JP6627535B2 - 非水電解質二次電池用負極活物質、及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極活物質、及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用負極活物質、及びその非水電解質二次電池用負極活物質を含有する負極を備えた非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、近年、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの自動車用電源としても用いられている。しかし、車内空間の限られた電池収納スペースの中でより大きな充放電容量を備えた電池を搭載することが求められている。そのため、単電池の構造や、単電池集合体と保護回路等を含む蓄電装置の構造の改良がなされているが、構造の改良のみでエネルギー密度の向上を図ることには限界がある。そこで、電極活物質の探求が行われている。
非特許文献1には、LiOとWOをLi:W=4.4:1に混合し、950℃で28日間焼成し、徐冷してLiWOを作製したこと、MoKα線源を用いたX線回折測定の結果、LiWOは、空間群P−1に属する結晶構造を有し、結晶格子定数が、a=510.94(5)pm、b=771.59(7)pm、c=506.09(4)pm、α=101.804(8)°、β=101.78(1)°、γ=108.770(9)°であったことが記載されている(ABSTRUCT)。なお、前記「P−1」のバー“−”は本来「1」の上に付して記載される。
非特許文献2には、ハニカム型結晶構造を有するLiMeWO、(Me=Ni、Mn、Co)をリチウムイオン二次電池の正極活物質として検討したことが記載されている。
特許文献1には、段落[0086]に、LiCo(1−q)を負極活物質として用いた電池N2([0092][表2]では、電池N2の活物質はLiCo0.40.6)が記載されている。
Anorg.Allg.Chem.573(1989)157−169 228th ECS Meeting Abstract "Li4MeWO6(Me=Ni,Mn,Co)As Positive Electrode Materials for Li−ion Batteries"2015
特開2006−286599号公報
非特許文献1、2には、LiWOが空間群P―1に帰属可能であることや、Li、W、Me(Me=Ni、Mn、Co)を含有するハニカム型結晶構造(空間群C2/mに帰属される構造)を有する酸化物を正極活物質に用いることは記載されている。しかし、LiWOを負極活物質として用いることについては記載されていない。
特許文献1には、負極活物質として用いるLiCo(1−q)が、原料混合物を「600℃で12時間加熱」して合成されたことが記載されている(段落[0042])。しかし、その結晶構造について何も開示されていない。また、LiCo(1−q)を負極活物質として用いた電池セルについては、最初の充電を行って評価しているのみであるから(段落[0049])、二次電池として使用可能か(充放電サイクルの繰り返しにより活物質の結晶構造が維持されるか)について、何も示されていない。
汎用のリチウムイオン二次電池の負極に用いられている黒鉛は、体積当たりの理論容量は約820mAh/ccである。LiWOは、3電子反応で計算した理論容量が1500mAh/ccであることから、本発明者らは、LiWOをリチウムイオン二次電池の負極に用いることを検討した。本発明者は、先に、空間群P−1に帰属可能なリチウムタングステン複合酸化物(LiWO)を負極活物質として用いることで、平均放電電位が低く、充放電ヒステリシスが小さい非水電解質二次電池用負極活物質、及び、これを負極に用いた非水電解質二次電池を提供することができることを見出し、特願2015-079735として出願した。
本発明は、上記の負極活物質としての「空間群P−1に帰属可能なリチウムタングステン複合酸化物(LiWO)」を改良し、質量当たりの放電容量密度が優れる新規な負極活物質を提供することを目的とするものである。
本発明は上記の目的を達成するために以下の構成を有するものである。
(1)Li、W、及びM(MはMo、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Ru、Cdの少なくとも一つ以上の金属元素)を含有し、WとMの比率をW 1−y で表したとき、0.05≦y≦0.75であり、空間群P−1に帰属可能なリチウムタングステン複合酸化物からなる、非水電解質二次電池用負極活物質。
)正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記負極が、前記(1)の非水電解質二次電池用負極活物質を含有する、非水電解質二次電池。
本発明により、質量当たりの放電容量密度(mAh/g)(以下、単に「放電容量密度」という。)が優れる新規な非水電解質二次電池用負極活物質を提供することができる。また、この負極活物質を負極に用いた非水電解質二次電池を提供することができる。
空間群P−1に帰属するLiWOと、それに3モルのLiを挿入した結晶構造のモデル図 平均放電電位、放電容量密度、及びエネルギー密度の算出方法を説明するための図 原料の組成及び調製工程と放電容量密度との関係を示す図 本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態を示す外観斜視図 本発明に係る非水電解質二次電池を複数個集合した蓄電装置を示す概略図
