JP6627900B2 - 空気調和装置 - Google Patents

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Description

本開示は、空気調和装置に関する。
特許文献1には、輻射型室内機と対流型室内機とを備えた空気調和装置が開示されている。輻射型室内機と、対流型室内機とは、冷媒回路に接続される。例えば暖房運転では、冷媒が輻射型室内機の発熱体で放熱・凝縮すると同時に、対流側室内機で放熱・凝縮する。
特開2015−25627号公報
輻射パネルを備えた空気調和装置において、熱交換器(例えば室外熱交換器)を除霜する運転を行うことが考えられる。具体的には、例えば圧縮機で圧縮した冷媒を、室外熱交換器で放熱させると同時に、放熱後の冷媒を輻射パネル及び室内熱交換器で蒸発させるデフロストサイクルを行うことが考えられる。この場合、デフロストサイクルでは、輻射パネルにおいて冷媒が周囲の空気から吸熱して蒸発する。このため、輻射パネルの周囲(例えば室内空間)の空気が冷やされてしまうという問題があった。
本開示の目的は、デフロストサイクルにおいて、輻射パネルによって空気が冷やされることを抑制できる空気調和装置を提供することである。
第1の態様は、第1熱交換器(22)と、第2熱交換器(31)と、該第2熱交換器(31)と並列に接続される輻射パネル(40)と、該輻射パネル(40)を流れる冷媒の流量を調節する膨張弁(51)とが接続される冷媒回路(11)と、前記輻射パネル(40)で冷房又は暖房を行う通常の冷凍サイクルと、前記第1熱交換器(22)を放熱器とし前記第2熱交換器(31)を蒸発器とするデフロストサイクルとを切り換えるための制御部(C1)とを備え、前記制御部(C1)は、前記デフロストサイクル中の一部の期間に前記膨張弁(51)を全閉状態とし、前記一部の期間と異なる他の期間に該膨張弁(51)を第1開度で開放状態とし、前記制御部(C1)は、前記デフロストサイクルの開始後に前記膨張弁(51)を全閉状態とし、次いで前記膨張弁(51)を前記第1開度で開放状態とすることを特徴とする空気調和装置である。
第1の態様では、デフロストサイクルの一部の期間に膨張弁()を全閉状態とするため、この期間において、冷媒が輻射パネル(40)の内部を流れることを抑制できる。このため、輻射パネル(40)が蒸発器となることを回避しつつ、第1熱交換器(22)の表面を除霜できる。デフロストサイクルの他の期間に膨張弁()が第1開度で開放状態となるため、輻射パネル(40)の内部の油を排出できる。この結果、デフロストサイクル中において、圧縮機(21)に戻される油の量が不足することを回避できる。
第2の態様は、第1の態様において、前記第1開度は、前記膨張弁(51)の最大開度より小さいことを特徴とする空気調和装置である。
第2の態様では、膨張弁(51)の開度が過剰に大きくなることに起因して冷媒の通過音が騒音となってしまうことを抑制できる。
第3の態様は、第2の態様において、前記第1開度は、前記膨張弁(51)の最大開度の50%以上であることを特徴とする空気調和装置である。
第3の態様では、膨張弁(51)の開度が過剰に小さくなることに起因して圧縮機(21)に戻る油の量が不足することを回避できる。
第4の態様は、第1乃至3の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部(C1)は、前記暖房を行う通常の冷凍サイクルから前記デフロストサイクルへ移行するまでの準備期間において、前記膨張弁(51)の開度を第2開度で開放状態とすることを特徴とする空気調和装置である。
第4の態様では、輻射パネル(40)の内部の油をデフロストサイクルの開始前に排出できる。
第5の態様は、第4の態様において、前記第2開度は、前記膨張弁(51)の最大開度より小さいことを特徴とする空気調和装置である。
第5の態様では、膨張弁(51)の開度が過剰に大きくなることに起因して冷媒の通過音が騒音となってしまうことを抑制できる。
第6の態様は、第5の態様において、前記第2開度は、前記膨張弁(51)の最大開度の50%以上であることを特徴とする空気調和装置である。
第6の態様では、膨張弁(51)の開度が過剰に小さくなることに起因して圧縮機(21)に戻る油の量が不足することを回避できる。
第7の態様は、第4乃至6の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部(C1)は、前記デフロストサイクルが開始される前に前記膨張弁(51)の開度を段階的に変更して前記第2開度とすることを特徴とする空気調和装置である。
