従来の光学的顕微鏡では、3次元の計測が困難であることに加え、回折限界以下の測定対象物を観測したり計測したりすることが出来なかった。これに代わるものとして、走査型電子顕微鏡やプローブ顕微鏡(STM,AFM,NFOS等)、共焦点顕微鏡等の装置が開発され、多くの分野で使われている。
この走査型電子顕微鏡は、走査電子プローブとしてきわめて細いビームを用いているので、分解能が高く、焦点深度が光学顕微鏡に比べて著しく大きい。しかしながら、細胞のように導電性の低い測定対象物の観測には、測定対象物である試料に導電性のよい白金パラジウムや金をコートする必要性がある。このため、細胞自体の破損を伴うことが多く、当然のことながら生きたままの細胞を観測、計測することは、不可能であった。
また、プローブ顕微鏡は、測定対象物に対して近接して配置されたプローブをさらに接近させ、原子間力やトンネル電流、光近接場等を利用して、測定対象物との距離を計測するものである。しかしながら、プローブを高速に移動させることは困難であり、かつ、測定対象物との距離が非常に近いので取り扱いが難しく、さらに2次元的な情報を取得するまでに時間が膨大に必要であった。
一方、共焦点顕微鏡は、測定対象物にスポットを照射しそのスポットに対してピンホールを介して共焦点位置に配置した受光素子にて受光した光量が最大になるように対物レンズ、または測定対象物を動かすことにより、測定対象物の高さ情報や行路差情報を取得するものである。ところが、共焦点顕微鏡では、基本的にスポット内に位相分布があるとビームが変形し誤情報となる。特に測定対象物が細胞等の屈折率変化など波面が位相的に変化するようなものに対しては、その値の信頼性は乏しいと言わざるを得ない。また、受光した光量が最大になるように対物レンズや測定対象物を動かす必要性があるので、リアルタイム性に欠けていた。
これらの事情に対して、近年のマイクロ・ナノテクノロジー分野の発展に伴い、微細な工業製品や精密部品の3次元的な情報を高速で計測する技術に注目が集まっている。これに加え、生物学、医学、農学において、細胞のように厚みを持った生体試料の3次元プロファイル情報を生きた状態でリアルタイムに取得したいという要求も高まっている。
この一方、顕微鏡を用いて、距離や厚みを高精度に測定したり、微少なものを高精度に測定したり観察したりする手段の一つとしては、へテロダイン干渉法がよく知られている。ここでは、光を用いた光ヘテロダイン法について述べるが、他の電磁波においても同様な考え方で実施されている。この光ヘテロダイン法は、周波数の異なる2つのレーザー光を干渉させて、その差の周波数のビート信号を作成し、このビート信号の位相変化を波長の1/500程度の分解能で検出するものである。つまり、この光ヘテロダイン法によれば、3次元的な情報である表面の高さ方向の変化を計測しつつ測定対象物までの距離を測定したり、被測定物自体の厚み等を測定や観察したりできる。
上記した特許文献1の特開昭59−214706号公報には、音響光学素子を用いて異なる波長からなる2つのビームを隣接して発生させ、これら2ビーム間の位相変化を検出し、その位相変化を累積して表面プロファイルを得る方法が開示されている。ただし、この特許文献1は、ビームプロファイルよりも僅かに大きく2つのビームを近接させ、2つのビームプロファイル内の平均的な位相差をヘテロダイン検波で検出して、順次積分することにより、凹凸情報を得るものであった。
従って、この特許文献1によれば、半導体ウェハーのようなフラットであることが前提となるような測定対象物に対して、その凸凹情報を計測することは出来たが、ビームプロファイル内の情報を引き出すことはできなかった。このため、面内であるビームプロファイル内の分解能を高くすることは出来なかった。
