JP6627532B2 - 固体高分子型燃料電池用のガス拡散層及び集電体並びに前記ガス拡散層を用いた固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用のガス拡散層及び集電体並びに前記ガス拡散層を用いた固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は固体高分子型燃料電池に用いられるガス拡散層及び集電体、並びに前記ガス拡散層を用いた固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)は作動温度が低いことが主な理由で多くの機関で開発が進められており、最も実用化が進んでいる。コジェネレーション用が一般的であり、燃料電池電気自動車用にも実用化が進められている。更には、より高温で作動する全固体電解質燃料電池も開発が進んでいる。
周知のように固体高分子型燃料電池には、電解質として水を含ませたイオン交換膜が使用されており、アノードでは燃料である水素がプロトンとなり、カソードで水を生成しつつ発電が行われる。このように放電生成物が水であるため、この生成水によってイオン交換膜へ水を供給することができれば、発電システムが簡易化でき、運転上のメンテナンスも簡単になる。しなしながら、現在最も優れたイオン交換膜であっても、環境の湿度変化に関係なく所望の水分を保持できるほど十分に水を保持した状態を保てるような膜の分子構造にはなっていない。つまり、雰囲気の湿度が下がれば膜は乾燥状態になり、膜中の水が少なくなれば、所望のイオン導電性を持つ電解質にならなくなる。
実際には、負荷が小さいと当然生成水も少なく、逆に負荷が大きい場合にはイオン交換膜が十分に湿潤状態でないと所望の出力が得られない。そこで、通常、運転中の電極に供給するガス、すなわちアノードへの水素ガス、カソードへの空気ともに加湿しておくことで膜中の水分含有量を維持している。このとき、余分の水は水蒸気かあるいは水滴として除かれている。
このように燃料電池の運転作動中はイオン交換膜が適量の水を含有することが不可欠であり、イオン交換膜の濡れすぎや乾燥が問題になっているため多くの対策が提案されている。
例えば、特開平06−084533号公報(特許文献1)においては、親水性樹脂または親水化処理を施した多孔質膜を電極内またはその周辺部、あるいは膜面上に設置し、多孔質膜を介して水を供給することが提案されている。そして、その材料としては、官能基として−COOH、−C−O−C−、−OH、−RNR’、−SOHなどを有するものがあげている。
また、特開2009−146859号公報(特許文献2)においては、親水処理法に用いる材料として、アルミナ、シリカ等の金属酸化物や、水溶性エポキシ樹脂等の親水性樹脂、または活性炭等の親水性物質を、多孔質部用の原料粉末に配合することが提案されている。また、他にも、親水処理として金メッキ処理を行ってもよいとされており、ポリエチレン、ポリプロピレン等の親水性樹脂を用いることも望ましいとされている。
特開2005−093243号公報(特許文献3)では、ガス拡散層中に撥水性の部分と親水性の部分とを設けることが提案されている。そして、親水性のものとして酸化スズなどの金属酸化物や、ポリアクリロニトリル(PAN)などの親水性樹脂が挙げられている。
また、イオン交換膜の乾燥の主な原因がアノード側にあるのか、カソード側なのかについても意見が分かれている。
特開平10−334922号公報(特許文献4)においては、水素極側では水素ガスの拡散の働きがあってプロトンと水分との結びつきが促進されるので、カソード側に比べれば水分依存度は小さく、従って、どちらかと言えばカソード側の水分の保水量が隘路となってプロトンの移動が損なわれ、高い発電初期特性を示す電池性能が発現できないという記載がある。一方、このようなイオン交換膜の乾燥を早期に解消する手段としては、特開2009−009886号公報(特許文献5)において、供給されるアノードガスと排出されるアノードオフガスに含まれる水分の凝縮器の改良が提案されている。
特開平06−084533号公報 特開2009−146859号公報 特開2005−093243号公報 特開平10−334922号公報 特開2009−009886号公報
ところで、燃料電池は電源として用いた場合に、設置式の予備電源や独立電源、また移動式独立電源などの用途に関係なく、常時一定の出力を取り出すような用途には使われない。間欠的な運転、さらにはメンテナンスなどを含めて、まったくの休止もあり、これら使用条件への対策が不可欠である。とくに運転を休止した場合に、燃料電池に常時加湿した水素や空気を送りこむことにすれば、イオン交換膜の乾燥の防止にはなるが、そのための余分な電源や電力が必要になる。その上、燃料電池から排出する水の量が増し、その処理についての煩わしさが増す。
そのほか、固体高分子型燃料電池ではイオン交換膜及びアノード、カソードのほかに、それぞれ水素、空気を送り込むためのガス拡散・排出路として、セパレータとして用いられる炭素(黒鉛)板に平行した溝が設けられている。ところが、過剰の水蒸気を送り込むと、ガス排出路に冷却された水蒸気による水滴がとどまり、排出ガスの流れをとめることになり、とくにカソードでは一時的に電位が低下する。このような現象は電池が大型化して積層数か増すほど顕著になる。
さらに積層電池の一体化と、ガスが電池本体からもれることがないように電池を加圧して締め付けることになり、その際にガス拡散電極やガス拡散層にくい込むことがあり、水滴の生成がガス通路を妨害することが多くなる。溝を形成する代わりにガス拡散層として三次元構造の金属多孔体を用いると、溝と異なりガスの通路が複数になり、多孔体の全体が加圧されるので、通路に水が生成する度合いは極めて小さく、くい込みや水滴やガスの流れの阻害などの弊害は少なくなると考えられる。しかし、逆にイオン交換膜の乾燥がより進むことになる。
そこで、イオン交換膜の乾燥を防ぐために、燃料電池の運転中は反応による生成水ではイオン交換膜の乾燥を防止することができないので、湿度交換器やバブラなどの加湿器を作動させている。また、運転停止時においては加湿しておかないと当然イオン交換膜の水分保持量が減少する。そこで、例えば電解質膜を含水量が正常な値になるまで加湿器で加湿し、その間、電流値を制限しつつ発電を行って、その後通常の発電動作に切り換えるような操作が行われる。この操作で正常な運転までに短時間で回復することが、実用上では極めて重要である。
ところで、ガス拡散層として三次元多孔体を用いた場合に、乾燥を抑制するために多孔度や孔径を小さくしすぎると溝程ではないが、水滴が生成すると孔が塞がりやすくなるので、ガスをガス拡散電極に均一に供給することが困難になる。逆に、多孔度や孔径を大きくすると水滴によるガスの流れへの弊害は少なくなり、つまり水滴による流れの阻害は減少するが、その分、イオン交換膜の乾燥にはより一層の対策が必要になる。