本発明者らは、空間群P−1に帰属可能なリチウムタングステン複合酸化物(LiWO)からなる負極活物質の改良に当たり、Mo等のWより原子量の小さい特定の金属元素(M)でWを置換した場合、結晶構造を維持しつつ、放電容量密度が優れる負極活物質が得られることを見出した。
そこで、Mo置換の場合以外で、質量当たりの放電容量密度が優れる負極活物質を探索するに当たり、第一原理計算を用いることとした。
第一原理計算とは、非経験的に物性の予測を行う計算方法であり、原子番号と空間座標が既知の原子を含むモデルの全エネルギーと電子のエネルギーバンド構造を計算することができる手法である。全エネルギーの値からは、原子に働く力を計算して、構造最適化が可能になり、また、格子定数、0K(絶対0度)時の最適安定構造及びバンドギャップ等が計算できる。計算方法には、大きく分けると「波動関数理論」系と「密度汎関数理論」系の二種類が存在する。本願明細書において用いた計算方法は、密度汎関数理論に基づくものである。密度汎関数理論とは、「ある電子系において電子密度ρ(r)が決まると、基底状態の外部ポテンシャルV(r)系の全エネルギーEは一意的に決まる」というKohn−Hohenbergの定理に基づくものである。
本発明において、Wと置換し得るMを決定するための第一原理計算に当たって、以下の前提をおいた。
(1)空間群P−1に帰属する結晶構造を有し、リチウム過剰型であるLiWO又はLi1−yに対して、さらに3モルのLiを挿入した構造が安定に存在すること。
LiWO又はLi1−yを正極活物質として使用するのであれば、これらの組成物からLiが脱離した構造を考慮すればよいが、負極活物質として使用するためには、逆に、これらの組成物に対してLiがさらに挿入された構造を考慮する必要がある。
図1は、VESTA(Visualization for electronic and Structual analysis:結晶構造、電子・核密度等の三次元データ、及び結晶外形の可視化プログラム)で描画した空間群P−1の構造を有する2分子のLiWOよりなる単位結晶モデルと、これに最大6個のLi(1モルのLiWOに対して3モルのLi)を挿入した単位結晶モデルを表している。このように、1モルのLiWO又はLi1−yに対して3モルのLiを挿入するモデルを想定すること自体、LiWO又はLi1−yを負極活物質として使用するという新たな技術思想に基づくものである。
(2)LiWOと3モルのLiを挿入したLiWO(LiWO)とで、又はLi0.50.5と3モルのLiを挿入したLi0.50.5(Li0.50.5)とで、結晶格子定数a,b,c,α,β,γが同一であること。
これは、負極として充放電を行った場合の結晶構造の安定性を評価するために必要な条件である。
本発明においては、以上の前提条件に基づき、第一原理計算ソフトウェア Wien2k 13.1を用いて、空間群P−1に帰属可能なLiWO又はLi1−y(y=0.5)の格子定数として以下の数値を使用し、表1及び2にそれぞれ示すLiWO及びLi1−yの位置座標に対して、Liを以下のサイトに挿入することとし、計算を行い、解が求まるか、発散するかによって、判定を行った。
格子定数
a:5.11900Å
b:7.72700Å
c:5.06400Å
α:101.7000°
β:101.4800°
γ:108.5800°
なお、その他の条件は次のとおりである。
占有率(Occ.):1
マフィンティン半径(RMT):W=1.77,O=1.57,Li=1.7
k点:100
単位格子
スピン設定:なし(No-spin)
計算方法(Select Exchange Correlation Potential):GGA-PBE96(Generalized gradient approximation Perdew-Burke-Ernzerhof 96)
セパレートエネルギー(ENERGY to separate core and valence state: ALTERANATIVELY: specify charge localization to select core state):-6.0Ry
平面波のカットオフエネルギー:RMT*KMAX=7.0
SCFサイクル収束条件(Convergence sriteria : Energy):0.0001Ry
表1は、空間群P−1のLiWOの等価位置座標を示している。この表1を図示したものが図1の左図であり、単位格子中にWが等価位置に2つ示される。なお、表1中の等価位置については省略した。
表2は、3モルのLiを挿入したLi0.5Mo0.5の位置座標を示す。WとMoとを等価位置であるとみなすと空間群P−1と考えることができる。図1の右図は3モルのLiを挿入したLiWOであり、このWの一方をMoで置き換えたものが表2である。空間群P−1とみなした場合に等価なものについては3列目に「O1」、「O2」、・・などと記載した。

Li挿入サイト
(0,0,0)、(0.5,0,0)、(0.5,0.5,0.5)(0.5,0.5,0)、(0,0.5,0.5)、(0.5,0,0.5)
結果の概要を表3に示す。
