JP6628404B2 - シェイキング式開放型磁気シールド構造 - Google Patents

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Description

本発明はシェイキング式開放型磁気シールド構造に関し,とくに磁気シェイキングを利用して遮蔽性能を向上させた開放型磁気シールド構造に関する。
半導体製造施設等で用いる電子顕微鏡,EB露光装置,EBステッパー等の電子ビーム応用装置は,微弱な磁気変動でも電子ビームの軌道が変化して製品の品質が劣化するため,外乱磁場変動が100nT(1mG)以下に制御された磁気シールドルーム(磁気シールド空間)に設置することが求められる。従来の一般的な磁気シールド空間はPCパーマロイ等の透磁率の高い磁性体で床,壁,天井の全体を隙間なく覆う構造(密閉型磁気シールド構造)であるが,材料サイズの制約等から接合部が多くなり,接合部からの外乱磁場の浸入に伴う性能劣化が問題となっていた。これに対し,図15に示すように,簾状又はルーバー状に並べた帯状磁性板(短冊形磁性板)を用いた磁気シールド構造(開放型磁気シールド構造)5が開発されている(特許文献1参照)。
開放型磁気シールド構造5は,例えば幅50mm程度の複数の帯状磁性板2を長さ方向中心軸Cが同一面F上に平行に並ぶように所要の板厚方向間隔dで積み重ねてシールド簾体3とし(図15(A)参照),複数のシールド簾体3a,3b,3c,3dを対応する端縁の接合部9の重ね合わせにより磁気的に接合して環状に閉じた帯状磁性板(以下,環帯状磁性板という)10を形成し,複数の環帯状磁性板10によって磁気シールド対象空間を囲んだものである(図15(B)参照)。環帯状磁性板10の適切な間隔dを設計することにより,磁気シールド対象空間に開放性(透視性,透光性,放熱性)を与えつつ,環帯状磁性板10(磁性体回路)に磁束を集中させて間隔dからの磁束の侵入及び漏洩(性能劣化)を小さく抑えることができる。また,接合部9で磁気的連続性が確保しやすいことから,性能劣化が少なく,所期性能を発揮することが容易な構造となっている。更に,安全率を小さく抑え,従来の密閉型磁気シールド構造に比して使用する材料を減らすことができるため,コストダウンにも繋がる利点を有している。
また開放型磁気シールド構造5は,外乱磁場の周波数が高くなると環帯状磁性板10の断面に流れる渦電流によって磁気シールド性能が劣化しうるが,環帯状磁性板10(磁性体回路)に銅板やアルミニウム板等の環帯状導体(導体回路)を付加して導体シールド効果を重畳することにより,200Hz程度までの外乱磁場(交流磁場)においても直流磁場と同等以上の遮蔽性能を発揮することができる(特許文献2参照)。すなわち,環帯状磁性板で構成された開放型磁気シールド構造5,或いは必要に応じて導体回路を付加した開放型磁気シールド構造5により磁気シールド空間を構築すれば,環境磁気ノイズ(外乱磁場変動)を効率的に100nT以下にまで遮断し,電子ビーム応用装置等を設置するに相応しい磁気環境(磁気シールド空間)を提供することができる。
他方,医療施設や研究施設で用いるSQUID(超電導量子干渉素子)応用装置は,脳や心臓の活動に伴い発生する超微弱な脳磁波,心磁波等の磁場を測定するため,設置空間を1nT以下の磁気環境に制御することが求められる。このような超高度な磁気環境を得る手段として磁気シェイキングが提案されている(特許文献3,4,非特許文献1参照)。磁気シェイキングとは,周期的に変動する磁場(シェイキング磁場)を磁性体に印加して磁性体内部で磁束を揺らすことにより磁性体の磁気特性(実効的な透磁率)を向上させる手法である。例えば特許文献3は,比較的低コストで製造できる厚さ20μm以上500μm以下のフィルム(又はリボン)状のアモルファス磁性薄帯材で密閉型磁気シールド構造を構成し,磁気シェイキングによってパーマロイ並みの性能を得たことを報告している。
磁気シェイキングでは,磁性体内部で磁束を揺らす(シェイキングする)ため,磁性体の磁化容易方向の軸の周りにほぼ垂直にシェイキングコイルを巻き,遮蔽したい環境磁気ノイズの周波数成分fnよりも高い周波数fの電流(シェイキング電流)を印加してシェイキング磁場を発生させる。例えば特許文献4の開示する密閉型磁気シールド用の磁気シールド部材40は,図16に示すように,基材41の表面上にリボン状の8本のアモルファス磁性薄帯42aを長手方向が縦方向で平行となるように所定間隙で配列し,その表面上にリボン状の8本のアモルファス磁性薄帯42bを長手方向が横方向で平行となるように所定間隙で配列し,井桁配置の磁性薄帯42a,42bの所定間隙に表裏を縫うようにシェイキングコイル43を巻き付ける。図示例のコイル43は,入力端子44と出力端子45との間を16の部分に分け,図16(B)に示すように奇数の部分で表面を通過させると共に偶数の部分で裏面を通過させることにより,磁性薄帯42a,42bの何れの長手方向に対してもほぼ垂直方向に巻き付けられている。
国際公開2004/084603号パンフレット 特開2014−086647号公報 特開平3−066839号公報 特開2013−197290号公報 特開2006−135116号公報
中小企業庁「平成24年度戦略的基盤技術高度化支援事業『高性能磁気シールド装置用磁性材料の熱処理技術開発』研究開発成果等報告書」平成25年3月,インターネット<http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2010/22131316088.pdf>
しかし,従来の磁気シェイキングには,磁性体内部をシェイキングするための印加磁場(シェイキング磁場)が磁気シールド空間へ漏洩してしまう問題点がある。例えば図16の磁気シールド部材40において,シェイキングコイル43が表面及び裏面の両側に隣接平行している部分ではコイル外側の磁場が打ち消されるので磁気シールド空間への漏洩をある程度抑制できるが,シェイキングコイル43が表面又は裏面の方側のみに配置される周縁部分ではコイル外側の磁場(シェイキングノイズ)が磁気シールド空間に漏洩する。また,シェイキング効果を高めるためには磁性体の内部を均等にシェイキングすることが望ましいにも拘わらず,図16の磁気シールド部材40では,磁性薄帯42a,42bにそれぞれ長手方向のシェイキング磁場と他方の長手方向と交差する向きのシェイキング磁場とが同時に印加されるので,各磁性薄帯42a,42bの内部が均等にシェイキングされない問題点もある。
シェイキングノイズの漏洩を防止するため,例えば非特許文献1は,シェイキングコイルを巻き付けたアモルファス層の内側をアルミニウム層で被覆し,更にアルミニウム層の内側を磁気シェイキングのないアモルファス層で被覆する3層構造を提案している。ただし,このような3層構造の対策によっても磁気シールド空間の内壁付近において10nTを超えるシェイキングノイズが計測されている。また,3層構造のようなノイズ対策は,磁気シールドの施工コストの高騰に繋がる問題点もある。1nT以下の磁気シールド空間を磁気シェイキングによって実現するためには,磁性体内部を均等にシェイキングすると共に,シェイキングノイズを低減することが必要である。
