図1は、この発明の実施形態の自動車1の電子制御回路部10のハードウエア構成例を示すブロック図である。なお、この実施形態の自動車1は、電気自動車の場合の例である。ただし、バッテリーは、図1では図示を省略した。
また、この実施形態の自動車1は、自動運転モードと、手動運転モードとを備えている。手動運転モードは、通常の自動車と同様に、運転者のアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。また、自動運転モードは、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動車1自身が自律的(自動的)に障害物を回避しながら進路変更をしたりする自律走行をするモードである。
通常時は、自動車1の運転者は、例えば後述するタッチパネル112を通じた所定の操作により、手動運転モードで走行中の自動車1を自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作をすると、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。ただし、この実施形態の自動車1は、後述するように、強制的に手動運転モードから自動運転モードに切り替えられたときには、後述する所定の解除条件を満たした後でないと、上記の手動運転モードに戻る操作をしても、その操作は無効とされて、自動運転モードでの走行を維持するように制御される。
利用者がタッチパネル112等を通じて選択設定する通常自動運転モードと区別するために、この強制的に切り替えられた後の、手動運転モードに戻る操作をしてもその操作が無効とされる自動運転モードを、この明細書では、特に、強制自動運転モードと称し、また、強制自動運転モードではない自動運転モードを通常自動運転モードと称することとする。
図1に示すように、電子制御回路部10は、コンピュータを搭載して構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、手動運転操作検知部105、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、表示部111、タッチパネル112、カーナビゲーション(以下、カーナビと略称する)機能部113、画像認識部114、自動運転切替条件判別部115、音声認識部116、車内状況判定部117、自車動き解析検知部118、携帯電話機能部119、時計部120、合成音声発生部121、音声入出力部122、のそれぞれが接続されている。
モータ駆動制御部102には、モータ駆動部131が接続されている。ステアリング駆動制御部103には、ステアリング駆動部132が接続されている。また、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース133が接続されている。また、画像認識部114には、画像認識をするための比較画像の画像情報を記憶する画像情報記憶部134が接続されている。また、自動運転切替条件判別部115には、自動運転切替条件記憶部135が接続されている。さらに、音声認識部116には、音声認識をするための比較音声の音声情報を記憶する音声情報記憶部136が接続されている。そして、音声入出力部122には、マイクロホン137とスピーカ138が接続されている。
モータ駆動制御部102は、制御部101の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動車1のモータ駆動部131への駆動信号の供給を制御して、自動車1の走行開始、走行速度制御(ブレーキ制御及びアクセル制御を含む)、走行停止などを制御するようにする。
ステアリング駆動制御部103は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動車1のステアリング駆動部132への駆動制御信号の供給を制御して、自動車1の進路変更の制御をするようにする。
手動/自動運転モード切替制御部104は、タッチパネル112を通じた選択操作入力に応じて、自動車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行うと共に、後述するように、自動運転切替条件判別部115の判別結果に応じて、自動車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードと、強制自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う。
手動運転操作検知部105は、運転者によるアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作さらにはステアリング操作の操作情報を受けて、その手動運転操作情報を手動/自動運転モード切替制御部104に供給する。
手動/自動運転モード切替制御部104は、自動車1が手動運転モードのときには、この手動運転操作検知部105からの手動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、運転者のペダル操作やシフトレバー操作、ステアリング操作(ハンドル操作)に応じて制御する。
また、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動車1が自動運転モード(強制自動運転モードを含む)のときには、後述するようにして、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109の出力に基づいて制御部101で生成される自動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、自動運転操作情報により駆動制御する。
そして、この実施形態では、前述もしたように、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転切替条件判別部115での切替条件の合致判別結果を受けて、運転者や乗車者の意思に反して、すなわち、運転者や乗車者による運転モードの選択設定に反して、手動運転モードから、強制的に自動運転モードに自動的に切り替える制御も行う。
強制自動運転モードではない通常自動運転モードにおいては、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転モードでの走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作(ハンドル操作)をすると、その手動運転操作の検知情報に基づいて、自動車1の運転モードを自動的に手動運転モードに戻すようにモード切替制御を行う。
しかし、自動車1の運転モードが強制自動運転モードであるときには、後述する解除条件を満足した場合を除き、原則的に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作をしても、手動/自動運転モード切替制御部104は、その手動運転操作情報を無効として、強制自動運転モードを維持するようにする。
レーダー群106は、自動車1の車両の周囲に存在する人や物との距離を測るためのもので、レーザー・レーダー(正式にはLIDAR(Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging;ライダー))やミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。また、サブミリ波レーダーやマイクロ波レーダーなど、その他のレーダーを用いてもよい。さらに、レーダーと同様の目的で音波や超音波によるソナー(図示せず)を用いることができる。
カメラ群107は、自動車1の車内を撮影する1〜複数個のカメラと、自動車1の前方、側方、後方など、車外の周囲を撮影する1〜複数個のカメラとを含む。車内を撮影するカメラは、例えば運転席と助手席の間に設置されたバックミラー(後写鏡、ルームミラー)やフロントウインドウの上部などに取り付けられ、運転席に座った人物(運転者)の所作を撮影するカメラの他、助手席や、後部座席に座った乗車者の所作を撮影するためのカメラを含む。また、自動車1の周囲を撮影するカメラは、例えばバックミラーの左側方及び右側方に取り付けられ、自動車1の左前方及び右前方を主として撮影する2台のカメラ(ステレオカメラ)や、自動車1の例えばドアミラー又はフェンダーミラーに取り付けられて左右の側方を撮影するカメラ、自動車1の後方を撮影するカメラ、さらにルーフに取り付けられ広角で周囲を撮影する全方位カメラ(360度カメラ)や魚眼カメラ、などを含む。
センサ群108は、自動車1のドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサ(例えば重量センサ)、運転席のハンドルを人がタッチしたことを検知するタッチセンサ(例えば静電容量センサ)などの他、車外の近傍の人物を検知する人感センサ(例えば赤外線センサ)や自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサを含む。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。また、この実施形態では、センサ群108には、右ウインカーや左ウインカー(方向指示器)やハザードランプ(非常点滅灯)の点滅、バックライトやブレーキライト等の点灯を検知するセンサも含まれている。さらに、この実施形態では、センサ群108は自車の走行速度を検出するセンサも備えている。
また、この実施形態では、自動車1の車内状況を判定する際の一助となる、温度センサ、湿度センサ、熱センサ、煙センサ、呼気センサ、一酸化炭素センサ、硫化水素センサなども、センサ群108には含まれる。なお、熱センサや煙センサは、車内での火災の発生を検知するためのものであり、呼気センサは、運転者の飲酒を検出するためのものであり、一酸化炭素センサ、硫化水素センサは、人体に毒性のあるガスが車内で発生したことを検知するためのものである。
周囲移動体把握部109は、レーダー群106やセンサ群108、また、カメラ群107の撮像画像を用いて、自車の周囲の移動体(人物を含む)を把握するようにする。周囲移動体把握部109は、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。
現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出する。現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度は悪いので、GPS衛星からの電波の受信で検出された現在位置の情報のみではなく、センサ群108に含まれる1〜複数個のセンサからのセンサ出力情報及びレーダー群106の出力情報、カメラ群107に含まれる1〜複数個のカメラからの撮像画像(ナビ機能を併用)などをも用いると共に、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
自動車1は、自動運転モードにおいては、現在位置検出部110や周囲移動体把握部109において、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、GPS衛星からの電波の受信で取得した位置情報などの各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論やディープラーニング(深層学習)などの機械学習により処理し、これに基づき、制御部101は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(人工知能)及び制御(人工知能)を行って、自動運転操作情報を生成する。
表示部111は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる。タッチパネル112は、LCDからなる表示部111の表示画面の上に、指やタッチペン等によるタッチ入力が可能なタッチセンサが重畳されて配設されたものである。表示部111の表示画面には、制御部101の制御に基づき、ソフトウエアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル112は、表示画面に表示されているソフトウエアボタン上の指やタッチペン等によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部101に伝達する。これを受けた制御部101は、ソフトウエアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。
カーナビ機能部113は、この実施形態では、図2に示すように、手動運転モード用のナビゲーション手段を構成する手動運転用ナビ機能部200と、自動運転モード用のナビゲーション手段を構成する自動運転用ナビ機能部300とを備える。手動運転用ナビ機能部200は、運転者に対して目的地までの経路案内を行うように支援する。また、自動運転用ナビ機能部300は、自動車1自身による目的地までの自律走行を支援する。
なお、この実施形態では、制御部101は、後述するように、自車が起動されたときに、運転者又は乗車者に、目的地の設定入力を促すようにし、目的地の設定入力があればそれを記憶しておく。自動運転モードに切り替えられて自律走行に移行したときに目的地の設定をしなくてもよいようにするためである。さらに、必要に応じて経由地の設定入力を促すようにし、経由地の設定入力があればそれを記憶しておくようにしてもよい。この場合、自動運転モードに切り替えられて自律走行に移行したときに目的地のみならず経由地の設定をしなくてもよいようにできる。経由地が設定されている場合、手動運転用ナビ機能部200は、運転者に対して、当該経由地を経由した経路で目的地までの経路案内を行うように支援し、自動運転用ナビ機能部300は、自動車1自身によって、当該経由地を経由した経路で目的地までの自律走行を支援する。
図2に示すように、手動運転用ナビ機能部200は、設定受付部201と、経路探索部202と、経路案内部203とを備える。経路案内部203は、地図表示部2031と音声ガイダンス部2032とを備える。また、自動運転用ナビ機能部300は、設定受付部301と、経路探索部302と、自動運転用制御情報発生部303と、地図表示部304と、音声ガイダンス部305と、周辺情報提供部306とを備える。
そして、カーナビ機能部113に接続されているカーナビ用データベース133としては、図2に示すように、この例では日本国の国内の地図データが格納されている地図データベース1331と、地図データに対応する経路探索用データを格納するものであって、手動運転用ナビ機能部用の経路探索用データベース1332と、自動運転用ナビ機能部用の経路探索用データベース1333とが格納されている。
この実施形態において、経路探索用データベースを、手動運転用ナビ機能部用の経路探索用データベース1332と、自動運転用ナビ機能部用の経路探索用データベース1333とに分けたのは、運転者は、自分の判断で、手動運転をすることができるので、支援は、最小限で良いのに対して、自動車1による自律運転では、より精細な支援をする必要があるからである。
手動運転用ナビ機能部200は、この実施形態では、運転者又は乗車者によるタッチパネル112通じた起動指示操作や音声認識部116で認識された音声による起動指示に基づいて起動する。後述するように、自動運転モードから手動運転モードに切り替えられたときには、自動車1からの問い合わせに応じて、タッチパネル112を通じた起動指示操作や音声認識部116で認識された音声による起動指示に基づいて起動する。
そして、手動運転用ナビ機能部200の設定受付部201は、出発地、目的地、経由地(目的地への経由地。設定は任意。)などの設定入力の他、高速道路を優先するか、一般道を優先するか、距離を優先(最短経路を優先)するか、時間を優先(到着時間が短い方を優先)するか、費用を優先(費用(コスト)がかからない方を優先)するかなどの優先設定入力を受け付けて記憶する。なお、自車が起動されたときに目的地が設定されている場合には、記憶されている当該設定されている目的地がデフォルトの目的地とされる。このデフォルトの目的地は変更したり消去したりすることができることは言うまでもない。もちろん、自車が起動されたときに目的地に加えて経由地が設定されている場合には、記憶されている当該設定されている経由地がデフォルトの経由地とされる。このデフォルトの経由地も変更したり消去したりすることができる。
