JP6627535B2 - 非水電解質二次電池用負極活物質、及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
特許文献1には、負極活物質として用いるLixCoqW(1−q)O4が、原料混合物を「600℃で12時間加熱」して合成されたことが記載されている(段落[0042])。しかし、その結晶構造について何も開示されていない。また、LixCoqW(1−q)O4を負極活物質として用いた電池セルについては、最初の充電を行って評価しているのみであるから(段落[0049])、二次電池として使用可能か(充放電サイクルの繰り返しにより活物質の結晶構造が維持されるか)について、何も示されていない。
本発明は、上記の負極活物質としての「空間群P−1に帰属可能なリチウムタングステン複合酸化物(Li4WO5)」を改良し、質量当たりの放電容量密度が優れる新規な負極活物質を提供することを目的とするものである。
(1)Li、W、及びM(MはMo、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Ru、Cdの少なくとも一つ以上の金属元素)を含有し、WとMの比率をW y M 1−y で表したとき、0.05≦y≦0.75であり、空間群P−1に帰属可能なリチウムタングステン複合酸化物からなる、非水電解質二次電池用負極活物質。
(2)正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記負極が、前記(1)の非水電解質二次電池用負極活物質を含有する、非水電解質二次電池。
第一原理計算とは、非経験的に物性の予測を行う計算方法であり、原子番号と空間座標が既知の原子を含むモデルの全エネルギーと電子のエネルギーバンド構造を計算することができる手法である。全エネルギーの値からは、原子に働く力を計算して、構造最適化が可能になり、また、格子定数、0K(絶対0度)時の最適安定構造及びバンドギャップ等が計算できる。計算方法には、大きく分けると「波動関数理論」系と「密度汎関数理論」系の二種類が存在する。本願明細書において用いた計算方法は、密度汎関数理論に基づくものである。密度汎関数理論とは、「ある電子系において電子密度ρ(r)が決まると、基底状態の外部ポテンシャルV(r)系の全エネルギーEは一意的に決まる」というKohn−Hohenbergの定理に基づくものである。
(1)空間群P−1に帰属する結晶構造を有し、リチウム過剰型であるLi4WO5又はLi4WyM1−yO5に対して、さらに3モルのLiを挿入した構造が安定に存在すること。
Li4WO5又はLi4WyM1−yO5を正極活物質として使用するのであれば、これらの組成物からLiが脱離した構造を考慮すればよいが、負極活物質として使用するためには、逆に、これらの組成物に対してLiがさらに挿入された構造を考慮する必要がある。
図1は、VESTA(Visualization for electronic and Structual analysis:結晶構造、電子・核密度等の三次元データ、及び結晶外形の可視化プログラム)で描画した空間群P−1の構造を有する2分子のLi4WO5よりなる単位結晶モデルと、これに最大6個のLi(1モルのLi4WO5に対して3モルのLi)を挿入した単位結晶モデルを表している。このように、1モルのLi4WO5又はLi4WyM1−yO5に対して3モルのLiを挿入するモデルを想定すること自体、Li4WO5又はLi4WyM1−yO5を負極活物質として使用するという新たな技術思想に基づくものである。
これは、負極として充放電を行った場合の結晶構造の安定性を評価するために必要な条件である。
格子定数
a:5.11900Å
b:7.72700Å
c:5.06400Å
α:101.7000°
β:101.4800°
γ:108.5800°
占有率(Occ.):1
マフィンティン半径(RMT):W=1.77,O=1.57,Li=1.7
k点:100
単位格子
スピン設定:なし(No-spin)
計算方法(Select Exchange Correlation Potential):GGA-PBE96(Generalized gradient approximation Perdew-Burke-Ernzerhof 96)
セパレートエネルギー(ENERGY to separate core and valence state: ALTERANATIVELY: specify charge localization to select core state):-6.0Ry
平面波のカットオフエネルギー:RMT*KMAX=7.0
SCFサイクル収束条件(Convergence sriteria : Energy):0.0001Ry
(0,0,0)、(0.5,0,0)、(0.5,0.5,0.5)(0.5,0.5,0)、(0,0.5,0.5)、(0.5,0,0.5)
結果の概要を表3に示す。
ここで、3モルのLiを挿入したLi4W0.5M0.5O5(Li7W0.5M0.5O5)の場合、その体積当たりの理論放電容量は、上記の格子定数を用いると、約1500mAh/ccを有しており、黒鉛負極の約820mAh/ccを大きく上回る。さらに、Wよりも原子量の小さい金属元素(M)でWを置換したLi4W0.5M0.5O5の真密度が、無置換のLi4WO5の真密度よりも小さいことから、Li4W0.5M0.5O5の質量当たりの放電容量密度がLi4WO5のそれよりも高く、従って、Li4W0.5M0.5O5はさらに放電性能が優れているといえる。
