁123の動作信号(以下、SCBC2と称する)を演算するP2センタバイパスカット弁制御部74と、流体ポンプ(P2)3のブリードオフ流量(以下、Qb2と称する)を演算するP2ブリードオフ流量演算システム90と、車体制御装置60の演算制御部63から供給される流体ポンプ(P2)3から供給される作動流体の本来のP2流量(以下、Q2orgと称する)と、Q2orgからQb2を引いた値のどちらか一方をSCBC2に応じて選択しQ2とするP2流量選択部75と、このP2流量選択部75が選択したQ2と車体制御装置60の入力部61から供給されるNEから流体ポンプ(P2)3の容量を決定しP2コントロール圧制御弁125の動作信号(以下、SPc2と称する)を演算するP2容量指令値演算部76とを備えている。
すなわちポンプ流量制御部70は、方向制御弁を構成するSW弁21、AM2弁22、BM1弁23、TRL弁24、AM1弁25、BM2弁26、BK弁27、TRR弁28のそれぞれの切り換えに伴ってP1センタバイパスカット弁120、P2センタバイパスカット弁121をそれぞれ動作させる信号を出力するとともに、P1センタバイパスカット弁120、P2センタバイパスカット弁121のそれぞれによってP1センタバイパス通路9、P2センタバイパス通路10のそれぞれが閉じられたときに、流体ポンプ(P1)2、流体ポンプ(P2)3の目標供給流量を、演算により本来の流体ポンプの供給流量からブリードオフ流量を減じた流量とし、ブリードオフを行っている状態を仮想的に再現する信号を出力する処理を行う。
図5は、図4に示したポンプ流量制御部に備えられたブリードオフ流量演算システムを示す図である。
この図5に示すP1ブリードオフ流量演算システム80は、演算制御部63から供給された圧力センサ133が測定したBMu操作圧、及び圧力センサ134が測定したBMd操作圧を−1倍したものをBM操作圧とし、記憶部62に予め記憶されているBM操作圧に対するBM1弁23のブリードオフ面積(以下、AbBM1と称する)の関係を基にAbBM1を演算するBM1ブリードオフ面積演算部81と、演算制御部63から供給された圧力センサ137が測定したAMc操作圧、及び圧力センサ138が測定したAMd操作圧を−1倍したものをAM操作圧とし、記憶部62に予め記憶されているAM操作圧に対するAM2弁22のブリードオフ面積(以下、AbAM2と称する)の関係を基にAbAM2を演算するAM2ブリードオフ面積演算部82と、演算制御部63から供給された圧力センサ139が測定したSWL操作圧、及び圧力センサ140が測定したSWR操作圧を−1倍したものをSW操作圧とし、記憶部62に予め記憶されているSW操作圧とSW弁21のブリードオフ面積(以下、AbSWと称する)の関係を基にAbSWを演算するSWブリードオフ面積演算部83と、演算制御部63から供給された圧力センサ141が測定したTRLF操作圧、及び圧力センサ142が測定したTRLR操作圧を−1倍したものをTRL操作圧とし、記憶部62に予め記憶されているTRL操作圧とTRL弁24のブリードオフ面積(以下、AbTRLと称する)の関係を基にAbTRLを演算するTRLブリードオフ面積演算部84と、AbBM1,AbAM2,AbSW,及びAbTRLの等価面積(以下、Ab1と称する)を演算するP1等価ブリードオフ面積演算部85と、Ab1及び演算制御部63から供給された圧力センサ130が測定したP1圧及び演算制御部63から供給された圧力センサ130が測定したT圧から流体ポンプ(P1)2のブリードオフ流量(以下、Qb1と称する)を演算するP1ブリードオフ流量演算部86とを備えている。
図6は、図4に示したポンプ流量制御システムに備えられた別のブリードオフ流量演算システムを示す図である。
