JP6627801B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナー及びその製造方法に関し、特にカプセルトナー及びその製造方法に関する。
特許文献1には、トナーの結着樹脂として水溶性樹脂を使用した技術が開示されている。特許文献1では、水溶性樹脂を不溶化処理し、水溶性樹脂の疎水性を強めることで、高湿環境下でのトナーの流動性の低下を抑制している。
特開平4−278960号公報
上記特許文献1に開示された技術だけでは、優れた帯電性を有するトナーを得ることは難しい。特許文献1に記載されているトナーは、電荷減衰し易いと考えられる。トナーの結着樹脂として、スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含む樹脂を使用することで、トナーの帯電性を向上させることも考えられる。しかし、こうした結着樹脂を使用すると、トナーの低温定着性が悪くなる傾向がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、十分なトナーの低温定着性を確保しつつ、トナーの電荷減衰を抑制することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、第1樹脂及び第2樹脂を含有するトナー粒子を、複数含む。前記第1樹脂は、酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含む。前記第2樹脂は、酸基及び/又は水酸基を有する繰返し単位を含む。下記第1測定方法により測定される、前記トナー粒子の表層部に存在する水溶性成分の質量Wと、下記第2測定方法により測定される、前記トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の質量Wとは、下記式(1)及び(2)の両方を満たす。前記第1樹脂は、下記第1測定方法及び下記第2測定方法において、テトラヒドロフランには溶けるが、水には溶けない樹脂である。前記第2樹脂は、下記第1測定方法及び下記第2測定方法において、水及びテトラヒドロフランの両方に溶ける樹脂である。
/W≦0.0075 …(1)
500mg≦W …(2)
前記第1測定方法では、水10mLに前記トナー5gを加えて得たトナー分散液について温度25℃の条件で30分間の超音波処理を行った後、固液分離を行い、得られた水相に溶けている前記トナーの成分の質量Wを測定する。
前記第2測定方法では、テトラヒドロフラン20mLに前記トナー5gを加えて得たトナー分散液を温度25℃、回転速度300rpmの条件で30分間の攪拌処理を行った後、固液分離を行い、テトラヒドロフランに溶けたトナー成分を含むTHF溶液を得て、得られたTHF溶液に水200mLを加えて、温度98℃の条件でテトラヒドロフランを留去し、残った水相に溶けている前記トナーの成分の質量Wを測定する。
本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを含む。前記第1工程では、第1樹脂と第2樹脂とを溶融混練して、前記第1樹脂と前記第2樹脂とを含む溶融混練物を得る。前記第2工程では、前記溶融混練物を粉砕して、粉体を得る。前記第3工程では、水中で前記粉体に超音波処理を行う。前記第1樹脂は、酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含み、テトラヒドロフランには溶けるが、水には溶けない樹脂である。前記第2樹脂は、酸基及び/又は水酸基を有する繰返し単位を含み、水及びテトラヒドロフランの両方に溶ける樹脂である。
本発明によれば、十分なトナーの低温定着性を確保しつつ、トナーの電荷減衰を抑制することが可能になる。
本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、粉体(より具体的には、トナー母粒子、外添剤、又はトナー等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−750」)を用いて測定した値である。また、粉体の円形度(=粒子の投影面積と等しい円の周囲長/粒子の周囲長)の測定値は、何ら規定していなければ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、相当数(例えば、3000個)の粒子について測定した値の個数平均である。
ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。示差走査熱量計で測定された2回目昇温時の吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)において、ガラス転移に起因する変曲点(ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度(オンセット温度)が、Tg(ガラス転移点)に相当する。また、分子量(例えば、数平均分子量)の測定値は、何ら規定していなければ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、周知の帯電列などで確認できる。
疎水性の強さ(又は親水性の強さ)は、例えば水滴の接触角(水の濡れ易さ)で表すことができる。水滴の接触角が大きいほど疎水性が強い。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。また、アクリロイル(CH=CH−CO−)及びメタクリロイル(CH=C(CH)−CO−)を包括的に「(メタ)アクリロイル」と総称する場合がある。
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含む粉体である。なお、正帯電性トナーは、摩擦により正に帯電する。
トナー粒子は、トナー母粒子と外添剤とを備える。外添剤は、トナー母粒子の表面に付着している。トナー母粒子は、結着樹脂を含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、内添剤(例えば、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を含有してもよい。必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。磁性トナーは、キャリアと混合せずに、そのまま1成分現像剤として好適に用いることができる。磁性トナーでは、トナー母粒子が、磁性粉を含有する磁性粒子である。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、電子写真装置の像形成部(例えば、帯電装置及び露光装置)が、画像データに基づいて感光体(例えば、感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。続けて、電子写真装置の現像装置(詳しくは、磁性トナーがセットされた現像装置)が、トナーを感光体に供給して、感光体に形成された静電潜像を現像する。現像装置は、現像ローラー(表層部:現像スリーブ)と、現像ローラーの表面に担持されたトナーを帯電させるためのトナー帯電部材(例えば、ブレード)とを備える。トナー帯電部材は、現像ローラー上のトナーの量(トナー層の厚さ)を規制する役割を担ってもよい。トナーは、感光体に供給される前に、現像装置内で現像スリーブ又はトナー帯電部材との摩擦により帯電する。例えば、正帯電性トナーは正に帯電する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ上のトナー(詳しくは、帯電したトナー)が感光体に供給され、供給されたトナーが感光体の静電潜像に付着することで、感光体上にトナー像が形成される。消費されたトナーは、補給用トナーを収容するトナーコンテナから現像装置へ補給される。
