JP6627409B2 - 均一細孔分布を有する多孔質ガラス膜を用いたろ過方法とその装置 - Google Patents
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Description
項1 シラス多孔質ガラス膜を介して、液体中の微粒子を分画するろ過方法であって、当該膜の最頻細孔径が0.05〜50μmであり、当該膜が、その大きい細孔径から小さい細孔径への相対累積細孔分布曲線において、細孔容積全体の10%を占めるときの細孔径を、細孔容積全体の容積の90%を占めるときの細孔径で除した値が1〜1.5であることを特徴とするろ過方法。
項2 当該膜の最頻細孔径は、液体中微粒子を当該多孔質膜を介してろ液として分取したい粒子径の2.5倍以上であることを特徴とする項1記載のろ過方法。
項3 当該膜の最頻細孔径は、透過させない液体中微粒子の粒子径の1倍以下であることを特徴とする項1記載のろ過方法。
項4 管状シラス多孔質ガラス膜の管内に微粒子分散原液を陽圧となるように送液し、当該多孔質ガラス膜を介して管外へろ液を染み出させるクロスフロー型ろ過方法であって、定期的に管内への送液を一時停止させるのみで、別の逆洗手段を施すことなく断続的にろ過することを特徴とする項1乃至3記載のろ過方法。
項5 管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
a)当該モジュールの下方には送液量をコントロールできる送液バルブ1が設けられており、
b)当該モジュールの更に下方(上流)側には、モジュール内の当該膜内径空間が陽圧となるように微粒子分散原液を送液する送液手段が設けられており、
c)当該モジュールの上方には送液量のコントロールと、当該モジュール内の当該膜内径空間が陽圧にコントロールできる送液バルブ2が設けられており、
d)前記送液手段を定期的に一時停止するためのon−off手段が設けられており、
e)当該膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
f)さらに、当該膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により離脱するための加圧手段の出入口2が設けられており、
g)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該モジュールの下方から微粒子分散原液を送圧し、当該膜内圧として1乃至100kPaの圧力が加わるように送液され、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定した圧力が加わっており、
3)前記送液手段の稼働により、前記送圧バルブ3を開いて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)時間経過後、定期的に前記on−off手段により当該送液手段を一時停止することで、当該膜内面上に堆積する微粒子を離脱させ、
5)または、更に、前記送圧バルブ3を閉じ、前記送圧バルブ4を開いて、当該膜内面上に堆積する微粒子の離脱を補填することが可能で、
6)続けて、前記on−off手段により当該送液手段を再稼働することで、当該膜内面上から離脱した堆積微粒子を送液し、
7)改めて、前記送圧バルブ3を開いて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能である、
ことを特徴とする項1乃至3記載のクロスフローろ過方法。
項6 シラス多孔質ガラス膜の一次側に送液し、当該多孔質ガラス膜を介して二次側へろ液を染み出させるデッドエンド型ろ過方法であって、定期的に一次側への送液を一時停止させ、任意の逆洗手段を施し、断続的にろ過することを特徴とする項1乃至項3記載のろ過方法。
項7 管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
a)当該モジュールの下方には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ送入される送液バルブ1を有する経路と、モジュール内から下方へ送出する送液バルブ2を有する経路の三方経路が設けられており、
b)当該モジュールの上方は、液密的に封止されており、
c)膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
d)さらに、膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により排出するための加圧手段の出入口2が設けられており、
e)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該送液バルブ1の一次側には、当該モジュール内の当該膜内圧として下方から微粒子分散原液を送圧するための0.1乃至0.5MPaの圧力が加わっており、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定した圧力が加わっており、