Li0.50.5のMがSc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Cdである場合、結晶構造を維持しつつ、3モルのLiを挿入することが可能と判定された。一方、MがMn、Fe、Co、Ni、Cu,Zn、Rh、Pd、In、Sn、Sb,Te、Pb、Biである場合、3モルのLiを挿入すると結晶構造を維持できないと判定された。
ここで、3モルのLiを挿入したLi0.50.5(Li0.50.5)の場合、その体積当たりの理論放電容量は、上記の格子定数を用いると、約1500mAh/ccを有しており、黒鉛負極の約820mAh/ccを大きく上回る。さらに、Wよりも原子量の小さい金属元素(M)でWを置換したLi0.50.5の真密度が、無置換のLiWOの真密度よりも小さいことから、Li0.50.5の質量当たりの放電容量密度がLiWOのそれよりも高く、従って、Li0.50.5はさらに放電性能が優れているといえる。
以下、上記で判定結果が○となった金属元素を、「実施例のM」ということがある。また、上記で判定結果が×となった金属元素を、「比較例のM」ということがある。
本発明者らは、実施例のMの中からMoを、及び比較例のMの中からTeを取り上げ、空間群P−1に帰属可能なLi1−yを合成し、それらを負極活物質とする負極、及び当該負極を有する試験電池を作製し、性能評価を行う実証実験を行った。
以下に、本発明に係る負極活物質、及び非水電解質二次電池の各要素について詳細に示す。
(負極活物質)
本発明に係る負極活物質は、LiWOとLiMOとの複合酸化物と考えることができる。例えば、W源となる化合物としてWO等、M源となる化合物としてMoO等、Li源となる化合物としてLiCO等を原料として、所定の割合となるように秤量、混合し、大気中、800〜1000℃で焼成し、Li1−yを合成することにより得ることができるが、この方法に限定されない。原料中のW源とM源の比率は、W1−yで表したとき、0.05≦y≦0.75を満たすことが好ましい。原料中のW及びMと、Liとの比率は、Li1−yで表したときx=4であることが好ましい。
この合成品の結晶構造は、X線回折測定を行うことにより、空間群P−1に帰属可能であることを確認することができる。なお、元素Mの種類や焼成条件によっては、空間群C2/mに帰属可能な結晶構造を含む化合物が得られる可能性がある。
原料中のLiとW1−yの比率は、あくまでも本発明に係る負極活物質となるリチウム遷移金属複合酸化物を合成する際に用いる原料を構成するLiの比率に関するものである。本発明に係る負極活物質を負極に用いて非水電解質二次電池を製造し、これを充放電すると、LiとW1−yとの比率は大きく変動することがある。したがって、電池から取り出した負極活物質のLiとW1−yとの比率が4から乖離していることをもって本発明の技術的範囲に属さないと判断してはならない。
本発明に係る負極活物質は、上記の原料或いは合成品を粉砕する条件を適宜選択すると、より大きな放電容量を得ることができるので、好ましい。
W含有量が多い場合は、比較的硬いため、比較的強い力で粉砕することが好ましく、Wより柔らかいMの含有量が多い場合は、比較的弱い力で粉砕することが好ましい。
(正極活物質)
本発明に係る負極活物質と組み合わせる正極活物質としては、限定されない。例えば、LiMeO(Meは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiNiCo(1−y)、LiNiMnCo(1−y−z)、LiNiMn(2−y)等)、LiMe(XO(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、Vを表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質としては、さらに、ジスルフィド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラスチレン、ポリアセチレン、ポリアセン系材料等の導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等も挙げられる。正極活物質においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(正極・負極)
正極活物質、及び負極活物質は正極及び負極の主要成分であるが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラック(AB)が好ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総質量に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、特に0.5質量%〜30質量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため好ましい。正極活物質に導電剤を十分に混合するために、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミル等の粉体混合機を乾式、あるいは湿式で用いることが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマー、ポリアミドイミド、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアクリル酸等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総質量に対して1〜50質量%が好ましく、特に2〜30質量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば限定されない。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総質量に対して添加量は30質量%以下が好ましい。
