JPH1160615A - 粒子径分布の均一な真球状ポリマー微粒子の製造方法 - Google Patents

粒子径分布の均一な真球状ポリマー微粒子の製造方法

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JPH1160615A
JPH1160615A JP23542197A JP23542197A JPH1160615A JP H1160615 A JPH1160615 A JP H1160615A JP 23542197 A JP23542197 A JP 23542197A JP 23542197 A JP23542197 A JP 23542197A JP H1160615 A JPH1160615 A JP H1160615A
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pore diameter
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Ishiyuu Chiyou
為衆 張
Minoru Watanabe
稔 渡辺
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Showa Highpolymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 得られた微粒子ポリマーを分級することな
く、かつ重合操作も微粒子を膨潤、含浸などをしないで
一段の重合ですみ、粒子径はサブミクロンから約100
ミクロンくらいまで幅広く、かつ粒子径分布が均一であ
り、真球状のポリマー微粒子の生産性の高い製造法の提
供。 【解決手段】 溶解パラメーター(SP)値が8.5
[(cal/cm31/2]以下であり、かつラジカル
反応性を持つ溶剤を5重量%以上含む重合性モノマー液
を分散相として、ミクロ多孔質膜を用いる膜乳化法によ
り連続相に分散して得られる乳化液を、油溶性ラジカル
重合開始剤の存在下で重合する粒子径分布の均一な真球
状ポリマー微粒子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子径分布の均一
な真球状ポリマー微粒子の製造方法に関し、より詳細に
は疎水性で、かつラジカル反応性である溶剤を必須の成
分として5重量%以上含む重合性モノマー液を分散相と
し、この分散相を極めて均一な細孔径を持つ、親水性の
ミクロ多孔質膜を介して連続相となるべき液体中に均一
なサイズの粒子として分散(膜乳化)させた後、重合を
行わせることにより得られる、粒子径分布の均一な真球
状ポリマー微粒子を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真用トナーや液晶標示板のキャッ
プ調整剤、コールターカウンターの標準粒子、クロマト
グラフィー等のカラム充填剤、免疫診断用担持体、化粧
品用添加剤、粉体塗料等多くの分野で粒径分布の均一な
真球状ポリマー微粒子が求められている。従来、このよ
うな微粒子を得る方法としては、主に分散重合や懸濁重
合で調整された微粒子を乾式または湿式の分級装置を用
いて分級により粒子径を均一化する方法で行われてき
た。しかしこのような方法では収率が著しく低く、分級
された粒子も粒子径分布の均一性も不充分のものであっ
た。ポリマー微粒子のサイズの調整と微粒子の均一性を
少しでも向上するため、種粒子としてスチレン系の単分
散微粒子にビニル系モノマーを吸収させた後重合させ、
出来るだけ単分散性を保ちながらその粒子径を増大させ
るシード重合法が知られているが、この方法はミクロン
オーダーの粒子径を得るには吸収、重合という工程を繰
り返す必要があり、プロセスが煩雑である上、結果とし
て均一な粒子径が得られない問題点があった。
【0003】上記シード重合法の改良されたものとし
て、単分散の種粒子をオリゴマーあるいは有機溶剤で一
旦膨潤させ、続いてモノマーで膨潤させて重合を行う2
段膨潤重合法(ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエン
ス;72、225〜240、1985)が開示されてい
る。しかし、この方法にも膨潤助剤のブリードアウトの
問題や、膨潤操作そのものに長時間を要し、生産性に乏
しいという問題がある。一方、上記先行技術と全く違う
観点から、重合過程において粒子径を制御するより、予
め膜乳化による均一な粒子径を得る研究の動きが出てい
る(Colloids and Surfaces
A:Physicochemical and Eng
ineering Aspects 109,97〜1
07、1996)。
【0004】これは細孔径を均一に制御したミクロ多孔
質膜を利用した単分散乳化方法である。細孔径の異なる
膜を使用すれば、微粒子の粒子径はサブミクロンから1
00ミクロンまで幅広く設計することが出来るのはこの
方法の最大の特徴である。しかし、均一な単分散微粒子
を得るためには助剤として必ず有機溶剤を使用しなけれ
