JP6623486B2 - 誘導加熱用コイル - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁電線及び誘導加熱用コイルに関する。
近年、幅広い分野の加熱装置に誘導加熱用コイルが用いられている。このような誘導加熱用コイルは、絶縁電線を捲線加工して形成される場合が多い。一方、誘導加熱用コイルは、加熱した対象物から放射される輻射熱により高温となり、さらにその輻射熱により水蒸気が含まれる環境で使用されることが多い。そのため、誘導加熱用コイルに用いる絶縁電線には、導体との高い密着性、高い耐熱性及び高い撥水性が要求される。
一方、絶縁電線を得るために、例えばセラミックフィラーを絶縁塗料に添加したワニスを調製し、このワニスを導体表面に塗布して絶縁被膜を形成することが一般的に行われている(例えば特開平10−199337号公報参照)。
特開平10−199337号公報
しかしながら、上記従来の絶縁被膜の形成方法により作成した絶縁電線の絶縁被膜は、導体との密着性及び耐熱性が不十分であるため、絶縁被膜が剥がれ易い。また、この絶縁電線の絶縁被膜は、撥水性が不十分である。
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、導体との密着性、耐熱性及び撥水性に優れる絶縁層を有する絶縁電線及び誘導加熱用コイルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る絶縁電線は、線状の導体と、この導体の外周面を被覆する絶縁層とを備える絶縁電線であって、上記絶縁層が、フッ素樹脂を主成分とし、上記フッ素樹脂と上記導体の外周面との間に化学結合を有している。
別の本発明の一態様に係る誘導加熱用コイルは、上記絶縁電線を捲線加工することにより形成される。
本発明の絶縁電線及び誘導加熱用コイルは、導体との密着性、耐熱性及び撥水性に優れる絶縁層を有する。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線の模式的断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る絶縁電線は、線状の導体と、この導体の外周面を被覆する絶縁層とを備える絶縁電線であって、上記絶縁層が、フッ素樹脂を主成分とし、上記フッ素樹脂と上記導体の外周面との間に化学結合を有している。
当該絶縁電線は、導体の外周面を被覆する絶縁層がフッ素樹脂を主成分としているので、上記絶縁層が耐熱性及び撥水性に優れる。また、当該絶縁電線は、絶縁層のフッ素樹脂が導体の外周面との間に化学結合を有しているので、導体と絶縁層との間の密着性に優れ、絶縁層を導体から剥がれ難くできる。ここで「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば50質量%以上含有される成分である。「化学結合」とは、共有結合だけで構成される場合と、共有結合及び水素結合を含む場合とを意味する。
上記導体が、カップリング剤を含有する塗膜を外周面に有するとよい。このように、導体の外周面にカップリング剤を含有する塗膜を有することで、絶縁層のフッ素樹脂がカップリング剤と化学結合し、さらにカップリング剤が導体の外周面と化学結合する。これにより、上記フッ素樹脂と導体の外周面との間にカップリング剤を介在させた化学結合を確実に形成でき、導体と絶縁層との間の密着性がより向上する。
上記カップリング剤が、窒素原子又は硫黄原子を含む官能基を有するシラン系カップリング剤であるとよい。このように、窒素原子又は硫黄原子を含む官能基を有するシラン系カップリング剤を介して導体の外周面とフッ素樹脂との間に化学結合を形成することで、導体と絶縁層との間の密着性をより高められる。この理由は明確ではないが、上記カップリング剤の加水分解基が導体の外周面に固定される一方で、上記カップリング剤のアミノ基、スルフィド基等の窒素原子又は硫黄原子を含む官能基が、絶縁層の主成分であるフッ素樹脂がラジカル化した際に生じるC・又はC=O若しくはCOOH部分と化学結合することで導体と絶縁層との間の密着性が向上するものと推定される。
上記絶縁層と導体との剥離接着強さとしては、100mN/mm以上が好ましい。このように、絶縁層と導体との剥離接着強さを上記下限以上とすることで、絶縁層の導体からの剥離を確実に防止できる。ここで、「剥離接着強さ」は、以下の手順により測定される値である。まず、絶縁電線の長手方向に、長さ2cm程度の切れ込みを2本、0.5mm間隔で入れる。そして、この2本の切れ込みにより区切られる帯状の部分の一端をピンセットを用いて導体から剥離し、引張試験機を用いて、引張速度50mm/分で絶縁層と導体との180°剥離試験を行い、剥離に要する力を測定する。