正極及び負極は、前記主要構成成分(正極活物質又は負極材料)を含有し、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒又は水を分散溶媒とする塗布液を作製し、正極集電体に塗布し、前記分散溶媒を加熱除去すること等により好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
集電体としては、Al箔、Cu箔等の集電箔を用いることができる。正極の集電箔としてはAl箔が好ましく、負極の集電箔としてはCu箔が好ましい。集電箔の厚みは10〜30μmが好ましい。また、合剤層の厚みはプレス後において、40〜150μm(集電箔厚みを除く)が好ましい。
(非水電解質)
本発明に係る非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、限定されず、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非水電解質に用いる電解質塩としては、限定されない。例えば、LiClO,LiBF,LiAsF,LiPF,LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CHNBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−CNClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(CN−phthalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiPF又はLiBFと、LiN(CSOのようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができ、より好ましい。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/L〜5mol/Lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/L〜2.5mol/Lである。
(セパレータ)
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
さらに、セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため好ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、電子線(EB)照射、又はラジカル開始剤を添加して加熱若しくは紫外線(UV)照射を行う等により、架橋反応を行わせることが可能である。
(非水電解質二次電池の構成)
本発明の非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
図4に角型電池の一例を示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極よりなる電極群2が角型の電池容器3に収納され、正極リード4’を介して正極端子4が、負極リード5’を介して負極端子5が電池容器外に導出されている。
(蓄電装置の構成)
本発明の非水電解質二次電池は、特に電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの自動車用電源として用いる場合に、複数の非水電解質二次電池を集合して構成した蓄電装置(バッテリーモジュール)として搭載することができる。
図5に、非水電解質二次電池1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。
以下、実証実験について詳述する。
(負極活物質の合成)
<参考例>
11.592gの三酸化タングステン(WO)(高純度化学社製)及び7.389gの炭酸リチウム(LiCO)(ナカライテスク社製)(Li/W=4)を秤量し、直径5mmのジルコニア製ボール(商品名:YTZボール)が90g(約250個)入った内容積80mLのジルコニア製ポットに投入した。このポットにさらにエタノール10mLを投入し、蓋をして、遊星型ボールミル(FRITSCH社製、型番pulverisette 5)にセットし、公転回転数300rpmで9分混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返して粉砕・混合した。この混合物を75℃の乾燥機で3時間以上乾燥し、混合粉体を調製した。この混合粉体を、アルミナ製るつぼに載置し、卓上真空・ガス置換炉(型番:KDF75)に設置し、空気気流中、常圧下、常温から950℃まで10時間かけて昇温し、950℃で4時間保持した後、自然放冷した。焼成後の粉末を取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、参考例に係る組成式LiWOで表されるリチウムタングステン複合酸化物を合成した。
<実施例1>