続く転写工程では、電子写真装置の転写装置が、感光体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、電子写真装置の定着装置(定着方式:加熱ローラー及び加圧ローラーによるニップ定着)がトナーを加熱及び加圧して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。転写工程の後、感光体上に残ったトナーは、クリーニング部材(例えば、クリーニングブレード)により除去される。
トナー(例えば、非磁性トナー)を用いて2成分現像剤を調製して、得られた2成分現像剤を現像装置にセットしてもよい。混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合することで、2成分現像剤が得られる。現像装置内で2成分現像剤(トナー及びキャリア)が攪拌されることで、トナーは、キャリアとの摩擦により帯電する。例えば、正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。画像形成に適したキャリアの例としては、フェライトキャリア(フェライト粒子の粉体)が挙げられる。また、長期にわたって高画質の画像を形成するためには、キャリアコアと、キャリアコアを被覆する樹脂層とを備える磁性キャリア粒子を使用することが好ましい。キャリア粒子に磁性を付与するためには、磁性材料(例えば、フェライトのような強磁性物質)でキャリアコアを形成してもよいし、磁性粒子を分散させた樹脂でキャリアコアを形成してもよい。また、キャリアコアを被覆する樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。樹脂層を構成する樹脂の例としては、フッ素樹脂(より具体的には、PFA又はFEP等)又はシリコーン樹脂が挙げられる。高画質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの量は、キャリア100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。キャリアの個数平均1次粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましい。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する静電潜像現像用トナーである。
[トナーの基本構成]
静電潜像現像用トナーが、下記第1樹脂と、下記第2樹脂とを含有するトナー粒子を、複数含む。また、下記第1測定方法により測定される、トナー粒子の表層部に存在する水溶性成分の質量Wと、下記第2測定方法により測定される、トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の質量Wとが、次に示す式(1)及び(2)の両方を満たす。
/W≦0.0075 …(1)
500mg≦W …(2)
(第1樹脂)
第1樹脂は、酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含む。第1樹脂は、下記第1測定方法及び下記第2測定方法の各々において、テトラヒドロフランには溶けるが、水には溶けない樹脂である。
(第2樹脂)
第2樹脂は、酸基及び/又は水酸基を有する繰返し単位を含む。第2樹脂は、下記第1測定方法及び下記第2測定方法の各々において、水及びテトラヒドロフランの両方に溶ける樹脂である。
(第1測定方法)
第1測定方法では、水10mLにトナー5gを加えて得たトナー分散液について温度25℃の条件で30分間の超音波処理を行った後、固液分離を行い、得られた水相に溶けているトナーの成分の質量Wを測定する。水相に溶けているトナーの成分の質量Wは、固液分離により固形物(不溶分)が除去される。乾燥(脱水)後、残留物の質量を測定することで、得られる。
(第2測定方法)
第2測定方法では、テトラヒドロフラン20mLにトナー5gを加えて得たトナー分散液を温度25℃、回転速度300rpmの条件で30分間の攪拌処理を行った後、固液分離を行い、テトラヒドロフランに溶けたトナー成分を含むTHF溶液を得る。固液分離により固形物(不溶分)が除去される。得られたTHF溶液に水200mLを加えて、温度98℃の条件でテトラヒドロフランを留去し、残った水相に溶けているトナーの成分の質量Wを測定する。水相に溶けているトナーの成分の質量Wは、乾燥(脱水)後、残留物の質量を測定することで、得られる。
以下、上記基本構成において、第1測定方法により測定される、トナー粒子の表層部に存在する水溶性成分の質量Wを、「水溶性表層質量W」と記載する場合がある。また、上記基本構成において、第2測定方法により測定される、トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の質量Wを、「水溶性全体質量W」と記載する場合がある。また、上記基本構成で規定される第1樹脂を、「特定非水溶性樹脂」と記載する場合がある。また、上記基本構成で規定される第2樹脂を、「特定水溶性樹脂」と記載する場合がある。また、酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマーを、「疎水性スチレン系モノマー」と記載する場合がある。
一般に、結着樹脂としてスチレン−アクリル酸系樹脂を使用したトナー(以下、S−Acトナーと記載する)と、結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用したトナー(以下、PESトナーと記載する)とが知られている。S−Acトナーは、PESトナーに比べて、帯電性では優れるが、定着性では劣る傾向がある。このため、帯電性が要求される用途ではS−Acトナーが使用され、定着性が要求される用途ではPESトナーが使用される傾向がある。
本願発明者は、スチレン−アクリル酸系樹脂に主に帯電性を付与している単量体が疎水性スチレン系モノマーであること(第1の着眼点)に着眼した。また、本願発明者は、トナー定着時において、疎水性スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含む樹脂(結着樹脂)と紙(記録媒体)との親和性が悪いことが、トナーの定着性を阻害していること(第2の着眼点)に着眼した。そして、本願発明者は、トナーと記録媒体との親和性を向上させるために実験及び検討を重ねた。
本願発明者は、トナーと記録媒体との親和性を向上させるための第1の対策として、疎水性スチレン系モノマーに代えて、酸基及び水酸基の少なくとも一方を有するスチレン系モノマーを使用することを考えた。しかし、この方法では、トナーと記録媒体との親和性は向上する傾向があるが、トナーの帯電性は、逆に悪くなる傾向がある。
本願発明者は、トナーと記録媒体との親和性を向上させるための第2の対策として、疎水性スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含む樹脂に加えて、水溶性樹脂を、結着樹脂として使用することを考えた。しかし、この方法でも、上記第1の対策と同様に、トナーと記録媒体との親和性は向上する傾向があるが、トナーの帯電性は、逆に悪くなる傾向がある。