また、イオン交換膜の乾燥の抑制のために多孔体の骨格にアルミナ、シリカ等の金属酸化物、水溶性エポキシ樹脂等の親水性樹脂、または活性炭、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化スズなどの金属酸化物、ポリアクリロニトリル(PAN)などで乾燥対策をすることも考えられる。しかしながら、これらの方法は膜の乾燥防止には十分でなく、三次元多孔体骨格内の一層の親水性向上が必要である。また、親水性樹脂をどこに存在させるかが重要であり、イオン交換膜の乾燥抑制は可能でも、親水性樹脂は電気抵抗が大きいので放電特性の低下を招くおそれがある。このように、以前より金属多孔体を固体高分子型燃料電池のガス拡散層及びガス供給排出路として用いる提案、さらにイオン交換膜の乾燥対策も数多く提案されているが、十分ではなかった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて、作動中においては酸素極に生成する液滴を良好に排除することができ、休止時においては膜・電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の乾燥を抑制することが可能な固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る固体高分子型燃料電池用のガス拡散層は、
固体高分子型燃料電池の、少なくとも酸素極に用いるガス拡散層であって、
三次元網目状構造を有する金属多孔体基材と、樹脂層と、
を有し、
前記金属多孔体基材はニッケルまたはニッケル合金からなり、
前記樹脂層は、親水性で、かつ水に不溶の樹脂からなり、
前記樹脂は、疎水性分子と親水性分子との共重合体であり、
前記金属多孔体基材の骨格の表面が前記樹脂層で被覆されている
固体高分子型燃料電池用のガス拡散層、である。
上記発明によれば、作動中においては酸素極に生成する水滴を良好に排除することができ、休止時においては膜・電極接合体の乾燥を抑制することが可能な固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を提供することができる。
本発明の実施形態に係る固体高分子型燃料電池のセルの構成の概略を表す図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る固体高分子型燃料電池用のガス拡散層は、三次元網目状構造を有する金属多孔体基材と、樹脂層と、を有し、前記金属多孔体基材はニッケルまたはニッケル合金からなり、前記樹脂層は、親水性で、かつ水に不溶の樹脂からなり、前記金属多孔体基材の骨格の表面が前記樹脂層で被覆されている固体高分子型燃料電池用のガス拡散層、である。
上記(1)に記載の発明の態様によれば、作動中においては酸素極に生成する水滴を良好に排除することができ、休止時においては膜・電極接合体の乾燥を抑制することが可能な固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を提供することができる。
なお、本発明において樹脂が親水性であるとは、ガス拡散層に36μlの水滴を垂らした場合に、5分以内に水滴が多孔部に浸み込むことをいうものとする。また、このときのガス拡散層とは、気孔率が50%以上、98%以下で、セル径が200μm以上、1200μm以下の金属多孔体基材の骨格の表面に樹脂を被覆したものをいうものとする。
また、本発明においてガス拡散層とは、燃料電池において、ガスを膜・電極接合体に供給すると同時に拡散し、ガスと膜・電極接合体との接触面積を増やすための層のことをいう。
(2)上記(1)に記載のガス拡散層は、前記樹脂が、分子内に、水酸基、カルボキシ基及びスルフォン基からなる群より選択されるいずれか一種以上の基を有する樹脂であることが好ましい。
上記(2)に記載の発明の態様によれば、前記樹脂層が良好な親水性を示すようになり好ましい。
(3)上記(1)又は(2)に記載のガス拡散層は、前記樹脂層を形成している樹脂が、疎水性分子と親水性分子との共重合体であることが好ましい。
(4)上記(3)に記載のガス拡散層は、前記疎水性分子が、オレフィン、酢酸ビニル、カルボン酸エステル及びスチロールからなる群より選択されるいずれか一種以上であり、前記親水性分子が、ビニルアルコール、アクリル酸及びメタアクリル酸からなる群より選択されるいずれか一種以上であることが好ましい。
(5)上記(1)から上記(4)のいずれか一項に記載のガス拡散層は、前記樹脂層を形成している樹脂が、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
上記(3)〜(5)に記載の発明の態様によれば、前記樹脂が親水性でありながらフィルム形成能に優れ、前記ガス拡散層に好適な樹脂層を形成することができる。
(6)上記(1)から上記(5)のいずれか一項に記載のガス拡散層は、前記ニッケル合金が、ニッケルクロム、ニッケルスズ又はニッケルタングステンであることが好ましい。
上記(6)に記載の発明の態様によれば、より耐食性に優れたガス拡散層を提供することができる。
(7)上記(1)から上記(6)のいずれか一項に記載のガス拡散層は、多孔度が65%以上、90%以下であり、かつ、孔径が200μm以上、700μm以下であることが好ましい。
上記(7)に記載の発明の態様によれば、ガス拡散性に優れ、かつ、カソードにおいて生成する水滴を速やかに排除することが可能なガス拡散層を提供することができる。
(8)本発明の一態様に係る固体高分子型燃料電池用の集電体は、上記(1)から上記(7)のいずれか一項に記載の固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を有する集電体である。
上記(8)に記載の発明の態様によれば、作動中においては酸素極に生成する水滴を良好に排除することができ、休止時においては膜・電極接合体の乾燥を抑制することが可能な固体高分子型燃料電池用の集電体を提供することができる。
(9)本発明の一態様に係る固体高分子型燃料電池は、上記(1)から上記(7)のいずれか一項に記載の固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を有する固体高分子型燃料電池である。
上記(9)に記載の発明の態様によれば、作動中においては酸素極に生成する水滴を良好に排除することができ、休止時においては膜・電極接合体の乾燥を抑制することが可能な固体高分子型燃料電池を提供することができる。
(10)本発明の一態様に係る固体高分子型燃料電池用のガス拡散層の製造方法は、上記(1)に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層を製造する方法であって、ニッケルまたはニッケル合金からなる三次元網目状構造を有する金属多孔体の骨格の表面に、親水性で、かつ水に不溶の樹脂を被覆する工程、を有する、固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の製造方法、である。
上記(8)に記載の発明の態様によれば、作動中においては酸素極に生成する水滴を良好に排除することができ、休止時においては膜・電極接合体の乾燥を抑制することが可能な固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を製造する方法を提供することができる。
(11)上記(10)に記載のガス拡散層の製造方法は、三次元網目状構造を有する樹脂成形体の骨格の表面にニッケルまたはニッケル合金を被覆する工程と、前記樹脂成形体を除去する工程と、を有する金属多孔体の製造方法によって得られる、ニッケルまたはニッケル合金からなる三次元網目状構造を有する金属多孔体を用いることが好ましい。