経路探索部202は、設定受付部201に記憶されている設定入力に基づいて、手動運転用ナビ機能部用の経路探索用データベース1332を用いて経路探索し、その経路探索結果を、経路案内部203に提供する。
経路案内部203では、経路探索部202から受け取った経路探索結果と、地図データベース1331の地図データと、現在位置検出部110で検出された現在位置データとに基づいて、地図表示部2031が、表示部111の表示画面に、自車の現在地表示及び移動予定経路表示を含む地図画像を表示すると共に、音声ガイダンス部2032が、運転者の運転操作を支援する経路案内音声をスピーカ138を通じて放音するようにする。
すなわち、地図表示部2031は、表示部111の表示画面上において、目的地までの経路(ルート)を明示的に表示する地図上に、現在位置検出部110で検出確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させるようにする。
また、音声ガイダンス部2032は、目的地までの経路(ルート)上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で合成音声による音声案内をするようにする。この場合、例えば、自車の現在位置が、右折すべき分岐点に近づいたとき、当該分岐点の手前の位置の、例えば300メートル手前、100メートル手前、50メートル手前などの位置になったときに、運転者が、分岐点ですべき運転操作を容易に認識することができるようにする案内音声を放音するようにする。例えば、音声ガイダンス部2032は、「300メートル先を右折です。」、「100メートル先を右折です。」、「ここで右折です。」などの案内音声を、自車の走行に従って放音する。運転者は、この音声案内により、右折すべき交差点や分岐点位置を確実に認識して、右折の運転操作をすることができる。
自動運転用ナビ機能部300は、この実施形態では、手動運転モードから自動運転モードに切り替えられたときには、制御部101の制御により自動的に起動される。したがって、自動運転用ナビ機能部300は、常に、起動された現在位置を出発地として認識する。このため、自動運転用ナビ機能部300においては、出発地の設定入力は不要となる。
自動運転用ナビ機能部300の設定受付部301は、この実施形態では、目的地の設定が既になされているか否か判別し、目的地の設定がなされていなければ、目的地の設定入力を運転者や乗車者に促し、設定入力された目的地を記憶する。もちろん、目的地の設定入力は選択入力できるようにし、運転者や乗車者にその選択を促し、選択入力された目的地を記憶するようにしてもよい。また、さらに経由地の設定入力又は選択入力(複数候補から選択入力。経由地無しも含む。)を運転者や乗車者に促し、設定入力又は選択入力された経由地を記憶する。なお、自車が起動されたときに目的地や経由地が設定されている場合には、記憶されている当該目的地や経由地をそのまま採用してもよいが、この実施形態では、利用者の便宜を考慮して、目的地や経由地を変更するかどうか問い合わせて、目的地や経由地の変更が無ければ、その記憶されている目的地や経由地を採用することとしている。
また、設定受付部301は、目的地、経由地(目的地への経由地。設定は任意。)などの設定入力の他、高速道路を優先するか、一般道を優先するか、距離を優先(最短経路を優先)するか、時間を優先(到着時間が短い方を優先)するか、費用を優先(費用(コスト)がかからない方を優先)するかなどの優先設定入力を受け付けて記憶する。
ところで、運転者や乗車者は、自動運転モードにおける自動運転用ナビ機能部300の実行には、自動車1の自動運転による自律運転に全く任せて、寝てしまったり、自由に振る舞いたい場合には、経路案内や地図表示は、不要となる。また、運転者や乗車者によっては、自動運転モードにおける自動運転用ナビ機能部300の実行に、自車の現在位置を地図上で知りたい、どのような走行をするかを知りたい場合がある。また、運転者や乗車者は、経路案内の音声は不要であるが、特定の地点になったら、その地点の観光情報や飲食店情報等の周辺情報が知りたい場合もある。
さらに、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えについて、手動運転操作検知部105で手動運転操作を検知したら、即座に手動運転モードに切り替えるのか、それとも、例えば、手動運転操作検知部105で手動運転操作が検知されても、タッチパネル112を通じた明示的な切替指示操作を検知したことや、音声認識部116で音声による明示的な切替指示を受けたことを検知した場合にのみ手動運転モードに切り替えるのか、等のように、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えのレベルをも、設定したい場合がある。
以上のことを考慮して、自動運転用ナビ機能部300の設定受付部301は、手動運転モードから自動運転モードへの切り替えに伴って、自動運転用ナビ機能部300が起動されたときに、上記のナビ実行中の地図表示を要求するか否か、後述する合成音声による経路案内や周辺情報の提供サービスを要求するか否か、周辺情報の提供を要求する地点を登録するか否か、手動運転モードへの切り替えのレベルを上記の内のどのレベルにするか、等の設定入力をも受け付けるようにする。なお、自動運転用ナビ機能部300の設定受付部301は、手動運転用ナビ機能部200の設定受付部201と同様に、目的地、経由地、高速道路優先、距離優先、時間優先、費用優先などの設定入力を受け付けて記憶するようにしてもよい。
経路探索部302は、設定受付部301に記憶されている設定入力に基づいて、自動運転用ナビ機能部用の経路探索用データベース1333を用いて経路探索し、その経路探索結果を、自動運転用制御情報発生部303に提供する。
自動運転用制御情報発生部303は、経路探索部302から受け取った経路探索結果と、地図データベース1331の地図データと、現在位置検出部110で検出された現在位置データとに基づいて、自車の自律運転を支援する運転制御指示情報を発生する。制御部101は、この運転制御指示情報に基づいて、モータ駆動制御部102やステアリング駆動制御部103を制御して自律運転を実行するようにする。
この場合に、自動運転用制御情報発生部303は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を制御部101に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を制御部101に通知するようにする。制御部101は、この自動運転用制御情報発生部303からの通知された運転制御指示情報と、現在位置検出部110の現在位置確認結果及び周囲移動体把握部109の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部102を通じてモータ駆動部131を制御すると共に、ステアリング駆動制御部103を通じてステアリング駆動部132を制御するための自動運転操作情報を生成する。したがって、自動運転モードにおけるカーナビ機能部113の自動運転用ナビ機能部300及び制御部101による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動車1は、目的地まで移動することができる。
地図表示部304は、自動運転用ナビ機能の実行中における地図表示処理を行う処理機能部である。この地図表示部304は、自動運転用ナビ機能では運転者に対する支援をする必要はないので、この実施形態では、交差点や分岐点の近傍で、表示部111の表示画面を分割して当該交差点や分岐点の近傍を拡大表示して案内するような表示は省略する。なお、地図表示部304は、手動運転用ナビ機能部200の経路案内部203の地図表示部2031と同様の地図表示処理をするようにしてもよく、その場合には、手動運転用ナビ機能部200の経路案内部203の地図表示部2031を、自動運転用ナビ機能部300の地図表示部304として用いることもできる。
この地図表示部304は、設定受付部301で、自動運転用ナビ実行中の地図表示を要求すると設定されたときに起動されて動作状態となり、上記の自動運転用ナビ機能部300でのナビ実行中の地図表示を実行し、地図表示が要求されなかったときには、非動作状態となる。図2のスイッチ307は、地図表示部304が利用者の設定により動作、非動作が切り替えられることを明示的に示すためのもので、実際的に設けられている訳ではない。
音声ガイダンス部305は、自動運転用ナビ実行中での合成音声による音声案内処理を行う処理機能部である。自動運転用ナビ機能では運転者に対する支援をする必要はないので、「300メートル先を右折です。」や「まもなく分岐点です。」等の交差点や分岐点に近づくに応じた懇切丁寧な音声案内は不要であり、この実施形態では、音声ガイダンス部305は、自車が交差点や分岐点でどのような行動をとるかを運転者や乗車者に報知する音声案内処理を行う。なお、音声ガイダンス部305は、手動運転用ナビ機能部200の音声ガイダンス部2032と同様の音声案内をするようにしても勿論よい。その場合には、手動運転用ナビ機能部200の経路案内部203の音声ガイダンス部2032を、自動運転用ナビ機能部300の音声ガイダンス部305として用いることもできる。
この音声ガイダンス部305も、設定受付部301で、自動運転用ナビ実行中の音声案内を要求すると設定されたときに起動されて動作状態となり、上記の自動運転用ナビ機能部300でのナビ実行中の音声案内を実行し、音声案内が要求されなかったときには、非動作状態となる。図2のスイッチ308は、音声ガイダンス部305が利用者の設定により動作、非動作が切り替えられることを明示的に示すためのもので、実際的に設けられている訳ではない。
周辺情報提供部306は、設定受付部301で、周辺情報の提供を要求する地点の登録を受け付けた場合に、動作状態となる。図2のスイッチ309は、周辺情報提供部306が利用者の設定により動作、非動作が切り替えられることを明示的に示すためのもので、実際的に設けられている訳ではない。
周辺情報提供部306は、現在位置検出部110により検出される自車の現在位置を監視して、自車の現在位置が、登録された地点あるいはその近傍になったときに、カーナビ用データベース133の地図データベースに記憶されている前記登録された地点に関する情報、例えば観光情報や、周辺の景色の案内情報や、周辺のレストランなどの飲食店情報などを読み出して、表示部111の表示画面に表示したり、音声入出力部122を通じ、スピーカ138を通じて合成音声により報知したりする。この場合に、周辺情報として同様な情報を要求するかを、設定受付部301で使用者が予め登録設定しておくことができるようにされている場合には、その登録設定された周辺情報のみが提供される。
なお、手動運転用ナビ機能部200及び自動運転用ナビ機能部300のナビ機能の実行中においては、表示部111の表示画面には、周辺検索用のアイコンボタンが表示されており、運転者又は乗車者が、この周辺検索用のアイコンボタンを押下操作すると、タッチパネル112でそれが検出され、その検出結果に応じて、その時に実行されている手動運転用ナビ機能部200又は自動運転用ナビ機能部300は、当該周辺検索用のアイコンボタンが押下操作された現在位置を中心とした周辺検索機能を実行し、その検索結果を運転者又は乗車者に提供する機能が実行できるように構成されている。
なお、後述するように、手動運転モードから自動運転モード(あるいは強制自動運転モード)に切り替えられたときの行先として、目的地の名称や位置情報ではなく、目的地の属性、例えば「病院」、「ガソリンスタンド」、「コンビニエンスストア(以下、コンビニと略称する)」が登録されている場合には、カーナビ機能部113の自動運転用ナビ機能部300は、現在位置検出部110で検出された現在位置を中心として、目的地の属性についての周辺検索を行って、その周辺検索の結果の施設や場所を行先とするようにする。
また、この実施形態では、カーナビ機能部113は、現在位置検出部110で検出された現在位置情報の緯度・経度の情報から、カーナビ用データベース133の地図情報を参照することで、現在位置の場所名や施設名、住所を検出する機能を備える。そして、後述するように、カーナビ機能部113の手動運転用ナビ機能部200の音声ガイダンス部2032及び自動運転用ナビ機能部300の音声ガイダンス部305は、検出した現在位置の場所名や施設名、住所の名称を、制御部101の制御に基づいて、合成音声発生部121に転送する機能も備える。
画像認識部114は、カメラ群107の内の車内を撮影するカメラや車外を撮影するカメラからの撮像画像と、画像情報記憶部134に記憶されている画像情報とのマッチング処理を行うことで、運転者や乗車者の身体的な異変、また、居眠り、飲食や喫煙、よそ見、わき見などの運転者の所作、運転者の履物など、車内状況の判定のための画像認識結果を得る。画像認識部114は、得た認識結果を車内状況判定部117に転送する。
また、画像認識部114は、カメラ群107の内の車外を撮影するカメラからの撮像画像から、横断歩道に立っている人物などを認識したり、踏切の遮断機などを認識することで、踏切を認識したりする機能なども備えていると共に、画像認識部114は、カメラ群107の内の車外を撮影するカメラからの撮像画像から、道路標識や道路標示を認識する機能も備える。
また、画像認識部114に接続されている画像情報記憶部134には、画像認識用の比較画像の画像情報が記憶されている。画像情報記憶部134に記憶されている比較画像としては、車内を撮影するカメラからの撮影画像との比較用として、座席に座っている人の人事不省、前後不覚、失神の状態の画像、癲癇の発作の状態の画像、居眠り(瞼が一定時間以上閉じたままの状態や、頭のコックリコックリなど)の画像、よそ見やわき見をしている人の画像、飲食をしている人の画像、の他、飲食対象物(おにぎり、サンドイッチ、お弁当、お菓子、アイスクリーム、水、お茶、コーヒーなど)(飲食の検出の補助となる)の画像、たばこ(喫煙の検出の補助となる)の画像、履物(下駄、スリッパ、ハイヒールなど運転を誤るおそれのある履物)や裸足(履物を履いておらず、運転を誤るおそれのある状態)の画像、などを含む。
また、画像情報記憶部134に記憶されている比較画像としては、車外を撮影するカメラからの撮影画像との比較用として、よそ見やわき見の原因となる風景の画像(例えば紅葉の絶景の画像、名所・旧跡の画像、お祭りの神輿の画像、花火の画像、新装開店セールなどの画像)や有名人の画像(例えば著名な芸能人やスポーツ選手などの画像)、などを含む。
さらに、画像情報記憶部134には、比較画像として、道路標識及び道路標示のイメージデータが予め登録されて格納されている。画像認識部114は、カメラ群107の内の、自動車1の車外の前方、側方、後方などを撮影する1〜複数個のカメラからの撮影画像と、道路標識及び道路標示のイメージデータとのマッチング処理を行うことにより、前記1〜複数個のカメラの撮影画像から道路標識や道路標示を抽出するようにする。
そして、画像認識部114は、車外を撮影するカメラからの撮像画像に基づく認識結果を自車動き解析検知部118にも転送するようにする。
自車動き解析検知部118は、カメラ群107のカメラの撮像画像から、自車(自動車1)の発進、停止、直進走行、徐行、右回転、左回転、後退などの動きを検出すると共に、道路の左側に寄せる、走行車線の中央線を跨ぐ、などの動きを検出する。
自動運転切替条件判別部115は、後で記憶内容を詳述する自動運転切替条件記憶部135に記憶されている手動運転モードから自動運転モード(通常自動運転モードと強制自動運転モードを含む)に切り替える切替条件のいずれかに、自車の車内状況や運転者による手動運転モード時の振る舞い等が合致するか否かを判別し、合致すると判別したときに、手動運転モードから通常自動運転モードあるいは強制自動運転モードへの切り替え指示を、手動/自動運転モード切替制御部104に送るようにする。
音声認識部116は、マイクロホン137からの音声情報と、音声情報記憶部136に記憶されている音声情報とのマッチング処理を行うことで、運転者や乗車者の身体的な異変、また、運転者や乗車者の便意や尿意、などの車内状況の判定のための音声認識結果を得る。音声認識部116は、得た認識結果を車内状況判定部117に転送する。