そこで本発明の目的は,シェイキングノイズの漏洩を小さく抑えることができるシェイキング式開放型磁気シールド構造を提供することにある。
図1の実施例を参照するに,本発明によるシェイキング式開放型磁気シールド構造は,磁気シールド対象空間1を貫く第1方向軸Azと所定間隔dzで交差する複数段の平行な平面Pz1,Pz2,……上にそれぞれ対象空間1を所定帯幅Wで囲むように設けた環帯状磁性板10の群,環帯状磁性板10の各段にそれぞれ環状軸に沿って所定ピッチTで且つ隣接する段毎に逆の右巻き又は左巻きとなるように巻き付けた導線コイル20,及び導電コイル20の各段に同じ向きで所定周波数のシェイキング電流を印加する各段に共通のコイル駆動手段30を備え,導電コイル20内側の発生磁場により環帯状磁性板10の群を磁気シェイキングすると共に導電コイル10外側の漏洩磁場が打ち消されるように各段の導電コイル10の所定ピッチTを設定してなるものである。
望ましい実施例では,図1及び図10に示すように,導線コイル20の各段に平行配置の入出力ライン20a,20bを含め,入出力ライン20a,20bの漏洩磁場を逆向きの入出力電流により打ち消す。必要に応じて,図13(D)及び(E)に示すように,導線コイル20の各段の入出力ライン20a,20bを収容するスリット23付き磁気シールド筒体22を設けることができる。
本発明によるシェイキング式開放型磁気シールド構造は,磁気シールド対象空間1を貫く第1方向軸Azと所定間隔dzで交差する複数段の平行な平面Pz1,Pz2,……上にそれぞれ対象空間1を所定帯幅Wで囲むように環帯状磁性板10の群を設け,環帯状磁性板10の各段にそれぞれ環状軸に沿って導線コイル20を所定ピッチTで且つ隣接する段毎に逆の右巻き又は左巻きとなるように巻き付け,導電コイル20の各段に同じ向きで所定周波数のシェイキング電流を印加して導電コイル20内側の発生磁場により環帯状磁性板10の群を磁気シェイキングすると共に,導電コイル10外側の漏洩磁場が打ち消されるように各段の導電コイル10の所定ピッチTを設定するので,次の有利な効果を奏する。
(イ)環帯状磁性板10の各段に軸方向に沿って導線コイル20を巻き付け,環帯状磁性板10の軸方向の周りに同じ大きさでほぼ逆向きの電流を点対称で流すことにより,環帯状磁性板10の内側に軸方向に沿った均等なシェイキング磁場を発生させつつ導線コイル20の外側の漏洩磁場(シェイキングノイズ)を打ち消して低減することができる。
(ロ)環帯状磁性板10の内側に環状軸に沿った均等なシェイキング磁場を発生させることにより,磁性体内部の磁束を均等に揺らして磁気特性を効率的に向上させることができる。
(ハ)また,導線コイル20のピッチTを短くし,環帯状磁性板10の軸方向に対するコイル20の電流の交差角度を直角に近付けることにより,環帯状磁性板10の内側磁場の有効成分を高めると同時に導線コイル20の外側磁場の打ち消し率を高めることができる。
(ニ)導線コイル20のピッチTを短くすることでシェイキング磁場を小さな電流量で発生させることが可能となり,所要のシェイキング磁場を発生させる最小の電流量を設定することにより,導線コイル20の外側の漏洩磁場(シェイキングノイズ)を更に低減することができる。
(ホ)また,環帯状磁性板10の隣接する段毎に導線コイル20の巻き付けの向き又はシェイキング電流の向きを逆向きとし,隣接する段から漏洩する逆向きの磁場を相互に打ち消すことにより,磁気シールド空間へ漏洩する磁場(シェイキングノイズ)を更に低減することができる。
(へ)環帯状磁性板10の内部の磁束を均等に揺らして磁気特性を効率的に向上させると共に,磁気シールド空間へ漏洩する磁場(シェイキングノイズ)を小さく抑えることにより,開放型磁気シールド構造の遮蔽性能を確実且つ大幅に向上させることができる。
以下,添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
環帯状磁性板10の各段にそれぞれ導線コイル20を所定ピッチTで連続的に巻き付けた本発明によるシェイキング式開放型磁気シールド構造の実施例の説明図である。 環帯状磁性板10の各段にそれぞれ導線コイル20を所定ピッチT間隔で相互に独立させて取り付けたシェイキング式開放型磁気シールド構造の説明図である。 図1の磁気シールド構造のシェイキング電流による評価対象域Rの漏洩磁場分布を示す実験結果である。 図2の磁気シールド構造のシェイキング電流による評価対象域Rの漏洩磁場分布を示す実験結果である。 環帯状磁性板10の複数段に跨って導線コイル20を所定ピッチT間隔で相互に独立させて取り付けたシェイキング式開放型磁気シールド構造の説明図である。 図5の磁気シールド構造のシェイキング電流による評価対象域Rの漏洩磁場分布を示す実験結果である。 環帯状磁性板10の複数段に跨って導線コイル20を所定ピッチTで連続的に巻き付けたシェイキング式開放型磁気シールド構造の説明図である。 図7の磁気シールド構造のシェイキング電流による評価対象域Rの漏洩磁場分布を示す実験結果である。 導線コイル20の所定ピッチTの違いに応じた本発明のシェイキング式開放型磁気シールド構造の漏洩磁場の変化を示す実験結果である。 本発明によるシェイキング式開放型磁気シールド構造の他の実施例の説明図である。 磁気シールド対象空間の周囲に入れ子状に配置する3層のシェイキング式開放型磁気シールド構造5x,5y,5zの説明図である。 図11のシェイキング式開放型磁気シールド構造5yに対するシェイキング電流の印加方法の説明図である。 図11のシェイキング式開放型磁気シールド構造5zに対するシェイキング電流の印加方法の一例の説明図である。 図11のシェイキング式開放型磁気シールド構造5zに対するシェイキング電流の印加方法の他の一例の説明図である。 従来の開放型磁気シールド構造の説明図である。 従来のシェイキングを利用した磁気シールド部材の説明図である。
図1は,磁気シールド対象空間1(例えば磁気シールドルーム)の周囲に配置する本発明のシェイキング式開放型磁気シールド構造の実施例を示す。図1(A)の開放型磁気シールド構造5zは,対象空間1の中心点Oを貫く第1方向軸Azと所定間隔dzで交差する複数の平行な平面Pz1,Pz2,……上にそれぞれ所定帯幅Wで空間を囲む環帯状磁性板10を配置し,図15(B)と同様に複数の環帯状磁性板10によって磁気シールド対象空間1を囲んだものである。図1(B)は開放型磁気シールド構造5zのXY平面と平行な平面図を示し,図1(C)は開放型磁気シールド構造5zのYZ平面と平行な断面図を示す。図示例では,各環帯状磁性板10の中心軸である第1方向軸Azを鉛直方向軸(Z軸)としているが,方向軸Azは外来磁場の到来方向に応じて適宜選択可能であり,図11(B)及び(C)に示すように,対象空間1を貫く水平なX軸又はY軸とすることができる。また,図示例では環帯状磁性板10を設ける各平面Pzを第1方向軸Azと直交させているが,交差角度を直交以外とすることも可能である。
