JP6627930B2 - コンバインの原動部 - Google Patents

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Description

本発明は、コンバインの原動部に係るものである。
従来、エンジン冷却用のファンと、ラジエターカバーの防塵ネットの付着物を除去する除塵用のファンを設け、この二つのファンを回転状態と停止状態とに背反的に切り替えて、エンジンの冷却と防塵ネットの塵埃を除去する構成は、公知である(特許文献1)。
特許5641160号公報
前記公知例は、エンジン冷却用のファンと、除塵用のファンを必要とするので、構成が複雑になるという課題がある。
本発明は、ファンの伝動機構およびその制御構成を工夫し、エンジンの回転により一つのファンを正逆回転駆動できるものとしたものである。
請求項1記載の発明は、エンジン(11)の外側にラジエーター(13)を設け、該ラジエーター(13)の外側には防塵用の濾過体(15)を設け、前記ラジエーター(13)と前記エンジン(11)との間にファン(12)を設け、該ファン(12)の駆動回転方向を正転方向と逆転方向に切換える伝動機構(K)を設け、前記伝動機構(K)は、入力軸(23)に設けた第一出力プーリー(26)とファン(12)の回転軸(27)に設けた第一入力プーリー(28)との間に第一伝動ベルト(29)を掛け回して正転伝動経路(S)を構成し、逆転軸(32)に設けた第二出力プーリー(33)とファン(12)の回転軸(27)に設けた第二入力プーリー(34)との間に第二伝動ベルト(35)を掛け回して逆転伝動経路(G)を構成し、前記第一伝動ベルト(29)に、前記正転伝動経路(S)における動力伝達を接続および遮断する第一テンションプーリー(40)を設け、前記第二伝動ベルト(35)に逆転伝動経路(G)における動力伝達を接続および遮断する第二テンションプーリー(41)を設け、前記第一テンションプーリー(40)と第二テンションプーリー(41)による動力伝達を切替モーター(50)によって背反的に接続および遮断する構成とし、前記エンジン(11)の出力軸(20)に設けた出力プーリー(21)と前記入力軸(23)に設けた入力プーリー(24)の間に伝動ベルト(25)を掛け回し、前記伝動ベルト(25)に接触および離脱自在なファン駆動入切プーリー(65)を設け、前記入力軸(23)に設けた第一平歯車(30)と前記逆転軸(32)に設けた第二平歯車(31)を収納するギヤボックス(22)を機体フレーム(1)上に設け、該ギヤボックス(22)の上部に前記逆転軸(32)を軸装し、ギヤボックス(22)の下部に前記入力軸(23)を軸装し、前記逆転伝動経路(G)における動力伝達を接続している状態から前記正転伝動経路(S)における動力伝達を接続する状態へ切り替える途中で、前記逆転伝動経路(G)における動力伝達が遮断されて前記ファン(12)の回転が停止するように切替モーター(50)の動作を一定時間停止させた後、動作を停止する前よりも緩速化した速度で切替モーター(50)を動作させて正転伝動経路(S)の動力伝達を接続する、コンバインの原動部としたものである。
請求項1記載の発明によれば、第一テンションプーリー(40)と第二テンションプーリー(41)による動力伝達を背反的に接続および遮断することにより、ファン(12)を逆転させて濾過体(15)の除塵を行うことができる。
また、エンジン(11)からの駆動回転をギヤボックス(22)の下部で受けることにより、伝動ベルト(25)のテンションによるモーメントがギヤボックス(22)にかかりにくくなる。
コンバインの側面図。 ラジエーターカバーの側面図。 エンジン周辺の正面図。 伝動機構の概略図。 ファン付近の拡大平面図。 伝動機構の一部側面図。 ギヤボックスの正面図。 同側面図。 ファン付近の側面図。 ギヤボックスの底面図。 ファン12の正逆回転切替制御説明図。
本発明の作業車両をコンバインの例にて図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は走行装置、3は走行装置2の上方の一側に設けた脱穀装置、4は刈取装置、5は脱穀装置4の側方に設けたグレンタンク、6は操縦部である(図1)。
前記走行装置2等のコンバインの各部は、運転座席8の下方付近に設けたエンジン11により駆動し、エンジン11の外側(走行方向右側)にはファン12を設け、ファン12の外側にラジエーター13を設け、ラジエーター13の外側にはラジエターカバー14を設ける。ラジエターカバー14に設けた開口部には濾過体15を設ける(図4)。16はファン12を包囲するシュラウドである。