ばならないので、前述膨潤重合法と同じように溶剤によ
る汚染等の悪影響を受け、更に重合の進行につれて溶剤
が抜け出すため出来あがったポリマー粒子表面に穴が生
じ、凹込み粒子しか得られない問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、得られた微
粒子ポリマーを分級することなく、かつ重合操作も微粒
子を膨潤、含浸などをしないで一段の重合ですみ、粒子
径はサブミクロンから約100ミクロンくらいまで幅広
く、かつ粒子径分布が均一であり、真球状のポリマー微
粒子の生産性の高い製造法の開発を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、分散相となるべき液体を、ミクロ多孔質膜を
介して連続相に分散させる際にミクロ多孔質の親水性の
膜からきれいに引き離すための駆動力として疎水化をす
る必要があり、これが従来有機溶剤を使用しその助けを
借りる役割であることを知り、分散相に溶解パラメータ
ー(SP)値が8.5[(cal/cm31/2 ]以下
の超疎水性であり、かつラジカル反応性を持つ溶剤を5
重量%以上必須成分として配合することによって、前記
の課題を解決できることを見出した。
【0007】すなわち、(1) 溶解パラメーター(S
P)値が8.5[(cal/cm31/2 ]以下であ
り、かつラジカル反応性を持つ溶剤を5重量%以上含む
重合性モノマー液を分散相として、ミクロ多孔質膜を用
いる膜乳化法により連続相に分散して得られる乳化液
を、油溶性ラジカル重合開始剤の存在下で重合すること
を特徴とする粒子径分布の均一な真球状ポリマー微粒子
の製造方法、(2) 膜乳化は、均一な細孔径を有す
る、親水性のミクロ多孔質膜を用いて行うことを特徴と
する前記(1)に記載の粒子径分布の均一な真球状ポリ
マー微粒子の製造方法、及び(3) ミクロ多孔質膜
が、細孔容積が全体の10%を占める時の細孔径(φ1
0)と、細孔容積が全体の90%を占める時の細孔径
(φ90)の比ε[=(φ10)/(φ90)]が1.
0〜1.5であり、かつ該多孔質膜の水との接触角が1
0°以下である前記(1)または(2)記載の粒子径分
布の均一な真球状ポリマー微粒子の製造方法を開発する
ことにより上記の目的を達成した。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において使用する溶剤は、
まずSP値8.5[(cal/cm31/2]以下であ
る超疎水性が必要である。超疎水性溶剤を添加すること
により分散相となる液体が疎水性が高くなり、それが連
続相に分散される際、親水性のミクロ多孔質膜を透過
し、瞬間的に引き離されるようになり、これが乳化物粒
子径のサイズの均一性、単分散性につながると考えられ
る。逆に言えば、SP値が8.5[(cal/cm3
1/2 ]以上の場合、分散相がミクロ多孔質膜との親和性
が高くなり、連続相に分散される際の引き離しに時間が
かかったり、後述する圧送のための圧力が変動したりす
るため、分散相の粒子径のサイズはまちまちとなる。一
方、上記超疎水性溶剤はラジカル反応性(重合性)であ
るため、従来の有機溶剤の場合と根本的に違う。つま
り、この超疎水性溶剤はポリマーの一成分として取り組
まれるので、従来のように重合体粒子から超疎水性溶剤
が抜け出すことがない。従来の有機溶剤は重合の進行に
つれてポリマーとの相溶性が小さくなるため相分離を起
したり、極端な場合は粒子の中で局在化したりすること
がしばしばある。この局在化した溶剤は結局ポリマー粒
子から抜け出し、出来上がったポリマー粒子の表面に凹
みや穴が生じてしまうからである。ラジカル反応性を持
つ超疎水性溶剤の官能基としてはこの場合、例えばビニ
ル基や(メタ)アクリロキシ基等、主成分の重合性モノ
マーと共重合出来るラジカル重合性の二重結合が好適に
用いられる。
【0009】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。先ず、本発明の溶剤としては、SP値が8.5
[(cal/cm31/2 ]以下であり、かつラジカル
反応性を持つもの、例えば、 等が挙げられ、これらは単独で使用されても、2種類以
上が併用されてもよい。
【0010】上記超疎水性であり、かつラジカル反応性
溶剤の添加量は、少なくなると効果が小さく不都合であ
る。多ければ多いほど(場合によってはそれのみでも良
い。)粒子の状態や均一性が向上するので、コストとの
パフォーマンスや用途に応じて選択すればよい。好適な
添加量は溶剤の種類によって異なり、疎水性が強ければ
強い程、添加量は少なくて済む。効果を発揮するために
は、添加量は重合性モノマーに対して少なくとも5重量
%以上が必要であり、好ましくは8重量%以上である。
【0011】分散相としての共重合性モノマーは、一般
的に使用されているもの、例えばスチレンやアクリル酸
エステル、メタクリル酸エステル等ビニル系モノマーで
よく、特に限定されるものではない。当然ながら、溶解
パラメータSP値が小さければ小さい程、分散相そのも