以下、上記で判定結果が○となった金属元素を、「実施例のM」ということがある。また、上記で判定結果が×となった金属元素を、「比較例のM」ということがある。
以下に、本発明に係る負極活物質、及び非水電解質二次電池の各要素について詳細に示す。
本発明に係る負極活物質は、Li4WO5とLi4MO5との複合酸化物と考えることができる。例えば、W源となる化合物としてWO3等、M源となる化合物としてMoO3等、Li源となる化合物としてLi2CO3等を原料として、所定の割合となるように秤量、混合し、大気中、800〜1000℃で焼成し、Li4WyM1−yO5を合成することにより得ることができるが、この方法に限定されない。原料中のW源とM源の比率は、WyM1−yで表したとき、0.05≦y≦0.75を満たすことが好ましい。原料中のW及びMと、Liとの比率は、LixWyM1−yで表したときx=4であることが好ましい。
この合成品の結晶構造は、X線回折測定を行うことにより、空間群P−1に帰属可能であることを確認することができる。なお、元素Mの種類や焼成条件によっては、空間群C2/mに帰属可能な結晶構造を含む化合物が得られる可能性がある。
W含有量が多い場合は、比較的硬いため、比較的強い力で粉砕することが好ましく、Wより柔らかいMの含有量が多い場合は、比較的弱い力で粉砕することが好ましい。
本発明に係る負極活物質と組み合わせる正極活物質としては、限定されない。例えば、LixMeOy(Meは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(LixCoO2、LixNiO2、LixMn2O4、LixMnO3、LixNiyCo(1−y)O2、LixNiyMnzCo(1−y−z)O2、LixNiyMn(2−y)O4等)、LiwMex(XOy)z(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、Vを表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4、LiCoPO4、Li3V2(PO4)3、Li2MnSiO4、Li2CoPO4F等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質としては、さらに、ジスルフィド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラスチレン、ポリアセチレン、ポリアセン系材料等の導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等も挙げられる。正極活物質においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質、及び負極活物質は正極及び負極の主要成分であるが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
本発明に係る非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、限定されず、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
本発明の非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
図4に角型電池の一例を示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極よりなる電極群2が角型の電池容器3に収納され、正極リード4’を介して正極端子4が、負極リード5’を介して負極端子5が電池容器外に導出されている。
本発明の非水電解質二次電池は、特に電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの自動車用電源として用いる場合に、複数の非水電解質二次電池を集合して構成した蓄電装置(バッテリーモジュール)として搭載することができる。
図5に、非水電解質二次電池1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。
(負極活物質の合成)
<参考例>
11.592gの三酸化タングステン(WO3)(高純度化学社製)及び7.389gの炭酸リチウム(Li2CO3)(ナカライテスク社製)(Li/W=4)を秤量し、直径5mmのジルコニア製ボール(商品名:YTZボール)が90g(約250個)入った内容積80mLのジルコニア製ポットに投入した。このポットにさらにエタノール10mLを投入し、蓋をして、遊星型ボールミル(FRITSCH社製、型番pulverisette 5)にセットし、公転回転数300rpmで9分混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返して粉砕・混合した。この混合物を75℃の乾燥機で3時間以上乾燥し、混合粉体を調製した。この混合粉体を、アルミナ製るつぼに載置し、卓上真空・ガス置換炉(型番:KDF75)に設置し、空気気流中、常圧下、常温から950℃まで10時間かけて昇温し、950℃で4時間保持した後、自然放冷した。焼成後の粉末を取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、参考例に係る組成式Li4WO5で表されるリチウムタングステン複合酸化物を合成した。