この図6に示すP2ブリードオフ流量演算システム90は、演算制御部63から供給された圧力センサ133が測定したBMu操作圧、及び圧力センサ134が測定したBMd操作圧を−1倍したものをBM操作圧とし、記憶部62に予め記憶されているBM操作圧に対するBM2弁26のブリードオフ面積(以下、AbBM2と称する)の関係を基にAbBM2を演算するBM2ブリードオフ面積演算部91と、演算制御部63から供給された圧力センサ135が測定したBKc操作圧及び圧力センサ136が測定したBKd操作圧を−1倍したものをBK操作圧とし、記憶部62に予め記憶されているBK操作圧に対するBK弁27のブリードオフ面積(以下、AbBKと称する)の関係を基にAbBKを演算するBKブリードオフ面積演算部92と、演算制御部63から供給された圧力センサ137が測定したAMc操作圧、及び圧力センサ138が測定したAMd操作圧を−1倍したものをAM操作圧とし、記憶部62に予め記憶されているAM操作圧とAM1弁25のブリードオフ面積(以下、AbAM1と称する)の関係を基にAbAM1を演算するAM1ブリードオフ面積演算部93と、演算制御部63から供給された圧力センサ143が測定したTRRF操作圧、及び圧力センサ144が測定したTRRR操作圧を−1倍したものをTRR操作圧とし、記憶部62に予め記憶されているTRR操作圧とTRR弁28のブリードオフ面積(以下、AbTRRと称する)の関係を基にAbTRRを演算するTRRブリードオフ面積演算部94と、AbBM2,AbBK,AbAM1,及びAbTRRの等価面積(以下、Ab2と称する)を演算するP2等価ブリードオフ面積演算部95と、Ab2及び演算制御部63から供給された圧力センサ131が測定したP2圧及び演算制御部63から供給された圧力センサ132が測定したT圧から流体ポンプ(P2)3のブリードオフ流量(以下、Qb2と称する)を演算するP2ブリードオフ流量演算部96とを備えている。
図7は、周知のブリードオフ開口面積の計算式、及びポンプ吐出流量の計算式を示す図である。
この図7において、式(1)はP1等価ブリードオフ面積演算部85の演算式を示している。式(2)はP1ブリードオフ流量演算部86の演算式を示している。式(3)はP2等価ブリードオフ面積演算部95の演算式を示している。式(4)はP2ブリードオフ流量演算部96の演算式を示している。式(2)及び式(4)において、α1はQb1調整用に予め任意に設定する係数、Cは流体力学の世界で一般的とされている流量係数、ρは作動流体の物性に基づいた密度、α2はQb2調整用に予め任意に設定する係数である。α1、C、ρ、α2は、予め記憶部62に記憶されている数値である。式(1)〜(4)は流体力学の世界で一般的に用いられている式である。
図8は、第1実施形態における演算処理手順の一部を示したフローチャート、図9は、図8に示したフローチャートに続くフローチャート、図10は、図9に示したフローチャートに続くフローチャートである。次にこれらの図8〜10に基づいて、第1実施形態に直接係わる演算処理について説明する。
[ステップ200] 車体制御装置60の入力部61が圧力センサ130〜144の圧力及びNEを取得する。次にステップS210へ進む。
[ステップS210] 演算制御部63が操作指令装置41〜44の操作量、P1圧、P2圧、NE、及び記憶部62に予め記憶されている情報からQ1org,Q2orgを演算する。次にステップS220へ進む。
[ステップS220] 図5に示すようP1ブリードオフ流量演算システム80がAbBM1、AbAM2、AbSW、及びAbTRLを演算する。次にステップS230へ進む。
[ステップS230] 図7の式(1)を用いてP1等価ブリードオフ面積演算部85がAb1を演算する。次にステップS240へ進む。
[ステップS240] 図7の式(2)を用いてP1ブリードオフ流量演算部86がQb1を演算する。次にステップS250へ進む。
[ステップS250] 図6に示すようにP2ブリードオフ流量演算システム90がAbBM2、AbAM1、AbBK、及びAbTRRを演算する。次にステップS260へ進む。
[ステップS260] 図7の式(3)を用いてP2等価ブリードオフ面積演算部95がAb2を演算する。次にステップS270へ進む。
[ステップS270] 図7の式(4)を用いてP2ブリードオフ流量演算部96がQb2を演算する。次にステップS280へ進む。
[ステップS280] 図4に示すように、P1センタバイパスカット弁制御部71がBMu圧、BMd圧、AMc圧、AMd圧、SWL圧、SWR圧、TRLF圧、TRLR圧のうちの最大値を選択する。次にステップS290へ進む。