6.491gの三酸化タングステン(WO)(高純度化学社製)、4.030gの三酸化モリブデン(MoO)、及び8.276gの炭酸リチウム(LiCO)(ナカライテスク社製)(W/Mo=0.5/0.5、Li/(W+Mo)
=4)を秤量した以外は参考例と同様にして、空間群P−1に帰属可能な組成式Li0.5Mo0.5で表される実施例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
<実施例2>
三酸化タングステン(WO)、三酸化モリブデン(MoO)、及び炭酸リチウム(LiCO)を、WとMoのモル比W/Mが0.75/0.25、LiとW+Moのモル比Li/(W+Mo)=4となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、組成式Li0.75Mo0.25、で表される実施例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
<実施例3、4>
WとMoのモル比W/Mが0.25/0.75となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、Li0.25Mo0.75で表される実施例3、4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
<実施例5〜7>
WとMoのモル比W/Mが、それぞれ0.15/0.85、0.10/0.90、0.05/0.95となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、それぞれ、組成式Li0.15Mo0.85、Li0.10Mo0.90、及びLi0.05Mo0.95で表される実施例5、実施例6、及び実施例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
<比較例1>
6.491gの三酸化タングステン(WO)(高純度化学社製)、5.305gのトリオキソテルル(IV)酸リチウム(LiTeO)(三津和化学薬品社製)、及び6.207gの炭酸リチウム(LiCO)(ナカライテスク社製)を秤量した以外は実施例1と同様にして、空間群P−1に帰属可能な組成式Li0.5Te0.5で表される比較例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
<比較例2>
WとTeのモル比W/Teが0.75/0.25、LiとW+Teのモル比がLi/(W+Te)=4となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、空間群P−1に帰属可能な組成式Li0.75Te0.25で表される比較例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
<比較例3>
18.950gのトリオキソテルル(IV)酸リチウム(LiTeO)(三津和化学薬品社製)、及び7.389gの炭酸リチウム(LiCO)(ナカライテスク社製)を秤量した以外は、実施例1と同様にして、組成式LiTeOで表されるリチウムテルル複合酸化物を合成した。
(結晶構造の確認)
上記の参考例、実施例1〜7、及び比較例1〜3で合成されたリチウム遷移金属複合酸化物について、X線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて粉末X線回折測定を行った。線源はCuKα線、管電圧及び管電流はそれぞれ30kV及び15mAとし、回折X線は厚み30μmのKβフィルターを通り高速一次元検出器(型番:D/teX Ultra 2)にて検出される。サンプリング幅は0.01°、スキャンスピードは5°/min、発散スリット幅は0.625°、受光スリット幅は13mm(OPEN)、散乱スリット幅は8mmとする。得られたX線回折図及びX線回折データについて、統合粉末X線解析ソフトウェア「PDXL」(Rigaku社製)を用いて解析を実施した。
その結果を表4に示す。上記の参考例、実施例1〜7、及び比較例1〜3で合成されたリチウム遷移金属複合酸化物は、すべて空間群P−1に帰属可能であることが確認された。

(負極の作製)
参考例、実施例1〜7及び比較例1〜3で合成した活物質2.275gと導電剤であるアセチレンブラック(AB)0.700gをそれぞれ秤取し、直径5mmのジルコニア製ボール(商品名:YTZボール)が90g(約250個)入った内容積80mLのジルコニア製ポットに投入した。このポットにさらにエタノール10mLを投入し、蓋をして、遊星型ボールミル(FRITSCH社製、型番pulverisette 5)にセットし、参考例、実施例1〜3、比較例1〜3については公転回転数300rpmで、実施例4〜7については公転回転数100rpmで、それぞれ、9分混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返して粉砕・混合した。この混合物を75℃の乾燥機で3時間以上乾燥することで、混合粉体を調製した。この混合粉体に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチルピロリドン溶液を加えて混合し、さらに、分散媒としてN−メチルピロリドンを加えて混練分散し、塗布液を調製した。塗布液中の、負極活物質、AB及びPVdFの質量比は65:20:15(固形分換算)である。該塗布液を厚さ20μmの電解銅箔集電体に塗布した後、分散媒を蒸発させるために80℃のホットプレート上で60分の乾燥を行い、ロールプレスを行うことで負極板を作製した。合剤層のプレス後の厚みは13μm、塗布重量は2.5mg/cmであった。ここで、合剤層の厚みを実用電池として好ましい範囲(40〜150μm)よりも薄くしたのは、負極活物質としての挙動をより正確に捉えるためである。