第7の態様では、膨張弁(51)の開度が急激に大きくなることに起因して冷媒の通過音が騒音となってしまうことを抑制できる。
第8の態様は、第1乃至7の態様のいずれか1つにおいて、前記第1熱交換器(22)は、室外ユニット(20)に設けられ、前記第2熱交換器(31)は、室内ユニット(30)に設けられることを特徴とする空気調和装置である。
図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示す配管系統図である。 図2は、実施形態に係る輻射パネルの概略構成を示す正面図である。 図3は、準備運転及びデフロスト運転における、四方切換弁、室内膨張弁、及び輻射膨張弁の動作を示すタイミングチャートである。 図4は、変形例1に係る図3に相当する図である。 図5は、変形例2に係る図3に相当する図である。 図6は、変形例3に係る図3に相当する図である。
《実施形態》
本実施形態の空気調和装置(10)について図面を参照しながら説明する。
〈全体構成〉
空気調和装置(10)は、室内の冷房及び暖房を切り換えて行う。図1に示すように、空気調和装置(10)は、室外ユニット(20)と、室内ユニット(30)と、輻射パネル(40)とを備える。
室外ユニット(20)は、室外に設置される。室外ユニット(20)は、熱源ユニットを構成している。室外ユニット(20)には、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外膨張弁(23)、四方切換弁(24)、及び室外ファン(25)が設けられる。
室内ユニット(30)は、室内の天井付近に設けられる。室内ユニット(30)は、室内ファン(33)によって搬送される空気により、冷房又は暖房を行う対流型の室内機を構成する。室内ユニット(30)の数量は、1つ又は2つ以上である。各室内ユニット(30)には、室内熱交換器(31)、室内膨張弁(32)、及び室内ファン(33)が設けられる。
輻射パネル(40)は、室内の床面に設置される。輻射パネル(40)は、輻射熱の移動により、冷房又は暖房を行う輻射型の室内機を構成する。輻射パネル(40)の数量は、1つ又は2つ以上である。
空気調和装置(10)には、充填された冷媒が循環する冷媒回路(11)が構成される。冷媒回路(11)の詳細は後述する。
〈輻射パネルの全体構成〉
輻射パネル(40)の全体構成について図2を参照しながら説明する。輻射パネル(40)は、一対の支柱(41)と、パネル本体(52)(輻射熱交換器(52)ともいう)と、底板(42)とを備える。
支柱(41)は、輻射パネル(40)の左右側端に1つずつ設けられる。各支柱(41)は、床面上に立設し、上下方向に延びている。
パネル本体(52)は、一対の支柱(41)の間に設けられる。パネル本体(52)は、その前面及び後面が室内空間に露出している。
底板(42)は、一対の支柱(41)の下端に連結するように、該一対の支柱(41)の間を左右に延びている。底板(42)は、アンカーボルト等の締結部材(図示省略))を介して室内の床面に固定される。一対の支柱(41)の上端は、固定部(43)を介して天井側の吊りボルト(図示省略)と連結する。
輻射パネル(40)では、パネル本体(52)の下側に下部収容室(44)が形成される。下部収容室(44)には、パネル本体(52)から発生した結露水を回収するためのドレンパン(45)が設けられる。下部収容室(44)の前側及び後側の各開放面は、下部カバー(46)によってそれぞれ覆われる。各下部カバー(46)は、例えば一対の支柱(41)の下部に着脱可能に取り付けられる。
輻射パネル(40)では、パネル本体(52)の上側に上部収容室(47)が形成される。上部収容室(47)には、冷媒配管の液管(53)及びガス管(54)が収容される。液管(53)には、輻射膨張弁(51)(図2において図示省略)が接続される。上部収容室(47)の前側及び後側の各開放面は、上部カバー(48)によってそれぞれ覆われる。各上部カバー(48)は、例えば一対の支柱(41)の上部に着脱可能に取り付けられる。
〈冷媒回路の詳細な構成〉
冷媒回路(11)の構成について、図1を参照しながら更に詳細に説明する。冷媒回路(11)は、室外回路(12)、室内回路(13)、及び輻射回路(15)を含んでいる。室外回路(12)は、室外ユニット(20)に設けられ、室内回路(13)は室内ユニット(30)に設けられ、輻射回路(15)は輻射パネル(40)に設けられる。本実施形態では、室内ユニット(30)及び輻射パネル(40)が2本の連絡配管(16,17)を介して室外ユニット(20)に接続される。厳密には、室内回路(13)及び輻射回路(15)は、連絡配管としてのガス連絡配管(16)及び液連絡配管(17)を介して、室外回路(12)に接続される。
