JP6627058B2 - 高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータおよび車載用ヒータユニット - Google Patents

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Description

本発明は、高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ、車載用ヒータユニット、車載用ヒータユニットの製造方法および絶縁防水型ヒータに関し、より詳しくは電圧印加によって発熱する発熱素子を用いた車載用ヒータであって、高電圧耐性、高効率および高い防水特性を備えた車載用ヒータ、車載用ヒータユニット、車載用ヒータ装置、車載用ヒータユニットの製造方法および絶縁防水型ヒータに関するものである。
電圧の印加によって発熱する発熱素子を用いた車載用ヒータは、エンジンの始動直後などエンジンの熱を車内暖房に利用できない場合の補助用として利用されている。車載用ヒータの発熱素子としては、例えばPTC(Positive Temperature Coefficient)素子が用いられる。PTC素子は正温度特性を有しており、温度制御の容易性および消費電力の抑制を図ることができる。
本願発明者は、絶縁性および防水性に優れたヒータとして、特許文献1に開示される絶縁防水型ヒータを提案している。この絶縁防水型ヒータは、発熱素子を挟み込んだ一対の電極部材と、発熱素子および一対の電極部材を包む絶縁シートと、これらを収容する筒体と、筒体の両端部を閉塞するキャップと、筒体の中空部の両端などを塞ぐ封止材とを備えている。
さらに、本願発明者は、特許文献2に開示される車載用ヒータを提案している。この車載用ヒータは、発熱素子を挟み込んだ一対の電極部材と、発熱素子および一対の電極部材を包む絶縁シートと、これらを収容する筒体と、少なくともフィンを含む放熱体ユニットとを備えている。この車載用ヒータにおいては、発熱素子の電極面と筒体の放熱面の裏面との間で絶縁シートが挟圧され、絶縁シートの両端縁部が発熱素子の側面に対して略平行に重なり合うよう構成される。
特許第4388519号公報 特許第4455473号公報
近年、動力源としてモータを利用した電気自動車やハイブリッド車が盛んに開発されている。自動車の電化に伴い、PTC素子など電圧印加によって発熱する発熱素子を利用した車載用ヒータの需要は増加することになる。これに伴い、車載用ヒータとして求められる仕様は益々厳しくなる。
例えば、電気自動車やハイブリッド車で用いられるモータの電圧は300ボルト(V)から400V程度であり、従来の自動車で取り扱う12Vや24Vといった電圧よりも遥かに高い電圧を取り扱うことになる。車載用ヒータもこのような高電圧に対応する必要がある。また、電気自動車であっても寒冷地や悪路といった厳しい環境下での使用に耐えうる設計が必要となる。
近年では、突発的な雷雨など激しい気象変化も起き得ることから、発熱素子を用いた車載用ヒータについては、高電圧環境下での水没、津波、高潮といった従来とは比較にならない程に厳しい動作条件をクリアすることが望まれる。
その一方で、厳しい環境に耐えられる構成を採用するために複雑な構成になると、製造が難しくなったり、コストアップに繋がったりする。このため、装置構成は極力簡素化したい。特に、車載用ヒータに放熱用のフィンを取り付ける方法において、熱伝導の観点から金属同士のろう付けが望ましいが、発熱素子を覆う絶縁シートがろう付けの熱に耐えられないという問題を抱えている。本願発明者は、このような状況に鑑み、先に提案している絶縁防水型ヒータについて、更なる高耐電圧化、高防水性化、小型化および高効率化を進めている。
本発明は、複雑な構成を採用することなく、高耐電圧で絶縁性および防水性に優れ、小型かつ高効率であり、厳しい環境下であっても対応可能な高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ、車載用ヒータユニット、車載用ヒータユニットの製造方法および絶縁防水型ヒータを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、表裏に電極層が設けられた発熱素子と、発熱素子を間に挟持し、表裏の電極層のそれぞれと導通する一対の電極部と、一対の電極部の周囲を覆う絶縁性シートと、中空部を有し、発熱素子、一対の電極部および絶縁性シートで構成された発熱構造体を中空部内に収容する筒体と、筒体の両端の開口を封止する封止部と、凹部を有し、前記凹部に前記筒体の両端部がそれぞれ嵌め入れられて前記中空部を閉塞する一対のキャップと、を備えた高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータである。
一対の電極部のうちの一方である第1電極部は、表裏の電極層のうちの一方と導通するよう接続された第1板状部分と、第1板状部分における筒体の一方の開口側の端部に設けられた第1端子部分と、を有する。
また、一対の電極部のうちの他方である第2電極部は、表裏の電極層のうちの他方と導通するよう接続された第2板状部分と、第2板状部分における筒体の一方の開口の端部に設けられた第2端子部分と、を有する。
ここで、一対の電極部の間で発熱素子を挟持する方向を第1方向、第1方向と直交し、筒体の延在する方向を第2方向、第1方向および第2方向と直交する方向を第3方向とする。
そして、第1方向にみた場合、第1端子部分と第2端子部分とは互いにずれた位置で配置される。また、筒体の一方の開口を封止する封止部は、絶縁性シートで囲まれる第1端子部分および第2端子部分を埋め込むよう設けられるとともに、絶縁性シートと筒体の内面との隙間に介在するよう設けられる。
また、一対の電極部は、キャップおよび封止部によって密閉された筒体の中空部内に収容され、筒体の外に露出していない。
このような構成によれば、第1方向にみて、第1端子部分と第2端子部分とは互いにずれた位置に配置されるため、2つの端子部分を重ねて配置する場合に比べて両者の距離を長くとることができ、耐電圧を高めることができる。
また、第1端子部分および第2端子部分が位置する筒体の一方の開口において、封止部が第1端子部分および第2端子部分を埋め込むように設けられることで、両端子部分間の耐電圧を高めることができる。しかも、封止部が、絶縁性シートと筒体の内面との隙間にも介在するため、筒体の内面と絶縁性シートとの隙間における防水性も確保することができる。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、封止部によって、筒体の内部への防水性構造、および第1端子部分と第2端子部分との間における300V以上の耐電圧構造が構成されてもよい。また、封止部は、150℃以上の耐熱性を有する材料によって構成されていてもよい。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、第1端子部分は第1かしめ部分を有し、第2端子部分は第2かしめ部分を有し、第1電極部は、第1板状部分と第1かしめ部分との間に設けられた第1凸状延出部分を有し、第2電極部は、第2板状部分と第2かしめ部分との間に設けられた第2凸状延出部分を有していてもよい。
そして、第1凸状延出部分における第2方向の長さは、第1かしめ部分における第1凸状延出部分側のかしめ皺の第2の方向の長さよりも長く、第2凸状延出部分における第2方向の長さは、第2かしめ部分における第2凸状延出部分側のかしめ皺の第2の方向の長さよりも長く設けられていてもよい。
上記のような構成によれば、かしめ部分に形成されるかしめ皺の第2方向の長さより、凸状延出部分の第2方向の長さのほうが長いため、かしめ皺の影響が板状部分に及ばない。すなわち、かしめによる板状部分のうねりの影響を抑制して発熱素子の電極層との接触を行うことができる。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、第1凸状延出部分における第3方向の長さは、第1かしめ部分における第3方向の長さよりも長く設けられていてもよい。また、第2凸状延出部分における第3方向の長さは、第2かしめ部分における第3方向の長さよりも長く設けられていてもよい。これにより、かしめ部分に応力が加わった場合に凸状延出部分でその応力を吸収して板状部分へ伝わることを抑制できる。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、第1凸状延出部分における第3方向の長さは、第1板状部分における第3方向の長さの1/2よりも短く、第2凸状延出部分における第3方向の長さは、第2板状部分における第3方向の長さの1/2よりも短く、第1方向にみて、第1凸状延出部分と第2凸状延出部分とは互いに重ならないように配置されていてもよい。これにより、2つの凸状延出部分を重ねて配置する場合に比べて両者の距離を長くとることができ、耐電圧を高めることができる。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、発熱素子の厚さは3ミリメートル(mm)以上であってもよい。発熱素子の厚さが3mm以上あることで、一対の電極間に例えば300V以上の電圧が印加されても対応することができる。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、第1方向にみて、第1端子部分と第2端子部分との隙間は2.5ミリメートル以上であってもよい。これにより、第1端子部分と第2端子部分との間に例えば300V以上の電圧が印加されても絶縁性を確保することができる。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、第1板状部分の第3方向の長さ、および第2板状部分の第3方向の長さは、電極層の第3方向の長さよりも長く、発熱素子の第3方向の長さ以下であってもよい。これにより、筒体を加圧して発熱構造体を挟圧する際、第1板状部分および第2板状部分の縁の曲がりが抑制される。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、第1板状部分の第2方向の長さ、および第2板状部分の第2方向の長さは、20mm以上30mm以下であってもよい。これにより、十分な発熱出力を得ることができる。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、絶縁性シートにおける巻き付けの両端は、発熱素子の側面部分で互いに重なり合っていてもよい。これにより、筒体の放熱面の裏面で絶縁性シートが重ならず、熱伝達効率の低下が抑制される。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、発熱素子は、PTC素子であってもよい。これによりPTC素子の正温度特性を利用して、容易な温度制御および低消費電力化を図ることができる。