音声認識部116に接続される音声情報記憶部136には、運転者や乗車者が身体的な異変が生じた時に発する唸り声、喘息音、悲鳴、あるいは「苦しい」、「助けて」、「気持ちが悪い」、「何とかして」、「むかむかする」、「吐きそう」、「うっ」、「げぇー」などの音声情報、また、運転者や乗車者が便意や尿意を催したときに発する「トイレ」、「化粧室」、「お手洗い」、「限界」、「もれそう」等の逼迫した声(言葉)の音声情報などが、音声認識部116での音声認識のための比較用として記憶されている。さらに、音声情報記憶部136には、子供の泣き声や、子供のシートからの落下音、ペットの吠え声なども、予め登録されて記憶されている。
車内状況判定部117は、画像認識部114からの画像認識結果と、音声認識部116からの音声認識結果と、センサ群108の内の車内状況の判定に寄与する1〜複数のセンサからのセンサ出力とから、手動運転モードから自動運転モードに切り替える切替条件となる車内状況を判定する。そして、車内状況判定部117は、その車内状況の判定結果を自動運転切替条件判別部115に転送する。
携帯電話機能部119は、この例においては、自動車1に予め内蔵されているものであり、加入者登録されて、所定の加入者番号が割り当てられている。自動車1の運転者や乗車者は、いわゆるハンズフリーにより、携帯電話の通話ができる。そして、自動車1の制御部101は、後述するように、自動運転切替条件記憶部135に記憶されている切替条件に関連する設定情報として、119番への通報が記憶されているときには、当該携帯電話機能部119を通じて、119番通報を行う機能を備えている。その119番通報における通報情報は、合成音声発生部121からの合成音声により構成される。また、携帯電話機能部119は、メール機能やインターネット接続機能も備えている。
時計部120は、カレンダー機能を備え、現在日時を提供すると共に、制御部101の制御に基づいて、所定のタイミング時点からの時間計測を行うタイマー機能も備える。
合成音声発生部121は、外部に放音する音声メッセージデータを記憶するメモリを内蔵すると共に、カーナビ機能部113の音声ガイダンス部2032や音声ガイダンス部304、また、周辺情報提供部306からの経路案内音声データや、現在位置の場所名や施設名、住所を合成音声に変換する機能を備える。なお、合成音声発生部121が記憶する音声メッセージとしては、後述するように、例えば「通常自動運転モードに切り替えました。」、「強制自動運転モードに切り替えました。」、「手動運転モードに切り替えました。」などの運転モードの切り替え通知メッセージや、通常手動運転モードから自動運転モードあるいは強制自動運転モードへの切り替え時に、目的地設定入力を促す通知メッセージなどが用意されている。
音声入出力部122には、前述したように、マイクロホン137が接続されていると共に、スピーカ138が接続されている。これらマイクロホン137及びスピーカ138は、携帯電話機能部119を用いたハンズフリーの通話用の送受器として用いられる。また、音声入出力部122は、携帯電話機能部119を用いたハンズフリーの通話用の音声の送受の機能を備えるのみではなく、車内状況の判定のための車内の音声情報を、マイクロホン137で収音して、音声認識部116に供給する機能と、前述した運転モードの切り替え通知メッセージや、目的地設定入力を促す通知メッセージなどをスピーカ138から放音する機能も備える。
[自動運転切替条件記憶部135の記憶内容の例]
この実施形態では、切替条件は、2種のものが定義されている。すなわち、第1種の切替条件は、運転者が手動運転モードにおける運転を継続すると、安全性を担保することに支障が生じるような車内状況として定義されている。すなわち、自動車1の車内状況がこの切替条件に合致する車内状況となった時には、危険性があったり、安全性が担保されていなかったりするので、手動運転モードから、通常通常自動運転モードあるいは強制自動運転モードに切り替えて、安全運転を維持するような走行状態となるようにすべき条件として、この第1種の切替条件は定められている。
また、第2種の切替条件は、「追い越し禁止」、「右折(左折)禁止」、「制限速度」、「信号遵守」、「踏切での一時停止」などの交通法規を遵守しない運転を防止するための条件や、「横断歩道での一時停止無視」、「妨害運転」、「危険運転、無謀運転」、「急アクセル、急ブレーキ、急ハンドル」などの事故を招きやすい状態を回避して、安全運転を担保するための条件とされている。そして、この第2種の切替条件に対しては、懲罰的な意味を含めて、手動運転モードから通常自動運転モードへ切り替えるのではなく、強制自動運転モードに切り替えらえるようにされる。
自動運転切替条件判別部115に接続されている自動運転切替条件記憶部135には、この実施形態では、第1種の切替条件についての第1の自動運転切替条件テーブルTBL1と、第2種の切替条件についての第2の自動運転切替条件テーブル(強制自動運転切替条件テーブル)TBL2が記憶されている。
第1の自動運転切替条件テーブルTBL1としては、図3〜図5に例示するように、自動車1が手動運転モードである走行中において、自動車1の走行モードを手動運転モードから通常自動運転モードあるいは強制自動運転モードに切り替えるための切替条件と、切替条件に合致したときの制御内容と、通常自動運転モードや強制自動運転モードにおける行先の情報と、通常自動運転モードや強制自動運転モードの解除条件とが対応付けられて記憶されている。
切替条件に合致したときの制御内容には、切替条件に合致したときに、通常自動運転モードに切り替えるのか、強制自動運転モードに切り替えるのかの自動運転モードの指定情報と、合致した切替条件に応じて自動車1が、切替後の自動運転モード(強制自動運転モードを含む)において行うべき制御内容を含む。
また、解除条件は、強制自動運転モードを解除して、手動運転モードに復帰させてもよい条件、又は自動運転モードから手動運転モードへの切り替えのための操作の条件である。
また、第2の自動運転切替条件テーブルTBL2は、図6及び図7に例示するように、自動車1が手動運転モードである走行中に、自動車1の走行モードを手動運転モードから強制自動運転モードに切り替えるための切替条件と、強制自動運転モードでの運転内容と、強制自動運転モードの解除条件とが対応付けられて記憶されている。
この自動運転切替条件記憶部135に記憶される第1の自動運転切替条件テーブルTBL1及び第2の自動運転切替条件テーブルTBL2は、予め、自動車1の製造会社や販売会社により書き込まれて記憶される。
また、第1の自動運転切替条件テーブルTBL1の切替条件に関する情報は、自動車1のユーザ、すなわち、運転者や乗車者によるタッチパネル112を通じた所定の操作により、事後的に追加して書き込まれることで、自動運転切替条件記憶部135に追加記憶することもできるものとされている。そして、自動車1のユーザ、すなわち、運転者は、第1の自動運転切替条件テーブルTBL1のいくつかの切替条件については、用いるかどうかを選択することもできるように構成されている。
また、第1の自動運転切替条件テーブルTBL1及び第2の自動運転切替条件テーブルTBL2は、予め各自動車会社が設定して登録するようにしてもよいし、自動車業界が標準化しても、また、国土交通省が定めてもよい。この場合には、ユーザによる記憶内容の変更、消去は不可とされる。なお、第1の自動運転切替条件テーブルTBL1及び第2の自動運転切替条件テーブルTBL2は、携帯電話機能部119が備えるインターネットへの接続機能を用いて、自動車会社や国土交通省などのホームページから、最新の条件テーブルがアップデートされるようにしてもよい。なお、国土交通省は日本の官庁であるが、自動車1が走行する国の交通や運輸を統括する官庁のことと同様と考えればよい。例えば、米国の場合は、DOT(United States Department of Transportation;アメリカ合衆国運輸省)となる。
もちろん、第1の自動運転切替条件テーブルTBL1及び第2の自動運転切替条件テーブルTBL2は、交通法規等の関係で、各国毎や、同じ国内でも州(米国)や省(中国)、都道府県(日本)等の地域によって異なる場合がある。この場合、GPS衛星からの電波や携帯電話機能部119などで走行中の現在位置を検出し、その現在位置から判別される国や地域に基づいて、第1の自動運転切替条件テーブルTBL1及び第2の自動運転切替条件テーブルTBL2を切り替えるようにすることもできる。また、走行中の国や地域に対応して自動的に切り替えるのではなく、運転者や乗車者が、走行中の国や地域を特定して、その走行中の国や地域に応じた第1の自動運転切替条件テーブルTBL1及び第2の自動運転切替条件テーブルTBL2を利用するようにしてもよい。
なお、EU(European Union;欧州連合)などのように、複数国での走行が日常的に行われる場合は、自動車1は、走行が予定される全ての国における、第1の自動運転切替条件テーブルTBL1及び第2の自動運転切替条件テーブルTBL2を、全ての国の識別情報と対応付けて、自動運転切替条件記憶部135に格納しておくとよい。これは国のみならず、地域においても同様である。
図3〜図5は、この実施形態における第1の自動運転切替条件テーブルTBL1の例である。図3〜図5の例では、切替条件は、「運転者又は乗車者の健康状態の異変1」、「運転者又は乗車者の健康状態の異変2」、「運転者の居眠り」、「運転者又は乗車者の車酔い、吐き気等の体調不良」、「運転者又は乗車者の便意や尿意」、「過労運転」、「走行中(赤信号停止中、踏切などの一時停止も含む)の運転者の飲酒」、「運転者によるよそ見、わき見運転」、「運転者による飲食又は喫煙」、「運転環境の悪化」、「同乗する子供やペットの異常行動」、「運転者の運転の仕方、姿勢」、「運転者が運転に支障のある履物を履いている、又は履物を履いていない」などの、事故を招きやすい状態を回避して、安全運転を担保するための条件が例示されている。そして、それぞれの切替条件に対応して、切替後の自動運転モードや強制自動運転モードの指定、制御内容と、行先、自動運転モードの解除条件、のそれぞれが定められている。
なお、図3〜図5に示した切替条件は、第1の自動運転切替条件テーブルTBL1の内容の一部であり、その他予め定められた種々の切替条件が登録されていることは言うまでもない。
図3に示すように、例えば「運転者又は乗車者の健康状態の異変1」についての切替条件としては、運転者又は乗車者が人事不省、前後不覚、失神、などの緊急事態が登録されている。自動運転切替条件判別部115では、この「運転者又は乗車者の健康状態の異変1」についての切替条件に合致しているか否かを、車内状況判定部117の判定結果を用いて判別する。車内状況判定部117は、運転者又は乗車者について、画像認識部114での画像認識により、人事不省、前後不覚、失神のような身体的な異変が起こった状態になっているかどうかを判定する。
例えば、運転者の場合について説明する。例えば自動車1のバックミラー2の横に装着されたカメラ107群の中のカメラにより、運転者を撮影する。運転者に身体的な異変が生じていないときには、運転者の撮像画像は、運転者が目を開けて前方を注視し、ステアリングホイール(ハンドル)を操作している動きのある画像となる。一方、運転者に身体的な異変が生じて人事不省、前後不覚、失神の状態になると、運転者の撮像画像は、運転者が目を閉じ、顔が前方を注視せずに下向き(上向きの場合もある)となり、ぐったりして動かない画像となる。車内状況判定部117は、画像認識部114からの認識結果から、上記のような運転者に発生した異変の状態を判定し、自動運転切替条件判別部115に伝達するようにする。なお、より精緻な医学的な画像認識をするために、画像情報記憶部134には医学的に特徴的かつ精緻な比較画像情報を豊富に記憶するようにしてもよい。
自動運転切替条件判別部115は、この車内状況の判定結果を受けて、その判定結果と自動運転切替条件記憶部135の記憶内容とを照合することにより、「運転者又は乗車者の健康状態の異変1」(図3参照)についての切替条件に合致することを判別する。
なお、以上の例は、画像認識部114の画像認識結果のみに基づいて判定することについて説明したが、この実施形態では、車内状況判定部117は、画像認識結果に加えて、音声認識部116での音声認識により、唸り声や呻き声、鼾(脳溢血(脳出血)などの場合)などを認識したことなども加味して、この「運転者又は乗車者の健康状態の異変1」を判定するようにする。これにより、車内状況判定部117における判定の確度を向上させることができる。
この「運転者又は乗車者の健康状態の異変1」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。そして、行先(目的地)としては、病院が指定される。この指定される病院としては、運転者等が予め選択指定していてもよいし、あるいは、自動運転モードへの切り替え時に選択指定するようにしてもよい。
すなわち、特定の病院、例えばかかりつけの病院を指定することができる。その場合には、当該かかりつけの病院の病院名、住所、電話番号が自動運転切替条件記憶部135に記憶される。自動車1の制御部101は、携帯電話機能部119により、この病院の電話番号を用いて、当該病院に電話をかけ、自車の特徴や運転者の氏名などを告げ、急病人を連れてゆくことを病院に通知するようにする。このためのメッセージは、合成音声発生部121に予め記憶されている。なお、病院には、電話ではなく、メールで通知することもできる。また、急病人の病状を病院の医師らに正確に伝えるため、急病人の画像情報や音声情報を添付ファイルでメールするようにしてもよい。
また、特定の病院ではなく、「現在位置に近い救急病院又は一般病院」のように目的地属性を記憶するようにすることもできる。行先として「現在位置に近い救急病院又は一般病院」のように目的地属性が指定されていてもよい。行先として「現在位置に近い救急病院又は一般病院」のように目的地属性が指定されている場合には、後述するように、カーナビ機能部113が、現在位置周辺の該当病院を周辺検索し、その周辺検索結果を行先とする。
その場合に、病院の電話番号を取得することができる場合には、前述と同様に、自動車1の制御部101は、携帯電話機能部119により、この病院の電話番号を用いて、当該病院に電話をかけ、自車の特徴や運転者の氏名などを告げ、急病人を連れてゆくことを病院に通知するようにする。また、前述と同様に、電話のみならず、メールやLINE等の通信アプリケーションで通知することもできる。さらに、急病人の画像情報や音声情報を添付ファイルでメールするようにしてもよい。
また、この実施形態では、行先として特定の目的地や目的地属性を指定するのではなく、路肩等に停車して、119番通報することを選択することができるようにされている。この119番通報の場合には、自車の特徴や運転者の氏名、急病人が発生したこと、現在位置の場所名、住所などを合成音声発生部121から発生させて、119番通報内容に含めるようにする。
なお、自動車1に各種医学情報(医療情報)や医学用データベース(図示せず)を内蔵する医学情報記憶部(図示せず)を備えるようにしてもよい。その場合に、医学情報記憶部には、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、その他各種疾病について、病名、症状、対処法などの医学情報が克明に記憶される。症状については、各種疾病において特有の、目の状態、顔の表情、発汗、痙攣などの画像情報や、鼾、呻き等の音声情報を記憶し、画像認識や音声認識で各種疾病を初期症状で迅速かつ正確に把握できるようにする。もちろん、画像情報は静止画のみならず動画も記憶される。したがって、異変1が起きた時、医学情報記憶部に記憶されている医学情報に基づいて、自動車1の制御内容、対処法、行先を決定するようにできる。
すなわち、自動車1は、異変1が起きた時、病院への移動が適切なのか、移動せず路肩等に停車して、119番通報をし、救急車の到着を待つ方が適切なのかなどを判断する。病院への移動が適切な場合は、自動車1は、急病人に負荷のかからない最適な走行速度(例えば時速30km以下)を選択したり、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース133に道路の凹凸情報なども持たせ、急病人に極力振動を与えず、スムーズに走行できる最適なルートを、カーナビ機能部113から提供したりするようにすることもできる。また、この医学情報記憶部には、運転者又は乗車者の既往症や病歴などを記憶しておくと、異変1が起きた時に、より迅速かつ適切な対応ができる。
もちろん、疾病が特定された場合は、疾病の種類に基づいて、その専門医のいる病院、専門設備のある病院を行先とする。例えば、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞の場合は脳外科の専門医や専門設備、心筋梗塞、狭心症の場合は循環器や心臓の専門医や専門設備が揃っている病院を行先とする。