のの疎水性が強くなるのみならず、本発明の溶剤との相
溶性も増すので特に好ましい。
【0012】用途によって耐溶剤性や耐薬品性、高い機
械的強度あるいは硬度が求められることがあり、この場
合には架橋モノマーを組み合わせることによって対応す
ることができる。この際使用する架橋モノマーとして
は、1分子中に2個以上のビニル基を有するモノマーで
あればいずれでも良い。例えばジビニルベンゼンなどの
芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレ
ート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレン
グリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリ
レート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタ
クリレートなどのアルカンポリオールポリアクリレート
またはアルカンポリオールポリメタクリレートなどを挙
げることができる。特にジビニルベンゼンやエチレング
リコールジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リメタクリレートが好ましく用いられるが、これらに限
定されるものではない。このような架橋モノマーの使用
量は用途に応じて選定すれば良いが、単分散性を失わな
いように本発明のラジカル反応性を持つ超疎水性溶剤と
の配合率を調整する必要がある。
【0013】重合開始剤としては、水溶性重合開始剤を
使用すると、分散相に取り込まれ難くて効率が悪い一
方、更に重合過程中連続相の水中でラジカル発生による
新粒子生成を助長し、多分散となる恐れがあるので、油
溶性のラジカル重合開始剤の使用が必要である。油溶性
のラジカル重合開始剤としては、具体的に例えばアゾビ
スイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニ
トリル、2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロ
ニトリル)、ジメチル−2、2’−アゾビスイソブチレ
ート、4、4’アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系
化合物や、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジク
ミルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイ
ド、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、3、5、5−トリ
メチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシカーボネー
ト、t−ブチルパーオキシビバレート等の有機過酸化物
が挙げられるが、親油性の高い程好まれる。
【0014】その使用量は通常疎水性であり、かつラジ
カル反応性を持つ溶剤を含む重合性モノマー液100重
量部に対して0.01〜20重量部でよい。更に上記油
溶性ラジカル重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み
合わせ、レドックス系重合開始剤とすることが可能であ
る。レドックス系重合開始剤を用いることで、重合活性
が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が
期待できる。重合温度は、重合開始剤の最低のラジカル
生成温度以上であればよいが、通常は40〜90℃の範
囲が用いられ、好ましくは60〜85℃である。本発明
に使用するミクロ多孔質膜としては精密な制御により均
一な細孔径を有し、親水性のミクロ多孔質ガラスからな
ることが好ましいが、具体的には下記の状態を示す。
【0015】まず、細孔径の均一性とは、「細孔容積が
全体の10%を占めるときの細孔径(φ10)」を「細
孔容積が全体の90%を占めるときの細孔径(φ9
0)」で除した値εが1〜1.5の範囲にあるときの状
態を指す。 ε=(φ10)/(φ90) 細孔径がよく揃っている程εの値は1に近づき、逆にε
値が大きい程細孔径のばらつきが大きく、不揃いであ
る。εの値は好ましくは1.2以下である。そして親水
性とは、水と接触した場合その水の接触角が10°以下
の状態を指し、好ましくは0°に近いものである。Ca
O−Al23 −SiO2 系のような多孔質ガラスはふ
さわしい親水性を有するが、汚れたりして水の接触角が
10°以上になると、上述のように分散液が膜から引き
離れにくくなり、均一な粒子径が得られないので、しか
るべく親水処理を行う必要がある。親水処理の方法とし
ては、物理的に親水性溶剤による洗浄や高温焼き付けに
よる有機物除去、或は化学的にシランカップリング剤等
で親水性官能基による修飾を利用すればよい。
【0016】更に多孔質とは、細孔容積が0.4〜0.
