JP6627409B2 - 均一細孔分布を有する多孔質ガラス膜を用いたろ過方法とその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、微粒子分散原液から所望の微粒子径分布の微粒子分散液を分画して分取する方法とその装置に関するものである。
近年のものづくり産業において、各種素材の高品質化、高機能化のニーズは更に高度なものになってきており、例えば半導体など電子機器業界、フィルム業界、塗料顔料接着剤業界、医薬品業界、食品・化粧品業界など必要な粉体の微細化、均一化など益々その要求が高まっている。
例えば、顔料などは一般に粉砕して微粒化する方法により製造されており、近年の粉砕機、微粒化装置の進歩により、平均粒子径についてはより微細化が得られているが、その微細化顔料の分散性については多分散になるところが多い。
そのため、これら必要な粉体の均一化については様々な手法により均一微粒子を生成する検討がなされており、遠心分離処理やろ過処理、乾式分級、湿式分級などが行われている。その中で篩を利用した分級では、SUS製や樹脂製の膜が用いられているが、例えば特許文献1、2のように、湿式で多孔質ガラス膜を用いたろ過・分画・分級方法がある。
特開2012−144702号公報 特開2015−062872号公報 特公平06−034697号公報 特開2007−111576号公報 特開平07−251041号公報 特開平06−190251号公報
ここで、特許文献1の分級ろ過処理する方法では、クロスフローろ過法でシラス多孔質ガラス(SPG)膜が用いられており、当該SPG膜の好ましい気孔率は40〜65%としてある。また、当分級ろ過処理する際のSPG膜平均細孔径は、母液である顔料分散体の最小粒径より大きく、最大粒径より小さい範囲内の平均細孔径を有するものを通常用い、好ましくは、分級ろ過処理する顔料分散体のD1(累積体積頻度が小粒径側から累積して1%になる粒径)〜D99の範囲の平均細孔径が好ましく、D5〜D95の範囲内の平均細孔径がより好ましいとしている。当該内容は、当該文献実施例1〜4、図1〜4に明示されている。このように、特許文献1では、顔料分散体の分級に使用するSPG膜は、当該顔料分散体が分布する範囲内の平均細孔径から選択しなければならないことが明記されている。
また、特許文献1によると分級ろ過処理によって、膜の細孔径よりも大きな粒径の顔料粒子は母液中に残り、細孔径よりも小さな粒径の顔料粒子は多孔質ガラス膜を透過して透過液中に移ることから、膜の細孔径を境に、顔料粒子を母液と透過液に分離することができるとある。例えば、平均粒径0.1μm未満の顔料粒子が必要な場合は、平均細孔径0.1μmの多孔質ガラス膜を透過した透過液を回収すればよく、平均細孔径よりも大きな粒径の顔料粒子が必要な場合は母液を回収すればよいとある。更に、平均細孔径の異なる2種類の膜を使用することにより、その2つの平均細孔径が粒径分布の上限と下限になるような顔料分散体を得ることができるとしている。
次に、特許文献2の多孔質膜で分級する方法では、ろ過に用いる多孔質膜の細孔径の選択について、多孔質膜の平均径は、固形微粒子中の体積平均粒子径の2倍以上の粒子(粗大粒子)を分級によって除こうとする場合、当該細孔の平均径は前記平均粒子径の4倍以下のものが好ましく、0.8倍以上が、より2.8倍以上が分級効率の点から好ましいとしている。つまり、当該細孔径をDm、当該平均粒子径をDpとすると、固形微粒子中の2×Dp以上の粗大粒子を除こうとする場合、0.8×Dp<Dm<4×Dpが好ましいとしている。例えば、当該平均粒子径Dp=1μmとすると、前記数式に当てはめると、固形微粒子中の2μm以上の粗大粒子を除こうとする場合、当該多孔質膜の細孔径Dmは、0.8μm<Dm<4μmが好ましく、2.8μm<Dm<4μmがより好ましいということである。つまりこの範囲の細孔径を選択すると、2μm以上の粗大粒子は当該細孔径を透過せず、それ以下のみを分取できるというものである。
また特許文献2では、孔径の分散度の一指標である50個の孔のうち最大孔径を平均径で割った値、すなわち「最大孔径/平均径」は、2以下が好ましく、分散度の別の指標として変動係数CV「標準偏差/平均径×100」は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましいとしており、このようにろ過処理に用いる多孔質膜の孔径が分散していることにより、粗大粒子の平均径よりも大きな孔を有する多孔質膜であっても、それよりも小さな孔をも有しているため、粗大粒子をカットすることができるとしている。このように、多孔質膜の孔の平均径が固体微粒子の体積平均粒子径の4倍であっても、上記粗大粒子を膜中に捉えることができるとあり、膜内の細孔で微粒子を捕捉することができると明記されている。
更に特許文献2では、明細書に、クロスフローろ過方式は、原液流れが循環させるため目詰まりを起こしにくいが、(原液の)分散液濃度を下げれば、目詰まりの確率が低くなると記載あるとおり、クロスフローろ過方式だからといって膜面に目詰まり原因となるケーク層が全くできないというわけではないということが看取できる。
次に、特許文献3では、熟成後の発酵液中の酵母を、第1ろ過装置のろ過工程を経て、第2のろ過装置として、平均細孔径2〜10μmの細粒層と細粒層を支持する支持層とからなる2層構造の所謂非対称構造の多孔質セラミックフィルタを用いて、ろ過と逆洗が行われるとある。ただ、当文献3からは、必要ろ液量が確保されるまで長期連続ろ過作業が行われるものか、1ロットろ過作業が終了した後処理で、逆洗作業を行うものか不明である。つまり、ろ過作業途中で定期的に逆洗作業を実施し、ろ過と逆洗作業を繰り返し行うことで1ロットで必要ろ過量が確保できるものかどうか不明で、その逆洗効果について全く不明である。
次に特許文献4では、上水や下水の浄化に係るろ過法について記載があり、凝集剤を使用せずに原水をデッドエンドろ過する膜モジュールの効果的な逆洗方法に関するものであるが、その膜細孔径に関する記載は全くされていない。
また、特許文献4には、先行技術とする特許文献5の膜ろ過水として二次側に抽出したろ過水を逆洗媒体として使用し、膜面から剥離した濁質を一次側に供給するエアブローにより組み合わせて膜外部へ排出することに関して、凝集剤を使用しない原水をデッドエンドろ過する場合、逆洗手段として使用するエアブローは却って膜面に濁質を付着させ、空気との接触により濁質が変質して詰まってしまう場合があること、更にエアブローにより膜面に微細な気泡が入り込み、有効面積が減少してしまう場合などがあり長期ろ過には十分でないことが明記されており、凝集剤を使わない原水のろ過では、エアブローの代わりに、濁質の剥離後一次側に原水を流すことで、膜外部へ押し流すことの記載がある。
ここで、特許文献1、2の実施例は何れにおいてもクロスフロー方式で、膜面上に形成されるケーク層による膜細孔の閉塞を抑制するために、膜面に平行に流す母液分散体の流速を制御しているが、特許文献1、2何れにおいても、微粒子が分散している母液分散体の分布範囲内に属する多孔質膜の細孔径を選択し、その細孔径を境に分級することが記載されているので、流体中の粒子が膜に接近し、微粒子が孔径より小さいものは、多孔質膜細孔内に侵入して、そして孔の壁や孔路分岐部などに付着したり捕捉されるなど、何れ完全閉塞を引き起こしてしまうことが考えられる。完全閉塞を起さないまでも、細孔の狭窄の原因ともなり、ろ過量が減る原因になる。これは、特許文献2には、用いる多孔質膜では、粗大粒子の粒子径よりも大きな孔を有していても、それよりも小さな孔をも有しているため、粗大粒子をカットすることができるとして細孔内に微粒子が侵入し捕捉されることが明記されている。