上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータにおいて、封止部はシリコーン系樹脂であってもよい。これにより、筒体の開口を製造容易に封止することができる。
本発明の一態様は、上記高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータと、筒体の放熱面にろう付け部を介して取り付けられたフィンと、を備えた車載用ヒータユニットである。筒体の放熱面にフィンがろう付け部を介して取り付けられていることで、放熱効率が向上する。
本発明の一態様は、表裏に電極層が設けられた発熱素子と、発熱素子を間に挟持し、表裏の電極層のそれぞれと導通する一対の電極部と、一対の電極部の周囲を覆う絶縁性シートと、中空部および放熱面を有し、発熱素子、一対の電極部および絶縁性シートで構成された発熱構造体を中空部内に収容する筒体と、筒体の両端の開口を封止する封止部と、筒体の放熱面にろう付け部を介して取り付けられたフィンと、を備えた車載用ヒータユニットである。このように、フィンが放熱面にろう付け部を介して取り付けられていることで、放熱効率を向上させた車載用ヒータユニットを構成することができる。
上記車載用ヒータユニットにおいて、フィンの厚さ方向の耐荷重は、筒体の厚さ方向の耐荷重よりも大きいことが好ましい。これにより、フィンを介して加圧した場合でも、フィンの潰れを回避することができる。上記車載用ヒータユニットにおいて、筒体の側面に設けられた突出部をさらに有し、突出部の厚さ方向の長さが、筒体の厚さ方向の長さよりも長く設けられていてもよい。これにより、突出部によってフィンの側面をカバーすることができ、外気温の影響がフィンに伝わりにくくなる。
本発明の一態様は、上記の車載用ヒータユニットと、媒体の流入口と、媒体の流出口と、を有するケースと、を備えた車載用ヒータ装置である。この車載用ヒータユニットは、フィンの流路の一端を流入口および流出口のそれぞれに対向させてケース内に収容されている。また、この車載用ヒータユニットは、フィンの流路の一端を流入口に対向させ、フィンの流路の他端を流出口に対向させて、ケース内における流入口と流出口との間に収容されていてもよい。これにより、流入口からケース内に流入する媒体を効率よくフィンの流路に流して、熱交換効率を高めることができる。ここで、媒体は、水、空気、ガス、油およびゲル状物の少なくともいずれかである。
上記車載用ヒータ装置において、ケースには、第1電極と導通する第1導通ケーブルを通すための第1孔と、第2電極と導通する第2導通ケーブルを通すための第2孔とが設けられ、第1孔と第1導通ケーブルとの隙間、および第2孔と第2導通ケーブルとの隙間のそれぞれに封止剤が埋め込まれていてもよい。これにより、ケースには導通ケーブルを通す小さな孔を設けるだけで済み、ケースの封止が容易となるとともに、ケースの封止性を高めることができる。
本発明の一態様は、中空部および放熱面を有する筒体の放熱面にフィンをろう付けする工程と、表裏に電極層が設けられた発熱素子を一対の電極部で挟持する工程と、一対の電極部の周囲を絶縁性シートで覆う工程と、発熱素子、一対の電極部および絶縁性シートで構成された発熱構造体を、フィンがろう付けされた筒体の中空部内に収容する工程と、フィンを介して筒体を加圧して筒体を押し潰すことにより、発熱構造体を中空部内に固定する工程と、を備えた車載用ヒータユニットの製造方法である。このような製造方法により、筒体を押し潰して中空部内に発熱構造体を固定する製造方法であっても、フィンを放熱面にろう付けで取り付けることができる。
本発明の一態様は、表裏に電極層が設けられた発熱素子と、発熱素子を間に挟持し、表裏の電極層のそれぞれと導通する一対の電極部と、発熱素子および一対の電極部で構成された発熱部材を収容する筒体と、筒体の内部に充填され、筒体と発熱部材とを電気的に絶縁する絶縁性粉末と、筒体の少なくとも一方の開口端を封止する封止体と、一対の電極部とそれぞれ導通し、封止体を貫通して筒体の外部へ引き出される一対の導通ケーブルと、を備えた、絶縁防水型ヒータである。
このような構成によれば、筒体の内表面と発熱部材との隙間に絶縁性粉末が埋め込まれ、発熱部材を電気的に絶縁できるとともに、発熱部材の筒部の内部での位置決めを行うことができる。
上記の絶縁防水型ヒータにおいて、一対の電極部のうちの一方である第1電極部は、電極層と導通するように接する第1板状部分と、第1板状部分における筒体の一方の開口側の端部に設けられた第1端子部分と、を有し、一対の電極部のうちの他方である第2電極部は、電極層と導通するように接する第2板状部分と、第2板状部分における筒体の一方の開口側の端部に設けられた第2端子部分と、を有し、一対の電極部の間で発熱素子を挟持する方向を第1方向、第1方向と直交し、筒体の延在する方向を第2方向、第1方向および第2方向と直交する方向を第3方向とした場合、第1方向にみて、第1端子部分と第2端子部分とが互いにずれた位置に配置されていてもよい。このような構成によれば、2つの端子部分を重ねて配置する場合に比べて両者の距離を長くとることができ、耐電圧を高めることができる。
上記の絶縁防水型ヒータにおいて、筒体は円筒型であり、発熱部材は板状型であってもよい。これにより、絶縁防水型ヒータの製造が容易となり、低コスト化を図ることができる。また、筒体の外表面である円周面が放熱面となって、周囲に対して均一に熱を伝えることができる。また、筒体の材料はステンレスであってもよい。これにより、耐水性、耐薬品性を高めることができる。
本発明によれば、複雑な構成を採用することなく、厳しい環境下であっても対応可能な車載用ヒータ、車載用ヒータユニット、車載用ヒータユニットの製造方法および絶縁防水型ヒータを提供することが可能になる。
本実施形態に係る車載用ヒータの構成を例示する斜視図である。 本実施形態に係る車載用ヒータの構成を例示する分解斜視図である。 本実施形態に係る車載用ヒータの構成を例示する断面図である。 (a)〜(c)は、本実施形態に係る車載用ヒータの構成を例示する断面図である。 電極部の凸状延出部分について例示する拡大平面図である。 電極部の端子部分について例示する拡大平面図である。 適用例について説明する斜視図である。 車載用ヒータユニットの製造方法を例示するフローチャートである。 複数段のフィンを備えた車載用ヒータユニットを例示する斜視図である。 (a)および(b)は、他の適用例について説明する図である。 車載用ヒータ装置に用いられる車載用ヒータユニットを例示する斜視図である。 車載用ヒータ装置を例示する斜視図である。 (a)および(b)は、車載用ヒータ装置を例示する断面図である。 他の車載用ヒータ装置を例示する斜視図である。 車載用ヒータ装置の適用例を示す模式図である。 車載用ヒータ装置の他の適用例を示す模式図である。 ヒートポンプシステムの模式図である。 ヒートポンプシステムの模式図である。 ヒートポンプシステムに適用される車載用ヒータ装置の構成例を示す分解斜視図である。 (a)および(b)は、本実施形態に係る絶縁防水型ヒータを例示する図である。 発熱部材を例示する分解斜視図である。 絶縁防水型ヒータの適用例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
(高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータの構成)
図1は、本実施形態に係る高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ(以下、単に「車載用ヒータ」とも言う。)の構成を例示する斜視図である。
図2は、本実施形態に係る車載用ヒータの構成を例示する分解斜視図である。
本実施形態に係る車載用ヒータ1は、電圧印加によって発熱する装置である。特に、車載用ヒータ1は、300ボルト(V)以上の高電圧で駆動可能であるとともに、IPコード(IEC:International Electrotechnical Commission)におけるIP67をクリアする高い防水性および防塵性を有している。
IP67は、機器の内部に粉塵が入らない防塵性能と、一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水しない程度の防水性能を有することを意味する。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る車載用ヒータ1は、発熱素子10、発熱素子10を間に挟持する一対の電極部20、絶縁性シート30、筒体50、封止部60および一対のキャップ70を備える。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、一対の電極部20の間で発熱素子10を挟持する方向を第1方向D1、第1方向と直交し筒体50の延在する方向を第2方向D2、第1方向D1および第2方向D2と直交する方向を第3方向D3と言うことにする。また、第1方向D1は厚さ方向、第2方向D2は長さ方向、第3方向D3は幅方向とも言うことにする。
発熱素子10は、電圧の印加によって発熱する素子である。発熱素子10には、例えばPTC(Positive Temperature Coefficient)素子が用いられる。PTC素子は正温度特性を有する。すなわち、キュリー点以上の温度になると抵抗が増加して、それ以上の温度上昇が制限される。発熱素子10としてPTC素子を用いることで、温度制御の容易性および消費電力の抑制を図ることができる。
PTC素子の正温度特性は、チタン酸バリウム(BaTiO)に微量の希土類などを添加することで変化する。本実施形態では複数の発熱素子10が設けられる。1つの発熱素子10は、厚さ約3ミリメートル(mm)、幅約24mm、長さ約15mmの略直方体である。
本実施形態に係る車載用ヒータ1では、発熱素子10として、約300V以上の高電圧で駆動するための組成、形状およびサイズが適用される。また、本実施形態に係る車載用ヒータ1では、約500ワット(W)以上の高出力を得るとともに、省スペース化を図るため、上記の大きさの発熱素子10が第2方向D2に複数個、直列に並べられている。