3)該送液バルブ1と該送圧バルブ3を開いて、該送液バルブ2と該送圧バルブ4を閉じて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)次に、該送液バルブ1を閉じて、該送圧バルブ4開いて、当該モジュール内に残存しているろ液を前記出入口1から押し出し、
5)次に、該送圧バルブ3を閉じることにより、当該モジュール内圧が前記逆洗用設定圧力に達するまで昇圧され、
6)当該モジュール内圧が前記設定圧力に達したら、該送液バルブ2を開いて、当該膜内面に堆積した微粒子を当該モジュールから下方へ排出することのできる
ことを特徴とする項1乃至3記載の内圧式デッドエンドろ過方法。
項8 項1記載のろ過方法であって、当該シラス多孔質ガラス膜の管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
a)当該モジュールの下方には送液量をコントロールできる送液バルブ1が設けられており、
b)当該モジュールの更に下方(上流)側には、モジュール内の当該膜内径空間が陽圧となるように微粒子分散原液を送液する送液手段が設けられており、
c)当該モジュールの上方には送液量のコントロールと、当該モジュール内の当該膜内径空間が陽圧にコントロールできる送液バルブ2が設けられており、
d)前記送液手段を定期的に一時停止するためのon−off手段が設けられており、
e)当該膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
f)さらに、当該膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により離脱するための加圧手段の出入口2が設けられており、
g)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該モジュールの下方から微粒子分散原液を送圧し、当該膜内圧として1乃至100kPaの圧力が加わるように送液され、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定した圧力が加わっており、
3)前記送液手段の稼働により、前記送圧バルブ3を開いて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)時間経過後、定期的に前記on−off手段により当該送液手段を一時停止することで、当該膜内面上に堆積する微粒子を離脱させ、
5)または、更に、前記送圧バルブ3を閉じ、前記送圧バルブ4を開いて、当該膜内面上に堆積する微粒子の離脱を補填することが可能で、
6)続けて、前記on−off手段により当該送液手段を再稼働することで、当該膜内面上から離脱した堆積微粒子を送液し、
7)改めて、前記送圧バルブ3を開いて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能な、クロスフローろ過装置。
項9 項1記載のろ過方法であって、当該シラス多孔質ガラス膜の管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
a)当該モジュールの下方には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ送入される送液バルブ1を有する経路と、モジュール内から下方へ送出する送液バルブ2を有する経路の三方経路が設けられており、
b)当該モジュールの上方は、液密的に封止されており、
c)膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
d)さらに、膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により排出するための加圧手段の出入口2が設けられており、
e)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該送液バルブ1の一次側には、当該モジュール内の当該膜内圧として下方から微粒子分散原液を送圧するための0.1乃至0.5MPaの圧力が加わっており、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定した圧力が加わっており、
3)該送液バルブ1と該送圧バルブ3を開いて、該送液バルブ2と該送圧バルブ4を閉じて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)次に、該送液バルブ1を閉じて、該送圧バルブ4開いて、当該モジュール内に残存しているろ液を前記出入口1から押し出し、
5)次に、該送圧バルブ3を閉じることにより、当該モジュール内圧が前記逆洗用設定圧力に達するまで昇圧され、
6)当該モジュール内圧が前記設定圧力に達したら、該送液バルブ2を開いて、当該膜内面に堆積した微粒子を当該モジュールから下方へ排出することのできる
内圧式デッドエンドろ過装置、
を提供するものである。