また、クロスフローろ過は、ろ過抵抗が抑制できる、つまり膜面にケーク層が形成されにくいという、程度に関する記述がなされているだけで、膜面にいずれケーク層ができないというわけではないとしていることが勘案されるが、特許文献1、2からは、そのケーク層が形成されてろ過量が減衰したときの対処法を窺い取ることができない。
特に特許文献1には多孔質ガラス膜を用いたろ過処理方式は、全量ろ過方式でもクロスフローろ過方式でもよいとされているが、当該発明に係る多孔質ガラス膜を用いた実施例ではすべてクロスフロー方式のみの記載であり、全量ろ過方式について功を奏するという示唆する記述は全くなく、ましてや当該文献1からは、全量ろ過方式で形成された膜面ケーク層の解消法など全く不明である。
また、前記各特許文献に用いられる多孔質膜は、その細孔径については平均細孔径のものを選択してあるが、図1に示すような当該細孔径分布の形状については明示されておらず、正規分布でない図1(b)のような細孔径分布の多孔質膜も用いることができるということが看取できる。つまり例えば、当文献記載の細孔径の平均値より左(細孔径の小さい方)に最頻値の細孔径を有する多孔質膜の場合、ろ過に使用する多孔質膜の平均細孔径は、実際は頻度が小さいものであることになる。つまり、予定よりろ過するろ液量の抽出量が少ないということになる。また例えば、当文献記載の細孔径の平均値より右(細孔径の大きい方)に最頻値の細孔径を有する多孔質膜の場合、ろ過に使用する多孔質膜の実際の主たる細孔径は大きいものであることになり、平均多孔質膜細孔径を境に分画するはずのものが、大きい細孔径域で容易に微粒子が通過したり、細孔内に侵入し孔路途中で捕捉され目詰まり原因となり、十分なろ過量を分取することができないということになる。
次に、デッドエンドろ過では、逆洗媒体として、液体を使用することが好適であることが前述とおり各特許文献で明記されているが、逆洗に使用する液体が原液媒体の液体と異なるものであったり、原液から抽出したろ液であったりしても、原液そのものが貴重で逆洗排液するにはもったいなく、液体での逆洗はこのように様々な課題が考えられる。しかしエアブローでの逆洗は、前述とおり膜面に堆積した微粒子が膜面で変質し固着して、細孔の再開通が不十分になってしまう可能性が考えられる。
これに対し、本発明の方法によれば、長時間ろ過作業を実現させるために、ろ過作業中に定期的に逆洗作業を施し、細孔の再開通を行うことが何よりも重要であり、その逆洗の功を奏するためにも、気孔率の豊富な当該多孔質膜を用いることよりも、細孔径分布が単分散で均一である多孔質膜を用いることが何よりも重要であるということを特徴とする。
前記の特許文献1には、多孔質ガラス膜として好ましいSPG膜の気孔率を40%〜65%としてあるが、当該文献1ではその細孔径の分散性については全く記述がなく、重要視されていないことが看取できる。このSPG膜のような分相性多孔質ガラス膜の製造法は特徴的であり、熱処理により分相した分相ガラスから、酸溶液との接触により、ゲル相のみを外表面から浸食・溶出させて貫通孔を形成する方法であり、当該薬品処理によっては、気孔率が80%となる場合もあり、前記とおり気孔率が適当な40〜65%であっても、製造方法によっては細孔径分布が多分散になる場合もある。
それは、このシラス多孔質ガラスでも、特許文献1で用いられるSPG膜の具体例として、宮崎県工業試験場が開発した特公昭62−025618号公報に開示されているCaO−B−SiO−Al系のシラス多孔質ガラスが好適に用いられることの記載があるが、同様開発され特公昭63−066777に開示されているCaO−B−SiO−Al−NaO系のシラス多孔質ガラスに係る特許文献明細には、先の特公昭62−025618号公報に開示されているCaO−B−SiO−Al系のシラス多孔質ガラスでは、NaOを含有していないため酸処理により生じる細孔の精密な制御が困難であり、細孔径が大幅にばらつくと明確に記載されている。また、当特許文献によると細孔径は最大10μmまでと示されている。
従って、シラス多孔質ガラスであっても、全てが単分散細孔径を有する多孔質ガラス膜が形成されるわけではない。
一方、分相性多孔質ガラス膜であっても、バイコール多孔質ガラスは、気孔率が10%〜30%とされているが、細孔径の分布は単分散であり機能性多孔質ガラスとして周知されている。
つまり本発明は、クロスフローろ過、全量(デッドエンド)ろ過いずれのろ過法においても、長時間的に安定してろ液を分取するために、ろ過作業中に定期的に任意の目詰まり解消作業を施すことで、細孔の再開通が確実に効くという特定の多孔質膜を用いた長期的ろ過法を提供するもので、そのためにつまり
項1 シラス多孔質ガラス膜を介して、液体中の微粒子を分画するろ過方法であって、当該膜の最頻細孔径が0.05〜50μmであり、当該膜が、その大きい細孔径から小さい細孔径への相対累積細孔分布曲線において、細孔容積全体の10%を占めるときの細孔径を、細孔容積全体の容積の90%を占めるときの細孔径で除した値が1〜1.5であることを特徴とするろ過方法。
項2 当該膜の最頻細孔径は、液体中微粒子を当該多孔質膜を介してろ液として分取したい粒子径の2.5倍以上であることを特徴とする項1記載のろ過方法。
項3 当該膜の最頻細孔径は、透過させない液体中微粒子の粒子径の1倍以下であることを特徴とする項1記載のろ過方法。
項4 管状シラス多孔質ガラス膜の管内に微粒子分散原液を陽圧となるように送液し、当該多孔質ガラス膜を介して管外へろ液を染み出させるクロスフロー型ろ過方法であって、定期的に管内への送液を一時停止させるのみで、別の逆洗手段を施すことなく断続的にろ過することを特徴とする項1乃至3記載のろ過方法。
項5 管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
a)当該モジュールの下方には送液量をコントロールできる送液バルブ1が設けられており、
b)当該モジュールの更に下方(上流)側には、モジュール内の当該膜内径空間が陽圧となるように微粒子分散原液を送液する送液手段が設けられており、
c)当該モジュールの上方には送液量のコントロールと、当該モジュール内の当該膜内径空間が陽圧にコントロールできる送液バルブ2が設けられており、
d)前記送液手段を定期的に一時停止するためのon−off手段が設けられており、
e)当該膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
f)さらに、当該膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により離脱するための加圧手段の出入口2が設けられており、
g)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該モジュールの下方から微粒子分散原液を送圧し、当該膜内圧として1乃至100kPaの圧力が加わるように送液され、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定した圧力が加わっており、