〈室外回路〉
室外回路(12)には、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)(第1熱交換器)、室外膨張弁(23)、及び四方切換弁(24)が接続される。圧縮機(21)は、可変容量式に構成される。より詳細には、インバータ装置により、圧縮機(21)の運転周波数(回転数)を制御することで、冷媒回路(11)の冷媒循環量を調節できる。室外熱交換器(22)の近傍には、室外空気を搬送する室外ファン(25)が設けられる。室外熱交換器(22)では、その内部を流れる冷媒と、室外ファン(25)が搬送する室外空気とが熱交換する。室外膨張弁(23)は、開度が可変な流量調節弁であり、例えば電子膨張弁で構成される。
四方切換弁(24)は、暖房運転と冷房運転とを切り換えるための切換機構を構成している。具体的に、四方切換弁(24)は、第1状態(図1の実線で示す状態)と第2状態(図1の破線で示す状態)とに切換可能に構成される。四方切換弁(24)は、冷房運転及びデフロスト運転(詳細は後述する)において第1状態に切り換わる。第1状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出側と室外熱交換器(22)のガス端部とを連通させると同時に、圧縮機(21)の吸入側とガス連絡配管(16)とを連通させる。四方切換弁(24)は、暖房運転において第2状態に切り換わる。第2状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出側とガス連絡配管(16)とを連通させると同時に、圧縮機(21)の吸入側と室外熱交換器(22)のガス端部とを連通させる。
室外回路(12)には、吐出圧力センサ(61)と吸入圧力センサ(62)とが設けられる。吐出圧力センサ(61)は、圧縮機(21)の吐出側に設けられる。吐出圧力センサ(61)は、圧縮機(21)の吐出冷媒の圧力(冷媒回路(11)の高圧圧力)を検出する。吸入圧力センサ(62)は、圧縮機(21)の吸入冷媒の圧力(冷媒回路(11)の低圧圧力)を検出する。
〈室内回路〉
室内回路(13)の数量は、室内ユニット(30)の数量に対応している。室内回路(13)の一端(液端部)は、液連絡配管(17)に接続される。室内回路(13)の他端(ガス端部)は、ガス連絡配管(16)に接続される。室内回路(13)には、その液端部からそのガス端部に向かって順に、室内膨張弁(32)及び室内熱交換器(31)(第2熱交換器)が接続される。室内膨張弁(32)は、開度が可変な流量調節弁(第1調節弁)であり、例えば電子膨張弁で構成される。室内熱交換器(31)の近傍には、室内空気を搬送する室内ファン(33)が設けられる。室内熱交換器(31)では、その内部を流れる冷媒と、室内ファン(33)が搬送する室内空気とが熱交換する。
室内回路(13)には、第1液側温度センサ(63)と、第1ガス側温度センサ(64)とが設けられる。第1液側温度センサ(63)は、室内熱交換器(31)の液側に設けられ、室内回路(13)を流れる液冷媒の温度を検出する。第1ガス側温度センサ(64)は、室内熱交換器(31)のガス側に設けられ、室内回路(13)を流れるガス冷媒の温度を検出する。
〈輻射回路〉
輻射回路(15)の数量は、輻射パネル(40)の数量に対応している。輻射回路(15)の一端(液端部)は、液連絡配管(17))に接続される。輻射回路(15)の他端(ガス端部)は、ガス連絡配管(16)に接続される。輻射回路(15)には、その液端部からガス端部に向かって順に、輻射膨張弁(51)及び輻射熱交換器(52)が接続される。輻射膨張弁(51)は、開度が可変な流量調節弁(第2調節弁)であり、例えば電子膨張弁で構成される。輻射熱交換器(52)の近傍には、空気を搬送するファンは設けられてない。つまり、輻射熱交換器(52)は、輻射熱の移動により、冷媒と室内空気とを熱交換させる。
輻射回路(15)には、第2液側温度センサ(65)と、第2ガス側温度センサ(66)とが設けられる。第2液側温度センサ(65)は、輻射熱交換器(52)の液側(液管(53))に設けられ、輻射回路(15)を流れる液冷媒の温度を検出する。第2ガス側温度センサ(66)は、輻射熱交換器(52)のガス側(ガス管(54))に設けられ、輻射回路(15)を流れるガス冷媒の温度を検出する。
〈室内コントローラ及び輻射コントローラ〉