発熱素子10の表裏面(厚さ方向の表裏面)のそれぞれには電極層10aが設けられる。電極層10aには、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等の金属が用いられる。これらの金属を発熱素子10の表裏面に例えば溶射することで電極層10aが形成される。電極層10aは発熱素子10とオーミックコンタクトしている。
発熱素子10は、一対の電極部20の間に挟持される。一対の電極部20のうちの一方は第1電極部201であり、他方は第2電極部202である。説明の便宜上、第1電極部201および第2電極部202を区別せずに示すときは、電極部20と言うことにする。第1電極部201は、発熱素子10の一方の電極層10aと導通し、第2電極部202は、発熱素子10の他方の電極層10aと導通する。
第1電極部201は、第1板状部分211、第1端子部分221および第1凸状延出部分231を有する。第2電極部202は、第2板状部分212、第2端子部分222および第2凸状延出部分232を有する。また、第1端子部分221は第1かしめ部分251を有し、第2端子部分222は第2かしめ部分252を有する。
説明の便宜上、第1板状部分211および第2板状部分212を区別せずに示すときは、板状部分210と言うことにする。また、第1端子部分221および第2端子部分222を区別せずに示すときは、端子部分220と言うことにする。また、第1凸状延出部分231および第2凸状延出部分232を区別せずに示すときは、凸状延出部分230と言うことにする。また、第1かしめ部分251および第2かしめ部分252を区別せずに示すときは、かしめ部分250と言うことにする。
板状部分210は、第2方向D2に延在する薄板状の部分であり、電極層10aと導通するように接する。板状部分210の第3方向D3の長さは、20mm以上30mm以下程度あるとよい。これにより、十分な発熱出力を得ることができる。端子部分220は、板状部分210における筒体50の一方の開口50a側の端部に設けられる。第1かしめ部分251には第1導通ケーブルC11がかしめによって固定され、第2かしめ部分252には第2導通ケーブルC12がかしめによって固定される。
説明の便宜上、第1導通ケーブルC11および第2導通ケーブルC12を区別せずに示すときは、導通ケーブルC10と言うことにする。導通ケーブルC10は、導線の周囲を絶縁被覆材で覆ったものである。導通ケーブルC10の先端において絶縁被覆材から露出する導線がかしめ部分250でかしめによって接続される。また、絶縁被覆材の先端部分についても、かしめ部分250でかしめによって固定されていることが望ましい。かしめによる接続では、はんだ付け、ろう付け、ねじ止めに比べて容易かつ確実に接続することができる。
凸状延出部分230は、板状部分210とかしめ部分250との間に設けられる。凸状延出部分230は、板状部分210における開口50a側の端部から第2方向D2へ、開口50aに向けて凸型に延出した部分である。凸状延出部分230の先端部分から第2方向D2へ、かしめ部分250が延出している。
電極部20には、例えばステンレスやアルミニウム(Al)が用いられる。板状部分210の厚さは約0.2mm以上0.5mm以下程度である。板状部分210と発熱素子10の電極層10aとは、導電性および熱伝導性に優れた例えばシリコーン系接着剤によって接着される。なお、電極層10aの表面には、発熱素子10の表面の凹凸に対応した微小な凹凸が形成されている。したがって、接着剤の導電性が低くても、電極層10aの微小な凹凸の凸部が接着剤を突き抜けて板状部分210と接し、十分な導通を得ることができる。
絶縁性シート30は、一対の電極部20の周囲を覆う絶縁性のシート材である。すなわち、絶縁性シート30は、複数の発熱素子10を間に挟持した一対の電極部20の周囲を包むように設けられる。絶縁性シート30の材料としては、可撓性、熱伝導性および電気絶縁性を有し、例えば厚さ0.05mm程度のポリイミドフィルムが好ましい。絶縁性シート30によって板状部分210、端子部分220および凸状延出部分230の全体が覆われる。絶縁性シート30の第2方向D2の両端は開口した状態となっている。
筒体50は中空部55を有し、発熱素子10、一対の電極部20および絶縁性シート30で構成された発熱構造体100を中空部55内に収容する。筒体50は、一対の放熱面51と、一対の側面53とによって内部空間が構成され、第2方向D2に延びる筒型となっている。放熱面51は平坦な面である。
筒体50には、一方端側の開口50aと、他方端側の開口50bとが設けられる。発熱構造体100は、筒体50の例えば開口50aから筒内に挿入される。筒体50は、例えばアルミニウム(Al)によって構成され、発熱構造体100を中空部55内に収容した状態で第1方向D1に加圧される。この加圧によって押し潰され、側面53の途中が屈曲する状態となる。側面53には予め第2方向D2に溝53aを設けておいてもよい。これにより、側面53が溝53aの部分で内側に屈曲し、外側へ突出することを回避できる。
加圧によって筒体50が第1方向D1に押し潰されることで、上下の放熱面51の内面によって発熱構造体100を挟み込むことになる。その後、電極部20と発熱素子10との間の接着剤を硬化させる。これにより、一対の電極部20は電極層10aと確実に導通する状態となるとともに、一対の電極部20の間で発熱素子10をしっかりと挟持する状態となる。
ここで、電極部20の板状部分210の幅(第3方向D3の長さ)は、電極層11の幅よりも広く、発熱素子10の幅以下であることが望ましい。板状部分210の幅が電極層11の幅よりも広いことで、電極層11の全体を板状部分210と接触させることができる。一方、板状部分210の幅を発熱素子10の幅以下にすることで、板状部分210の幅方向の縁部分が発熱素子10よりも外側にはみ出ないことになる。
板状部分210の縁部分が発熱素子10よりも外側にはみ出た場合、発熱構造体100を筒体50に挿入して加圧する際に、このはみ出た部分に圧力が加わって湾曲する可能性がある。この湾曲によって発熱素子10の側面部分での電極間距離が狭くなり、耐圧低下を起こす可能性が生じる。
本実施形態のように、板状部分210の幅を発熱素子10の幅以下にすることで、加圧の際の板状部分210の縁部分の変形が抑制され、電極間距離の確保によって耐圧低下を抑制することができる。
封止部60は、筒体50の両端の開口50aおよび50bを封止する部材である。封止部60には、例えばシリコーン系樹脂やエポキシ樹脂などの耐電圧および耐熱型の封止材が用いられる。また、封止部60としては、シリコーン系ゴムなどのゴム材を開口50aに嵌め込み、筒体50の潰しによって密封性を高めた構成であってもよい。これにより、筒体50の開口50aおよび50bを製造容易に封止することができる。すなわち、硬化前の柔らかい状態のシリコーン系樹脂を開口50aおよび50bに充填した後、硬化させることで、筒体50の内部を容易かつ確実に液密状態で封止することができる。
本実施形態では、封止部60によって筒体50の内部への防水構造、および第1端子部分221と第2端子部分222との間における300V以上の耐電圧構造が構成される。また、封止部60としては、耐熱温度150℃以上の材料を用いることが好ましい。
筒体50の両端部には、それぞれキャップ70が取り付けられる。キャップ70は、電気絶縁性および発熱素子10が発する熱に対する耐熱性を有する。キャップ70は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene Terephthalate)からなる。キャップ70は筒体50の端部が嵌め入れられる凹部70aを有する。筒体50の一方側の端部に嵌め込まれるキャップ70の凹部70aの底には、凹部70aの内外を連通させる2つの貫通孔70hが形成されている。
キャップ70は封止材によって固定される。具体的には、キャップ70の凹部70aに、耐熱性および電気絶縁性を有する例えばシリコーン系の封止材を入れたうえで、その凹部70aに筒体50の端部を嵌め入れる。そして、封止材を硬化させることでキャップ70と筒体50とが固定される。なお、封止材は封止部60と同じ材料であってもよい。
2つの貫通孔70hにはそれぞれ導通ケーブルC10が通される。導通ケーブルC10は、貫通孔70hを通してキャップ70の外に引き出され、図示しない外部回路に接続される。
導通ケーブルC10が通された貫通孔70h内にも封止材が注入され、その一部が貫通孔70hからキャップ70の外側にはみ出し、導通ケーブルC10と貫通孔70hとの隙間を覆って硬化する。
筒体50の他方側の端部にも同様なキャップ70が設けられるが、このキャップ70には貫通孔70hは形成されていない。このようにして、筒体50の中空部55は、キャップ70および封止部60によって外部から液密に遮断される。
(電極部および封止部)
図3および図4(a)〜(c)は、本実施形態に係る車載用ヒータの構成を例示する断面図である。図3には、第1方向D1にみた車載用ヒータ1の断面図が示される。なお、図3においては、説明の便宜上、絶縁性シート30、筒体50および封止部60について厚さ方向の中央で切断した断面を示す。図4(a)には、図3のA−A線の断面図が示され、図4(b)には、図3のB−B線の断面図が示され、図4(c)には、図3のC−C線の断面図が示される。
図3に示すように、第1端子部分221および第2端子部分222は筒体50の一方の開口50aの側に位置する。これにより、端子部分220から第1導通ケーブルC11および第2導通ケーブルC12をほぼ真っ直ぐに同じ開口50a側から引き出すことができる。
また、第1方向D1にみた場合、第1端子部分221と第2端子部分222とは互いにずれた位置で配置される。ずれた位置とは、第1端子部分221の幅の中心と、第2端子部分222の幅の中心とが重ならないことを言う。第1方向D1にみた場合、第1端子部分221と第2端子部分222とは、互いに一部で重なっていてもよいが、全く重ならないことが望ましい。これにより、2つの端子部分を重ねて配置する場合に比べて両者の距離を長くとることができ、第1端子部分221と第2端子部分222との間の耐電圧(絶縁耐力)を高めることができる。
図4(a)に示すように、絶縁性シート30は発熱素子10を挟持する一対の電極部20の外側を囲むように覆っている。また、図3に示すように、絶縁性シート30は、第2方向D2において電極部20の全体(板状部分210、凸状延出部分230および端子部分220)を覆っている。なお、絶縁性シート30の第2方向D2の端部30aおよび30bは、筒体50の両端よりも外側には突出していない。