環帯状磁性板10は,例えば図15(A)に示すように,第1方向軸Azと交差する平面Pzと対象空間の内面との交差線に沿って,帯幅Wで適当な長さの複数の帯状導体板2を端縁の重ね合わせによって平らな多角形状(例えば井桁状)に接合することにより作成する。環帯状磁性板10は,磁気シェイキングにより磁気特性の向上が期待できる磁性体を用いて作成することができ,例えばコバルト系及び鉄系アモルファス,パーマロイ,電磁鋼板等とするが,とくに微弱磁場領域での透磁率が他と比べて格段に高いコバルト系アモルファスとすることが望ましい。一般にコバルト系アモルファスは,最大50mm程度の幅の薄帯状磁性板として提供され,それ以上の広幅材料は提供されていないので,密閉型磁気シールド構造では図16のように複数のアモルファス薄帯を平行に配列して磁気シールド面を形成する手間がかかるが,開放型磁気シールド構造では薄帯状磁性板をそのまま用いて環帯状磁性板10を形成できるので,開放型磁気シールド構造に適した磁性体ということができる。
図示例の磁気シールド構造は,開放型磁気シールド構造5zの各段の環帯状磁性板10にそれぞれ環状軸に沿って巻き付けた導線コイル20(図1(B)及び(C)参照)と,その導線コイル20に所定周波数のシェイキング電流を印加するコイル駆動装置30とを有する。各段の環帯状磁性板10(磁性体回路)に巻き付けた導線コイル20は,環帯状磁性板10の環状軸と交差する断面(磁性体回路の断面)の重心に対して点対称の位置にシェイキング電流を流すので,導線コイル20の内側に環帯状磁性板10の軸方向に沿った均等なシェイキング磁場を発生させ,環帯状磁性板10の内部の磁束を均等に揺らして磁気シェイキング効果を効率的に発揮させることができる。このように磁性体内部の磁束を均等に揺らすことが比較的容易であることから,開放型磁気シールド構造では密閉型磁気シールド構造に比して磁気シェイキングによる遮蔽性能の大幅な向上が期待できる。また,各段の磁性体回路の軸方向に沿って巻き付けた導線コイル20は,導線コイル20の外側に漏洩する磁場(シェイキングノイズ)を十分に相殺できることが期待できる。
[実験例1]
開放型磁気シールド構造5zの各段の環帯状磁性板10にそれぞれ導線コイル20を巻き付けた場合の漏洩磁場(シェイキングノイズ)を確認するため,図2に示すようなモデル実験を行った。本実験では,図2(A)に示すように幅50mm,長さ1000mm,厚さ5mmの帯状磁性板4枚を井桁状に接合して外形1000mmの環帯状磁性板10(磁性体回路)を構成し,その環帯状磁性板10を所定間隔dz=200mmで5段配置して開放型磁気シールド構造5zを形成し,各段の環帯状磁性板10にそれぞれ環状軸と直角方向に導線コイル20を所定ピッチTで巻き付けてシェイキング電流(周波数200Hz)を印加した。図2(B)はこの開放型磁気シールド構造5zのXY平面と平行な平面図を示し,図2(C)はこの開放型磁気シールド構造5zのYZ平面と平行な断面図を示し,図2(D)は図2(B)の楕円D部分を拡大したコイル電流の模式的平面図を示し,図2(E)は環帯状磁性板10の環状軸方向から見たコイル電流の模式的側面図を示す。この場合の導線コイル20は,図2(B)及び(D)に示すように相互に連続しておらず,所定ピッチT間隔の巻き付け位置毎に相互に独立した閉回路を想定した。図2(C)及び(E)に示す各コイル(以下,1段コイルということがある)20は,発生する磁場の相殺効果を考慮して,磁性体回路の断面の重心に対して点対称の位置に配置されており,断面の大きさは50mm×5mmである。
また,比較のため,図5に示すように開放型磁気シールド構造5zの5段の環帯状磁性板10(磁性体回路)にまとめて導線コイル20を所定ピッチTで巻き付けてシェイキング電流(周波数200Hz)を印加する実験を行った。図5に示す各コイル(以下,5段コイルということがある)20も相互に連続しておらず,所定ピッチT間隔の巻き付け位置毎に相互に独立した閉回路を想定し,断面の大きさは50mm×805mmである。図2の1段コイルと図5の5段コイルとにそれぞれシェイキング電流を印加し,コイル内側の発生磁場とコイル外側の漏洩磁場とをそれぞれ数値シミュレーション(三次元非線形磁場解析)により求めた。
なお本実験では,図2の1段コイルと図5の5段コイルとで磁性体回路のシェイキング強度を揃えるため,環帯状磁性板10の内部に誘起される磁束密度が一致するように1段コイル及び5段コイルのシェイキング電流を設定した。すなわち,図2の1段コイルに1Aのシェイキング電流を印加したときの各段の磁性体回路の辺中央の磁束密度は19.6mTであるのに対し,図5の5段コイルに1Aのシェイキング電流を印加したときの各段の磁性体回路の辺中央の磁束密度は,1段目及び5段目では38.7mT,2段目〜4段目では57.8mTとなり,何れも1段コイルより大きくなった。これは5段コイルが各段の磁性体回路の間に跨っており,電流路が長いことに起因する。そのため,2段目〜4段目の磁束密度が1段コイルの19.6mTと一致するように,5段コイルに印加するシェイキング電流の電流値を0.339Aと設定した。
図4(A)及び(B)は,図2の1段コイル外側の漏洩磁場を,図2(B)及び(C)に示す開放型磁気シールド構造内側の評価対象域Rの磁場分布のコンター図・ベクトル図として表したものである。また図6(A)及び(B)は,図5の5段コイル外側の漏洩磁場を評価対象域Rの磁場分布のコンター図・ベクトル図として表したものである。なお,図4及び図6はそれぞれ磁性体回路が存在しないコイルのみを配置した場合の漏洩磁場を示しており,磁性体回路が存在する場合は,シェイキング電流により磁化された磁性体から発生する磁場が重畳されるため評価対象域Rの磁場分布は大きくなる。ただし,磁性体の種類,厚さ(積層枚数),大きさなどにより重畳される値は様々に変わるため,シェイキングコイルから発生する磁場のみを評価するためには,磁性体回路のないコイルのみの漏洩磁場を考慮することが有効である。
1段コイルの作る図4の磁場分布と,5段コイルの作る図6の磁場分布とを比較すると,1段コイルのほうが1/13程度小さくなっていることが分かる。また,いずれの場合も,漏洩磁場は水平成分のみであり,垂直方向の磁場は殆ど漏洩していないことが分かる。この理由は,図2(D)及び(E)に示すコイル電流の模式図から分かるように,コイルに流れる電流Ia,Ib,Ic,Idは磁性体回路の断面の重心に対して点対称の位置(環状軸方向から見て点対称の位置)にあり,同じ大きさで方向が異なるため,電流Ia及びIcから発生する磁場(垂直成分)は打ち消し合ってゼロとなり,電流Ib及びIdから発生する磁場(水平成分)のみが評価対象域Rに漏洩するからである。5段コイルは,電流値は小さいにも拘わらず,磁場の水平成分を誘起する垂直電流路が長いため,漏洩磁場が大きくなっている。もっとも垂直方向の漏洩磁場についても,コイル近傍(評価対象域Rの周縁)では比較的大きいが,コイルから離れるに従って打ち消し合う効果が高まり,評価対象域Rの中心部(磁気シールド対象空間の中心部)では一気に小さくなっている。