6.491gの三酸化タングステン(WO3)(高純度化学社製)、4.030gの三酸化モリブデン(MoO3)、及び8.276gの炭酸リチウム(Li2CO3)(ナカライテスク社製)(W/Mo=0.5/0.5、Li/(W+Mo)
=4)を秤量した以外は参考例と同様にして、空間群P−1に帰属可能な組成式Li4W0.5Mo0.5O5で表される実施例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
三酸化タングステン(WO3)、三酸化モリブデン(MoO3)、及び炭酸リチウム(Li2CO3)を、WとMoのモル比W/Mが0.75/0.25、LiとW+Moのモル比Li/(W+Mo)=4となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、組成式Li4W0.75Mo0.25O5、で表される実施例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
WとMoのモル比W/Mが0.25/0.75となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、Li4W0.25Mo0.75O5で表される実施例3、4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
WとMoのモル比W/Mが、それぞれ0.15/0.85、0.10/0.90、0.05/0.95となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、それぞれ、組成式Li4W0.15Mo0.85O5、Li4W0.10Mo0.90O5、及びLi4W0.05Mo0.95O5で表される実施例5、実施例6、及び実施例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
6.491gの三酸化タングステン(WO3)(高純度化学社製)、5.305gのトリオキソテルル(IV)酸リチウム(Li2TeO3)(三津和化学薬品社製)、及び6.207gの炭酸リチウム(Li2CO3)(ナカライテスク社製)を秤量した以外は実施例1と同様にして、空間群P−1に帰属可能な組成式Li4W0.5Te0.5O5で表される比較例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
WとTeのモル比W/Teが0.75/0.25、LiとW+Teのモル比がLi/(W+Te)=4となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、空間群P−1に帰属可能な組成式Li4W0.75Te0.25O5で表される比較例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
18.950gのトリオキソテルル(IV)酸リチウム(Li2TeO3)(三津和化学薬品社製)、及び7.389gの炭酸リチウム(Li2CO3)(ナカライテスク社製)を秤量した以外は、実施例1と同様にして、組成式Li4TeO5で表されるリチウムテルル複合酸化物を合成した。
上記の参考例、実施例1〜7、及び比較例1〜3で合成されたリチウム遷移金属複合酸化物について、X線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて粉末X線回折測定を行った。線源はCuKα線、管電圧及び管電流はそれぞれ30kV及び15mAとし、回折X線は厚み30μmのKβフィルターを通り高速一次元検出器(型番:D/teX Ultra 2)にて検出される。サンプリング幅は0.01°、スキャンスピードは5°/min、発散スリット幅は0.625°、受光スリット幅は13mm(OPEN)、散乱スリット幅は8mmとする。得られたX線回折図及びX線回折データについて、統合粉末X線解析ソフトウェア「PDXL」(Rigaku社製)を用いて解析を実施した。
その結果を表4に示す。上記の参考例、実施例1〜7、及び比較例1〜3で合成されたリチウム遷移金属複合酸化物は、すべて空間群P−1に帰属可能であることが確認された。