以上より、従来の顕微鏡等の技術では、面内であるビームプロファイル内の分解能を高くすることが出来ないだけでなく、細胞等の厚みを持った生体試料を破損することなく生きた状態のままでリアルタイムに3次元的な情報を観測、計測することはできなかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、面内の分解能が高く、しかも面外において高さや屈折率分布に対する分解能が高く、また、通常の結像光学系では取得不可能な空間周波数を取得して測定対象物の有する空間周波数情報を正確に再現することで、実効上分解能が高く空間周波数の欠損のない光学的距離計測装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る光学的距離計測装置は、コヒーレントな照射光を照射する光源と、
光源の動作を操作し変調信号を加えることで、光源から照射される照射光を変調する変調素子と、
照射光を2次元走査する2次元走査素子と、
照射光の光軸方向に対して垂直な方向を境界線として何れかの片側にずれて位置し、かつ、測定対象物を経由した照射光を受光して光電変換する受光素子と、
該受光素子で光電変換された信号及び、変調素子と接続されこの変調素子から得られた変調を指示する信号により、測定対象物の位相情報を得ると共に、この位相情報に基づき測定対象物についての計測値を得る計測部と、を含む。
請求項1に係る光学的距離計測装置の作用を以下に説明する。
本発明においては、コヒーレントな照射光が光源から照射されると共に、変調素子がこのコヒーレントな照射光を変調するだけでなく、この照射光を2次元走査素子が2次元走査して走査ビームとして測定対象物に送る。また、照射光の光軸方向に対して垂直な方向を境界線として何れかの片側にずれて位置する1つの受光素子が、測定対象物を経由した照射光を受光して光電変換する。
なお、境界線とした何れかの片側にずれて受光素子が位置することとしたのは、受光素子が光軸の中央に位置した場合には、境界線を挟んで位相が逆転するのに合わせて、照射光から十分なデータを得がたくなるからである。そして、該受光素子で光電変換された信号及び変調素子の変調を指示する信号によって、計測部が測定対象物の位相情報を得るのに伴い、この位相情報に基づき光学的距離等の計測値を得ることができる。
この際、請求項2のようにこの照射光の光軸方向に対して垂直な方向に沿った境界線とこの境界線に対して照射光の光軸上で交差する交差境界線とで区画された各領域内に各1つ受光素子を配置することとしても良い。このようにすれば、合計4つの区画に区分された領域内のいずれかにのみ受光素子を位置することになる。この結果として、より小型で低コストの受光素子を採用しても良くなり、この小型の受光素子が受光した僅かな位相情報であっても、計測部が必要な計測値を得ることが可能となる。
以上の結果として、本発明が適用された顕微鏡では、非常に高い面内分解能を有し、さらに2次元走査を一度行うことで、測定対象物についての高さや屈折率分布などの光学的距離を測定することが出来る。このため、生きたままの細胞やマイクロマシンなどの状態変化などの3次元計測をリアルタイムに行うことができる。つまり、従来の2次元情報を取得し、3次元方向に積算していくようなレーザー走査型共焦点顕微鏡などとは比較にならない大きな特徴を有することとなる。
さらに、本発明を透過型の顕微鏡に適用した場合、生物や細胞を生きたままかつ蛍光着色せず高い分解能で高速度に観察、計測できる。このため、細胞等を不活性化して計測する電子顕微鏡にはない大きな特徴を有することとなる。
以上より、本発明によれば、面内の分解能が高く、しかも面外において高さや屈折率分布に対する分解能が高く、また、通常の結像光学系では取得不可能な空間周波数を取得して測定対象物の有する空間周波数情報を正確に再現することで、実効上分解能が高く空間周波数の欠損のない光学的距離計測装置が提供されるようになる。
以下に請求項3から請求項6に係る光学的距離計測装置の作用を説明する。
請求項1の変調素子が光源の動作を操作して光源に加える変調信号を例えば正弦波的な単一周波数の信号とする替わりに、実質的に2つの正弦波の和で変調したことに相当するようなDSB変調による変調信号を採用することができる。この場合、これら2つの正弦波のビート信号に相当する周波数で検波すれば、上記した信号処理を同様に行うことができる。