3)前記送液手段の稼働により、前記送圧バルブ3を開いて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)時間経過後、定期的に前記on−off手段により当該送液手段を一時停止することで、当該膜内面上に堆積する微粒子を離脱させ、
5)または、更に、前記送圧バルブ3を閉じ、前記送圧バルブ4を開いて、当該膜内面上に堆積する微粒子の離脱を補填することが可能で、
6)続けて、前記on−off手段により当該送液手段を再稼働することで、当該膜内面上から離脱した堆積微粒子を送液し、
7)改めて、前記送圧バルブ3を開いて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能である、
ことを特徴とする項1乃至3記載のクロスフローろ過方法。
項6 シラス多孔質ガラス膜の一次側に送液し、当該多孔質ガラス膜を介して二次側へろ液を染み出させるデッドエンド型ろ過方法であって、定期的に一次側への送液を一時停止させ、任意の逆洗手段を施し、断続的にろ過することを特徴とする項1乃至項3記載のろ過方法。
項7 管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
a)当該モジュールの下方には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ送入される送液バルブ1を有する経路と、モジュール内から下方へ送出する送液バルブ2を有する経路の三方経路が設けられており、
b)当該モジュールの上方は、液密的に封止されており、
c)膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
d)さらに、膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により排出するための加圧手段の出入口2が設けられており、
e)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該送液バルブ1の一次側には、当該モジュール内の当該膜内圧として下方から微粒子分散原液を送圧するための0.1乃至0.5MPaの圧力が加わっており、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定した圧力が加わっており、
3)該送液バルブ1と該送圧バルブ3を開いて、該送液バルブ2と該送圧バルブ4を閉じて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)次に、該送液バルブ1を閉じて、該送圧バルブ4開いて、当該モジュール内に残存しているろ液を前記出入口1から押し出し、
5)次に、該送圧バルブ3を閉じることにより、当該モジュール内圧が前記逆洗用設定圧力に達するまで昇圧され、
6)当該モジュール内圧が前記設定圧力に達したら、該送液バルブ2を開いて、当該膜内面に堆積した微粒子を当該モジュールから下方へ排出することのできる
ことを特徴とする項1乃至3記載の内圧式デッドエンドろ過方法。
項8 項1記載のろ過方法であって、当該シラス多孔質ガラス膜の管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
a)当該モジュールの下方には送液量をコントロールできる送液バルブ1が設けられており、
b)当該モジュールの更に下方(上流)側には、モジュール内の当該膜内径空間が陽圧となるように微粒子分散原液を送液する送液手段が設けられており、
c)当該モジュールの上方には送液量のコントロールと、当該モジュール内の当該膜内径空間が陽圧にコントロールできる送液バルブ2が設けられており、
d)前記送液手段を定期的に一時停止するためのon−off手段が設けられており、
e)当該膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
f)さらに、当該膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により離脱するための加圧手段の出入口2が設けられており、
g)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該モジュールの下方から微粒子分散原液を送圧し、当該膜内圧として1乃至100kPaの圧力が加わるように送液され、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定した圧力が加わっており、
3)前記送液手段の稼働により、前記送圧バルブ3を開いて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)時間経過後、定期的に前記on−off手段により当該送液手段を一時停止することで、当該膜内面上に堆積する微粒子を離脱させ、
5)または、更に、前記送圧バルブ3を閉じ、前記送圧バルブ4を開いて、当該膜内面上に堆積する微粒子の離脱を補填することが可能で、
6)続けて、前記on−off手段により当該送液手段を再稼働することで、当該膜内面上から離脱した堆積微粒子を送液し、
7)改めて、前記送圧バルブ3を開いて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能な、クロスフローろ過装置。
項9 項1記載のろ過方法であって、当該シラス多孔質ガラス膜の管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
a)当該モジュールの下方には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ送入される送液バルブ1を有する経路と、モジュール内から下方へ送出する送液バルブ2を有する経路の三方経路が設けられており、
b)当該モジュールの上方は、液密的に封止されており、
c)膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
d)さらに、膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により排出するための加圧手段の出入口2が設けられており、
e)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
先ず、
1)当該送液バルブ1の一次側には、当該モジュール内の当該膜内圧として下方から微粒子分散原液を送圧するための0.1乃至0.5MPaの圧力が加わっており、
2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定した圧力が加わっており、
3)該送液バルブ1と該送圧バルブ3を開いて、該送液バルブ2と該送圧バルブ4を閉じて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
4)次に、該送液バルブ1を閉じて、該送圧バルブ4開いて、当該モジュール内に残存しているろ液を前記出入口1から押し出し、
5)次に、該送圧バルブ3を閉じることにより、当該モジュール内圧が前記逆洗用設定圧力に達するまで昇圧され、
