JP6625840B2 - 健康管理支援装置、健康管理支援システム及び健康管理支援方法 - Google Patents

健康管理支援装置、健康管理支援システム及び健康管理支援方法 Download PDF

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Description

この発明は、人や動物等の検査対象の健康状態を検査した検査値並びに該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値の変化を予測する健康管理支援装置、健康管理支援システム及び健康管理支援方法に関する。
従来、受診者等は、医療機関等において健康状態のチェックを受け、その健康状態に異常があるか否かを把握している。具体的には、かかる健康状態のチェックでは、受診者等に係る各種の検査値が該受診者等に対して通知され、受診者等は、この検査値を参考にしつつ、自身の生活習慣を改善し、病気の予防や健康維持に努めている。
かかる検査値としては、血糖値、血圧、ヘモグロビンA1c値、血清尿酸値、血清LDLコレステロール値、血清HDLコレステロール値、血清中性脂肪値などが該当する。これらの検査値は、受診者等の年齢や体重などの身体的な要因値と関連している。このため、この検査値を改善するためには、受診者等が運動を通じて体重を落とすなどして、上記の要因値を制御することが有効となる。
ところが、受診者等は、医療機関等から検査値を通知されたとしても、この要因値に影響をもたらす要因値との関係を一見して把握することができないため、この要因値を変えようとする意欲を高めることが難しい。このため、この検査値に関連する関連情報を提供する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、個人特定データと、検査値に対応する健康関連指標データと、運動情報データとに基づいて医療スタッフ等が入力したアドバイスデータを利用者用端末に通知する健康管理支援システムが開示されている。
また、特許文献2には、要因値を検査値の一次式として相関解析を行い、要因値と検査値との関係を示すことで要因値の制御に目標を与える健康指標推定方法が開示されている。
特開2008−225585号公報 特開2008−165555号公報
しかしながら、上記特許文献1のものは、医療スタッフ等が受診者等の検査値を見ながら手作業でアドバイスデータを入力する必要があるため、医療スタッフ等に係る人的労力が過大になるという問題がある。
また、上記特許文献2のものは、検査値Tと要因値Xの関係が下記に示すような一次の線形関係にあると仮定しているため、要因値の変化が同一であれば、検査値の変化も同一となる。例えば、現在の体重に関係なく、体重が1kg増えた場合の検査値の変化は全ての受診者等について同一となる。その結果、各受診者等に応じた適正な情報を提供できない可能性がある。
T=β+β+β+・・・+ε
これらのことから、受診者等が医療機関等において健康状態のチェックを受ける場合に、各受診者等に応じた適正な情報をいかにして迅速かつ効率的に提供するかが重要な課題となっている。かかる課題は、人が健康状態のチェックを受ける場合だけではなく、動物等が健康状態のチェックを受ける場合にも同様に生ずる課題である。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、人や動物等の検査対象が医療機関等において健康状態のチェックを受ける場合に、各検査対象に応じた適正な情報を迅速かつ効率的に提供する健康管理支援装置、健康管理支援システム及び健康管理支援方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、検査対象及び/又は非検査対象の健康状態をあらかじめ検査した同一種別の複数の検査値と、各検査値にそれぞれ影響を及ぼす複数の身体的な要因値とに基づいて、前記検査値の変化の割合と前記要因値の変化の割合との関連を示す関連情報を算定する関連情報算定部と、前記関連情報算定部により算定された前記関連情報を記憶する記憶部と、前記検査対象の健康状態を検査した検査値及び該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値と、前記記憶部に記憶された前記関連情報とに基づいて、前記検査対象の検査値又は要因値に係る予測値を算定する予測値算定部と、前記予測値算定部により算定された前記予測値を報知する報知部とを備え、前記関連情報算定部は、前記検査値の対数を目的変数とし、前記要因値の対数を説明変数とした線形回帰分析により前記説明変数の係数を前記関連情報として算定することを特徴とする。
また、本発明は、検査対象及び/又は非検査対象の健康状態をあらかじめ検査した同一種別の複数の検査値と、各検査値にそれぞれ影響を及ぼす複数の身体的な要因値とに基づいて、前記検査値の変化の割合と前記要因値の変化の割合との関連を示す関連情報を算定する関連情報算定部と、前記関連情報算定部により算定された前記関連情報を記憶する記憶部と、前記検査対象の健康状態を検査した検査値及び該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値と、前記記憶部に記憶された前記関連情報とに基づいて、前記検査対象の検査値又は要因値に係る予測値を算定する予測値算定部と、前記予測値算定部により算定された前記予測値を報知する報知部とを備え、前記関連情報算定部は、同一人物の検査値の対数の差分を目的変数とし、前記同一人物の要因値の対数の差分を説明変数とした回帰分析により前記説明変数の係数を前記関連情報として算定することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記関連情報算定部は、前記目的変数を前記説明変数の一次式として線形回帰分析を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記非検査対象の検査値と要因値とを前記係数の算定に使用するか否か及び/又は前記係数の算定に使用する変数が異なる複数の処理パターンからいずれかを選択する処理パターン選択部をさらに備え、前記関連情報算定部は、前記処理パターン選択部により選択された処理パターンに従って前記係数を算定することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記処理パターン選択部は、前記検査対象の検査値及び要因値が所定数以上存在する場合に、前記検査対象の検査値及び要因値を選択的に用いる処理パターンを選択することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記処理パターン選択部は、前記検査対象の検査値及び要因値が前記所定数に満たない場合に、前記非検査対象の検査値及び要因値を使用する処理パターンを選択することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、二次元コードを復号する二次元コード復号部と、前記二次元コード復号部による復号結果から前記検査対象の検査値を取得する検査値取得部とをさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明は、検査対象及び/又は非検査対象の健康状態をあらかじめ検査した同一種別の複数の検査値と、各検査値にそれぞれ影響を及ぼす複数の身体的な要因値とに基づいて、前記検査値の変化の割合と前記要因値の変化の割合との関連を示す関連情報を算定する関連情報算定部と、前記関連情報算定部により算定された前記関連情報を記憶する記憶部と、前記検査対象の健康状態を検査した検査値及び該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値と、前記記憶部に記憶された前記関連情報とに基づいて、前記検査対象の検査値又は要因値に係る予測値を算定する予測値算定部と、前記予測値算定部により算
定された前記予測値を報知する報知部とを備え、前記関連情報算定部は、前記検査値の対数を目的変数とし、前記要因値の対数を説明変数とした線形回帰分析により前記説明変数の係数を前記関連情報として算定することを特徴とする。
また、本発明は、検査対象及び/又は非検査対象の健康状態をあらかじめ検査した同一種別の複数の検査値と、各検査値にそれぞれ影響を及ぼす複数の身体的な要因値とに基づいて、前記検査値の変化の割合と前記要因値の変化の割合との関連を示す関連情報を算定する関連情報算定ステップと、前記検査対象の健康状態を検査した検査値及び該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値と、前記関連情報算定ステップにより算定された前記関連情報とに基づいて、前記検査対象の検査値又は要因値に係る予測値を算定する予測値算定ステップと、前記予測値算定ステップにより算定された前記予測値を報知する報知ステップとを含み、前記関連情報算定ステップは、前記検査値の対数を目的変数とし、前記要因値の対数を説明変数とした線形回帰分析により前記説明変数の係数を前記関連情報として算定することを特徴とする。
本発明によれば、検査対象に応じた適正な情報を迅速かつ効率的に提供することができる。
図1は、実施例に係る健康管理支援方法の説明図である。 図2は、検査値の取得についての説明図である。 図3は、健康管理支援装置の内部構成を示すブロック図である。 図4は、処理パターンを説明する説明図である。 図5は、処理パターンの選択について説明するフローチャートである。 図6は、予測部の処理について説明するフローチャートである。 図7は、健康管理支援装置による予測の具体例についての説明図である。(その1) 図8は、健康管理支援装置による予測の具体例についての説明図である。(その2) 図9は、健康管理支援装置による予測の具体例についての説明図である。(その3) 図10は、健康管理支援プログラムの実施例である。 図11は、健康管理支援システムの実施例である。 図12は、利用者による検査値の取得についての説明図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る健康管理支援装置、健康管理支援システム及び健康管理支援方法の好適な実施例を詳細に説明する。
図1は、本実施例に係る健康管理支援方法の説明図である。本実施例に係る健康管理支援方法では、検査値Tと要因値Xとを対応付けた検査要因データP(T,X)を蓄積し、複数の検査要因データP(T,X)から変化モデルを生成している。
検査値Tは、血糖値、血圧、ヘモグロビンA1c値、血清尿酸値、血清LDLコレステロール値、血清HDLコレステロール値、血清中性脂肪値などである。要因値は、体重、年齢、身長、BMI、体脂肪率、アルコール摂取量などである。
そして、変化モデルの生成では、検査値を要因値の一次式とするのではなく、検査値の変化の割合を要因値の変化の割合の一次式とする。すなわち、要因値が1つであれば、
Figure 0006625840
となる。この式(1)を解くと、次の式(2)となる。
Figure 0006625840
そして、式(2)の両辺の対数をとれば、次の式(3)となる。
Figure 0006625840
ただし、β=logCで、Cは定数である。このβを用いると、式(2)は、次の式(4)となる。
Figure 0006625840
本実施例に係る健康管理支援方法では、式(3)を用い、検査値の対数(logT)を目的変数とし、要因値の対数(logX)を説明変数とした回帰分析により、係数β及びβを推定することで、変化モデルを生成する。この係数β及びβが、検査値の変化の割合と要因値の変化の割合との関連を示す関連情報である。
このようにして生成した変化モデルを用いることで、要因値からの検査値の予測と検査値からの要因値の予測を行うことができる。例えば、要因値Xが体重である場合、利用者が体重変化ΔXを入力すれば、式(4)より
Figure 0006625840
となり、検査値の変化量が算出される。すなわち、利用者は、どれだけ体重を減らせば、どれだけ検査値を改善できるかを知ることができる。この式(5)では、利用者の現在の要因値Xも使用されるので、利用者の現在の要因値Xに合せて個別化された精度のよい予測結果が得られることになる。
このように、本実施例に係る健康管理支援では、検査値の変化の割合と要因値の変化の割合との関係を示す変化モデルを生成し、生成した変化モデルを用いて検査値からの要因値の予測や要因値からの検査値の予測を行う。このため、検査値と要因値との関係を正確にモデル化し、検査対象となる人物に個別化した精度のよい予測を行うことができる。これにより、検査対象に応じた適正な情報を迅速かつ効率的に提供することが可能となる。
次に、検査値の取得について説明する。図2は、検査値の取得についての説明図である。医療機関等に設置された医療機関等コンピュータ10は、健康状態のチェックなどで実施した各種検査の結果を検査結果データとして格納している。この検査結果データには、検査値が含まれる。また、身長や体重などの要因値が含まれることもある。医療機関等コンピュータ10は、検査結果データを二次元コードに符号化する機能を有する。
医師などの医療機関等職員は、医療機関等端末11を操作することで医療機関等コンピュータ10に検査結果データや検査結果の二次元コードを出力させ(1)、医療機関等端末11のディスプレイに表示させることができる。また、医療機関等職員は、検査結果データや検査結果の二次元コードをプリンタ12により印刷し(3)、受診者等に手渡す(4)。
受診者等は、健康管理支援装置20のカメラにより二次元コードを撮像し、二次元コードから検査値や要因値を読み取る(5)。なお、図2では、印刷された二次元コードを撮像する場合を示したが、医療機関等端末11のディスプレイに表示された二次元コードを撮像して検査値や要因値を読み取ることもできる。
