JP6628664B2 - 既存柱軸力の仮受け構造 - Google Patents

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本発明は、既存柱軸力の仮受け構造、特に、既存建築物に設置された免震装置を交換する際、又は既存建築物に免震装置を設置する際において、既存柱の軸力を仮受けし、免震装置の周囲に配置したジャッキに伝達するための構造に関する。
建築物を免震化する免震装置として、主に積層ゴムが使用されている。積層ゴムのゴム部材は経年劣化するおそれがあり、劣化が生じた場合には積層ゴムを交換する必要がある。
積層ゴムの交換工事を行う場合、建築物の居住者が居ながら施工する必要があり、且つ、作業中の建物物の免震性能を確保した状態で施工を行う必要がある。これらの条件を満すために、特許文献1には、免震装置の交換時に既存柱からの荷重を仮受けするジャッキの下端に滑り支承を設けることにより、ジャッキで支えられた状態でも免震機能を維持することが開示されている。
特開2008−163636号公報
しかしながら、免震建築物には超高層建築物が多い。これは、底面に対して背の高い建築物は転倒モーメントが生じやすいため、免震装置によって建築物に入力する地震動を小さくすれば、転倒モーメントを抑えることができるためである。
超高層建築物においては、最下階の柱が支持する軸力は大きく、1本の柱、すなわち1つの免震装置で20MN以上を支持することも多い。
しかしながら、柱の軸力の仮受けに使用される一般的な乾式ブラケットは鉄鋼材からなり、形鋼では支持可能な荷重は10MN程度である。これ以上の荷重が作用すると、形鋼は荷重を支持できず、端部が変形する。20MN以上の荷重を支持可能なブラケットを形鋼で作製することは可能であるが、ブラケットは大きく且つ重くなり過ぎ、運搬、設置などが困難になる。
本発明は、以上の点に鑑み、形鋼で作製した場合と比較して、大きさ及び重量の低減を図ることが可能であり、免震工事の際に既存柱にかかる大きな軸力を支持することが可能な既存柱軸力の仮受け構造を提供することを目的とする。
本発明の既存柱軸力の仮受け構造は、既存建築物の免震装置が挿入される部分の上方に存在する柱の軸力の仮受け構造であって、前記柱を両側方から挟み込み、前記挟み込む方向と直交する方向の両外側部に位置する突出部に前記柱の前記挟み込む方向と直交する方向における外側を通る緊張棒材がそれぞれ挿通されて、前記緊張棒材により緊張力がかけられた状態で連結された一対のコンクリート製のブラケットからなり、前記各ブラケットは、前記突出部の前記挟み込む方向と直交する方向の間に前記柱に向って凹んだ切欠部を有することを特徴とする。
本発明の既存柱軸力の仮受け構造によれば、既存建築物の柱は、緊張棒材により緊張力がかけられた状態で連結された一対のコンクリート製のブラケットが、柱の両側面を挟み込んで押し付けるように固定されている。そして、各ブラケットは、前記挟み込む方向と直交する方向の両外部に位置する突出部の間に柱に向って凹んだ切欠部を有している。
このため、各ブラケットは、緊張力をかける緊張棒材が挿通される突出部は、緊張力による圧縮力が作用して変形、破損等が生じないように挟み込む方向に長さを確保することが可能である。そして、各ブラケットにはこの緊張力による圧縮力が突出部から既存柱との当接面の中央に向けて斜めに伝達される。そこで、伝達範囲から外れて圧縮力の影響の少ない突出部の間の部分に柱に向って凹んだ切欠部を形成することにより、ブラケットの重量の低減を図ることが可能となる。さらに、各ブラケットはコンクリート製であるので、従来のように鉄鋼材からなる場合と比較して、形状の自由度が高い。
これらの理由によって、各ブラケットは、上述したような圧縮力に耐えられると共に重量の低減を図った形状とすることが容易となっている。
本発明の既存柱軸力の仮受け構造において、前記一対のブラケットの間に、前記柱の前記挟み込む方向と直交する方向における外側に位置し、それぞれに前記緊張棒材が挿通されているコンクリート製の補助ブラケットが設けられることが好ましい。