ファン12は、伝動機構Kにより、正逆駆動回転自在に構成する。
前記伝動機構Kは、前記ファン12を機体外部から機体内部方向へ送風するべく正回転駆動する冷却状態と、前記ファン12を機体内部から機体外部方向へ送風するべく逆回転駆動する除塵状態とに切替自在に構成する。
即ち、伝動機構Kは、通常作業時でファン12を、機体外部から機体内部方向へ送風する正回転させ、所定の場合に、伝動機構Kから逆回転を伝達して機体内部から機体外部方向へ送風する逆回転させ、ラジエターカバー14の濾過体15の表側に付着している藁屑や塵埃等の付着物を吹散させて除去する。
ファン12は平歯車を噛み合わせて構成した伝動機構Kにより、正逆駆動回転自在に構成する。
これにより、シンプルな構成でファン12を正逆転駆動させられる。
伝動機構Kの一例を、図4に示すと、エンジン11の出力軸20の出力プーリー21とギヤボックス22の入力軸23の入力プーリー24との間にベルト25を掛け回す。入力軸23には別途第一出力プーリー26を設け、第一出力プーリー26とファン12の回転軸27の第一入力プーリー28との間に第一伝動ベルト29を掛け回し、正転伝動経路Sを構成する。
前記ギヤボックス22内の入力軸23には逆転用の第一平歯車30を固定し、第一平歯車30に第二平歯車31を噛み合わせ、第二平歯車31はギヤボックス22の逆転軸32に固定する。逆転軸32には別途第二出力プーリー33を設け、第二出力プーリー33とファン12の回転軸27の第二入力プーリー34との間に第二伝動ベルト35を掛け回し、逆転伝動経路Gを構成する。
これにより、伝動機構Kは、プーリーと逆転歯車31を有するギヤボックス22のシンプルな構成でファン12を正逆転駆動させられる。
また、ファン12の回転軸27に設けた第一入力プーリー28と第二入力プーリー34は2連プーリーとして構成し(図5)、2連プーリーの各溝に正転用の第一伝動ベルト29と逆転用の第二伝動ベルト35を掛け回す。
これにより、1個のファン12でエンジン11の冷却とラジエターカバー14の除塵とを行える。
この場合、ファン12の回転軸27に設けた第一入力プーリー28の第一伝動ベルト29と第二入力プーリー34の第二伝動ベルト35は、側面視において、一部が重なるように配置する(図6)。
これにより、ファン12からの冷却風の抵抗となるのを抑制できる。
また、ファン12の回転軸27に設けた第一入力プーリー28と第二入力プーリー34は、第一入力プーリー28をファン12から離すように内側に配置する。
これにより、第一入力プーリー28に掛け回した第一伝動ベルト29への風当たりを抑制する。
ファン12の回転軸27に設けた第一入力プーリー28と第二入力プーリー34とは、所謂2連プーリーとして一体化して形成し(図5)、第二入力プーリー34は第一入力プーリー28より右側に一定間隔をおいて配置してギヤボックス22から離している。
これにより、回転軸27には2本の第一伝動ベルト29、35の張力が掛かるが、第二入力プーリー34を遠ざけているので、回転軸27に発生するモーメントが小さくなる。
前記ギヤボックス22は、入力軸23の軸装部分である入力受部(上側部分)36を、逆転軸32の軸装部分である逆転受部(下側部分)37より、軸方向の厚さを薄く形成する(図7)。
これにより、下側が幅広で上方は薄く構成でき、各プーリーに発生するベルトの張力によるモーメントに耐える構成にすることができる。また、下方が幅広で左右に厚みを有して膨らんでいるので、潤滑油の量を増やすことができる。
前記ギヤボックス22は、上下方向の下方に入力軸23を、上方に逆転軸32を夫々配置する(図8)。
エンジン11からの駆動回転の入力をギヤボックス22の下方に受けることにより、テンション力によるギヤボックス22のモーメントが発生しにくい。
即ち、ギヤボックス22は、機体フレーム1側に取付けた逆転受部37の軸方向の厚さを厚く形成しているので(図7)、上部に比し剛性が高く、支持剛性の確保が容易となる、合理的構成にしている。
また、入力軸23からファン12に正転駆動する構成としているので、ギヤボックス22内の平歯車30、31が破損したとしても、エンジン11からの駆動をファン12に伝達でき、エンジン11への冷却風を確保できる。
側面視において、ギヤボックス22の入力軸23と逆転軸32とは斜めに配置する(図8、図9)。
これにより、シュラウド16の円形の開口部(送風口)38の中心外側に入力軸23と逆転軸32を配置でき、冷却風の通過面積を減少させない。