健康管理支援装置20は、専用の装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末などであってもよい。また、印刷された二次元コードを持ち帰り、自宅などでコンピュータに読み取らせてもよい。
このように、二次元コードに符号化された検査結果データから検査値や要因値を読み取ることで、検査値などを正確かつ簡易に取得することが可能である。また、受診者等が健康管理支援装置20のカメラにより二次元コードを撮像するので、検査値などを意図的に取得したことが明確である。さらに、医療機関等コンピュータ10と通信する必要がないため、医療機関等コンピュータ10のセキュリティを低下させることがない。
次に、健康管理支援装置20の内部構成について説明する。図3は、健康管理支援装置20の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、健康管理支援装置20は、カメラ21、入力部22、表示部23、記憶部24及び制御部25を有する。
カメラ21は、既に説明したように、二次元コードの撮像に用いられる撮像デバイスである。入力部22は、利用者による入力操作に用いられるキーやタッチパネルなどの入力インタフェースである。表示部23は、液晶パネルなどの出力インタフェースである。入力部22と表示部23は、タッチパネルディスプレイとして一体化したものであってもよい。この他、音声出力インタフェースや通信インタフェースを有していてもよい。
記憶部24は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、複数の検査要因データP(T,X)と係数推定値とを記憶する。ここで、検査要因データP(T,X)には、本人データと他人データとがある。
本人データは、二次元コードなどから取得された検査値と、利用者の要因値とを対応付けて生成した検査要因データである。本人データは、二次元コードなどから検査値が取得される度に生成され、蓄積される。他人データは、利用者以外の人物から得られた要因検査データである。他人データは、予め記憶部24に記憶しておくことが好適である。また、図示しない通信インタフェースなどを介して他人データの追加や更新を行うことができるようにしてもよい。
なお、健康管理支援装置20を複数の利用者が使用する場合には、利用者毎に本人データを区別して管理する。複数の利用者のうち、予測の対象となる対象人物以外の利用者の本人データは、係数の推定に際して他人データとして利用することが可能である。
係数推定値は、本人データや他人データを用いて推定した係数の値であり、係数の推定が行われた後に記憶部24に格納される。なお、係数の推定から予測までを一連の処理として行う場合には、必ずしも係数推定値を記憶部24に記憶する必要は無い。この場合には、係数推定値は、メインメモリなどに保持されるので、該メインメモリなどが係数推定値の記憶部として機能することになる。
制御部25は、健康管理支援装置20の全体制御を行う制御部であり、二次元コード読取部25a、本人データ蓄積部25b、変化モデル生成部25c、処理パターン選択部25d及び予測部25eを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、二次元コード読取部25a、本人データ蓄積部25b、変化モデル生成部25c、処理パターン選択部25d及び予測部25eにそれぞれ対応するプロセスを実行させることが好適である。
二次元コード読取部25aは、カメラ21により撮像された画像から二次元コードを検出し、検出した二次元コードを復号する処理部である。二次元コードの復号により、検査値や要因値が得られた場合には、二次元コード読取部25aは、検査値や要因値を本人データ蓄積部25bに出力する。
本人データ蓄積部25bは、二次元コード読取部25aにより出力された検査値に利用者の要因値を対応付けて本人データを生成し、記憶部24の本人データに追加する処理部である。
利用者の要因値は、二次元コードからの読取の他、利用者が入力部22により入力することもできる。成人の身長のように変化がないと推定できる要因値については、入力された要因値を記憶し、再利用可能とすることが望ましい。また、体重計などの計測機器から通信又は二次元コードにより取得してもよい。さらに、利用者の生年月日を登録しておき、検査値の取得日時と生年月日から年齢を算出するなどのように、内部で要因値を特定する演算を行ってもよい。
変化モデル生成部25cは、検査要因データを用いて回帰分析を行い、係数を推定することで変化モデルを生成する処理部である。変化モデルの生成にあたっては、使用する検査要因データや変数の設定が異なる複数の処理パターンが考えられる。
処理パターン選択部25dは、複数の処理パターンから適切な処理パターンを選択する処理部である。変化モデル生成部25cは、処理パターン選択部25dにより選択された処理パターンに従って係数を推定し、変化モデルを生成することになる。なお、推定した係数は記憶部24に格納するか、もしくはメインメモリなどに保持させる。
予測部25eは、変化モデル生成部25cにより生成された変化モデルを用い、要因値からの検査値の予測や検査値からの要因値の予測を行う処理部である。このとき、対象人物は特定され、かつ予測の基礎となる検査値又は要因値が指定されている。予測の基礎となる検査値や要因値は、例えば利用者が入力部22により入力することで指定する。
次に、変化モデル生成部25c、処理パターン選択部25d及び予測部25eの処理について、詳細に説明する。まず、要因値が1つであれば、既に説明したように、
Figure 0006625840
となるので、要因値が複数の場合には、次の式(6)のようにモデル化される。
Figure 0006625840
式(6)において、Sは個人の違いによる影響を示し、εは期待値0の誤差項である。
式(6)では、Sは他の要因と独立にTに影響する。ただし、人によりXのTへの影響が異なる可能性もある。その場合には、個人によりβが異なることになり、Tへの影響についてS,Xの間に干渉が存在することになる。
人物の複数の検査要因データを取り扱う場合には、S=sとこの項は固定されるが、複数の人物の検査要因データを取り扱う場合にはSが変数となる。S,Xの間に干渉が存在するならば、係数は個人により異なる可能性があるので、係数の推定を行うには、個人の複数の検査要因データ、すなわち複数の本人データを用いることが望ましい。しかし、本人データを十分に取得することは困難な場合も多い。本人データの数が不十分である場合には、S,Xの間の干渉を無視し、複数の他人データを用いて係数を推定する。
変化モデル生成部25cは、式(6)における検査値の対数(logT)を目的変数とし、要因値の対数(logX)を説明変数とした線形重回帰分析により、係数β,i=0,1,・・・を推定する。