図4及び図6の磁場分布の比較から,図2のように開放型磁気シールド構造5zの各段の環帯状磁性板10にそれぞれ環状軸に沿って導線コイル20を巻き付けてシェイキング電流を印加することにより,導線コイル20の外側に漏洩する磁場(シェイキングノイズ)を十分に低減できることが分かる。密閉型磁気シールド構造をシェイキングする場合は図5と同様の5段コイルが必要であることから,開放型磁気シールド構造は密閉型磁気シールド構造に比して磁気シェイキングの漏洩磁場を小さくできる利点があるといえる。また,図2(E)に示すように,磁性体回路の軸方向から見て点対称の位置に巻き付けた1段コイルは,磁性体回路の内部に軸方向に沿ったシェイキング磁場のみを発生させるので,環帯状磁性板内部の磁束を均等に揺らせることが分かる。
図2のモデル実験では,環帯状磁性板10の所定ピッチTの巻き付け位置毎に独立した閉回路コイルを巻き付けているが,実際の開放型磁気シールド構造5zの環帯状磁性板10をシェイキングする場合は閉回路コイルとすることはあり得ず,図1のように各段の環帯状磁性板10の環状軸に沿って所定ピッチTで連続的に導線コイル20に巻き付けることになる。図1では,開放型磁気シールド構造5zの5段配置の環帯状磁性板10にそれぞれ同じ右巻き又は左巻きとなるように1本の導線コイル20を連続的に巻き付け,そのコイル20の一端及び他端を入出力ライン20a,20bに接続し,交流電源であるコイル駆動装置30から入出力ライン20a,20bにシェイキング電流を印加している。
図1の開放型磁気シールド構造5zの磁気シェイキングでは,各段の磁性体回路に巻き付けたコイル20と共に入出力ライン20a,20bからの磁場の漏洩も問題となりうるが,図示例のように入出力ライン20a,20bを隣接させて平行に配置することにより,入出力ライン20a,20bの発生磁場を逆向きの入出力電流によって打ち消して漏洩磁場を小さく抑えることができる。必要に応じて出力ライン20a,20bを撚ることにより打ち消し効果を高めることも有効である。ただし,導線コイル20は,図示例のように複数段の環帯状磁性板10に連続的に巻き付ける必要はなく,少なくとも1つの段において連続していれば足りる。その場合は,段毎にコイル駆動装置30を設けて段毎の導線コイル20にシェイキング電流を個別に印加する。
[実験例2]
図1のように各段の環帯状磁性板10の環状軸に沿って所定ピッチTで連続的に導線コイル20に巻き付けた場合の漏洩磁場(シェイキングノイズ)を確認するため,上述した実験例1と同様に外形1000mmの環帯状磁性板10(磁性体回路)を所定間隔dz=200mmで5段配置して開放型磁気シールド構造5zを形成し,図1(B)及び(C)に示すように5段の環帯状磁性板10の環状軸方向にそれぞれ所定ピッチT(100mm幅で1ターン,環帯状磁性板の各辺(900mm)で9ターン)で連続的に導線コイル20を巻き付けてシェイキング電流(周波数200Hz)を印加し,コイル内側の発生磁場とコイル外側の漏洩磁場とをそれぞれ数値シミュレーションにより求める実験を行った。図1(B)はこの開放型磁気シールド構造5zのXY平面と平行な平面図を示し,図1(C)はこの開放型磁気シールド構造5zのYZ平面と平行な断面図を示し,図1(D)は図1(B)の楕円D部分を拡大したコイル電流の模式的平面図を示し,図1(E)は環帯状磁性板10の環状軸方向から見たコイル電流の模式的側面図を示す。
また,比較のため,図7に示すように開放型磁気シールド構造5zの5段の環帯状磁性板10(磁性体回路)にまとめて導線コイル20を所定ピッチT(100mm幅で1ターン,環帯状磁性板の各辺(900mm)で9ターン)で連続的に巻き付けてシェイキング電流(周波数200Hz)を印加し,コイル内側の発生磁場とコイル外側の漏洩磁場とをそれぞれ数値シミュレーションにより求める実験を行った。環帯状磁性板10の内部に誘起される磁束密度を実験例1(図2の1段コイルの場合)と揃えるため,図1の1段コイルに印加するシェイキング電流の電流値を1.414Aと設定し,図7の5段コイルに印加するシェイキング電流の電流値は0.339Aと設定した。
図3(A)及び(B)は,図1の1段コイル外側の漏洩磁場を,開放型磁気シールド構造内側の評価対象域Rの磁場分布のコンター図・ベクトル図として表したものである。また図8(A)及び(B)は,図7の5段コイル外側の漏洩磁場を評価対象域Rの磁場分布のコンター図・ベクトル図として表したものである。図3及び図8も,実験例1の図4及び図6の場合と同様に,磁性体から発生する磁場の重畳を避けるため,磁性体回路が存在しないコイルのみを配置した場合の漏洩磁場を示している。
1段コイルの作る図3の磁場分布と,5段コイルの作る図8の磁場分布とを比較すると,何れも漏洩磁場は垂直成分が支配的であり,1段コイルのほうが30倍程度大きくなっていることが分かる。この理由は,図1(D)及び(E)に示すコイル電流の模式図から分かるように,コイルに流れる電流Ia,Icは同じ大きさであるがXY平面上で方向が異なっているため,発生する磁場の垂直成分を打ち消し合う効果が不十分となるからである。図8の5段コイルでは,電流Ia,Icが離れているのである程度の打ち消し効果が見られるが,図3の1段コイルでは漏洩磁場の垂直成分が大きくなっている。なお,コイルに流れる電流Ib,IdもY軸方向で位置がずれているが,漏洩磁場(水平成分)への影響は比較的小さい。
図3及び図8の磁場分布の比較から,開放型磁気シールド構造の磁性体回路に所定ピッチT(100mm幅で1ターン)で連続的に導線コイル20を巻き付けてシェイキング電流を印加した場合は,図7の5段コイルの漏洩磁場よりも図1の1段コイルの漏洩磁場が大きいことが分かる。すなわち,図1のように環帯状磁性板10の環状軸方向から見て点対称の位置にシェイキング電流を流す1段コイルは,環帯状磁性板10の内部の磁束を均等に揺らして磁気シェイキング効果を効率的に発揮させるために有効であるが,シェイキング電流に伴う漏洩磁場(シェイキングノイズ)によって磁気環境が劣化することが懸念される。
[実験例3]
図1のように各段の環帯状磁性板10の各辺に所定ピッチTで連続的に導線コイル20に巻き付けた開放型磁気シールド構造5zにおいて,図1(D)及び(E)に示す所定ピッチTの導線コイル20のコイル電流Ia,Icを,図2(D)及び(E)に示す導線コイル20のコイル電流Ia,IcのようにXY平面上で近付ければ,図1の1段コイル20の作る図3の磁場分布を,図2の1段コイル20の作る図4の磁場分布に近付けて漏洩磁場を低減することが期待できる。そこで,図1の環帯状磁性板10の各辺(900mm)に連続的に巻き付ける導線コイル20の所定ピッチTを,(a)100mm(900mm幅で9ターン),(b)50mm(900mm幅では18ターン),(c)20mm(900mm幅では45ターン),(d)10mm(900mm幅では90ターン)と変えながら,評価対象域Rの漏洩磁場を数値シミュレーションにより順次求める実験を繰り返した。