さらに、照射光が測定対象物を経由する際に、照射光を測定対象物が反射することとすれば、請求項1の光学素子がこの反射光を受光して光電変換することになる。この場合、光源と測定対象物との間の光軸内にビームスプリッターを配置することにより、測定対象物で反射して戻ってきた照射光をこのビームスプリッターがさらに受光素子側に反射して送ることができる。また、照射光が測定対象物を経由する際に、照射光が測定対象物を透過することとすれば、例えば光軸上に配置された請求項1の光学素子が、この透過光を受光して光電変換することになる。
上記に示したように、本発明の光学的距離計測装置は、変調素子が照射光を変調しつつ、コヒーレントな照射光が光源から照射される。そして、照射光の光軸方向に対して垂直な方向を境界線とした片側にずれて位置する受光素子が、測定対象物を経由した照射光を受光して光電変換する。従って、該受光素子で光電変換された信号及び変調素子の変調を指示する信号によって、計測部が測定対象物の位相情報を得るのに伴い、定量的な光学的距離等の算出が可能になるという優れた効果を奏する。
以下に、本発明に係る光学的距離計測装置の実施例1から実施例3を各図面に基づき、詳細に説明する。
本発明に係る光学的距離計測装置の実施例1を以下に図1及び図2を参照しつつ説明する。本実施例は、走査ビームを測定対象物で反射する反射光学系の装置とされている。図1は、実施例に係る反射光学系の装置の構成を示すブロック図である。
この図1に示すように、コヒーレントな照射光であるレーザー光が照射(出射)される光源であるレーザー光源21と、このレーザー光から平行光を得られるように収差補正されたコリメーターレンズ22とが順に配置されている。レーザー光源21には、このレーザー光源21の動作を操作する変調素子であるドライブ回路23が接続されていて、このドライブ回路23がレーザー光源21から照射されて照射光とされるレーザー光の変調量を調整することになる。従って、本実施例では、レーザー光源21から変調されつつ出射されたレーザー光が、コリメーターレンズ22により平行光とされる。
また、このコリメーターレンズ22に対して、2群のレンズからなる瞳伝達レンズ系25、入力されたレーザー光を2次元走査する2次元走査素子である2次元走査デバイス26、入力されたレーザー光を本来的には分離して出射するためのものであるビームスプリッター27が、さらに順に並んで配置されている。そして、図1に示すように瞳伝達レンズ系25に向かう側のレーザー光の光路を光軸Lとしている。
さらに、ビームスプリッター27に隣り合って、2群のレンズからなる瞳伝達レンズ系30が位置し、この隣に対物レンズ31が測定対象物G1と対向して配置されている。つまり、これら部材も光軸Lに沿って並んでいることになる。以上より、レーザー光がこの光軸Lに沿って、瞳伝達レンズ系25、2次元走査デバイス26、ビームスプリッター27、瞳伝達レンズ系30、対物レンズ31を順に経て、測定対象物G1に照射される。この際、2次元走査デバイス26の動作により、このレーザー光が走査ビームとなって測定対象物G1上で2次元的に走査される。
他方、光軸Lが通過する方向に対して直交する方向であってビームスプリッター27の隣の位置には、複数の光センサにより構成される受光素子群29が配置されている。そして、図1に示す測定対象物G1にて反射した走査ビームは回折光となり、対物レンズ31、瞳伝達レンズ系30及びビームスプリッター27の順で戻って平行光となる。これに伴いこのビームスプリッター27で反射して、本来の光軸Lに対して直交する照射光の光軸Lに沿って受光素子群29に入射される。
尚、この受光素子群29は、測定対象物G1のファーフィールド(遠視野)面に配置されているだけでなく、本実施例では2つの受光素子29A、29Bにより構成されている。但し、図2に示すように、走査ビームLAのスポットの中心となる光軸Lに沿った方向に対して略垂直な面上であってこの光軸Lを通る境界線Sを挟んで、これら受光素子29A、29Bがそれぞれ配置されている。つまり、境界線Sの片側にずれて受光素子29Aが位置し、これと境界線Sの反対側にずれて受光素子29Bが位置していて、測定対象物G1で反射することで経由した走査ビームLAをこれら各受光素子29A、29Bが受光する。