上記(11)に記載の発明の態様によれば、前記金属多孔体基材を工業的に量産可能であり、量産性に優れたガス拡散層の製造方法を提供することができる。
[本発明の実施態様の詳細]
本発明の実施態様に係る固体高分子型燃料電池用のガス拡散層等の具体例を、以下に、より詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<ガス拡散層>
本発明の実施形態に係る固体高分子型燃料電池用のガス拡散層は、三次元網目状構造を有する金属多孔体基材と、樹脂層とを有する。そして、前記金属多孔体基材はニッケルまたはニッケル合金からなり、前記樹脂層は、親水性でかつ水に不溶の樹脂からなる。また、前記金属多孔体の骨格の表面は前記樹脂層で被覆されている。
従来の固体高分子型燃料電池のガス拡散層及びガス供給排出路は、炭素(黒鉛)板に溝を設けたものが使用されていたが、本発明の実施形態に係るガス拡散層は、発泡状ニッケルや発泡状ニッケル合金のように三次元網目状構造を有する金属多孔体を基材として用いる。これにより、固体高分子膜に接触するガスの量を多くすることができ、燃料電池の出力特性を向上させることができる。
また、ニッケルからなる前記金属多孔体基材をそのままの状態で固体高分子型燃料電池のガス拡散層として用いると腐食してしまう可能性があるが、前記金属多孔体基材の骨格の表面を樹脂層で被覆することにより耐食性を向上させて腐食しないようにすることができる。なお、ニッケル合金の場合にはニッケルと合金化する金属との組み合わせによっては耐食性を向上させて腐食しないようにすることができる。しかしながら、そのままでは多孔質部が親水性とはならないため、後述する効果、すなわち水滴の排除やイオン交換膜の乾燥の抑制といった効果を得るために樹脂層を骨格表面に有するものである。
前記樹脂として親水性でかつ水に不溶の樹脂を用いることにより、酸素極において生成する水滴を効率よく排出することができる。これは、ガス拡散層の表面が親水性の樹脂で被覆されていることにより水との濡れ性がよくなっているため、酸素極において生成する水滴は多孔質部で目詰まりすることなくガスの流れに乗って良好に進行し排出されるからである。
また、ガス拡散層の多孔質部の表面が前記親水性の樹脂となっていることにより、固体高分子型燃料電池の運転時及び休止時におけるイオン交換膜の乾燥を効率的に抑制することも可能になる。これは樹脂が親水性であることにより、ガスの流量が低下した場合に雰囲気中の水蒸気がガス拡散層の多孔質部に保持された状態となるからである。
なお、前記樹脂が水に溶解するものであると、酸素極において生成される水によって樹脂が溶けてしまうため、前記樹脂としては必ず水に不溶のものを使用する。また、本発明において樹脂が親水性であるとは上記定義を満たすことをいうものであり、樹脂には局所的に疎水性(撥水性)の部分が含まれていても構わない。
また、前記樹脂がフィルム形成能に優れるものであることにより、金属多孔体基材の骨格の表面に樹脂層を形成しやすくなる。一般に親水性の樹脂はフィルム形成能に劣るため疎水性部分と親水性部分とを有する樹脂であることにより、親水性を確保しつつフィルム形成能に優れるようにすることができる。
以上のように、前記樹脂としては、水に不溶であるとともに親水性であり、フィルム形成能に優れたものであることが好ましい。
そのような樹脂としては、例えば、分子内に、水酸基、カルボキシ基及びスルフォン基からなる群より選択されるいずれか一種以上の基を有する樹脂であることが好ましい。これらの基は親水性の基であり、これらの基のいずれか一種以上を分子内に含むことで樹脂を親水性にすることができる。
一般に、親水性樹脂は、水に可溶性である。固体高分子型燃料電池は、通常、生成水を蒸気の状態で放出して生成水の量を少なくするためや、放電性能の向上を図るために70℃〜100℃程度の温度で作動させる。従って、バブラなどで供給する水と、酸素極で生成する水はともに高温度である。このため、前記樹脂が水に可溶であると、水蒸気や水がガス拡散層の多孔質部に達した際に、温水によって樹脂が溶解してしまい系外に出てしまう。
本発明者らはこの問題を解決するために研究開発を進めた結果、安価で、フィルム形成能に優れているとともに、親水性で水には不溶性である樹脂として、まず、疎水性分子と親水性分子の共重合体が好ましいことを見出した。前記疎水性分子としては、エチレン、ブロピレンなどのオレフィン、酢酸ビニル、カルボン酸エステル及びスチロールなど疎水性分子を一種以上含むものであることが好ましい。また、親水性分子としては、ビニルアルコール、アクリル酸、及びメタアクリル酸などの親水性分子を一種以上含むものであることが好ましい。
そして、前記樹脂としては、これらの疎水性分子と親水性分子との共重合体樹脂が好適である。この疎水性分子と親水性分子との比率は特に限定されるものではないが、親水性分子の比率を50質量%以上、80質量%以下(疎水性分子20質量%以上、50質量%以下)の範囲で選ぶことが好ましい。これにより、親水性を保ちつつ、フィルム形成能に優れた樹脂とすることができる。この観点から、親水性分子の比率は55質量%以上、75質量%以下とすることがより好ましく、60質量%以上、70質量%以下とすることが更に好ましい。また、共重合体は合成法により、ランダム、グラフト、ブロック重合の種類になるが限定はない。ただ一般に使用されているグラフト及びブロック共重合体が好ましい。
前記樹脂としてはその他に、安価で、フィルム形成能に優れている点で、ポリビニルアルコールが好適である。ポリビニルアルコールとしては、洗濯糊として知られる部分鹸化物より完全鹸化物が水への不溶性の点で優れており、熱処理でさらに不溶性化が進む。より不溶性にするために変性すればよい。変性法で最も一般的なのがホルムアルデヒドによるホルマール化であり、熱処理と併用すると水にまったく溶解しなくなることが知られており、これを材料とした繊維布が市販されている。
上記のように十分にホルマール化して熱処理すると親水性でなくなるので、部分ホルマール化に留める。通常は、ポリビニルアルコール水酸基の40%程度をホルマール化するが、その1/2以下に留める。その他に尿素樹脂、メラミン樹脂、石炭酸樹脂など三次元構造の熱硬化性樹脂をポリビニルアルコール内で生成するようにそれぞれの材料をポリビニルアルコールに加えておき、熱処理で反応させることで、親水性でありながら熱水にも不溶性の変性ポリビニルアルコール樹脂が得られる。
前記金属多孔体基材としては発泡状ニッケル又は発泡状ニッケル合金を好ましく用いることができる。発泡状ニッケルは量産されて市販されており、ニッケル−水素電池用ニッケル極などの集電体として実用化されている点で好ましい。また、耐食性向上のためにニッケルを合金化する場合には、発泡状ニッケルを作製した後に合金化することが、量産の上で好ましい。ニッケル合金としてはニッケルクロム、ニッケルスズ又はニッケルタングステンを好ましく用いることができる。