6)当該モジュール内圧が前記設定圧力に達したら、該送液バルブ2を開いて、当該膜内面に堆積した微粒子を当該モジュールから下方へ排出することのできる
内圧式デッドエンドろ過装置、
を提供するものである。
本発明によれば、微粒子分散原液から、精度よく目標とする区域で微粒子分布を分画することができ、また、逆洗により目詰まり解消が容易であり、長時間のろ過抽出を提供することができる。
多孔質膜の細孔径の分布が、(a)均一で単分散と、(b)不均一で多分散の模式分布図を示す。 逆洗圧が、(a)は均等にかかる模式図で、(b)は不均一にかかる模式図を示す。 微粒子分散原液xからろ液を抽出する際の、(a)単分散細孔多孔質膜の細孔径分布位置と、(b)多分散細孔多孔質膜の細孔径分布位置を示す。 微粒子分散液xとyの混合原液を、微粒子分散液xとyに分画するときに用いる単分散細孔多孔質膜の細孔径分布位置を示す模式図。 微粒子分散液xとyの混合原液を、微粒子分散液xとyに分画するときに用いる多分散細孔多孔質膜の細孔径分布位置を示す模式図。 は、微粒子が分散している分画対象の原液zを、3つの単分散細孔の多孔質膜で、原液を3つに分画した図を示す模式図。 本発明に係る単分散細孔多孔質膜を用いたろ過のダイヤフィルトレーション例。 (a)は本発明に係る多孔質膜で分画する前のエマルション分布、(b)は本発明に係る単分散細孔多孔質膜10μmで分取したエマルション分布、(c)は本発明に係る単分散細孔多孔質膜5μmで分取したエマルション分布。 単分散微粒子モード径約80nmが分散する(a)原液の分布、(b)単分散細孔径多孔質膜0.2μmを用いて抽出したろ液の分布、(c)原液と単分散細孔径多孔質膜0.1μmで抽出した透明ろ液体の写真。 単分散微粒子モード径約300nmが分散する(a)原液の分布、(b)原液と単分散細孔径多孔質膜0.2μmを用いて抽出した透明ろ液体の写真、(c)原液と単分散細孔径多孔質膜0.1μmで抽出した透明ろ液体の写真。 クロスフローろ過で、送液圧が、(a)多孔質膜を介して外側へかかる場合と、(b)外側から多孔質膜を介して内側へかかる場合と、(c)装置全体構成の模式図。 デッドエンドろ過で、微粒子分散原液を、(a)外圧式でろ過する場合と、(b)内圧式でろ過する場合の模式図。 酵母入りビールの酵母の粒度分布。 酵母入りビールの酵母を内圧式デッドエンドろ過する概略システム基本フロー図。 実験例5に係る酵母入りビールの酵母ろ過装置システムの全体構成を示す。 実験例5に係る、(a)各サイクル毎に抽出したクリアビールろ過量と、(b)その累積ろ過量を示す。 実験例5に係る酵母入りビール原液と酵母ろ過後のクリアビールを示す。 実験例5に係る逆洗効果を示す図。 本発明に係るろ過用多孔質膜モジュールの模式図。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明するが、本発明が、以下の例示及び説明の内容により何ら限定されるものでないことは言うまでもない。
(多孔質体)
本発明のろ過法に用いられる多孔質膜は、「水銀圧入式自動ポロシメーター(株式会社島津製作所製)」でその細孔径を測定した場合、分布する大きい孔径から水銀が圧入され順次測定されるとすると、その相対累積細孔分布曲線において、10%径を90%径で除した値が1〜2.0である単分散な細孔径を有する多孔質膜が好ましく、その値が1〜1.5である多孔質膜がより好ましい。
このように細孔径が単分散の均一な多孔質体を用いることによって、本発明の方法によるろ過であれば、優れた分画性能を発揮し、長期的なろ過作業を行うことができる。更に、このような単分散細孔径多孔質膜は、細孔径分布は正規分布であり、最頻値と平均値と中央値が図1(a)に示すとおり、略近い値である。本発明の方法に係る多孔質膜の細孔径では、最頻値(モード径)が重要である。
多孔質膜を構成する材質は特に限定されず、適宜選択することができ、ガラス製、セラミック製、シリコン製、高分子等が挙げられ、その成形体は、焼結法、ガラス分相法による多孔質膜などが挙げられる。
本発明では、特にガラスのミクロ相分離(ガラス分相法)を利用して形成される多孔質ガラス膜を好適に用いることができる。このガラス分相法による多孔質ガラス膜は、単分散細孔径を得ることのできる多孔質膜である。
このような多孔質ガラスとしては、ガラスのミクロ相分離を利用して製造され公知のものが使用でき、周知のNaO−B−SiOを基礎ガラス組成とし骨格SiO組成となる多孔質ガラス、NaO−B−SiO−GeOを基礎ガラス組成とし骨格SiO−GeO組成となる多孔質ガラス、CaO−B−TiO−SiOを基礎ガラス組成とし骨格TiO−SiO組成となる多孔質ガラス、NaO−B−ZrO−SiOを基礎ガラス組成とし骨格ZrO−SiO組成となる多孔質ガラス、CaO−B−Al−SiOを基礎ガラス組成とし骨格Al−SiO組成となる多孔質ガラスがあるが、CaO−B−SiO−Al系の多孔質ガラス、CaO−B−SiO−Al−NaO系の多孔質ガラス及びCaO−B−SiO−Al−NaO−MgO系の多孔質ガラス等を適宜使用することができる。そこで、公知の宮崎県工業試験場で開発されたシラス多孔質ガラス膜でも、前述したとおり細孔径が大幅にばらつく場合もあり、より好ましいシラス多孔質ガラスは、特許第4951799号に開示されている最大細孔径25μmの製造が可能なシラス多孔質ガラス膜である。
このように多孔質膜の細孔径は、特に限定されないが、前記とおりのシラス多孔質ガラスの組成によって所望の細孔径を製造するのに有利な組成があり、本発明に係るシラス多孔質ガラス膜は、ガラス組成により、自社エス・ピー・ジーテクノ株式会社で更に鋭意研究を重ねて製造条件を見出し、より単分散性の高い精度の良い最頻細孔径0.05〜100μmの範囲内において製造することができるシラス多孔質ガラス膜で、特に前述とおり、その相対累積細孔分布曲線において、10%径を90%径で除した値が1〜2.0である単分散な細孔径を有するシラス多孔質ガラス膜を用いるのが好ましく、その値が1〜1.5であるシラス多孔質ガラス膜がより好ましい。
多孔質膜は、前段で定義したように細孔径が均一であれば、細孔径の形状は貫通細孔であれば特に限定されず、例えば円柱状、角柱状等のいずれの形状であってもよい。また、細孔は、多孔質膜の表面に対して垂直に貫通していても良いし、あるいは斜めに貫通していても良く、さらには絡み合っていてもよく、細孔径分布が単分散であれば、このような細孔構造を有していても本発明において好適に使用することができる。
また、多孔質膜の形状も限定されず、管状、板状等が挙げられ、使用の目的、用途等に応じて適宜選択することができる。通常は、大きいスケールのろ過装置などに組み込みやすい形状は、管状の多孔質膜であり、ろ過処理量が多くなると管状の多孔質膜を束ねてモジュール化することができる。
(長期的クロスフローろ過の方法)
以下の実施例については、単分散細孔多孔質膜として管状シラス多孔質ガラス膜を用いて実施したものであり、クロスフローろ過法において、単分散細孔内に侵入して孔路を完全閉塞することなく、当該多孔質膜細孔上、つまり膜面上にケーク層として堆積するだけであるので、徐々にろ液流量が減衰してくるが、本発明の方法のように、定期的にクロスフロー循環を一時停止するだけで、当該ケーク層が解けて、クロスフロー循環を再開すると同時に、膜面上に堆積していたケーク層がその循環送流により流れてしまい、多孔質膜細孔上から除外されてろ液が再通するものである。ここで、このクロスフロー循環を一時停止するだけで、多孔質膜細孔上から当該ケーク層が除外されにくい場合は、任意の逆洗手段を施し膜細孔に逆圧をかけ、膜面上ケーク層の離脱のための補助を行ってもよい。