上記絶縁層の外周面の純水との接触角としては、80°以上120°以下が好ましい。このように、絶縁層の外周面の純水との接触角を上記範囲内とすることで、導体と絶縁層との間の密着性を損なうことなく、ワニスからの析出物の絶縁層への付着を確実に防止できる。ここで、「純水との接触角」とは、JIS−R3257(1999)の静滴法により測定される接触角の値である。
上記絶縁層の平均厚さとしては、10μm以上100μm以下が好ましい。このように、絶縁層の平均厚さを上記範囲内とすることで、導体を確実に絶縁すると共に、コイル等を形成する際のコイルの体積効率の低下を抑制できる。
従って、当該絶縁電線は、導体との高い密着性、高い耐熱性及び高い撥水性が要求される誘導加熱用コイルに好適に用いられる。
本発明の一態様に係る誘導加熱用コイルは、上記絶縁電線を捲線加工することにより形成される。当該誘導加熱用コイルは、上記絶縁電線を捲線加工することにより形成されるので、導体との密着性、耐熱性及び撥水性に優れ、高温又は高湿となる環境下でも好適に使用できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る絶縁電線及び誘導加熱用コイルについて説明する。
[絶縁電線]
図1の絶縁電線は、線状の導体1と、この導体1の外周面を被覆する絶縁層2とを備える。絶縁層2は、フッ素樹脂を主成分とし、上記フッ素樹脂と導体1の外周面との間に化学結合を有している。
<導体>
上記導体1は、図1に示すように、導線3と、この導線3の外周面に積層されカップリング剤を含有する塗膜4とを有する。導線3は、例えば断面が円形状の丸線とされるが、断面が方形状の角線や、複数の素線を撚り合わせた撚り線であってもよい。
導線3の材質としては、導電率が高くかつ機械的強度が大きい金属が好ましい。このような金属としては、例えば銅、銅合金、アルミニウム、ニッケル、銀、軟鉄、鋼、ステンレス鋼等が挙げられる。導線3は、これらの金属を線状に形成した材料や、このような線状の材料にさらに別の金属を被覆した多層構造のもの、例えばニッケル被覆銅線、銀被覆銅線、銅被覆アルミ線、銅被覆鋼線等を用いることができる。
導線3の平均断面積の下限としては、0.01mmが好ましく、0.1mmがより好ましい。一方、導線3の平均断面積の上限としては、10mmが好ましく、5mmがより好ましい。導線3の平均断面積が上記下限に満たない場合、導線3に対する絶縁層2の体積が大きくなり、当該絶縁電線を用いて形成されるコイル等の体積効率が低くなるおそれがある。逆に、導線3の平均断面積が上記上限を超える場合、誘電率を十分に低下させるために絶縁層2を厚く形成しなければならず、当該絶縁電線が不必要に大径化するおそれがある。
(塗膜)
塗膜4は、表面処理により導線3の外周面に形成された層であり、カップリング剤を含有している。
上記塗膜4は、例えばカップリング剤、アルコール及び水を含むプライマ材料を導線3の外周面に付着させることにより形成される。このときに導線3の外周面にプライマ材料を付着させる方法は、特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法、塗布法などを採用できる。上記プライマ材料を導線3の外周面に付着させた後、乾燥によりプライマ材料のアルコールを除去する。このときのアルコールを除去するための乾燥方法は、自然乾燥、加熱による乾燥、減圧による乾燥などを採用できる。そして、外周面にプライマ材料を付着させた導線3を乾燥した後、この導線3を例えば120℃15分で加熱することにより、カップリング剤が導線3の外周面に結合する。
カップリング剤のプライマ材料全体における含有量の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましい。一方、カップリング剤のプライマ材料全体における含有量の上限としては、5.0質量%が好ましく、3.0質量%がより好ましい。カップリング剤の含有量が上記下限未満の場合、導体1と絶縁層2との間の十分な密着性が得られないおそれがある。逆に、カップリング剤の含有量が上記上限を超える場合、カップリング剤の凝集が生じ、導線3の外周面において、均一な厚さの塗膜4が形成され難くなるおそれがある。