絶縁性シート30を巻き付ける際、巻き付けの両端は発熱素子10の側面部分で互いに重なり合っていることが好ましい。これにより、放熱面51の内面については絶縁性シート30が重ならず、発熱素子10から放熱面51へ効率良く熱を伝えることができる。
また、図4(b)に示すように、かしめ部分250の合口は互いに内側を向くように設けられる。これにより、かしめ部分250は第1方向D1において筒体50の内面側に突出することがなくなる。すなわち、板状部分210から凸状延出部分230およびかしめ部分250にかけて電極部20の放熱面51側はほぼ平坦となり、放熱面51の内面から電極部20に対して均一性高く押圧される。また、車載用ヒータ1の薄型化を図ることができる。
また、封止部60は、筒体50の開口50aおよび50bの内部に埋め込まれている。筒体50の開口50b側においては、開口50bの全体が封止部60によって塞がれる。筒体50の開口50a側においては、開口50aから筒体50の内部の少なくとも端子部分220まで封止部60が埋め込まれている。
図4(c)に示すように、開口50a側においては、第1導通ケーブルC11および第2導通ケーブルC12が封止部60を突き抜け、キャップ70の貫通孔70hを通して外方に延出する。開口50a側において、封止部60は筒体50の内面50cと密着しているとともに、キャップ70および導通ケーブルC10の絶縁被覆材と密着している。
また、図3および図4(b)に示すように、開口50a側において、封止部60は、絶縁性シート30で囲まれる第1端子部分221および第2端子部分222を埋め込むように設けられる。端子部分220が封止部60によって埋め込まれることで、第1端子部分221および第2端子部分222の位置固定が確実となる。
また、第1端子部分221と第2端子部分222との間に封止部60が介在することで、第1端子部分221と第2端子部分222との間が空間となる場合に比べて耐電圧を高めることができる。封止部60としてシリコーン系樹脂を用いることで、空間(空気)に比べて2桁以上高い絶縁耐力が得られる。
さらに、図4(b)に示すように、開口50a側において、封止部60は、絶縁性シート30と筒体50の内面50cとの隙間Gにも介在している。ここで、開口50a側において絶縁性シート30は端子部分220の全体を覆う位置まで延在している。筒体50に収容される端子部分220と、筒体50の内面50cとの導通を避けるためである。
端子部分220に延在する絶縁性シート30と端子部分220との間には距離があり、封止部60を埋め込む前は中空状となっている。したがって、絶縁性シート30の内側に支えがなく、絶縁性シート30と筒体50の内面50cとの間に僅かな隙間Gが生じる。さらに、絶縁性シート30の折り曲げ部分と筒体50の内面50cの隅部との間にも隙間Gが生じる。封止部60はこの隙間Gを埋めるように設けられる。
隙間Gに封止部60が介在することで、開口50a側における絶縁性シート30と筒体50の内面50cとの隙間Gでの防水性が高まる。すなわち、筒体50の外から筒内に向けた防水性は、湿気(水分)の浸入経路上を塞ぐ封止部60の長さが長いほど高くなる。もし、隙間Gに封止部60が介在していないと、筒体50の内面50cに沿った湿気(水分)の浸入経路上での封止部60の長さは、開口50aから絶縁性シート30の端部30aまでとなる(図3の長さL11参照)。
一方、隙間Gに封止部60が介在していると、筒体50の内面50cに沿った湿気(水分)の浸入経路上での封止部60の長さは、長さL11と、絶縁性シート30の端子部分220を囲む部分の長さ(図3の長さL12参照)とを加えたものとなる。絶縁性シート30の端子部分220を囲む部分の長さL12は、開口50aから絶縁性シート30の端部30aまでの長さL11よりも十分に長い。隙間Gは長さL12の部分に生じるため、隙間Gを封止部60で埋めることによって湿気(水分)の浸入経路上を塞ぐ封止部60の長さを長くとることができ、防水性を効果的に高めることができる。
なお、隙間Gにおける長さL2の範囲の一部に封止部60を埋め込むようにしてもよいが、隙間Gを埋め込む封止部60の第2方向D2の長さが長いほど防水性は高くなるため、隙間Gにおける長さL2の範囲の全体に封止部60を埋め込むことが最も好ましい。
上記の例では、開口50a側における封止部60について示したが、開口50b側においても絶縁性シート30と筒体50の内面50cとの隙間に封止部60が介在していることが好ましい。
(凸状延出部分)
図5は、電極部の凸状延出部分について例示する拡大平面図である。
凸状延出部分230は、板状部分210の端部から第2方向D2に凸状に延出した部分である。かしめ部分250は、凸状延出部分230の先端から延出するよう設けられる。すなわち、凸状延出部分230は、板状部分210とかしめ部分250との間に設けられる部分である。
ここで、板金加工によってかしめ部分250を形成すると、かしめ皺255が生じる。かしめ皺255とは、かしめ部分250の形成において、かしめ片250aを折り曲げる際にかしめ片250aの付け根近傍に加わる力によって金属板材が皺状に塑性変形する部分のことを言う。
本実施形態では、かしめ皺255は凸状延出部分230のかしめ部分250側に形成される。かしめ皺255は、かしめ片250aを折り曲げる側、すなわち、かしめの合口側に盛り上がるように形成される。このため、かしめ部分250を設けることでかしめ皺255が形成され、かしめ皺255によって盛り上がる分だけ厚さが増すことになる。
本実施形態では、凸状延出部分230における第2方向D2の長さL2を、かしめ皺255の第2方向D2の長さL1よりも長くしている。これにより、かしめ皺255が形成されていても、かしめ皺255による盛り上がりの影響が板状部分210には及ばないことになる。
したがって、かしめ部分250を形成しても、板状部分210のうねりの影響を抑制することができる。板状部分210のうねりが少ないことで、一対の電極部20によって発熱素子10を挟持する際、板状部分210と電極層10aとを確実に接触させることができる。
もし、凸状延出部分230が設けられていないか、凸状延出部分230の長さL2がかしめ皺255の長さL1よりも短い場合、かしめ皺255による盛り上がりの影響が板状部分210に及ぶことになる。この場合、板状部分210の平坦性が損なわれ、板状部分210と発熱素子10(電極層10a)との均一な接触の妨げとなる。この状態で筒体50を加圧して電極部20と発熱素子10とを密着させようとすると、電極部20と発熱素子10との間に加圧の応力のばらつきが生じる。
電極層10aの表面は発熱素子10の表面の凹凸に基づき凹凸が形成されており、電極層10aと板状部分210との接触は点接触の集まりと考えられる。電極部20と電極層10aとを密着させる際、第1方向D1にみて、単位面積あたりの板状部分210と電極層10aとの接触面積を接触密度とする。
かしめ皺255による盛り上がりの部分に加圧の応力が集中すると、電極部20と電極層10aとの接触領域で接触密度の低下やばらつきが生じる。接触密度の低下は放熱効率の低下に繋がる。また、接触密度のばらつきは、電極部20と発熱素子10との間の電界のばらつきとなる。電極部20に印加される電圧が300V以上の高電圧になると、このような電界のばらつきによる電界集中によって、発熱素子10の耐圧に影響を与えることになる。特に、発熱素子10としてPTC素子を用いた場合には、通電初期に突入電流が発生する。300V以上の高電圧を印加した場合、過大な突入電流が局所的に発生することは極力避けたい。
板状部分210におよぶかしめ皺255による影響を回避しようとした場合、板状部分210において、かしめ皺255の盛り上がりの部分を避けて発熱素子10を配置することが考えられる。しかし、この場合には避ける分だけ板状部分210を長くするか、発熱素子10を短くしなければならない。
本実施形態のように、凸状延出部分230の長さL2を、かしめ皺255の長さL1よりも長くしておくことで、板状部分210にはかしめ皺255の影響が及ばない。したがって、板状部分210の全域について発熱素子10を配置できるとともに、かしめ皺255の盛り上がりの影響を受けずに電界分布のばらつきが抑制され、高電圧が印加された場合でも十分な耐電圧を得ることが可能となる。また、電極部20と電極層10aとの接触密度の増加によって放熱効率の向上を図ることが可能となる。
また、凸状延出部分230の第3方向D3の長さ(幅W2)は、かしめ部分250の第3方向D3の長さ(幅W3)よりも長く設けられる。すなわち、凸状延出部分230は、かしめ部分250よりも幅広に設けられている。これにより、かしめ部分250に応力が加わった場合に凸状延出部分230でその応力を吸収して板状部分210へ伝わることを抑制できる。なお、凸状延出部分230の幅は、一定であってもよいし、かしめ部分250から板状部分210にむけて漸増(連続的または段階的に増加)してもよい。
また、凸状延出部分230における第3方向D3の長さ(幅W2)は、板状部分210における第3方向D3の長さ(幅W1)の1/2(幅1/2W1)よりも短く設けられていてもよい。凸状延出部分230は板状部分210の中央に対して一方側に寄せた位置に設けられる。これにより、第1方向D1にみて、第1凸状延出部分231と第2凸状延出部分232とが互いに重ならないよう配置される。したがって、第1凸状延出部分231と第2凸状延出部分232との間隔が、第1凸状延出部分231と第2凸状延出部分232とが互いに重なる場合に比べて長くなり、耐電圧を向上させることができる。
(端子部分)
図6は、電極部の端子部分について例示する拡大平面図である。
本実施形態では、第1方向D1にみて、第1端子部分221と第2端子部分222とが互いに重ならないように配置される。この際、第1方向D1にみて、第1端子部分221と第2端子部分222との隙間S1は、2.5mm以上であることが好ましい。第1端子部分221と第2端子部分222との間に封止部60が介在し、隙間S1が2.5mm以上あることにより、第1端子部分221と第2端子部分222との間に例えば300V以上の電圧が印加されても十分な絶縁性を確保することができる。
(適用例)
図7は、適用例について説明する斜視図である。
本実施形態に係る車載用ヒータ1は、車載用ヒータユニット1Uに適用することができる。車載用ヒータユニット1Uは、車載用ヒータ1の上下の放熱面51のそれぞれにフィン150が設けられたものである。なお、説明の便宜上、図7では、上側のフィン150を車載用ヒータ1から離間して示している。