本願発明者は、上記第2の対策に関して、トナーと記録媒体との親和性が向上した原理と、トナーの帯電性が悪くなった原因とを分析し、第2の対策を改良して、帯電性及び定着性の両方に優れるトナー(すなわち、前述の基本構成を有するトナー)を得ることに成功した。本願発明者は、上記第2の対策でトナーの帯電性が悪くなった理由は、トナー粒子の表面に水分子が吸着し易くなって、トナー粒子の帯電量が減衰し易くなったからであると推察した。また、本願発明者は、トナー粒子の表層部に存在する水溶性成分が、トナーの帯電性を阻害していると考えた。トナーと記録媒体との親和性が向上した理由に関しては、トナー定着時において、結着樹脂が溶けることによって、トナー粒子の全体に存在する水溶性成分が記録媒体上に流れ出て、トナーと記録媒体との親和性を向上させたと、本願発明者は考えた。
前述の基本構成を有するトナーは、式(1)「W/W≦0.0075」と、式(2)「500mg≦W」との両方を満たす。質量Wは、トナー粒子の表層部に存在する水溶性成分の質量(詳しくは、トナー5gあたりの質量)に相当し、質量Wは、トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の質量(詳しくは、トナー5gあたりの質量)に相当する。トナー粒子の表層部に存在する水溶性成分の量は、トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の量に対して、十分少ない。このため、トナー粒子の表面に水分子が吸着しにくくなり、高温高湿環境下でのトナー粒子の帯電量の減衰が抑制されると考えられる。また、トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の量は、十分多い。このため、トナー定着時において、結着樹脂が溶けることによって、トナー粒子から十分な量の水溶性成分が記録媒体上に流れ出て、トナーと記録媒体との親和性を向上させると考えられる。
前述の基本構成を有するトナーでは、トナー粒子が、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂とを含有する。前述の式(1)及び(2)の両方を満たすようなトナーは、例えば、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂との溶融混練物を粉砕して粉体(粉砕物)を得て、得られた粉体に水中で超音波処理を行うことにより、製造できる。水中で超音波処理を行うことで、トナー粒子の表層部に存在する水溶性成分を除去することができる。
互いに相溶し易い非水溶性樹脂と水溶性樹脂とを含む混合物を溶融混練すると、得られた溶融混練物の全体に水溶性成分が均一に微分散する。こうした溶融混練物を粉砕して得られた粉砕物(トナー母粒子の粉体)では、各粒子(トナー母粒子)の全体に、水溶性成分が均一に微分散している。こうした粉砕物(トナー母粒子の粉体)に水中で超音波処理を行うと、トナー母粒子の表層部(旧表層部:超音波処理前の表層部)が溶けることで新たに露出する表層部(新表層部:超音波処理後の表層部)も、旧表層部と同程度の水溶性成分を含有していることになる。このため、トナー母粒子の表層部を溶かしても、トナー母粒子の表層部に存在する水溶性成分の量は、ほとんど減らない。トナー母粒子の表層部に存在する水溶性成分の量を超音波処理によって減らすためには、溶融混練物の粉砕後において、水溶性成分がトナー母粒子中に偏って存在する必要がある。
前述の基本構成を有するトナーでは、特定非水溶性樹脂が、疎水性スチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含むことで、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂とが相溶しにくくなる。特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂との溶融混練物では、水溶性成分が、比較的大きなドメインになって、トナー母粒子中に偏って存在すると考えられる。溶融混練物の粉砕後において、粉砕物(トナー母粒子)の表層部に存在する水溶性成分(水溶性ドメイン)は、水中でトナー母粒子(粉体)に超音波処理を行うことによって、容易に除去できる。こうした超音波処理によって、トナー母粒子の表層部に存在する水溶性成分の量を、トナー母粒子の全体に存在する水溶性成分の量に対して、十分少なくすることができる。
前述の基本構成を有するトナーでは、トナー粒子が、テトラヒドロフランに溶ける樹脂(特定非水溶性樹脂及び特定水溶性樹脂)を含有する。こうしたトナー粒子は、定着性に優れる傾向がある。
一般に、トナー母粒子は、シェル層を備えないトナー母粒子(以下、非カプセルトナー母粒子と記載する)と、シェル層を備えるトナー母粒子(以下、カプセルトナー母粒子と記載する)とに大別される。また、別の観点から、トナーは、粉砕トナーと重合トナー(ケミカルトナーとも呼ばれる)とに大別される。粉砕法で得られたトナーは粉砕トナーに属し、凝集法で得られたトナーは重合トナーに属する。粉砕法は、複数種の材料(樹脂等)を溶融混練して混練物を得る工程と、得られた混練物を粉砕する工程とを経て、粉体を得る方法である。前述の基本構成を有するトナーのトナー母粒子(粉体)は、例えば粉砕法により、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂と内添剤(例えば、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)との溶融混練物を粉砕して粉体を得て、得られた粉体に、水中で超音波処理を行うことで、製造できる。こうした製造方法では、結着樹脂(特定非水溶性樹脂及び特定水溶性樹脂)中に内添剤を良好に分散させ易い。また、上記のようにして得たトナー母粒子(詳しくは、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂と内添剤との溶融混練物を含有する非カプセルトナー母粒子の粉体)と、所定の外添剤(例えば、シリカ粒子の粉体)とを、混合することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。トナーの生産性の観点(特に、画像形成に適したトナーを低コストで得る観点)から、前述の基本構成を有するトナーにおいて、トナー粒子は、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂と内添剤との溶融混練物を含有する非カプセルトナー母粒子と、非カプセルトナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えることが特に好ましい。
特定水溶性樹脂としては、ビニルアルコール系モノマーに由来する繰返し単位を含む樹脂(以下、VA単位含有樹脂と記載する場合がある)が好ましい。VA単位含有樹脂は、十分な水溶性を有し易く、特定非水溶性樹脂に対して適度な相溶性を有し易い。また、十分な水溶性を有し、かつ、特定非水溶性樹脂に対して適度な相溶性を有する特定水溶性樹脂を得るためには、特定水溶性樹脂が、ビニルアルコール系モノマーと酢酸ビニル系モノマーとを含む単量体(樹脂原料)の重合物であり、特定水溶性樹脂において、ビニルアルコール系モノマーの量が、ビニルアルコール系モノマーと酢酸ビニル系モノマーとの合計量に対して20mol%以上45mol%以下(より好ましくは、30mol%以上40mol%以下)であることが特に好ましい。こうしたモル割合でビニルアルコール系モノマーを含むビニルアルコール−酢酸ビニル系樹脂を特定水溶性樹脂として使用した場合、質量W(トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の質量)は1000mg以上2000mg以下であることが特に好ましい。トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の量が多過ぎると、トナー粒子の電荷保持性が悪くなる傾向がある。この理由は、トナー粒子に空気中の水分が付着することによりトナー粒子の表面の電気伝導度が高くなるからであると考えられる。また、トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の量が少な過ぎると、トナーの低温定着性が悪くなる傾向がある。
