JP6627972B2 - ロータ及びこれが用いられる遠心機 - Google Patents

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Description

本発明は、試料を収容した試料用容器を高速で回転させて試料に遠心力を印加する遠心機において、試料用容器を複数装着させた状態で回転駆動されるロータの構造に関する。あるいはこのロータを用いた遠心機の構造に関する。
高速回転時の遠心力によって試料(例えば培養液、血液等)を密度の異なる物質毎に分離、あるいは試料の精製や分析をするために、遠心機(遠心分離機)が用いられている。遠心機においては、試料が封入された試料用容器が装着された状態で、金属製のロータが、例えば20000rpm程度の高速で、上下方向に沿った中心軸(回転軸)の周りで回転する。このため、ロータには、試料用容器を挿入して装着するための試料用容器挿入孔が設けられる。こうしたロータの構造は、例えば特許文献1に記載されている。
このようなロータ200の斜視図を図8に、上面図を図9に、中心軸Xに沿った鉛直方向の断面図を図10に、それぞれ示す。ここでは、大径の試料用容器51と、小径の試料用容器52の2種類がそれぞれ10本ずつ、ロータ200の内側において試料用容器が装着され収容される部分である試料用容器収容部に装着された状態が示されている。実際には遠心分離処理時にはこの状態でロータ200の上部は蓋で封止されるが、蓋の記載は省略されている。また、ロータ200は、封止された空間となるロータ室の内部で中心軸Xを回転軸として回転駆動される。
図9に示されるように、大型の試料用容器51は中心軸Xからみて外側において、試料用容器挿入孔51に装着され、小型の試料用容器52はこれよりも内側において、試料用容器挿入孔(内側試料用容器挿入孔)62に装着されており、試料用容器挿入孔61、62は、上面視におけるそれぞれの中心が中心軸Xを中心とした円周に沿うように配列されている。図10の左側においては試料用容器挿入孔61(試料用容器51)のある箇所における断面が、図10の右側においては試料用容器挿入孔62(試料用容器52)のある箇所における断面が、それぞれ示されている。図10に示されるように、試料用容器51はそれぞれ装着時における下側(一方の側)が閉じた筒状の試料用容器本体511と、その上側(他方の側)の開口を封止するように装着される蓋部512で構成され、試料用容器本体511に試料を収容して封止することができる。試料用容器52も、同様に試料用容器本体521と蓋部522で構成される。
試料用容器51、52は、ロータ本体60における上向きの面であるロータ底面(底面)60Aに設けられた孔部である試料用容器挿入孔61、62に、それぞれ上側から挿入されて装着される。図10に示されるように、試料用容器挿入孔61、62は、ロータ底面60Aに対して共に中心軸X側からその外側に向かい斜め下側に向かって掘り下げられ、それぞれ試料用容器本体511、521が収容できるように形成される。蓋部512、522は、それぞれ試料用容器本体511、512よりも大径とされ、試料用容器51、52の装着時において、試料用容器挿入孔61、62には収容されず、試料用容器挿入孔61、62よりも上側に位置する。また、装着された試料用容器51、52の上側を中心軸Xの周りで囲む略円筒形状の内周面70Aを具備する外壁部70がロータ本体60の上側に設けられる。
このため、試料用容器51、52を、それぞれ試料用容器挿入孔61、62に上から装着した状態で自重によって安定して保持することができ、かつ、この状態でロータ200を中心軸Xの周りで回転させることにより、試料用容器51、52を安定して保持しつつ内部の試料に遠心力を印加することができる。この際、多数の試料用容器51、52を同時に装着することにより、同時に多量の試料に遠心分離処理を行うことができる。この際、図10において、外側に向かう強い遠心力が印加される試料用容器本体511、521は、試料用容器挿入孔61、62の試料用容器収容部の外側の部分(試料用容器支持領域61A、62A)によって、試料用容器挿入孔61、62の深さ方向にわたり機械的に支持される。このため、強い遠心力が印加された場合でも、細長い試料用容器51、52が折れ曲がり破損することが抑制される。この際、ロータ底面60A、外壁部70とが一体化された構造中に試料用容器支持領域61A、62Aが形成されるため、これによって試料用容器51、52を特に安定して保持、保護することができる。