図1に示すように、本実施形態の室内ユニット(30)には、室内コントローラ(C1)が設けられ、輻射パネル(40)には、輻射コントローラ(C2)(制御部)が設けられる。室内コントローラ(C1)及び輻射コントローラ(C2)のそれぞれは、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを用いて構成されている。室内コントローラ(C1)及び輻射コントローラ(C2)では、各種のセンサの検出信号や、制御信号等が入出力可能である。
室内コントローラ(C1)は、室内ユニット(30)の発停(いわゆるサーモオン/サーモオフ)を制御する。より詳細には、室内コントローラ(C1)は、室内空気の温度Trが、設定温度Tsに基づく所定値に至ると、室内ユニット(30)を停止(サーモオフ)させる。
室内コントローラ(C1)は、冷房運転において、室内膨張弁(32)の開度を、いわゆる過熱度制御する。具体的には、冷房運転では、室内熱交換器(31)で蒸発した後の冷媒の過熱度SH1が目標過熱度に近づくように、室内膨張弁(32)の開度が調節される。ここで、過熱度SH1は、例えば第1ガス側温度センサ(64)で検出した冷媒の温度と、吸入圧力センサ(62)で検出した低圧圧力に対応する飽和温度との差によって求められる。
室内コントローラ(C1)は、暖房運転において、室内膨張弁(32)の開度を、いわゆる過冷却度制御する。具体的には、暖房運転では、室内熱交換器(31)で凝縮した後の冷媒の過冷却度SC1が目標過冷却度に近づくように、室内膨張弁(32)の開度が調節される。ここで、過冷却度SC1は、例えば第1液側温度センサ(63)で検出した冷媒の温度と、吐出圧力センサ(61)で検出した高圧圧力に対応する飽和温度との差によって求められる。
室内コントローラ(C1)は、デフロスト運転において、室内膨張弁(32)の開度を所定開度で開放させる。この際の室内膨張弁(32)の開度は、所定の固定開度であってもよいし、例えば過熱度制御により適宜調節されてもよい。これにより、デフロスト運転では、室内熱交換器(31)が蒸発器として機能する。
輻射コントローラ(C2)は、冷房運転において、輻射膨張弁(51)の開度を、いわゆる過熱度制御する。具体的には、暖房運転では、輻射熱交換器(52)で蒸発した後の冷媒の過熱度SH2が目標過熱度に近づくように、輻射膨張弁(51)の開度が調節される。ここで、過熱度SH2は、例えば第2ガス側温度センサ(66)で検出した冷媒の温度と、吸入圧力センサ(62)で検出した低圧圧力に対応する飽和温度との差によって求められる。
輻射コントローラ(C2)は、暖房運転において、輻射膨張弁(51)の開度を、いわゆる過冷却度制御する。具体的には、暖房運転では、輻射熱交換器(52)で凝縮した後の冷媒の過冷却度SC2が目標過冷却度に近づくように、輻射膨張弁(51)の開度が調節される。ここで、過冷却度SC2は、例えば第2液側温度センサ(65)で検出した冷媒の温度と、吐出圧力センサ(61)で検出した高圧圧力に対応する飽和温度との差によって求められる。
輻射コントローラ(C2)は、デフロスト運転、及びその直前に実行される準備運転において、輻射膨張弁(51)の開度を制御する。具体的に、輻射コントローラ(C2)は、デフロスト運転において、輻射膨張弁(51)の開度が常に全閉状態とするように、該膨張弁(51)を制御する。輻射コントローラ(C2)は、準備運転において、輻射膨張弁(51)の開度を所定開度で開放状態とする(詳細は後述する)。
−運転動作−
実施形態1に係る空気調和装置(10)の運転動作について図1を参照しながら説明する。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。
〈冷房運転〉
冷房運転では、圧縮機(21)、室外ファン(25)、及び室内ファン(33)が運転される。四方切換弁(24)が第1状態となる。室外膨張弁(23)は所定開度(例えば全開)に開放される。室内膨張弁(32)及び輻射膨張弁(51)の開度が、過熱度制御される。冷房運転では、室外熱交換器(22)で凝縮・放熱した冷媒が、室内熱交換器(31)及び輻射熱交換器(52)(即ち、輻射パネル(40))で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
具体的に、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(22)で凝縮した冷媒は、室外膨張弁(23)を通過した後、液連絡配管(17)を流れる。液連絡配管(17)を流れる冷媒は、室内回路(13)と輻射回路(15)とに分流する。
室内回路(13)に流入した冷媒は、室内膨張弁(32)で減圧された後、室内熱交換器(31)を流れる。室内熱交換器(31)では、冷媒が、室内ファン(33)の搬送する空気から吸熱し、蒸発する。室内熱交換器(31)で蒸発した冷媒は、ガス連絡配管(16)へ流出する。