しかして、図6のように、第一伝動ベルト29には第一テンションプーリー40を接離自在に設けて正転駆動用のテンションクラッチを構成し、第二伝動ベルト35には第二テンションプーリー41を接離自在に設けて逆転駆動用のテンションクラッチを構成する。
この第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41とによりエンジン11からの駆動回転をファン12に正転と逆転とに切り替えて伝達する。
第一出力プーリー26と第二出力プーリー33の位置(距離間)は、夫々の第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41が第一伝動ベルト29と第二伝動ベルト35に接触しないように配置する。
即ち、第一テンションプーリー40は第一伝動ベルト29の下側移動部分に接離させ、第二テンションプーリー41は第二伝動ベルト35の下側移動部分に接離するように配置し(図6)、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41は、互いに、他方のベルト25の上側移動部分に第二テンションプーリー41が接触しないように、第二伝動ベルト35の下側移動部分に第一テンションプーリー40が接触しないようにしている。
したがって、第一テンションプーリー40と第二伝動ベルト35との干渉、および、第二テンションプーリー41とベルト25との干渉を防止する。
ファン12は、図9のように、回転軸27を支持プレート43に軸装し、支持プレート43は前記開口部38を跨ぐパイプ状の2本の支持体44に取付け、支持体44はシュラウド16の縦板部分45に取付ける。
このファン12を支持する支持プレート43に第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41のテンションアーム46の基部を夫々取付軸47により回動自在に取付ける。
これにより、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41の各テンションアーム46の回動支点の支持構成を、ファン12の支持構成と兼用でき、合理的構成となる。
第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41の各テンションアーム46は、図示は省略するが、テンションバネにより入り方向に常時付勢されている。
この場合、各テンションアーム46の取付軸47は、支持体44近傍の支持プレート43に配置する。
これにより、比較的肉厚の薄い支持プレート43でも第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41の支持強度を確保できる。
また、支持体44は、ファン12と第一入力プーリー28および第二入力プーリー34の2連プーリーとの間に配置する(図3、図5)。
これにより、ファン12に近い位置にて支持体44は回転軸27を支持するので、ファン12の支持剛性をたかめ、しかも、第一入力プーリー28および第二入力プーリー34の2連プーリーのベルト交換を容易にできる。
第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41は、何れも、切り状態の時、シュラウド16の開口部38より外れた位置に移動するように構成する(図9)。
これにより、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41が切りの時冷却風の通りを妨げず、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41が第一伝動ベルト29と第二伝動ベルト35に接触して入りとなっている時、ベルトを冷却できる。
第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41の動力伝達接続および遮断は、単一のモーター50により行う構成とし、切替モーター50と第二テンションプーリー41とはロッド51によりダイレクトに連結するが、切替モーター50と第一テンションプーリー40とはリンク機構Lを介在させて連結する構成としている。
これにより、第一テンションプーリー40が上方回動して入りとなると、第二テンションプーリー41を上方回動させて切りとする構成にでき、単一の切替モーター50による動力伝達接続および遮断を実現できる。
切替モーター50の出力軸(図示省略)には回転体52を設け、回転体52には一対のピン53を180度位相を変えて設け(図6、図9)、各ピン53にアーム54の一端を夫々取付け、一対のアーム54の内の一方にはロッド51の一端を軸着する。ロッド51の他端はプレート55の先端に取付け、プレート55の基部は第二テンションプーリー41のテンションアーム46の取付軸47に固定する。