塗膜4に含有されるカップリング剤は、導線3と絶縁層2との結合強度を高めるためものである。このカップリング剤としては、シラン系カップリング剤が好ましく、中でも、窒素原子(N原子)又は硫黄原子(S原子)を含む官能基(以下、「反応性官能基」ともいう)を持つシラン系カップリング剤がより好ましい。上記反応性官能基を持つシランカップリング剤は、加水分解基(OCH、OC、OCOCH等)が加水分解されることで導線3の外周面と化学結合する。一方、シランカップリング剤は、後述するように絶縁層2に対して上記反応性官能基において化学結合するものと推定される。シラン系カップリング剤と絶縁層2のフッ素樹脂との間の化学結合は、共有結合だけで構成される場合と、共有結合及び水素結合を含む場合とがある。
N原子を含む官能基としては、例えばアミノ基、ウレイド基等を挙げることができる。
N原子を含む官能基を持つシラン系カップリング剤としては、例えばアミノアルコキシシラン、ウレイドアルコキシシラン、これらの誘導体が挙げられる。
アミノアルコキシシランとしては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノエトキシシランの誘導体としては、例えば3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン等のケチミン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの酢酸塩等のシランカップリング剤の塩などが挙げられる。
ウレイドアルコキシシランとしては、例えば3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2‐ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
S原子を含む官能基としては、例えばメルカプト基、スルフィド基等が挙げられる。
S原子を含む官能基を持つシラン系カップリング剤としては、例えばメルカプトアルコキシシラン、スルフィドアルコキシシラン、これらの誘導体が挙げられる。
メルカプトアルコキシシランとしては、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)等が挙げられる。
スルフィドアルコキシシランとしては、例えばビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
上記シラン系カップリング剤としては、変性基を導入したものであってもよい。変性基としては、フェニル基が好ましい。
例示したシラン系カップリング剤の中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドが好ましい。
カップリング剤としては、N原子又はS原子を含む官能基を持つシラン系カップリング剤に代えて、又はこのシラン系カップリング剤に加えて他のカップリング剤を使用することができる。他のカップリング剤としては、絶縁層2のフッ素樹脂又はそのラジカルに対して反応性を有する官能基を含み、導線3の外周面に化学結合できる官能基等を含むものが好ましく、例えばチタン系カップリング剤を使用することができる。
チタン系カップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(n−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、ビス(ジオクチルパオロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパオロホスフェート)ジイソプロピルチタネート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラプロピルオルソチタネート、テトライソプロピルテトラエチルオルソチタネート、テトラブチルオルソチタネート、ブチルポリチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス−(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、チタニウムラクテート、アセトアセティックエスチルチタネート、ジイソプロポキシビス8アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアルミナト)チタン、ジヒドロキシビス(ラクタト)チタン、チタニウム−イソプロポキシオクチレングリコレート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、ブチルチタネートダイマー、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