輻射回路(15)に流入した冷媒は、輻射膨張弁(51)で減圧された後、輻射熱交換器(52)を流れる。輻射熱交換器(52)では、冷媒が、輻射パネル(40)の周囲の室内空気から吸熱し、蒸発する。輻射熱交換器(52)で蒸発した冷媒は、ガス連絡配管(16)へ流出する。
ガス連絡配管(16)で合流した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
〈暖房運転〉
暖房運転では、圧縮機(21)、室外ファン(25)、及び室内ファン(33)が運転される。四方切換弁(24)が第2状態となる。室外膨張弁(23)は過熱度制御される。室内膨張弁(32)及び輻射パネル(40)の開度が、過冷却度制御される。暖房運転では、室内熱交換器(31)及び輻射熱交換器(52)でそれぞれ凝縮・放熱した冷媒が、室外熱交換器(22)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
具体的に、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、ガス連絡配管(16)を流れ、室外回路(12)と輻射回路(15)とに分流する。
室内回路(13)に流入した冷媒は、室内熱交換器(31)を流れる。室内熱交換器(31)では、冷媒が、室内ファン(33)の搬送する空気へ放熱し、凝縮する。室内熱交換器(31)で凝縮した冷媒は、室内膨張弁(32)を通過した後、液連絡配管(17)へ流出する。
輻射回路(15)に流入した冷媒は、輻射熱交換器(52)を流れる。輻射熱交換器(52)では、冷媒が、輻射パネル(40)の周囲の室内空気へ放熱し、凝縮する。輻射熱交換器(52)で凝縮した冷媒は、輻射膨張弁(51)を通過した後、液連絡配管(17)へ流出する。
液連絡配管(17)で合流した冷媒は、室外回路(12)へ流入し、室外膨張弁(23)で減圧された後、室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
−準備運転及びデフロスト運転の概要−
例えば上述した暖房運転を行うと、蒸発器となる室外熱交換器(22)の表面に霜が付くことがある。空気調和装置(10)は、室外熱交換器(22)を除霜するデフロスト運転を実行可能に構成される。デフロスト運転では、室外熱交換器(22)で冷媒が放熱・凝縮し、室内熱交換器(31)で冷媒が蒸発する冷凍サイクル(デフロストサイクル)が行われる。また、暖房運転からデフロスト運転へ切り換わる前には、準備運転が実行される。
〈準備運転〉
例えば上述した暖房運転において、室外熱交換器(22)の表面に霜が付いたことを示す条件Aが成立すると、デフロスト運転を実行するための第1信号が各コントローラ(C1,C2)に入力される。すると、暖房運転からデフロスト運転へ移行するための準備運転が始まる。ここで、準備運転は、第1信号が入力されてから所定の時間ΔT1が経過するまで実行され、その後、デフロスト運転に移行する。なお、条件Aは、例えば室外熱交換器(22)を流れる冷媒温度、室外熱交換器(22)を通過する空気温度、暖房運転の実行時間等に基づいて判定される。
準備運転では、圧縮機(21)の回転数が段階的に小さくなる。圧縮機(21)は、デフロスト運転が開始される前に停止状態となる。準備期間では、圧縮機(21)の回転数の低下に伴い室内膨張弁(32)の開度も小さくなる。この室内膨張弁(32)の開度の制御は、過冷却度制御でもよいし、室内膨張弁(32)の目標開度を徐々に小さくする制御でもよい。
準備運転では、暖房運転時の四方切換弁(24)の状態(第2状態)がそのまま維持される。従って、基本的な冷媒の流れは暖房運転と同様となる。
準備運転では、輻射コントローラ(C2)が、圧縮機(21)の回転数の低下に伴って輻射膨張弁(51)の開度を小さくする制御を行う。この輻射膨張弁(51)の開度の制御は、過冷却度制御でもよいし、室内膨張弁(32)の目標開度を徐々に小さくする制御でもよい。
〈デフロスト運転〉
準備運転が開始された後、ΔT1が経過すると、デフロスト運転が実行される。すると、四方切換弁(24)が第2状態から第1状態に切り換わる。デフロスト運転が開始されると、圧縮機(21)の回転数が目標回転数まで徐々に大きくなる。デフロスト運転の開始直後には、室内膨張弁(32)が所定の開度で開放状態となる。例えば室内膨張弁(32)は、過熱度制御されてもよいし、所定の目標開度に調節されてもよい。室外膨張弁(23)は、例えば全開状態となる。