なお、運転者又は乗車者が妊婦であって、陣痛が起きた場合、人事不省、前後不覚、失神などの状態ではないし、疾病でもないが、生命に関わる緊急事態であり、異変1に準ずる。この場合、自動車1は、妊婦のかかりつけの産婦人科、産科、又は産院を行先として向かい、妊婦が無事に出産ができるようにする。かかりつけの産婦人科、産科、又は産院が現在位置から遠く、出産に間に合わない可能性がある場合は、現在位置に近い産婦人科、産科、又は産院をカーナビ機能部113の周辺検索機能により検索し、検索できた産婦人科、産科、又は産院を行先として向かうようにする。妊婦が破水した場合も同様で、かかりつけ又は最寄りの産婦人科、産科、又は産院を行先とする。
この「運転者又は乗車者の健康状態の異変1」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「行先に到着」又は「救急車が到着」したときとされる。
次に、図3の「運転者又は乗車者の健康状態の異変2」についての切替条件としては、運転者又は乗車者が人事不省、前後不覚、失神などの状態にまでは至っていないが、痙攣や喘息の発作、嘔吐などで手動運転が困難な身体的な異変が登録されている。車内状況判定部117は、画像認識部114での画像認識結果と、音声認識部116での音声認識結果とを用いて、この「運転者又は乗車者の健康状態の異変2」を判定するようにする。
この「運転者又は乗車者の健康状態の異変2」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされると共に、身体的な異変が生じても運転者又は乗車者は覚醒していることを考慮して、この実施形態では、運転者又は乗車者に対する行先の問い合わせとされている。そして、行先としては、「自宅(住所や位置情報を含む)」、「病院(病院名や住所や位置情報を含む)」、「路肩等に停車する」を、運転者等が予め選択指定していてもよいし、あるいは、自動運転モードへの切り替え時に選択指定するようにしてもよい。また、この「運転者又は乗車者の健康状態の異変2」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「行先に到着」したときとされる。
この「運転者又は乗車者の健康状態の異変2」の切替条件に合致したときには、自動運転切替条件判別部115の合致結果に基づき、制御部101は、例えば「大丈夫ですか?」という合成音声メッセージを送出して、安否を尋ねると共に、自動運転切替条件記憶部135に行先が事前登録されているときであっても、後述するように、「行先を登録地にしますか?」との問い合わせをして行先(目的地)を変更することができるようにする。これは、事前登録では「自宅」や「路肩等に停車」が選定されていても、身体的な異変の程度から病院に行くべきと運転者又は乗車者が判断する場合を考慮している。なお、この実施形態では、「路肩等に停車」が事前登録されている場合には、「119番通報しますか?」という問い合わせを行うようにすることが定められている。
行先が事前登録されていないときには、後述するように、自動運転モードへの切り替え時に、「自宅に戻りますか?」、「病院に向かいますか?」、「停車しますか?」などの行先(目的地)の問い合わせメッセージを合成音声により発生し、それぞれのメッセージに対する「はい」、「いいえ」などの運転者又は乗車者の返事を音声認識して、その認識結果に応じて行先を定めるようにする。
さらに、この実施形態では、「運転者又は乗車者の健康状態の異変2」の切替条件に対応する行先として、事前登録がなく、かつ、合成音声による問い合わせに対する応答がなかったときには、制御部101は、危険な状態と判断して、現在位置に近い救急病院又は一般病院をカーナビ機能部113の周辺検索機能により検索し、検索できた病院を目的地として当該病院に向かうようにする。なお、この場合に、病院が検索できなかったときには、路肩等に停車して、119番通報するようにする。119番通報においては、前述と同様に、自車の特徴や運転者の氏名、急病人が発生したこと、現在位置の場所名、住所などを合成音声発生部121から発生させて、119番通報内容に含めるようにする。
この「運転者又は乗車者の健康状態の異変2」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「行先に到着」又は「救急車が到着」したときとされる。
なお、異変2が起きた時についても、上述の異変1と同様、医学情報記憶部(図示せず)に記憶されている医学情報に基づいて、自動車1の制御内容、対処法、行先を決定するようにできることはもちろんである。
次に、切替条件の「運転者の居眠り」について説明する。この場合、車内状況判定部117は、画像認識部114での運転者3を撮影するカメラ107aの撮影画像の画像認識により、瞼が一定時間以上閉じたままの状態や、頭のコックリコックリなどを認識することにより、運転者の居眠りの状況を判定するようにする。
この「運転者の居眠り」の切替条件についての制御内容は、通常自動運転モードへの切り替えとされると共に、運転者を覚醒させるための呼びかけ音声(合成音声)、あるいはアラーム音やブザーの送出とされる。呼びかけ音声やアラーム音、ブザーにより、運転者が覚醒する状態に復帰することが期待できるからである。なお、呼びかけ音声等の代わりに、あるいは加えて、座席に振動を加えるようにしてもよい。
この「運転者の居眠り」の切替条件に対する行先(目的地)としては、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされる。ただし、呼びかけ音声等又は振動によっても覚醒しない場合(画像認識から判断できる)には、居眠りではなく、身体的トラブルあるいは精神的なトラブルが予想されるため、カーナビ機能部113の周辺検索機能により検索して得られる、現在位置に近い救急病院又は一般病院を行先(目的地)とする。さらに、周辺検索で病院が見つからなかった場合には、路肩等に停車して、前述したような所定の通知事項を含めた119番通報をする。
この「運転者の居眠り」の切替条件に対応する通常自動運転モードの解除条件は、自動運転モードへの切り替え時に決定された行先(目的地)が「事前設定した目的地」の場合には「手動運転操作」とされ、行先が病院等のその他の場合には「行先に到着」したときとされる。
次に、切替条件の「運転者又は乗車者の車酔い、吐き気等の体調不良」について説明する。この場合、車内状況判定部117は、画像認識部114での運転者又は乗車者の撮影画像の画像認識結果と、「気持ちが悪い」、「車に酔った」、「むかむかする」、「吐きそう」、「うっ」、「げぇー」などの音声認識部116での音声認識結果とから、「運転者又は乗車者の車酔い、吐き気等の体調不良」の状況を判定するようにする。
この「運転者又は乗車者の車酔い、吐き気等の体調不良」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。そして、行先としては、現在位置が高速道路上であれば、最寄りのPA(パーキングエリア)やSA(サービスエリア)とされ、現在位置が一般道であれば「路肩に寄せて停車」とされる。なお、「自宅に戻る」を行先として登録することもできる。また、この「運転者又は乗車者の車酔い、吐き気等の体調不良」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「行先に到着」したときとされる。
次に、切替条件の「運転者又は乗車者の便意や尿意」について説明する。この場合、車内状況判定部117は、画像認識部114での運転者又は乗車者の撮影画像の画像認識により、運転者又は乗車者がもぞもぞしている様子を判定すると共に、「トイレ」、「もれそう」、などの発声の音声認識部116での音声認識結果とから、「運転者又は乗車者の便意や尿意」の状況を判定するようにする。
この「運転者又は乗車者の便意や尿意」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。そして、行先としては、現在位置が高速道路上であれば、最寄りのPA(パーキングエリア)やSA(サービスエリア)とされ、現在位置が一般道であれば、最寄りの「コンビニ」や「ガソリンスタンド」等のトイレのある場所とされる。このトイレのある場所は、「コンビニ」や「ガソリンスタンド」等の目的地の属性により事前登録することができる。また、この「運転者又は乗車者の便意や尿意」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「行先に到着」したときとされる。
次に、切替条件の「過労運転」について説明する。この場合の切替条件は、3種の条件のいずれかとされている。第1の条件は、一人の運転者が連続して、所定時間以上、例えば2時間以上、運転を継続したこととされる。第2の条件は、一人の運転者についての1日の総運転時間が所定時間以上、例えば5時間以上となったこととされる。第3の条件は、一人の運転者が運転している状態で、1日の手動運転モードと自動運転モードとの間での切替回数が所定回数以上、例えば20回以上となったこととされる。以上のような3種の条件のいずれかが満足される状況は、運転者が過労のために、安全な運転に支障が生じる恐れがあることを考慮したものである。なお、過労の判定条件は上述の3種の条件に限らず、カメラ群107のカメラで撮影した運転者の顔の表情を画像認識し、疲労した表情か否かを判定したり、運転者の生体計測をし、その計測値から過労度合いを判定してもよい。
車内状況判定部117は、時計部120からの時間情報により、一人の運転者が連続して2時間以上、運転を継続したか、また、総運転時間が5時間を超えたかを判別することで、第1の条件又は第2の条件の切替条件の車内状況になったことを判定する。また、車内状況判定部117は、手動/自動運転モード切替制御部104からの手動運転モードと自動運転モードとの間での切替の情報を受け取り、その回数を計数することで、一人の運転者が運転している状態で、1日の手動運転モードと自動運転モードとの間での切替回数が20回以上となったことを判別することで、第3の条件の切替条件の車内状況になったことを判定する。
この「過労運転」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。そして、この「過労運転」の切替条件に対する行先としては、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。そして、この「過労運転」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「行先に到着」したときとされる。
次に、切替条件の「運転者の飲酒」について説明する。この場合、車内状況判定部117は、センサ群108に含まれる呼気センサによる運転者の呼気に含まれるアルコール濃度の検出結果から、「運転者の飲酒」の車内状況の判定を行う。また、自動車1の車内において、運転者が飲料を飲んでいるときの画像を画像認識部114で画像認識し、飲んでいる又は保持している飲料のボトルや瓶、缶が、ビール、日本酒、ワイン、ウィスキー、カクテル、焼酎などのアルコール飲料のものであるかどうかを認識し、その認識結果を受けた車内状況判定部117が、「運転者の飲酒」の車内状況の判定を行うようにする。
この「運転者の飲酒」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。そして、この「運転者の飲酒」の切替条件に対する行先としては、自動車1が走行中(赤信号停止中、踏切などの一時停止も含む)であれば、走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。なお、自動車1が駐車場や車庫などで停止状態であれば、「発進せず」としてもよいし、走行開始時に設定された目的地とするようにしてもよい。そして、この「運転者の飲酒」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「行先に到着」、あるいは、「切替条件の消滅」とされる。切替条件の消滅は、呼気センサでの運転者の呼気のアルコール濃度が所定値以下となった時、あるいは、飲酒状態から正常状態に戻るとされる時間、例えば8時間経過後とされる。
次に、切替条件の「運転者のよそ見・わき見」について説明する。この実施形態では、運転者によるよそ見やわき見が所定時間以上、例えば1分以上続くことが、切替条件とされる。車内状況判定部117は、カメラによる運転者の撮影画像の画像認識結果により、運転者がきょろきょろとしている状態の1分以上の継続と、その視線の方向とから、運転者のよそ見、わき見の車内状況を判定するようにする。運転者がきょろきょろとしている状態の1分以上の継続と、その視線の方向を考慮することにより、運転中の安全のための左右確認によるきょろきょろと区別して判定することができる。
なお、よそ見・わき見の発生しやすいシチュエーションは、以下のようなものが考えられる。
・名所・旧跡・絶景(紅葉など含む)の場所。このような場所では運転者もそれら景観や景色を見たくなり、ついつい、よそ見やわき見をしてしまい、手動運転モードでは安全性の確保ができなくなる恐れがある。
・非日常のイベント、例えばお祭りの神輿、花火、新装開店セール、など。このようなイベントは運転者も見たくなり、ついついよそ見やわき見をしてしまい、手動運転モードでは安全性の確保ができなくなる恐れがある。
・有名人、例えば著名な芸能人やスポーツ選手、また最近話題の人物など。このような有名人は運転者もつい見たくなり、ついついよそ見やわき見をしてしまい、手動運転モードでは安全性の確保ができなくなる恐れがある。
以上のようなシチュエーションを考慮して、車内状況判定部117は、カーナビ機能部113の周辺検索機能による名所・旧跡・絶景(紅葉など含む)の場所の検出を、上記の画像認識によるきょろきょろの状態の検出に加えて、「運転者のよそ見、わき見」の車内状況の判定をするようにすることができる。また、車内状況判定部117は、携帯電話機能部119を通じてインターネットにアクセスして、現在位置周辺におけるイベントの情報を検索し、上記のお祭り、花火、新装開店セールなどのイベントの開催の検出結果を、上記の画像認識によるきょろきょろの状態の検出に加えて、「運転者のよそ見、わき見」の車内状況の判定をするようにすることができる。さらに、画像情報記憶部134に、著名な芸能人やスポーツ選手、また最近話題の人物などの画像情報を記憶しておくことで、自動車1の外部を撮影するカメラからの撮影画像情報と、それらの人物の画像情報ととから、画像認識部114で、上記の著名な芸能人やスポーツ選手、また最近話題の人物の検出結果を、上記の画像認識によるきょろきょろの状態の検出に加えて、「運転者のよそ見、わき見」の車内状況の判定をするようにすることができる。
この「運転者のよそ見、わき見」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。そして、この「運転者のよそ見、わき見」の切替条件に対する行先としては、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
なお、運転者に、合成音声メッセージにより立ち寄るかどうかを問い合わせて、その回答が肯定であるときには、周辺検索で検出された当該名所・旧跡や、インターネット検索で検出されたイベント会場等を行先として提示し、運転者に、その名所・旧跡を目的地とするかどうかを決定させるようにしてもよい。又は、見物のために、路肩等に停車するようにしてもよい。
そして、この「運転者のよそ見、わき見」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「行先に到着」、あるいは、「切替条件の消滅」とされる。切替条件の消滅は、「運転者のよそ見、わき見」の状態が無くなってから所定時間例えば5分経過後とされる。あるいは、当該「運転者のよそ見、わき見」が発生した場所から所定距離、例えば500メートル以上離れた時としてもよい。
次に、切替条件の「運転者の飲食又は喫煙」について説明する。この実施形態では、運転者による飲食又は喫煙が所定時間以上、例えば3分以上続くことが、切替条件とされる。車内状況判定部117は、カメラによる運転者の撮影画像の画像認識結果により、運転者が飲食又は喫煙している状態を判定し、時計部120の時間情報に基づいて、その状態が3分以上続いたか否かにより、「運転者の飲食又は喫煙」の車内状況を判定するようにする。運転者による3分未満の短時間での飲食や喫煙は、手動運転への支障の程度が許容できる程度としている。