この場合、間に設けられた補助ブラケットによって、ブラケットの2つの突出部が緊張棒材の緊張力によって前記挟み込む方向に変形することを抑制することが可能となる。
また、本発明の既存柱軸力の仮受け構造において、前記各ブラケットの2つの突出部が、挿通する補助緊張棒材によって緊張力がかけられていることが好ましい。
この場合、補助緊張棒材によって緊張力がかけられているので、ブラケットの突出部が前記挟み込む方向と直交する方向外側に開くように変形することを抑制することが可能となる。
また、本発明の既存柱軸力の仮受け構造において、前記挟み込む方向と直交する方向において前記突出部同士が補助連結部材により連結されていることが好ましい。
この場合、補助連結材によって変形が拘束されているので、ブラケットの突出部が前記挟み込む方向と直交する方向外側に開くように変形することを抑制することが可能となる。
また、本発明の既存柱軸力の仮受け構造において、前記各ブラケットは上下方向に分割されており、前記分割された各ブラケットにそれぞれ前記緊張棒材が挿通されており、上方の前記ブラケットの突出部の長さが、下方の前記ブラケットの突出部の長さよりも短いことが好ましい。
この場合、各ブラケットは上下方向に分割されているので、個々のブラケットの大きさ及び重量を低減することができ、これらの運搬、設置等の作業の容易化を図ることが可能となる。
さらに、下方のブラケットよりも柱の軸力の負担が小さな上方のブラケットの突出部の長さを短くなる。これにより、上方のブラケットの大きさ及び重量を低減することができ、これらの運搬、設置等の作業の容易化することが可能となる。
また、本発明の既存柱軸力の仮受け構造において、前記各ブラケットが前記突出部同士を前記挟み込む方向と直交する方向に連結する連結部を有している。
これにより、連結部によって、ブラケットの突出部が前記挟み込む方向と直交する方向における外側に開くように変形することを抑制することが可能となる。
本発明の実施形態に係る既存柱軸力の仮受け構造を用いて免震装置の交換工事を行う状態を示す正面図。 図1のII―II線断面図。 既存柱軸力の仮受け構造を用いて免震装置の交換工事を行う状態を示す側面図。 本発明の実施形態に係る既存柱軸力の仮受け構造の変形例を示す断面図。
本発明の実施形態に係る既存柱軸力の仮受け構造(以下、柱軸力仮受け構造という)について図1から図3を参照して説明する。
ここでは、柱軸力仮受け構造は、既存建築物10の免震装置20を交換する工事の際に、既存建築物10の柱(以下、既存柱という)11の軸力を仮受けするための構造に適用する場合について説明する。さらに具体的には、地下ピットに設置された免震装置20を交換するために、1階の既存柱11の軸力を仮受けするための構造を例にとって説明する。
ただし、本発明の柱軸力仮受け構造は、既存建築物に新たに免震装置を設置する工事の際に、既存柱の軸力を仮受けするための構造などに適用してもよい。
免震装置20は、例えば、積層ゴムを用いたアイソレータである。ただし、免震装置20は、これに限定されず、従来から使用されている何れの方式により免震化を図る装置であればよい。
ここでは、免震装置20は、その上端部に存在するフランジプレート21が、既存建築物10の上部基礎12の下面に、当該上部基礎12と一体となったベースプレート13に不図示のボルト等によって取り外し可能に連結されている。上部基礎12は、既存柱11の下方に位置し、当該既存柱11と一体化してコンクリートが固化してなるものである。
そして、免震装置20は、その下端部に存在するフランジプレート22が、既存建築物10の基礎14の上面に、当該基礎14と一体に形成されたベースプレート15に不図示のボルト等によって取り外し可能に連結されている。基礎14は、上部基礎12とは分離されてコンクリートが固化してなるものである。