デフロスト運転中には、輻射コントローラ(C2)が、輻射膨張弁(51)を一時的に開放状態とし、残りの期間は該輻射膨張弁(51)を全閉状態とする。本実施形態では、一部の期間(図3の期間P1及びP3)において、輻射膨張弁(51)が全閉状態に制御され、他の期間(図3の期間P2)において、輻射膨張弁(51)が開放状態に制御される。なお、「全閉状態」に対応する開度は、輻射パネル(40)の内部を実質的に冷媒が流れないようにする開度であり、必ずしもゼロパルスの開度に限られない。
期間P1及び期間P3では、基本的に以下のような冷凍サイクル(デフロストサイクル)が行われる。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒が、室外熱交換器(22)の表面の霜に放熱する。これにより、室外熱交換器(22)の霜が融けていく。室外熱交換器(22)で放熱・凝縮した冷媒は、液連絡配管(17)を流れる。
デフロスト運転では、室内膨張弁(32)は所定開度で開放状態となる。このため、液連絡配管(17)の冷媒は、室内膨張弁(32)で減圧された後、室内熱交換器(31)で蒸発する。蒸発した冷媒は、ガス連絡配管(16)を流れた後、圧縮機(21)に吸入される。
一方、期間P1及び期間P3では、輻射膨張弁(51)が全閉状態となる。このため、液連絡配管(17)の冷媒が、輻射回路(15)ないし輻射パネル(40)(輻射熱交換器(52))へ送られることはない。仮に、冷媒が輻射パネル(40)の内部を流れると、冷媒が輻射パネル(40)で蒸発してしまう。この場合、パネル本体(52)の表面温度が下がってしまい、室内空間の暖房負荷が増大してしまう。また、在室者がパネル本体(52)に触れると、在室者が冷たく感じてしまう。
これに対し、本実施形態では、期間P1及び期間P3において、輻射膨張弁(51)が全閉状態となるため、これらの期間では、冷媒の蒸発に起因して輻射パネル(40)が冷えてしまうことを確実に回避できる。この結果、暖房負荷が増大したり、在室者の快適性が損なわれたりすることを確実に回避できる。
一方、デフロスト運転の全期間に亘り、輻射膨張弁(51)が全閉状態であると、輻射膨張弁(51)の内部に油(冷凍機油)が溜まっていくため、圧縮機(21)に戻る油の量が不足してしまう可能性がある。そこで、デフロスト運転では、一部の期間(期間P2)において、輻射膨張弁(51)が第1開度で開放状態となる。このため、期間P2では、輻射パネル(40)の内部に溜まった油を、冷媒とともに排出できる。この結果、デフロスト運転では、十分な油を確保でき、圧縮機(21)の潤滑不良を回避できる。
本実施形態の第1開度は、輻射膨張弁(51)の最大開度を100%(例えば約2000パルス)とすると、50%(例えば約1000パルス)の開度に設定される。輻射膨張弁(51)の開度を最大開度の50%以上とすることで、輻射パネル(40)内の油を十分に排出できる。
デフロスト運転中において、室外熱交換器(22)の除霜が完了したことを示す条件Bが成立すると、デフロスト運転を終了させるための第2信号が各コントローラ(C1,C2)に入力される。すると、デフロスト運転から通常の運転(暖房運転)に移行する。なお、条件Bは、例えば室外熱交換器(22)を流れる冷媒温度、室外熱交換器(22)を通過する空気温度、デフロスト運転の実行時間等に基づいて判定される。
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、デフロスト運転中において、一部の期間(期間P1及びP3)に輻射膨張弁(51)を全閉状態とし、他の期間(期間P2)に輻射膨張弁(51)を開放状態とする。このため、期間P1及びP3においては、輻射パネル(40)で冷媒が蒸発することを確実に回避でき、期間P2においては、輻射パネル(40)内の油を確実に排出できる。
室内熱交換器(31)は、室内ユニット(30)の内部にあるため、冷媒が蒸発しても室内空間の温度にはさほど影響しない。特に、室内ファン(33)を停止すれば、この影響は極めて小さい。これに対し、輻射パネル(40)は、室内空間の床面に設置され、パネル本体(52)は室内空間に露出するように構成される。このため、輻射パネル(40)が蒸発器になると、輻射により、在室者の周囲温度が低下しやすい。また、輻射パネル(40)は、在室者の手の届く位置にあるため、在室者が輻射パネル(40)に触れてしまうと、在室者が冷たく感じ、不快感を覚える。これに対し、本実施形態では、期間P1及びP3において、輻射パネル(40)の周囲温度が低下したり、在室者が不快感を覚えたりすることを確実に回避できる。
期間P2において、輻射膨張弁(51)の開度を第1開度で開放状態とすると、輻射パネル(40)内の油を排出し、圧縮機(21)側へ送ることができる。このため、デフロストサイクル中における圧縮機(21)の潤滑不良を回避できる。