この場合、画像認識部114では、カメラによる運転者の撮影画像中に含まれる、おにぎり、サンドイッチ、お弁当、お菓子、アイスクリーム、水、お茶、コーヒー等を認識することで、運転者の飲食を認定することができるし、運転者が手に持つものがたばこであれば、運転者の喫煙の状態を認識することができる。ただし、この実施形態では、この「運転者の飲食又は喫煙」の切替条件については、当該切替条件に合致したときに、自動運転になってもよいという運転者からの意思表示を受け付けるようにしており、その肯定的な意思表示が設定されている場合のみ、この切替条件が有効とされる。
この「運転者の飲食又は喫煙」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。そして、この「運転者の飲食又は喫煙」の切替条件に対する行先としては、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
そして、この「運転者の飲食又は喫煙」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、「飲食又は喫煙の終了」、すなわち、「切替条件の消滅」とされる。
次に、切替条件の「運転中の周囲環境の悪化」について説明する。この実施形態では、運転中の周辺環境が、逆光の状態、薄暮(日没)の状態、悪天候(雨、雪等)で、運転者が周囲を見づらくなる状態が、切替条件とされる。車内状況判定部117は、外部を撮影するカメラからの撮影画像や温度センサ、湿度センサのセンサ検出出力に基づいて、この「運転中の周囲環境の悪化」の車内状況を判定するようにする。なお、車内状況判定部117は、運転者が声を出して「見づらい」「運転しづらい」等と叫んだことを音声認識部116で音声認識した結果を、併せて用いて、この「運転中の周囲環境の悪化」を判定するようにしてもよい。
この「運転中の周囲環境の悪化」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。なお、強制自動運転モードではなく、通常自動運転モードとしてもよい。そして、この「運転中の周囲環境の悪化」の切替条件に対する行先としては、自動車1の走行開始時に設定された目的地とされる。
そして、この「運転中の周囲環境の悪化」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、運転中の周囲環境が好転したなどの「切替条件の消滅」とされる。
次に、切替条件の「子供、ペットの行動」について説明する。この実施形態では、子供や赤ちゃんが、車内で危険な行動、例えば、座席から落ちるなどの行動をしたり、突然泣き出したりすると、運転者が気になって、その方向に振り向いたりするため、手動運転モードでは安全性の確保ができなくなる恐れがあることを考慮する。また、ペットの行動、例えば排泄行動や吠え声についても同様である。また、子供やペットが運転者の間近や運転席にいる場合も運転者が運転に集中できないため同様である。言うまでもないが、運転席に運転者がおらず、子供やペットしかいない場合は尚更危険である。そこで、この実施形態では、これらの「子供、ペットの行動」を切替条件としている。
車内状況判定部117は、運転者(運転席)や乗車者を撮影するカメラからの撮影画像の画像認識結果と、音声認識部116での音声認識結果としての上記の子供の泣き声、落下音、ペットの吠え声とから、上記の切替条件の「子供、ペットの行動」を判定するようにする。
この「子供、ペットの行動」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。そして、この「子供、ペットの行動」の切替条件に対する行先としては、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
そして、この「子供、ペットの行動」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、子供やペットの状態が通常に戻る(子供やペットが運転者の間近や運転席から離れることも含む)などの「切替条件の消滅」とされる。
次に、切替条件の「運転者による片手運転、手放し運転」について説明する。この実施形態では、運転者による片手運転の状態が継続して所定時間以上、例えば2分以上続くこと、又は運転者による手放し運転の状態が継続して所定時間以上、例えば10秒以上続くことが、切替条件とされる。車内状況判定部117は、カメラによる運転者の撮影画像の画像認識結果により、運転者が片手運転又は手放し運転している状態を判定し、時計部120の時間情報に基づいて、その状態が2分以上継続、あるいは10秒以上継続したか否かにより、「運転者による片手運転、手放し運転」の車内状況を判定するようにする。
この「運転者による片手運転、手放し運転」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。なお、この時、運転者に対しては、「片手運転、手放し運転は、危険であるため、自動運転モードに切り替えました」などという音声メッセージ、あるいはアラーム音やブザーをスピーカ138から放音して、運転者に注意を喚起するようにする。
そして、この「運転者による片手運転、手放し運転」の切替条件に対する行先としては、自動車1の走行開始時に設定された目的地とされる。また、この「運転者による片手運転、手放し運転」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、運転者が片手運転や手放し運転を止めて、「運転者の運転姿勢が正しいものとなった時」とされる。
次に、切替条件の「運転者の履物が不適切」について説明する。この実施形態では、運転者の履物が、例えば、下駄、スリッパ、ハイヒールなど、運転を誤るおそれのある履物であったり、履物を履かない裸足であったりして、運転に不適切のものである場合が切替条件とされる。
車内状況判定部117は、カメラによる運転者の撮影画像中の履物(又は足)の画像認識結果により、履物が下駄、スリッパ、ハイヒールなどの不適切なものかどうか、又は裸足のような不適切な状態かどうかを判定する。
この「運転者の履物が不適切」の切替条件についての制御内容は、強制自動運転モードへの切り替えとされる。なお、この時、運転者に対しては、「履物が運転に不適切であるので、履物を交換してください」あるいは「裸足は運転に不適切なので、靴を履いてください」という合成音声メッセージを送出し、履物の交換や着用を警告するようにする。
そして、この「運転者の履物が不適切」の切替条件に対する行先としては、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。また、この「運転者の履物が不適切」の切替条件に対応する強制自動運転モードの解除条件は、運転者が履物を適切なものに交換し、あるいは着用して、切替条件が消滅したときとされる。
なお、以上説明した自動運転切替条件記憶部135の記憶内容は、切替条件、切替後の強制自動運転内容、解除条件のそれぞれを、対応する処理プログラムとして記憶するようにするものである。なお、ユーザが後で設定する切替条件、切替後の強制自動運転内容、解除条件のそれぞれについては、上記のような切替条件、解除条件及び強制自動運転モードでの制御内容を、ユーザが記述することで、対応する処理プログラムを自動的に生成して自動運転切替条件記憶部135に記憶するようにする処理機能を自動車1の電子制御回路部10は備えるものである。
次に、第2の自動運転切替条件テーブルTBL2の例について、図6及び図7を参照して説明する。
図6及び図7の例では、切替条件は、「追い越し禁止」、「右折(左折)禁止」、「制限速度」、「信号遵守」、「踏切での一時停止」、「走行中の携帯端末の利用」などの交通法規を遵守しない運転を防止するための条件や、「横断歩道での一時停止無視」、「妨害運転」、「危険運転、無謀運転」、「急アクセル、急ブレーキ、急ハンドル」などの事故を招きやすい状態を回避して、安全運転を担保するための条件が例示されている。そして、それぞれの切替条件に対応して、切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容と、強制自動運転モードの解除条件が定められている。
なお、図3〜図7に示した切替条件は、自動運転切替条件記憶部135の記憶内容の一部であり、その他、交通法規を遵守するようにするために予め定められた種々の切替条件、及び/又は、安全運転を維持するようにするために予め定められた種々の切替条件が登録されていることは言うまでもない。また、前述したように、切替条件、切替後の強制自動運転モードや通常自動運転モードでの制御内容、解除条件は、各国毎や地域毎に登録し、切り替えるようにしてもよい。
なお、この第2の自動運転切替条件テーブルTBL2に従って、手動運転モードから強制自動運転モードに切り替える場合には、後述するように、切替条件に合致して強制自動運転モードに切り替えた後、解除条件を満足して当該強制自動運転モードを解除するまでの期間の間は行先(目的地)の設定が不要である場合がある。勿論、強制自動運転モードを継続して目的地まで自律走行する場合もあるので、その場合には、行先(目的地)の設定が必要であり、その際には、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
図6に示すように、例えば「追い越し禁止」に違反しないようにするために、当該「追い越し禁止」についての切替条件としては、
(条件1)追い越し禁止の道路標識により示される追越し禁止区間又は追い越し禁止を示す道路標示である黄色ラインの区間において、
(条件2)右折路等が無いのに、右ウインカーを起動したことを検知、又は、黄色ラインを跨ぐようにハンドル操作をして進路変更したことを検知したこと
が定められている。
(条件3)ただし、この場合に、自車の前方に走行中の車両がある場合であり、停止中の車両が左側に駐車や停車していたり、障害物が車線の左側に存在していたりしている場合は切替条件としない。
上記の(条件1)の追い越し禁止区間は、画像認識部114において、カメラ群107の内の自車の前方や側方の1〜複数個のカメラの撮像画像から、図8(A)に示す道路標識を認識すること、また、カメラ群107の内の道路面を撮影するカメラの画像から、黄色ラインを認識することで、検出することができる。
また、(条件2)の右ウインカーの起動は、前述したように、センサ群108に含まれるセンサの出力から検出することができる。また、黄色ラインを跨ぐようにハンドル操作をして進路変更したことは、手動運転操作検知部105において右ハンドル操作を検知したこと及び、自車動き解析検知部118で、カメラ群107のカメラの画像を解析することにより黄色ラインを自車が跨ぐように走行していることを検知することにより、判断することができる。そして、前方に右折路や右方向にコンビニなどの駐車可能なスペースを有する店舗等が無いことは、カメラ群107のカメラの撮像画像から、検知することができる。
さらに、(条件3)については、カメラ群107のカメラの撮像画像と、レーダー群106を用いて前方の車両が走行中か停止中かを検出することができる。すなわち、(条件3)については、周囲移動体把握部109の周囲移動体把握結果を参照することで検出することができる。
そして、この「追い越し禁止」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、「走行車線を維持して走行」とされる。また、強制自動運転モードの解除条件は、「追い越し禁止区間終了の道路標識の検出」あるいは「道路標示としての黄色ラインの消滅」の検出とされる。
以上の説明から判るように、追い越し禁止についての切替条件に合致するかどうかを監視するための条件要素の検知のために用いる条件要素検出手段としては、カメラ群107、センサ群108、手動運転操作検知部105、周囲移動体把握部109、画像認識部114、自車動き解析検知部118を用いるものである。
この追い越し禁止についての切替条件に合致することで強制自動運転モードにされたときの解除条件は、追い越し禁止区間終了、黄色ラインの消滅であるので、強制自動運転モードに切り替えられたときに、行先(目的地)の設定が必要となる場合がある。したがって、この追い越し禁止についての切替条件に合致することで強制自動運転モードにされたときには、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、強制自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
次に、例えば「右折禁止」についての切替条件としては、
(条件4)図8(B),(C),(D)に示すような指定方向外進行禁止の道路標識(規制標識)や道路標示(図示せず)により右折が禁止されている場合において、
(条件5)右ウインカーの点灯を起動したことを検知、又は、右折するようにハンドル操作をして進路変更しようとしたことを検知したこと
が定められている。
そして、この「右折禁止」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、「指定進行方向を選択して走行」とされる。また、強制自動運転モードの解除条件は、「右折禁止地点を通過」の検出とされる。
(条件4)の右折禁止は、画像認識部114において、カメラ群107の内の自車の前方や側方の1〜複数個のカメラの撮像画像から、図8(B),(C),(D)に示す道路標識を認識することで、検出することができる。
また、(条件5)の右ウインカーの起動は、前述したように、センサ群108に含まれるセンサの出力から検出することができる。また、右折するようにハンドル操作をして進路変更したことは、手動運転操作検知部105において右ハンドル操作を検知したことにより、判断することができる。
したがって、この場合の条件要素検出手段としては、カメラ群107、センサ群108、手動運転操作検知部105、画像認識部114を用いるものである。この「右折禁止」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードの解除条件は、禁止標識地点や禁止標示地点の通過であるので、行先(目的地)の設定は不要である。
また、例えば「横断歩道」についての切替条件としては、
(条件6)カメラ群107のカメラ画像から、画像認識部114で、横断歩道の道路標識(指示標識)あるいは道路標示を検出した場合において、
(条件7)カメラ群107のカメラ画像から、画像認識部114で、横断歩道を渡ろうとしている人物や横断中の人物を検出したとき、
が定められている。
そして、この「横断歩道」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、「一時停止後、横断者無しを確認し、発進」とされる。また、強制自動運転モードの解除条件は、「横断歩道を通過」の検出とされる。なお、人物の検出には、センサ群108に含まれる人感センサを併せて用いるようにしてもよい。さらに、人物でも、老人、乳幼児や学童、身体の不自由な方、ペット連れの方などの横断時は、特に安全な運転が望まれるため、より高度な画像認識で検出し、選択的に対応してもよい。
この場合の条件要素検出手段としては、カメラ群107、センサ群108、画像認識部114を用いるものである。この「横断歩道」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードの解除条件は、横断歩道の通過であるので、行先(目的地)の設定は不要である。
次に、例えば「踏切」についての切替条件としては、
(条件8)カメラ群107のカメラ画像から、画像認識部114で、踏切ありの道路標識(警戒標識)を検出した場合、あるいは、画像認識部114で、カメラの撮像画像から、実際の踏切を認識した場合
が定められている。
そして、この「踏切」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、「一時停止後、安全確認して、発進」とされる。この場合の安全確認とは、遮断機が下りていないことの検出である。また、強制自動運転モードの解除条件は、「踏切を通過」の検出とされる。
この場合の条件要素検出手段としては、カメラ群107、画像認識部114を用いるものである。この「踏切」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードの解除条件は、踏切の通過であるので、行先(目的地)の設定は不要である。
次に、例えば「制限速度」についての切替条件としては、