そして、免震装置20周りの基礎14の上面に、滑りプレート(滑り支承)31等を介して複数台のジャッキ30が設置される。本実施形態では、ジャッキ30の設置台数は6台であるが、これに限定されない。ジャッキ30の個数は、1本の既存柱11に作用する鉛直方向の荷重(柱軸力)及び1台のジャッキ30が負担可能な荷重に応じて定まる。ジャッキ30の個数が多く、既存の基礎14のみではジャッキ30を配置できない場合、基礎14の幅方向にコンクリートを増し打ちして基礎14の幅を広げればよい。
これらジャッキ30は、上部基礎12と基礎14との間に設置される。ジャッキ30の上方に上部基礎12が存在しない場合には、上部基礎12と1階床下の梁の側面にコンクリートを増し打ちして、上部基礎12と1階床下の梁に一体化して前後方向に延びる増し打ち部16を形成する。ジャッキ30と上部基礎12又は増し打ち部16の下面との隙間には、図示しないが高さ調整用プレートを適宜な枚数挿入して、これらの間の隙間を失くす。
なお、増し打ち部16の下面に、当該増し打ち部16と一体となった補強プレート17を設け、この補強プレート17を上部基礎12と一体となっているベースプレート13と溶接等によって接合することが好ましい。
また、上部基礎12のせん断応力が不足する場合には、上部基礎12の幅方向の側面にも、鋼板等からなる補強プレート17をエキポシ等で接着して補強すればよい。
柱軸力仮受け構造は、既存柱11を両側方から一対のPC(プレキャストコンクリート)ブラケット41が挟み込み、これらPCブラケット41がPC鋼棒42で連結された構成となっている。PCブラケット41が本発明のブラケットに相当し、PC鋼棒42が本発明の緊張棒材に相当する。ここでは、既存柱11の断面は四角形である。なお、既存柱11の内部の鉄筋は、図面では省略されている。以下、PCブラケット41が既存柱11を挟み込む方向を前後方向として、この挟み込む方向と直交する方向を幅方向として説明する。
これらPC鋼棒42に緊張力がかけられ、既存柱11とPCブラケット41との密着する面の間の摩擦力が作用することによって、既存柱11に作用する柱軸力をPCブラケット41を介してジャッキ30に伝達することができる。
PCブラケット41は、コンクリートプレキャスト部材であり、超高強度の繊維補強モルタル材料を用いたものであることが好ましい。超高強度の繊維補強モルタル材料は、例えば、ダクタル(登録商標)、サクセム(登録商標)である。
超高強度のモルタル系材料は、鉄鋼材料と比較して、強度は1/2程度であるが、重量は1/3程度である。さらに、超高強度のモルタル系材料からなる部材は、鉄鋼からなる部材と比較して、形状の設計自由度が大きい。そのため、超高強度のモルタル系材料からなるPCブラケット41は、従来の鉄鋼からなるブラケットと比較して、既存柱11の軸力をジャッキ30へ伝達するのに最適な形状とすることが容易であり、且つ、軽量でありながら大きな柱軸力を支持することが可能である。
各PCブラケット41は、既存柱11の前後方向の面、ここでは既存建築物10の梁(不図示)側の面と当接する当接面41aを有している。そして、PCブラケット41は、この当接面41aから前後方向に既存柱11から離れる方向に所定の厚みを有する押圧部41bを有している。押圧部41bの厚みは、PC鋼棒42の緊張力によりPCブラケット41が既存柱11に押圧されても、破損や変形が生じない厚さに設定される。
そして、押圧部41bの幅方向の両外側からは前後方向の既存柱11から離れる方向に突出する突出部41cが延出している。そして、これら突出部41cには、前後方向に貫通して、それぞれシース管41dが埋設されている。ここでは、各PCブラケット41において、上下方向に並んで、複数段のシース管41dが突出部41cに埋設されている。シース管41dは、例えば、塩化ビニルなどの樹脂製である。
一対のPCブラケット41の前側の突出部41cにそれぞれ埋設されたシース管41dには1本のPC鋼棒42が挿通され、一対のPCブラケット41の後側の突出部41cにそれぞれ埋設されたシース管41dにも別の1本のPC鋼棒42が挿通されている。そして、これら各PCブラケット41から前後方向に突出するPC鋼棒42の先端部にナット43をねじ込んで締め付け固定している。