[ステップS290] ポンプ流量制御部70は、ステップS280で選択した最大値が予め定められた閾値以上であるか否か判定する。ステップS280で選択した最大値が閾値以上と判定されたときには、ステップS300へ進む。
[ステップS300] P1センタバイパスカット弁制御部71は、SCBC1を5に設定する。次にステップS320へ進む。
一方、ステップS290において、ステップS280で選択した最大値が閾値未満と判定されたときには、ステップS310へ進む。
[ステップS310] P1センタバイパスカット弁制御部71は、SCBC1を0に設定する、次にステップS320へ進む。
[ステップS320] 図4に示すようにP2センタバイパスカット弁制御部74がBMu圧、BMd圧、AMc圧、BKc圧、BKd圧、TRRF圧、TRRR圧のうちの最大値を選択する。次にステップS330へ進む。
[ステップS330] ポンプ流量制御部70は、ステップS320で選択した最大値が予め定められた閾値以上であるか否か判定する。ステップS320で選択した最大値が閾値以上であると判定されたとき、ステップS340へ進む。
[ステップS340] P2センタバイパスカット弁制御部74は、SCBC2を5に設定する。次にステップS360へ進む。
一方、ステップS330において、ステップS320で選択した最大値が閾値未満と判定されたときには、ステップS350へ進む。
[ステップS350] P2センタバイパスカット弁制御部74は、SCBC2を0に設定する。次にステップS360へ進む。
[ステップS360] ポンプ流量制御部70はSCBC1が予め定められた閾値以上であるか否か判定する。SCRC1が閾値以上と判定されたときには、ステップS370へ進む。
[ステップS370] P1流量選択部72は、Q1orgからQb1を減じた値をQ1として選択する。
一方、ステップS360において、SCBC1が閾値未満と判定されたときには、ステップS380へ進む。
[ステップS380] P1流量選択部72は、Q1orgをQ1とする。次にステップS390へ進む。
[ステップS390] ポンプ流量制御部70はSCBC2が予め定められた閾値以上であるか否か判定する。SCBC2が閾値以上と判定されたときには、ステップS400へ進む。
[ステップS400] Q2orgからQb2を減じた値をQ2として選択する。次にステップS420へ進む。
一方、ステップS390において、P2流量選択部75は、Q2orgをQ2とする。次にステップS420へ進む。
[ステップS420] P1容量指令値演算部73は、Q1及び記憶部62に予め記憶されているQ1に対するSPc1のマップからSPc1を演算する。次にステップS430へ進む。
[ステップS430] P2容量指令値演算部76は、Q2及び記憶部62に予め記憶されているQ2に対するSPc2のマップからSPc2を演算する。次にステップS440へ進む。
[ステップS440] 出力部64はSCBC1をP1センタバイパスカット制御弁122へ、SCBC2をP2センタバイパスカット制御弁123へ、SPc1をP1コントロール圧制御弁124へ、SPc2をP2コントロール圧制御弁125へそれぞれ出力する。
以上の制御処理を行うことで、第1実施形態に係る油圧システムは、操作指令装置41〜44による操作が行われ、その操作量が予め定められた閾値以上であるときには、操作指令装置41〜44の各操作に対応したP1センタバイパスカット弁120及び/又はP2センタバイパスカット弁121が閉じられるとともに、流体ポンプ(P1)2及び/または流体ポンプ(P2)3のそれぞれから供給される作動流体の流量が、本来の流量からブリードオフ流量を減じた流量に制御される。これにより流体ポンプ(P1)2及び/または流体ポンプ(P2)3を駆動するエンジン1の動力が低減される。すなわち第1実施形態によれば、ブリードオフ機能の持つ良好な操作性を維持しつつ、エンジン1の負荷を低減させることができ、エンジン1の燃料消費量が低減し、燃費効率を改善させることができる。