車載用ヒータユニット1Uの幅W4は、本実施形態に係る車載用ヒータ1の幅とほぼ等しい。車載用ヒータユニット1Uの幅方向の一方側から他方側に向けて空気が通過する際、車載用ヒータ1で空気が加熱され、温風を出力することができる。
本実施形態に係る車載用ヒータ1を用いることで、車載用ヒータユニット1Uについても高耐電圧、優れた絶縁性および防水性を発揮することができる。
フィン150は、例えばアルミニウム(Al)からなる板材を、山部と谷部とを繰り返すように折り曲げて構成されている。フィン150は、耐熱性および熱伝導性に優れた例えばシリコーン系接着剤により接続されていてもよいが、ろう付け部80を介して放熱面51にろう付け固定されていることが望ましい。フィン150の外側は、アルミニウム(Al)等のカバープレート151によって覆われている。ここで、ろう付けの場合、フィン150の車載用ヒータ1側にカバープレート151を設ける必要はない。ろう付けであれば、フィン150の山部とろう付け部80とを直接強固に接続できるためである。一方、シリコーン系接着剤を用いる場合には、フィン150の車載用ヒータ1側にカバープレート151を設けて接触面を広くしておき、このカバープレート151の面と、放熱面51とがシリコーン系接着剤によって接着される。
フィン150が放熱面51にろう付けされていることで、シリコーン系接着剤などの樹脂で接着されている場合に比べ、放熱面51とフィン150との間の放熱効率が向上する。すなわち、金属の熱伝導率は樹脂の熱伝導率に比べて桁違いに高い。したがって、フィン150が放熱面51にろう付けされていることで、同じ出力のヒータユニットであれば小型化を図ることができ、同じ大きさのヒータユニットであれば高出力化を図ることができる。また、ろう付けであれば、フィン150の車載用ヒータ1側のカバープレート151を設ける必要がないため、フィン構造の簡素化および低コスト化を図ることができる。
ここで、フィン150を放熱面51にろう付けする場合、次のような製造方法となる。
図8は、車載用ヒータユニットの製造方法を例示するフローチャートである。
先ず、筒体50の放熱面51に、フィン150をろう付けによって固定する(ステップS101)。ろう付け部80のろう材としては、例えばアルミニウム(Al)−シリコン(Si)の共晶系合金が用いられる。
次に、発熱素子10を一対の電極部20で挟持する(ステップS102)。発熱素子10と電極部20との間には、導電性および熱伝導性に優れた例えばシリコーン系接着剤が塗布されている。
次に、発熱素子10を挟持した一対の電極部20の周囲を絶縁性シート30で覆う(ステップS103)。絶縁性シート30には、ポリイミドフィルムが用いられる。絶縁性シート30によって電極部20の全体が覆われる。電極部20の周囲に絶縁性シート30を巻き付ける際、巻き付けの両端は発熱素子10の側面部分で互いに重なり合っていることが好ましい。
次に、絶縁性シート30で覆われた発熱構造体100を筒体50の中空部55内に収容する(ステップS104)。この際、筒体50の放熱面51には、既にフィン150がろう付けによって取り付けられている。
次に、発熱構造体100が収容された筒体50を加圧する(ステップS105)。筒体50の加圧は、フィン150を介して行われる。すなわち、フィン150を介して筒体50を上下方向(第1方向D1)に加圧して筒体50を押し潰し、発熱構造体100を中空部55内に固定する。
筒体50が押し潰される際、側面53が溝53aの部分で内側に屈曲する。筒体50が押し潰されることで、電極部20と発熱素子10とが密着して、電極部20の板状部分210と発熱素子10の電極層11とが導通する状態となる。これにより、車載用ヒータユニット1Uが完成する。
上記の製造方法では、筒体50を加圧する前に筒体50にフィン150が取り付けられている。そして、フィン150が取り付けられた筒体50の中空部55内に発熱構造体100を収容し、その後、フィン150を介して筒体50を加圧する。
つまり、フィン150を筒体50に取り付ける際には発熱構造体100が中空部55内に収容されていない状態(空の状態)のため、フィン150の取り付けにおいては、発熱構造体100の絶縁性シート30の耐熱温度を超えたろう付けを採用することが可能となる。
上記の製造方法を実現するためには、フィン150の第1方向D1の耐荷重を、筒体50の第1方向D1の耐荷重よりも大きくしておく。これにより、フィン150を介して筒体50を加圧した際、筒体50が潰れる前にフィン150が潰れてしまうことを回避することができる。
本願発明者は、フィン150のろう付けしようとした場合の課題を解決すべく、創意工夫を重ねてきた。
すなわち、フィン150を筒体50に取り付ける場合、放熱効率の観点からシリコーン系接着剤(樹脂)ではなく、ろう付けによって固定することが望ましい。しかし、絶縁防水型にするため電極部20を包む絶縁性シート30(ポリイミド)が用いられている場合、ろう付けの温度(約600℃)にポリイミドが耐えられない(ポリイミドの耐熱温度は280℃程度)。
一方、予め筒体50にフィン150をろう付けしておくことも考えられるが、この場合、フィン150を介して筒体50を加圧することになり、この加圧力によってフィン150の潰れや変形が生じる可能性がある。このため、筒体50を加圧して潰した後に、フィン150を絶縁性シート30(ポリイミド)の耐熱温度よりも低い温度で接着可能な接着剤で接続せざるを得なかった。
このように、絶縁性シート30による絶縁性の確保と、フィン150のろう付けによる放熱効率の向上との両立は困難であると考えられていた。しかし、本願発明者は、筒体50に先にフィン150をろう付けしておき、その後、筒体50に発熱構造体100を収容してフィン150を変形させずに筒体50を潰す、といった製造方法を見出し、長年の課題を解決するに至った。
具体的には、フィン150の第1方向D1の耐荷重を、筒体50の第1方向D1の耐荷重よりも大きくしている。これにより、フィン150を筒体50に取り付けた後で加圧しても、フィン150の潰れが発生する前に筒体50を潰すことができる。このため、フィン150を予め筒体50にろう付けによって取り付けておき、フィン150を介して加圧して筒体50を潰すことが可能となり、絶縁性シート30(ポリイミド)を用いた絶縁防水型であっても、フィン150がろう付けされた車載用ヒータユニット1Uを構成することが可能となる。
フィン150を筒体50にろう付けで固定できることは、シリコーン系接着剤によって固定する場合に比べて固定にかかる時間を大幅に短縮することができる。また、筒体50の加圧工程を待つことなく、予めフィン150を筒体50にろう付けしておくことができる。したがって、フィン150のろう付け工程と、筒体50の加圧工程とを並列して行うことができ、量産において製造時間の短縮化を図ることができる。
ここで、フィン150の耐荷重を高める構成として、多段式のフィン150を構成することが考えられる。
図9は、多段式のフィンについて例示する斜視図である。
図9に示す車載用ヒータユニット1Uは、車載用ヒータ1の上下面にそれぞれ2段のフィン150が設けられている。車載用ヒータ1と隣接するフィン150はろう付け部80によってろう付けされる。また、2段のフィン150の互いの間もろう付けされていることが放熱効率を向上する上で好ましい。フィン150を2段にすることで、間にカバープレート151が介在し、1段の場合よりも第1方向D1の耐荷重を高めることができる。
なお、フィン150の多段としては2段よりも多い段数であってもよい。また、多段式以外であっても、フィン150の板材の肉厚を厚くしてもよいし、フィン150を低背化してもよい。また、筒体50の側面53の溝53aを調整して側面53を折れ曲がりやすくしてもよい。
このような車載用ヒータユニット1Uでは、絶縁性シート30による絶縁性、封止部60およびキャップ70による優れた防水性および高耐電圧化に加え、フィン150のろう付けによる高効率化(放熱効率の向上)を達成することが可能となる。
図10(a)および(b)は、他の適用例について説明する図である。
図10(a)には車載用ヒータユニット1Uが示され、図10(b)には空調への適用例が示される。
図10(a)に示す車載用ヒータユニット1Uは、複数の車載用ヒータ1およびフィン150が積層された構成を備える。図示する例では、4つの車載用ヒータ1A、1B、1Cおよび1Dのそれぞれに上下のフィン150が取り付けられ、これらが積層されている。積層構造の端部にはキャップ71および72が取り付けられる。すなわち、キャップ71および72は、積層された複数の車載用ヒータ1A、1B、1Cおよび1Dにおける端部をまとめるように取り付けられる。キャップ71の内部にはバスバー(図示せず)が設けられ、各車載用ヒータ1A、1B、1Cおよび1Dに接続された導通ケーブルC10をまとめて接続できるようになっている。キャップ71からは、各導通ケーブルC10をまとめた第1導通ケーブルC11および第2導通ケーブルC12が1本ずつ延出している。
図10(b)に示すように、このような車載用ヒータユニット1Uは、車内に温風などを送り込むための流路Rに配置される。流路Rの前段にはファンFが設けられており、ファンFの回転によって流路Rに空気を送る(矢印A1、A2参照)。流路Rの後段には車載用ヒータユニット1Uが配置されている。ファンFによって送られた空気は車載用ヒータユニット1Uを通過することで加熱され、温風として出力される(矢印A3参照)。
本実施形態では、車載用ヒータユニット1Uによって3キロワット(kW)以上の出力を得ている。しかも、車載用ヒータユニット1Uの高耐電圧、優れた絶縁性および防水性によって、厳しい環境化でも使用することが可能となる。
このように、本実施形態に係る車載用ヒータ1においては、筒体50の開口50aおよび50bを封止部60で封止するといった簡単な封止構造でありながら、300V以上の耐電圧を得ることができるとともに、高い防水性および高い放熱効率を得ることができる。
電気自動車やハイブリッド車などは、300Vから400V程度の電圧を取り扱う。本実施形態に係る車載用ヒータ1は、このような高電圧について降圧することなく電圧を印加して使用することができる。また、車が水没したり、津波や高潮を受けたり、水没しないまでも車載用ヒータ1が水に浸かる可能性もある。本実施形態に係る車載用ヒータ1では高い防水性を備えているため、高電圧環境下でも漏電を防止することができる。さらに、本実施形態に係る車載用ヒータ1は、寒冷地や悪路、粉塵を受けるといった厳しい環境下での使用であっても十分に耐えることが可能である。しかも、高効率化によって、同じ出力であれば小型化を達成でき、同じ大きさであれば高出力化を図ることが可能となる。