導線コイル20の所定ピッチTに拘わらず,環帯状磁性板10の内部に誘起される磁束密度を実験例1(図2の1段コイルの場合)と揃えると,(a)所定ピッチT=100mmのときはシェイキング電流の電流値を1.414A,(b)50mmのときは1.118A,(c)20mmのときは1.020A,(d)10mmのときは1.005Aとなる。また,所定ピッチTを小さくするとターン数(巻き数)が多くなるので,ターン数の増加に応じてシェイキング電流の電流値を小さくすることにより,シェイキングノイズの漏洩を更に低減することが期待できる。
一般に環帯状磁性板10の内部をシェイキングするために必要なシェイキング電流(励磁電流)は,巻き付けた導線コイル20の電流値(A)×ターン数(T)=アンペアターン(AT)で表すことができる。そこで本実験では,導線コイル20の所定ピッチTに拘わらず,ターン数を考慮してアンペアターン(AT)が実験例1(図2の1段コイルの場合)と一致するように,(a)所定ピッチT=100mmのときはシェイキング電流の電流値を1.414A,(b)50mmのときは0.559A,(c)20mmのときは0.204A,(d)10mmのときは0.100Aに設定した。本実験の結果を表1,及び図9のグラフに示す。
表1の1段コイル(連続)の漏洩磁場の平均値欄は,図1の導線コイル20の所定ピッチTを100mm,50mm,20mm,10mmと切り替えたときの評価対象域Rの漏洩磁場の水平面における平均値,及び垂直面における平均値の変化をそれぞれ示している。また図9は,水平面における漏洩磁場の水平成分,垂直成分,及び両者を合成した漏洩磁場の平均値の変化をグラフで表している。図9(B)及び(C)のグラフから分かるように,図1の1段コイルのつくる漏洩磁場の垂直成分は,図7の5段コイルのつくる漏洩磁場の垂直成分よりも大きいが,1段コイルの所定ピッチTを小さく(ターン数を大きく)するとコイル電流Ia,IcがXY平面において接近するので(図1(D)及び(E)参照),漏洩磁場の打ち消し率を高めて垂直成分を低減することができる。
表1及び図9のグラフから,磁気シールド空間1を囲む環帯状磁性板10の各段に軸方向に沿って導線コイル(1段コイル)20を所定ピッチTで巻き付け,導線コイル20外側の漏洩磁場が打ち消されるように導線コイル20の所定巻き付けピッチTを設定することにより,環帯状磁性板10の内部の磁束を均等に揺らして磁気特性を効率的に向上させると同時に,磁気シールド空間1への漏洩磁場(シェイキングノイズ)を小さく抑えられることが分かる。ただし,1段コイルの所定ピッチTを10mmにまで小さくしても,漏洩磁場は所定ピッチが100mmの5段コイルよりも小さくならないので,漏洩磁場を更に低減するためにはピッチの設定以外の対策が求められる。
もっとも,表1及び図9のグラフは図1のモデル実験による漏洩磁場のシミュレーション結果であり,モデルが異なれば漏洩磁場も異なってくる。図1のモデル実験は比較的小型であるため漏洩磁場が大きくなっているが,磁気シールド空間1の大きさが変わると距離減衰効果によって漏洩磁場は低下し,通常の医療施設や研究施設の磁気シールドルームのサイズまで大きくすると漏洩磁場は大幅に低下するものと考えられる。すなわち,設計条件及び要求性能に応じて導線コイル20の所定ピッチTを適切に設定すれば,本発明のシェイキング式開放型磁気シールド構造は十分に実用化可能である。
[実験例4]
上述したように,図1のように磁気シールド空間1を囲む環帯状磁性板10の各段に導線コイル20を巻き付けた開放型磁気シールド構造5zは比較的大きなシェイキングノイズ(垂直成分)を漏洩するが,隣接する段毎に漏洩するシェイキングノイズを逆向きとすれば,隣接する段毎の漏洩磁場を互いに打ち消すことで磁気シールド空間1へのシェイキングノイズの漏洩を低減することが期待できる。このことを確認するため,図10(A)に示すように,環帯状磁性板10の隣接する段毎に導線コイル20を逆の右巻き又は左巻きとなるように巻き付けたうえで,コイル駆動装置30により導線コイル20の各段に同じ向きのシェイキング電流(周波数200Hz)を印加し,磁気シールド空間1の漏洩磁場を数値シミュレーションにより求める実験を行った。印加するシェイキング電流は,実験例3の場合と同様に,(a)所定ピッチT=100mmのときは1.414A,(b)50mmのときは0.559A,(c)20mmのときは0.204A,(d)10mmのときは0.100Aとした。本実験の結果を,上述した実験例3の結果と共に,表1及び図9のグラフに合わせて示す。
表1の電流方向交互の漏洩磁場の平均値欄は,図1の導線コイル20の所定ピッチTを100mm,50mm,20mm,10mmと切り替えたうえで,隣接する段毎に導線コイル20を逆巻きとしたときの評価対象域Rの漏洩磁場の水平面における平均値,及び垂直面における平均値の変化をそれぞれ示している。また図9のグラフ(電流方向交互)は,水平面及び垂直面における平均値の変化と共に,両者を合成した平均値の変化を表している。図9(B)及び(C)のグラフから分かるように,図1のコイル20の巻き付けピッチTを20mm以下に小さくすると共に,隣接する段毎にコイルを逆巻きとすることにより,図1の1段コイルのつくる漏洩磁場を,図7の5段コイルのつくる漏洩磁場よりも小さくすることができる。
また,図10(B)に示すように,環帯状磁性板10の各段に同じ右巻き又は左巻きとなるように導線コイル20を巻き付けたうえで,コイル駆動装置30a,30bにより導線コイル20の隣接する段毎に逆向きのシェイキング電流を印加し,磁気シールド空間1の漏洩磁場を数値シミュレーションにより求める実験を行った。印加するシェイキング電流は,上述した図10(A)の場合と逆向きに,(a)所定ピッチT=100mmのときは−1.414A,(b)50mmのときは−0.559A,(c)20mmのときは−0.204A,(d)10mmのときは−0.100Aとした。本実験の結果も,上述した表1の電流方向交互欄及び図9のグラフ(電流方向交互)と同様であった。
これらの実験結果から,磁気シールド空間1を囲む環帯状磁性板10の各段に巻き付ける導線コイル(1段コイル)20の所定ピッチTを設定する共に,隣接する段毎にコイルを巻く方向(又は電流の方向)を逆向きとすることにより,隣接する段毎の漏洩磁場を互いに打ち消すことで磁気シールド空間1へのシェイキングノイズの漏洩を低減できることを確認できた。
[実験例5]