この締め付け力により、PC鋼棒42に緊張力がかけられ、一対のPCブラケット41を介して既存柱11に圧縮力を付加している。この圧縮力によって既存柱11とPCブラケット41とを密着させるとともに、当接面41aに圧力をかけて押し付けることによって密着する面の間の摩擦力を大きくする。
このように、PC鋼棒42の緊結によってPCブラケット41に圧縮力が作用する。そして、この圧縮力が作用する部分である突出部41cの幅は、PC鋼棒42の緊結による圧縮力に耐えることができ、且つ、PC鋼棒42の端部を固定するために必要なナット43などを取り付けるために必要な幅が確保されている。
PCブラケット41の突出部41cの前後方向の長さ(奥行き長さ)は、既存柱11から上部基礎12又は増し打ち部16を介して柱軸力をジャッキ30に伝達することが可能な長さが確保されている。ここでは、PCブラケット41の突出部41cは、上面視において、ジャッキ30の中央位置付近まで延びている。
そして、各PCブラケット41には、2つの突出部41cの間に、梁側から既存柱11側に向って窪んだ切欠部41eが形成されている。この切欠部41eは、PCブラケット41の上下方向全体に亘って形成されていてもよいが、本実施形態では、上下方向の中間部にのみ形成されている。
切欠部41eの断面は、ここでは台形形状となっている。このような切欠部41eを設けることにより、PCブラケット41の軽量化を図ることができる。
ただし、PC鋼棒42からの緊張力によって、PCブラケット41の突出部41cには幅方向外側に広がるように変形して当接面41aが弓なりに反る形になり、既存柱11とPCブラケット41との当接する部分が既存柱11の隅角部付近のみになるので、柱軸力を十分に伝達できなくなる、又は、既存柱11の隅角部やPCブラケット41が破損するおそれが生じる。そこで、突出部41cを幅方向に連結する連結部41fを設け、切欠部41eが形成されていない部分を設けることが好ましい。
切欠部41eの既存柱11側の端部は、当接面41aの中央から前後方向の既存柱11から離れる方向に向って45°の方向に押圧部41bの厚さだけ前後方向に直線を延長させた際の幅方向の長さと略同一となっている。切欠部41eの既存柱11側の端部をこれにより広くした場合、PC鋼棒42の緊張力をPCブラケット41の突出部41cを介して既存柱11に伝達することが困難になる。一方、切欠部41eの既存柱11側の端部をこれより狭くすると、PC鋼棒42の緊張力は既存柱11に伝達し易くなるが、PCブラケット41の重量が増加するという不都合が生じる。
そして、本実施形態では、切欠部41eの幅方向の側面の傾きは、突出部41cの端から、切欠部41eの既存柱11側の平面部とを平らな面で連結した形状となっている。このようにして、切欠部41eの断面は、前述したように台形形状となっている。ただし、切欠部41eの断面は、台形形状に限定されず、重量が増加する不都合があるが、この台形形状より小さな形状としてもよい。
PCブラケット41を介して大きな柱軸力を伝達するためには、既存柱11とPCブラケット41との間に大きな摩擦力が必要であり、PCブラケット41は上下方向にある程度の長さを有することが好ましい。ただし、PCブラケット41の上下方向の長さを長くすると、個々のPCブラケット41の重くなり、また、体積も嵩張るので、運搬、設置などが困難になるので、好ましくない。
そこで、本実施形態では、各PCブラケット41を上下に分割して、下部PCブラケット41Aと上部PCブラケット41Bとから構成している。さらに、上部PCブラケット41Bは、下部PCブラケット41Aと比較して、突出部41cの前後方向の長さを短くしている。
また、図示しないが、下部PCブラケット41Aと上部PCブラケット41Bとを連結する連結部材を設けることも好ましい。この場合、これらPCブラケット41A,41Bの側面に鋼板等からプレート等を設置して、これらプレート等をボルト等で接合すればよい。