特定水溶性樹脂がVA単位含有樹脂である場合には、特定非水溶性樹脂が、疎水性スチレン系モノマー(酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマー)と、エステル部に炭素数1以上8以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋剤とを含む単量体(樹脂原料)の重合物(以下、特定架橋S−Ac樹脂と記載する場合がある)であることが特に好ましい。十分な非水溶性を有し、かつ、VA単位含有樹脂(特定水溶性樹脂)に対して適度な相溶性を有する特定架橋S−Ac樹脂(特定非水溶性樹脂)を得るためには、特定架橋S−Ac樹脂における、疎水性スチレン系モノマー(酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマー)に由来する繰返し単位の量が、特定架橋S−Ac樹脂に含まれる全ての繰返し単位の総量に対して15質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。特定架橋S−Ac樹脂における疎水性スチレン系モノマーに由来する繰返し単位の量が多過ぎると、特定架橋S−Ac樹脂とVA単位含有樹脂との相溶性が不十分になる傾向がある。特定架橋S−Ac樹脂における疎水性スチレン系モノマーに由来する繰返し単位の量が少な過ぎると、特定架橋S−Ac樹脂とVA単位含有樹脂とが相溶し過ぎる傾向がある。
特定架橋S−Ac樹脂(特定非水溶性樹脂)とVA単位含有樹脂(特定水溶性樹脂)とを含有する非カプセルトナー母粒子において、VA単位含有樹脂の量は、特定架橋S−Ac樹脂及びVA単位含有樹脂の合計量に対して20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。こうした非カプセルトナー母粒子を前述の方法(詳しくは、溶融混練、粉砕、及び超音波処理)で作製する場合には、特定架橋S−Ac樹脂(特定非水溶性樹脂)とVA単位含有樹脂(特定水溶性樹脂)との溶融混練物において、特定架橋S−Ac樹脂とVA単位含有樹脂とが適度に相溶する傾向がある。
画像形成に適したトナーを得るためには、トナーの体積中位径(D50)が4μm以上9μm以下であることが好ましい。
画像形成に適したトナーを得るためには、トナーが、前述の基本構成で規定される第1樹脂及び第2樹脂を含有するトナー粒子を、80個数%以上の割合で含むことが好ましく、90個数%以上の割合で含むことがより好ましく、100個数%の割合で含むことがさらに好ましい。
次に、トナー母粒子(結着樹脂及び内添剤)及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分を割愛してもよい。
[トナー母粒子]
(結着樹脂)
トナー母粒子では、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナー母粒子はアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基を有する場合には、トナー母粒子はカチオン性になる傾向が強くなる。
前述の基本構成を有するトナーでは、トナー母粒子が、結着樹脂として、特定非水溶性樹脂及び特定水溶性樹脂を含有する。結着樹脂は、実質的に特定非水溶性樹脂及び特定水溶性樹脂のみであることが特に好ましい。特定非水溶性樹脂及び特定水溶性樹脂はそれぞれ、1種以上のビニル化合物の重合物であることが好ましい。ビニル化合物の重合物において、ビニル化合物に由来する繰返し単位は、炭素二重結合「C=C」により付加重合(「C=C」→「−C−C−」)していると考えられる。ビニル化合物は、ビニル基(CH=CH−)、又はビニル基中の水素が置換された基を有する化合物である。ビニル化合物の例としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、又はスチレンが挙げられる。
(結着樹脂:特定非水溶性樹脂)
特定非水溶性樹脂は、疎水性スチレン系モノマー(酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマー)に由来する繰返し単位を含む。疎水性スチレン系モノマーの例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレン等)、又はハロゲン化スチレン(より具体的には、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレン等)が挙げられる。
疎水性スチレン系モノマーに由来する繰返し単位としては、下記式(1)で表される繰返し単位が特に好ましい。
Figure 0006627801
式(1)中、R11〜R15は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、又は置換基を有してもよいアリール基を表す。また、R16及びR17は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R11〜R17はそれぞれ、酸基及び水酸基のいずれも含まない。R11〜R15としては、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又は炭素数(詳しくは、アルコキシとアルキルとの合計炭素数)2以上6以下のアルコキシアルキル基が好ましい。R16及びR17としては、各々独立して、水素原子又はメチル基が好ましく、R17が水素原子を表し、かつ、R16が水素原子又はメチル基を表す組合せが特に好ましい。なお、スチレンに由来する繰返し単位では、R11〜R17の各々が水素原子を表す。
トナーの定着性を向上させるためには、特定非水溶性樹脂が、疎水性スチレン系モノマー(酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマー)に由来する繰返し単位に加えて、アクリル酸系モノマーに由来する繰返し単位を含むことが好ましい。アクリル酸系モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
アクリル酸系モノマーに由来する繰返し単位としては、下記式(2)で表される繰返し単位が特に好ましい。
Figure 0006627801
式(2)中、R21及びR22は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R23は、置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。また、R21及びR22としては、各々独立して、水素原子又はメチル基が好ましく、R21が水素原子を表し、かつ、R22が水素原子又はメチル基を表す組合せが特に好ましい。R23としては、炭素数1以上8以下のアルキル基が特に好ましい。なお、メタクリル酸メチルに由来する繰返し単位では、R21が水素原子を、R22及びR23の各々がメチル基を、それぞれ表す。