図10(B)の開放型磁気シールド構造5zにおいて,導線コイル20外側の漏洩磁場が最小となるように,隣接する各段の導線コイル20に印加するシェイキング電流の電流値を段毎に独立に最適化することにより,磁気シールド空間1へのシェイキングノイズの漏洩を更に低減することも期待できる。すなわち,複数段の環帯状磁性板10のうち,奇数段の環帯状磁性板10の導線コイル20にシェイキング電流を印加したときに漏洩するシェイキングノイズが,偶数段の環帯状磁性板10から漏洩するシェイキングノイズによって打ち消されてゼロとなるように,偶数段の環帯状磁性板10の導線コイル20に印加するシェイキング電流の電流値を設定することができる。
例えば,図10(B)の奇数段の環帯状磁性板10の導線コイル20に対してコイル駆動装置30aにより所定電流値I1のシェイキング電流を印加し,開放型磁気シールド構造内側の中心(評価対象域R)における漏洩磁場を求める。次いで,偶数段の環帯状磁性板10の導線コイル20に対してコイル駆動装置30bによりシェイキング電流を印加すると共に,開放型磁気シールド構造内側の中心(評価対象域R)における漏洩磁場が打ち消されるようにシィキング電流の電流値I2を最適化する。
上述した実験例4において,シェイキング電流の電流値I1,I2を最適化することによってシェイキングノイズの漏洩を更に低減できることを確認するため,図10(B)に示すように環帯状磁性板10の各段に導線コイル20を巻き付けたうえで,各段のコイル20に最適化したシェイキング電流を印加し,磁気シールド空間1の漏洩磁場を数値シミュレーションにより求める実験を行った。具体的には,奇数段の環帯状磁性板10の導線コイル20には,実験例3の場合と同様に,(a)所定ピッチT=100mmのときは1.414A,(b)50mmのときは0.559A,(c)20mmのときは0.204A,(d)10mmのときは0.100Aのシェイキング電流I1を印加したが,偶数段の環帯状磁性板10の導線コイル20には最適化したシェイキング電流I2,すなわち(a)所定ピッチT=100mmのときは−1.741A,(b)50mmのときは−0.688A,(c)20mmのときは−0.251A,(d)10mmのときは−0.123Aの逆向きシェイキング電流I2を印加した。本実験の結果を,上述した実験例3及び4の結果と共に,表1及び図9のグラフに合わせて示す。
表1の電流方向交互(最適電流値)の漏洩磁場の平均値欄は,各段の導線コイル20のシェイキング電流の電流値を最適化したときの評価対象域Rの漏洩磁場の水平面における平均値,及び垂直面における平均値の変化をそれぞれ示している。また図9のグラフ(電流方向交互(最適電流値))は,水平面における漏洩磁場の水平成分,垂直成分,及び両者を合成した漏洩磁場の平均値の変化を表している。図9(B)及び(C)のグラフから分かるように,図1のように磁気シールド空間1を囲む環帯状磁性板10の各段に導線コイル20を巻き付けた開放型磁気シールド構造5zにおいて,隣接する段毎に電流の方向(又はコイルを巻く方向)を逆にすると共に,各段の導線コイル20のシェイキング電流の電流値I1,I2を最適化することにより,図1の1段コイルのつくる漏洩磁場を,その1段コイルの所定ピッチTに拘わらず,図7の5段コイルのつくる漏洩磁場よりも小さくすることができる。更に,環帯状磁性板10の各段に巻き付ける導線コイル(1段コイル)20のピッチTを20mm以下とすることにより,5段コイルの場合に比して,磁気シールド空間1へのシェイキングノイズの漏洩を1/5以下(20%以下)に低減することができる。
なお,図10(A)の開放型磁気シールド構造5zの場合も,奇数段の環帯状磁性板10の導線コイル20に対してシェイキング電流I1を印加するコイル駆動装置30aと,偶数段の環帯状磁性板10の導線コイル20に対してシェイキング電流I2を印加するコイル駆動装置30bとを設けることにより,磁気シールド空間1へのシェイキングノイズの漏洩が低減されるように,隣接する各段の導線コイル20に印加するシェイキング電流の電流値を段毎に独立に最適化することができる。或いは,隣接する各段の導線コイル20に印加するシェイキング電流の電流値自体を変えるのではなく,各段の導線コイル20の所定ピッチT(ターン数)を最適化することにより,磁気シールド空間1へのシェイキングノイズの漏洩を低減することも可能である。
こうして本発明の目的である「シェイキングノイズの漏洩を小さく抑えることができるシェイキング式開放型磁気シールド構造」の提供を達成できる。
図1の開放型磁気シールド構造5zは主にXY平面の一方向又は二方向の外乱磁場の遮蔽を目的としているが,外乱磁場の方向が決まっていない磁気シールド対象空間1において三方向の外乱磁場を遮蔽対象とする場合は,図1の構造を基本ユニットとして,図11(A)〜(C)のような複数ユニットを組み合わせた開放型磁気シールド構造とすることができる。図11は,医療施設や研究施設に設置される外寸2550mmを基本サイズとした立方体形状の開放型磁気シールドルームの一例を示す。
図11(A)は,磁気シールド対象空間1を貫く第1方向軸Az(Z軸)と所定間隔dzで交差する複数段の平行な平面Pz上にそれぞれ対象空間1を所定帯幅Wで囲むように環帯状磁性板10を設けた図1と同様の開放型磁気シールド構造5zを示す。また,図11(B)は磁気シールド対象空間1を貫く第2方向軸Ax(X軸)と所定間隔dxで交差する複数段の平行な平面Px上にそれぞれ対象空間1を所定帯幅Wで囲むように環帯状磁性板10を設けた開放型磁気シールド構造5xを示し,図11(C)は磁気シールド対象空間1を貫く第3方向軸Ay(Y軸)と所定間隔dyで交差する複数段の平行な平面Py上にそれぞれ対象空間1を所定帯幅Wで囲むように環帯状磁性板10を設けた開放型磁気シールド構造5yを示す。磁気シールド対象空間1の周囲に3つの開放型磁気シールド構造5z,5x,5yを入れ子状に配置し,或いは開放型磁気シールド構造5z,5x,5yのうち何れか2つを選択して入れ子状に配置して一体化することにより,三方向の外乱磁場を遮蔽する磁気シールドルームとすることできる。
図11(A)〜(C)の環帯状磁性板10は,それぞれコバルト系アモルファス(厚さ23μm×20枚積層,幅50mm)の帯板を井桁状に組んで構成し,例えば所定間隔dz=200mmで12段配置して開放型磁気シールド構造5z,5x,5yとすることができる。開放型磁気シールド構造5z,5xには,同じ帯状磁性板(コバルト系アモルファス)10で構成された扉枠14a,14b,14c,14dで囲まれた開口が設けられ,その開口にPCパーマロイ板(厚さ1mm×2枚積層)の2層(内側,外側)構造の扉12が取り付けられている。