さらに、図4に示すように、柱軸力仮受け構造は、PCブラケット41の2つの突出部41cの先端付近同士を緊結する補助PC鋼棒44を備えていてもよい。補助PC鋼棒44は本発明の補助緊張棒材に相当し、PCブラケット41の変形を防止するために設けられる。
ここでは、補助PC鋼棒44は、連結部41fの存在しない部分に設けられている。この場合、突出部41cにそれぞれ幅方向にシース管41gを埋設し、これらのシース管41gを挿通するように補助PC鋼棒44を設けられている。そして、これら各PCブラケット41から幅方向に突出する補助PC鋼棒44の先端部にナット43をねじ込んで締め付け固定している。この締め付け力により、補助PC鋼棒44に緊張力がかけられ、突出部41cが外側に開くように変形することを抑制することが可能となる。
なお、図示しないが、補助PC鋼棒44は、連結部41fの内部を幅方向に貫通するように設けてもよい。この場合、突出部41c及び連結部41fの幅方向に亘って連続してシース管を埋設し、このシース管を挿通するように補助PC鋼棒44を設ければよい。
さらに、柱軸力仮受け構造は、既存柱11のPCブラケット41を設置している面に直交する面に設置された補助ブラケット45を備えていてもよい。補助ブラケット45は、一対のPCブラケット41の前後方向の隙間と比較してわずかに短い長さを有しており、PCブラケット41の間に挟まるように配置されている。この補助ブラケット45の存在により、PCブラケット41の変形を抑制することが可能となる。
補助ブラケット45は、コンクリートプレキャスト部材であり、超高強度の繊維補強モルタル材料を用いたものでもよいが、通常の又は高強度のモルタル材料を用いたものであってもよい。
ここでは、補助ブラケット45には、前後方向に亘ってシース管45aが埋設されており、このシース管45aにPCブラケット41を締結するPC鋼棒42が挿通されている。また、補助ブラケット45の幅は、PCブラケット41が既存柱11の幅方向外側から突出した幅と略同一となっている。
さらに、柱軸力仮受け構造は、PCブラケット41の前後2つの突出部41cの先端部同士を緊結する補助連結プレート47を備えていてもよい。補助連結プレート47は、本発明の補助連結部材に相当し、PCブラケット41の変形を防止するために設けられる。
補助連結プレート47は、両端部付近に貫通孔がそれぞれ形成された鋼板からなり、これら貫通孔に突出部41c先端から突出するPC鋼棒42をそれぞれ貫通させ、PC鋼棒42をナット43等で締結することによって設置される。補助連結プレート47はPC鋼棒42の緊張力によって固定されるので、補助連結プレート47の貫通孔とPC鋼棒42の径に差があってもずれが生じにくい。
補助連結プレート47は、全てのPC鋼棒42に対して設置してもよいが、PCブラケット41の変形を防止するため必要な枚数のみ設置すればよい。
なお、図4では補助PC鋼棒44、補助ブラケット45、補助連結プレート47の全てを記載しているが、何れか1種類を用いてもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
以下、上述した柱軸力仮受け構造を用いた、既存建築物の免震装置の交換工事について図1から図3を参照して説明する。
まず、下面と基礎14との間に免震装置20が挿入されている上部基礎12において、ジャッキ30が基礎14との間との配設されるように、前後方向にそれぞれコンクリートを増し打ちして、増し打ち部16を形成する工程を行う。
各増し打ち部16は、図示しない型枠を設置し、後施工アンカを上部基礎12や1階床下の梁に打接すると共に配筋を行い、コンクリートを打設し、その後、養生させることにより形成する。このとき、1階スラブ19の下端に増し打ち部16の上面が密着するようにする。補強プレート17を設置する場合には、補強プレート17は、増し打ち部16形成用の型枠の一部をなしており、上部基礎12の下面に一体となったベースプレート13に溶接等により接合する。