試料用容器挿入孔61、62(試料用容器51、52)と同様にして、更に多くの円周上に試料用容器が装着可能な構成とすることにより、更に多くの数の試料用容器、あるいは3種類以上の大きさの試料用容器を同時に単一のロータに装着することもできる。これによって、単一のロータを用いて多量の試料に対して同時に遠心分離処理を行うことができる。
上記の構成においては、ロータ200の静止時において、装着された各試料用容器51、52は自重によって試料用容器挿入孔61、62に保持された状態となっている。このため、作業者は、試料用容器51、52の上端側にある蓋部512、522を指でつかみ、試料用容器51、52を試料用容器挿入孔61、62に沿って斜め上側に引き上げることによって、試料用容器51、52をロータ200から取り出すことができる。
特開2012−35261号公報
ここで、ロータ200を大型化せずに収容可能な試料用容器51、52の数を確保する場合には、隣接する試料用容器51(試料用容器挿入孔61)同士、あるいは隣接する試料用容器52(試料用容器挿入孔62)同士の間隔を狭くすることが必要となった。また、外壁部70における内周面70Aと、外側にある試料用容器51との間の間隔も狭くなった。この場合、隣接する試料用容器51間、試料用容器52間に指を入れるスペースを確保することが困難であり、特に、大きな蓋部512、蓋部522が用いられた場合には、このスペースを確保することが困難であった。このため、円周上に多数配列された全ての試料用容器挿入孔61、62に試料用容器51、52が装着されていた場合には、試料用容器51、52の取り出しが容易ではなかった。
一方、隣接する試料用容器51間、試料用容器52間の隙間が作業者の指を入れることが可能な程度に広くなるように試料用容器挿入孔61間、試料用容器挿入孔62間の間隔を広くした場合には、ロータ200は大型化した。こうした大型のロータ200を回転駆動するためには、遠心機全体も大型化し、その消費電力も大きくなった。
また、例えば、装着された試料用容器51の上端側の周囲で試料用容器51と接する構造物がなく、試料用容器51の上端側の周囲でスペースが大きく形成されるような構成とすれば、試料用容器51の取り出しが容易になることも明らかである。しかしながら、前記の通り、強い遠心力が印加された際の試料用容器51の支持のためには、試料用容器51の外側において、試料用容器51を外側から支持する試料用容器支持領域61Aを設けることが必須であり、試料用容器51の上部が外側から支持されない場合には、強い遠心力によって試料用容器51(試料用容器本体511)が折れ曲がり破損するおそれがある。試料用容器52の周囲においても同様である。このため、試料用容器51、52の保持の観点から、こうした構成の適用は困難であった。
このため、遠心機において、多数の試料用容器を同時に装着可能であり、試料用容器の取り出しが容易で、かつ小型のロータが求められた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記の問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明のロータは、遠心機に載置され、試料を収容した試料用容器を試料用容器収容部に複数装着させた状態で上下方向に沿った回転軸の周りで回転駆動されるロータであって、前記試料用容器収容部は、孔の中心が前記回転軸の周りの第1の円周に沿うように配列した複数の試料用容器挿入孔を有し、前記試料用容器収容部において、前記試料用容器が前記試料用容器挿入孔に装着された際に前記回転軸からみた径方向外側の領域に前記試料用容器と当接する試料用容器支持領域と、前記第1の円周よりも径方向外側の領域において、隣接する前記試料用容器挿入孔の間に局所的な切り欠け領域と、が設けられたことを特徴とする。
本発明のロータは、上面視において、前記回転軸の周りの円周方向に沿った前記切り欠け領域の幅は、前記第1の円周方向において隣接する2つの前記試料用容器挿入孔に装着された2つの前記試料用容器の間隔よりも広いことを特徴とする。
本発明のロータにおいて、前記切り欠け領域は、前記試料用容器の上端側面を作業者が接触可能に形成されたことを特徴とする。
本発明のロータにおいて、前記試料用容器支持領域は、前記試料用容器の前記上端側面と当接することを特徴とする。
本発明のロータにおいて、前記切り欠け領域は、前記上下方向において、前記試料用容器支持領域がある高さに形成されていることを特徴とする。