(試験電池の作製)
前記負極を作用極として非水電解質二次電池を組立て、負極としての挙動を評価した。単独挙動を正確に観察する目的のため、対極には金属リチウムをニッケル箔集電体に密着させて用いた。ここで、非水電解質二次電池の容量が負極によって制限されないよう、十分な量の金属リチウムを配置した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)が体積比6:7:7で混合した混合溶媒に濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ポリアクリレートで表面改質したポリプロピレン製の微孔膜を用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子及び負極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、前記電解液を注液後、注液孔を封止した。以上の手順にて非水電解質二次電池(リチウム二次電池)を作製した。
(充放電試験)
以下の試験では、作用極と対極との間で電圧制御を行ったが、対極における金属リチウムの溶解・析出反応抵抗が極めて低いことから、充放電中の端子間電圧は、金属リチウムを用いた参照極に対する作用極(負極)の電位と等しいとみなすことができる。
以下の試験は、本発明に係るリチウムタングステン複合酸化物を負極活物質として評価することを目的としているから、前記リチウムタングステン複合酸化物に対して電気化学的にリチウムイオンが吸蔵される反応である還元方向に通電する操作から開始する。以下、本願明細書では、リチウムタングステン複合酸化物に対してリチウムイオンが吸蔵される還元反応を「充電」、リチウムイオンが放出される酸化反応を「放電」という。
上記非水電解質二次電池について、25℃環境下で充放電を実施した。充電は定電流定電位充電とし、充電下限電位は0.2V(vs.Li/Li)とし、充電終止条件は、充電電流が2mA/gに減衰した時点とした。放電は定電流放電とし、放電終止電位は3.0V(vs.Li/Li)とした。充電電流の定電流値及び放電電流は、負極板が含有する負極活物質の質量に対して50mA/gとした。全てのサイクルにおいて、充電後及び放電後に10分間の休止時間を設定した。
上記参考例、実施例、比較例に係る作用極(負極)は、アセチレンブラック(AB)を含有しており、観測される充放電挙動はABの寄与分を含むため、その寄与分を見積もる必要がある。そこで、Li0.5Mo0.5に代えて電気化学的に不活性なAlを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で電池(以下、「AB電池」という。)を作製し、同様の条件にて充放電試験を行った。したがって、設計上、AB電池の作用極が含有するABの質量は、参考例、実施例及び比較例の作用極が含有するABの質量と等しい。
(平均放電電位、放電容量密度、及びエネルギー密度)
図2は、作用極(負極)の平均放電電位、放電容量密度、及びエネルギー密度の算出方法を説明するための図であって、参考例、実施例又は比較例に係る電池で観測された放電曲線に、前記「AB電池」の放電曲線を重ねてプロットしたものである。図2において実線で表される曲線は、参考例、実施例又は比較例に係る電池で観測された放電曲線であり、破線で表される曲線は、AB電池の放電曲線である。なお、各参考例、実施例及び比較例の作用極が含有するABの質量については、現実には電極作製時にわずかな誤差が生じるので、それぞれの参考例、実施例及び比較例においてAB電池の極線と重ね合わせるにあたって、上記誤差分を補正して適用した。
作用極(負極)の平均放電電位は、図2の(1)に相当する領域、すなわち観測された放電曲線、直線V=0、直線Q=(観測された放電容量)に囲まれた領域の面積(単位:mWh)を観測された放電容量(単位:mAh)で除した値として求めた。
作用極(負極)の放電容量密度は、負極合剤が含有しているアセチレンブラック(AB)の寄与分を差し引いて評価することとした。参考例、実施例及び比較例に係る電池で観測された放電容量から、ABの寄与分に相当する放電容量を差し引いた値を、ABを除く負極活物質の質量で除することにより、負極活物質質量あたりの放電容量密度(mAh/g)として求めた。
作用極(負極)のエネルギー密度は、放電電位が放電中常に3.5V(vs.Li/Li)で一定である正極と組み合わせた電池を仮定し、その電池の放電エネルギー密度として算出した。但し、負極合剤が含有しているアセチレンブラック(AB)の寄与分を差し引いた。つまり、図2の(2)+(3)に相当する領域、すなわち観測された放電曲線、直線Q=0、直線V=3.5、直線Q=(観測された放電容量)で囲まれた面積(mWh)から、図2の(3)に相当する領域、すなわちABの寄与分に相当する放電曲線、直線Q=0、直線V=3.5、直線Q=(ABの寄与分に相当する放電容量)で囲まれた面積を引いた値を、ABを除く負極活物質の体積で除することにより、作用極(負極)のエネルギー密度(mWh/cc)として求めた。ここで負極活物質の体積は、表4に記載の格子定数から負極活物質の真密度を算出し、作用極(負極)に含まれる負極活物質の質量を真密度で除した値とした。