<絶縁層>
上記絶縁層2は、図1に示すように導体1の外周面を被覆しており、フッ素樹脂を主成分とする。絶縁層2は、フッ素樹脂以外に必要に応じて任意成分を含んでいてもよい。
絶縁層2の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、30μmがより好ましい。一方、絶縁層2の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。絶縁層2の平均厚さが上記下限に満たない場合、絶縁層2に破れが生じ、導線3の絶縁が不十分となるおそれがある。逆に、絶縁層2の平均厚さが上記上限を超える場合、当該絶縁電線を用いて形成されるコイル等の体積効率が低くなるおそれがある。
上記絶縁層2の外周面の純水との接触角の下限としては、80°が好ましく、90°がより好ましい。一方、上記接触角の上限としては、120°が好ましく、110°がより好ましい。上記接触角が上記下限未満の場合、ワニスからの析出物が絶縁被膜の表面に付着し易くなるおそれがある。逆に、上記接触角が上記上限を超える場合、導体1と絶縁層2との間の密着性が低下し、絶縁層2が剥がれ易くなるおそれがある。
上記絶縁層2と導体1との剥離接着強さの下限としては、100mN/mmが好ましく、500mN/mmがより好ましい。上記剥離接着強さが上記下限未満の場合、当該絶縁電線をコイルとした時に絶縁層2が導体1から剥離し易く、当該絶縁電線の絶縁信頼性が低下するおそれがある。
(フッ素樹脂)
フッ素樹脂は、高分子鎖の繰り返し単位を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子又はフッ素原子を有する有機基(以下「フッ素原子含有基」ともいう)で置換されたものをいう。フッ素原子含有基は、直鎖状又は分岐状の有機基中の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたものであり、例えばフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロポリエーテル基等が挙げられる。
「フルオロアルキル基」とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味し、「パーフルオロアルキル基」を包含する。具体的には、「フルオロアルキル基」は、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基、アルキル基の末端の1個の水素原子以外の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基等を包含する。
「フルオロアルコキシ基」とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルコキシ基を意味し、「パーフルオロアルコキシ基」を包含する。具体的には、「フルオロアルコキシ基」は、アルコキシ基の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基、アルコキシ基の末端の1個の水素原子以外の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基等を包含する。
「フルオロポリエーテル基」とは、繰り返し単位として複数のアルキレンオキシド鎖を有し、末端にアルキル基又は水素原子を有する1価の基であって、当該アルキレンオキシド鎖又は末端のアルキル基若しくは水素原子中の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された基を有する1価の基を意味する。「フルオロポリエーテル基」は、繰り返し単位として複数のパーフルオロアルキレンオキシド鎖を有する「パーフルオロポリエーテル基」を包含する。
フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン・ヘキサオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体(TFE/PDD)が好ましい。
(任意成分)
任意成分としては、例えばエンジニアリングプラスチック、濡れ性向上剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、反射付与剤、隠蔽剤、滑剤、加工安定剤、可塑剤、発泡剤等が挙げられる。
上記エンジニアリングプラスチックとしては、絶縁層2に求められる特性に応じて公知のものから選択して使用でき、典型的には芳香族ポリエーテルケトンを使用することができる。