先ず、本発明のように、単分散細孔多孔質膜をクロスフローろ過法に用いる場合、管状の当該多孔質膜の管内に微粒子分散原液を送液させ、管外へろ液を染み出させるのが一般的であるが、微粒子分散原液が当管状多孔質膜内を流れるときに管外へろ液が染み出るためには、図11(a)のように当該管状多孔質膜内には多少でも陽圧が加わっていることが理想であり、図11(b)に示すように、微粒子分散原液を送液するための手段により、当該管状多孔質膜内が陰圧になってしまうと、管外への染み出しが十分または全く得られないことになる。これは特に当原液を送液するための送液ポンプの引き込み力が強いものであると、図11(b)のような現象が起こってしまうもので注意が必要である。したがって、好ましくは、図11(a)のように当該送液ポンプの吐出側に多孔質膜を設けるのが好ましい。
そこで、本発明に係るクロスフローろ過を実施することのできるシステムを図11(c)に示すが、本発明に係る管状単分散細孔多孔質膜でも膜内面上には次第に微粒子がケーク層として堆積することになり、当該細孔を介して抽出するろ液も次第に減量してくる。そのため、図11(c)の送液ポンプvのon−offスイッチbを定期的にoffすることにより、図11(a)のような陽圧で抽出されていた環境が中断し、この瞬間わずかに当該管状多孔質膜内部が陰圧になることにより、当該膜内面に堆積していた微粒子ケーク層を膜面上から離脱させることができ、再び送液ポンプをonすることで、ろ液の抽出量を復活させることが可能なのである。そのため、本発明に係る単分散細孔多孔質膜を用いた循環型のクロスフローろ過では、送液するポンプは図11(a)の位置に設置することが功を奏するものである。
この本発明に係る単分散細孔多孔質膜を用いたクロスフローろ過では、当該多孔質膜を微粒子分散原液が通過する際に、図11(a)のように多孔質膜一次側が陽圧になるように送液手段を設けることで、その送液手段を断続的にon−offを繰り返すことで、長期的クロスフローろ過が実現できるものであり、場合によっては更に図11(c)の逆洗媒体nを用いて、逆洗を補足してもよい。
(逆洗の有効性)
除去あるいは、分画したい粒子の分布に重ならない細孔径分布の多孔質膜を用いることが理想であり、更に単分散細孔径の多孔質膜がより理想であるが、それでも仮に細孔入口付近に粒子が詰まったとしても、図2に示す通り、逆洗を施すことにより本発明に係る単分散細孔径多孔質膜は、一定圧で全面逆洗が効くが、多分散細孔径多孔質膜は、一定圧でも、細孔径分布で上限域だけ逆洗が効き、下限域には逆洗圧が効かないということが考えられる。そのために逆洗圧を上げても、通過性を考慮すると、細孔径の大きい(上限)域に逆洗圧が掛かるだけで、細孔径の小さい(下限)域には逆洗圧の効果が小さいという問題が考えられる。
(2極化分布している固形微粒子の分画)
図4に示す通り、用いる多孔質膜の細孔径が2極分布の間のもので単分散細孔のシラス多孔質ガラス膜であれば、固形粒子とはいえ細孔を閉塞することなく十分分画することができる。それは膜細孔を閉塞させる可能性が考えられる細孔径より大きい固形微粒子は、膜面上に堆積するだけであるので、任意の逆洗手段を施せば容易に膜面上から離脱させることができるからである。これが、図5に示す通り、単分散の細孔でない多孔質膜であると、細孔分布の平均細孔径に対して上限下限が大きいと、特に隣接して2極化分布している固形微粒子の分画では、その間の細孔径を選択することが非常に難しく、固形微粒子の分布が少しでも多孔質膜の分布に重なる部分があると、多孔質膜の細孔内に固形微粒子が入り込み、細孔を閉塞してしまう可能性が十分考えられ、細孔内に入り込んだ固形微粒子は特定の逆洗でも除去することが困難と思われ、分画作業途中で逆洗作業を行っても、細孔の回復率が次第に減衰していき、長時間のろ過作業でろ液を十分確保できないという問題が発生する。
(微粒子分散原液の3分画)
図6に、微粒子分散原液zから、図6(a)とおり単分散細孔多孔質膜の細孔径dm1、dm2、dm3の3つを用いることにより、図6(c)とおり微粒子分散液z1、z2、z3に分画できることを示すが、先ず、図6(b)とおり、単分散細孔径dm3の多孔質膜により、微粒子分散z1とz2+3に分画し、次に単分散細孔径dm2の多孔質膜により、微粒子分散z2+3を、微粒子分散z2とz3に分画することができる。更には、単分散細孔径dm3の多孔質膜により、微粒子分散z3からろ液を抽出し、このろ液を分画した微粒子分散z1の液に戻すことで、特に微粒子分散z1、z2液のろ液不足を起さないように、クロスフローろ過法になる所謂ダイヤフィルトレーション方式で、均等な分散液として3分画することができる。これは、単分散細孔径の多孔質膜であることが功を奏するものである。このダイヤフィルトレーション方式の実施例を図7に示す。つまり、微粒子分散原液zから、単分散細孔多孔質膜の細孔径dm1を介して多孔質膜モジュールM1出口r1からろ液z2+3を分取して、次の微粒子分散原液z2+3として単分散細孔多孔質膜の細孔径dm2を介して多孔質膜モジュールM2出口r2からろ液z3を分取して、更に次の微粒子分散原液z3として単分散細孔多孔質膜の細孔径dm3を介して多孔質膜モジュールM3出口r3からろ液体のみを分取して、これを元の微粒子分散原液zの液室に戻すというものである。
(デッドエンドろ過の方法)
例えば微粒子分散原液から微粒子を除去する目的として、管状多孔質膜を用いてデッドエンドろ過する場合、図12(a)に示すとおり外圧式にすると、多孔質膜の外表面上に微粒子9が堆積することになり、その堆積微粒子が原因でそれ以上のろ液が抽出できなくなった時点では、多孔質膜モジュールの一次側となる空間7には、微粒子分散原液が充満されている状態であり、この状態で出入口rを閉じ、多孔質膜内空間8の二次側から細孔を介して一次側へ逆洗し、堆積微粒子を、例えば出入口gから多孔質膜モジュール外へ排出するとなると、当該原液も一緒に排出しなければならなくなり、その原液そのものがもったいないことになる。また、逆洗用媒体として水を使用するとすれば、前記同様逆洗時には、多孔質膜内空間8の二次側から送液し、多孔質膜の細孔を介して多孔質モジュールの一次側となる空間7、つまり充満している当該微粒子分散原液と混ざりながら排出することになり、逆洗完了後、続く次のろ過作業のため微粒子分散原液を出入口rから供給する際に、空間7に水が残液としてあると抽出するろ液が水で希釈された状態で抽出されることになり、本来の抽出ろ液そのものではなくなることを考慮しなければならない。