上記実施形態によれば、第1開度が、輻射膨張弁(51)の最大開度より小さい開度となる。輻射膨張弁(51)の開度が大きすぎると、輻射膨張弁(51)を流れる冷媒の量が多くなり、冷媒の通過音が騒音となってしまう可能性がある。これに対し、輻射膨張弁(51)の開度を最大開度より小さくすることで、このような騒音を抑制できる。
上記実施形態によれば、第1開度が、輻射膨張弁(51)の最大開度の50%以上となる。これにより、輻射パネル(40)の内部の油を確実に排出できる。
《変形例1》
図4に示す変形例1は、上記実施形態と準備期間における輻射膨張弁(51)の制御が異なる。
準備運転では、輻射コントローラ(C2)が、第1信号に同期して輻射膨張弁(51)を所定開度(第2開度)で開放状態とする。本実施形態の第2開度は、輻射膨張弁(51)の最大開度を100%(例えば約2000パルス)とすると、50%(例えば約1000パルス)の開度に設定される。
準備期間において、輻射膨張弁(51)の開度を強制的に開放状態とすると、輻射パネル(40)の内部にある油(冷凍機油)を確実に排出できる。この結果、その後のデフロスト運転において、圧縮機(21)の潤滑不良を回避できる。
輻射膨張弁(51)の開度が第2開度に変更されてから、時間ΔT2が経過すると、輻射膨張弁(51)が全閉状態となる。ΔT2はΔT1より短い期間である。これにより、輻射膨張弁(51)は、その開度が第2開度になった後、且つデフロスト運転が開始される前に、全閉状態となる。
変形例1によれば、デフロストサイクルが開始される前に輻射膨張弁(51)の開度を第2開度で開放状態とする。これにより、デフロスト運転の前から輻射パネル(40)内の油を排出し、圧縮機(21)側へ送ることができる。従って、デフロストサイクル中における圧縮機(21)の潤滑不良を確実に回避できる。
変形例1によれば、第2開度が、輻射膨張弁(51)の最大開度より小さい開度となる。輻射膨張弁(51)の開度が大きすぎると、輻射膨張弁(51)を流れる冷媒の量が多くなり、冷媒の通過音が騒音となってしまう可能性がある。これに対し、輻射膨張弁(51)の開度を最大開度より小さくすることで、このような騒音を抑制できる。
上記実施形態によれば、第2開度が、輻射膨張弁(51)の最大開度の50%以上となる。これにより、準備期間において、輻射パネル(40)の内部の油を確実に排出できる。
《変形例2》
図5に示す変形例2は、実施形態及び変形例1と準備運転の制御が異なる。変形例2の準備運転では、第1信号が入力されると、輻射膨張弁(51)の開度が段階的に変更される。具体的に、輻射コントローラ(C2)は、第1信号が入力されると、輻射膨張弁(51)の目標開度を最終的な目標開度(第2開度)に近づけるように段階的に変化させる。これにより、輻射膨張弁(51)の開度は、第2開度に収束するように徐々に変化する。その後、ΔT2が経過すると、輻射膨張弁(51)が全閉状態となる。
変形例2では、輻射膨張弁(51)の開度が段階的に変化するため、輻射膨張弁(51)の開度が急峻に大きくなることを抑制できる。輻射膨張弁(51)の開度が急峻に大きくなると、多量の液冷媒が輻射膨張弁(51)を通過することで、騒音が発生する可能性がある。これに対し、輻射膨張弁(51)を徐々に開放すると、輻射膨張弁(51)を瞬時的に流れる冷媒の流量を低減できる。加えて、このように輻射膨張弁(51)の開度を徐々に大きくすると、準備運転において、輻射パネル(40)を流れる冷媒の過冷却度を徐々に小さくでき、気液二相状態にまで遷移させることができる。以上の制御により、輻射膨張弁(51)における冷媒の通過音を低減できる。なお、このような輻射膨張弁(51)の制御においては、冷媒の過冷却度が5℃以下となるように、輻射膨張弁(51)の開度を段階的に変更するのがよい。また、目標開度を段階的に変化させる期間を短くすることで、実質的には目標開度をリニアーに変化させてもよい。
《変形例3》
図6に示す変形例3では、デフロスト運転において、複数の期間(本例では2つの期間P2、P4)において、輻射膨張弁(51)が開放状態となる。例えば期間P2では、輻射膨張弁(51)が第1開度(例えば全開開度の50%)で開放される。例えば期間P4では、輻射膨張弁(51)が第1開度より大きい開度で開放される。このように、デフロスト運転において、ある期間では第1開度で輻射膨張弁(51)を開放状態とし、別の期間において第1開度と異なる開度で輻射膨張弁(51)を開放状態としてもよい。
《その他の実施形態》