発泡状ニッケルなどの金属多孔体基材の骨格の表面に親水性で水に不溶の樹脂層を形成した場合に多孔質部が狭くなり過ぎると水滴を排出し難くなる場合がある。このためガス拡散層において孔の占める比率、つまり多孔度は重要であり、ガス拡散層における多孔質部分の多孔度は、65%以上、90%以下の範囲であることが好ましい。ガス拡散層の多孔度は、70%以上、90%以下であることがより好ましく、80%以上、90%以下であることが更に好ましい。前記金属多孔体基材の多孔度は、骨格の表面に前記樹脂層を形成した後の多孔度が65%以上、90%以下となるようにすればよい。また、金属多孔体基材の骨格の表面に樹脂層を形成した後に調厚して、ガス拡散層の多孔度が70%以上、90%以下となるようにしてもよい。従来の炭素(黒鉛)板に設けられる溝との直接的な比較はできないが、用いられている溝の面積と表面の比率がほぼ同じになるように加工されているので、これを多孔度50%であるとすれば、本発明の実施形態に係るガス拡散層はこれよりも大きな多孔度を有する。
また、ガス拡散層の多孔質の孔径も重要であり、200μm以上、700μm以下であることが好ましい。前記孔径は、220μm以上、650μm以下であることがより好ましく、250μm以上、600μm以下であることが更に好ましい。これも従来の炭素板に設けられる溝との直接の比較はできないが、溝は幅が500μm〜1000μm程度で作製されているので、前記ガス拡散層全体としては、孔径の平均値は小さい。しかしながら、溝と三次元網目状構造を有する多孔体とでは、ガスの供給、拡散や水滴の排出路の構造が全く異なっており、ガス拡散性能や水滴の排出性能としては三次元網目状構造を有する多孔体の方がはるかに優れている。前記金属多孔体基材の孔径は、骨格の表面に前記樹脂層を形成した後の孔径が200μm以上、700μm以下となるようにすればよい。また、金属多孔体基材の骨格の表面に樹脂層を形成した後に調厚して、ガス拡散層の孔径が200μm以上、700μm以下となるようにしてもよい。
ガス拡散層が上記した多孔度と孔径を有するようにすることで、金属多孔体基材の骨格の表面に前記樹脂層を形成した場合にも、ガス拡散層として優れた性能を発揮させることができる。更に、固体高分子型燃料電池の運転時においては優れた水滴の排出性能を発揮し、また、停止時においては多孔質部に多くの水分を保持し、乾燥を抑制することができる。
上記のような多孔度と孔径を有するガス拡散層を用いることで、金属多孔体基材の骨格に親水性樹脂を被覆してもアノードへの水素のガス拡散電極への均一な供給、カソードへの空気の均一な供給及び排出は大幅に改善されることが分かり、更には、カソードにおいて生成する水滴を良好に排出できることが分かった。つまり従来の炭素板に設けた溝の場合においては、運転時に水蒸気を供給した際に水滴になると、ガスの流れを阻害し、安定な出力が得られなくなるという現象がみられたが、本発明の実施形態に係るガス拡散層においては認められないことが分かった。また、本発明の実施形態に係るガス拡散層は親水性樹脂によって被覆されていることにより、イオン交換膜の乾燥、とくに小出力放電時や運転休止時に起こるイオン交換膜の乾燥の抑制が可能となり、従って放電休止後の放電特性の回復も容易になる。
また、金属多孔体基材の骨格の表面に樹脂層を形成したガス拡散層は、ガス拡散電極に接する面とセパレータに接する面の両側に親水性樹脂層が形成されていることになる。前記樹脂層はイオン導電性であっても電気的には絶縁層になるので、この親水性の樹脂層を有するガス拡散層の両面、つまりガス拡散電極と接する面とセパレータに接する面の両側とも研磨などで親水性樹脂を除去しておくことが好ましい。なお、前記金属多孔体基材が発泡状ニッケルや発泡状ニッケル合金の場合には、三次元網目状構造の内部の骨格の表面には樹脂層が形成されるが、骨格の端部(断面部分)つまり、ガス拡散電極とセパレータに接する部分には樹脂層が殆ど形成されないことが見出された。これは、発泡状ニッケル自身が撥水性を有しているためであると考えられる。このため、発泡状ニッケルや発泡状ニッケル合金を基材として用いる場合には、必ずしも研磨が必要でないことが明らかになった。この現象も三次元網目状構造を有する金属多孔体基材として発泡状ニッケルや発泡状ニッケル合金を選択する大きな理由のひとつである。
市販されている電池用の発泡状ニッケル(商品名「セルメット(登録商標)」)は、通常発泡状樹脂とくにウレタン樹脂をシート状に裁断し、その後にニッケルめっきを施してから樹脂を燃焼除去し、さらに還元雰囲気で熱処理して製造されている。このため裁断面は当然金属多孔体の骨格の断面が存在し、その部分がガス拡散電極やセパレータと接することになる。この断面部分に親水性樹脂がほとんど付着しないことが明らかになったのである。なお、少量付着した際に、両面を研磨してガス拡散電極とセパレータに接する面の親水性樹脂を除去することは好ましい。
このように三次元網目状構造の金属多孔体基材の骨格の表面に、親水性であり、かつ、水に不溶性でフィルム形成能に優れた樹脂層を形成することで、特に小出力放電時や運転休止時に起こるイオン交換膜の乾燥を抑制することができる。さらには、燃料電池の放置によるイオン交換膜の乾燥を抑制し、再発電も容易に可能になることを見出した。
<集電体>
本発明の実施形態に係る集電体は、前述の本発明の実施形態に係る固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を有するものである。このような集電体は、前記ガス拡散層が膜・電極複合体と接触する面と反対側の面を金属板等の導電性のカバーにて覆うことにより得ることができる。カバーは、膜・電極複合体において発電された電気を金属多孔体基材を介して外部へと伝える役割をすると同時に、ガス拡散層からガスが漏れ出すのを防ぐものである。
<固体高分子型燃料電池>
本発明の実施形態に係る固体高分子型燃料電池は、前述の本発明の実施形態に係るガス拡散層を有するものである。その他のイオン交換膜やガス拡散電極は従来のものを利用することができる。例えば、イオン交換膜と触媒層とを接合した膜・電極接合体などは、市販されているものをそのまま利用することができる。アノード、カソードの白金触媒はいずれも約0.5mg/cm2が担持されたガス拡散電極、イオン交換膜としてNafion(登録商標) 112を用いて一体化されている。
図1は、固体高分子型燃料電池の単セルの断面概略図である。
図1においては、膜・電極接合体(MEA)Mは、イオン交換膜1の両面にガス拡散電極つまり白金触媒を含む活性炭層(2−1、2−2)を有している。それぞれアノードとしての水素極とカソードとしての酸素極である。また、集電体(3−1、3−2)は、両極の集電体とガス拡散層を兼ねており、例えば、市販の撥水性処理したカーボンペーパーを用いることができる。カーボンペーパーとしては例えば、多孔度は約50%、フッ素樹脂約15%が添加されていて撥水性を有しているものを用いることができる。
セパレータ(4−1、4−2)は、例えば、市販の黒鉛板を用いることができる。本発明の実施形態に係るガス拡散層(4−1−1、4−2−1)は、ガス供給・排出路も兼ねており、金属多孔体基材の骨格の表面に親水性、かつ、水に不溶性でフィルム形成能に優れた樹脂フィルムを被覆したものである。
本発明の実施形態に係る固体高分子型燃料電池においては、前記本発明の実施形態に係るガス拡散層をカソードに用いることで、水滴を効率よく除去することができるようになり好ましい。また、前記ガス拡散層をアノードにも用いることで、低出力放電時や運転休止時における乾燥抑制効果を高めることができるようになり好ましい。