さらに、各受光素子29A、29Bは図示しない光電変換部を有した構造とされていて、各受光素子29A、29Bが走査ビームLAを受光してそれぞれ光電変換することになる。
この各受光素子29A、29B及び、レーザー光源21の動作を操作する前述のドライブ回路23は、信号比較器33にそれぞれ接続されている。これに伴って、信号比較器33が各受光素子29A、29Bからの信号及びドライブ回路23からの信号により測定対象物G1の位相情報を得ることになる。そして、この信号比較器33が、最終的にデータを処理して測定対象物G1のプロフィル等の計測値を得るデータ処理部34に繋がっている。このため、本実施例では、これら信号比較器33及びデータ処理部34が計測部とされている。
また、レーザー光源21は半導体レーザーであり、コヒーレントなレーザー光を発生する。このレーザー光をコリメーターレンズ22により平行光束にし、瞳伝達レンズ系25に入射させる。このとき、レーザー光の入射ビーム径は、瞳伝達レンズ系25との兼ね合いより、絞り機構(図示せず)等を用いて適正化しておくことにする。そして、このレーザー光源21に接続されたドライブ回路23がレーザー光源21の動作を操作して、レーザー光源21から照射される照射光の変調量を調整する。つまり、本実施例では、半導体レーザーとされるレーザー光源21がドライブ回路23により直接変調される。
ここで、コリメーターレンズ22と2次元走査デバイス26との間に配置されている瞳伝達レンズ系25は、コリメーターレンズ22の出射面位置を次の2次元走査デバイス26に共役に伝達するための光学系である。この瞳伝達レンズ系25を通過したレーザー光は、2次元走査デバイス26を経由して走査ビームとなってビームスプリッター27に送られるが、このビームスプリッター27からの走査ビームは、対物レンズ31の瞳位置に共役にする瞳伝達レンズ系30によって対物レンズ31に入射する。
他方、ドライブ回路23が変調する際には、単一のキャリア周波数fcによる正弦波的な信号を用いることが考えられる。ただし、キャリア周波数fc及び変調周波数fmのDSB変調された信号をドライブ回路23からレーザー光源21に入力することもできるのに伴い、極めて接近した周波数のビート信号で変調することも可能である。この際、このビート信号の周波数は、「光の振動数+キャリア周波数fc±変調周波数fm」となる。
以上より、本実施例では、ドライブ回路23により調整された変調量を有するレーザー光がレーザー光源21より照射されるものの、2次元走査デバイス26により走査ビームとされたレーザー光が測定対象物G1で反射されて、最終的に受光素子群29で走査ビームのフーリエ変換パターンの変調信号を検出する。
このことにより、ドライブ回路23により調整された変調量を有するレーザー光が有するが、このレーザー光に印加された変調信号と測定対象物G1で反射して変調を受けた走査ビームの有する変調信号との位相差を電気的な変調信号周波数差の位相ずれとして信号比較器33により検出できる。この時の位相ずれは、後述するが0次回折光と高次回折光との位相差に相当する。この時、もちろん両方の受光素子29A、29Bでそれぞれ受光して光電変換することもできるが、図2に示す光軸Lを通る境界線Sを境界とした2分割受光領域の片側に位置する受光素子のみでも、位相ずれの情報である位相情報を検出できることが、本実施例の一つの特徴である。
このように2分割受光領域の片側のみでも位相情報を検出できる理由としては、図2に示す対物レンズ31の光軸L方向に対して略垂直な方向を境界線Sとし、この境界線Sで区分けされた片側にある一方の受光素子29Aのみでも十分に位相情報を検出でき、または、他の片側にある他方の受光素子29Bのみでも同じく十分に位相情報を検出できるからである。もちろん、両方の受光素子29A、29Bで情報を同時に検出することもできる。ただし、測定対象物G1から回折されて各々の受光素子29A、29Bに到達する光の位相は、光軸Lを境界とする受光素子29A、29B間で逆相になる。従って、受光素子29A、29Bで光電変換された相互に逆相の各々の位相情報の信号に基づいて信号比較器33がドライブ回路23からの信号とを比較し、最終的にデータを処理してデータ処理部34が測定対象物G1のプロフィル等の光学的距離の計測値を得ることになる。