本発明のロータにおいて、前記ロータは、前記試料用容器収容部の径方向外側かつ上側に外壁部を有し、前記切り欠け領域は、前記外壁部の内周面から前記試料用容器支持領域がある高さまで形成されていることを特徴とする。
本発明のロータにおいて、前記試料用容器支持領域は、前記外壁部と一体に形成されていることを特徴とする。
本発明のロータは、前記回転軸の周りの周方向において、単一の前記試料用容器挿入孔の両側にそれぞれ前記切り欠け領域が設けられたことを特徴とする。
本発明のロータは、前記回転軸の周りの周方向において、前記試料用容器挿入孔と前記切り欠け領域とが交互に配列されたことを特徴とする。
本発明のロータは、複数の前記試料用容器がそれぞれ装着される孔部である複数の内側試料用容器挿入孔を有し、その中心は、前記回転軸の周りにおける前記第1の円周よりも小さな第2の円周に沿うように配列して設けられたことを特徴とする。
本発明のロータは、前記試料を収容し一方の側が封止された筒状の試料用容器本体と、前記試料用容器本体の他方の側に装着され前記試料用容器本体よりも大径とされた蓋部と、をそれぞれ具備する複数の前記試料用容器の各々が、複数の前記試料用容器挿入孔の各々に装着される構成とされたことを特徴とする。
本発明のロータは、前記ロータが用いられ、前記ロータに装着された前記試料用容器内の試料に遠心力を印加する構成とされたことを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、遠心機において、多数の試料用容器を同時に装着可能であり、試料用容器の取り出しが容易で、かつ小型のロータを得ることができる。
本発明の実施の形態に係るロータの、試料用容器が装着されない状態における斜視図である。 本発明の実施の形態に係るロータの、試料用容器が装着されない状態における上面図である。 本発明の実施の形態に係るロータの、試料用容器が装着されない状態における回転軸に沿った断面図である。 本発明の実施の形態に係るロータの側面図である。 本発明の実施の形態に係るロータの、試料用容器が装着された状態における斜視図である。 本発明の実施の形態に係るロータの、試料用容器が装着された状態における上面図である。 本発明の実施の形態に係るロータの、試料用容器が装着された状態における回転軸に沿った断面図である。 従来のロータの、試料用容器が装着された状態における斜視図である。 従来のロータの、試料用容器が装着された状態における上面図である。 従来のロータの、試料用容器が装着された状態における回転軸に沿った断面図である。
本発明の実施の形態に係るロータについて説明する。このロータは、遠心機(遠心分離機)において用いられ、前記のロータ200と同様に、遠心分離処理対象となる試料を収容した多数の試料用容器が装着され、試料に遠心力を印加するために用いられる。このロータ100の斜視図を図1に、上面図を図2に、中心軸に沿った鉛直方向の断面図を図3に、その側面図を図4に、それぞれ示す。図1〜3においては、試料用容器が装着されていない状態が示されている。
このロータ100においても、大径の試料用容器51、小径の試料用容器52(図1〜3において図示せず)がそれぞれ装着可能とされる。このため、このロータ100においても、ロータ本体10における上側の面であるロータ底面(底面)10Aにおいて、中心軸Xを中心とした円周に沿って試料用容器挿入孔11、試料用容器挿入孔(内側試料用容器挿入孔)12がそれぞれ配列されている。ここで、上面視である図2において、試料用容器挿入孔11はその中心が大きな円周(第1の円周)上に沿って等間隔で配列され、試料用容器挿入孔12はその中心がこれよりも内側の小さな円周(第2の円周)上に沿って等間隔で配列されている。また、上面視において試料用容器51、52を中心軸Xの周りで囲む略円筒形状の内周面20Aを具備する外壁部20が、ロータ本体10の上側に設けられる。このため、このロータ100において試料用容器51、52が収容される内部を構成する試料用容器収容部は、ロータ底面10A、外壁部20とが一体化されて強固に構成されることも、前記のロータ200と同様である。上面視となる図2において、内周面10Aは第1の円周よりも大きな円周(第3の円周)に沿って形成されている。試料用容器51、52は、ロータ底面10Aに装着される。図3の左側においては試料用容器挿入孔11のある箇所における断面が、図3の右側においては試料用容器挿入孔12のある箇所における断面が、それぞれ示されている。