次に、必要であれば、図3を参照して、上部基礎12の側面にも補強プレート18をエキポシなどの接着剤によって接着する。
次に、基礎12の上に、上記特許文献1に開示されているように滑りプレート31等を設置する。
次に、一対のPCブラケット41を、シース管41dにPC鋼棒42を挿通させ、既存柱11の前後方向から挟み込んだ状態で、緊張力をかけて連結する工程を行う。なお、図4に示すように、補助ブラケット45を用いる場合、PC鋼棒42は補助ブラケット45のシース管45aも挿通させておく。
また、補助PC鋼棒44を用いる場合、各PCブラケット41の2つの突出部41cに埋設されたシース管41gに補助PC鋼棒44を挿通させ、緊張力をかけて締結する。
次に、基礎14と増し打ち部16との間にジャッキ30を設置する工程を行う。
次に、免震装置20の上端部に存在するフランジプレート21と、上部基礎12と一体となったベースプレート13との連結を解除する工程を行う。なお、この解除工程の代わりに、免震装置20の下端部に存在するフランジプレート22と、基礎14と一体に形成されたベースプレート15との連結を解除する工程を行ってもよい。
次に、ジャッキ30を少し、例えば数mm伸長させ、その状態で停止させる工程を行う。この場合、1本の既存柱11に係る全てのジャッキ30を同時に伸長させる。このとき、隣接する複数本の既存柱11に係る全てのジャッキ30を同時に伸長させてもよい。
次に、前記解除工程では連結を解除しなかった連結を解除する工程を行う。つまり、前記解除工程で、フランジプレート21とベースプレート13との連結を解除した場合は、フランジプレート22とベースプレート15との連結を解除し、フランジプレート22とベースプレート15との連結を解除した場合は、フランジプレート21とベースプレート13との連結を解除する。
次に、免震装置20を新規の免震装置と交換する工程を行う。このとき、滑りプレート31等を用いて交換作業を行う。
次に、ジャッキ30を短縮して、元の状態に戻す工程を行う。
次に、新規の免震装置の上端部に存在するフランジプレート21と上部基礎12と一体となったベースプレート13とを、及び新規の免震装置の下端部に存在するフランジプレート22と基礎14と一体に形成されたベースプレート15とを、それぞれ連結する工程を行う。
最後に、PCブラケット41、PC鋼棒42、ジャッキ30等を取り外す工程を行う。なお、これら取り外しした部材は、同じ既存建築物10の他の既存柱11に対して再度使用してもよい。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、既存柱11は、PC鋼棒42により緊張力がかけられた状態で連結された一対のPCブラケット41が、既存柱11の両側面を挟み込んで押し付けるように固定されている。そして、各PCブラケット41は、幅方向両外部に位置する突出部41cの幅方向の間に柱に向って凹んだ切欠部41eを有している。
このため、各PCブラケット41は、緊張力をかけるPC鋼棒42が挿通される突出部41cは、緊張力による圧縮力が作用して変形、破損等が生じないように前後方向に長さを確保することが可能である。
さらに、各PCブラケット41にはこの緊張力による圧縮力が突出部41cから既存柱11との当接面41aの中央に向けて斜めに伝達される。そこで、伝達範囲から外れて圧縮力の影響の少ない突出部41cの間の部分に柱に向って凹んだ切欠部41eを形成することにより、PCブラケット41の重量の低減が図られている。さらに、各PCブラケット41は超高強度の繊維補強モルタル材料からなるので、従来のように鉄鋼材からなる場合と比較して、形状の自由度が高い。
これらの理由によって、各PCブラケット41は、上述したような圧縮力に耐えられると共に重量の低減を図った形状とすることが容易である。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、本発明の柱軸力仮受け構造を用いて、既存建築物の免震装置を交換する工事に使用する場合について説明した。しかし、本発明の柱軸力仮受け構造は、このような工事だけでなく、既存建築物に免震装置を新設する工事などにも使用することができる。