なお、図1は単セルであるが、実用化されている燃料電池では、セパレータを介して所望の電圧に対応できるようにセルが積層されて構成されている。通常各セルは直列結合なのでセパレータの一方面がカソードであれば、他の面には隣のセルのアノードがくるように組み立てられ、周辺をボルト、ナットなどで加圧一体化している。
<ガス拡散層の製造方法>
本発明の実施形態に係る固体高分子型燃料電池用のガス拡散層の製造方法は、ニッケルまたはニッケル合金からなる三次元網目状構造を有する金属多孔体の骨格の表面に、親水性で、かつ水に不溶の樹脂を被覆する工程、を有する。
三次元網目状構造を有する金属多孔体の骨格の表面に前記樹脂を被覆する方法は特に限定されず、例えば、樹脂溶液中に金属多孔体を浸漬し、引き上げて乾燥させることで形成することが出来る。
また、前記金属多孔体は、三次元網目状構造を有する樹脂成形体の骨格の表面にニッケルまたはニッケル合金を被覆する工程と、前記樹脂成形体を除去する工程と、を有する金属多孔体の製造方法によって得られたものであることが好ましい。これにより金属多孔体を工業的に量産することが可能であり、ガス拡散層の製造効率を上げることができる。
<水素の製造方法、および水素の製造装置>
金属多孔体基材の骨格の表面が樹脂層で被覆された構造を有する本発明の実施形態に係るガス拡散層(以下では「樹脂被覆金属多孔体」とも記載する)は、上記したような燃料電池用途以外に、水電解による水素製造用途にも好適に使用できる。水素の製造方式には、大きく分けて[1]アルカリ水電解方式、[2]PEM方式、及び[3]SOEC方式があり、いずれの方式にも樹脂被覆金属多孔体を用いることができる。
前記[1]のアルカリ水電解方式では、強アルカリ水溶液に陽極と陰極を浸漬し、電圧を印加することで水を電気分解する方式である。樹脂被覆金属多孔体を電極として使用することで水と電極の接触面積が大きくなり、水の電気分解の効率を高めることができる。
アルカリ水電解方式による水素の製造方法においては、樹脂被覆金属多孔体の孔径は100μm以上、5000μm以下であることが好ましい。樹脂被覆金属多孔体の孔径が100μm以上であることにより、発生した水素・酸素の気泡が樹脂被覆金属多孔体の気孔部に詰まって水と電極との接触面積が小さくなることを抑制することができる。また、樹脂被覆金属多孔体の孔径が5000μm以下であることにより電極の表面積が十分に大きくなり、水の電気分解の効率を高めることができる。同様の観点から、樹脂被覆金属多孔体の孔径は400μm以上、4000μm以下であることがより好ましい。
樹脂被覆金属多孔体の厚さや金属量は、電極面積が大きくなるとたわみなどの原因となるため、設備の規模によって適宜選択すればよい。気泡の抜けと表面積の確保を両立するために、異なる孔径を持つ複数の樹脂被覆金属多孔体を組み合わせて使うこともできる。
なお、アルカリ水電解方式において樹脂被覆金属多孔体を電極として用いる場合には、前記樹脂としては導電性の樹脂を用いればよい。
前記[2]のPEM方式は、固体高分子電解質膜を用いて水を電気分解する方法である。固体高分子電解質膜の両面に陽極と陰極を配置し、陽極側に水を流しながら電圧を印加することで、水の電気分解により発生した水素イオンを、固体高分子電解質膜を通して陰極側へ移動させ、陰極側で水素として取り出す方式である。動作温度は100℃程度である。水素と酸素で発電して水を排出する固体高分子型燃料電池と、同様の構成で全く逆の動作をさせるものである。陽極側と陰極側は完全に分離されているため、純度の高い水素を取り出せる利点がある。陽極・陰極共に電極を透過させて水・水素ガスを通す必要があるため、電極には導電性の多孔体が必要である。
樹脂被覆金属多孔体は高い気孔率と良好な電気伝導性を備えているため、固体高分子型燃料電池に好適に使用できるのと同じように、PEM方式の水素製造用途にも好適に使用できる。PEM方式による水素の製造方法においては、樹脂被覆金属多孔体の孔径は200μm以上、700μm以下であることが好ましい。樹脂被覆金属多孔体の孔径が200μm以上であることにより、発生した水素・酸素の気泡が樹脂被覆金属多孔体の気孔部に詰まって水と固体高分子電解質膜との接触面積が小さくなってしまうことを抑制することができる。また、樹脂被覆金属多孔体の孔径が700μm以下であることにより十分な保水性を確保することができ、反応する前に水が通り抜けてしまうことを抑制して、効率よく水の電気分解を行なうことができる。同様の観点から、220μm以上、650μm以下であることがより好ましく、250μm以上、600μm以下であることが更に好ましい。
樹脂被覆金属多孔体の厚さや金属量は、設備の規模によって適宜選択すればよいが、気孔率が小さくなり過ぎると水を通過させるための圧力損失が大きくなるため、気孔率は30%以上となるように厚みと金属量を調整することが好ましい。また、PEM方式では固体高分子電解質膜と電極の導通は圧着になるため、加圧時の変形・クリープによる電気抵抗増加が、実用上問題ない範囲になるように金属量を調節する必要がある。金属量としては400g/m以上が好ましい。他、気孔率の確保と電気的接続の両立のために、異なる孔径を持つ複数の樹脂被覆金属多孔体を組み合わせて使うこともできる。
前記[3]のSOEC方式は、固体酸化物電解質膜を用いて水を電気分解する方法で、電解質膜がプロトン伝導膜か酸素イオン伝導膜かによって構成が異なる。酸素イオン伝導膜では、水蒸気を供給する陰極側で水素が発生するため、水素純度が下がる。そのため、水素製造の観点からはプロトン伝導膜を用いることが好ましい。
プロトン伝導膜の両側に陽極と陰極を配置し、陽極側に水蒸気を導入しながら電圧を印加することで、水の電気分解により発生した水素イオンを、固体酸化物電解質膜を通して陰極側へ移動させ、陰極側で水素のみを取り出す方式である。動作温度は600℃〜800℃程度である。水素と酸素で発電して水を排出する固体酸化物型燃料電池と、同様の構成で全く逆の動作をさせるものである。
陽極・陰極共に電極を透過させて水蒸気・水素ガスを通す必要があるため、電極には導電性かつ、特に陽極側で高温の酸化雰囲気に耐える多孔体が必要である。樹脂被覆金属多孔体は高い気孔率と良好な電気伝導性と高い耐酸化性・耐熱性を備えているため、固体酸化物型燃料電池に好適に使用できるのと同じように、SOEC方式の水素製造用途にも好適に使用できる。酸化性雰囲気となる側の電極には、Crなどの高い耐酸化性を有する金属を添加したNi合金の使用が好ましい。
SOEC方式による水素の製造方法においては、樹脂被覆金属多孔体の孔径は200μm以上、700μm以下であることが好ましい。樹脂被覆金属多孔体の孔径が200μm以上であることにより、水蒸気や発生した水素が樹脂被覆金属多孔体の気孔部に詰まって水蒸気と固体酸化物電解質膜との接触面積が小さくなってしまうことを抑制することができる。また、樹脂被覆金属多孔体の孔径が700μm以下であることにより、圧損が低くなりすぎて水蒸気が十分に反応する前に通り抜けてしまうことを抑制することができる。同様の観点から、220μm以上、650μm以下であることがより好ましく、250μm以上、600μm以下であることが更に好ましい。