複数の本人データを用いる場合には、Sは固定値sとなり切片はβ+sとなる。多数の他人データを用いる場合には、Sは誤差項に組み込まれるが、βの調整により、誤差項の期待値は0となるようにする。
次に、同一人物の時点1と時点2の検査値などの差は、式(6)より
Figure 0006625840
となる。(1)は時点1におけるデータであり、(2)は時点2におけるデータである。Sの項は、同一人物なので、同じ値となり、消去される。
式(7)で、複数の本人データを取り扱うこともできるが、1人あたり2時点のデータを持つ他人データを取り扱うこともできる。1人あたり2時点のデータを持つ他人データを取り扱う場合には、Sが消去されているため、1人あたり1時点の他人データを用いるよりも良好な結果が期待できるケースもある。ただし、1人あたり2時点のデータが存在しても、そのデータに十分な差がなければ、有用性は限定的である。
式(7)を用いて係数を推定する場合には、検査値の対数の差分(logT(2)−logT(1))を目的変数とし、要因値の対数(logX (2)−logX (1))を説明変数とした線形重回帰分析により、係数β,i=1,・・・を推定する。
ここで、予測部25eによる予測の目的について説明する。既に説明したように、予測部25eは、要因値からの検査値の予測と、検査値からの要因値の予測とを行う。
要因値からの検査値の予測は、1時点又は複数時点の本人データ、若しくは1時点又は複数時点の他人データを用い、対象となる人物の未来の1時点又は複数時点の検査値を予測する目的で使用することができる。すなわち、対象となる人物の検査値が将来どのように変化していくかを予測するのである。これは、式(6)のXからTを予測する処理である。
検査値からの要因値の予測は、1時点又は複数時点の本人データ、若しくは1時点又は複数時点の他人データを用い、対象となる人物が未来の1時点又は複数時点において、特定の検査値を目標値とするために、体重などの要因値をどれだけ変化させる必要があるかを予測する目的で使用することができる。これは、式(6)のTからXを予測する処理である。
これらの予測を行うためには、まず、βなどの係数の推定を行い、推定した係数を用いてTやXを算定するのであるが、このとき、係数の推定に用いる元データの種別、係数の推定における変数の設定、そして予測の基礎データにより、異なる複数の処理パターンがある。
図4は、処理パターンを説明する説明図である。まず、βなどの係数の推定に際し、元データの種別が本人データのみであるか、他人データを含めるかで処理パターンを分ける。元データの種別が本人データのみの処理パターンA1〜A4を用いる場合には、複数の本人データが必要である。他人データを含めて係数の推定を行う処理パターンA5〜A8では、本人データは1つ(予測の基礎データとしての最低数)でもよい。
次に、変数の設定については、各データを個別に用いるか、データの差分を用いるかにより、処理パターンを分ける。各データを個別に用いる処理パターンA1,A2,A5,A6では、式(6)を用い、検査値の対数(logT)を目的変数とし、要因値の対数(logX)を説明変数とする。データの差分を用いる処理パターンA3,A4,A7,A8では、式(7)を用い、検査値の対数の差分(logT(2)−logT(1))を目的変数とし、要因値の対数(logX (2)−logX (1))を説明変数とする。
なお、差分は同一人物の隣接するデータから算定する。例えば、同一人物についてn時点分の検査要因データが存在する場合、これらの検査要因データからはn−1の差分が得られる。
次に、係数の推定を行った後、例えば未来の時点の検査値又は要因値の目標値を予測するのであるが、この予測の基礎となるデータを単一の本人データとするか、複数の本人データとするかで処理パターンを分ける。予測の基礎を単一の本人データとするのが処理パターンA2,A4,A6,A8であり、予測の基礎を複数の本人データとするのが処理パターンA1,A3,A5,A7である。
このように、処理パターンはA1〜A8の8つに分けられるが、その全てが妥当な処理とは言えない。まず、予測の基礎データについて、係数の推定後に予測の基礎となるデータは、一般に1時点の本人データであり、特に直近の本人データが用いられる。しかし、多数の本人データが存在するならば、それらを用いて係数を推定するとともに、直近の1時点のデータではなく複数の本人データを基礎として予測が可能である。この場合には、式(6)の切片βの推定が必要であり、式(7)のように差分を変数とするのは適当ではない。また、多数の他人データを係数推定の元データとし、予測の基礎データを複数の本人データとするのも適当ではない。従って、処理パターンA3,A5,A7は使用するには不適である。
次に、変数の設定については、各データを個別に変数として用いても、データの差分を変数として用いても、予測の基礎データが単一であるか複数であるかに関わらず適切に処理が可能である。
以上より、処理パターンA1,A2,A4,A6,A8は適切な処理が可能である。しかし、当然ながら、これらの処理パターンが使用可能となるのは必要なデータが得られる(例えば記憶部24に記憶されている)場合である。処理パターンA1,A2,A4を用いるには、複数の本人データが得られる必要がある。また、処理パターンA6を用いるには、複数の他人データが得られる必要がある。そして、処理パターンA8を用いるには、同一人物の差分を複数得ることができる必要がある。なお、同一人物の差分を複数用いる場合には、例えば異なる人物についてそれぞれ2以上の検査要因データがあればよい。
次に、処理パターンの選択について説明する。図5は、処理パターンの選択について説明するフローチャートである。まず、処理パターン選択部25dは、記憶部24に記憶された本人データの数がn以上であるか否かを判定する(ステップS101)。ここで、nは3≦n≦10であることが好適であり、例えばn=4とすればよい。
本人データの数がn以上であるならば(ステップS101;Yes)、処理パターン選択部25dは、係数推定の元データとして本人データを使用することを決定する(ステップS108)。
ステップS108により係数推定の元データとして本人データを使用することを決定した後、処理パターン選択部25dは、本人データの数がm以上であるか否かを判定する(ステップS109)。ここで、mはn+1≦m≦n+5であることが好適であり、例えばm=n+1とすればよい。
本人データの数がm以上であるならば(ステップS109;Yes)、処理パターン選択部25dは、係数推定に本人データの差分を用いることを決定する(ステップS110)。この結果、処理パターンはA4となり、変化モデル生成部25cは、処理パターンA4に従って係数推定処理を行って(ステップS111)、処理を終了する。なお、本人データ数がmであれば、隣接する本人データから得られる差分の数はm−1であり、m−1個のデータが係数推定処理に用いられることになる。