(条件9)センサ群108の速度検出センサで検出された自車の走行速度が、重大な危険を感じさせるような速度、例えば一般道路であれば、制限速度よりも30km/h以上オーバー、高速道路であれば、制限速度よりも40km/hオーバーとなっていることを検出した場合
が定められている。
そして、この「制限速度」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、「制限速度以下で走行」とされる。また、強制自動運転モードの解除条件は、懲罰的な意味を含めて、所定の時間、例えば30分経過後とされる。この所定の時間は、切替条件からの速度オーバーの程度によって長くするようにしてもよい。例えば、切替条件ちょうどの所定の時間が30分として、1km/hオーバーする毎に、30分ずつ加算する。この場合、5km/hオーバーすると、解除条件は3時間経過後となる。
この場合の条件要素検出手段としては、センサ群108の速度センサを用いるものである。ただし、解除条件の検知のために、時計部120を用い、強制自動運転への切替後の経過時間を計測する。この「制限速度」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードの解除条件は、30分等の所定時間の経過後であるので、当該所定時間の間に交差点や分岐点を通過することが想定されるので、行先(目的地)の設定が必要となる場合がある。したがって、この「制限速度」についての切替条件に合致することで強制自動運転モードにされたときには、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、強制自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
なお、この「制限速度」については、画像認識部114において、カメラ群107の内の自車の前方や側方の1〜複数個のカメラの撮像画像から、「制限速度」に関する道路標識や道路標示を認識することで検出することができる。
次に、図7に示す切替条件の例について説明する。すなわち、例えば「信号遵守」についての切替条件としては、
(条件10)カメラ群107のカメラの撮像画像から、自車動き解析検知部118において、信号機が赤信号を示しているのに、それを無視して停止せずに走行したことを所定の回数以上、例えば3回以上検出した場合
が定められている。
ここで、1回でも赤信号を無視して走行したときを、切替条件としてもよいが、この実施形態では、運転者によるうっかりの信号の見落としがあることを考慮して、3回以上の赤信号無視を切替条件とした。
この「信号遵守」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、故意的な信号無視に対する懲罰的な意味を込めて、当日は強制自動運転モードでのみ走行可能とした。したがって、強制自動運転モードの解除条件は、故意的な信号無視をした翌日とされる。したがって、この「信号遵守」についての切替条件に合致することで強制自動運転モードにされたときには、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、強制自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
この場合の条件要素検出手段としては、カメラ群107及び自車動き解析検知部118を用いるものである。ただし、解除条件の検知のために、時計部120を用い、当日の終了(翌日の始まり)を検出する。
次に、例えば「妨害運転」についての切替条件としては、
カメラ群107のカメラの撮像画像の自車動き解析検知部118での解析結果や、周囲移動体把握部109の把握結果から、
(条件11)走行中の他車の直前に進入、あるいは
(条件12)通行中の人又は車に著しく接近、あるいは
(条件13)幅寄せ、煽り、強引な割り込み、
を、所定の回数以上、例えば3回以上検出した場合
が定められている。この場合、条件11〜条件13の内、同じものを3回以上検出した場合に限らず、条件11〜条件13のいずれかを合計で3回以上検出した場合であってもよい。
この「妨害運転」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、妨害運転に対する懲罰的な意味を込めて、当日は強制自動運転モードでのみ走行可能とした。したがって、強制自動運転モードの解除条件は、妨害運転をした翌日とされる。したがって、この「妨害運転」についての切替条件に合致することで強制自動運転モードにされたときには、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、強制自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
この場合の条件要素検出手段としては、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108及び自車動き解析検知部118を用いるものである。ただし、解除条件の検知のために、時計部120を用い、当日の終了を検出する。
次に、例えば「危険運転、無謀運転」についての切替条件としては、
カメラ群107のカメラの撮像画像の自車動き解析検知部118での解析結果や、手動運転操作検知部105での手動運転操作の検知結果から、
(条件14)ドリフト走行やスピンターンを、所定の回数以上、例えば2回以上検出した場合
が定められている。
この「危険運転、無謀運転」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、危険運転、無謀運転に対する懲罰的な意味を込めて、当日は強制自動運転モードでのみ走行可能とした。したがって、強制自動運転モードの解除条件は、危険運転や無謀運転をした翌日とされる。したがって、この「危険運転、無謀運転」についての切替条件に合致することで強制自動運転モードにされたときには、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、強制自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
この場合の条件要素検出手段としては、手動運転操作検知部105、カメラ群107及び自車動き解析検知部118を用いるものである。ただし、解除条件の検知のために、時計部120を用い、当日の終了を検出する。
次に、例えば「急アクセル、急ブレーキ、急ハンドル」についての切替条件としては、
カメラ群107のカメラの撮像画像の自車動き解析検知部118での解析結果や、手動運転操作検知部105での手動運転操作の検知結果から、
(条件15)急アクセルあるいは急ブレーキあるいは急ハンドルを、所定の回数以上、例えば5回以上検出した場合
が定められている。この場合、急アクセル、急ブレーキ、急ハンドルの内、同じものを3回以上検出した場合に限らず、急アクセル、急ブレーキ、急ハンドルのいずれかを合計で3回以上検出した場合であってもよい。
この「急アクセル、急ブレーキ、急ハンドル」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、危険な運転に対する懲罰的な意味を込めて、当日は強制自動運転モードでのみ走行可能とした。したがって、強制自動運転モードの解除条件は、翌日とされる。したがって、この「急アクセル、急ブレーキ、急ハンドル」についての切替条件に合致することで強制自動運転モードにされたときには、自動車1の走行開始時に目的地が設定されている場合には、その設定された目的地とされ、目的地が事前に設定されていなければ、強制自動運転モードに切り替えられたときの問い合わせに応じて運転者又は乗車者により設定された目的地とされる。
この場合の条件要素検出手段としては、手動運転操作検知部105、カメラ群107及び自車動き解析検知部118を用いるものである。ただし、解除条件の検知のために、時計部120を用い、当日の終了を検出する。
次に、「走行中の携帯端末の利用」についての切替条件としては、
カメラ群107のカメラの撮像画像の画像認識結果や音声認識部116の認識結果から、
(条件16)運転者による走行中にスマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、携帯ゲーム機等の利用や、表示画面の注視等を検出した場合
が定められている。
この「携帯端末の利用」についての切替条件に付いての切替後の強制自動運転モードでの走行制御内容は、危険な運転に対する懲罰的な意味を込めて、利用中は強制自動運転モードでのみ走行可能とした。したがって、強制自動運転モードの解除条件は、利用を停止あるいは終了したときとされる。
この場合、画像認識部114は、カメラ群107の内の運転者を撮影するカメラからの撮影画像情報を解析し、この例では、特に、携帯機器、この例では、スマートフォンや携帯電話端末を手に取った所作をしたか否かを検出し、その検出結果を自動運転切替条件判別部115に供給する。また、音声認識部116は、マイクロホン137で収音した音声信号から、スマートフォンや携帯電話端末が報知する着信通知、例えば着信音、着信メロディーの検知結果や、運転者の通話音声の検知結果を自動運転切替条件判別部115に通知する。さらに、センサ群108に含まれる振動センサにより、スマートフォンや携帯電話端末が報知するバイブレーションの振動などを検知し、その検知結果を自動運転切替条件判別部115に通知する。
自動運転切替条件判別部115は、自車が走行中において、上記の画像認識部114、音声認識部116、センサ群108からの検出結果や検知結果を監視して、運転者が、スマートフォンや携帯電話端末で通話したり、メールをしたり、インターネットを通じたアクセス操作をしたりする動作をしていないかどうかや、携帯端末の表示画面を注視している動作をしていないかどうか、あるいは携帯ゲーム機で表示画面を注視したり、指を激しく動かしたりしていないかどうかを判別し、それらの法規違反の動作をしていると判別したときには、自動運転モードから強制自動運転モードに切り替えるようにする。
また、自動運転切替条件判別部115は、解除条件の判別を、画像認識部114や音声認識部115からの認識結果から、運転者による携帯端末の利用を停止又は終了したか否かより、あるいは、自車動き検知部118の出力から、自車が路肩等に停止したか否かにより行う。
なお、以上説明した自動運転切替条件記憶部135の記憶内容は、切替条件、切替後の制御内容や強制自動運転内容、行先の設定、解除条件のそれぞれを、対応する処理プログラムとして記憶するようにするものである。なお、ユーザが後で設定する切替条件、切替後の強制自動運転内容、解除条件のそれぞれについては、上記のような切替条件、解除条件及び強制自動運転モードでの制御内容を、ユーザが記述することで、対応する処理プログラムを自動的に生成して自動運転切替条件記憶部135に記憶するようにする処理機能を自動車1の電子制御回路部10は備えるものである。
以上のように、自動車1の電子制御回路部10は構成されるが、図1に示した各ブロックのうち、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、画像認識部114、強制自動運転モード切替処理部115、自車動き解析検知部118、自車動き解析検知部118、合成音声発生部121、音声入出力部122、の各処理機能は、制御部101が、ソフトウエア処理として実現することができる。
[実施形態の自動車1の電子制御回路部10の動作例]
次に、この実施形態の自動車1の電子制御回路部10の処理動作例について説明する。なお、以下に説明する電子制御回路部10の動作は、制御部101が、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、画像認識部114、自動運転切替条件判別部115、音声認識部116、自車動き解析検知部118、自車動き解析検知部118、携帯電話機能部119、合成音声発生部121、音声入出力部122、の各処理機能を、ソフトウエア処理として実現する場合として説明する。したがって、以下に説明するフローチャートの各ステップの処理は、制御部101が実行するものとして説明する。
<起動時における電子制御回路部10の動作例>
図9は、この実施形態の自動車1の電子制御回路部10の起動時における動作例を説明するためのフローチャートである。
制御部101は、自車が起動されたか否か監視し(ステップS1)、自車が起動されたと判別したときには、表示部111の表示画面を通じて、また、スピーカ138を通じた音声により、運転者や乗車者に対して目的地の設定入力を促すメッセージを送出する(ステップS2)。このときの表示部111の表示画面には、「ここでは、目的地を設定しない」を選択できるようにされている。目的地を定めずに、手動運転モードでドライブを楽しむ利用者もあるからである。
次に、制御部101は、ステップS2のメッセージに応じた運転者又は乗車者からの目的地の設定入力を受け付けたか否か判別し(ステップS3)、目的地の設定入力を受け付けたと判別したときには、受け付けた目的地を記憶する(ステップS4)。
ステップS3で、目的地の設定入力を受け付けてはいないと判別したときには、制御部101は、「目的地を設定しない」が選択されたか否か判別し(ステップS5)、「目的地を設定しない」が選択されていないと判別したときには、処理をステップS3に戻して、このステップS3以降の処理を繰り返す。また、ステップS5で、「目的地を設定しない」が選択されたと判別したときには、制御部101は、この処理ルーチンをそのまま終了する。
以上のようにして、目的地が起動時に設定され、記憶されたときには、その記憶された目的地は、手動運転用ナビ機能部200での目的地のデフォルト値となり、自動運転用ナビ機能部300では、事前設定された目的地として扱われる。
<実施形態の自動車1での運転モードの切り替え処理動作の例>
図10〜図17は、この実施形態の自動車1の電子制御回路部10の起動後における運転モードの切替処理動作例を説明するためのフローチャートである。
この実施形態の自動車1においては、起動された直後は、初期的には手動運転モードとされている。そして、起動後、自動車1の走行を開始する前に、運転者又は乗車者により通常自動運転モードへの切替操作がなされることで、通常自動運転モードに切り替えて自動車1の走行を開始することができるようにされている。また、起動後、手動運転モードで走行を開始した後、運転者又は乗車者により、通常自動運転モードに切り替えられることにより、通常自動運転モードに切り替えられる。また、起動後、手動運転モードで走行を開始した後、手動運転モードでの走行中に、上述した切替条件を監視して、切替条件に合致したときには、通常自動運転モードあるいは強制自動運転モードに切り替えられるものである。
なお、自動車1の起動直後の運転モードを、利用者(運転者又は乗車者等)が、手動運転モードと通常自動運転モードとのいずれかに選択設定することができるようにしてもよい。もちろん、利用者ごとにあらかじめ選択設定することもできる。この場合、自動車1の起動時に、カメラ群107で利用者を撮影し、画像認識部114で利用者を認識することで、その利用者があらかじめ選択設定した運転モードを利用できる。また、自動車1の運転を終了して電源をオフにしたときの運転モードを記憶しておき、次に、自動車1を起動されたときには、記憶されていた直前の運転モードとするようにしてもよい。
この実施形態では、図10に示すように、先ず、制御部101は、運転者又は乗車者により、手動運転モードの状態から通常自動運転モードへの切り替え操作がなされたか否か判別する(ステップS101)。前述したように、手動運転モードから通常自動運転モードへの切替操作は、自動車1が起動された直後の走行開始前と、手動運転モードでの走行中とがあるが、このステップS101での判別動作は、そのいずれの場合も含むものである。
このステップS101で、通常自動運転モードへの切り替え操作があったと判別したときには、制御部101は、カーナビ機能部113の自動運転用ナビ機能部300の機能を起動する(ステップS102)。なお、起動直後の運転モードが通常自動運転モードに設定されていた場合や、起動直後の運転モードとする直前の運転モードが通常自動運転モードであった場合には、ステップS101を行わずに、このステップS102が実行されるものである。