8(cc/g)の範囲の無数の貫通細孔を有することを
言うが、細孔容積が0.4(cc/g)以下では、膜透
過量が小さく実用性に欠ける。一方、細孔容積が0.8
(cc/g)以上となると、膜の変形や破壊する恐れが
あるので、十分機械強度を備えるため細孔容積が0.8
(cc/g)以下と限定する必要がある。具体的なもの
としては、南九州に豊富な火山灰のシラス等を原料に、
石灰やホウ酸を添加して1350℃前後の温度で焼結
し、得られたガラスをパイプ状に成形し、そして更に6
50℃ないし750℃で再び加熱する。これで得られた
ものを酸処理し、加熱時に相分離されたCaO・B2
3 を溶すと、酸に溶解しないAl23 ・ SiO2 系ガ
ラスを骨格とする多孔質ガラス膜ができあがる。その膜
には精密に制御された無数の均一な貫通細孔が存在し、
細孔の大きさは焼結条件を制御することで精密に調整で
き、数十nmの微細孔径のものから10μmの比較的マ
クロな細孔径のものまで幅広い、単分散性細孔径の設計
ができる。
【0017】このような膜を用い膜乳化で得られる粒子
径の大きさは、分散相の性質や乳化条件等によって多少
異なるが、およそ膜の細孔径の数倍になるので、数百n
mから数十μmまで非常に幅広い。従来のように粒子の
大きさに応じて重合方法を選択する必要がなく、この方
法では膜の細孔径を決めれば、乳化重合から懸濁重合、
分散重合までの粒子径の範囲をカバーでき、様々な機能
性粒子の設計が可能である。
【0018】以下、本発明の単分散微粒子を製造する方
法について説明する。まず、分散相となるべき重合性モ
ノマー液や上記本発明の溶剤及び油溶性重合開始剤等を
均一に混合した後、圧送して親水性のミクロ多孔質膜を
介し連続相となるべき液体中に分散させて、いわゆる通
常の膜乳化を行う。
【0019】ここで、分散相圧送時の圧力は特に注意し
なければならない。圧力が小さければ分散相の液は膜を
透過しないが、圧力が高すぎると得られる粒子は多分散
となり、均一な粒子径が得られない。圧力の大小は分散
相の性質や膜の細孔径、乳化条件等によって大きく変わ
り、圧力を微調整できるニードル弁でちょうど分散相の
液体が膜を透過し始める、いわゆる臨界圧力(PC )以
上の近辺で厳密に調整する必要がある。この臨界圧力P
C はバブルポイント法を適用して次の関係から求めるこ
とができる。 PC =4γOWcosθ/d ここで、γOWは油水界面の界面張力、θは親油性分散相
のガラス細孔壁に対する接触角、dは細孔径である。こ
の式は、臨界圧力は細孔径が小さい程大きく、また目的
に応じて各種界面活性剤の添加によって調整が可能であ
るを示している。もし、細孔径がふぞろいの場合では、
明確な臨界圧力が存在しなく、得られる粒子径も不均一
となる。
【0020】更にもう一方の連続相の流速によっても得
られる粒子径の分散性が異なるので、系に応じて最適条
件を定める必要がある。得られた乳化物を用いて重合を
行うが、その方法としては一般的な重合法でよい。具体
的には目的に応じて当業者に容易に選択されるものであ
る。例えば、乳化物の一部を反応釜に仕込み昇温せしめ
重合反応させ、次いで残りの乳化物を滴下し、滴下終了
後なお更に反応温度に保って熟成を行わせた後、これを
冷却することによって所望の反応生成物を得ることがで
きる。もちろん上記乳化物を反応釜に一括して仕込み重
合する方法も適用できる。反応温度はラジカル重合開始
剤に応じて設定すればよい。無論、重合過程中粒子の凝
集を避け、あるいは新粒子の発生を抑制するため、例え
ば撹拌をできるだけゆっくりしたりする等の工夫か必要
である。得られた重合物の粒子径は、モノマーとポリマ