本人データの数がm以上であるならば(ステップS109;No)、処理パターン選択部25dは、係数推定に本人データを個別に用いることを決定する(ステップS112)。この結果、処理パターンはA1又はA2となり、変化モデル生成部25cは、処理パターンA1又はA2に従って係数の推定を行って(ステップS113)、処理を終了する。なお、例えば本人データ数がnであれば、このn個の本人データが係数推定処理に用いられることになる。
本人データの数がn未満であるならば(ステップS101;No)、処理パターン選択部25dは、係数推定の元データとして他人データを使用することを決定する(ステップS102)。
ステップS102により係数推定の元データとして他人データを使用することを決定した後、処理パターン選択部25dは、同一人物の差分を複数算出することができるか否かを判定する(ステップS103)。
同一人物の差分を複数算出することができるならば(ステップS103;Yes)、処理パターン選択部25dは、係数推定に他人データの差分を用いることを決定する(ステップS104)。この結果、処理パターンはA8となり、変化モデル生成部25cは、処理パターンA8に従って係数推定処理を行って(ステップS105)、処理を終了する。
同一人物の差分を複数算出することができなければ(ステップS103;No)、処理パターン選択部25dは、係数推定に他人データを個別に用いることを決定する(ステップS106)。この結果、処理パターンはA6となり、変化モデル生成部25cは、処理パターンA6に従って係数の推定を行って(ステップS107)、処理を終了する。
なお、図5に示したように処理パターンを選択して係数推定を行った後に、推定された係数が妥当でないと判定された場合や、使用したデータに不備があると判定された場合等には、使用する処理パターンを変更して再度係数の推定を行えばよい。
図5に示したように処理パターンを選択して係数推定を行った後、予測部25eは選択された処理パターンに従って基礎データを決定し、予測処理を行う。図6は、予測部25eの処理について説明するフローチャートである。
予測部25eは、処理パターン選択部25dにより選択された処理パターンがA1であるか否かを判定する(ステップS201)。処理パターンA1は、図5に示したステップS113により処理パターンA1又はA2が選択され、かつ、直近の本人データが何らかの理由で不適当な場合に選択される。例えば、直近の本人データが治療中に取得され、治療時に用いた薬剤の影響を受けている場合、何らかの疾患に罹患して、あるいは疾患が改善して、または疾患の状態が変化して、その影響を受けている場合には、直近のデータは不適当である。
選択された処理パターンがA1であるならば(ステップS201;Yes)、予測部25eは、複数の本人データを基礎として予測処理を行い(ステップS203)、処理を終了する。一方、選択された処理パターンがA1でなければ(ステップS201;No)、すなわち、選択された処理パターンA2,A4,A6,A8のいずれかであれば、予測部25eは、単一の本人データを基礎として予測処理を行い(ステップS202)、処理を終了する。
なお、ステップS202及びステップS203の予測処理では、予測部25eは、要因値からの検査値の予測、又は検査値からの要因値の予測を行う。要因値からの検査値の予測を行う場合には、予測部25eは要因値の指定を受け付け、受け付けた要因値に対応する検査値の予測値を算定して出力する。検査値からの要因値の予測を行う場合には、予測部25eは検査値の指定を受け付け、受け付けた検査値に対応する要因値の予測値を算定して出力する。
以上のように、本人データが充分に存在する、例えばn個以上存在する場合には、健康管理支援装置20は、処理パターンA1又はA2を使用する。すなわち、健康管理支援装置20は、本人データのみを利用し、式(6)における検査値の対数(logT)を目的変数とし、要因値の対数(logX)を説明変数とした線形回帰により係数βを推定する。このとき、式(6)のSは定数として切片に組み入れる。
また、本人データがさらに充分に存在する、例えばm個以上存在する場合には、健康管理支援装置20は、処理パターンA4を使用する。すなわち、健康管理支援装置20は、本人データのみを利用し、式(7)における検査値の対数の差分(logT(2)−logT(1))を目的変数とし、要因値の対数(logX (2)−logX (1))を説明変数とした線形回帰により係数βを推定する。
そして、本人データが充分に存在しない、例えばn個に満たない場合には、健康管理支援装置20は、他人データを利用して係数βを推定する。ここで、複数の他人から、少なくともそれぞれ1時点以上の検査要因データが得られるならば、健康管理支援装置20は、処理パターンA6を使用する。すなわち、式(6)における検査値の対数(logT)を目的変数とし、要因値の対数(logX)を説明変数とした線形回帰により係数βを推定する。このとき、式(6)のSはεに含め観察できない変数として取り扱う。
ただし、複数の他人から、少なくともそれぞれの個人で2時点以上の検査要因データが得られるならば、健康管理支援装置20は、処理パターンA8を使用する。すなわち、健康管理支援装置20は、式(7)における検査値の対数の差分(logT(2)−logT(1))を目的変数とし、要因値の対数(logX (2)−logX (1))を説明変数とした線形回帰により係数βを推定する。
次に、処理パターンA2,A4,A6,A8における検査値の予測について説明する。まず、式(6)においてi=1であり要因値が1つしかない場合について説明する。この場合に、係数βが推定され、過去のある時点(例えば直近)の要因値X(例えばBMI)がx(1)でT(例えばLDLコレステロール値)がt(1)であるとして、未来のXがx(2)の時のTの値t(2)を知りたいとすると、次の式(8)となる。
Figure 0006625840
この式(8)から、次の式(9)に示すようにt(2)を算定することができる。
Figure 0006625840
このt(2)が、Xがx(2)となったときの検査値の予測値である。
次に、式(6)において要因値が2つである場合について説明する。例えば、BMIと年齢を要因値とするような場合である。BMIは、体重と置き換えてもよい。要因値のうち、年齢は対象者が自分で制御することが不可能であるが、体重やBMIは制御できる。
式(6)の係数β,βが推定されており、過去のある時点(例えば直近)の要因値(例えばBMIと年齢)X(i=1,2)がx (1)(i=1,2)で検査値T(例えばHbAlc)がt(1)であるとして、未来のXがx (2)の時のTの値t(2)を知りたいとすると、次の式(10)となる。
Figure 0006625840
この式(10)から、次の式(11)に示すようにt(2)を算定することができる。
Figure 0006625840
このt(2)が、X=x (2),X=x (2)となったときの検査値の予測値である。