これに対し、図12(b)のように内圧式であれば、例えばろ過用多孔質膜を外径の細い管状にすると、多孔質膜一次側となる空間8は、前述外圧式ろ過時の一次側多孔質膜モジュール空間に対し小さくすることができるので、同様、この状態で出入口rを閉じ、出入口gから逆洗媒体を供給し多孔質膜モジュール内空間7の二次側を経て細孔を介して逆洗により多孔質膜一次側に充満された微粒子分散原液とともに多孔質膜内表面上に堆積した微粒子を排出しても原液無駄を極力抑えることができる。また、この内圧式デッドエンドろ過法は、管状多孔質膜の内圧強度の耐性を考慮し、微粒子分散原液の送圧は0.1乃至0.5MPaに止めておく必要がある。さらに、外圧式となる逆洗圧は管状多孔質膜の外圧強度の特徴を活かし、場合により0.5MPa以上の外圧を加えても良く、常に内圧式ろ過圧より高圧に設定するのが好ましい。ただ、ここでも同様、逆洗用媒体として水を使用するとなれば、逆洗完了後、続く次のろ過作業で、外圧式と同様に空間7に水が残液としてあると抽出されたろ液が水で希釈された状態で採取されることになり、本来の抽出ろ液そのものではなくなることを考慮しなければならない。
ここで、図12(a)、(b)何れもデッドエンドろ過では、管状多孔質膜の軸方向出入口の片側は、封止fのとおり外部との流通がないようにバルブや蓋などにより液密的に封止される。
(ビール酵母のろ過)
図3に示す通り、ビール酵母は所謂単分散粒子であるため本発明に係る単分散細孔のシラス多孔質ガラス膜であれば、任意の逆洗手段により膜面上に堆積する酵母のケーク層除去も非常に容易で、細孔の閉塞もなく逆洗作業を定期的に行うことで長時間繰り返しのろ過作業が可能である。これに対し、単分散粒子のビール酵母であっても、ろ過に用いる多孔質膜の細孔径の分布が広いと、当該多孔質膜細孔径分布の上限がビール酵母分布の下限に重ならないように、より小さい平均細孔径の多孔質膜を選択することになり、これは、ろ液速度が低くなることであり、ろ液量を稼ぐために余計に多孔質膜を設けないといけないという課題が発生する。そこで、本発明に係る方法として、酵母入りビールの酵母除去を、デッドエンドろ過法による実施例で以下とおり説明する。
先ず、酵母入りビールの酵母の粒度分布を図13に示す。この粒度分布の積算相対粒子量10%Dの粒子径は4.392μmで、90%Dの粒子径は8.104μmであり、単分散性は、90%D/10%D=8.104/4.392≒1.8となり、ビールに分散している酵母は非常に単分散である。ここで当実施例の基本フローを簡易的に図14に示すが、この酵母の分布幅を3〜10μmと見なし、酵母除去のために外径約10mm、内径約8.5mm、長さ250mmの本発明の方法に係る単分散細孔多孔質膜である管状シラス多孔質ガラス膜(エス・ピー・ジーテクノ株式会社製)最頻細孔径3μmを多孔質膜モジュールMにセットし、内圧式デッドエンドろ過を行った。
このように、酵母入りビールの酵母除去目的でろ過を行う場合、デッドエンドろ過法であれば、前述したとおりビール原液の無駄を抑えられる内圧式ろ過が好適であるが、逆洗時には極力ビール以外の液体を利用したくないものである。
そこで、逆洗効果を高めるために水を媒体とした方法がより好適であると考えられるが、前述とおりあらゆる場面でビールが水で希釈されることが危惧され、更にガスによる逆洗では、膜面上に堆積した酵母がガスのエアブローにより乾いて膜面に固着してしまい、細孔の再開通が得られないということが危惧されたが、本発明者の鋭意研究を重ねた結果、以下に示すとおり逆洗媒体にはガスで十分であることが分かった。
第一に、ろ過作業としてバルブv1、v3は開状態、バルブv4は閉状態で、3方バルブv2は送流方向uに向かって開いており、当該モジュール内の管状多孔質膜内空間8に供給され、モジュールMの横方向出入口rから酵母ろ過されて多孔質膜細孔を介して抽出されたクリアビールが送流方向tに向かって、タンク10へ貯蔵される。しばらくすると、多孔質膜内面上に、酵母がケーク層として堆積するのでこれを逆洗により排出しなければならない。
そこで、次の作業として、膜面上の酵母排出となるが、その前段階として、多孔質膜モジュール内空間7には、抽出されたクリアビールが残液として残っている場合が考えられる。そのため、バルブv1を閉状態にし、ビール原液の供給を中断し、逆洗のためガス源Gから配管されるガス圧調整バルブg2により昇圧設定されたガス圧をバルブv4を開状態にすることで、前記クリアビールの残液が更に送流方向tに向かって、タンク10へ送液されることになり、この残液押し出し作業を経て、次の逆洗作業となる。
次の逆洗作業では、前述作業の流れのままバルブ3を閉状態にすることで、当該モジュール内空間7の圧力が次第に上昇することになり、バルブg2で設定した圧力に達したところで、三方バルブv2を送流方向hに切り替えることにより、二次側のモジュール内のガス圧が多孔質膜細孔を介して一次側の多孔質膜内へ送気されることになり、膜内面上に堆積していた酵母がタンク11に一気に排出される。
ここで注目することは、前述した特許文献に記載してあるとおり、逆洗手段としてエアブローを行うと、捕捉された微粒子がエアーと接触して固着してしまい細孔の再開通が十分得られないという懸念があるが、本発明に係わる多孔質膜として最も好適な単分散細孔シラス多孔質ガラス膜は、本発明に係る方法の細孔径の単分散性が既述とおり90%D/10%D=1〜1.5と非常に均一であることと、気孔率が50〜60%と非常に豊富であり、捕捉される酵母は、当該細孔内には侵入することなく膜面上に載っているだけで、この50〜60%の細孔内には抽出されたクリアビールの液体が湿潤して充満している状態であるため、逆洗時には、この細孔内充満クリアビールが膜内面上の酵母を押し出すと同時に、排出方向hに向かって一緒に流れ出る効果を担っていることが分かった。そのため、危惧されたエアブローにより微粒子である酵母が乾いて膜面上に付着してしまうことが全くなく、エアブローの逆洗のみで細孔の再開通が実現できるものである。
この本発明に係る当該膜を用いて酵母ろ過を行い、当該膜面上に堆積した酵母を前述とおりエアブローのみできれいに離脱し洗い流されている図を、図18に示す。ここでは、外圧式でデッドエンドろ過して当該管状多孔質膜の外面上に堆積させ、エアブロー効果を確認したものである。これは、本発明に係る内圧式デッドエンドろ過で、当該膜内面上に堆積した酵母をエアブローにより逆洗し洗い流される効果と何ら違いはない。
これは、本発明に係る多孔質膜、つまり細孔内に微粒子が侵入しないという単分散細孔を有する多孔質膜であることが功を奏するものであり、効率良い逆洗が実現できるものである。
以上とおり、ろ過→残液押出→逆洗の作業を繰り返すことで、細孔の目詰まりもなく、長期デッドエンドろ過が実現できるものである。
以下に本発明に係る方法を具体的な実験例で示すが、これに用いた本発明に係る単分散細孔多孔質膜は、エス・ピー・ジーテクノ株式会社製作のシラス多孔質ガラス膜で、その相対累積細孔分布曲線において、10%径を90%径で除した値が1〜1.5のものである。
(実験例1)
エマルションの分画
本発明の方法で分取したい分散微粒子が流動的なエマルションであれば、ろ過中に膜面に堆積したり細孔内に侵入し孔路途中に捕捉されたとしても、エマルション微粒子は流動的であるので、逆洗方向に逆圧を加えることで、本発明に係る単分散細孔多孔質膜であれば、均等に逆圧が加わり、容易に膜細孔の再開通を実現することができる。ここで、微粒子分布のなかで多孔質膜の細孔を通過させて分取したい微粒子径dpであれば、その細孔径dmは、dm=2.5×Dp以上を選択することが好ましく、より好ましくは、dm=5×dp以上である。このように本発明による単分散細孔径を有する多孔質膜によれば、細孔径dm=2.5×dp以上を選択することで、微粒子径dpの分布ピーク(モード粒子径:最頻粒子径)を分取することができ、2.5×dp以上の微粒子分布と分画することができる。これは、図8に示す実施例に基づいて以下とおり説明する。