開放型磁気シールド構造5z,5x,5yの各段の環帯状磁性板10には,図1又は図10の場合と同様にそれぞれ環状軸に沿って所定ピッチTで導線コイル20を巻き付け,コイル駆動装置30により各導線コイル20に所定周波数のシェイキング電流を印加して開放型磁気シールド構造5z,5x,5yを磁気シェイキングする。各開放型磁気シールド構造5z,5x,5yの導線コイル20の所定ピッチT(ターン数)は求められる磁場環境(シェイキングノイズの大きさ)に応じて適宜決定することができ,コイル20に印加するシェイキング電流の電流値も軸方向に誘起される磁束密度をもとに決定することができ,電流の方向を隣接する段毎に逆向きとするか否かについても設計条件や要求性能に応じて適宜決定することができる。各開放型磁気シールド構造5z,5x,5yの導線コイル20の所定ピッチTとシェイキング電流の電流値及び方向を適切に設定することにより,図1又は図10の場合と同様に,各開放型磁気シールド構造5z,5x,5yを磁気シェイキングすると共に,各導線コイル外側の漏洩磁場(すなわち各開放型磁気シールド構造5z,5x,5yで囲まれた磁気シールド対象空間1の内側領域への漏洩磁場)を効率的に打ち消して低減することができる。
図12(A)は,開口のない開放型磁気シールド構造5yの各段の環帯状磁性板10に1本の導線コイル20を連続的に巻き付ける方法の一例を示す。シェイキング電流は,入出力ライン20a(又は20b)を介して1段目の磁性体回路の位置番号1に入力され,位置番号2〜5を周回する。次いで,位置番号7から2段目の磁性体回路に移り,位置番号8〜12の順で周回する。図10(A)に示すように,2段目の周回方向は,1段目の周回方向と逆である。同様に12段目の位置番号68〜72まで周回を繰り返したのち,位置番号73を経由して1段目まで戻り,位置番号74から入出力ライン20b(又は20a)を介して出力される。
各段の磁性体回路のシェイキングノイズは,導線コイル20の所定ピッチTの設定により対応できる。各段のシェイキング電流を最適化する場合は,電流値自体を段毎に変えることはできないが,各段の所定ピッチT(ターン数)を調整することで実質的に対応できる。各段の磁性体回路からのシェイキングノイズと共に,隣接する磁性体回路に移行する経路でのシェイキングノイズの漏洩も懸念されるが,これについては入出力ライン20a,20bと同様に,位置番号7,13,19,25,31,37,43,49,55,61,67と位置番号73とは電流値が同じで方向が逆のため,隣接させて平行に配置することにより逆向き電流によって互いに打ち消して漏洩を小さく抑えることができる。必要に応じて両者を撚ることにより打ち消し効果を高めることも有効である。
図12(B)は,開放型磁気シールド構造5yの環帯状磁性板10の奇数段に1本の導線コイル20を連続的に巻き付けると共に偶数段に別の1本の導線コイル20を同じ向きに連続的に巻き付け,奇数段及び偶数段の2本の導線コイルに逆向きのシェイキング電流を印加する方法の一例を示す。正方向のシェイキング電流は,入出力ライン20a(又は20b)を介して1段目の磁性体回路の位置番号1に入力され,位置番号2〜5を周回する。次いで,位置番号7から3段目の磁性体回路に移り,位置番号8〜12の順で周回する。図10(B)に示すように,3段目の周回方向は,1段目の周回方向と同じである。同様に11段目の位置番号32〜36まで周回を繰り返したのち,位置番号37を経由して1段目まで戻り,位置番号38から入出力ライン20b(又は20a)を介して出力される。図12(A)の場合と同様に,位置番号7,13,19,25,31と位置番号37とは電流値が同じで方向が逆のため,隣接させて平行に設置すれば,隣接する磁性体回路に移行する経路でのシェイキングノイズの漏洩を防止できる。
図12(B)において,逆方向のシェイキング電流は,入出力ライン20c(又は20d)を介して2段目の磁性体回路の位置番号51に入力され,位置番号52〜56の順で周回する。次いで,位置番号57から4段目の磁性体回路に移り,位置番号58〜62の順で周回する。図10(B)に示すように,4段目の周回方向は,2段目の周回方向と同じであるが,1段目の周回方向とは逆である。同様に12段目の位置番号82〜86まで周回を繰り返したのち,位置番号87を経由して2段目まで戻り,位置番号88から入出力ライン20c(又は20d)を介して出力される。図12(B)においても,位置番号57,63,69,75,81と位置番号87とは電流値が同じで方向が逆のため,隣接させて平行に設置すれば,隣接する磁性体回路に移行する経路でのシェイキングノイズの漏洩を防止できる。なお,正・逆方向の電流値を最適化するためには,方向ごとに電流値を変えれば対応できる。
図13(A)は,開口のある開放型磁気シールド構造5zの各段の環帯状磁性板10に1本の導線コイル20を連続的に巻き付ける方法の一例を示す。シェイキング電流は,入出力ライン20a(又は20b)を介して1段目の磁性体回路の位置番号1に入力され,位置番号2〜7を周回する。次いで,位置番号8から2段目の磁性体回路に移り,位置番号9〜13の順で周回する。図10(A)に示すように,2段目の周回方向は,1段目の周回方向と逆である。2段目の位置番号13で流れを遮られた電流は,扉枠14bの位置番号14を介して3段目の磁性体回路に移り,位置番号15〜19の順で周回する。3段目の位置番号19で遮られた電流は,扉枠14aの位置番号20を介して4段目の磁性体回路に移る。同様に11段目の位置番号63〜67まで周回を繰り返したのち,扉枠14aの位置番号68を介して12段目の磁性体回路に移り,位置番号69〜74の順で周回したのち,扉枠14aの位置番号75を介して1段目まで戻り,位置番号76から入出力ライン20b(又は20a)を介して出力される。各段のシェイキング電流を最適化する場合は,電流値自体を変えることはできないが,各段の所定ピッチT(ターン数)を調整することで実質的に対応できる。
図13(B)及び(C)は,隣接する磁性体回路への移行経路となる扉枠14a,14bのシェイキング電流をまとめて示したものである。扉枠14aでは,位置番号8,20,32,44,56,68は一段おきに上向きで,位置番号75は下向きであるが,これらを合成すると1段おきに下向きのシェイキング電流が単独で存在することになる。また扉枠14bでは,位置番号14,26,38,50,62が1段おきで上向きに存在するのみである。このように扉枠14a,14bにおいてシェイキングノイズの漏洩が懸念されるため,図13(D)及び(E)に示すように,扉枠14a,14bに沿って例えばPCパーマロイ製のスリット23付き磁気シールド筒体22(角筒又は円筒)を設置し,その筒体22内に隣接する磁性体回路へのコイルの移行経路部分を収容することが望ましい。スリット33は,シールド筒体22の長手方向に沿って設けられており,単線の導線コイル20からの磁場の漏洩方向を制御する機能を有し,磁気シールド対象空間1と反対側に向けることで対象空間1へのシェイキングノイズの漏洩を低減する(特許文献5参照)。スリット33は,導線コイル20の引き入れ,引き出しにも利用できる。