また、このロータ100において全ての試料用容器挿入孔11に試料用容器51が、全ての試料用容器挿入孔12に試料用容器52が、それぞれ装着された場合の斜視図を図5に、上面図を図6に、中心軸Xに沿った鉛直方向の断面図を図7に、それぞれ示す。図5〜7は、それぞれ従来のロータ200における図8〜10に対応する。
図1、2に示されるように、外壁部20の内周面20Aには、周方向で隣接する試料用容器挿入孔11の間の領域で、局所的に外側に向かって掘り下げられた切り欠け領域20Bが設けられている。図5、6に示されるように、この切り欠け領域20Bは、試料用容器51の装着時において、隣接する試料用容器51(蓋部512)の間の領域の外側に存在する。このため、切り欠け領域20Bがある箇所においては、隣接する試料用容器51(蓋部512)間のスペースが広くなり、隣接する試料用容器51間の間隔が狭い場合でも、作業者は、このスペースに指を入れることができ、ある一つの試料用容器51を取り出す際には、その両側の切り欠け領域20Bがある箇所に指を入れて試料用容器51をつまみ、試料用容器51を容易に取り出すことができる。特に、図7に示されるように、試料用容器51は、その上端側面の外側においても試料用容器支持領域11Aによって支持されているため、試料用容器51の上部をその中心軸Xからみた外側でつまむことが容易ではなかったところ、切り欠け領域20Bを設けることによって、試料用容器51の上端側面をつまむことが容易となる。
また、図7に示されるように、試料用容器挿入孔11は試料用容器本体511の形状に対応して形成されており、ロータ100の回転時において、試料用容器51は試料用容器挿入孔11の外側の部分である試料用容器支持領域11Aによって支持され、切り欠け領域20Bは、外壁部20における試料用容器51の支持とは無関係の部分に形成されている。このため、図5、7に示されるように、上下方向における試料用容器支持領域11Aのある高さと切り欠け領域20Bがある高さとは重複しているものの、切り欠け領域20Bを設けたことによって試料用容器51を支持する強度が低下することはない。
また、このロータ100においては、中心軸Xの周りで、外側においては第1の円周上に10個の試料用容器挿入孔11(試料用容器51)が、その内側においては第2の円周上に10個の試料用容器挿入孔12(試料用容器52)が、それぞれ円周上において等間隔で配列して設けられている。前記の通り、外壁部20の内周面20Aも中心軸Xの周りの円周(第3の円周)を構成し、この内周面20Aに前記の切り欠け領域20Bも周方向で等間隔で形成されている。このため、ロータ100における中心軸Xの周りにおける重量バランスは保たれる。
ここで、中心軸Xの近傍では印加される遠心力が小さくなるため、一般的には中心軸Xの近傍には試料用容器を装着する構成とはされない。このため、図1、3において、内側の試料用容器挿入孔12の更に内側(中心軸Xに近い側)には、構造物は存在しない。また、試料用容器52が装着される試料用容器挿入孔12の内側の領域は、遠心力が印加された際に試料用容器52を支持することには寄与しないため、試料用容器挿入孔12の内側におけるロータ底面10Aを下側に向けて薄肉化しても回転時における試料用容器52の機械的支持を充分に行うことができ、かつ、この部分に指を入れるスペースを確保することができる。一方、試料用容器挿入孔12の外側の領域は、前記の試料用容器支持領域11Aと同様に、試料用容器52を回転時に試料用容器52を機械的に支持する試料用容器支持領域12Aとなり、高い機械的強度が要求される。このため、試料用容器挿入孔12の外側におけるロータ底面10Aを薄肉化することは好ましくない。
このように試料用容器挿入孔(内側試料用容器挿入孔)12の更に内側でロータ底面10Aを薄肉化してスペースを確保した場合、全ての試料用容器挿入孔11、12にそれぞれ試料用容器51、52がそれぞれ装着された状態においても、切り欠け領域20Bの有無に関わらず、内側の試料用容器52を取り外すことは容易に行われる。試料用容器52を取り外すことによって、試料用容器51の内側(中心軸Xに近い側)にはスペースが形成される。ただし、試料用容器挿入孔12の外側かつ試料用容器挿入孔11の内側におけるロータ底面10Aが薄肉化されていない場合には、この内側のスペースのみを用いて外側の試料用容器51を取り出すことは容易ではない。