トナーの耐熱保存性を向上させるためには、特定非水溶性樹脂が架橋樹脂であることが好ましい。特定非水溶性樹脂が1種以上のビニル化合物の重合物である場合、特定非水溶性樹脂を架橋させるための架橋剤としては、2個以上の不飽和結合を含む化合物が好ましい。特定非水溶性樹脂が、疎水性スチレン系モノマーに由来する繰返し単位と、アクリル酸系モノマーに由来する繰返し単位とを含む場合、特定非水溶性樹脂を架橋させるための架橋剤としては、不飽和結合を含む官能基を両端に有するジ(メタ)アクリル酸ジエステル(より具体的には、エチレングリコールジメタクリレート、又はブタンジオールジメタクリレート等)が特に好ましい。不飽和結合を含む官能基の例としては、ビニル基(CH=CH−)、又はビニル基中の水素が置換された官能基が挙げられる。
トナーの耐熱保存性及び定着性の両立を図るためには、特定非水溶性樹脂のガラス転移点(Tg)が105℃以上130℃以下であることが好ましい。特定非水溶性樹脂が特定架橋S−Ac樹脂である場合には、特定架橋S−Ac樹脂の質量平均分子量(Mw)が10000以上15000以下であることが好ましい。こうした特定架橋S−Ac樹脂は、適度な融解性を有し易い。
(結着樹脂:特定水溶性樹脂)
特定水溶性樹脂は、ビニルアルコール系モノマーに由来する繰返し単位を含むことが好ましい。ビニルアルコール系モノマーに由来する繰返し単位としては、下記式(3)で表される繰返し単位が特に好ましい。
Figure 0006627801
式(3)中、R31及びR32は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R31及びR32としては、各々独立して、水素原子又はメチル基が好ましく、R31が水素原子を表し、かつ、R32が水素原子又はメチル基を表す組合せが特に好ましい。なお、ビニルアルコールに由来する繰返し単位では、R31及びR32の各々が水素原子を表す。
トナーの親水性が強くなり過ぎることを防ぐためには、特定水溶性樹脂が、ビニルアルコール系モノマーに由来する繰返し単位に加えて、酢酸ビニル系モノマーに由来する繰返し単位を含むことが好ましい。酢酸ビニル系モノマーに由来する繰返し単位としては、下記式(4)で表される繰返し単位が特に好ましい。
Figure 0006627801
式(4)中、R41及びR42は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。また、R51、R52、及びR53は、各々独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアセチル基を表す。R41及びR42としては、各々独立して、水素原子又はメチル基が好ましく、R41が水素原子を表し、かつ、R42が水素原子又はメチル基を表す組合せが特に好ましい。また、R51、R52、及びR53としては、各々独立して、水素原子(H−)又はアセチル基(CHCO−)が特に好ましい。なお、酢酸ビニルに由来する繰返し単位では、R41、R42、R51、R52、及びR53の各々が水素原子を表す。
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。画像形成に適したトナーを得るためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。黒色着色剤として、後述する磁性粉を用いてもよい。すなわち、トナー母粒子は、磁性粉以外の着色剤を含まなくてもよい。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー母粒子に負帯電性の電荷制御剤(より具体的には、有機金属錯体又はキレート化合物等)を含有させることで、トナー母粒子のアニオン性を強めることができる。また、トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤(より具体的には、ピリジン、ニグロシン、又は4級アンモニウム塩等)を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナー母粒子に電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナー母粒子は、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
画像形成に適した磁性トナーを得るためには、トナー母粒子中の磁性粉の量が、結着樹脂100質量部に対して、40質量部以上120質量部以下であることが好ましい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。トナー母粒子の表面に金属イオンが溶出すると、トナー母粒子同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナー母粒子同士の固着を抑制することができると考えられる。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に外添剤(詳しくは、複数の外添剤粒子を含む粉体)を付着させてもよい。外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面(トナー粒子の表層部)のみに選択的に存在する。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させることができる。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、化学的ではなく物理的に結合する。トナー母粒子と外添剤粒子との結合の強さは、攪拌条件(より具体的には、攪拌時間、及び攪拌の回転速度等)、外添剤粒子の粒子径、外添剤粒子の形状、及び外添剤粒子の表面状態などによって調整できる。
トナーの流動性を向上させるためには、外添剤粒子として、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の無機粒子(粉体)を使用することが好ましい。トナー粒子からの外添剤粒子の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量(複数種の外添剤粒子を使用する場合には、それら外添剤粒子の合計量)が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。ただし、外添剤粒子として、脂肪酸金属塩(より具体的には、ステアリン酸亜鉛等)のような有機酸化合物の粒子、又は樹脂粒子を使用してもよい。また、外添剤粒子として、複数種の材料の複合体である複合粒子を使用してもよい。外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。1種類の外添剤粒子を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤粒子を併用してもよい。
[トナーの製造方法]
以下、前述の基本構成を有するトナーを製造する方法の一例について説明する。トナーの製造方法としては、次に示す第1〜第3工程を含む方法が特に好ましい。
第1工程では、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂とを溶融混練して、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂とを含む溶融混練物を得る。
第2工程では、溶融混練物を粉砕して、粉体を得る。
第3工程では、水中で粉体に超音波処理を行う。
(粉砕物の準備)
まず、粉砕法で粉砕物を準備する。以下、粉砕法の一例について説明する。まず、結着樹脂と、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕し、得られた粉体(粉砕物)を分級する。その結果、所望の粒子径を有する粉体が得られる。以下、得られた粉体に含まれる粒子を、処理前粒子と記載する。
(超音波処理)