(車載用ヒータ装置)
図11は、車載用ヒータ装置に用いられる車載用ヒータユニットを例示する斜視図である。
図12は、車載用ヒータ装置を例示する斜視図である。
図13(a)および(b)は、車載用ヒータ装置を例示する断面図であり、(a)にはフィンの流路に沿った方向にみた断面図が示され、(b)には流路と直交する方向にみた断面図が示される。
車載用ヒータユニット1Uは、複数の車載用ヒータ1と、複数のフィン150とが積層された構造を有する。図示する例では、車載用ヒータ1が3列、2段で配置され、各段の車載用ヒータ1の上下にそれぞれ2段のフィン150が積層されている。なお、車載用ヒータ1の数、フィン150の数、車載用ヒータ1とフィン150との積層数は任意であり、図示した数に限るものではない。車載用ヒータ1は、上記説明した本実施形態に係る構成を備える。
フィン150は、第2方向D2に山部と谷部とを繰り返すように折り曲げられている。これにより、フィン150の山部と谷部との隙間である流路1501の方向は第2方向D2と直交する第3方向に設けられることになる。図11に示す例では、第3方向D3に複数(例えば3つ)の車載用ヒータ1が並置されており、この3つを跨ぐようにフィン150が設けられている。したがって、流路1501の一端1501aから他端1501bにかけて通過する媒体は、複数の車載用ヒータ1から加熱作用を得ることができる。
図12に示す車載用ヒータ装置500は、図11に示す車載用ヒータユニット1Uと、ケース501とを備える。車載用ヒータユニット1Uは、ケース501の中に収容される。ケース501には、加熱対象である媒体(水や空気など)の流入口5011と流出口5012とが設けられる。流入口5011および流出口5012は例えば筒型に設けられており、ケース501の側面501sから突出するように設けられる。媒体は、流入口5011からケース501内に送られ、ケース501内の車載用ヒータユニット1Uで加熱された状態で流出口5012からケース501の外へ出て行く。
本実施形態ではケース501の同じ側面501sに流入口5011と流出口5012とが並んで配置されている。このような車載用ヒータ装置500において、車載用ヒータユニット1Uは、フィン150の流路1501の一端1501aを流入口5011および流出口5012のそれぞれに対向させて、ケース501内に収容されている。
図13に示すように、ケース501の内壁には車載用ヒータ1の取り付け部が設けられる。取り付け部としては、例えば凹部5015である。本実施形態では、車載用ヒータ1の両端に設けられたキャップ70のそれぞれが凹部5015に嵌め込まれる。これにより、車載用ヒータユニット1Uのケース501内での収容位置が決まる。
ケース501には車載用ヒータ1から延出する第1導通ケーブルC11および第2導通ケーブルC12のそれぞれを通すための第1孔h1および第2孔h2が設けられる。ケース501内に収容された車載用ヒータ1の第1導通ケーブルC11は、ケース501の第1孔h1を通してケース501の外へ引き出される。また、第2導通ケーブルC12は、ケース501の第2孔h2を通してケース501の外へ引き出される。
ケース501には、流入口5011および流出口5012以外の孔として第1孔h1および第2孔h2のみが設けられる。ケース501に設ける第1孔h1および第2孔h2は、導通ケーブルC10を通すだけの径でよい。
第1孔h1と第1導通ケーブルC11との隙間、および第2孔h2と第2導通ケーブルC12との隙間のそれぞれには封止剤65が埋め込まれている。この封止剤65によって、ケース501内に流入した媒体が第1孔h1や第2孔h2からケース501の外へ漏れることがなくなる。
本実施形態に係る車載用ヒータ1の防水性は非常に高い。したがって、ケース501内に車載用ヒータ1の全体を収容することができる。例えば、媒体が液体(例えば水)の場合、ケース501内は水で満たされる。本実施形態に係る車載用ヒータ1の防水性は非常に高いため、キャップ70を含めた車載用ヒータ1の全体をケース501内に収容しても車載用ヒータ1の内部へ浸水することはない。
このため、流入口5011および流出口5012以外でケース501に開ける孔は導通ケーブルC10を通す小さな第1孔h1および第2孔h2だけで済む。ケース501に設ける孔が小さいことで、この孔(第1孔h1および第2孔h2)と導通ケーブルC10との僅かな隙間だけを封止剤65で封止すればよく、封止が容易となる。しかも、少ない量の封止剤65であっても確実な封止を行うことができ、簡単でありながら高い封止性を実現することができる。
車載用ヒータ装置500で媒体を加熱するには、流入口5011からケース501内に媒体を送り込む。ケース501内に流入した媒体は、フィン150の流路1501に沿って流れていく。本実施形態では、フィン150の流路1501と流入口5011の延びる方向とがほぼ一致しているため、流入した媒体が効率よくフィン150の流路1501に沿って流れていくことになる。
流路1501に沿って流れる媒体はフィン150との熱交換により加熱されて、流出口5012からケース501の外部に流出する。本実施形態では、フィン150の流路1501と流出口5012の延びる方向とがほぼ一致しているため、流路1501に沿って加熱された媒体は効率よく流出口5012から外部へ流出していく。
図14は、他の車載用ヒータ装置を例示する斜視図である。
図14に示す車載用ヒータ装置500では、流入口5011と流出口5012とがケース501における互いに対向する位置に配置されている。流入口5011の延びる方向と流出口5012の延びる方向とはほぼ一致している。
このような車載用ヒータ装置500において、車載用ヒータユニット1Uは、フィン150の流路1501の一端1501a(図11参照)を流入口5011と対向させ、流路1501の他端1501b(図11参照)を流出口5012と対向させて、ケース501内に収容されている。
ケース501における流入口5011および流出口5012のそれぞれが取り付けられる部分にはテーパ部5013が設けられる。流入口5011側のテーパ部5013は、流入口5011からケース501の内部に向けて徐々に断面積が拡がるように形成されている。ケース501の内部には多段のフィン150が構成された車載用ヒータユニット1Uが収容されている。テーパ部5013が設けられていることで、流入口5011から流入した媒体をケース501の内部に均一に拡散させて導くことができ、多段のフィン150の流路1501の全体に媒体を偏りなく流すことができる。これにより、高い熱交換効率を実現できる。
また、流出口5012側のテーパ部5013は、ケース501の内部から流出口5012に向けて徐々に断面積が狭くなるように形成されている。これにより、ケース501内に収容された車載用ヒータユニット1Uの多段のフィン150の流路1501を通過した媒体は、テーパ部5013によって効率よく流出口5012に集められ、流出口5012からケース501の外部へ流出することになる。
この車載用ヒータ装置500においても、ケース501には流入口5011および流出口5012以外の孔として第1孔h1および第2孔h2のみが設けられる。ケース501に設ける孔が小さいことで、少ない量の封止剤65であっても確実な封止性を得ることができる。
図12および図14に示すような本実施形態に係る車載用ヒータ装置500では、高耐電圧、優れた絶縁性および防水性を備えた車載用ヒータ1を用いているため、300V以上の耐電圧を得ることができるとともに、高い防水性および高い放熱効率を得ることができる。また、フィン150をろう付けすることで、高効率化(放熱効率の向上)を達成することが可能となる。したがって、同じ出力であれば車載用ヒータ装置500の小型化を達成することができ、同じ大きさであれば車載用ヒータ装置500の高出力化を図ることが可能となる。
図15は、車載用ヒータ装置の適用例を示す模式図である。
図15では、先に説明した車載用ヒータ装置500を自動車等のエンジン5を備えた車両に取り付けた具体例が示される。
車載用ヒータユニット1Uを収容したケース501は、循環路6に接続される。循環路6は管路6a〜6dを有する。管路6aは、ケース501とヒータコア2Hとを接続する。管路6bは、ヒータコア2Hと液圧ポンプ3とを接続する。管路6cは、液圧ポンプ3と三方弁4とを接続する。管路6dは、三方弁4とケース501とを接続する。管路6dは、ケース501の流入口5011と接続され、管路6aはケースの流出口5012と接続される。
また、循環路6およびケース501は、管路7a、7bを介してエンジン5とも接続されている。三方弁4が管路6cと管路7aとの間を遮断し、管路6cと管路6dとの間を連通させた状態のとき、液圧ポンプ3が駆動されると、ケース501内および循環路6を、図15に示す矢印A11で示す方向に液体が循環する。
このとき、車両に搭載されたバッテリーから、ケース501内の車載用ヒータユニット1Uに電力を供給することで車載用ヒータユニット1Uが発熱し、ケース501内の液体が過熱される。この過熱により生成された温水は流出口5012および管路6aを通ってヒータコア2Hに供給される。
ヒータコア2Hに供給された温水はヒータコア2Hに具備された管を流れる。ヒータコア2Hには送風装置8から気体(空気)が送風される。ヒータコア2Hの管を流れる温水の熱は、ヒータコア2Hに具備されたフィンなどの熱伝達面を介して、送風装置8から送風された気体に伝達される。これにより、車内に温風が送風される。このモードは、例えばエンジン5の始動時など、エンジン5の排熱を利用できない場合に選択される。
エンジン5が始動後、三方弁4を切り替えて、管路6cと管路7aとを連通させ、管路6cと管路6dとを遮断すれば、液体はエンジン5に供給されエンジン5の冷却水として機能する。このときの液体の流れを図15の矢印A12に示す。エンジン5を通過しエンジン5との熱交換により温められた温水は管路7b、6d、流入口5011、ケース501内、流出口5012および管路6aを介してヒータコア2Hに供給される。したがって、このモードの場合には、車載用ヒータユニット1Uを通電(発熱)させなくてもヒータコア2Hに温水を供給でき、送風装置8を駆動させることで、車内に温風を送ることができる。