本発明のろ過法に用いられる多孔質膜は、「水銀圧入式自動ポロシメーター(株式会社島津製作所製)」でその細孔径を測定した場合、分布する大きい孔径から水銀が圧入され順次測定されるとすると、その相対累積細孔分布曲線において、10%径を90%径で除した値が1〜2.0である単分散な細孔径を有する多孔質膜が好ましく、その値が1〜1.5である多孔質膜がより好ましい。
以下の実施例については、単分散細孔多孔質膜として管状シラス多孔質ガラス膜を用いて実施したものであり、クロスフローろ過法において、単分散細孔内に侵入して孔路を完全閉塞することなく、当該多孔質膜細孔上、つまり膜面上にケーク層として堆積するだけであるので、徐々にろ液流量が減衰してくるが、本発明の方法のように、定期的にクロスフロー循環を一時停止するだけで、当該ケーク層が解けて、クロスフロー循環を再開すると同時に、膜面上に堆積していたケーク層がその循環送流により流れてしまい、多孔質膜細孔上から除外されてろ液が再通するものである。ここで、このクロスフロー循環を一時停止するだけで、多孔質膜細孔上から当該ケーク層が除外されにくい場合は、任意の逆洗手段を施し膜細孔に逆圧をかけ、膜面上ケーク層の離脱のための補助を行ってもよい。
除去あるいは、分画したい粒子の分布に重ならない細孔径分布の多孔質膜を用いることが理想であり、更に単分散細孔径の多孔質膜がより理想であるが、それでも仮に細孔入口付近に粒子が詰まったとしても、図2に示す通り、逆洗を施すことにより本発明に係る単分散細孔径多孔質膜は、一定圧で全面逆洗が効くが、多分散細孔径多孔質膜は、一定圧でも、細孔径分布で上限域だけ逆洗が効き、下限域には逆洗圧が効かないということが考えられる。そのために逆洗圧を上げても、通過性を考慮すると、細孔径の大きい(上限)域に逆洗圧が掛かるだけで、細孔径の小さい(下限)域には逆洗圧の効果が小さいという問題が考えられる。
図4に示す通り、用いる多孔質膜の細孔径が2極分布の間のもので単分散細孔のシラス多孔質ガラス膜であれば、固形粒子とはいえ細孔を閉塞することなく十分分画することができる。それは膜細孔を閉塞させる可能性が考えられる細孔径より大きい固形微粒子は、膜面上に堆積するだけであるので、任意の逆洗手段を施せば容易に膜面上から離脱させることができるからである。これが、図5に示す通り、単分散の細孔でない多孔質膜であると、細孔分布の平均細孔径に対して上限下限が大きいと、特に隣接して2極化分布している固形微粒子の分画では、その間の細孔径を選択することが非常に難しく、固形微粒子の分布が少しでも多孔質膜の分布に重なる部分があると、多孔質膜の細孔内に固形微粒子が入り込み、細孔を閉塞してしまう可能性が十分考えられ、細孔内に入り込んだ固形微粒子は特定の逆洗でも除去することが困難と思われ、分画作業途中で逆洗作業を行っても、細孔の回復率が次第に減衰していき、長時間のろ過作業でろ液を十分確保できないという問題が発生する。
図6に、微粒子分散原液zから、図6(a)とおり単分散細孔多孔質膜の細孔径dm1、dm2、dm3の3つを用いることにより、図6(c)とおり微粒子分散液z1、z2、z3に分画できることを示すが、先ず、図6(b)とおり、単分散細孔径dm3の多孔質膜により、微粒子分散z1とz2+3に分画し、次に単分散細孔径dm2の多孔質膜により、微粒子分散z2+3を、微粒子分散z2とz3に分画することができる。更には、単分散細孔径dm3の多孔質膜により、微粒子分散z3からろ液を抽出し、このろ液を分画した微粒子分散z1の液に戻すことで、特に微粒子分散z1、z2液のろ液不足を起さないように、クロスフローろ過法になる所謂ダイヤフィルトレーション方式で、均等な分散液として3分画することができる。これは、単分散細孔径の多孔質膜であることが功を奏するものである。このダイヤフィルトレーション方式の実施例を図7に示す。つまり、微粒子分散原液zから、単分散細孔多孔質膜の細孔径dm1を介して多孔質膜モジュールM1出口r1からろ液z2+3を分取して、次の微粒子分散原液z2+3として単分散細孔多孔質膜の細孔径dm2を介して多孔質膜モジュールM2出口r2からろ液z3を分取して、更に次の微粒子分散原液z3として単分散細孔多孔質膜の細孔径dm3を介して多孔質膜モジュールM3出口r3からろ液体のみを分取して、これを元の微粒子分散原液zの液室に戻すというものである。
例えば微粒子分散原液から微粒子を除去する目的として、管状多孔質膜を用いてデッドエンドろ過する場合、図12(a)に示すとおり外圧式にすると、多孔質膜の外表面上に微粒子9が堆積することになり、その堆積微粒子が原因でそれ以上のろ液が抽出できなくなった時点では、多孔質膜モジュールの一次側となる空間7には、微粒子分散原液が充満されている状態であり、この状態で出入口rを閉じ、多孔質膜内空間8の二次側から細孔を介して一次側へ逆洗し、堆積微粒子を、例えば出入口gから多孔質膜モジュール外へ排出するとなると、当該原液も一緒に排出しなければならなくなり、その原液そのものがもったいないことになる。また、逆洗用媒体として水を使用するとすれば、前記同様逆洗時には、多孔質膜内空間8の二次側から送液し、多孔質膜の細孔を介して多孔質モジュールの一次側となる空間7、つまり充満している当該微粒子分散原液と混ざりながら排出することになり、逆洗完了後、続く次のろ過作業のため微粒子分散原液を出入口rから供給する際に、空間7に水が残液としてあると抽出するろ液が水で希釈された状態で抽出されることになり、本来の抽出ろ液そのものではなくなることを考慮しなければならない。