樹脂被覆金属多孔体の厚さや金属量は、設備の規模によって適宜選択すればよいが、気孔率が小さくなり過ぎると水蒸気を供給するための圧力損失が大きくなるため、気孔率は30%以上となるように厚みと金属量を調整することが好ましい。また、SOEC方式では固体酸化物電解質膜と電極の導通は圧着になるため、加圧時の変形・クリープによる電気抵抗増加が、実用上問題ない範囲になるように金属量を調節する必要がある。金属量としては400g/m以上が好ましい。他、気孔率の確保と電気的接続の両立のために、異なる孔径を持つ複数の樹脂被覆金属多孔体を組み合わせて使うこともできる。
<付記>
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
(付記1)
三次元網目状構造を有する金属多孔体基材と、樹脂層と、
を有し、
前記金属多孔体基材はニッケルまたはニッケル合金からなり、
前記樹脂層は、親水性で、かつ水に不溶の樹脂からなり、
前記金属多孔体基材の骨格の表面が前記樹脂層で被覆されている樹脂被覆金属多孔体を、
電極として用いて水を電気分解することによって水素を発生させる、水素の製造方法。
(付記2)
前記樹脂層を形成している樹脂は、分子内に、水酸基、カルボキシ基及びスルフォン基からなる群より選択されるいずれか一種以上の基を有する樹脂である、付記1に記載の水素の製造方法。
(付記3)
前記樹脂層を形成している樹脂は、疎水性分子と親水性分子との共重合体である、付記1又は付記2に記載の水素の製造方法。
(付記4)
前記疎水性分子は、オレフィン、酢酸ビニル、カルボン酸エステル及びスチロールからなる群より選択されるいずれか一種以上であり、前記親水性分子は、ビニルアルコール、アクリル酸及びメタアクリル酸からなる群より選択されるいずれか一種以上である、付記3に記載の水素の製造方法。
(付記5)
前記樹脂層を形成している樹脂は、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールである、付記1から付記4のいずれか一項に水素の製造方法。
(付記6)
前記ニッケル合金は、ニッケルクロム、ニッケルスズ又はニッケルタングステンである付記1から付記5のいずれか一項に記載の水素の製造方法。
(付記7)
前記樹脂被覆金属多孔体の孔径が、100μm以上、5000μm以下である、付記1から付記6のいずれか一項に記載の水素の製造方法。
(付記8)
前記樹脂被覆金属多孔体の金属量は、400g/m以上である、付記1から付記7のいずれか一項に記載の水素の製造方法。
(付記9)
前記水が強アルカリ水溶液である付記1から付記8のいずれか一項に記載の水素の製造方法。
(付記10)
固体高分子電解質膜の両側に前記樹脂被覆金属多孔体を配置して前記固体高分子電解質膜と前記樹脂被覆金属多孔体とを接触させ、それぞれの樹脂被覆金属多孔体を陽極及び陰極として作用させ、前記陽極側に水を供給して電気分解することによって、前記陰極側に水素を発生させる、付記1から付記8のいずれか一項に記載の水素の製造方法。
(付記11)
固体酸化物電解質膜の両側に前記樹脂被覆金属多孔体を配置して前記固体高分子電解質膜と前記樹脂被覆金属多孔体とを接触させ、それぞれの樹脂被覆金属多孔体を陽極及び陰極として作用させ、前記陽極側に水蒸気を供給して水を電気分解することによって、前記陰極側に水素を発生させる、付記1から付記8のいずれか一項に記載の水素の製造方法。
(付記12)
水を電気分解することによって水素を発生させることが可能な水素の製造装置であって、
三次元網目状構造を有する金属多孔体基材と、樹脂層と、
を有し、
前記金属多孔体基材はニッケルまたはニッケル合金からなり、
前記樹脂層は、親水性で、かつ水に不溶の樹脂からなり、
前記金属多孔体基材の骨格の表面が前記樹脂層で被覆されている樹脂被覆金属多孔体を、
電極として備える、水素の製造装置。
(付記13)
前記樹脂層を形成している樹脂は、分子内に、水酸基、カルボキシ基及びスルフォン基からなる群より選択されるいずれか一種以上の基を有する樹脂である、付記12に記載の水素の製造装置。
(付記14)
前記樹脂層を形成している樹脂は、疎水性分子と親水性分子との共重合体である、付記12又は付記13に記載の水素の製造装置。
(付記15)
前記疎水性分子は、オレフィン、酢酸ビニル、カルボン酸エステル及びスチロールからなる群より選択されるいずれか一種以上であり、前記親水性分子は、ビニルアルコール、アクリル酸及びメタアクリル酸からなる群より選択されるいずれか一種以上である、付記14に記載の水素の製造装置。
(付記16)
前記樹脂層を形成している樹脂は、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールである、付記12から付記15のいずれか一項に水素の製造装置。
(付記17)
前記ニッケル合金は、ニッケルクロム、ニッケルスズ又はニッケルタングステンである付記12から付記16のいずれか一項に記載の水素の製造装置。
(付記18)
前記樹脂被覆金属多孔体の孔径が、100μm以上、5000μm以下である、付記12から付記17のいずれか一項に記載の水素の製造装置。
(付記19)
前記樹脂被覆金属多孔体の金属量は、400g/m以上である、付記12から付記18のいずれか一項に記載の水素の製造装置。
(付記20)
前記水が強アルカリ水溶液である付記12から付記19のいずれか一項に記載の水素の製造装置。
(付記21)
固体高分子電解質膜の両側に陽極及び陰極を有し、
前記陽極及び前記陰極は前記固体高分子電解質膜と接触しており、
前記陽極側に供給された水を電気分解することによって前記陰極側に水素を発生させることが可能な水素の製造装置であって、
前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方に前記樹脂被覆金属多孔体を用いる、付記12から付記19のいずれか一項に記載の水素の製造装置。
(付記22)
固体酸化物電解質膜の両側に陽極及び陰極を有し、
前記陽極及び前記陰極は前記固体高分子電解質膜と接触しており、
前記陽極側に供給された水蒸気を電気分解することによって前記陰極側に水素を発生させることが可能な水素の製造装置であって、
前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方に前記樹脂被覆金属多孔体を用いる、付記12から付記19のいずれか一項に記載の水素の製造装置。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は例示であって、本発明の固体高分子型燃料電池用のガス拡散層等はこれらに限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲の記載によって示され、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
[実施例1]
ガス拡散層に用いる三次元網目状構造を有する金属多孔体基材として発泡状ニッケル・スズ合金多孔体を選び、その骨格の表面にフィルム形成能に優れ、水に不溶性で親水である樹脂として、内部にメラミン樹脂を形成させたポリビニルアルコールを選んだ。