上記のロータ100においては、この場合における試料用容器挿入孔11の内側のスペースに加え、試料用容器挿入孔11の両側の切り欠け領域20Bがある箇所に形成されたスペースを用いて、3本の指を用いて試料用容器51をつまみ、取り出すことができる。この際、試料用容器51の外側に試料用容器支持領域11Aを設けた状態で、切り欠け領域20Bを設けることができ、円周上で隣接する試料用容器挿入孔11(試料用容器51)を近接させ、かつ外壁部20を試料用容器51の外側において近接させた場合でも、指を入れることのできるスペースを試料用容器51に隣接して設けることができる。このため、装着可能な試料用容器51の数を多くしても、ロータ100を大型化することなく、試料用容器51の脱着を容易に行うことができる。
ここで、指が入るスペースを確保するためには、外壁部20における内周面20Aに沿った円周(第3の円周)上における切り欠け領域20Bの幅を大きくすることが好ましく、この幅を、隣接する試料用容器51(蓋部512)間の円周(第1の円周)に沿った間隔よりも広くすることが好ましい。この場合には、試料用容器51間の間隔を充分に狭くして装着される試料用容器51の数を増やした場合でも、切り欠け領域20Bが設けられた箇所のスペースを広くすることができ、切り欠け領域20Bが設けられた箇所に指を入れて試料用容器51を容易に取り出すことができる。
また、切り欠け領域20Bは外壁部20(試料用容器収容部)において上下方向における所定の幅で形成されるが、外壁部20の最上部からロータ底面10Aあるいは試料用容器支持領域11Aがある高さにかけて形成すれば、特に切り欠け領域20Bが設けられた箇所に上側から指を入れて試料用容器51を容易に取り出すことができる。また、切り欠け領域を試料用容器挿入孔と連結させて試料用容器収納部に形成することによって、特に試料用容器の取り出しが容易となる。この場合、全ての試料用容器挿入孔を切り欠け領域と連結させる必要はなく、少なくとも一つの試料用容器挿入孔を切り欠け領域と連結させれば、この試料用容器挿入孔からの試料用容器の取り出しが特に容易となる。この試料用容器を取り出すことにより、他の試料用容器の取り出しは容易に行われる。
なお、上記のロータ100では、2種類の試料用容器51、52が装着可能とされたが、より小型のロータでは、1種類の試料用容器のみを単一の円周上に配置してもよい。この場合においても、上面視において円周に沿って試料用容器挿入孔が設けられ、試料用容器の外側に外壁部が設けられた場合には、上記と同様に試料用容器支持領域と切り欠け領域とを設けることは有効である。
逆に、より大型のロータにおいて、上記の試料用容器52よりも更に内側にも試料用容器が装着可能とされ、3種類以上の試料用容器が装着できる構成としてもよい。こうした場合においても、前記の通り、最も内側の試料用容器の更に内側においては、ロータ底面を薄肉化することができ、これによって最も内側の試料用容器の取り出しを容易にすることができ、内側の試料用容器から順次取り出しを行い、上記の切り欠け領域を設けることにより、最後に最も取り出しにくい外側の試料用容器を取り出すことができる。
また、上記のように切り欠け領域を設けることによって、ロータ全体の軽量化を図ることもできる。この際、最も外側にある試料用容器の更に外側には最も強い遠心力が印加されるが、切り欠け領域は隣接する試料用容器の間に形成され、切り欠け領域が形成された箇所には大きな力は加わらない。このため、切り欠け領域を上記のように設けても、ロータの耐性も維持される。すなわち、耐性を損なわずにロータを軽量化することができる。
また、上記の例では、切り欠け領域20Bは内周面20A(外壁部20)に形成されたが、これをロータ底面に設けてもよい。例えば、内側の試料用容器挿入孔12の外側かつ周方向における両側において、ロータ底面を下側に向けて切り欠いた切り欠け領域を設ければ、内側の試料用容器52の取り出しが容易となる。この際、試料用容器52を支持する試料用容器支持領域12Aあるいはその強度を確保することができることも、上記と同様に明らかである。この場合、外側の試料用容器挿入孔11(試料用容器51)の内側の領域はこの切り欠け領域において薄肉化されるが、この領域には回転時に大きな力は加わらないため、ロータの耐性に悪影響は与えない。このように、切り欠け領域は、取り外しを容易とする対象となる試料用容器や、ロータの構成に応じて、ロータの内側において試料用容器が装着され収容される部分である試料用容器収容部(ロータ底面や外壁部等)に形成することができる。切り欠け領域の形状もこれに応じて適宜設定可能である。