本実施形態に係る車載用ヒータ装置500は、エンジン5の排熱によって加熱された冷却水を利用した既存の車載温水生成システムにそのまま組み込んで使用することができる。
図16は、車載用ヒータ装置の他の適用例を示す模式図である。
図16では、先に説明した車載用ヒータ装置500を、電気自動車等のエンジン5を備えていない車両に取り付けた具体例が示される。
電気自動車等のエンジン5を備えていない車両では、エンジン5の代わりに駆動源としてモータMが用いられる。この場合、車載用ヒータユニット1Uを収容したケース501は、循環路6に接続される。循環路6には、図15に示すような三方弁4や管路7a、7bは接続されていない。
モータMの排熱を利用しないため、先に説明したエンジン5の始動時などのエンジン5の排熱を利用できない場合に選択されるモードと同様な動作で車内に温風が送られる。すなわち、液圧ポンプ3が駆動されると、ケース501内および循環路6を、図16に示す矢印A13で示す方向に液体が循環する。
このとき、車両に搭載されたバッテリーから、ケース501内の車載用ヒータユニット1Uに電力を供給することで車載用ヒータユニット1Uが発熱し、ケース501内の液体が過熱される。この過熱により生成された温水は流出口5012および管路6aを通ってヒータコア2Hに供給される。そして、ヒータコア2Hの管を流れる温水の熱が送風装置8から送風された気体に伝達され、車内に温風が送風される。
本実施形態に係る車載用ヒータ装置500は、エンジン5を利用しない電気自動車等の車両の温風生成システムに組み込んで使用することができる。
(ヒートポンプシステム)
図17は、ヒートポンプシステムの模式図である。このヒートポンプシステムは、2つの熱交換器101、105と、膨張弁103と、圧縮機107と、前述した実施形態の車載用ヒータ装置500とを含む。
このシステム内を冷媒(ノンフロンガスなどの媒体)が循環する。冷媒は、圧縮機107で圧縮されて、高温高圧ガスの状態で配管108を通じて熱交換器101に送られる。そして、熱交換器101における、加熱対象の流体(空気や液体)との熱交換により、上記冷媒は凝縮され、高温高圧の液体の状態で、配管102を通じて膨張弁103に送られる。
膨張弁で膨張された冷媒は、低温低圧の液体の状態で、配管104を通じて熱交換器105に送られる。熱交換器105における大気などとの熱交換により、上記冷媒は蒸発され、低温低圧ガスの状態で、配管106を通じて圧縮機107に送られ、以上説明したサイクルが繰り返される。
本実施形態に係る車載用ヒータ装置500は、熱交換器105と圧縮機107との間の配管106に接続され、熱交換器105から圧縮機107に送られる低圧ガスを加熱する。すなわち、車載用ヒータ装置500は、熱交換器105と圧縮機107との間の経路における冷媒加熱を補助する。
車載用ヒータ装置500内においては、前述した流路1501内を低圧ガスが流れ、そのガスは発熱素子10によって加熱される。すなわち、車載用ヒータ装置500は、液体に限らず、気体の加熱にも有効である。
また、車載用ヒータ装置500は、図18に示すように、圧縮機107と熱交換器101との間の配管108に接続して、その配管108を流れる液体を加熱してもよい。また、図示しないが、車載用ヒータ装置500は、配管102に接続してもよい。また、ヒートポンプシステムにおいて、2つ以上の車載用ヒータ装置500を適宜の配管に接続してもよい。車載用ヒータ装置500は、ヒートポンプシステムにおけるいずれの配管102、106および108に接続されていてもよいが、低圧の配管106に接続されていることが好ましい。
図19は、ヒートポンプシステムに適用される車載用ヒータ装置の構成例を示す一部分解斜視図である。
図19では、ケース501の一方側のテーパ部5013を外した状態が示される。
図19に示す車載用ヒータ装置500において、フィン150の流路1501の方向が流入口5011と流出口5012とを結ぶ方向に延びるよう設けられている。すなわち、この車載用ヒータ装置500では、ケース501内に収容される車載用ヒータユニット1Uの長さ方向が、フィン150の流路1501の方向と一致している。これにより、流入口5011からケース501内に流入した冷媒等の媒体は、自然にフィン150の流路1501に流れていき、流路1501から出た媒体は、自然に流出口5012から流出していくことになる。
この車載用ヒータユニット1Uにおいては、筒体50の側面53に突出部530が設けられている。突出部530は、幅方向においてフィン150よりも外側に突出している。図19に示す例では、筒体50の左右の側面53のそれぞれに突出部530が設けられる。
ケース501の対向する内壁のそれぞれには一対の凸部5021が設けられており、車載用ヒータユニット1Uをケース501内に収容する際、この一対の凸部5021の間に筒体50の突出部530が挿入される。これにより、ケース501内に車載用ヒータユニット1Uを収容する際、突出部530が支えとなるため、フィン150に力をかけることなく、ケース501内の所定位置に車載用ヒータユニット1Uを位置決めすることができる。
この突出部530の厚さ方向の長さ(高さ)は、筒体50の厚さ方向の長さよりも長い。突出部530の高さは、フィン150の高さと等しいか、僅かに大きくなっていることが好ましい。これにより、突出部530によってフィン150の側面がカバーされることになる。フィン150の側面が突出部530によってカバーされていると、ケース501の外側の温度の影響がケース501内のフィン150に伝わることを抑制することができる。例えば、寒冷地や温暖地のように、気温の影響が大きい環境で使用する場合、突出部530によってフィン150の側面がカバーされていることで、外気温の影響がフィン150に伝わりにくくなり、車載用ヒータユニット1Uによる加熱性能を発揮しやすくなる。
なお、突出部530は、筒体50の側面53と一体に設けられていてもよいし、筒体50とは別体に設けられ、側面53に取り付けられていてもよい。また、突出部530が設けられた車載用ヒータユニット1Uは、図19に示す例のほか、図12および図14に示す車載用ヒータ装置500にも適用可能である。
以上説明したように、実施形態によれば、複雑な構成を採用することなく、厳しい環境下であっても対応可能な車載用ヒータ1を提供することが可能となる。
(絶縁防水型ヒータ)
図20(a)および(b)は、本実施形態に係る絶縁防水型ヒータを例示する図である。図20(a)には絶縁防水型ヒータ2の斜視図が示され、図20(b)には(a)のD−D線の拡大断面図が示される。
図21は、発熱部材を例示する分解斜視図である。
本実施形態に係る絶縁防水型ヒータ2は、筒型であって防水性および電気的絶縁性を備えた温度調整装置である。絶縁防水型ヒータ2は、発熱素子10、一対の電極部20、筒体50、絶縁性粉末40、封止体90および一対の導通ケーブルC10を備える。
発熱素子10の表裏には電極層10aが設けられる。発熱素子10には、例えばPTC素子が用いられる。一対の電極部20の間には発熱素子10が挟持される。これにより、発熱素子10の表裏の電極層10aのそれぞれと一対の電極部20のそれぞれとが導通する状態になる。
この発熱素子10および一対の電極部20により発熱部材200が構成される。図21に示すように、発熱部材200は上記説明した発熱構造体100(図2参照)と同様な構成であることが好ましい。ただし、発熱部材200は、絶縁性シート30が設けられていない点で発熱構造体100と相違する。
筒体50は発熱部材200を内部に収容する。筒体50は、例えば円筒型に設けられる。筒体50は円筒型以外でもよいが、円筒型であれば製造が容易であり、低コスト化しやすい。
筒体50には、例えばステンレスが用いられる。ステンレスは耐水性、耐薬品性が高いため、絶縁防水型ヒータ2を水や液体に浸漬して使用する場合に高い耐久性を得ることができる。
筒体50の外表面は放熱面51となる。筒体50が円筒型であれば、放熱面51が円周面となって周囲に対して均一に熱を伝えることができる。放熱面51は平坦でもよいし、凹凸や溝(螺旋溝など)が設けられていてもよい。放熱面51にはフィンが設けられていてもよい。凹凸、溝およびフィンが設けられることで、放熱面51が平坦な場合に比べて放熱効率を高めることができる。
筒体50の内部には、絶縁性粉末40が充填される。絶縁性粉末40は、筒体50と、筒体50の内部に収容される発熱部材200とを電気的に絶縁する役目を果たす。すなわち、筒体50の内表面と発熱部材200との隙間に絶縁性粉末40が埋め込まれる。これにより、筒体50と発熱部材300とが直接接触することを防止している。なお、絶縁性粉末40が充填される前、筒体50は中空部55を有する。絶縁性粉末40によって中空部55の全てが埋め込まれてもよいし、絶縁性粉末40の充填後、中空部55の一部が残っていてもよい。
絶縁性粉末40としては、例えば酸化マグネシウム(MgO)が用いられる。筒体50の内部に絶縁性粉末40が充填されることで、発熱部材200は筒体50の内表面と接触しないように内部の中央付近に位置決めされる。発熱部材200は板状型であり、円筒型の中空部55に発熱部材200を収容する際、発熱部材200と筒体50の内表面との隙間に絶縁性粉末40が充填される。これにより、発熱部材200の筒体50の内部での位置が固定される。したがって、絶縁性粉末40は、電気的な絶縁性とともに発熱部材200を筒体50の内部で位置決めする役目も果たす。
筒体50の開口端には封止体90が設けられる。例えば、筒体50として両端が開口している場合には両端の開口端に封止体90が設けられ、一端が開口し、他端が閉じている場合には一端の開口端に封止体90が設けられる。封止体90は、キャップでもよいし、埋め込み材であってもよい。
キャップの場合には、封止体90として金属(例えば、ステンレス)や樹脂が用いられる。キャップによる封止体90は筒体50の開口端に嵌め込まれ、溶接や接着などによって封止固定される。また、埋め込み材の場合には、封止体90としてシリコーン樹脂などが用いられる。埋め込み材による封止体90は筒体50の開口端から筒内に埋め込まれ、筒内を封止する。
一対の導通ケーブルC10は、一対の電極部20とそれぞれ導通し、封止体90を貫通して筒体50の外部へ引き出される。導通ケーブルC10の先端において絶縁被覆材から露出する導線がかしめ部分250でかしめによって接続されることが好ましい。
(絶縁防水型ヒータの適用例)
図22は、絶縁防水型ヒータの適用例を示す斜視図である。