一対のアーム54の内の他方アーム54にはリンク機構Lの一部を構成するロッド58の一端(上端)を軸着し、ロッド58の他端(下端)は第二テンションプーリー41のテンションアーム46の取付軸47に別途回動自在に設けたプレート59の先端に取付け、プレート59にはリンク機構Lのロッド60の一端を取付け、ロッド60の他端は第一テンションプーリー40のテンションアーム46の取付軸47に設けたアーム61に取付ける。
これにより、切替モーター50により回転体52を回転させると、一対のアーム54の一方は牽引され、他方は弛められ、これにより、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41の一方は入りになって、他方は切りになる。
このように、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41とは、何れも途中にプレート55とプレート59を介して作動するが、このプレート55とプレート59は第二テンションプーリー41の回動支点である取付軸47に取付けているので、正転と逆転との切替える際の切替モーター50の引き代を略同一としつつ、しかも、引き方向を同一にすることができ、一つの切替モーター50による切替えを可能にする合理的構成となっている。
なお、プレート55とプレート59は図示は省略するが、取付軸47の軸方向にずらして取り付けており、理解を容易にするため、図6では回動方向に位置をずらして図示しているが、これにより配置構成が限定されない。
第一テンションプーリー40に切替モーター50の操作力を伝達するプレート59とロッド60からなるリンク機構Lは、左右方向において、第一伝動ベルト29と第二伝動ベルト35を迂回して配置しているので、第一テンションプーリー40を確実に作動させる。
ファン12の回転軸27に設けた第一入力プーリー28と第二入力プーリー34とを2連プーリーとして一体化し、第一入力プーリー28と第二入力プーリー34を迂回して第一テンションプーリー40のロッド60とロッド58とプレート59とアーム61により構成するリンク機構Lを配置する。
これにより、第一テンションプーリー40のテンションアーム46が入力プーリー24と第一出力プーリー26の影響を受けない。
それゆえ、機体の左右幅を広げずに、第一テンションプーリー40のリンク機構Lを配置できる。
第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41を動力伝達接続位置および遮断位置に移動させる、一対のアーム54は、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41のテンションアーム46を引く方向に対して死点越えした位置で停止するように構成する(図6、図9)。
即ち、アーム54は回転体52が180度回転すると、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41との入切位置が入れ替わるが、このとき、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41のテンションアーム46を引く方向に対して死点越えした位置で停止させる。具体的には、ロッド51とロッド58の牽引方向と回転体52のピン53の位置とを直線状に配置している。
これにより、切替モーター50にテンション負荷が掛かるのを抑制でき、テンション力を低下させずに、動力伝達接続および遮断作動を安定させる。
また、入力軸23を下方に、逆転軸32を上方に配置し、第一伝動ベルト29と第二伝動ベルト35の張り側どうしを内側に設け、また、第一伝動ベルト29と第二伝動ベルト35の緩み側どうしを外側に設ける(図6)。
これにより、入力軸23と逆転軸32の軸間距離を小さくでき、伝動機構の小型化が図れる。
この場合、入力軸23と逆転軸32の軸間距離は、入力軸23に設けた第一出力プーリー26と逆転軸32の第二出力プーリー33の夫々に第一伝動ベルト29と第二伝動ベルト35を掛けるスペースを有するように設定する。
これにより、必要最小限の大きさとなる。
切替モーター50による第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41との動力伝達接続および遮断の切替は、切替モーター50をゆっくり作動させて正逆転切替を行う。