また、電気系統が故障し、ノーマルオープン型の弁であるP1センタバイパスカット制御弁122及び/またはP2センタバイパスカット制御弁123への動作信号が供給されない場合には、P1センタバイパスカット弁120及び/またはP2センタバイパスカット弁121にはタンク圧が供給され、P1センタバイパスカット弁120及び/またはP2センタバイパスカット弁121は開位置を保つので、従来の油圧システムと同様の動作を行うことができる。
図11は、本発明に係る油圧システムの第2実施形態に備えられた油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
この図11に示す油圧駆動装置を備えた第2実施形態に係る油圧システムも、例えば図1に示したものと同様の油圧ショベルに備えられたものであり、流体ポンプ(P1)2に連なるSW弁21、AM2弁22、BM1弁23、TRL弁24と、流体ポンプ(P2)3に連なるAM1弁25、BM2弁26、BK弁27、TRR弁28への作動流体の供給は、全てP1センタバイパス通路9、P2センタバイパス通路10を通して行われるタンデム式の油圧システムとなっている。他の構成は前述した第1実施形態と同等である。このようにタンデム式の油圧システムに構成した第2実施形態においても、ブリードオフ流量は第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
図12は、本発明に係る油圧システムの第3実施形態に備えられた油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
この図12に示す油圧駆動装置を備えた第3実施形態に係る油圧システムも、例えば図1に示したものと同様の油圧ショベルに備えられたものであり、流体ポンプ(P1)2に連なるSW弁21、AM2弁22、BM1弁23、TRL弁24と、流体ポンプ(P2)3に連なるAM1弁25、BM2弁26、BK弁27、TRR弁28への作動流体の供給は、全てP1センタバイパス通路9、P2センタバイパス通路10を通して行われるタンデム・パラレル混在式の油圧システムとなっている。他の構成は前述した第1実施形態と同等である。このようにタンデム式の油圧システムに構成した第3実施形態においても、ブリードオフ流量は第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、本発明に係る油圧システムに備えられた油圧駆動装置の構成は、第1〜第3実施形態のものには限定されない。例えば流体ポンプの数を1つにしてもよく、または3つ以上にしてもよい。
また、第1〜第3の実施形態は、流体ポンプ(P1)2、流体ポンプ(P2)3の動力源としてエンジン1を備えているが、エンジン1とは異なる動力源で流体ポンプ(P1)2、流体ポンプ(P2)3を駆動してもよい。
また、第1実施形態〜第3実施形態では、P1センタバイパスカット弁120、P2センタバイパスカット弁121が油圧弁によって構成されているが、これらのP1センタバイパスカット弁120、P2センタバイパスカット弁121を電磁弁によって構成してもよい。
また、P1センタバイパスカット弁120、P2センタバイパスカット弁121の開閉のタイミング及び/または開閉速度を任意に制御することで、油圧回路内での圧力の急変によるショックを緩和し、操作者への負担を軽減し、より滑らかな操作性を得るようにしてもよい。
なお、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 エンジン
2 流体ポンプ(P1)
3 流体ポンプ(P2)
4 パイロットポンプ
5 P1レギュレータ
6 P2レギュレータ
7 P1リリーフ弁
8 P2リリーフ弁
9 P1センタバイパス通路
10 P2センタバイパス通路
21 SW弁(方向制御弁)
22 AM2弁(方向制御弁)
23 BM1弁(方向制御弁)
24 TRL弁(方向制御弁)
25 AM1弁(方向制御弁)
26 BM2弁(方向制御弁)
27 BK弁(方向制御弁)
28 TRR弁(方向制御弁)
41〜44 操作指令装置
53 エンジン速度指令装置