ーと密度変化の関係で乳化物と比較して並行的に若干小
さくはなるだけなので、反応条件をさえうまく設定でき
れば均一な単分散性は殆ど変わらない。
【0021】
【実施例】次に、本発明の実施例について詳細に説明す
る。但し、本発明はこれにより限定されるものではな
い。 (実施例1)スチレンモノマー36重量部、α−メチル
スチレン4重量部(系に対して10重量%)の混合物
に、触媒として過酸化ベンゾイルを0.8重量部を添加
し、均一に混合した後分散相貯蔵タンクCへ貯蔵した。
水360重量部にポバール217((株)クラレ製)
3.2重量部、ドデシル硫酸ナトリウム0.16重量部
及び硫酸ナトリウム0.16を添加し、連続相循環タン
クDへ貯蔵した。膜乳化は、シラスポーラスガラス(S
PG)と称する多孔質ガラスからなる、外径10mm、
肉厚0.5mm、長さ235mmのパイプ状(伊勢化学
工業製)の膜を使用した。平均細孔径が1.0μmで、
εの値は1.16、そして細孔容積は0.42cc/g
である。膜はあらかじめ水で十分濡らし、細孔中の気泡
を取り除いた後、膜モジュールAに装着し膜乳化用とし
た。
【0022】図1で示すように、上記連続相循環タンク
Dの液体を、液体ポンプEを用いて1リットル/min
の速度で膜モジュールAの中心部に送り、連続相循環タ
ンクDへ還流させた。一方、上記分散相貯蔵タンクCの
液を、窒素ガスボンベBを使いその圧力で膜の外回りか
ら内部へ、ニードル弁Fで圧力を徐々に上げて圧送し
た。膜モジュールAの出口にて分散液が透過し始めるこ
とを確認し、その時の圧力を0.60kg/cm2 と読
み取った。これをこの場合の操作圧力とし、変動しない
ように微調整のできるニードル弁Fにて操作圧力を固定
し膜乳化を完了させた。
【0023】得られた乳化物は一括して、温度センサや
窒素導入管、撹拌装置を装着した内容積1リットルの円
筒型セパラブルフラスコに移し、下記の条件で重合を行
い反応を完結させた。 窒素置換 1時間 反応温度 70±1℃ 反応時間 8時間 粒子の状態については、光学顕微鏡(ニコン製、XF−
UNR)や電子走査顕微鏡(日本電子(株)製、JSM
−T200)を用いて観察した。又、粒子径の測定は上
記顕微鏡及び粒度分布測定装置(日機装(株)製、MI
CRO TRAC FRA/UPA)を用いて行った。
結果はまとめて下記表1に示す。
【0024】(実施例2)膜乳化に使用したSPGガラ
ス膜の平均細孔径が0.51μm(伊勢化学工業製、ε
の値が0.17、細孔容積は0.44cc/g)である
以外は、すべて実施例1と同じ条件であった。この場合
の操作圧力は1.48kg/cm2 であった。 (実施例3)分散相として、スチレンモノマー38重量
部、4−t−ブチルスチレン 2重量部(系に対して 5重
量%)を使用した以外は、全て実施例 1と同じ条件であ
った。この場合の操作圧力は0.61kg/cm2 であ
った。 (実施例4)α−メチルスチレン40重量部を単独使用
した場合で、その他はすべて実施例1と同じ条件であっ
た。この場合の操作圧力は0.49kg/cm2 であっ
た。
【0025】(比較例1)本発明の溶剤を添加しない、
SP値が9.3[(cal/cm31/2 ]であるスチ
レンモノマーを単独使用した場合である。その他の条件
は全て実施例1と同じである。この場合の操作圧力は
0.64kg/cm2 であった。 (比較例2)SP値が8.6[(cal/cm3
1/2 ]であるエチルアクリレ−トを単独使用した場合で
ある。その他の条件は全て実施例1と同じである。この
場合の操作圧力は0.39kg/cm2 であった。 (比較例3)分散相として、スチレンモノマー36重量