つまり、信号比較器33が、前述の測定対象物G1で反射された走査ビームを光電変換した信号と走査ビームの基となるドライブ回路23の変調を指示する信号により測定対象物G1の位相情報を得て、この信号比較器33と接続されたCPUやメモリ等からなるデータ処理部34にこの位相情報を送り込むことになる。これに伴い、データ処理部34でこの位相情報を平面に対する走査情報とともに記録していき、測定対象物G1の表面についてのプロファイル情報等の計測値を簡単に導くことができる。
以上より、本実施例によれば、面内の分解能が高く、しかも面外において高さや屈折率分布に対する分解能が高く、また、通常の結像光学系では取得不可能な空間周波数を取得して測定対象物G1の有する空間周波数情報を正確に再現することで、実効上分解能が高く空間周波数の欠損のない光学的距離計測装置が提供されるようになる。
これに伴って、このような本光学系を用いれば、2次元走査を行うたびに3次元計測データを取得することが可能となる。このため、本光学系によれば、細胞や微生物の状態変化や、この状態変化に伴うこれらの表面状態および内部状態の過渡的な変化等を、高速に観察、計測することができる。従って、製品化されている裸眼立体ディスプレイや偏光めがねを使用した3次元ディスプレイ等を用いることにより、3次元立体画像を表示することもできるので、教育や研究、医療において、有用な装置とすることができる。
尚、本光学系においては、図1に示す一つの2次元走査デバイス26を用いた例で説明をしたが、単純な一方向だけのデータが必要なアプリケーションであれば、この2次元走査デバイスを1次元走査デバイスに置き換えても同様な効果が得られることになる。これらの1次元走査デバイスとして、ガルバノミラー、レゾナントミラー、回転ポリゴンミラー等を採用することができる。
また、一つの2次元走査デバイス26の替わりに、2つの独立した1次元走査デバイスを相互に直交したX方向用とY方向用の2つ用意し、これらを瞳伝達レンズ系25の前後に配置することによっても2次元走査デバイス26と同様の機能を実現できる。なお、例えばマイクロマシーンの技術を用いたマイクロミラーデバイスを用いても良い。このマイクロミラーデバイスとしては、1次元用、2次元用ともに知られ製品化されている。さらに、1次元走査デバイスを1つと測定対象物G1を支持する図示しないテーブルとを相互に直交する形で採用することもできる。
以上述べたように、走査ビームの光電変換された信号と基準ビームの基となるドライブ回路の変調を指示する信号により測定対象物の位相情報から、定量的に光学的距離を算出することができる。
次に、本発明に係る光学的距離計測装置の実施例2を以下に図3を参照しつつ説明する。本実施例は、走査ビームが測定対象物を透過する透過光学系の装置とされている。
図3は、本実施例に係る透過光学系の装置を示すブロック図である。主要な光学系は前記反射光学系の装置と同じなので説明を割愛するが、この透過光学系の装置では、実施例1と比較して対物レンズ31で集光された光が測定対象物G2を透過することになる。
また、本実施例では、透過光学系であることからビームスプリッター27が不要になり、これに合わせて測定対象物G2を介した対物レンズ31と反対側の位置に、受光素子群29が配置されている。但し、実施例1と同様にこの受光素子群29は、測定対象物G2のファーフィールド面に配置されているだけでなく、2つの受光素子29A、29Bにより構成されている。
つまり、透過光学系の本装置の場合、図3に示すように対物レンズ31の光軸Lの延長線上に受光素子群29が配置されている。さらに、実施例1と同様に、走査ビームLAのスポットの中心となる光軸Lに沿った方向に対して略垂直な面上であってこの光軸Lを通る境界線Sを挟んで、受光素子29A、29Bがそれぞれ位置している。このことから、境界線Sの片側にずれて受光素子29Aが位置し、これと境界線Sの反対側にずれて受光素子29Bが位置していることになる。これに伴い、図3の透過光学系の装置でも、図1の反射光学系の装置と同様に受光素子群29上において空間的にほぼ等位相になる。