ステップS102の次には、制御部101は、切替前には手動運転用ナビ機能部200の機能が動作中であったか否か判別する(ステップS103)。そして、このステップS103で、手動運転用ナビ機能部200の機能が動作中であったと判別したときには、制御部101は、手動運転用ナビ機能部200の機能において設定されていた目的地を変更するか否かの問い合わせメッセージを、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、運転者又は乗車者に対して送出する(ステップS104)。
次に、制御部101は、このステップS104での問い合わせメッセージに対して、運転者又は乗車者が、タッチパネル112を通じて、あるいは、音声認識部116を通じて、目的地を変更する旨を回答したか否か判別する(ステップS105)。そして、このステップS105で、目的地を変更しない旨の回答をしたと判別したときには、制御部101は、手動運転用ナビ機能部200の機能において設定されていた目的地を用いて、自動運転用ナビ機能部300の経路探索部302の機能が経路探索を実行する(ステップS106)。
ステップS103で、手動運転用ナビ機能部200の機能が動作中ではなかったと判別したときには、制御部101は、起動時に記憶された目的地があるか否か判別する(図11のステップS111)。このステップS111で、起動時に記憶された目的地はないと判別したときには、制御部101は、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、目的地の設定入力を促すメッセージを、運転者又は乗車者に対して送出する(ステップS112)。
そして、制御部101は、運転者又は乗車者からのタッチパネル112あるいは音声認識部116を通じた、変更後の目的地の設定入力を受け付ける(ステップS113)。その後、制御部101は、処理を図10のステップS106に移行し、経路探索部302の機能により自動運転モード用の経路探索を実行する。
ステップS111で、起動時に記憶された目的地があると判別したときには、制御部101は、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、目的地を変更するか否かの問い合わせメッセージを、運転者又は乗車者に対して送出する(ステップS114)。
次に、制御部101は、このステップS114での問い合わせメッセージに対して、運転者又は乗車者が、タッチパネル112を通じて、あるいは、音声認識部116を通じて、目的地を変更する旨を回答したか否か判別する(ステップS115)。そして、このステップS115で、目的地を変更しない旨の回答をしたと判別したときには、制御部101は、処理を図10のステップS106に移行し、経路探索部302の機能により自動運転モード用の経路探索を実行する。
また、ステップS115で、目的地を変更する旨の回答をしたと判別したときには、制御部101は、処理を図11のステップS112に移行して、目的地の設定入力を促し、その後、ステップS113で変更後の目的地の設定入力を受け付け、その後、処理を図10のステップS106に移行し、経路探索部302の機能により自動運転モード用の経路探索を実行する。また、図10のステップS105で、目的地を変更する旨の回答をしたと判別したときには、制御部101は、処理を図11のステップS112に移行して、上述したステップS112以降の処理を行う。
図10のステップS106の次には、制御部101は、ステップS106での経路探索結果に基づいて、自動運転用制御情報を生成し、通常自動運転モードにおける自動運転用ナビの実行を開始する(ステップS107)。
次に、制御部101は、運転者又は乗車者に、自動運転用ナビにおける地図表示をするか、音声ガイダンスを要求するか、周辺情報の提供を要求する地点の登録をするかを表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、運転者又は乗車者に対して問い合わせる(ステップS108)。そして、制御部101は、ステップS108の問い合わせに対する設定入力を受け付ける(ステップS109)。
次に、制御部101は、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、運転者又は乗車者に対して、通常自動運転モードから手動運転モードへの切替レベルの選択設定の入力を促す(図12のステップS121)。そして、制御部101は、通常自動運転モードから手動運転モードへの切替レベルの選択設定を受け付け(ステップS122)、自動運転用ナビを実行する。
次に、制御部101は、ステップS122で選択設定された手動運転モードへの切替レベルに合致する切替操作がなされたか否か判別し(ステップS123)、切替操作がなされていないと判別したときには、現在位置検出部110で検出された現在位置が目的地であるか否かにより目的地に到着したか否か判別する(ステップS124)。このステップS124で、目的地に到着してはいないと判別したときには、制御部101は、自動運転用ナビを継続し(ステップS125)、その後、処理をステップS123に戻し、このステップS123以降の処理を繰り返す。
ステップS124で、目的地に到着したと判別したときには、制御部101は、電源が切られるなどして、運転停止とされたか否か判別し(ステップS126)、運転停止とされたと判別したときには、自動運転用ナビを終了して(ステップS130)、この処理ルーチンを終了する。
また、ステップS126で、運転停止とされてはいないと判別したときには、制御部101は、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、運転者又は乗車者に対して、新たな目的地の設定入力を促すメッセージを送出する(ステップS127)。そして、制御部101は、このステップS127による促しにより、目的地の設定入力を受け付けたか否か判別し(ステップS128)、受け付けたと判別したときには、処理を図11のステップS112に移行して、このステップS112以降の処理を実行する。
ステップS128で、目的地の設定入力を受け付けてはいないと判別したときには、制御部101は、手動運転モードへの切替レベルに合致する切替操作がなされたか否か判別し(ステップS129)、切替操作がなされていないと判別したときには、処理をステップS126に戻し、このステップS126以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS123で、手動運転モードへの切替レベルに合致する切替操作がなされたと判別したときには、あるいは、ステップS129で、手動運転モードへの切替レベルに合致する切替操作がなされたと判別したときには、制御部101は、手動運転モードへの切り替えを実行する(図13のステップS131)。このとき、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、運転者や乗車者に、手動運転モードに切り替えられたことを通知するようにしてもよい。
次に、制御部101は、運転者又は乗車者に、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、手動運転用ナビを開始するか否かの問い合わせをする(ステップS132)。そして、制御部101は、ステップS132の問い合わせに対して、手動運転用ナビを開始するとの回答を受けたか否か判別し(ステップS133)、手動運転用ナビを開始しないとの回答を判別したときには、処理を図10のステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
また、ステップS133で、手動運転用ナビを開始するとの回答を受けたと判別したときには、制御部101は、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、自動運転用ナビの実行中に設定されていた目的地を変更するか否か問い合わせメッセージを運転者又は乗車者に対して送出する(ステップS134)。
次に、制御部101は、ステップS133での問い合わせメッセージに対して、運転者又は乗車者が、タッチパネル112を通じて、あるいは、音声認識部116を通じて、目的地を変更する旨を回答したか否か判別する(ステップS135)。そして、このステップS135で、目的地を変更しない旨の回答をしたと判別したときには、制御部101は、手動運転用ナビ機能部200の経路探索部202の機能により、目的地を自動運転用ナビの際の目的地のままとして、手動運転モード用の経路探索を行って、手動運転用ナビ機能部200の機能を実行する(ステップS136)。
また、ステップS135で、目的地を変更する旨の回答をしたと判別したときには、制御部101は、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、目的地の設定入力を促すメッセージを、運転者又は乗車者に対して送出する(ステップS137)。
そして、制御部101は、運転者又は乗車者からのタッチパネル112あるいは音声認識部116を通じた、変更後の目的地の設定入力を受け付ける(ステップS138)。その後、制御部101は、受け付けた目的地を新たな目的地として、経路探索部302の機能により自動運転モード用の経路探索を実行し、その探索結果により、自動運転用制御情報発生部303の機能により、自動運転用制御情報を生成して、自動運転用ナビを実行する(ステップS139)。
なお、目的地を変更する場合、また、目的地を変更しない場合のいずれにおいても、手動運転用ナビ機能部200の設定受付部201では、目的地以外の上述したような、受け付け可能な設定入力項目の受け付けは行われるものである。
ステップS136又はステップS139の次には、制御部101は、現在位置検出部110で検出された現在位置が目的地であるか否かにより目的地に到着したか否か判別する(図14のステップS141)。
ステップS141で、目的地に到着したと判別したときには、制御部101は、手動運転用ナビを終了し(ステップS142)、その後、電源が切られるなどして、運転停止とされたか否か判別し(ステップS143)、運転停止とされたと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。ステップS143で、運転停止とされてはいないと判別したときには、制御部101は、処理を図10のステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
また、ステップS141で、目的地に到着してはいないと判別したときには、制御部101は、手動運転用ナビを継続する(ステップS144)。そして、制御部101は、運転者又は乗車者により、手動運転モードから自動運転モードへ切り替え操作がなされたか否か判別し(ステップS145)、切り替え操作があったと判別したときには、処理を図10のステップS102に戻し、前述したステップS102以降の処理を繰り返す。
また、ステップS145で、手動運転モードから通常自動運転モードへ切り替え操作がなされてはいないと判別したときには、制御部101は、自動運転切替条件記憶部135に記憶されている切替条件に合致する状態を検知したか否かを判別する(ステップS146)。
ステップS146で、自動運転切替条件記憶部135に記憶されている切替条件に合致する状態を検知したと判別したときには、制御部101は、処理を図15のステップS152に進め、合致した切替条件に応じて、通常自動運転モード又は強制自動運転モードに切り替える。ステップS146で、自動運転切替条件記憶部135に記憶されている切替条件に合致する状態を検知していないと判別したときには、処理をS141に戻す。
また、図10のステップS101で、通常自動運転モードへの切り替え操作はないと判別したときには、制御部101は、自動運転切替条件記憶部135に記憶されている切替条件に合致する状態を検知したか否かを判別する(図15のステップS151)。そして、このステップS151で、自動運転切替条件記憶部135に記憶されている切替条件に合致する状態を検知したと判別したときには、制御部101は、処理をステップS152に進め、合致した切替条件に応じて、通常自動運転モード又は強制自動運転モードに切り替える。
また、ステップS151で、自動運転切替条件記憶部135に記憶されている切替条件に合致する状態を検知していないと判別したときには、手動運転モードにおける手動運転用ナビの利用要求を運転者又は乗車者から受けたか否か判別する(図16のステップS161)。
このステップS161で、手動運転モードにおける手動運転用ナビの利用要求を運転者又は乗車者から受けてはいないと判別したときには、制御部101は、処理を図10のステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
また、ステップS161で、手動運転モードにおける手動運転用ナビの利用要求を運転者又は乗車者から受けたと判別したときには、制御部101は、手動運転用ナビ機能部200の設定受付部201の機能により、必要な入力項目の設定入力を受け付ける(ステップS162)。このとき、自動車1の起動時に記憶されている目的地があれば、手動運転用ナビ機能部200では、その記憶されている目的地がデフォルト値とされている。運転者又は乗車者は、目的地はこの記憶された目的地のままとしてもよいし、変更してもよい。
ステップS162の次には、制御部101は、手動運転用ナビ機能部200の経路探索部202の機能により経路探索を実行し、その経路探索結果に応じて手動運転用ナビを実行するようにする(ステップS163)。そして、このステップS163の次には、制御部101は、処理を図14のステップS141に移行して、このステップS141以降の処理を実行する。
そして、図15のステップS152の次には、制御部101は、自動運転切替条件記憶部135の記憶内容を参照して、合致した切替条件に応じた通常自動運転モード又は強制自動運転モードでは、目的地の設定が不要であるか否か判別する(ステップS153)。
このステップS153で、合致した切替条件に応じた通常自動運転モード又は強制自動運転モードでは、目的地の設定が不要な切替条件ではなく、目的地の設定が必要な切替条件であると判別したときには、制御部101は、自動運転切替条件記憶部135の記憶内容を参照して、合致した切替条件に対応して目的地は定まっているか否か判別する(ステップS154)。
このステップS154で、合致した切替条件に対応した目的地は定められていないと判別したときには、制御部101は、自動車1の起動時に記憶されている目的地が存在するか否か判別する(図17のステップS171)。
このステップS171で、自動車1の起動時に記憶されている目的地が存在すると判別したときには、制御部101は、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、目的地を変更するかどうかを、運転者又は乗車者に対して問い合わせる(ステップS172)。
次に、制御部101は、この問い合わせに対する運転者又は乗車者による目的地を変更するか否かの回答を判別する(ステップS173)。このステップS173で、目的地を変更しないとの回答を受けたと判別したときには、制御部101は、目的地を起動時に記憶していた目的地として、経路探索部302の機能により自動運転モード用の経路探索を実行する(ステップS174)。
また、ステップS171で、自動車1の起動時に記憶されている目的地は存在しないと判別したとき、また、ステップS173で、目的地を変更するとの回答を受けたと判別したときには、制御部101は、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、目的地の設定入力を促すメッセージを、運転者又は乗車者に対して送出する(ステップS175)。
そして、制御部101は、運転者又は乗車者からのタッチパネル112あるいは音声認識部116を通じた、変更後の目的地の設定入力を受け付ける(ステップS176)。その後、制御部101は、受け付けた目的地を新たな目的地として、経路探索部302の機能により自動運転モード用の経路探索を実行する(ステップS177)。
そして、制御部101は、ステップS174又はステップS177の経路探索結果に基づいて、自動運転用制御情報を生成し、自動運転用ナビを実行する(ステップS178)。
そして、図15のステップS154で、合致した切替条件に対応した目的地は定められていると判別したときには、制御部101は、定められている目的地の情報は、目的地そのものではなく、病院などの目的地属性であるか否か判別する(ステップS155)。このステップS155で、定められている目的地の情報が、目的地属性であるときには、制御部101は、携帯電話機能部119を通じてインターネットにアクセスし、当該目的地属性を用いた周辺検索を行い(ステップS156)、その周辺検索結果から目的地を確定するようにする(ステップS157)。このステップS157での目的地の確定は、運転者又は乗車者による選択を受けて行うようにしてもよいし、自動車1自身のみで行ってもよい。