なお、要因値が3つ以上存在する場合にも、同様に検査値の予測値を求めることができる。例えば、BMIと年齢以外にも要因が存在する場合には、X,XにX(i=3,4,・・・)などを加える。
次に、処理パターンA2,A4,A6,A8における要因値の予測について説明する。まず、式(6)においてi=1であり要因値が1つしかない場合について説明する。この場合に、係数βが推定され、過去の1時点(例えば直近)の要因値X(例えばBMI)がx(1)でTがt(1)であるとして、未来に検査値を目標値であるt(2)にするためのx(2)は、式(8)より
Figure 0006625840
として表される。これが、検査値をt(2)にするための要因値(例えばBMIや体重)の予測値である。従って、検査値をt(2)にするために必要な要因値の変化量はx(2)−x(1)となる。x(2)−x(1)<0であれば、要因値(例えばBMIや体重)を減らす必要があることになる。
次に、式(6)において要因値が2つ(例えばBMIと年齢)である場合について説明する。式(6)の係数β,βが推定されており、過去の1時点(例えば直近)の要因値X(i=1,2)がx (1)(i=1,2)で検査値Tがt(1)であるとして、未来にXがx (2)の時のTをt(2)にするためのx (2)は、次の式(13)により求められる。
Figure 0006625840
これが、x (2)となる未来の時点で、検査値をt(2)にするための要因値(例えばBMIや体重)の予測値である。従って、検査値をt(2)にするために必要な要因値の変化量はx (2)−x (1)となる。x (2)−x (1)<0であれば、要因値(例えばBMIや体重)を減らす必要があることになる。
要因値が3つ以上存在する場合にも、同様に要因値の予測値を求めることができる。例えば、BMIと年齢以外にも要因が存在する場合には、X,XにX(i=3,4,・・・)などを加える。
次に、処理パターンA1における予測について説明する。個人データが複数ある場合、式(6)に基づいて線形回帰により係数βを推定することができる。このとき、同一人物のデータであるためSは定数として切片βに含まれる。処理パターンA1以外では、切片βを予測に用いないが、処理パターンA1では切片βを用いて予測を行う。
既に説明したように、本人データのみを係数推定に用いるのは処理パターンA1,A2,A4である。このうち、処理パターンA2,A4では、単一の本人データを基礎とし、切片βは用いず、β(i=1,2,・・・)の傾きを用いて予測を行う。多くの場合は、直近の本人データを基礎として用いる。ところが、直近の本人データが何らかの理由で不適当である場合には予測の信頼性が低下する。かかる場合には処理パターンA1の方が優れている。
処理パターンA1では、係数の推定値を用い、X=xである時のTの値tを次の式(14)により予測する。
Figure 0006625840
そして、X(i=2,・・・)であるときに、検査値をtとするためのxは、次の式(15)により求める。
Figure 0006625840
このように、処理パターンA1では、要因値を予測する場合にも、検査値を予測する場合にも、切片βを用いることになる。
次に、健康管理支援装置20による予測の具体例について説明する。図7は、健康管理支援装置20による予測の具体例についての説明図である。図7(a)は、多数の日本人男性の検査要因データを用い、LDLコレステロールについて式(6)により推定した係数である。なお、式(6)の要因値をXとXの2つとし、XとしてBMIを用い、Xとして年齢を用いた。また、TはLDLコレステロール値である。
その結果、図7(a)に示すように、BMIの係数(β)は「0.602」、年齢の係数(β)は「0.125」となった。これらの係数を用いた予測の結果が図7(b)である。
予測の対象人物は、45歳の日本人男性B氏であり、身長は172.3cm、体重は83.2kgである。そして、LDLコレステロール値は143mg/dLであった。身長と体重から、BMIは、83.2/(172.3/100)=28.0である。
B氏の年齢が45歳と46歳の場合について、体重60kgから体重90kgまでの5kgごとにLDLコレステロール値を予測すると、式(11)より、図7(b)に示した各予測値が得られる。
例えば、45歳で90kgまで体重が増えると、LDLコレステロール値は149.9mg/dLとなり、65kgまで体重を減らせばLDLコレステロール値は123.3mg/dLとなることが予測されている。
また、46歳で90kgまで体重が増えると、LDLコレステロール値は150.3mg/dLとなり、65kgまで体重を減らせばLDLコレステロール値は123.6mg/dLとなることが予測されている。
さらに、B氏の年齢を45歳〜60歳、体重を60kg〜90kgとした場合のLDLコレステロール値を式(11)により算定し、グラフに描画すると図8のグラフが得られる。
このように、体重変化によるLDLコレステロール値の変化を数値やグラフにして報知することにより、対象人物(B氏)は、体重の制御への意欲を高めることができる。
次に、目標となる要因値の予測について説明する。現在45歳のB氏が46歳の時点でLDLコレステロール値を基準値上限である140mg/dLにしたいと考えた場合には、式(13)から、目標となるBMIは27.1となる。BMIを27.1とするには、
27.1×(172.3/100)=80.3
より、80.3kgが体重の目標値となる。45歳のうちにLDLコレステロール値の基準値上限(140mg/dL)を目標とするならば、体重の目標値は80.0kgである。
このように、目標のLDLコレステロール値に対応する体重の値を算出して報知することにより、体重の制御に対して明確な目標を与えることができる。
次に、健康管理支援装置20による予測の他の具体例について説明する。まず、要因値をBMIのみとし、LDLコレステロール値を検査値として、複数の女性の検査要因データから要因値の係数を推定すると、その値は0.26となった。また、要因値をBMIのみとし、HDLコレステロール値を検査値として、複数の男性の検査要因データから要因値の係数を推定すると、その値は−0.70となった。
対象人物C氏は女性であり、直近のLDLコレステロール値は125mg/dL、直近の体重は65.3kg、身長は160.1cmである。対象人物D氏は男性であり、直近のHDLコレステロール値は36mg/dL、直近の体重は74.3kg、身長は176.2cmである。
C氏のLDLコレステロール値とD氏のHDLコレステロール値について、式(9)を用いて予測を行った結果が図9(a)である。この結果では、例えば、C氏の体重が70kgまで増えると、LDLコレステロール値は127.3mg/dLとなり、55kgまで体重を減らせばLDLコレステロール値は119.5mg/dLとなることが予測されている。また、D氏の体重が90kgまで体重が増えると、HDLコレステロール値は34.4mg/dLとなり、70kgまで体重を減らせばHDLコレステロール値は41.0mg/dLとなることが予測されている。