表5に、参考例、実施例1〜7及び比較例1〜3について、上記の充放電試験によって得られた2サイクル目の平均放電電位(V)、放電容量密度(mAh/g、mAh/cc)、エネルギー密度(mWh/cc)を示す。
以上の結果から、空間群P−1に帰属可能であって、Moを有する実施例1〜7のリチウムタングステン複合酸化物を負極活物質に用いる場合、LiWOを用いる場合と比べて、さらに放電容量密度及び体積当たりのエネルギー密度が優れることがわかる。
これに対して、空間群P−1に帰属可能であって、Teを有する比較例1、2のリチウムタングステン複合酸化物を負極活物質に用いる場合、平均放電電位は参考例、実施例の場合と同程度であるものの、放電容量密度及びエネルギー密度が格段に劣ることがわかる。さらに、Wを含まない比較例3のリチウムテルル複合酸化物では、負極活物質として機能し得ないことがわかる。
(調製工程について)
実施例3と実施例4のリチウムタングステン複合酸化物は、組成が同じであるが、これとABとの混合粉体を調製するに当たり、実施例3では、より強い力(大きいエネルギー)で粉砕・混合し、実施例4では、より弱い力(小さいエネルギー)で粉砕・混合するという調製工程に相違がある。そして、この調製工程の相違により、それぞれの試験電池の放電容量密度にも相違が現れている。
そこで、混合粉体の調製工程が放電容量密度に与える影響と、リチウムタングステン複合酸化物の組成との相関を調べるために、実施例2、及び実施例1と同じ組成のリチウムタングステン複合酸化物について、混合粉体を調製する工程の条件を、実施例4と同じ弱い力で行って負極を作製し、この負極を用いてそれぞれ実施例2−1、及び実施例1−1に係る試験電池を作製し、放電容量密度を測定した。結果を実施例1〜7に係る試験電池とともに、表6、及び図3に示す。
以上の結果から、硬度が高いWの含有量が多い組成では、より大きなエネルギーで粉砕・混合する調製工程の方が大きな放電容量密度が得られるが、Wより柔らかいMo含有量が多い組成では、より小さいエネルギーで粉砕する調製工程で、さらに大きな放電容量密度が得られることがわかる。したがって、本発明に係る負極活物質は、Wの含有量を低減することにより、より省エネルギーで合成することができるとともに、より大きな放電容量密度を実現することができる。
(充放電サイクル後の結晶構造の確認)
次に、実施例1、2のリチウムタングステン複合酸化物を負極活物質に用いた上記の試験電池において、充放電サイクル前後における前記リチウムタングステン複合酸化物の結晶構造の変化を調べた。
前記の充放電試験を10サイクルまで行った非水電解質二次二次電池を放電末状態で解体し、取り出した作用極を、ジメチルカーボネート(DMC)にて洗浄した後、十分に乾燥させた。これを、アルゴン雰囲気を維持するための専用の装置(汎用雰囲気セパレータ)(Rigaku社製)に設置し、サイクル前の結晶構造の確認の際と同様の条件で粉末X線回折測定を行い、得られたX線回折図及びX線回折データについて、同様の解析を実施した。
X線回折測定の結果を、参考例のLiWOとともに表7に示す。なお、充放電サイクル前のX線回折データは、実施例1、2、及び参考例に係るリチウムタングステン複合酸化物を合成した後、非水電解液二次電池に組み込む前のものである。
この結果から、充放電サイクル後においても、実施例1、2に係るリチウムタングステン複合酸化物が、空間群P−1に帰属可能な結晶構造を有し、充放電サイクル後の格子定数にほとんど変化がないことがわかる。
以上の実証実験により、実施例のMであるMoを含むリチウムタングステン複合酸化物が非水電解質二次電池の負極活物質として機能し、比較例のMであるTeを含むリチウムタングステン複合酸化物では、負極活物質として機能しないことが裏付けられる。したがって、第一原理計算の結果が実証された。
本発明は、放電容量密度が大きな非水電解質二次電池用の負極活物質を提供することができるから、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)などの自動車用電池に用いることが期待される。
1 非水電解質二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’正極リード
5 負極端子
5’負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (2)

  1. Li、W、及びM(MはMo、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Ru、Cdの少なくとも一つ以上の金属元素)を含有し、WとMの比率をW 1−y で表したとき、0.05≦y≦0.75であり、空間群P−1に帰属可能なリチウムタングステン複合酸化物からなる、非水電解質二次電池用負極活物質。
  2. 正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記負極が、請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質を含有する、非水電解質二次電池。
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