従って、実施例1と同様に、受光素子群29を構成する受光素子29A、29Bでそれぞれ光電変換された位相情報の信号及び、ドライブ回路23からの変調信号により、信号比較器33が測定対象物G2の位相情報を得ることになる。最終的にデータを処理してデータ処理部34が測定対象物G2のプロフィル等の光学的距離の計測値を得ることができる。この結果として、本実施例によっても、実効上分解能が高く空間周波数の欠損のない光学的距離計測装置が提供されるようになる。
特に、本実施例のように透過光学系の装置では、無染色、非侵襲で生きたままの細胞の状態変化をリアルタイムに観察できるので、iPS、ES細胞の正常かどうかの検査やがん細胞の有無検査等に大きな役割を果たすことができる。これは、電子顕微鏡のような高倍率であっても生体を殺した状態でないと観測できない測定器とは大きく異なる特徴である。
他方、本実施例の変形例として、測定対象物G2を挟んで対物レンズ31と反対側となる測定対象物G2の背後であって受光素子群29の手前にレンズ40を図4に示すように配置することが考えられる。つまり、測定対象物G2からの回折光となる走査ビームをこのレンズ40にて平行光としたのち、受光素子群29に導く形となる。このため、本変形例では、図4に示すように測定対象物G2を透過した走査ビームのフーリエ変換パターンがレンズ40により平行光とされて受光素子群29で受光される。但し、このレンズ40により集光して受光素子群29に走査ビームを導いてもよい。
次に、測定対象物を透過した走査ビームがどのような情報をもたらすかを説明する。
説明を簡単にするために、試料である測定対象物が高さhでピッチdの正弦波状の形状をしているものとすれば、光学的な位相θが以下の式で表される。
θ=2π(h/λ)sin(2πx/d−θ0)・・・・・(1)式
測定対象物から回折された光の振幅Eは、焦点距離fだけ離れた面においては、(1)式のフーリエ変換と対物レンズ31の開口とのコンボリューションとして、与えられるので、以下のように表される。ただし、(1)式の位相のフーリエ変換であるベッセル関数は±1次まで取るものとする。
この(2)式を一般化して考えることができる。すなわち、位相パターンは、上記したピッチdがさまざまなものの集合体と考えられるので、0次回折光の振幅M0とこの0次回折光に対する1次回折光の振幅M1の位相差をθ0とした場合、光の振幅Eは以下のように与えられる。空間周波数の正の領域では、下記(3)式で光の振幅Eが表され、また、空間周波数の負の領域では、下記(4)式で光の振幅Eが表される。
これは、測定対象物で回折された光の±1次回折光が0次回折光に対して、定性的に常に逆位相同士となるからである。ここで、(3)式、(4)式の回折光は、光軸Lに沿った方向に対して略垂直な面上でこの光軸Lを通る境界線Sを挟んで2分割された領域にそれぞれ配置された受光素子群29の各受光素子29A、29Bでそれぞれ受光されることになる。
ここで、半導体レーザーとされるレーザー光源21をある直流成分をバイアスとして、周波数f1で変調することが考えられる。この場合、レーザー光源21からの照射光は、ある強度を中心とした変調周波数f1を有する走査ビームとして測定対象物G1、G2に照射されるが、その照射された位置は走査に伴い動いている。この照射された部分での回折光により、受光素子群29上の何れか片側の領域では、振幅変調の変調度をmとすると、下記の(5)式で表すことができる。
したがって、受光素子群29の片側領域で観測される強度Iは、下記の(6)式により得られる。
また、レーザー光源21に印加した周波数f1で直交検波を行うと、下記の(7)式、(8)式を得ることができる。
I∝2M0M1cos(θ0) ・・・・・(7)式
Q∝2M0M1sin(θ0) ・・・・・(8)式