この芳香族ポリエーテルケトンは、ベンゼン環がパラ位に結合し、剛直なケトン結合(−C=O)又はフレキシブルなエーテル結合(−O−)によってベンゼン環同士が連結された構造を有する熱可塑性樹脂であり、ケトン結合とエーテル結合とが交互に配置されたポリエーテルケトン(PEK)と、エーテル結合、エーテル結合、ケトン結合の順に結合が配置されたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が代表例である。芳香族ポリエーテルケトンは、耐摩耗性、耐熱性、絶縁性、加工性、接合性等に優れるものであり、芳香族ポリエーテルケトンを絶縁層2に含ませた場合、導体1の外周面に対する絶縁層2の接合性等が改善される。
芳香族ポリエーテルケトンとしては、市販品を使用することができる。芳香族ポリエーテルケトンとしては、様々なグレードのものが市販されており、市販されている単一のグレードの芳香族ポリエーテルケトンを単独で使用してもよく、複数のグレードの芳香族ポリエーテルケトンを併用してもよく、また変性した芳香族ポリエーテルケトンを使用してもよい。
エンジニアリングプラスチックの含有量としては、特に限定はないが、エンジニアリングプラスチックの含有量の下限としては、フッ素樹脂との質量比で、20:80が好ましく、35:65がより好ましい。一方、エンジニアリングプラスチックの含有量の上限としては、フッ素樹脂との質量比で、50:50が好ましく、45:55がより好ましい。エンジニアリングプラスチックの含有量が上記下限未満の場合、絶縁層2の特性を充分に改善することができないおそれがある。逆に、エンジニアリングプラスチックの含有量が上記上限を超える場合、フッ素樹脂の有利な特性を充分に発現させることができないおそれがある。
難燃剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えば臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤が挙げられる。
難燃助剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えば三酸化アンチモン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えばフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
反射付与剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えば酸化チタン等が挙げられる。
絶縁層2は、導体1の外周面へ被覆された後に電離放射線照射されたものであることが好ましい。絶縁層2に電離放射線照射を行うことで、フッ素樹脂がラジカル化される。電離放射線照射は、加熱下で行うことが好ましい。なお、フッ素樹脂のラジカル化は、加熱により行うこともできる。
フッ素樹脂には、ラジカル部分にカップリング剤の反応性官能基が化学結合することで、カップリング剤が化学結合されるものと推定される。このように、フッ素樹脂のラジカル部分にカップリング剤を化学結合させ、さらに上述のようにカップリング剤を導線3の外周面に化学結合することで、フッ素樹脂と導線3の外周面との間にカップリング剤を介した化学結合が形成される。これにより、絶縁層2がフッ素樹脂製の場合であっても、絶縁層2と導体1との接合強度を高めることができる。
また、フッ素樹脂がラジカル化されることで、フッ素樹脂分子間に化学結合が形成され、絶縁層2が芳香族ポリエーテルケトン等のエンジニアリングプラスチックを含む場合にはフッ素樹脂とエンジニアリングプラスチックとの間に化学結合が形成される。化学結合によるフッ素樹脂分子間の化学結合、フッ素樹脂とエンジニアリングプラスチックとの間の化学結合は共有結合又は水素結合であり、これらの化学結合はフッ素樹脂の分子間結合(F−F結合)に比べて強い。そのため、当該絶縁電線では、フッ素樹脂分子同士が化学結合され、又はフッ素樹脂とエンジニアリングプラスチックとの間に化学結合が形成されることで、絶縁層2の機械的強度を向上させることが可能となる。
さらに、上記シラン系カップリング剤は、導線3の外周面との間にはÅオーダーで存在しているものと推定される。そのため、上記カップリング剤は、導線3の外周面の性状に殆ど影響を与えず、導線3の外周面が粗面化されることもない。