この場合、免震装置を挿入する部分を確保する必要があるが、その部分より上方に位置する既存柱に対して本発明の柱軸力仮受け構造を適用すればよい。
また、上部基礎12と基礎14との間に免震装置20が挿入されている場合の工事について説明した。しかし、本発明の柱軸力仮受け構造は、このような工事だけでなく、免震装置が中間階の柱の間に挿入されている場合にも同様に施工することが可能である。この場合、本発明の柱軸力仮受け構造は、免震装置が挿入された部分の上に存在する既存柱に設置すればよい。
なお、本発明の柱軸力仮受け構造は柱軸力が大きい既存柱11にのみ使用し、柱軸力が小さい既存柱には従来の形鋼等からなるブラケットを使用してもよい。
また、対象が既存建築物の外周の柱である場合、各PCブラケット41は共に設置した床の下に梁の存在する方向に設置されることが構造上望ましい。
また、上部PCブラケット41Bを下部PCブラケット41Aより突出部41cの前後方向の長さを短くする場合、上下に分割せず一体としてもよい。
10…既存建築物、 11…既存柱(柱)、 12…上部基礎(上部構造体)、 13,15…ベースプレート、 14…基礎(下部構造体)、 16…増し打ち部、 17…補強プレート、 18…補強プレート、 19…1階スラブ、 20…免震装置、 21,22…フランジプレート、 30…ジャッキ、 31…滑りプレート、 41…PCブラケット(ブラケット)、 41A…下部PCブラケット、 41B…上部PCブラケット、41a…当接面、 41b…押圧部、41c…突出部、 41d…シース管、 41e…切欠部、 41f…連結部、 41g…シース管、 42…PC鋼棒(緊張棒材)、 43…ナット、 44…補助PC鋼棒(補助緊張棒材)、 45…補助ブラケット、 45a…シース管、 47…補助連結プレート(補助連結部材)。

Claims (5)

  1. 既存建築物の免震装置が挿入される部分の上方に存在する柱の軸力の仮受け構造であって、
    前記柱を両側方から挟み込み、前記挟み込む方向と直交する方向の両外側部に位置する突出部に前記柱の前記挟み込む方向と直交する方向における外側を通る緊張棒材がそれぞれ挿通されて、前記緊張棒材により緊張力がかけられた状態で連結された一対のコンクリート製のブラケットからなり、
    前記各ブラケットは、前記突出部の前記挟み込む方向と直交する方向の間に前記柱に向って凹んだ切欠部、及び、前記各ブラケットが前記突出部同士を前記挟み込む方向と直交する方向に連結する連結部を有することを特徴とする既存柱軸力の仮受け構造。
  2. 前記一対のブラケットの間に、前記柱の前記挟み込む方向と直交する方向における外側に位置し、それぞれに前記緊張棒材が挿通されているコンクリート製の補助ブラケットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の既存柱軸力の仮受け構造。
  3. 前記各ブラケットの2つの突出部が、挿通する補助緊張棒材によって緊張力がかけられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の既存柱軸力の仮受け構造。
  4. 前記挟み込む方向と直交する方向において前記突出部同士が補助連結部材により連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の既存柱軸力の仮受け構造。
  5. 前記各ブラケットは上下方向に分割されており、前記分割された各ブラケットにそれぞれ前記緊張棒材が挿通されており、
    上方の前記ブラケットの突出部の長さが、下方の前記ブラケットの突出部の長さよりも短いことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の既存柱軸力の仮受け構造。
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