続けて、上記のようにして得た処理前粒子の粉体を、例えば温度25℃の水に入れて、水中で超音波処理を所定の時間(例えば、15分間以上60分間以下から選ばれる時間)施す。この超音波処理により、処理前粒子の表層部に存在する水溶性成分が水に溶ける。その結果、前述の基本構成における式(1)及び(2)の両方を満たすようなトナー母粒子(粉体)が得られる。
(乾燥及び外添)
上記のようにして得たトナー母粒子の分散液を、例えば常温(約25℃)まで冷却する。続けて、例えばブフナー漏斗を用いて、トナー母粒子の分散液をろ過する。これにより、トナー母粒子が液から分離(固液分離)され、ウェットケーキ状のトナー母粒子が得られる。続けて、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子を洗浄する。続けて、洗浄されたトナー母粒子を乾燥する。その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いてトナー母粒子と外添剤とを混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。なお、乾燥工程でスプレードライヤーを用いる場合には、外添剤(例えば、シリカ粒子)の分散液をトナー母粒子に噴霧することで、乾燥工程と外添工程とを同時に行うことができる。こうして、トナー粒子を多数含むトナーが製造される。
なお、上記トナーの製造方法の内容及び順序はそれぞれ、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば、外添工程の後で、トナーを篩別してもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。例えば、市販品をそのまま材料として用いることができる場合には、市販品を用いることで、その材料を調製する工程を割愛できる。また、外添剤が不要であれば、外添工程を割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。樹脂を合成する場合、樹脂を合成するための材料としては、モノマーを使用してもよいし、プレポリマーを使用してもよい。また、所定の化合物を得るために、原料として、その化合物の塩、エステル、水和物、又は無水物を使用してもよい。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。同時に製造されたトナー粒子は、互いに略同一の構成を有すると考えられる。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7(それぞれ静電潜像現像用の正帯電性トナー)を示す。
Figure 0006627801
表1中、水溶性樹脂の割合(単位:質量%)は、トナー母粒子に含まれる全ての樹脂(結着樹脂)の総量に対する割合を示している。
表1中、水溶性樹脂の「種類」の意味は、下記のとおりである。
W−1:ポリビニルアルコール・ポリ酢酸ビニル共重合体(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセネックス(登録商標)LL−920」、ケン化度:約34.0mol%)
W−2:ポリビニルアルコール・ポリ酢酸ビニル共重合体(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセネックス(登録商標)LL−940」、ケン化度:約37.5mol%)
なお、ポリビニルアルコール・ポリ酢酸ビニル共重合体におけるケン化度は、樹脂(ポリビニルアルコール・ポリ酢酸ビニル共重合体)に含まれる全ての繰返し単位の総量(詳しくは、ビニルアルコール系モノマーと酢酸ビニル系モノマーとの合計量)に対するビニルアルコール系モノマーの量のモル割合に相当する。
以下、トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[材料の準備]
温度計、窒素導入管、攪拌装置(ステンレススチール製の攪拌羽根)、及び流下式コンデンサー(熱交換器)を備えた4つ口フラスコ内に、トルエン4.9kgと、スチレン0.9kgと、メタクリル酸メチル3.8kgと、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)5mgとを入れた。続けて、窒素導入管を通じてフラスコ内に窒素ガスを導入し、フラスコ内を窒素雰囲気(不活性雰囲気)にした。続けて、窒素雰囲気で、フラスコ内容物を攪拌しながら温度70℃まで昇温させて、窒素雰囲気かつ温度70℃の条件で、フラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内容物を反応(縮重合反応)させた。反応開始から1時間経過した時点で、さらにエチレングリコールジメタクリレート1mLをフラスコ内に追加し、フラスコ内容物を2時間反応させた。その後、フラスコ内容物の約5倍の質量のエタノールをフラスコ内に追加し、反応生成物を沈殿させた。その結果、収率90%でポリマー(架橋スチレン−アクリル酸系樹脂)を得た。得られた架橋スチレン−アクリル酸系樹脂に関しては、ガラス転移点(Tg)が115℃であり、質量平均分子量(Mw)が11000であった。
[トナーの製造方法]
(粉砕物の準備)
結着樹脂(詳しくは、非水溶性樹脂及び水溶性樹脂)53質量部と、磁性粉(戸田工業株式会社製「EPT−1002」、成分:マグネタイト、粒子形状:八面体、個数平均1次粒子径:0.23μm)40質量部と、離型剤(高純度固体エステルワックス:日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−9」)2.5質量部と、電荷制御剤(ニグロシン染料:オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N−04」)2.0質量部とを、スーパーミキサー(株式会社カワタ製)を用いて混合した。非水溶性樹脂(結着樹脂)は、前述の手順で調製した非水溶性樹脂(架橋スチレン−アクリル酸系樹脂)であった。水溶性樹脂(結着樹脂)は、表1に示す樹脂(各トナーに定められた水溶性樹脂W−1又はW−2)であった。水溶性樹脂(結着樹脂)の添加量は、結着樹脂(非水溶性樹脂及び水溶性樹脂)の総量に対する水溶性樹脂の割合が表1に示す値になるような量とした。例えば、トナーTA−1の製造では、非水溶性樹脂(架橋スチレン−アクリル酸系樹脂)42.4質量部(=53×0.8)と、水溶性樹脂W−1(ゴーセネックスLL−940)10.6質量部(=53×0.2)と、磁性粉(EPT−1002)40.0質量部と、離型剤(ニッサンエレクトールWEP−9)2.5質量部と、電荷制御剤(BONTRON N−04)2.0質量部とを混合した。また、トナーTB−1の製造では、水溶性樹脂を使用せず、結着樹脂が非水溶性樹脂(架橋スチレン−アクリル酸系樹脂)のみであった。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(東芝機械株式会社製「TEM−26SS」)を用いて溶融混練した。その後、得られた混練物を圧延しながら冷却した。続けて、冷却された混練物を、ハンマーミル(衝撃型スクリーン式中砕機:ホソカワミクロン株式会社製)を用いて粗粉砕した。さらに、得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機(株式会社アーステクニカ製「クリプトロンエディ(登録商標)KTM−EX」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(コアンダ効果を利用した風力分級機:日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、円形度0.94、体積中位径(D50)8.0μmの粉砕物(粉体)が得られた。以下、得られた粉砕物に含まれる粒子を、処理前粒子と記載する。