発泡状ニッケルは、すでにニッケル−水素電池などのニッケル極として広く実用化されており、基本的には、それとまったく同じ製造工程で作製した。ただし、発泡状ニッケルの従来の用途では、活物質の充填量を多くして電池等のデバイスの高容化を主な目的としていて、多孔度を95%程度としているが、実施例1の金属多孔体基材は、目的が異なり、導電性に優れたガス拡散層として用いるので、多孔度を65%〜90%の範囲とした。なお、実施例では、最終的な調厚により、多孔度をこの範囲に設定した。
(金属多孔体基材の作製)
まず、多孔度96%、孔径450μmのポリウレタンシートを用い、これを厚さ1.5mmのシートに裁断し、ニッケル電解めっきに必要な導電性付与のために、このシートに無電解ニッケルめっきを行った。公知の方法により、塩化第一錫の塩酸水溶液で発泡ウレタン樹脂を処理した後に塩化パラジウムの塩酸水溶液で触媒を添加し、硫酸ニッケル水溶液に浸漬し、次亜リン酸ナトリウムでニッケルに還元される方法により行い、ニッケルの目付け量を8g/m2とした。ついで、電解ニッケルめっきをスルファミン酸浴で行った。めっき浴は公知の組成であり、スルファミン酸ニッケル450g/L、塩化ニッケル5g/L、ホウ酸30g/Lを主とした浴を用いた。そして200mA/cm2で通電してニッケル電解めっきを行った。ニッケルの目付量が350g/m2となるようにした。続いて、この多孔体を750℃の空気中で加熱してウレタン樹脂などを燃焼除去した後、一部酸化したニッケルの還元と焼鈍のために、水素雰囲気中において、850℃で加熱処理することにより発泡状ニッケルを製造した。
続いて、ニッケルとスズとの合金化も工程も公知の方法を採用した。すなわち、上記で作製した発泡状ニッケル多孔体に、目付けが100g/mになるようにスズめっきを施し、熱処理によってスズを拡散させた。これにより、スズの含有量が、ほぼ25質量%の発泡状ニッケル・スズ合金多孔体を作製した。ここで用いたスズめっき浴としては、硫酸第一スズ、硫酸、クレゾールスルホン酸、ゼラチン、βナフトールを組成とする溶液を使用した。硫酸第一スズ55g/L、硫酸100g/L、クレゾールスルホン酸100g/L、ゼラチン2g/L、βナフトール1g/Lの組成とした。電流密度は10mA/cmとした。めっき後にスズを拡散して合金化するために、水素雰囲気中で、550℃で10分間加熱した。この加熱で合金化が均一に進んでいることを確認した。
以上のようにして得られた発泡状ニッケル・スズ合金多孔体の多孔度は約93%であり、これをローラープレス機により調厚することで厚さ900μm、多孔度を85%にした。
(樹脂層の形成)
上記のようにして作製した発泡状ニッケル・スズ合金多孔体に次のようにして樹脂層を形成し、骨格の表面を樹脂層で被覆した。
完全鹸化ポリビニルアルコール100gを用いて5質量%の水溶液を作成した。一方、メラミン粉末10gにホルマリン37%水溶液をホルムアルデヒドが15g相当になるように加えて溶解し、これをポリビニルアルコール水溶液に加えた。
十分攪拌後にこの混合溶液中に発泡状ニッケル・スズ合金多孔体を浸漬し、空気中80℃で20分間乾燥後、170℃で30分間加熱することでポリビニルアルコール中にメラミン樹脂を形成させた。一般に完全鹸化ポリビニルアルコールには、結晶部分と非結晶部分が存在し、部分鹸化物よりも水に対する親和性が減少するといわれている。このポリビニルアルコール中に少量のメラミン樹脂を形成することで、結晶は形成されず、つまり水への親和性が低下することなく、熱水にも不溶になる。
このようにして樹脂層を被覆した発泡状ニッケル・スズ合金多孔体の多孔度は83%であり、孔径値は約10%減少して408μmとなった。
このフィルム形成能に優れた親水性樹脂を形成したニッケル・スズ合金多孔体を、固体高分子型燃料電池単セルのガス拡散層兼ガス供給・排出路とした。
この多孔体を用いて単セルを組み立てるために市販のMEAを用い、この発泡状ニッケル・スズ合金多孔体を5×5cmに裁断して、図1に示した単セルを構成した。集電体兼ガス拡散層として市販の撥水性処理したカーボンペーパーを用い、セパレータとして炭素(黒鉛)板を用いた。4角をボルト・ナットにより締め付け固定して、各構成材料の接触性の向上とともに水素、空気のセルからの漏れを防止した。このセル(固体高分子型燃料電池)をA1とした。
[実施例2]
金属多孔体基材として発泡状ニッケルクロム合金多孔体を用いた。
発泡状ニッケルクロム合金多孔体は、公知の方法によって発泡状ニッケルをクロマイジング処理することで作製した。すなわち、クロム源となる粉末・焼結防止剤を発泡状ニッケルの多孔質部に充填し、還元性雰囲気(水素雰囲気)下で熱処理することにより作製した。発泡状ニッケルは実施例1と同じものを用いた。
得られた発泡状ニッケルクロム合金の多孔度は約93%であり、これをローラープレス機により調厚することで厚さ900μm、多孔度を85%にした。調厚後の発泡状ニッケルクロム合金の孔径は420μmであった。
以降の工程は実施例1と同様に行い、セルA2を得た。
[実施例3]
実施例1において用いた発泡状ニッケル・スズ合金多孔体の骨格の表面を、次のようにして樹脂層で被覆した以外は実施例1と同様にしてセルA3を作製した。
発泡状ニッケル・スズ合金多孔体を浸漬する樹脂混合溶液として次のものを用意した。増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)0.5質量%を加えたメタクリル酸水溶液100gに疎水性のポリエチレンが15gとなるようにポリエチレンディスパージョン液を添加してよく撹拌した。そして、加熱温度を110℃とした以外は実施例1と同様にして樹脂層の形成を行った。
[比較例1]
比較として、親水性樹脂の被覆を行っていない発泡状ニッケル・スズ合金を用いて、その他の構成はセルA1と同じにしたセルをBとして加えた。
[比較例2]
実施例1と同じMEA及びカーボンペーパーを用い、ガス供給・排出路及びセパレータとして溝を設けた炭素(黒鉛)板(厚さ20mm)を用いた。溝については深さ1mm、溝間の幅を1mmとし、板表面での溝の占める比率を50%とした。この比較のセルをCとした。
<評価>
まず、セルA1〜A3及びセルBに用いたガス拡散層の親水性の度合いを調べた。
具体的には、セルA1〜A3及びセルBに用いたそれぞれのガス拡散層を静置し、上から36μlの水滴を垂らし、水滴が多孔質部に浸み込む時間を測定した。なお、水滴が多孔質部に浸み込む時間は、ガス拡散層を横から目視した場合に、水滴が多孔質部に浸み込んで見えなくなるまでの時間を測定した。
その結果、実施例1において作製したガス拡散層においては2分で、実施例2では3分で、実施例3では2分10秒で水滴が見えなくなったのに対し、比較例1において使用したガス拡散層では、15分経っても水滴が多孔質部に浸み込むことはなかった。
続いて、セルA1〜A3、B及びCのアノードに水素を、同じくカソードに空気を、それぞれバブラを介して供給して、その放電特性を調べた。なお、各ガスの供給は、負荷に応じて変え、水素は計算値の1.2倍、空気は酸素換算で2倍供給のように負荷に応じて調整する装置を用いた。周囲温度25℃、電池作動温度は80℃とした。バブラの温度も水素、空気ともに同じく80℃とした。
表1は放電電流を変えた際のセルA1〜A3、B及びCの放電電圧値の結果である。