部に、SP値は7.3[(cal/cm31/2 ]であ
るものの、ラジカル反応性を持たないヘキサンを4重合
部(系に対して10重量%)使用した場合である。その
他の条件は、すべて実施例1と同じである。この場合の
操作圧力は0.61kg/cm2 であった。
【0026】(比較例4)分散相として、同様に主モノ
マーのスチレンモノマーに、ラジカル反応性はあるもの
の、SP値が9.5[(cal/cm31/2 ]である
p−塩化スチレンを系に対して10重量%を添加した場
合でる。その他の条件はすべて実施例1と同じである。
この場合の操作圧力は0.35kg/cm2 であった。 (比較例5)分散相として、スチレンモノマー39重量
部、α−メチルスチレン1重量部(系に対して2.5重
量%)を使用した以外は実施例1と全く同じである。こ
の場合の操作圧力は0.63kg/cm2 であった。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】上述のように、この発明の製造方法で得
られたポリマー微粒子は、使用する反応性溶剤は超疎水
性のため、非常に均一な粒子径分布を有している。ま
た、この疎水性溶剤はラジカル反応性を持っており、ポ
リマー微粒子に取り込まれるため重合過程中に抜け出す
事がないため粒子が凹込む心配もなく、溶剤のブリード
アウトによる製品汚染の問題もない。更に、多孔質ガラ
ス膜の細孔径を制御することにより粒子径の設計は煩雑
なプロセスなしにサブミクロンから100ミクロンまで
可能となる。このような粒子径分布の均一な真球形ポリ
マー微粒子は、上述した分野に於て大いにその使用が期
待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において使用した膜乳化装置の概念図。
【符号の説明】
A. 膜モジュール B. 窒素ガスボンベ C. 分散相貯蔵タンク D. 連続相循環タンク E. 液体ポンプ F. ニードル弁 G. 圧力計 H. バルブ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解パラメーター(SP)値が8.5
    [(cal/cm31/2 ]以下であり、かつラジカル
    反応性を持つ溶剤を5重量%以上含む重合性モノマー液
    を分散相として、ミクロ多孔質膜を用いる膜乳化法によ
    り連続相に分散して得られる乳化液を、油溶性ラジカル
    重合開始剤の存在下で重合することを特徴とする粒子径
    分布の均一な真球状ポリマー微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 膜乳化は、均一な細孔径を有する、親水
    性のミクロ多孔質膜を用いて行うことを特徴とする請求
    項1に記載の粒子径分布の均一な真球状ポリマー微粒子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 ミクロ多孔質膜が、細孔容積が全体の1
    0%を占める時の細孔径(φ10)と、細孔容積が全体
    の90%を占める時の細孔径(φ90)の比ε[=(φ
    10)/(φ90)]が1〜1.5であり、かつ該多孔
    質膜の水との接触角が10°以下である請求項1または
    2記載の粒子径分布の均一な真球状ポリマー微粒子の製
    造方法。
JP23542197A 1997-08-15 1997-08-15 粒子径分布の均一な真球状ポリマー微粒子の製造方法 Pending JPH1160615A (ja)

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