そこで、I信号とQ信号の比を測定することにより、tanΘ=sin(θo)/cos(θo)の式より、位相Θを検出することが可能となる。ただし、レーザー光源21を変調する信号に対して、検出する際の電気信号の位相遅延等により検出される位相信号は、一定の位相ずれが付加される。しかしながら、この値は光路長や電気的な回路が決まれば一定となるので、検出された位相差は補正することができる。また、位相差θoの取得方法は、様々な信号処理にて可能である。例えば、位相検波とフィルタやヒルベルト変換等の信号処理を利用することができる。したがって、以下のようにして、位相差から光学的距離nhを求めることができる。
ここで、γ=M1/M0とした。γは0次回折光と1次回折光の光の比である。
θoは0次回折光に対する1次回折光の位相差なので、θoとγよりΘoを求める。
さらに、Θo=(2π/λ)nhより、光学的距離nhを求めることができる。上記(3)式、(4)式はMo>M1とした近似であるので、厳密な考察を行うと多少複雑な式になるが、煩雑になるので割愛する。ただし、基本的には光軸Lを境界とした片側の領域の情報を取得し演算することに関しては、同様である。
次に、走査ビームの性質について説明する。
走査ビームは、所定の走査速度で移動しつつ測定対象物G1、G2に照射される。これに伴い、受光素子群29で検出されて光電変換された走査ビームは、測定対象物G1、G2の空間周波数に比例した電気的な変調を受けていることになる。
空間周波数が0となるフラットな部分では、走査による変調信号は0となる。よって、フラットな部分では、ドライブ回路23により基準周波数で変調されつつレーザー光源21から照射された光の有する変調信号と走査ビームの有する変調信号との間の周波数差であるヘテロダイン周波数が0となる。この一方、走査ビームが被測定物の凹凸部分や屈折率の異なる部分等を通過した場合、空間周波数に応じた電気的な変調を受ける。このため、この場合の基準周波数で変調された走査ビームの有する変調周波数には、走査に伴う電気的な変調からの変動が加算される。
したがって、受光素子群29で検出し光電変換された信号のうち、例えば基準周波数の周波数だけを切り出すノッチフィルタにより、M1 2+M0 2に相当する光量が検出できるだけでなく、受光素子群29で検出された全周波数からこのノッチフィルタで切り出された周波数を差し引くことで、2M0M1cosθoに相当する光量を検出できる。これにより、2つの未知数であるM1とM0の比を導出できる。すなわち、(6)式に係る2次方程式の解となるが、M0>M1となるのが一般的なので、具体的な解を得ることができる。このほか、基準信号と変調信号を分離する手段により、同様に2次方程式の解を得ることもできる。
さらに、光軸L上の光量の一部と0次回折光の広がりの外側の光量との光量比を検出して、何れかが大きいかの比較を行えば、上記M0>M1の不等号についての情報を正解に得ることもできる。他方、この光量比を算出することで、上記(6)式の2次方程式から導いた光量比と比較して、より精度を向上させた演算を行うこともできる。この結果として正確にγを算出可能となる。なお、上記した式は、1次近似であるが、高次の回折光については、上記した1次回折光の部分に組み入れることによって、同様な議論ができる。すなわち、上記した1次回折光を0次回折光以外と解釈すればよい。
この一方、光に印がついているわけではないので、光学的な手法のみでは0次回折光と1次回折光等の0次回折光以外の回折光を通常区別できない。しかし、上記実施例によれば、測定対象物G1、G2の空間周波数を走査ビームの走査により電気的周波数に変換できるので、容易かつ正確に0次回折光成分と0次回折光以外の回折光成分を抽出可能となる。これに伴いΘoも正確に導出することができる。
また、信号比較器33に入力される位相情報は、走査ビームの0次回折光と走査ビームの1次回折光の重なり部分からの情報となるので、重なり部分の広さが空間周波数に伴い減少する。これはレンズのMTFと関係しているが、空間周波数と走査に伴う電気的周波数とは一義的に対応しているので、検出された電気的信号に適正なハイパスフィルタの適用により、MTFの補正を行うことができる。このようにして、正確な測定対象物G1、G2のプロフィル等の光学的距離を検出することができる。