参考例、実施例1〜7及び比較例1〜3で合成した活物質2.275gと導電剤であるアセチレンブラック(AB)0.700gをそれぞれ秤取し、直径5mmのジルコニア製ボール(商品名:YTZボール)が90g(約250個)入った内容積80mLのジルコニア製ポットに投入した。このポットにさらにエタノール10mLを投入し、蓋をして、遊星型ボールミル(FRITSCH社製、型番pulverisette 5)にセットし、参考例、実施例1〜3、比較例1〜3については公転回転数300rpmで、実施例4〜7については公転回転数100rpmで、それぞれ、9分混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返して粉砕・混合した。この混合物を75℃の乾燥機で3時間以上乾燥することで、混合粉体を調製した。この混合粉体に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチルピロリドン溶液を加えて混合し、さらに、分散媒としてN−メチルピロリドンを加えて混練分散し、塗布液を調製した。塗布液中の、負極活物質、AB及びPVdFの質量比は65:20:15(固形分換算)である。該塗布液を厚さ20μmの電解銅箔集電体に塗布した後、分散媒を蒸発させるために80℃のホットプレート上で60分の乾燥を行い、ロールプレスを行うことで負極板を作製した。合剤層のプレス後の厚みは13μm、塗布重量は2.5mg/cm2であった。ここで、合剤層の厚みを実用電池として好ましい範囲(40〜150μm)よりも薄くしたのは、負極活物質としての挙動をより正確に捉えるためである。
前記負極を作用極として非水電解質二次電池を組立て、負極としての挙動を評価した。単独挙動を正確に観察する目的のため、対極には金属リチウムをニッケル箔集電体に密着させて用いた。ここで、非水電解質二次電池の容量が負極によって制限されないよう、十分な量の金属リチウムを配置した。
以下の試験では、作用極と対極との間で電圧制御を行ったが、対極における金属リチウムの溶解・析出反応抵抗が極めて低いことから、充放電中の端子間電圧は、金属リチウムを用いた参照極に対する作用極(負極)の電位と等しいとみなすことができる。
図2は、作用極(負極)の平均放電電位、放電容量密度、及びエネルギー密度の算出方法を説明するための図であって、参考例、実施例又は比較例に係る電池で観測された放電曲線に、前記「AB電池」の放電曲線を重ねてプロットしたものである。図2において実線で表される曲線は、参考例、実施例又は比較例に係る電池で観測された放電曲線であり、破線で表される曲線は、AB電池の放電曲線である。なお、各参考例、実施例及び比較例の作用極が含有するABの質量については、現実には電極作製時にわずかな誤差が生じるので、それぞれの参考例、実施例及び比較例においてAB電池の極線と重ね合わせるにあたって、上記誤差分を補正して適用した。
これに対して、空間群P−1に帰属可能であって、Teを有する比較例1、2のリチウムタングステン複合酸化物を負極活物質に用いる場合、平均放電電位は参考例、実施例の場合と同程度であるものの、放電容量密度及びエネルギー密度が格段に劣ることがわかる。さらに、Wを含まない比較例3のリチウムテルル複合酸化物では、負極活物質として機能し得ないことがわかる。
実施例3と実施例4のリチウムタングステン複合酸化物は、組成が同じであるが、これとABとの混合粉体を調製するに当たり、実施例3では、より強い力(大きいエネルギー)で粉砕・混合し、実施例4では、より弱い力(小さいエネルギー)で粉砕・混合するという調製工程に相違がある。そして、この調製工程の相違により、それぞれの試験電池の放電容量密度にも相違が現れている。
そこで、混合粉体の調製工程が放電容量密度に与える影響と、リチウムタングステン複合酸化物の組成との相関を調べるために、実施例2、及び実施例1と同じ組成のリチウムタングステン複合酸化物について、混合粉体を調製する工程の条件を、実施例4と同じ弱い力で行って負極を作製し、この負極を用いてそれぞれ実施例2−1、及び実施例1−1に係る試験電池を作製し、放電容量密度を測定した。結果を実施例1〜7に係る試験電池とともに、表6、及び図3に示す。
次に、実施例1、2のリチウムタングステン複合酸化物を負極活物質に用いた上記の試験電池において、充放電サイクル前後における前記リチウムタングステン複合酸化物の結晶構造の変化を調べた。
前記の充放電試験を10サイクルまで行った非水電解質二次二次電池を放電末状態で解体し、取り出した作用極を、ジメチルカーボネート(DMC)にて洗浄した後、十分に乾燥させた。これを、アルゴン雰囲気を維持するための専用の装置(汎用雰囲気セパレータ)(Rigaku社製)に設置し、サイクル前の結晶構造の確認の際と同様の条件で粉末X線回折測定を行い、得られたX線回折図及びX線回折データについて、同様の解析を実施した。
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’正極リード
5 負極端子
5’負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (2)
- Li、W、及びM(MはMo、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Ru、Cdの少なくとも一つ以上の金属元素)を含有し、WとMの比率をW y M 1−y で表したとき、0.05≦y≦0.75であり、空間群P−1に帰属可能なリチウムタングステン複合酸化物からなる、非水電解質二次電池用負極活物質。
- 正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記負極が、請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質を含有する、非水電解質二次電池。
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