一方、導線3の外周面にカップリング剤を存在させなくても、電離放射線照射等によりフッ素樹脂をラジカル化させた場合、フッ素樹脂のラジカル部分が導線3の外周面と化学結合を形成する。そのため、絶縁層2がフッ素樹脂製であっても、導線3にカップリング剤を用いることなく、フッ素樹脂と導線3の外周面との間に化学結合を形成することで、絶縁層2と導体1との接合強度を高めることが可能である。
ここで、電離放射線としては、電子線、高エネルギーイオン線等の荷電粒子線、γ線、X線等の高エネルギー電磁波、中性線等が挙げられ、中でも電子線が好ましい。これは、電子線発生装置が比較的安価であり、大出力の電子線が得られると共にラジカル生成程度、すなわち化学結合の形成程度の制御が容易であるためである。
電離放射線照射の照射線量としては、広い範囲で効果が得られるので任意に用いてもよいが、照射線量の下限としては、例えば50KGyが好ましく、100KGyがより好ましい。一方、上記照射線量の上限としては、例えば800KGyが好ましく、600KGyがより好ましい。上記照射線量が上記下限未満の場合、ラジカル化が不十分となり絶縁層2の機械的強度の向上効果、導体1との接合強度の向上効果等が十分に得られないおそれがある。逆に、上記照射線量が上記上限を超える場合、樹脂成分の分解(ポリマー主鎖の切断)が過剰となって絶縁層2の機械的強度が低下するおそれがある。これに対して、上記照射線量を上記範囲内とすることで、ラジカル化を十分に進行させることができると共に樹脂成分の分解も少なく、十分な機械的強度及び接合強度等が得られる。
電離放射線照射は、低酸素又は無酸素の雰囲気下において、導体1を被覆している絶縁層2を加熱した状態で行うことが好ましい。
電離放射線照射を低酸素又は無酸素の雰囲気下で行うことで、導体1に対する絶縁層2の接合強度を向上させることができる。具体的には、酸素濃度が1000ppm未満であれば、接合強度の向上効果が得られる。酸素濃度が500ppm以下であれば、顕著な接合強度の改善効果が得られ、酸素濃度が100ppm以下で、より顕著な接合強度の向上効果が得られる。なお、電離放射線照射時の酸素濃度の制御の安定性及び容易性の観点から、酸素濃度としては10ppm以下が好ましい。
電離放射線照射時の加熱温度は、絶縁層2の主成分であるフッ素樹脂の融点以上が好ましい。上記加熱温度としては、上記融点より80℃高い温度以下が好ましく、上記融点より40℃高い温度以下がより好ましい。加熱温度をフッ素樹脂の融点よりも高い温度で行うことで、フッ素樹脂のラジカル化及び化学結合を適切に促進することができる。その一方、上記加熱温度の上限をフッ素樹脂の融点よりも80℃高い温度以下とすることで、フッ素樹脂の熱分解(ポリマー主鎖の切断)を抑制でき、絶縁層2の機械的強度や接合強度の低下を抑制できる。
なお、絶縁層2がエンジニアリングプラスチックを含有する場合、電離放射線照射時の加熱温度は、フッ素樹脂及びエンジニアリングプラスチックの融点以上が好ましい。このように加熱温度を設定することで、フッ素樹脂とエンジニアリングプラスチックとの間に化学結合を形成して絶縁層2の機械的強度等をさらに高めることができる。
[絶縁電線の製造方法]
当該絶縁電線は、ワニスの塗布及び焼付けや押出成形等の公知の方法により製造することができる。これらの製造方法について以下に説明する。
<絶縁電線の第1製造方法>
当該絶縁電線の第1製造方法は、カップリング剤により導線3の外周面に表面処理を施す工程(表面処理工程)、フッ素樹脂を主ポリマーとする樹脂組成物の溶剤による希釈によりワニスを調製する工程(ワニス調製工程)、上記ワニスを導体1の外周面に塗布する工程(ワニス塗布工程)、上記ワニスを焼付ける工程(焼付け工程)、及び電子線照射により上記フッ素樹脂と上記導体1の外周面との間に化学結合を形成する工程(化学結合工程)を備える。
(表面処理工程)
上記表面処理工程において、カップリング剤を含有するプライマ材料を用いて導線3の外周面に表面処理を施し、カップリング剤を含有する塗膜4を導線3の外周面に積層し、導体1を形成する。具体的には、上記プライマ材料を導線3の外周面に付着させた後に、このプライマ材料を乾燥させることで塗膜4を形成する。
プライマ材料を付着させる方法としては、特に制限はなく、例えばプライマ材料に導線3を浸漬する方法、プライマ材料を導線3に塗布する方法が挙げられるが、プライマ材料に導線3を浸漬する方法が好ましい。プライマ材料に導線3を浸漬する方法を採用する場合、プライマ材料の温度は、20℃以上40℃以下とされ、浸漬時間は10秒以上30秒以下とされる。