本実施形態に係る絶縁防水型ヒータ2の外装形状は筒体50の形状(例えば、円筒型)になっている。したがって、例えば容器Vに筒体50を差し込むようにして、容器V内の対象物を加熱(温度調整)することができる。例えば、液体LQを容器Vに送り込み、容器V内で液体LQを加熱して送り出すシステムの場合、容器Vの略中央部に絶縁防水型ヒータ2の筒体50を差し込むようにする。
容器V内の液体LQの温度が所定の閾値より低くなった場合、導通ケーブルC10から発熱部材200に電圧を印加する。これにより、発熱素子10が発熱して筒体50の放熱面51を介して容器V内の液体LQが加熱される。発熱素子10がPTC素子の場合、正温度特性を有している。これにより、一定の温度になると抵抗値の増加によって電流が抑制される。したがって、液体LQを加熱する際に一定の温度以上にならないように制御することができる。特に、液体LQが薬品であって必要以上の温度上昇を抑制したい場合や温度による変質を防止したい場合、本実施形態に係る絶縁防水型ヒータ2を用いることで、簡単な構成で的確な温度制御を実現することが可能となる。
なお、上記に本実施形態およびその適用例(変形例、具体例)を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、導通ケーブルC10を接続する端子としてかしめ部分250の例を示したが、平板状に延出する端子部分であってもよい。この場合、導通ケーブルC10を、はんだ付け、ろう付け、ねじ止めで接続してもよいし、コネクタで接続してもよい。また、発熱素子10としてPTC素子を用いる例を示したが、PTC素子以外の素子(例えば、アルミナや窒化珪素などのセラミックス)を用いてもよい。また、加熱対象の媒体は水、空気、ガスのほか、油やゲル状物などの他の物体(これらの少なくともいずれかの混合物を含む。)であってもよい。また、絶縁性シート30の材料としては、ポリイミドフィルムのほか、アルミナ板、絶縁セラミックス板、その他の絶縁性の材料であってもよい。また、前述の各実施形態またはその適用例(変形例、具体例)に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
本発明は、自動車(電気自動車、ハイブリッド車など)のほか、電車その他の移動体、産業用装置の加熱用など、300V以上の高電圧で駆動する加熱装置として好適に利用可能である。
1,1A,1B,1C,1D…車載用ヒータ
2…絶縁防水型ヒータ
1U…車載用ヒータユニット
10…発熱素子
10a…電極層
20…電極部
30…絶縁性シート
30a,30b…端部
40…絶縁性粉末
50…筒体
50a,50b…開口
50c…内面
51…放熱面
53…側面
53a…溝
55…中空部
60…封止部
70,71,72…キャップ
70a…凹部
70h…貫通孔
80…ろう付け部
90…封止体
100…発熱構造体
101、105…熱交換器
102,104、106、108…配管
103…膨張弁
107…圧縮機
150…フィン
151…カバープレート
200…発熱部材
201…第1電極部
202…第2電極部
210…板状部分
211…第1板状部分
212…第2板状部分
220…端子部分
221…第1端子部分
222…第2端子部分
230…凸状延出部分
231…第1凸状延出部分
232…第2凸状延出部分
250…かしめ部分
250a…かしめ片
251…第1かしめ部分
252…第2かしめ部分
255…かしめ皺
500…車載用ヒータ装置
1501…流路
1501a…一端
1501b…他端
5011…流入口
5012…流出口
A1,A2,A3,A11,A12,A13…矢印
C10…導通ケーブル
C11…第1導通ケーブル
C12…第2導通ケーブル
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
F…ファン
G…隙間
h1…第1孔
h2…第2孔
LQ…液体
R…流路
V…容器

Claims (14)

  1. 表裏に電極層が設けられた発熱素子と、
    前記発熱素子を間に挟持し、前記表裏の電極層のそれぞれと導通する一対の電極部と、
    前記一対の電極部の周囲を覆う絶縁性シートと、
    中空部および放熱面を有し、前記発熱素子、前記一対の電極部および前記絶縁性シートで構成された発熱構造体を前記中空部内に収容する筒体と、
    前記筒体の両端の開口を封止する封止部と、
    凹部を有し、前記凹部に前記筒体の両端部がそれぞれ嵌め入れられて前記中空部を閉塞する一対のキャップと、
    を備えた高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータであって、
    前記一対の電極部のうちの一方である第1電極部は、
    前記電極層と導通するように接する第1板状部分と、
    前記第1板状部分における前記筒体の一方の開口側の端部に設けられた第1端子部分と、を有し、
    前記一対の電極部のうちの他方である第2電極部は、
    前記電極層と導通するように接する第2板状部分と、
    前記第2板状部分における前記筒体の一方の開口側の端部に設けられた第2端子部分と、を有し、
    前記一対の電極部の間で前記発熱素子を挟持する方向を第1方向、前記第1方向と直交し、前記筒体の延在する方向を第2方向、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向を第3方向とした場合、
    前記第1方向にみて、前記第1端子部分と前記第2端子部分とは互いにずれた位置で配置され、
    前記筒体の前記一方の開口を封止する前記封止部は、前記絶縁性シートで囲まれる前記第1端子部分および前記第2端子部分を埋め込むよう設けられるとともに、前記絶縁性シートと前記筒体の内面との隙間に介在するよう設けられ、
    前記一対の電極部は、前記キャップおよび前記封止部によって密閉された前記筒体の前記中空部内に収容され、前記筒体の外に露出していない、高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  2. 前記封止部によって、前記筒体の内部への防水構造、および前記第1端子部分と前記第2端子部分との間における300ボルト以上の耐電圧構造が構成された、請求項1記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  3. 前記封止部は、耐熱温度150℃以上の材料によって構成された、請求項1または2に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  4. 前記第1端子部分は第1かしめ部分を有し、
    前記第2端子部分は第2かしめ部分を有し、
    前記第1電極部は、前記第1板状部分と前記第1かしめ部分との間に設けられた第1凸状延出部分を有し、
    前記第2電極部は、前記第2板状部分と前記第2かしめ部分との間に設けられた第2凸状延出部分を有し、
    前記第1凸状延出部分における前記第2方向の長さは、前記第1かしめ部分における前記第1凸状延出部分側のかしめ皺の前記第2方向の長さよりも長く、
    前記第2凸状延出部分における前記第2方向の長さは、前記第2かしめ部分における前記第2凸状延出部分側のかしめ皺の前記第2方向の長さよりも長い、請求項1から3のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  5. 前記第1凸状延出部分における前記第3方向の長さは、前記第1かしめ部分における前記第3方向の長さよりも長く、
    前記第2凸状延出部分における前記第3方向の長さは、前記第2かしめ部分における前記第3方向の長さよりも長い、請求項4記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  6. 前記第1凸状延出部分における前記第3方向の長さは、前記第1板状部分における前記第3方向の長さの1/2よりも短く、
    前記第2凸状延出部分における前記第3方向の長さは、前記第2板状部分における前記第3方向の長さの1/2よりも短く、
    前記第1方向にみて、前記第1凸状延出部分と前記第2凸状延出部分とは互いに重ならないように配置された、請求項4または5に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  7. 前記発熱素子の厚さは3ミリメートル以上である、請求項1から6のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  8. 前記第1方向にみて、前記第1端子部分と前記第2端子部分との隙間は2.5ミリメートル以上である、請求項1から7のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  9. 前記第1板状部分の前記第3方向の長さ、および前記第2板状部分の前記第3方向の長さは、前記電極層の前記第3方向の長さよりも長く、前記発熱素子の前記第3方向の長さ以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  10. 前記第1板状部分の前記第3方向の長さ、および前記第2板状部分の前記第3方向の長さは、20ミリメートル以上30ミリメートル以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  11. 前記絶縁性シートにおける巻き付けの両端は、前記発熱素子の側面部分で互いに重なり合っている、請求項1から10のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  12. 前記発熱素子は、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子である、請求項1から11のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  13. 前記封止部はシリコーン系樹脂である、請求項1から12のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータ。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の高耐電圧絶縁防水型車載用ヒータと、
    前記筒体の前記放熱面にろう付け部を介して取り付けられたフィンと、
    を備えた車載用ヒータユニット。
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