図8の本発明の単分散細孔径の多孔質膜により微粒子分散原液から分取できる微粒子径について、図8(a)微粒子分散原液zから、当該単分散細孔多孔質膜の最頻細孔径10μmで分取したろ液の微粒子分散液の粒子径分布を図8(b)に、または、当該単分散細孔多孔質膜の最頻細孔径5μmで分取したろ液の微粒子分散液を粒子径分布を図8(c)に示す。この図8(a)の原液zの最頻粒子径(図中モード径)は、4.935μm(約5μm)であるが、図8(b)からすると、その2倍径の単分散細孔径10μmを用いても、ろ液として分取できた最頻粒子径(図中モード径)は、4.007μmであり、原液zの約5μmをろ液として十分分取できていないということが看取できる。また、図8(c)からすると、単分散細孔径5μmを用いると、原液zから分取できた最頻粒子径(図中モード径)は、3.254μmであり、単分散細孔径多孔質膜5μmから、同等径の微粒子分散原液約5μmは容易に分取できないということが言える。
(実験例2)
単分散固形微粒子の分画
次に図9に示す通り、図9(a)単分散微粒子最頻粒子径(図中モード径0.077μm)約80nmの分散原液を、本発明の方法により、最頻細孔径0.2μmの当該単分散細孔多孔質膜を用いて、クロスフロー法による分画ろ過を行ったところ、図9(b)単分散微粒子最頻粒子径(図中モード径0.077μm)約80nmの微粒子分布とおり、分散原液に対し隔たりなく多孔質膜を介して分取することができた。つまり、微粒子径約80nmに対し、2.5倍の当該単分散細孔多孔質膜最頻細孔径0.2μmであれば、微粒子を分取できるということである。次に、最頻細孔径0.1μmの単分散細孔多孔質膜を用いて、同様の方法により分画ろ過を行ったところ、図9(c)C1のとおり、全く透明の液体のみが分取され、より小さい微粒子80nmの分散液は採取することができなかった。ちなみに、当実施例の分散原液の単分散性は、図9(a)の積算相対粒子量10%に相当する粒子径10%Dの0.057μmと、積算相対粒子量90%に相当する粒子径90%Dの0.120μmから、90%D/10%D=0.120/0.057≒2.1で、単分散であると見なせる。
次に、図10に示す通り、図10(a)単分散微粒子最頻粒子径(図中モード径0.329μm)約300nmの分散原液を、本発明の方法により、最頻細孔径0.2μmの当該単分散細孔多孔質膜を用いて、クロスフロー法による分画ろ過を行ったところ、図10(b)C2とおり、完全透明の液体のみが分取され、更に最頻細孔径0.1μmの当該単分散細孔多孔質膜を用いて、同様方法による分画ろ過を行ったところ、図10(c)C3とおり、完全透明の液体のみが分取された。ちなみに、当実施例の分散原液の単分散性は、図10(a)の積算相対粒子量10%に相当する粒子径10%Dの0.257μmと、積算相対粒子量90%に相当する粒子径90%Dの0.524μmから、90%D/10%D=0.524/0.257≒2.0で、単分散であると見なせる。
(実験例3)
2ピーク微粒子分散原液の粗大ピーク除外
以上図8と図9の実験例から勘案すると、微粒子分散原液最頻粒子径5μmを十分分取するためには、その2.5倍径以上の単分散細孔径12.5μm以上が妥当で、より好ましくは3倍径以上の単分散細孔径15μm以上であり、更に好ましくは5倍径以上の単分散細孔径25μm以上である。但し、図6に示す通り、微粒子分散原液zから単分散細孔多孔質膜を境に上下分画する場合、例えば図8(a)の原液zから一次ピークである最頻粒子径(図中モード径)4.935μmを分取し、二次ピークがある70〜80μmの微粒子分布と分画したい場合は、前記とおり、当該単分散細孔径は、一次ピークの最頻粒子径約5μmの2.5倍径の12.5μm以上で、上限として当該二次ピークの分布幅下限値の約40μm以下を選択することが好ましい。
また、図9(a)と図10(a)の微粒子分散原液が、図4の分散液x、yのような混在した原液とするなら、図4中の単分散細孔多孔質体3として、最頻細孔径0.2μmの当該単分散細孔多孔質膜を用いることにより、図9(b)のように当該混在原液から約80nmの微粒子分散液を分取することができて、つまり図10(a)の約300nmと分画することが可能である。
(実験例4)
断続クロスフローろ過
前述図9と図10に係る実験例は、図11(c)の概念図に示すクロスフローろ過装置で、本発明に係る方法により行ったもので、多孔質膜モジュールMには、外径約10mm、内径約8.5mm、長さ125mmの本発明に係る単分散細孔多孔質膜である管状シラス多孔質ガラス膜を用いたもので、特に図9(b)と図10(b)に用いた当該細孔径は、前述とおり最頻細孔径0.2μmである。これらの実験例では、本発明に係る方法のとおり、図11(c)に示すタンク9’に入っている微粒子分散原液を送液する送液手段であるポンプvを定期的にon−offするスイッチbにより、1サイクルを、クロスフロー送液時間を5分間、送液ポンプの一時停止時間を1分間という断続ろ過で行った。またここで、本発明に係るとおり、当該管状多孔質膜内径部に送圧される時の陽圧を、図11(c)に示す圧力計で、40〜50kPaになるように、送圧バルブv5を調整した。ここで、当該多孔質膜内径部が陽圧にすることが好ましいが、これは送液手段の送圧能力にも依るところとなり、また、本発明のとおり送液手段を一時停止させるだけで当該管状膜内面が陰圧になる程度で堆積した微粒子を離脱させるためには、当該陽圧を高くすると当該陰圧程度で逆洗効果が効かなくなる。そのため、当該陽圧は1〜100kPaで調整することが好ましい。この時の循環送液流量は、6〜8L/分であった。
ここで、図9(b)に係る実験例は、微粒子約80nm分散原液を、前記とおり0.2μmの当該多孔質膜で抽出したろ液であり、その各サイクル時のろ液量を表1に示し、また図10(b)に係る実験例は、微粒子約300nm分散原液を、前記とおり0.2μmの当該多孔質膜で抽出したろ液であり、その各サイクル時のろ液量を表2に示す。この結果から、抽出するろ液量の減衰も殆ど無く、本発明による方法によれば、安定して長時間のクロスフローろ過を行うことができることが分かる。
次に、図9(b)に類似の実験において、前述同様本発明に係る方法のとおり、1サイクルの条件を、クロスフロー送液時間を10分間、送液ポンプの一時停止時間を1分間という断続ろ過を行ったときの各サイクル時のろ液量を表3に示す。
以上、表1と表3に係る結果から、ろ過累計時間と総ろ液量を表4とおり比較すると、本発明に係る断続クロスフローの実施において、短時間で抽出量を多く得るためには、1サイクル時のクロスフロー送液時間を短くして、サイクルを多くする方が効率良いということが分かる。
ここで、クロスフローろ過が時間経過すると、管状シラス多孔質ガラス膜内面上に微粒子が徐々に堆積してきて、ろ液抽出の妨げになりろ液量が時間経過とともに減衰していくためであるということが、表4の各サイクル抽出ろ液量からも確認できる。つまり、送液時間が5分間の時のろ液量約17〜18mLに対し、送液時間が10分間の時のろ液量は約24〜32mLで、送液時間が2倍になっても、ろ液量は2倍得られていないことから認識することができる。