これにより、伝動機構Kに過大な負荷が掛かるのを抑制する。
また、この場合、「ゆっくり」とは、正逆転切替時に、正逆何れか一方回転が停止してから、他方回転させる構成とすると、所謂、ベルトの「鳴き」を抑制できる。
また、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41との入切切替は、現在入り状態となっているテンションクラッチの切り作動は早く行ってよいが、逆側の切り状態のテンションクラッチを入りにするときはゆっくり行う。
ファン12は両方のテンションクラッチを切りにした場合でも、慣性で空転するが、やがて空気抵抗によって停止する。テンションクラッチを切るときの異音発生は入り作動させるときより少ないので、切り作動は速く行ってよいが、逆側の切り状態のテンションクラッチを入りにするときはゆっくり行って、異音発生を抑制する。
切替モーター50は、シュラウド16の開口部38から外れた位置に配置する(図9)。
これにより、切替モーター50の存在が冷却風の抵抗とならない。
また、ベルト25にファン駆動入切プーリー65を接離自在に設け、ファン駆動入切プーリー65のテンションアーム66の基部を逆転軸32を支持するギヤボックス22の支柱部分67に回動自在に取付ける(図7)。
これにより、ファン駆動入切プーリー65の支持構成を、ギヤボックス22を利用できて、支持構造を簡素にして、コストダウンできる。
逆転軸32は伝動機構Kのギヤボックス22から第二出力プーリー33と反対側に突出させ、この突出部分の逆転軸32にエアーコンデショナー68の入力プーリー69に出力する出力プーリー70を設ける(図4、図7)。
これにより、ファン12の伝動機構Kからエアーコンデショナー68に駆動を伝達でき、別途、エンジン11からの伝動機構を設けずにすみ、シンプルな構成にでき、コストダウンを図れる。
ギヤボックス22は、左右に分割して形成し、ギヤボックス22内に第一平歯車30と第二平歯車31を内装し、左右のケース72を固定する締め付けナットは第一出力プーリー26と第二出力プーリー33の端面よりはみ出ないように構成する。
これにより、エンジン11とラジエーター13との間隔(距離)を小さくできる。また、締め付けナット73がベルト交換の邪魔にならない。
71はギヤボックス22の下面に設けた潤滑油の排出用のドレンであり(図10)、これにより、潤滑油を完全に排出でき、また、下面に設けているので、ギヤボックス22の幅を小型にできる。
しかして、前記切替モーター50は、正転と逆転とを交互に反復し、これにより、回転体52に取付けた一対の各アーム54を、180度反転させて、正転と逆転との切替を実行する。
すなわち、一対の各アーム54を、180度反転させると、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41の一方が入りになり、このとき、他方は切りになって、これを、交互に反復する。
これにより、一対のアーム54が、正転から逆転、逆転から正転への動く場合の負荷が交差するため、夫々発生する負荷を相殺することができ、切替モーター50へ掛かる負荷を軽減させることができる。
この切替モーター50によるファン12の正逆回転切替制御は、脱穀クラッチ(図示省略)を入りにしてから所定時間(例えば、10秒)経過後から(図11)、実行する構成とする。
これにより、脱穀装置3の作動開始から所定時間経過しているので、脱穀装置3の作動が安定しており、この状態で、ファン12の正逆回転切替を第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41の入切によって行っても、安定して確実に実行することができる。
なお、この切替モーター50によるファン12の正逆回転切替制御は、脱穀クラッチが入り状態ときのみ実行するようにしてもよい。
正転と逆転との切替は、アーム54を所定時間T(請求項における「第一の時間」回転体52とアーム54が正転位置から逆転位置へ回転するに要する時間。)の半分の時間で90度回転させ、回転後、アーム54の回転を一定時間停止させる。
これにより、アーム54の回転を一定時間停止させている状態では、ファン12へ回転動力が伝達されないため、ファン12の慣性による回転を空気抵抗等によって停止させるようにし、ファン12の回転が停止した後に、正転と逆転とを切替えて反対回転させる。
これにより、ベルト29、35に掛かる負荷が減少し、スリップ発生を抑制できる。
アーム54の回転を一定時間停止させて、ファン12の慣性による回転が停止するのを待って、その後、パルス出力で切替モーター50を駆動させてアーム54の反転開始させ、このパルスの間隔を制御できる最小時間で制御する構成とする。