54 回転速度センサ
55 電子カバナ
60 車体制御装置
61 入力部
62 記憶部
63 演算制御部
64 出力部
65 エンジン制御装置
66 入力部
67 演算制御部
68 記憶部
69 出力部
70 ポンプ流量制御部
71 P1センタバイパスカット弁制御部
72 P1流量選択部
73 P1容量指令値演算部
74 P2センタバイパスカット弁制御部
75 P2流量選択部
76 P2容量指令値演算部
80 P1ブリードオフ流量演算システム
81 BM1ブリードオフ面積演算部
82 AM2ブリードオフ面積演算部
83 SWブリードオフ面積演算部
84 TRLブリードオフ面積演算部
85 P1等価ブリードオフ面積演算部
86 P1ブリードオフ流量演算部
90 P2ブリードオフ流量演算システム
91 BM2ブリードオフ面積演算部
92 BKブリードオフ面積演算部
93 AM2ブリードオフ面積演算部
94 TRRブリードオフ面積演算部
95 P2等価ブリードオフ面積演算部
96 P2ブリードオフ流量演算部
100 走行体
101 旋回体
102 フロント作業機
103 ブーム
104 アーム
105 バケット
106 クローラ
107 ブームシリンダ(アクチュエータ)
108 アームシリンダ(アクチュエータ)
109 バケットシリンダ(アクチュエータ)
110 旋回モータ(アクチュエータ)
111 左走行モータ(アクチュエータ)
112 右走行モータ(アクチュエータ)
120 P1センタバイパスカット弁
121 P2センタバイパスカット弁
122 P1センタバイパスカット制御弁
123 P2センタバイパスカット制御弁
124 P1コントロール圧制御弁
125 P2コントロール圧制御弁
126 トルク制御圧制御弁
130〜144 圧力センサ

Claims (4)

  1. エンジンにより駆動され、車体制御装置からの動作信号により供給流量の調整が可能な可変容量型の流体ポンプと、前記流体ポンプから供給される作動流体によって作動するアクチュエータと、操作量に応じて前記アクチュエータを作動させる操作指令装置と、前記流体ポンプに連なるセンタバイパス通路に設けられて前記アクチュエータに供給される作動流体の流量と方向を制御する方向制御弁とを備えた建設機械の油圧システムにおいて、
    前記センタバイパス通路に設けられた前記方向制御弁の最下流に設けられて前記センタバイパス通路を開閉するセンタバイパスカット弁と、
    前記車体制御装置に設けられており、前記センタバイパスカット弁の開閉を決定するとともに前記流体ポンプの流量を制御するポンプ流量制御部とを備え
    前記ポンプ流量制御部は、
    前記操作指令装置による操作が行われてその操作量が所定の閾値以上である場合に、前記センタバイパスカット弁を閉じて前記センタバイパス通路を遮断する信号を前記センタバイパスカット弁に対して出力するとともに、前記流体ポンプから供給される作動流体の流量を、前記操作指令装置の操作量に基づいて前記流体ポンプから供給される作動流体の流量からブリードオフ流量を減じた流量として、ブリードオフを行っている状態を仮想的に再現する信号を前記流体ポンプに対して出力する
    ことを特徴とする建設機械の油圧システム。
  2. 請求項1に記載の建設機械の油圧システムにおいて、
    前記ポンプ流量制御部から出力された信号に応じて前記センタバイパスカット弁を動作させる電磁弁と、
    前記ポンプ流量制御部から出力された信号に応じて前記流体ポンプのレギュレータを動作させる電磁弁とを備える
    ことを特徴とする建設機械の油圧システム。
  3. 請求項2に記載の建設機械の油圧システムにおいて、
    前記センタバイパスカット弁は油圧弁から成る
    ことを特徴とする建設機械の油圧システム。
  4. 請求項1に記載の建設機械の油圧システムにおいて、
    パラレル式、タンデム式、及びタンデム・パラレル混在式のうちのいずれかから成る
    ことを特徴とする建設機械の油圧システム。
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