上述した空気調和装置(10)は、室内熱交換器(31)及び輻射パネル(40)の全てが放熱器となる暖房運転や、室内熱交換器(31)及び輻射パネル(40)の全てが蒸発器となる冷房運転を行う。しかしながら、空気調和装置(10)は、室内熱交換器(31)及び輻射パネル(40)の一方が蒸発器となり他方が凝縮器となる冷房同時運転を行う方式(いわゆる冷暖フリー式)であってもよい。この場合、連絡配管の本数は、2本であっても3本であってもよい。
空気調和装置(10)は、輻射パネル(40)(厳密には、輻射熱交換器(52))と室内熱交換器(31)が1つのユニット(例えば床置きユニット)に収容される方式であってもよい。
空気調和装置(10)は、室内熱交換器(31)が省略される一方、デフロスト運転専用の熱交換器(第1熱交換器)を備えていてもよい。例えば冷房運転では、室外熱交換器(22)が放熱器となり、輻射パネル(40)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。暖房運転では、輻射パネル(40)が放熱器となり、室外熱交換器(22)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。また、デフロスト運転では、室外熱交換器(22)(第1熱交換器)が放熱器となり、デフロスト専用の熱交換器(第2熱交換器)が蒸発器となる冷凍サイクル(デフロストサイクル)が行われる。
室内ユニット(30)は、天井側に設けられる天井設置式(厳密には、天井吊り下げ式や天井埋め込み式)以外にも、床面に設置される床置き式や、壁面に設置される壁掛け式であってもよい。
輻射パネル(40)は、床置き式以外にも、天井側に設けられる天井設置式や、壁面に設置される壁掛け式であってもよい。
以上説明したように、本開示は、空気調和装置について有用である。
10 空気調和装置
11 冷媒回路
20 室外ユニット
22 室外熱交換器(第1熱交換器)
30 室内ユニット
31 室内熱交換器(第2熱交換器)
40 輻射パネル
51 輻射膨張弁(膨張弁)

Claims (8)

  1. 第1熱交換器(22)と、第2熱交換器(31)と、該第2熱交換器(31)と並列に接続される輻射パネル(40)と、該輻射パネル(40)を流れる冷媒の流量を調節する膨張弁(51)とが接続される冷媒回路(11)と、
    前記輻射パネル(40)で冷房又は暖房を行う通常の冷凍サイクルと、前記第1熱交換器(22)を放熱器とし前記第2熱交換器(31)を蒸発器とするデフロストサイクルとを切り換えるための制御部(C1)とを備え、
    前記制御部(C1)は、前記デフロストサイクル中の一部の期間に前記膨張弁(51)を全閉状態とし、前記一部の期間と異なる他の期間に該膨張弁(51)を第1開度で開放状態とし、
    前記制御部(C1)は、前記デフロストサイクルの開始後に前記膨張弁(51)を全閉状態とし、次いで前記膨張弁(51)を前記第1開度で開放状態とすることを特徴とする空気調和装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1開度は、前記膨張弁(51)の最大開度より小さいことを特徴とする空気調和装置。
  3. 請求項2において、
    前記第1開度は、前記膨張弁(51)の最大開度の50%以上であることを特徴とする空気調和装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
    前記制御部(C1)は、前記暖房を行う通常の冷凍サイクルから前記デフロストサイクルへ移行するまでの準備期間において、前記膨張弁(51)の開度を第2開度で開放状態とすることを特徴とする空気調和装置。
  5. 請求項4において、
    前記第2開度は、前記膨張弁(51)の最大開度より小さいことを特徴とする空気調和装置。
  6. 請求項5において、
    前記第2開度は、前記膨張弁(51)の最大開度の50%以上であることを特徴とする空気調和装置。
  7. 請求項4乃至6のいずれか1つにおいて、
    前記制御部(C1)は、前記デフロストサイクルが開始される前に前記膨張弁(51)の開度を段階的に変更して前記第2開度とすることを特徴とする空気調和装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、
    前記第1熱交換器(22)は、室外ユニット(20)に設けられ、
    前記第2熱交換器(31)は、室内ユニット(30)に設けられることを特徴とする空気調和装置。
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