上記粉砕物(処理前粒子の粉体)を得た後、下記水洗工程及び乾燥工程を行った。トナーTA−1〜TA−6の各々の製造では、下記水洗工程Aを行い、トナーTB−5〜TB−7の各々の製造では、下記水洗工程Bを行った。ただし、トナーTB−1〜TB−4の各々の製造では、下記水洗工程及び乾燥工程を行わず、上記「粉砕物の準備」に続けて、後述する外添工程を行った。トナーTB−1〜TB−4の各々の製造では、上記粉砕物(処理前粒子)がトナー母粒子に相当する。
(水洗工程A)
室温(約25℃)環境下において、温度計を備えた容量2Lのガラス製ビーカーに、前述の手順で作製した粉砕物(処理前粒子の粉体)500gと、温度25℃のイオン交換水1Lとを入れた。続けて、そのビーカーを、出力調整可能な超音波洗浄機(株式会社エスエヌディ製「US−30PS」、槽容量:約28L、高周波出力:480W、発振方式:BLT(ボルト締めランジュバン型振動子)による自励発振、発振周波数:38kHz)にセットした。続けて、その超音波洗浄機を用いて、液温25℃、出力100%の条件で、超音波処理を30分間行った。これにより、水中で超音波処理された粉砕物(トナー母粒子)の分散液が得られた。続けて、トナー母粒子の分散液を、ビーカーから取り出して、吸引濾過した。その後、イオン交換水500mLを加えるリスラリーと、吸引濾過とを、2回繰り返して、ウェットケーキ状のトナー母粒子(粉体)を得た。
(水洗工程B)
室温(約25℃)環境下において、温度計及び攪拌羽根を備えた容量2Lのガラス製ビーカーに、前述の手順で作製した粉砕物(処理前粒子の粉体)500gと、温度25℃のイオン交換水1Lとを入れた。続けて、ビーカー内容物を、回転速度300rpmの条件で30分間攪拌した。これにより、水中で攪拌された粉砕物(トナー母粒子)の分散液が得られた。続けて、トナー母粒子の分散液を、ビーカーから取り出して、吸引濾過した。その後、イオン交換水500mLを加えるリスラリーと、吸引濾過とを、2回繰り返して、ウェットケーキ状のトナー母粒子(粉体)を得た。
(乾燥工程)
上記水洗工程(水洗工程A又はB)の後、ウェットケーキ状のトナー母粒子を真空棚段乾燥機に入れて、減圧雰囲気(真空)かつ温度40℃の条件で乾燥させた。その結果、乾燥したトナー母粒子(粉体)が得られた。
(外添工程)
続けて、トナー母粒子を外添処理した。詳しくは、トナー母粒子100質量部と、正帯電性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、内容:表面処理により正帯電性が付与された乾式シリカ粒子、個数平均1次粒子径:約20nm)1質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別を行った。その結果、多数のトナー粒子を含むトナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7が得られた。
上記のようにして得られたトナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7の各々に関して、水溶性表層質量Wと、水溶性全体質量Wとを、それぞれ測定した。測定結果は、表1に示すとおりであった。例えば、トナーTA−1では、水溶性表層質量Wが5mg(トナー5gあたりの質量)であり、水溶性全体質量Wが700mg(トナー5gあたりの質量)であり、W/Wが0.0071(=5/700)であった。水溶性表層質量Wと水溶性全体質量Wとの各々の測定方法は、以下のとおりであった。
(水溶性表層質量Wの測定方法)
室温(約25℃)環境下において、温度計を備えた容量50mLのガラス製ビーカーに、トナー(測定対象:トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7のいずれか)5gと、イオン交換水10mLとを入れた。続けて、そのビーカーを、出力調整可能な超音波洗浄機(株式会社エスエヌディ製「US−30PS」、槽容量:約28L、高周波出力:480W、発振方式:BLTによる自励発振、発振周波数:38kHz)にセットした。続けて、その超音波洗浄機を用いて、液温25℃、出力100%の条件で、超音波処理を30分間行った。続けて、ビーカー内容物について、目開き10μmのフィルターを用いて固液分離(吸引濾過)を行い、ビーカー内容物のうち水相を回収した。続けて、その水相が入った容器を、温度80℃に設定された熱風循環式オーブン(光洋サーモシステム株式会社製「KLO−45M」)に入れて、容器内容物を乾燥させた。乾燥完了後、析出物の質量を測定した。こうして測定された質量が、水溶性表層質量Wに相当する。
(水溶性全体質量Wの測定方法)
室温(約25℃)環境下において、温度計及び攪拌羽根を備えた容量50mLのガラス製ビーカーに、トナー(測定対象:トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7のいずれか)5gと、テトラヒドロフラン20mLとを入れて、トナー分散液を得た。続けて、ビーカー内容物(トナー分散液)を、温度25℃、回転速度300rpmの条件で30分間攪拌した。続けて、ビーカー内容物について、目開き10μmのフィルターを用いて固液分離(吸引濾過)を行い、ビーカー内容物のうち液相(詳しくは、テトラヒドロフランに溶けたトナー成分を含むTHF溶液)を回収した。続けて、その液相(THF溶液)が入った容器に水200mLを滴下し、水溶性樹脂以外のトナー材料(離型剤、磁性粉、電荷制御剤、及び非水溶性樹脂)を沈殿させた。続けて、容器内容物を温度98℃に1時間保って、容器内のテトラヒドロフランを留去した。これにより、容器内のテトラヒドロフランが完全に除去され、容器内に水相が残った。その後、氷浴を用いて、残った水相を、その温度が25℃になるまで急冷した。
続けて、その水相が入った容器を、温度80℃に設定された熱風循環式オーブン(光洋サーモシステム株式会社製「KLO−45M」)に入れて、容器内容物を乾燥させた。その後、容器内に残った固形物(水相に溶けていたトナー成分)の質量を測定した。こうして測定された質量が、水溶性全体質量Wに相当する。
[評価方法]
各試料(トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7)の評価方法は、以下の通りである。
(低温定着性)
評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着装置を有するモノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)FS−2020D」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。試料(1成分現像剤:トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7のいずれか)を評価機の現像装置に投入し、試料(補給用トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
温度23℃かつ湿度50%RHの環境下において、上記評価機を用いて、線速200mm/秒、トナー載り量1.0mg/cmの条件で、坪量90g/mの紙(A4サイズの普通紙)に、大きさ25mm×25mmのソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を形成した。続けて、画像が形成された紙を評価機の定着装置に通した。定着温度の測定範囲は150℃以上200℃以下であった。詳しくは、定着装置の定着温度を150℃から1℃ずつ上昇させて、各定着温度について定着の可否を判定し、ソリッド画像(トナー像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。紙に画像を定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。