パルスの間隔を制御できる最小時間で制御するので、可及的に小刻みにパルス信号を出すことによって、アーム54の動きが滑らかとなり、スムーズにアーム54を動かすことができ、ベルト29、35に掛かる負荷の増加状態も滑らかになり、スリップ発生を抑制できる。
ファン12の正逆回転切替制御の一例を、図11に示す。なお、理解を容易にするために、第一テンションプーリー40と第二テンションプーリー41の入切のタイミングと時間を例示して説明するが、これにより、本発明の構成は限定されない。
前記したように、脱穀クラッチが入り状態で、第一テンションプーリー40が入りのとき、ファン12は正転してエンジン11へ冷却風を送風している状態となり、ファン12の正転状態が所定第一の時間T1(3〜10秒)経過すると、切替モーター50を所定第一の時間T2(0.2秒)一方回転させて、回転体52を90度正回転させると、第一テンションプーリー40が切りになる。このとき、第二テンションプーリー41はまだ切り状態である。
回転体52の90度の正回転によって第一テンションプーリー40のクラッチ切り後の所定第一の時間T3(3秒)の間、切替モーター50の駆動を停止させる。この所定第一の時間T3の間、ファン12は慣性で回転し、このときの空気抵抗等により、ファン12の正回転は停止する。
次に、所定第一の時間T4(0.05秒)の間、切替モーター50に切替モーター50を更に一方回転させる逆転パルス出力が行われ、次に、切替モーター50へ一方回転させる切替モーター50への逆転出力を所定時間T5(0.15秒)停止させる。これにより、回転体52が90度位置を越えて正回転を再開し、次に、所定時間T4(0.05秒)の間、切替モーター50を更に一方回転させる逆転パルス出力が行われ、この逆転パルス出力後に、所定時間T5(0.15秒)の間逆転パルス出力を停止する。
この逆転パルス出力と逆転パルス出力の停止とを交互に反復して、回転体52とアーム54とが180度回転して反転位置に至り、この間に第二テンションプーリー41は徐々に入りとなって、切替モーター50が回転停止した状態では、ファン12が逆転してラジエターカバー14の濾過体15の除塵を行う。
次に、ファン12の逆回転開始後所定第一の時間T6(1〜3秒)経過すると、前記したT2〜T5の切替モーター50の回転制御を逆の順序で実行して、第二テンションプーリー41を切断して第一テンションプーリー40を入りにしてファン12の逆回転を正回転に切り換える。
なお、図11において、T7は正転クラッチと逆転クラッチの両方が切れた状態から、逆転側への出力を再開し、逆転クラッチが完全に接続されるまでに要する時間であり、T8は正転クラッチの入り状態から正転クラッチが切れ、逆転クラッチが入りとなるまでの時間であり、T9は前記T8に逆転継続時間T6を加えた1サイクル(1周期)の時間を示している。
このように、切替モーター50を回転制御することにより、ファン12を逆転させている間の、エンジンが冷却されないことによるオーバーヒートの発生を防止して、ラジエターカバー14の濾過体15の除塵を行う。
したがって、前記したファン12の正回転および逆回転させる時間は、任意に設定変更可能に構成している。
換言すると、回転体52とアーム54が正転位置から逆転位置、あるいは、逆転位置から正転位置へ回転する第一の時間Tは、第一の時間Tの1/2の時間でアーム54の回転を止め、その後、第一の時間Tの1/2の時間で反転位置まで回す構成とする。
ファン12の正逆回転を切り換えるアーム54を通常の切替モーター50の回転速度で一気に反転させると、例えば、正転側の第一テンションプーリー40が切りとなって、ファン12が慣性力で回っているときに、逆転側の第二テンションプーリー41が入りとなるため、ベルトのスリップが発生し、ベルトの摩耗を促進させてしまうが、第一の時間Tの1/2の時間でアーム54の回転を止め、その後、第一の時間Tの1/2の時間で反転位置まで回す構成としているので、ベルトの摩耗を防止できる。
また、アーム54が正転位置から逆転位置、あるいは、逆転位置から正転位置へ回転する時間をTとしたとき、ファン12が正回転からTの1/2の時間で、ファン12の回転が止まる間停止して、その後パルス信号で逆転用のテンションをゆっくり入れて反転位置まで動かす構成とし、反転位置になった状態で一定時間ファン12を逆転させる構成とする。
ラジエターカバー14の濾過体15に張り付いた藁屑や塵埃の付着物はファン12の回転が停止するだけでも落下するが、ファン12を逆回転させて外側方向に送風するので、付着物の除去を確実に行える。