そのため、本発明に係る断続クロスフローろ過は、時間経過とともに単位時間当たりの抽出ろ液量が減るために、1サイクルを長時間掛けるメリットは全くなく、抽出開始直後時から極端に抽出量が得られなくなった時を見計らって、早めに一時停止し、本発明の方法に係る逆洗手段を施すことが、抽出量の生産性の観点から効率が良いことになる。
(実験例5)
酵母入りビールの酵母ろ過
図15中の円筒状の多孔質膜モジュールMの1基には、外径約10mm、内径約8.5mm、長さ500mmの本発明の方法に係る単分散細孔多孔質膜である管状シラス多孔質ガラス膜、最頻細孔径3μmが膜固定手段kにより18本束ねて配列されており、この膜モジュールMが2基並列に配備されており、タンク9には2000lの酵母入りビール原液がある。逆洗用ガス源Gは、炭酸ガスを用いた。
作業工程としては1サイクルが、(工程1)ろ過 → (工程2)押出 → (工程3)逆洗の三工程となり、各作業時間と各作業条件を表5に示すが、各作業で必要な各バルブ操作は図14の前述説明とおりであり、工程3の逆洗では、当該膜モジュール内のガス昇圧作業時間を含めて示す。
ここで、内圧式デッドエンドのろ過圧は、管状シラス多孔質ガラス膜の内圧強度を考慮して、前記とおり0.1乃至0.5MPaの範囲内であることと、当実験例に用いる細孔径が3μmであるその透過性から、送圧(ガス圧)を0.12MPaに設定した。これに対し、管状シラス多孔質ガラス膜内面に堆積する酵母を逆洗により排出する逆洗外圧をろ過内圧以上の0.2MPaに設定した。
これらの諸条件により得られたクリアビールの抽出量(ろ過量)を、各サイクル毎に表6に示す。
以上のとおり、本発明の方法のとおり、当該単分散細孔多孔質膜を用いることにより、長期的なデッドエンドろ過を行っても、懸念される細孔の目詰まりを起こすことなく約1000Lのクリアビールを約90分で抽出することができた。表6に係る実験結果、抽出(ろ過)量を図16(a)各サイクル毎のろ過状況、(b)積算ろ過量を示す。また抽出したクリアビールを図17に示す。
更にここで注目すべきところは、図15中に示す送流方向hから排出される堆積酵母の廃棄量であるが、クリアビール約1000Lに対して、逆洗による酵母廃棄量は約45Lで済む結果であった。これはクリアビール回収効率を数値的に示すと、元々の酵母入りビール原液約1045Lから、廃棄量約45Lとして、ろ過ビール約1000Lを回収することができたということから、1000L/1045L≒95%の抽出率となり、非常に無駄なく効率良く製造することができた結果であった。
ここで、本実験例で用いた円筒状の多孔質膜モジュールMの概略図を図19に示すが、本実験例のように管状多孔質膜を用いて内圧式でデッドエンドろ過する場合、モジュール内空間7側へ抽出されるクリアビールがモジュール横方向出入口rから抵抗なく容易に送流方向tへ向かうように、管状多孔質膜を液密に固定しているkのモジュール内空間側の面が、当該出入口rの最下面と段差無く平滑に設計されることが好ましい。
1 単分散細孔径の多孔質膜
2 多分散細孔径の多孔質膜
s 細孔
a1,a2 逆洗圧
3 単分散細孔径多孔質膜の細孔径分布
4 多分散細孔径多孔質膜の細孔径分布
x、y 単分散微粒子を有する原液の微粒子分布
dp 微粒子分布xの平均粒子径
d1 多孔質膜1の平均細孔径
d2 多孔質膜2の平均細孔径
z 多分散微粒子を有する原液の微粒子分布
z1、z2、z2+3、z3 原液zから分画した微粒子分散液
dm1、dm2、dm3 単分散細孔径多孔質膜の平均細孔径
M、M1、M2、M3 単分散細孔径多孔質膜を搭載したモジュール
r、r1、r2、r3 単分散細孔径多孔質膜を搭載したモジュールの横方向出 入口
B1 単分散微粒子最頻粒子径約80nmの分散原液
B2 単分散微粒子最頻粒子径約300nmの分散原液
C1 分散原液B1から多孔質膜0.1μmで分取した透明液
C2 分散原液B2から多孔質膜0.2μmで分取した透明液
C3 分散原液B2から多孔質膜0.1μmで分取した透明液
g モジュールMの横方向出入口
5 陽圧方向
6 陰圧方向
B 微粒子
v 微粒子分散原液を送液するポンプ
u 微粒子分散原液の送流方向
t ろ液の送流方向
n 逆洗媒体用タンク
b 送液ポンプ用on−offスイッチ
h 微粒子排出の送流方向
7 多孔質膜モジュール内空間
8 多孔質膜内空間
f 封止
k 管状多孔質膜液密的固定手段
9’ 微粒子分散原液のタンク
10’ 抽出液貯蔵のタンク
9 酵母入りビール原液のタンク
10 酵母ろ過後抽出のクリアビール貯蔵のタンク
11 堆積酵母排出回収のタンク
v1、v2、v3、v4、v5 バルブ
G ガス源
g1、g2 ガス圧調整バルブ
12 多孔質膜モジュール下方室
13 モジュール上方室

Claims (1)

  1. 管状シラス多孔質ガラス膜を用いたデッドエンドろ過装置であって、
    a)当該シラス多孔質ガラス膜は、分取したい微粒子分散原液の粒子径より少なくとも2.5倍大きい最頻細孔径を有し、または通過させたくない微粒子分散原液の粒子径と同等の最頻細孔径であり、
    b)管状シラス多孔質ガラス膜を搭載した膜モジュールを縦向きに設置し、
    c)当該モジュールの下方には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ送入される送液バルブ1を有する経路と、モジュール内から下方へ排出する送液三方バルブ2を有する経路の三方経路が設けられており、
    d)当該モジュールの上方は、液密的に封止されており、
    e)膜モジュール側面には、微粒子分散原液が当該モジュール内へ下方から送液され続いて当該膜の内圧から細孔を介して抽出されるろ液を取り出すための出入口1が設けられており、
    f)さらに、膜モジュールの側面には、前記と異なる位置に、当該膜内面上に堆積した微粒子を外圧により排出するための加圧手段の出入口2が設けられており、
    g)この出入口1の直後と出入口2の直前には、送圧バルブ3と送圧バルブ4がそれぞれ設けられており、
    先ず、
    1)当該送液バルブ1の一次側には、当該モジュール内の当該膜内圧として下方から微粒子分散原液を送圧するための0.1乃至0.5MPaの圧力が加わっており、
    2)当該送圧バルブ4の一次側には、当該モジュール内の当該膜外圧として側面から逆洗するための前記内圧以上に設定したガス圧力が加わっており、
    3)該送液バルブ1と該送液三方バルブ2の送入経路と該送圧バルブ3を開いて、該送液三方バルブ2の排出経路と該送圧バルブ4を閉じて、前記出入口1からろ液を抽出することが可能で、
    4)次に、該送液バルブ1を閉じて、該送圧バルブ4開いて、当該モジュール内に残存しているろ液を前記出入口1から押し出し、
    5)次に、該送圧バルブ3を閉じることにより、当該モジュール内圧が前記逆洗用設定圧力に達するまで昇圧され、
    6)当該モジュール内圧が前記設定圧力に達したら、該送液三方バルブ2の排出経路を開いて、当該膜内面に堆積した微粒子を当該モジュールから下方へ排出し、
    ろ過→残液押出→ガス逆洗→ろ過の作業を繰り返すことのできる内圧式デッドエンドろ過装置。
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