まず、画像が形成された面が内側となるように紙を折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を10往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナー剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm未満となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。
最低定着温度が180℃以下であれば○(良い)と評価し、最低定着温度が180℃を超えれば×(良くない)と評価した。
(電荷減衰特性)
トナーの電荷減衰定数αは、静電気拡散率測定装置(株式会社ナノシーズ製「NS−D100」)を用いて、JIS(日本工業規格)C 61340−2−1−2006に準拠した方法で測定した。以下、トナーの電荷減衰定数の測定方法について詳述する。
測定セルに試料(測定対象:トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7のいずれか)を入れた。測定セルは、内径10mm、深さ1mmの凹部が形成された金属製のセルであった。スライドガラスを用いてトナーを上から押し込み、セルの凹部にトナーを充填した。セルの表面においてスライドガラスを往復移動させることによって、セルから溢れたトナーを除去した。測定対象(トナー)の充填量は約0.05gであった。
続けて、測定対象が充填された測定セルを、温度32.5℃、湿度80%RHの環境下で12時間静置した。続けて、接地させた測定セルを静電気拡散率測定装置内に置き、コロナ放電によって測定対象にイオンを供給して、測定対象を帯電させた。プローブギャップは1mmであり、放電時間は0.5秒間であった。そして、コロナ放電終了後0.7秒経過した後から、サンプリング周波数1Hzの条件で、測定対象の表面電位を連続的に測定した。測定された表面電位と、式「V=Vexp(−α√t)」とに基づいて、電荷減衰定数(電荷減衰速度)αを算出した。式中、Vは表面電位[V]、Vは初期表面電位[V]、tは減衰時間[秒]をそれぞれ示す。
電荷減衰定数が0.0200未満であれば○(良い)と評価し、電荷減衰定数が0.0200以上であれば×(良くない)と評価した。
[評価結果]
トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−7の各々について、低温定着性(最低定着温度)及び電荷減衰特性(電荷減衰定数)を評価した結果を、表2に示す。なお、表2中の「帯電不十分」は、トナー(測定対象)の帯電性が不十分であり、トナーの電荷減衰特性を適切に測定できるレベルまでトナーを帯電させることができなかったことを意味する。
Figure 0006627801
トナーTA−1〜TA−6(実施例1〜6に係るトナー)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、トナーTA−1〜TA−6はそれぞれ、特定非水溶性樹脂と特定水溶性樹脂とを含有するトナー粒子を、複数含む。また、トナーTA−1〜TA−6はそれぞれ、式(1)及び(2)の両方を満たしていた(表1参照)。
/W≦0.0075 …(1)
500mg≦W …(2)
表2に示されるように、トナーTA−1〜TA−6はそれぞれ、低温定着性と電荷減衰特性との両方に優れていた(表2参照)。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。

Claims (6)

  1. 第1樹脂及び第2樹脂を含有するトナー粒子を、複数含む静電潜像現像用トナーであって、
    前記第1樹脂は、酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマーに由来する繰返し単位を含み、
    前記第2樹脂は、酸基及び/又は水酸基を有する繰返し単位を含み、
    下記第1測定方法により測定される、前記トナー粒子の表層部に存在する水溶性成分の質量W1と、下記第2測定方法により測定される、前記トナー粒子の全体に存在する水溶性成分の質量W2とは、下記式(1)及び(2)の両方を満たし、
    前記第1樹脂は、下記第1測定方法及び下記第2測定方法において、テトラヒドロフランには溶けるが、水には溶けない樹脂であり、
    前記第2樹脂は、下記第1測定方法及び下記第2測定方法において、水及びテトラヒドロフランの両方に溶ける樹脂であり、
    前記第2樹脂は、ビニルアルコール系モノマーと酢酸ビニル系モノマーとを含む単量体の重合物であり、
    前記第2樹脂において、前記ビニルアルコール系モノマーの量は、前記ビニルアルコール系モノマーと前記酢酸ビニル系モノマーとの合計量に対して20mol%以上45mol%以下である、静電潜像現像用トナー。
    1/W2≦0.0075 …(1)
    500mg≦W2 …(2)
    [前記第1測定方法では、水10mLに前記トナー5gを加えて得たトナー分散液について温度25℃の条件で30分間の超音波処理を行った後、固液分離を行い、得られた水相に溶けている前記トナーの成分の質量W1を測定し、
    前記第2測定方法では、テトラヒドロフラン20mLに前記トナー5gを加えて得たトナー分散液を温度25℃、回転速度300rpmの条件で30分間の攪拌処理を行った後、固液分離を行い、テトラヒドロフランに溶けたトナー成分を含むTHF溶液を得て、得られたTHF溶液に水200mLを加えて、温度98℃の条件でテトラヒドロフランを留去し、残った水相に溶けている前記トナーの成分の質量W2を測定する。]
  2. 前記質量W2は、1000mg以上2000mg以下である、請求項に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記第1樹脂は、酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマーと、エステル部に炭素数1以上8以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋剤とを含む単量体の重合物である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記第1樹脂における、酸基及び水酸基のいずれも有しないスチレン系モノマーに由来する繰返し単位の量は、前記第1樹脂に含まれる全ての繰返し単位の総量に対して15質量%以上40質量%以下である、請求項に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記トナー粒子は、前記第1樹脂と前記第2樹脂と内添剤との溶融混練物を含有する非カプセルトナー母粒子と、前記非カプセルトナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備える、請求項又はに記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 前記非カプセルトナー母粒子に含まれる前記第2樹脂の量は、前記非カプセルトナー母粒子に含まれる前記第1樹脂及び前記第2樹脂の合計量に対して20質量%以上50質量%以下である、請求項に記載の静電潜像現像用トナー。
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