図3に示す通り、ビール酵母は所謂単分散粒子であるため本発明に係る単分散細孔のシラス多孔質ガラス膜であれば、任意の逆洗手段により膜面上に堆積する酵母のケーク層除去も非常に容易で、細孔の閉塞もなく逆洗作業を定期的に行うことで長時間繰り返しのろ過作業が可能である。これに対し、単分散粒子のビール酵母であっても、ろ過に用いる多孔質膜の細孔径の分布が広いと、当該多孔質膜細孔径分布の上限がビール酵母分布の下限に重ならないように、より小さい平均細孔径の多孔質膜を選択することになり、これは、ろ液速度が低くなることであり、ろ液量を稼ぐために余計に多孔質膜を設けないといけないという課題が発生する。そこで、本発明に係る方法として、酵母入りビールの酵母除去を、デッドエンドろ過法による実施例で以下とおり説明する。
エマルションの分画
本発明の方法で分取したい分散微粒子が流動的なエマルションであれば、ろ過中に膜面に堆積したり細孔内に侵入し孔路途中に捕捉されたとしても、エマルション微粒子は流動的であるので、逆洗方向に逆圧を加えることで、本発明に係る単分散細孔多孔質膜であれば、均等に逆圧が加わり、容易に膜細孔の再開通を実現することができる。ここで、微粒子分布のなかで多孔質膜の細孔を通過させて分取したい微粒子径dpであれば、その細孔径dmは、dm=2.5×Dp以上を選択することが好ましく、より好ましくは、dm=5×dp以上である。このように本発明による単分散細孔径を有する多孔質膜によれば、細孔径dm=2.5×dp以上を選択することで、微粒子径dpの分布ピーク(モード粒子径:最頻粒子径)を分取することができ、2.5×dp以上の微粒子分布と分画することができる。これは、図8に示す実施例に基づいて以下とおり説明する。
単分散固形微粒子の分画
次に図9に示す通り、図9(a)単分散微粒子最頻粒子径(図中モード径0.077μm)約80nmの分散原液を、本発明の方法により、最頻細孔径0.2μmの当該単分散細孔多孔質膜を用いて、クロスフロー法による分画ろ過を行ったところ、図9(b)単分散微粒子最頻粒子径(図中モード径0.077μm)約80nmの微粒子分布とおり、分散原液に対し隔たりなく多孔質膜を介して分取することができた。つまり、微粒子径約80nmに対し、2.5倍の当該単分散細孔多孔質膜最頻細孔径0.2μmであれば、微粒子を分取できるということである。次に、最頻細孔径0.1μmの単分散細孔多孔質膜を用いて、同様の方法により分画ろ過を行ったところ、図9(c)C1のとおり、全く透明の液体のみが分取され、より小さい微粒子80nmの分散液は採取することができなかった。ちなみに、当実施例の分散原液の単分散性は、図9(a)の積算相対粒子量10%に相当する粒子径10%Dの0.057μmと、積算相対粒子量90%に相当する粒子径90%Dの0.120μmから、90%D/10%D=0.120/0.057≒2.1で、単分散であると見なせる。
2ピーク微粒子分散原液の粗大ピーク除外
以上図8と図9の実験例から勘案すると、微粒子分散原液最頻粒子径5μmを十分分取するためには、その2.5倍径以上の単分散細孔径12.5μm以上が妥当で、より好ましくは3倍径以上の単分散細孔径15μm以上であり、更に好ましくは5倍径以上の単分散細孔径25μm以上である。但し、図6に示す通り、微粒子分散原液zから単分散細孔多孔質膜を境に上下分画する場合、例えば図8(a)の原液zから一次ピークである最頻粒子径(図中モード径)4.935μmを分取し、二次ピークがある70〜80μmの微粒子分布と分画したい場合は、前記とおり、当該単分散細孔径は、一次ピークの最頻粒子径約5μmの2.5倍径の12.5μm以上で、上限として当該二次ピークの分布幅下限値の約40μm以下を選択することが好ましい。
断続クロスフローろ過
前述図9と図10に係る実験例は、図11(c)の概念図に示すクロスフローろ過装置で、本発明に係る方法により行ったもので、多孔質膜モジュールMには、外径約10mm、内径約8.5mm、長さ125mmの本発明に係る単分散細孔多孔質膜である管状シラス多孔質ガラス膜を用いたもので、特に図9(b)と図10(b)に用いた当該細孔径は、前述とおり最頻細孔径0.2μmである。これらの実験例では、本発明に係る方法のとおり、図11(c)に示すタンク9’に入っている微粒子分散原液を送液する送液手段であるポンプvを定期的にon−offするスイッチbにより、1サイクルを、クロスフロー送液時間を5分間、送液ポンプの一時停止時間を1分間という断続ろ過で行った。またここで、本発明に係るとおり、当該管状多孔質膜内径部に送圧される時の陽圧を、図11(c)に示す圧力計で、40〜50kPaになるように、送圧バルブv5を調整した。ここで、当該多孔質膜内径部が陽圧にすることが好ましいが、これは送液手段の送圧能力にも依るところとなり、また、本発明のとおり送液手段を一時停止させるだけで当該管状膜内面が陰圧になる程度で堆積した微粒子を離脱させるためには、当該陽圧を高くすると当該陰圧程度で逆洗効果が効かなくなる。そのため、当該陽圧は1〜100kPaで調整することが好ましい。この時の循環送液流量は、6〜8L/分であった。