Figure 0006627532
表1で明らかなように特に500mA/cm以上の高率放電では、放電電圧に差が出て、セルCよりもセルA1〜A3の方が高かった。これは、セルA1〜A3ではガス拡散層、ガス供給・排出路ともに金属(ニッケル・スズ合金、ニッケルクロム合金)であり、導電性の点で比較の黒鉛より2桁程度優れていることと、ガス供給・排出路の多孔度が約75%と大きいことに起因すると考えられる。すなわち、比較例の炭素(黒鉛)板の溝が持つ50%より大きな多孔度を有することで水素及び空気それぞれのガス拡散電極への供給がよくなり、更に放電後の空気の逸散や生成水の除去が容易に起こることが原因で、高放電領域でセルA1〜A3が高い電圧を示したと思われる。
一方、親水性樹脂の被覆を行わなかったセルBは、セルA1〜A3にくらべて500mA/cm2以上で動作した場合に、わずかに電圧が劣る結果となった。電流が大きくなると水の生成量が増え、水の排出性能の差が現れたと考えられる。
次に、セルA1〜A3、B、及びCについて、カソードへ水蒸気を含んだ空気を通すバブラの温度を60℃に低下させた際の特性を比較した。イオン交換膜の水分含有量を高く保つためにはバブラの温度は高い方が、露点が高くなって多くの水蒸気を含ませることができて好ましい。しかし、カソードへのガス量は、アノードへのガス量よりはるかに多く、したがって燃料電池から排出される水も多くなる。このためバブラの温度を低くすれば排出される水の量が減ってメンテナンスも容易になるので、低温度でも出力特性に優れた燃料電池が好ましい。表2に表1と同様の特性試験を行った結果を示す。
Figure 0006627532
表2で明らかなように、セルA1〜A3はセルBよりも、とくに高率放電で優れていてイオン交換膜の水分含有量が良好に保たれることを示している。
更に、運転休止から元の発電特性への回復の早さを評価した。セルA1〜A3、B、及びCについて、セル温度、カソード用バブラ温度、及びアノード用バブラ温度を80℃とし、電流密度250mA/cm2の条件で500時間連続運転した後に運転を休止した。水素及び空気の供給も停止してセル及び両バブラの温度ともに25℃に戻して30時間放置した。ついで、同様に500時間運転を行って60時間放置した。そして、各セル温度、カソード用バブラ温度、及びアノード用バブラ温度を80℃まで昇温して電流密度250mA/cmで運転再開し、電圧が放置前の電圧に回復する早さを測定した。その結果、セルA1〜A3はほぼかわらず、それぞれ約0.5〜1時間で回復したのに対し、セルBは2〜5時間、セルCは1〜1.5時間となった。
同様の評価として、セルA1〜A3、B、及びCについて、セル温度及びアノード用バブラ温度を80℃、カソード用バブラ温度を60℃とし、電流密度150mA/cmの条件で500時間連続運転した後に運転を休止した。水素及び空気の供給も停止してセル温度、カソード用バブラ温度、アノード用バブラ温度を25℃に戻して30時間放置した。ついで、同様に500時間運転を行って60時間放置した。そして、各セル温度、カソード用バブラ温度、及びアノード用バブラ温度を元の条件に戻して電流密度150mA/cmで運転再開し、電圧が放置前の電圧への回復する早さを測定した。その結果、セルA1〜A3はそれぞれ約1〜2時間で回復したのに対し、セルBは3〜7時間、セルCは2〜3時間であった。
以上、本実施例では親水性樹脂としてメラミン樹脂による変性ポリビニルアルコールを用いたが、例えばここにポリアクリル酸などより含水性に優れた樹脂を混合しても良い。さらに疎水性と親水性樹脂の共重合体も利用可能であり、オレフィンとアクリル酸の共重合体は好ましい材料である。
M 膜・電極接合体(MEA)
1 イオン交換膜
2−1 ガス拡散電極(白金触媒を含む活性炭層)
2−2 ガス拡散電極(白金触媒を含む活性炭層)
3−1 集電体
3−2 集電体
4−1 セパレータ
4−1−1 ガス拡散層
4−2 セパレータ
4−2−1 ガス拡散層

Claims (10)

  1. 固体高分子型燃料電池の、少なくとも酸素極に用いるガス拡散層であって、
    三次元網目状構造を有する金属多孔体基材と、樹脂層と、
    を有し、
    前記金属多孔体基材はニッケルまたはニッケル合金からなり、
    前記樹脂層は、親水性で、かつ水に不溶の樹脂からなり、
    前記樹脂は、疎水性分子と親水性分子との共重合体であり、
    前記金属多孔体基材の骨格の表面が前記樹脂層で被覆されている
    固体高分子型燃料電池用のガス拡散層。
  2. 前記樹脂は、分子内に、水酸基、カルボキシ基及びスルフォン基からなる群より選択されるいずれか一種以上の基を有する樹脂である請求項1に記載のガス拡散層。
  3. 前記疎水性分子は、オレフィン、酢酸ビニル、カルボン酸エステル及びスチロールからなる群より選択されるいずれか一種以上であり、前記親水性分子は、ビニルアルコール、アクリル酸及びメタアクリル酸からなる群より選択されるいずれか一種以上である請求項1または請求項2に記載のガス拡散層。
  4. 固体高分子型燃料電池の、少なくとも酸素極に用いるガス拡散層であって、
    三次元網目状構造を有する金属多孔体基材と、樹脂層と、
    を有し、
    前記金属多孔体基材はニッケルまたはニッケル合金からなり、
    前記樹脂層は、親水性で、かつ水に不溶の樹脂からなり、
    前記樹脂は、変性ポリビニルアルコールであり、
    前記金属多孔体基材の骨格の表面が前記樹脂層で被覆されている、
    固体高分子型燃料電池用のガス拡散層。
  5. 前記ニッケル合金は、ニッケルクロム、ニッケルスズ又はニッケルタングステンである請求項1から請求項のいずれか一項に記載のガス拡散層。
  6. 多孔度が65%以上、90%以下であり、かつ、孔径が200μm以上、700μm以下である請求項1から請求項のいずれか一項に記載のガス拡散層。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を有する固体高分子型燃料電池用の集電体。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の固体高分子型燃料電池用のガス拡散層を有する固体高分子型燃料電池。
  9. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層を製造する方法であって、
    ニッケルまたはニッケル合金からなる三次元網目状構造を有する金属多孔体の骨格の表面に、親水性で、かつ水に不溶の樹脂を被覆する工程、を有する、固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  10. 三次元網目状構造を有する樹脂成形体の骨格の表面にニッケルまたはニッケル合金を被覆する工程と、
    前記樹脂成形体を除去する工程と、
    を有する金属多孔体の製造方法によって得られる、ニッケルまたはニッケル合金からなる三次元網目状構造を有する金属多孔体を用いる請求項に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
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