上記プライマ材料の乾燥は、自然乾燥及び強制乾燥のいずれで行ってもよいが、自然乾燥が好ましい。また、上記プライマ材料の乾燥後は、導体1の加熱処理を行うことが好ましい。このような加熱処理を行うことで、導線3の外周面に塗膜4をより確実に固定させることできる。この加熱処理は、例えば恒温槽にて100℃以上130℃以下で1分間以上10分間以下の加熱、又はより高温で短時間で反応させることで行うことができる。
(ワニス調製工程)
上記ワニス調製工程において、フッ素樹脂を主ポリマーとする樹脂組成物を溶剤で希釈してワニスを調製する。
希釈用溶剤としては、絶縁ワニスに従来より用いられている公知の有機溶剤を用いることができる。具体的には、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサエチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン等の極性有機溶剤をはじめ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、クレゾール、クロルフェノールなどのフェノール類、ピリジンなどの第三級アミン類等が挙げられ、これらの有機溶剤はそれぞれ単独であるいは2種以上を混合して用いられる。
なお、これらの有機溶剤により希釈して調製したワニスの樹脂固形分濃度の下限としては、20質量%が好ましく、22質量%がより好ましい。一方、上記ワニスの樹脂固形分濃度の上限としては、30質量%が好ましく、28質量%がより好ましい。上記ワニスの樹脂固形分濃度が上記下限未満の場合、ワニスを塗布する際の1回の塗布量が少なくなるため、所望の厚さの絶縁層2を形成するためのワニス塗布工程の繰り返し回数が多くなり、ワニス塗布工程の時間が長くなるおそれがある。逆に、上記ワニスの樹脂固形分濃度が上記上限を超える場合、希釈に要する時間が長くなるおそれがある。
なお、上記ワニス調製工程において、上記ワニスに濡れ性向上剤を混合することが好ましい。上記ワニスに濡れ性向上剤を混合することにより、当該絶縁電線の撥水性が調整し易くなる。つまり、導体1と絶縁層2との間の密着性を損なわず、ワニスからの析出物の絶縁層2への付着を防止できるような撥水性に調整し易くなる。
濡れ性向上剤をワニスに混合する場合の濡れ性向上剤のワニス全体に対する含有量の下限としては、0.01質量%が好ましく、0.02質量%がより好ましい。一方、上記濡れ性向上剤のワニス全体に対する含有量の上限としては、0.1質量%が好ましく、0.09質量%がより好ましい。上記濡れ性向上剤の含有量が上記下限未満の場合、絶縁層2の撥水性を十分に調整できないおそれがある。逆に、上記濡れ性向上剤の含有量が上記上限を超える場合、導体1と絶縁層2との間の密着性が損なわれるおそれがある。
(ワニス塗布工程)
上記ワニス塗布工程において、外周面に塗膜4を有する導体1の外周面に上記ワニス調製工程で調製したワニスを塗布した後、塗布ダイスによりワニスの塗布量の調節及び塗布されたワニス面の平滑化を行う。
塗布ダイスは開口部を有し、ワニスを外周面に塗布した導体1がこの開口部を通過することで余分なワニスが除去され、ワニスの塗布量が調整される。これにより、当該絶縁電線は、絶縁層2の厚みが均一になり、均一な電気絶縁性が得られる。
(焼付け工程)
次に、上記焼付け工程において、ワニスが塗布された導体1を焼付炉に通してワニスを焼付けることで、導体1の外周面に絶縁層2を形成する。
導体1の外周面を被覆する絶縁層2が所定の厚さとなるまで、上記ワニス塗布工程及び焼付け工程を繰り返す。
(化学結合工程)
次に、上記化学結合工程において、導体1を被覆する絶縁層2の外周面へ電子線を照射し、絶縁層2のフッ素樹脂をラジカル化させる。これにより、フッ素樹脂のラジカル部分に塗膜4に含有されるカップリング剤が化学結合する。一方、カップリング剤は導線3の外周面と化学結合しているので、カップリング剤を介在して絶縁層2のフッ素樹脂と導線3の外周面との間に化学結合が形成される。これにより、導体1と絶縁層2との間の密着性に優れた当該絶縁電線が得られる。
<絶縁電線の第2製造方法>
当該絶縁電線の第2製造方法は、カップリング剤により導線3の外周面に表面処理を施す工程(表面処理工程)、及び導体1の外周面へのフッ素樹脂を主ポリマーとする樹脂組成物の被覆により絶縁層2を形成する工程(絶縁層形成工程)を備える。
(表面処理工程)
上記表面処理工程において、上述した絶縁電線の第1製造方法の表面処理工程と同様の方法により、カップリング剤を含有するプライマ材料を用いて導線3の外周面に表面処理を施し、導体1を形成する。
(絶縁層形成工程)