また、上記の構成においては、試料用容器本体よりも大径の蓋部が上部に装着される試料用容器が用いられたが、上記と同様に試料用容器挿入孔に装着された状態で内部の試料に遠心力を印加することができる限りにおいて、試料用容器の形態、構造は任意である。
10,60…ロータ本体、10A,60A…ロータ底面(底面:試料用容器収容部)、11,61…試料用容器挿入孔、11A,12A,61A,62A…試料用容器支持領域、12,62…試料用容器挿入孔(内側試料用容器挿入孔)、20,70…外壁部(試料用容器収容部)、20A,70A…内周面、20B…切り欠け領域、51,52…試料用容器、100,200…ロータ、511,521…試料用容器本体、512,522…蓋部、X…中心軸(回転軸)

Claims (12)

  1. 遠心機に載置され、試料を収容した試料用容器を試料用容器収容部に複数装着させた状態で上下方向に沿った回転軸の周りで回転駆動されるロータであって、
    前記試料用容器収容部は、孔の中心が前記回転軸の周りの第1の円周に沿うように配列した複数の試料用容器挿入孔を有し、前記試料用容器収容部において、前記試料用容器が前記試料用容器挿入孔に装着された際に前記回転軸からみた径方向外側の領域に前記試料用容器と当接する試料用容器支持領域と、前記第1の円周よりも径方向外側の領域において、隣接する前記試料用容器挿入孔の間に局所的な切り欠け領域と、が設けられたことを特徴とするロータ。
  2. 上面視において、前記回転軸の周りの円周方向に沿った前記切り欠け領域の幅は、前記第1の円周方向において隣接する2つの前記試料用容器挿入孔に装着された2つの前記試料用容器の間隔よりも広いことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
  3. 前記切り欠け領域は、前記試料用容器の上端側面を作業者が接触可能に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のロータ。
  4. 前記試料用容器支持領域は、前記試料用容器の前記上端側面と当接することを特徴とする請求項3に記載のロータ。
  5. 前記切り欠け領域は、前記上下方向において、前記試料用容器支持領域がある高さに形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のロータ。
  6. 前記ロータは、前記試料用容器収容部の径方向外側かつ上側に外壁部を有し、前記切り欠け領域は、前記外壁部の内周面から前記試料用容器支持領域がある高さまで形成されていることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
  7. 前記試料用容器支持領域は、前記外壁部と一体に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のロータ。
  8. 前記回転軸の周りの周方向において、単一の前記試料用容器挿入孔の両側にそれぞれ前記切り欠け領域が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のロータ。
  9. 前記回転軸の周りの周方向において、前記試料用容器挿入孔と前記切り欠け領域とが交互に配列されたことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のロータ。
  10. 複数の前記試料用容器がそれぞれ装着される孔部である複数の内側試料用容器挿入孔を有し、その中心は、前記回転軸の周りにおける前記第1の円周よりも小さな第2の円周に沿うように配列して設けられたことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のロータ。
  11. 前記試料を収容し一方の側が封止された筒状の試料用容器本体と、前記試料用容器本体の他方の側に装着され前記試料用容器本体よりも大径とされた蓋部と、をそれぞれ具備する複数の前記試料用容器の各々が、複数の前記試料用容器挿入孔の各々に装着される構成とされたことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のロータ。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のロータが用いられ、前記ロータに装着された前記試料用容器内の試料に遠心力を印加する構成とされたことを特徴とする遠心機。
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