このステップS157の次には、制御部101は、処理を図17のステップS177に移行させ、このステップS177以降の処理を実行する。また、ステップS155で、定められている目的地の情報が、目的地属性ではなく、目的地その者であるときにも、制御部101は、処理を図17のステップS177に移行させ、このステップS177以降の処理を実行する。
次に、ステップS178の次には、制御部101は、運転者又は乗車者に、自動運転用ナビにおける地図表示をするか、音声ガイダンスを要求するか、周辺情報の提供を要求する地点の登録をするかを表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、運転者又は乗車者に対して問い合わせる(図18のステップS181)。そして、制御部101は、ステップS181の問い合わせに対する設定入力を受け付ける(ステップS182)。
そして、ステップS182の次には、制御部101は、自動運転切替条件記憶部135の記憶内容を参照して、合致した切替条件に対応して定められている解除条件に合致する状態になったか否か判別し(ステップS183)、解除条件が合致するのを待つ。
そして、ステップS183で、解除条件に合致する状態になったと判別したときには、制御部101は、強制的に切り替えられた通常自動運転モード又は強制自動運転モードが終了した旨を、運転者又は乗車者に対して、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により通知する(ステップS184)。
次に、制御部101は、運転者又は乗車者に対して、表示部111の表示画面の表示画像を通じて、また、スピーカ138を通じた合成音声により、自車を、手動運転モードにするか、あるいは自動運転モードにするかを問い合わせ(ステップS185)、当該問い合わせに対して選択された運転モードがいずれであるかを判別する(ステップS186)。
そして、ステップS186で、手動運転モードが選択されたと判別したときには、制御部101は、処理を図13のステップS131に移行し、このステップS131以降の処理を実行する。また、ステップS186で、通常自動運転モードが選択されたと判別したときには、制御部101は、処理を図10のステップS102に移行し、このステップS102以降の処理を実行する。
そして、図15のステップS153で、合致した切替条件に応じた通常自動運転モード又は強制自動運転モードでは、目的地の設定が不要な切替条件であると判別したときには、制御部101は、処理を図18のステップS183に移行させ、このステップS183以降の処理を繰り返す。
[実施形態の効果]
以上説明した実施形態の自動車1によれば、手動運転モードから自動運転モードに切り替えられたときには、必ず、自動運転用ナビが起動されると共に、その走行の行先である目的地が設定されるように構成したので、自動車1は、運転者や乗車者が所望する目的地まで、自動運転モードによる自律走行をすることができる。
また、上述の実施形態では、運転者又は乗車者が自動車1に乗車して、起動したときに、予め目的地の設定入力を促し、その目的地の設定がなされた場合には、その目的地が記憶されて、手動運転モードから自動運転モードに切り替えられたときには、その記憶された目的地を目的地とした自動運転用ナビを実行させるようにすることができる。したがって、運転者又は乗車者は、手動運転モードから自動運転モードへの切り替え時には、目的地の設定をすることなく、自動運転モードにおける自動運転用ナビの機能の利点を享受することができるという効果を奏する。
また、上述の実施形態では、予め定められている所定の切替条件に合致するときには、手動運転モードから通常自動運転モード又は強制自動運転モードに強制的に切り替えると共に、自動運転用ナビの機能を起動して、予め設定された目的地あるいは運転者又は乗車者が設定した目的地に向けて走行させるようにしたので、運転者又は乗車者の安全性及び利便性が向上すると共に、交通法規を遵守するようにすることが可能であるので、自動車1を利用する運転者又は乗車者以外の者の対する安全性も向上する。
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態では、運転者が、手動運転モードから通常自動運転モードに切り替え操作をした場合と、自動車が、切替条件を監視して、切替条件に合致したことを検知したときに、手動運転モードから通常自動運転モード又は強制自動運転モードに切り替える場合とについて説明した。
しかしながら、上述の実施形態の自動車1は、運転者が居なくても、自動車1自身が自律走行を行うことが可能である。このため、運転者の他に乗車者(同乗者)が自動車1に乗車していている場合において、運転者が手動運転モードで自動車1を運転して走行した後、所定地点Aで運転者が降車後も、運転者以外の乗車者(同乗者)は降車せずに、別の地点Bまで移動するようにすることができる。
このような場合には、運転者が運転しているときには、手動運転モードであったので、自動車1は、運転者が降車した地点Aから、地点Bまでは、手動運転モードから通常自動運転モードに切り替えて自律走行するようにすることになる。そして、自動車1は、このようなシチュエーションを考慮して、運転者が降車した地点Aから地点Bまでも自動運転モードで自律走行することができるような処理動作を行うようにする。
図19は、以上のようなシチュエーションを考慮した場合に、上述の実施形態のような処理動作に加えて、自動車1が行うようにする処理動作の一例を説明するためフローチャートである。なお、自動車1のハードウェア構成は、図1に示したものと同様で良いものである。
すなわち、制御部101は、自車が手動運転モードの状態であるか否か判別する(ステップS201)。このステップS201で、手動運転モードの状態ではないと判別したときには、制御部101は、手動運転モードに切り替えられたか否か判別し(ステップS202)、手動運転モードに切り替えられてはいないと判別したときには、処理をステップS201に戻して、このステップS201以降の処理を繰り返す。
ステップS201で手動運転モードの状態であると判別したとき、また、ステップS202で手動運転モードに切り替えられたと判別したときには、制御部101は、自車が停車したか否か判別し(ステップS203)、自車が停車してはいないと判別したときには、処理をステップS201に戻して、このステップS201以降の処理を繰り返す。
ステップS203で、自車が停車したと判別したときには、制御部101は、自車の駆動状態を維持したままで、運転者が降車したか否か判別し(ステップS204)、運転者が降車してないないと判別したときには、処理をステップS201に戻して、このステップS201以降の処理を繰り返す。
ステップS203で、自車の駆動状態を維持したままで、運転者が降車したと判別したときには、自車に他の乗車者(同乗者)が存在するか否か判別する(ステップS205)。このステップS205で、他の乗車者は存在しないと判別したときには、制御部101は、運転者が再乗車したか否か判別して(ステップS206)、運転者が再乗車していないと判別したときには、このステップS206を繰り返して、運転者の再乗車を待つ。
ステップS206で、運転者が再乗車したと判別したときには、制御部101は、処理をステップS201に戻して、このステップS201以降の処理を繰り返す。そしてステップS205で、他の乗車者が存在すると判別したときには、制御部101は、次に説明する運転者降車後処理を実行する(ステップS207)。
図20は、ステップS207の運転者降車後処理の第1の例を説明するためのフローチャートである。この第1の例は、運転者以外の乗車者が、降車した運転者のその後の行動を了解していることを前提にしている。例えば、運転者が降車時に、他の乗車者に「すぐに戻ります」や「5分間ほど待っていて」と再乗車することを告げたり、「私はここで降ります。さようなら」や「もう戻りません」と再乗車しないことを告げたりする場合を想定している。
すなわち、この第1の例においては、図20に示すように、制御部101は、他の乗車者に、運転者の降車後の振る舞いについての問い合わせメッセージを、表示部111の表示画面を通じて、あるいは、スピーカ138を通じた音声により、送出する(ステップS211)。そして、制御部101は、この問い合わせメッセージに対する他の乗車者からの指示(タッチパネルを通じた指示、あるいは、音声認識部116で認識された指示)を受け付けたか否か判別し(ステップS212)、指示を受け付けていないと判別したときには、このステップS212の処理を繰り返して、指示を受け付けるのを待つ。
ステップS212で、他の乗車者からの指示を受け付けたと判別したときには、制御部101は、その指示は、運転者の再乗車待ちの指示であるか否か判別する(ステップS213)。このステップS213で、受け付けた指示が運転者の再乗車待ちの指示であると判別したときには、制御部101は、運転者が再乗車したか否か判別して(ステップS214)、運転者が再乗車していないと判別したときには、このステップS214を繰り返して、運転者の再乗車を待つ。
ステップS214で、運転者が再乗車したと判別したときには、制御部101は、処理を、前述した図10のステップS101に移行させて、前述したステップS101以降の処理を実行する。
そして、ステップS213で、受け付けた指示が運転者の再乗車待ちの指示ではないと判別したときには、制御部101は、走行開始指示であるか否か判別する(ステップS215)。このステップS215で、走行開始指示ではないと判別したときには、制御部101は、受け付けた指示は駆動停止指示であるか否か判別し(ステップS216)、駆動停止指示ではないと判別したときには、処理をステップS215に戻し、駆動停止指示であると判別したときには、自車の駆動を停止して(ステップS217)、この処理ルーチンを終了する。
そして、ステップS215で、起動開始指示であると判別したときには、制御部101は、手動運転モードから通常自動運転モードに切り替えて自律走行を開始するようにし(ステップS218)、その後、前述した図10のステップS102に移行して、このステップS102以降の処理を実行するようにする。
図21は、ステップS207の運転者降車後処理の第2の例を説明するためのフローチャートである。この第2の例は、運転者が、降車する前に、自動車1に対して、例えばタッチパネル112を通じて指示入力したり、あるいはマイクロホン137を通じて音声で指示入力したりすることを前提にしている。例えば、自動車1は、表示部111の表示画面に、降車する運転者が予定している振る舞いとして、この例では、「再乗車」、「降車後走行開始」、「駆動停止」の3つの指示項目を表示しておき、運転者により、その指示項目の中から選択入力させるようにする。そして、自動車1は、その選択入力に応じた運転者降車後処理を行う。なお、この例では、「降車後走行開始」の指示が選択されたときには、目的地の設定入力をも併せて行うことができるようにされている。ただし、この目的地の設定入力をしなくてもよいように構成されている。
すなわち、この第2の例においては、図21に示すように、制御部101は、運転者により降車前に選定された指示が何であるか解析して判定する(ステップS221)。そして、制御部101は、判定した指示は、運転者の再乗車指示であるか否か判別する(ステップS222)。ステップS222で、判定した指示は、運転者の「再乗車」指示であると判別したときには、制御部101は、運転者が再乗車したか否か判別して(ステップS223)、運転者が再乗車していないと判別したときには、このステップS223を繰り返して、運転者の再乗車を待つ。
ステップS223で、運転者が再乗車したと判別したときには、制御部101は、処理を、前述した図10のステップS101に移行させて、前述したステップS101以降の処理を実行する。
ステップS222で、判定した指示は、運転者の「再乗車」指示ではないと判別したときには、制御部101は、判定した指示は、「降車後走行開始」指示であるか否か判別する(ステップS224)。このステップS224で、「降車後走行開始」指示ではないと判別したときには、制御部101は、判定した指示は、「駆動停止」であることを確認して自車の駆動を停止する(ステップS225)。そして、この処理ルーチンを終了する。
また、ステップS224で、判定した指示は、「降車後走行開始」指示であると判別したときには、制御部101は、手動運転モードから通常自動運転モードに切り替えて自律走行を開始するようにし(ステップS226)、その後、目的地が設定されているか否か判別する(ステップS227)。このステップS227で、目的地が設定されていると判別したときには、制御部101は、記憶している起動時の目的地を、この設定されている目的地に書き替える(ステップS228)。
そして、ステップS227で、目的地が設定されてはいないと判別したとき、また、ステップS228の次には、制御部101は、前述した図10のステップS102に移行して、このステップS102以降の処理を実行するようにする。
以上のように、図19〜図21の例によれば、運転者が手動運転モードで自動車1を運転している状態から降車したときにおいても、自動車1は、手動運転モードから通常自動運転モードに切り替えると共に、自動運転用ナビを起動し、降車した運転者又は運転者以外の乗車者により設定入力された目的地に向かって支障なく、自律走行することができる。
なお、以上説明した上述の実施形態では、手動運転モードと自動運転モードとを有する自動車であるために、手動運転モードにおいては、ナビが動作していない場合を想定したので、自動車の起動時に目的地を事前設定しておくことで、後の目的地の設定の手間を省くようにした。しかし、自動運転モードしか有しない自動車の場合には、起動すると、自動運転モードになるので、その場合には、この発明によれば、必ず、目的地の設定の問い合わせをすることになり、敢えて起動時に目的地の設定をして記憶しておく必要はない。
上述の実施形態では、起動時に設定された目的地が記憶していても、当該記憶部の目的地を変更するか否かを運転者又は乗車者に問い合わせて、変更しないと回答された場合に、記憶部の目的地を自動運転用ナビの経路探索に用いるようにしたが、記憶部に目的地が記憶されている場合には、変更するか否かを問い合わせせずに、当該記憶部の目的地を用いて自動運転用ナビの経路探索をするようにして、自動運転モードへ切り替えた際における目的地についての運転者又は乗車者への問い合わせを省略するようにしてもよい。
なお、上述の実施形態では、主に目的地の設定、記憶、変更について説明したが、目的地に加えて、目的地への経由地についても同様に設定、記憶、変更できるものである。例えば、ステップS1において、自車が起動されたと判別したときには、ステップS2において、表示部111の表示画面を通じて、また、スピーカ138を通じた音声により、運転者や乗車者に対して目的地に応じた経由地の設定入力又は選択入力を促すメッセージを送出する。このときの表示部111の表示画面には、「ここでは、経由地を設定しない」を選択できるようにされている。経由地を定めずに、手動運転モードで目的地に向かう利用者もあるからである。
また、上述の実施形態の自動運転車では、各種データベースや各種記憶部は自車搭載で構成したが、これに限られるものではなく、クラウド上にあってもよいことはもちろんである。カメラ群107についても、自車搭載に限らず、自動車が、信号機や街灯などに設置される監視カメラからの画像を通信で入手したり、他車のカメラからの画像を車車間通信で入手したりしてもよい。レーダー群106、センサ群108についても同様に、自車搭載に限らず、ITSスポットなど外部システムや他車から通信で、レーダー情報や各種センサ情報などの入手が可能である。
また、上述の実施形態の自動車は、電気自動車の場合としたが、ガソリン車、ハイブリッド車、燃料電池車、その他の駆動方式の自動車であっても、この発明は適用可能である。
さらに、この発明は、普通自動車、軽自動車のみならず、トラック、バス、タクシー、パトカー、救急車、消防車、教習車、トラクター、ダンプカー、ショベルカー、フォークリフト、また、一人用自動車、自動二輪車、自動三輪車などであっても適用可能である。もちろん、この発明は、水陸両用車や空陸両用車(空飛ぶ車)にも適用可能である。