酵母入りビールの酵母ろ過
図15中の円筒状の多孔質膜モジュールMの1基には、外径約10mm、内径約8.5mm、長さ500mmの本発明の方法に係る単分散細孔多孔質膜である管状シラス多孔質ガラス膜、最頻細孔径3μmが膜固定手段kにより18本束ねて配列されており、この膜モジュールMが2基並列に配備されており、タンク9には2000lの酵母入りビール原液がある。逆洗用ガス源Gは、炭酸ガスを用いた。
2 多分散細孔径の多孔質膜
s 細孔
a1,a2 逆洗圧
3 単分散細孔径多孔質膜の細孔径分布
4 多分散細孔径多孔質膜の細孔径分布
x、y 単分散微粒子を有する原液の微粒子分布
dp 微粒子分布xの平均粒子径
d1 多孔質膜1の平均細孔径
d2 多孔質膜2の平均細孔径
z 多分散微粒子を有する原液の微粒子分布
z1、z2、z2+3、z3 原液zから分画した微粒子分散液
dm1、dm2、dm3 単分散細孔径多孔質膜の平均細孔径
M、M1、M2、M3 単分散細孔径多孔質膜を搭載したモジュール
r、r1、r2、r3 単分散細孔径多孔質膜を搭載したモジュールの横方向出 入口
B1 単分散微粒子最頻粒子径約80nmの分散原液
B2 単分散微粒子最頻粒子径約300nmの分散原液
C1 分散原液B1から多孔質膜0.1μmで分取した透明液
C2 分散原液B2から多孔質膜0.2μmで分取した透明液
C3 分散原液B2から多孔質膜0.1μmで分取した透明液
g モジュールMの横方向出入口
5 陽圧方向
6 陰圧方向
B 微粒子
v 微粒子分散原液を送液するポンプ
u 微粒子分散原液の送流方向
t ろ液の送流方向
n 逆洗媒体用タンク
b 送液ポンプ用on−offスイッチ
h 微粒子排出の送流方向
7 多孔質膜モジュール内空間
8 多孔質膜内空間
f 封止
k 管状多孔質膜液密的固定手段
9’ 微粒子分散原液のタンク
10’ 抽出液貯蔵のタンク
9 酵母入りビール原液のタンク
10 酵母ろ過後抽出のクリアビール貯蔵のタンク
11 堆積酵母排出回収のタンク
v1、v2、v3、v4、v5 バルブ
G ガス源
g1、g2 ガス圧調整バルブ
12 多孔質膜モジュール下方室
13 モジュール上方室
Claims (1)
- 管状シラス多孔質ガラス膜を用いたデッドエンドろ過装置であって、
a)当該シラス多孔質ガラス膜は、分取したい微粒子分散原液の粒子径より少なくとも2.5倍大きい最頻細孔径を有し、または通過させたくない微粒子分散原液の粒子径と同等の最頻細孔径であり、
b)管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
c)当該モジュールの下方には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ送入される送液バルブ1を有する経路と、モジュール内から下方へ排出する送液三方バルブ2を有する経路の三方経路が設けられており、
d)当該モジュールの上方は、液密的に封止されており、
e)膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
f)さらに、膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により排出するための加圧手段の出入口2が設けられており、
g)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該送液バルブ1の一次側には、当該モジュール内の当該膜内圧として下方から微粒子分散原液を送圧するための0.1乃至0.5MPaの圧力が加わっており、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定したガス圧力が加わっており、
3)該送液バルブ1と該送液三方バルブ2の送入経路と該送圧バルブ3を開いて、該送液三方バルブ2の排出経路と該送圧バルブ4を閉じて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)次に、該送液バルブ1を閉じて、該送圧バルブ4を開いて、当該モジュール内に残存しているろ液を前記出入口1から押し出し、
5)次に、該送圧バルブ3を閉じることにより、当該モジュール内圧が前記逆洗用設定圧力に達するまで昇圧され、
6)当該モジュール内圧が前記設定圧力に達したら、該送液三方バルブ2の排出経路を開いて、当該膜内面に堆積した微粒子を当該モジュールから下方へ排出し、
ろ過→残液押出→ガス逆洗→ろ過の作業を繰り返すことのできる内圧式デッドエンドろ過装置。
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