この場合、反転位置になってから、アーム54の回転を停止させる所定時間を、ファン12の慣性による回転が停止するまでに要する時間よりも長く設定する。
これにより、ファン12の回転が停止してからアーム54を回転作動させて、正逆転制御を実行でき、ベルトの摩耗を防止できる。
また、切替モーター50の駆動停止後から反転位置まで駆動する場合、前記したように、第一テンションプーリー40または第二テンションプーリー41を入りにするときには、切替モーター50を駆動させるパルス出力と所定時間の切替モーター50の停止とを交互に反復させて実行する構成とする。
時間Tの1/2の時間経過してファン12の回転を止めてから、第一テンションプーリー40または第二テンションプーリー41を入りにしても、第一テンションプーリー40または第二テンションプーリー41を入りにするタイミングが早く、急激な負荷が掛かることがあるが、第一テンションプーリー40または第二テンションプーリー41を入りにするときには、切替モーター50を駆動させるパルス出力と所定時間の切替モーター50の停止とを交互に反復させて実行する構成としているので、第一テンションプーリー40または第二テンションプーリー41はゆっくり入りとなって、急激な負荷が掛かるのを防止して、ベルトの摩耗を防止できる。
また、切替モーター50を駆動させるパルス出力と所定時間の切替モーター50の停止との交互に反復に要する時間を、オペレータの平均操作時間に合わせると、オペレータの操作感に違和感を与えず、好適である。
1 機体フレーム
11 エンジン
12 ファン
13 ラジエーター
15 濾過体
21 出力プーリー
22 ギヤボックス
23 入力軸
24 入力プーリー
25 伝動ベルト
26 第一出力プーリー
27 回転軸
28 第一入力プーリー
29 第一伝動ベルト
30 第一平歯車
31 第二平歯車
32 逆転軸
34 第二入力プーリー
35 第二伝動ベルト
40 第一テンションプーリー
41 第二テンションプーリー
65 ファン駆動入切プーリー
G 逆転伝動経路
K 伝動機構
S 正転伝動経路

Claims (1)

  1. エンジン(11)の外側にラジエーター(13)を設け、該ラジエーター(13)の外側には防塵用の濾過体(15)を設け、前記ラジエーター(13)と前記エンジン(11)との間にファン(12)を設け、該ファン(12)の駆動回転方向を正転方向と逆転方向に切換える伝動機構(K)を設け、前記伝動機構(K)は、入力軸(23)に設けた第一出力プーリー(26)とファン(12)の回転軸(27)に設けた第一入力プーリー(28)との間に第一伝動ベルト(29)を掛け回して正転伝動経路(S)を構成し、逆転軸(32)に設けた第二出力プーリー(33)とファン(12)の回転軸(27)に設けた第二入力プーリー(34)との間に第二伝動ベルト(35)を掛け回して逆転伝動経路(G)を構成し、前記第一伝動ベルト(29)に、前記正転伝動経路(S)における動力伝達を接続および遮断する第一テンションプーリー(40)を設け、前記第二伝動ベルト(35)に逆転伝動経路(G)における動力伝達を接続および遮断する第二テンションプーリー(41)を設け、前記第一テンションプーリー(40)と第二テンションプーリー(41)による動力伝達を切替モーター(50)によって背反的に接続および遮断する構成とし、前記エンジン(11)の出力軸(20)に設けた出力プーリー(21)と前記入力軸(23)に設けた入力プーリー(24)の間に伝動ベルト(25)を掛け回し、前記伝動ベルト(25)に接触および離脱自在なファン駆動入切プーリー(65)を設け
    前記入力軸(23)に設けた第一平歯車(30)と前記逆転軸(32)に設けた第二平歯車(31)を収納するギヤボックス(22)を機体フレーム(1)上に設け、該ギヤボックス(22)の上部に前記逆転軸(32)を軸装し、ギヤボックス(22)の下部に前記入力軸(23)を軸装し、
    前記逆転伝動経路(G)における動力伝達を接続している状態から前記正転伝動経路(S)における動力伝達を接続する状態へ切り替える途中で、前記逆転伝動経路(G)における動力伝達が遮断されて前記ファン(12)の回転が停止するように切替モーター(50)の動作を一定時間停止させた後、動作を停止する前よりも緩速化した速度で切替モーター(50)を動作させて正転伝動経路(S)の動力伝達を接続する、コンバインの原動部。
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