次に、絶縁層形成工程において、フッ素樹脂を主ポリマーとする樹脂組成物を導体1の外周面へ被覆する。絶縁層形成工程は、例えば上記樹脂組成物を用いた押出成形により行うことができる。押出成形としては、例えば充実押出、チューブ押出が挙げられる。その結果、上記樹脂組成物により絶縁層2が形成され、当該絶縁電線が得られる。
上記絶縁層形成工程では、導体1に上記樹脂組成物を被覆する直前又は直後に、上記樹脂組成物に電離放射線照射を行うことが好ましい。電離放射線照射の条件は上述した通りであるが、10ppm以下の低酸素又は無酸素の雰囲気下で、上記樹脂組成物の主成分であるフッ素樹脂の融点以上、この融点より80℃高い温度以下で行うことが好ましい。そして、上記電離放射線として、上記樹脂組成物に対して50KGy以上800KGy以下程度の電子線を用いるとよい。
[利点]
当該絶縁電線は、導体1の外周面を被覆する絶縁層2がフッ素樹脂を主成分としているので、絶縁層2が耐熱性及び撥水性に優れる。また、当該絶縁電線は、絶縁層2のフッ素樹脂と導線3の外周面との間に化学結合を有しているので、導体1と絶縁層2との間の密着性に優れる。
[誘導加熱用コイル]
当該誘導加熱用コイルは、例えば当該絶縁電線を捲線加工することにより形成できる。当該誘導加熱用コイルは、例えば電線の製造装置、誘導加熱調理器、便座装置、定着ベルトの加熱装置、坩堝の加熱装置、溶接用の加熱装置、溶解用の加熱装置、焼入れ用の加熱装置、半田付け用の加熱装置、廃棄物の熱分解装置等に好適に用いることができる。
当該誘導加熱用コイルは、導体との密着性、耐熱性及び撥水性に優れるので、絶縁電線の製造装置の誘導加熱用コイルとして好適に用いられる。絶縁電線の製造装置では、例えば線状の導体の外周に絶縁塗料(ワニス)を塗布及び焼付けするが、ワニス塗布後のワニス中の溶剤を蒸発させるための加熱乾燥で誘導加熱用コイルが好適に用いられる。その理由は、上記加熱乾燥でワニス皮膜の表面側から加熱すると、内部の溶剤が乾燥する前にワニス皮膜の表面が硬化し、絶縁皮膜表面近傍に気泡の形成や気泡の破裂が生じ易いが、誘導加熱用コイルを用いることで内部の導体を加熱でき、このような気泡の形成や気泡の破裂を防止できるからである。
当該誘導加熱用コイルを絶縁電線の製造装置で用いる場合、具体的には、例えば当該絶縁電線を丸型に捲線加工して誘導加熱用コイルを形成し、この誘導加熱用コイルにワニス塗布後の導体を挿通させる。そして、誘導加熱用コイルに高周波電流を流して、ワニス塗布後の導体を誘導加熱用コイルの中心軸方向に移動させながら加熱する。
[利点]
当該誘導加熱用コイルは、当該絶縁電線の捲線加工により形成しているので、導体との高い密着性、高い耐熱性及び高い撥水性が要求される環境で好適に用いられる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
つまり、上記実施形態においては、導体が外周面にカップリング剤を含有する塗膜を有する絶縁電線について説明したが、導体が外周面にカップリング剤を含有する塗膜を有していない絶縁電線も本発明の意図する範囲内である。上述したように、電離放射線照射等によりフッ素樹脂をラジカル化させることにより、カップリング剤を用いなくても絶縁層と導線との間に化学結合を形成させることができ、導線と絶縁層との間の密着性を向上できる。
本発明に係る絶縁電線は、導体との密着性、耐熱性及び撥水性に優れる絶縁層を有するので、コイルやモーター等を形成するために好適に利用することができる。
1 導体
2 絶縁層
3 導線
4 塗膜

Claims (4)

  1. 線状の導体と、この導体の外周面を被覆する絶縁層とを備える絶縁電線を捲線加工することにより形成される誘導加熱用コイルであって、
    上記絶縁層が、フッ素樹脂を主成分とし、
    上記フッ素樹脂と上記導体の外周面との間に化学結合を有し、
    上記絶縁層の外周面の純水との接触角が90°超120°以下であり、
    上記絶縁層の平均厚さが30μm超100μm未満である誘導加熱用コイル。
  2. 上記導体が、カップリング剤を含有する塗膜を外周面に有する請求項1に記載の誘導加熱用コイル
  3. 上記カップリング剤が、窒素原子又は硫黄原子を含む官能基を有するシラン系カップリング剤である請求項2に記載の誘導加熱用コイル
  4. 上記絶縁層と導体との剥離接着強さが100mN/mm以上である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の誘導加熱用コイル
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