C氏がLDLコレステロール値の目標値を120mg/dLに定め、D氏がHDLコレステロール値の目標値を40mg/dLに定めると、式(12)から目標体重が得られる。その結果が図9(b)である。この結果では、C氏の目標体重が55.8kgであり、D氏の目標体重が72.5kgであることが示されている。
これまでの説明では、健康管理支援装置20を例示して説明を行ったが、本発明は健康管理支援プログラムや健康管理支援システムとして実施することも可能である。
図10は、健康管理支援プログラムの実施例である。図10に示したコンピュータ30は、CPU31、メモリ32、HDD(Hard Disk Drive)33、インタフェースボード34を有する。
HDD33は、磁気ディスクに健康管理支援プログラム、本人データ及び他人データを保持する。コンピュータ30が健康管理支援プログラムをメモリ32に展開して実行すると、二次元コード読取プロセス32a、本人データ蓄積プロセス32b、変化モデル生成部プロセス32c、処理パターン選択プロセス32d及び予測プロセス32eが実行されることとなる。二次元コード読取プロセス32a、本人データ蓄積プロセス32b、変化モデル生成部プロセス32c、処理パターン選択プロセス32d及び予測プロセス32eは、図3に示した二次元コード読取部25a、本人データ蓄積部25b、変化モデル生成部25c、処理パターン選択部25d及び予測部25eにそれぞれ対応する処理を行なう。
このように、コンピュータ30は、健康管理支援プログラムを読み出して実行することで、健康管理支援装置として動作することができる。なお、各プロセスが使用するデータはインタフェースボード34を介して外部から取得することができ、また、各プロセスが出力するデータはインタフェースボード34を介して外部に出力することができる。インタフェースボード34には、ディスプレイ、キーボード、カメラなどの各種インタフェースデバイスが接続される。なお、図10ではHDDにプログラムを格納する場合を例に説明したが、CD(Compact Disc)など任意の記録媒体をプログラムの格納先として用いることができる。
図11は、健康管理支援システムの実施例である。図11では、複数の個人端末120、複数の医療機器130及びデータベース150がサーバ140に接続されている。医療機器130は、例えば医療機関等に設置され、検査要因データをサーバ140に送信する。データベース150は、検査要因データに個人を識別する個人IDを付して蓄積している。
個人端末120は、予測の対象である個人が利用する端末装置であり、二次元コード読取部121a、通信部121b及び予測部121cを有する。個人端末120は、専用の装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、コンピュータなどであってもよい。
二次元コード読取部121aは、図3に示した二次元コード読取部25aと同様に機能する。通信部121bは、二次元コード読取部121aにより出力された検査値に個人端末120の利用者の要因値及び識別情報を対応付けてサーバ140に送信する。また、通信部121bは、サーバ140から係数推定値を受信する。予測部121cは、通信部121bが受信した係数推定値を用いて、図3に示した予測部25eと同様に予測を行うことになる。
サーバ140は、データ蓄積部141a、変化モデル生成部141b及び処理パターン選択部141cを有する。データ蓄積部141aは、医療機器130から受信した検査要因データに個人IDを付してデータベース150に登録する。また、データ蓄積部141aは、個人端末120から受信した検査値に要因値を対応づけて検査要因データを生成し、識別情報に基づいて個人IDを付与してデータベース150に登録する。
変化モデル生成部141bは、データベース150に蓄積された検査要因データを用い、図3に示した変化モデル生成部25cと同様に変化モデルを生成する。また、処理パターン選択部141cは、図3に示した処理パターン選択部25dと同様に処理パターンを選択する。
このように、システム上で各機能が分散された場合であっても、図3に示した健康管理支援装置20と同様の動作が実現可能である。
また、他の変形例として、利用者が自身で検査値を取得してもよい。図12は、利用者による検査値の取得についての説明図である。利用者は、検査機110を用いて検査値の測定を行う(1)。これは、利用者の血液からの測定であってもよいし、血圧計などによる測定であってもよい。
検査機110は、測定した検査値を二次元コードに符号化してディスプレイに表示する。利用者は、個人端末120のカメラによりディスプレイ上の二次元コードを撮像し、二次元コードから検査値を読み取る(2a)。
または、検査機110が検査値の二次元コードをプリンタ112に送信し(2b)、プリンタが二次元コードを印刷する(3b)こととしてもよい。この場合には、利用者は、個人端末120のカメラにより印刷された二次元コードを撮像し、二次元コードから検査値を読み取る(4b)ことになる。
上述してきたように、本実施例に係る健康管理支援装置、健康管理支援システム及び健康管理支援方法は、検査値と検査値に影響を及ぼす要因値とを対応付けた検査要因データに基づいて、検査値の変化の割合と要因値の変化の割合との関連を示す変化モデルを生成し、生成した変化モデルと対象となる人物の検査要因データとを用いて検査値や要因値の変化を予測する。このため、検査値と要因値との関係を正確にモデル化し、検査対象となる人物に個別化した精度のよい予測を行うことができる。これにより、検査対象に応じた適正な情報を迅速かつ効率的に提供することが可能である。
なお、本実施例は発明を限定するものではなく、適宜変形して実施することができる。例えば、検査値から要因値の予測を行う場合には、検査値を説明関数とし、要因値を目的関数として回帰分析を行ってもよい。
また、検査要因データの数が多い場合には、その全てを使うのではなく、検査要因データの一部を抽出して使用してもよい。具体的には、検査対象となる人物と類似の属性を有する人物の検査要因データを抽出することが有効である。例えば、性別や職業を属性として用いて抽出してもよい。さらに、予測の際に指定する検査値や要因値が、変化モデルの生成に用いる検査要因データの平均値近傍となるように検査要因データを抽出してもよい。線形回帰により生成した変化モデルを用いて予測値を算定する場合には、平均値近傍で精度が高くなるためである。
また、予測値を報知する場合には、その精度を示す情報を併せて報知することも有効である。
さらに、本実施例では、人を検査対象とする場合を例に説明を行ったが、ペットや家畜などの動物を検査対象とする場合にも適用可能である。