図14は,開放型磁気シールド構造5zの環帯状磁性板10の奇数段に1本の導線コイル20を連続的に巻き付けると共に偶数段に別の1本の導線コイル20を同じ向きに連続的に巻き付け,奇数段及び偶数段の2本の導線コイルに逆向きのシェイキング電流を印加する方法の一例を示す。図14(A)に示すように,正方向のシェイキング電流は,入出力ライン20a(又は20b)を介して1段目の磁性体回路の位置番号1に入力され,位置番号2〜7の順で周回する。次いで,位置番号8から3段目の磁性体回路に移って位置番号9に至り,扉枠14a,14d,14bの位置番号10〜12を介して迂回したのち,位置番号13〜17の順で周回する。同様に11段目の位置番号49から扉枠14a,14c,14bの位置番号50〜52を迂回して位置番号53〜57まで周回を繰り返したのち,位置番号58を介して1段目まで戻り,位置番号59から入出力ライン20b(又は20a)を介して出力される。隣接する磁性体回路間を移行する経路のシェイキングノイズの漏洩は,位置番号8,18,28,38,48と位置番号58とは電流値が同じで方向が逆であるため,隣接させて平行に配置することにより逆向き電流によって互いに打ち消して漏洩を小さく抑えることができる。必要に応じて両者を撚ることにより打ち消し効果を高めることも有効である。扉の迂回方向は,距離が短い方とする。
また14(B)に示すように,逆方向のシェイキング電流は,入出力ライン20c(又は20d)を介して2段目の磁性体回路の位置番号51に入力され,2段目の位置番号2〜3に至り,扉枠14a,14d,14bの位置番号4〜6を介して迂回したのち,位置番号7〜11の順で周回し,4段目の位置番号12に移る。同様に10段目の位置番号46〜47から扉枠14b,14c,14aの位置番号48〜50を迂回して位置番号51〜55まで周回を繰り返したのち,12段目の位置番号56に移る。同様に12段目の位置番号57〜63の順で周回したのち,位置番号64を介して2段目まで戻り,位置番号65から入出力ライン20d(又は20c)を介して出力される。隣接する磁性体回路間を移行する経路のシェイキングノイズの漏洩は,位置番号12,23,34,45,56と位置番号64とは電流値が同じで方向が逆であるため,隣接させて平行に配置することにより逆向き電流によって互いに打ち消して漏洩を小さく抑えることができる。必要に応じて両者を撚ることにより打ち消し効果を高めることも有効である。
図14(C)〜(F)は,隣接する磁性体回路への移行経路となる扉枠14c,14a,14b,14dのシェイキング電流をまとめて示したものである。扉枠14cでは,位置符号31,41,51は右向き(正方向),位置符号38,49は左向き(逆方向)であるから,これらを合成すると右向き電流が単独で存在することとなる。また扉枠14dでは,位置符号11,21は右向き(正方向),位置符号5,16,27は左向き(逆方向)であるから,これらを合成すると左向き電流が単独で存在することになる。扉枠14aでは,位置符号30,40,50(正方向)は上向き,位置符号6,17,28(逆方向)は上向き,位置符号10,20(正方向)は下向き,位置符号39,50逆方向)は下向きであるから,これらを合成すると上向きが1段おきに単独で存在することになる。更に扉枠14bでは,位置符号12,22(正方向)が上向き,位置符号37,48(逆方向)が上向き,位置符号32,42,52(正方向)が下向き,位置符号4,15,26(逆方向)が下向きであるから,これらを合成すると下向き電流が1段おきに単独で存在する。このように扉枠14a,14b,14c,14dにおいてシェイキングノイズの漏洩が懸念されるため,上述した図13(D)及び(E)の場合と同様に,扉枠14a,14b,14c,14dに沿って例えばPCパーマロイ製のスリット23付き磁気シールド筒体22(角筒又は円筒)を設置し,その筒体22内に隣接する磁性体回路へのコイルの移行経路部分を収容することが望ましい。
1…磁気シールド対象空間 2…帯状磁性板
3…シールド簾体 5…開放型磁気シールド構造
8…磁気センサ 9…端縁(重ね合わせ部)
10…環帯状磁性板 12…扉
14a,14b,14c,14d…扉枠
20…導線コイル 20a,20b…入出力ライン
22…シールド筒体 23…スリット
30…コイル駆動装置
40…磁気シールド部材 41…基材
42a,42b…磁性薄帯 43…導線
44…入力端子 45…出力端子
Ax,Ay,Az…軸 d…間隔
I…電流 L…電流担体(コイル)
M…外乱磁場 O…中心点
Px,Py,Pz…平面 R…評価対象域
T…ピッチ W…環帯状磁性板の帯幅

Claims (5)

  1. 磁気シールド対象空間を貫く第1方向軸と所定間隔で交差する複数段の平行な平面上にそれぞれ当該空間を所定帯幅で囲むように設けた環帯状磁性板の群,前記環帯状磁性板の各段にそれぞれ環状軸に沿って所定ピッチで且つ隣接する段毎に逆の右巻き又は左巻きとなるように巻き付けた導線コイル,及び前記導線コイルの各段に同じ向きで所定周波数のシェイキング電流を印加する各段に共通のコイル駆動装置を備え,前記導線コイル内側の発生磁場により環帯状磁性板群を磁気シェイキングすると共に前記導線コイル外側の漏洩磁場が打ち消されるように各段の導線コイルの所定ピッチを設定してなるシェイキング式開放型磁気シールド構造。
  2. 請求項の構造において,前記導線コイルの各段に平行配置の入出力ラインを含め,当該入出力ラインの漏洩磁場を逆向きの入出力電流により打ち消してなるシェイキング式開放型磁気シールド構造。
  3. 請求項の構造において,前記導線コイルの各段の入出力ラインを収容するスリット付き磁気シールド筒体を設けてなるシェイキング式開放型磁気シールド構造。
  4. 請求項1から3の何れかの構造において,前記磁気シールド対象空間を貫く第2方向軸と所定間隔で交差する複数段の平行な平面上にそれぞれ当該空間を所定帯幅で囲むように設けた第2環帯状磁性板の群,及び前記第2環帯状磁性板の各段にそれぞれ環状軸に沿って所定ピッチで巻き付けた第2導線コイルを設け,前記対象空間の周囲に環帯状磁性板群と第2環帯状磁性板群とを入れ子状に配置し,前記コイル駆動装置により各導線コイルに所定周波数のシェイキング電流を印加して各環帯状磁性板群を磁気シェイキングすると共に各導電コイル外側の漏洩磁場が打ち消されるように各導線コイルの所定ピッチを設定してなるシェイキング式開放型磁気シールド構造。
  5. 請求項の構造において,前記磁気シールド対象空間を貫く第3方向軸と所定間隔で交差する複数段の平行な平面上にそれぞれ当該空間を所定帯幅で囲むように設けた第3環帯状磁性板の群,及び前記第3環帯状磁性板の各段にそれぞれ環状軸に沿って所定ピッチで巻き付けた第3導線コイルを設け,前記対象空間の周囲に環帯状磁性板群と第2環帯状磁性板群と第3環帯状磁性板群とを入れ子状に配置し,前記コイル駆動装置により各導線コイルに所定周波数のシェイキング電流を印加して各環帯状磁性板群を磁気シェイキングすると共に各導線コイル外側の漏洩磁場が打ち消されるように各導線コイルの所定ピッチを設定してなるシェイキング式開放型磁気シールド構造。
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