また、本実施例では、二次元コードから検査値を取得する場合を例に説明を行ったが、検査値の取得は二次元コードからに限定されるものではなく、通信により検査値を取得する、操作者からの検査値の入力を受け付けるなど、任意の方法で取得した検査値を用いて本発明を利用可能である。
以上のように、本発明に係る健康管理支援装置、健康管理支援システム及び健康管理支援方法は、検査対象に応じた適正な情報を迅速かつ効率的に提供することに適している。
10 医療機関等コンピュータ
11 医療機関等端末
12、112 プリンタ
20 健康管理支援装置
21 カメラ
22 入力部
23 表示部
24 記憶部
25 制御部
25a、121a 二次元コード読取部
25b 本人データ蓄積部
25c、141b 変化モデル生成部
25d、141c 処理パターン選択部
25e、121c 予測部
30 コンピュータ
31 CPU
32 メモリ
32a 二次元コード読取プロセス
32b 本人データ蓄積プロセス
32c 変化モデル生成部プロセス
32d 処理パターン選択プロセス
32e 予測プロセス
33 HDD
34 インタフェースボード
110 検査機
120 個人端末
121b 通信部
130 医療機器
140 サーバ
141a データ蓄積部
150 データベース

Claims (9)

  1. 検査対象及び/又は非検査対象の健康状態をあらかじめ検査した同一種別の複数の検査値と、各検査値にそれぞれ影響を及ぼす複数の身体的な要因値とに基づいて、前記検査値の変化の割合と前記要因値の変化の割合との関連を示す関連情報を算定する関連情報算定部と、
    前記関連情報算定部により算定された前記関連情報を記憶する記憶部と、
    前記検査対象の健康状態を検査した検査値及び該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値と、前記記憶部に記憶された前記関連情報とに基づいて、前記検査対象の検査値又は要因値に係る予測値を算定する予測値算定部と、
    前記予測値算定部により算定された前記予測値を報知する報知部と
    を備え
    前記関連情報算定部は、前記検査値の対数を目的変数とし、前記要因値の対数を説明変数とした線形回帰分析により前記説明変数の係数を前記関連情報として算定することを特徴とする健康管理支援装置。
  2. 検査対象及び/又は非検査対象の健康状態をあらかじめ検査した同一種別の複数の検査値と、各検査値にそれぞれ影響を及ぼす複数の身体的な要因値とに基づいて、前記検査値の変化の割合と前記要因値の変化の割合との関連を示す関連情報を算定する関連情報算定部と、
    前記関連情報算定部により算定された前記関連情報を記憶する記憶部と、
    前記検査対象の健康状態を検査した検査値及び該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値と、前記記憶部に記憶された前記関連情報とに基づいて、前記検査対象の検査値又は要因値に係る予測値を算定する予測値算定部と、
    前記予測値算定部により算定された前記予測値を報知する報知部と
    を備え、
    前記関連情報算定部は、同一人物の検査値の対数の差分を目的変数とし、前記同一人物の要因値の対数の差分を説明変数とした線形回帰分析により前記説明変数の係数を前記関連情報として算定することを特徴とする健康管理支援装置。
  3. 前記関連情報算定部は、前記目的変数を前記説明変数の一次式として線形回帰分析を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の健康管理支援装置。
  4. 前記非検査対象の検査値と要因値とを前記係数の算定に使用するか否か及び/又は前記係数の算定に使用する変数が異なる複数の処理パターンからいずれかを選択する処理パターン選択部をさらに備え、
    前記関連情報算定部は、前記処理パターン選択部により選択された処理パターンに従って前記係数を算定することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の健康管理支援装置。
  5. 前記処理パターン選択部は、前記検査対象の検査値及び要因値が所定数以上存在する場合に、前記検査対象の検査値及び要因値を選択的に用いる処理パターンを選択することを特徴とする請求項に記載の健康管理支援装置。
  6. 前記処理パターン選択部は、前記検査対象の検査値及び要因値が前記所定数に満たない場合に、前記非検査対象の検査値及び要因値を使用する処理パターンを選択することを特徴とする請求項に記載の健康管理支援装置。
  7. 二次元コードを復号する二次元コード復号部と、
    前記二次元コード復号部による復号結果から前記検査対象の検査値を取得する検査値取得部と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の健康管理支援装置。
  8. 検査対象及び/又は非検査対象の健康状態をあらかじめ検査した同一種別の複数の検査値と、各検査値にそれぞれ影響を及ぼす複数の身体的な要因値とに基づいて、前記検査値の変化の割合と前記要因値の変化の割合との関連を示す関連情報を算定する関連情報算定部と、
    前記関連情報算定部により算定された前記関連情報を記憶する記憶部と、
    前記検査対象の健康状態を検査した検査値及び該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値と、前記記憶部に記憶された前記関連情報とに基づいて、前記検査対象の検査値又は要因値に係る予測値を算定する予測値算定部と、
    前記予測値算定部により算定された前記予測値を報知する報知部と
    を備え
    前記関連情報算定部は、前記検査値の対数を目的変数とし、前記要因値の対数を説明変数とした線形回帰分析により前記説明変数の係数を前記関連情報として算定することを特徴とする健康管理支援システム。
  9. 検査対象及び/又は非検査対象の健康状態をあらかじめ検査した同一種別の複数の検査値と、各検査値にそれぞれ影響を及ぼす複数の身体的な要因値とに基づいて、前記検査値の変化の割合と前記要因値の変化の割合との関連を示す関連情報を算定する関連情報算定ステップと、
    前記検査対象の健康状態を検査した検査値及び該検査値に影響を及ぼす検査対象の身体的な要因値と、前記関連情報算定ステップにより算定された前記関連情報とに基づいて、前記検査対象の検査値又は要因値に係る予測値を算定する予測値算定ステップと、
    前記予測値算定ステップにより算定された前記予測値を報知する報知ステップと
    を含み、
    前記関連情報算定ステップは、前記検査値の対数を目的変数とし、前記要因値の対数を説明変数とした線形回帰分析により前記説明変数の係数を前記関連情報として算定することを特徴とする健康管理支援方法。
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