このように半導体レーザー等のレーザー光源21を直接変調することにより、測定対象物G1、G2から離れたファーフィールドに配置し且つ光軸Lに沿った方向に対して略垂直な面上でこの光軸Lを通る境界線Sを挟み区分けされた片側の領域において受光素子29Aによりこの走査ビームを受光して検出(光電変換)することで、測定対象物G1、G2の光学的距離を簡単に検出できる。この一方、前記区分けされた領域と逆側の領域では、受光素子29Bにより位相が反転した量として走査ビームを受光して検出(光電変換)できる。このため、両方の領域の位相情報を独立して検出した後にこれら位相情報の平均値を算出すれば、ノイズ等の影響を軽減することができる。
他方、半導体レーザー等のレーザー光源21に加える変調信号を正弦波的な信号ではなく、DSB変調による変調信号としてもよい。この場合、実質的に2つの正弦波の和で変調したことに相当するが、これらの2つの正弦波によるビート信号に相当する周波数で検波すれば、上記した信号処理を行うことができる。この際、2つの正弦波が同時に受けるノイズ成分は、さらにビート信号の形で検波することによって、軽減することができる。
また、上記実施例に高い空間周波数情報と0次回折光を実質上お互いに平行シフトして重ねることにより、実質的に解像度を向上させる技術を適用することもできる。このように、レーザー光源21を直接変調することにより、外乱光や走査デバイス等を駆動する電源ノイズの影響を受けない。そして、音響光学素子等の外部変調素子を用いることも必要なくなるので、位相情報を有した物体を簡単に可視化することが可能となる。
特に、細胞のように屈折率がわずかに異なるような物質で構成されるような物体を可視化するには、極めて微弱な検出信号となり、ノイズは極力抑え、信号を増幅しなくてはならない。このような場合、ノイズの帯域からできるだけ離れた周波数領域で信号を取得することが必要となる。
このために、変調を行い、検出信号部分を増幅することによりSN比の良好な信号を得ることができるようになる。また、透過光学系の場合には、細胞や微小生物等の可視化を簡単な装置で実現できるので、ミクロな3次元デジタイザーとして教育やホビーで利用することができる。このようにすると、昨今の3次元プリンタと前述の実施例による装置とを組み合わせて使用することにより、生きたままの状態で染色等の処理をせずに、簡単に細胞分裂の経過や微小生物の細胞内部の器官の3次元立体像を、3次元模型として表すことができるようになる。
次に、本発明に係る光学的距離計測装置の実施例3を以下に図5を参照しつつ説明する。本実施例は、反射光学系の装置及び透過光学系の装置に適用できるものである。
実施例1、2では、受光素子群29を構成する受光素子29A、29Bが、走査ビームLAの光軸Lに沿った方向に対して略垂直な面上であってこの光軸Lを通る境界線Sを挟んで、2分割された領域にそれぞれ位置されている。これに対して本実施例では、測定対象物G1、G2の面内の水平方向及び垂直方向でそれぞれの情報を取得可能なように、図5に示す4分割された受光素子29A〜29Dとした。
つまり、境界線Sとこの境界線Sに対して照射光の光軸L上で交差する交差境界線KSとで区画された各領域内に受光素子29A〜29Dを配置することとした。そして、測定対象物G1、G2の面内の水平方向及び垂直方向それぞれの情報をこれら4つの受光素子29A〜29Dで個々に取得することにより、より詳細なデータが得られることになる。さらにこれだけで無く、これらの内のいずれか1つの受光素子でも位相情報を十分に取得する事が可能となる。これに伴い、より小型で低コストの受光素子を採用しても良くなり、この小型の受光素子が受光した僅かな位相情報であっても、計測部が必要な計測値を得ることができる。尚、本実施例では4分割の領域に分けたが、4分割以上の領域に分けて4つ以上の受光素子を採用した構造としても良い。
[比較例]
次に、本発明に係る光学的距離計測装置の比較例を以下に図6及び図7を参照しつつ説明する。本実施例は、2つの走査ビームを走査する反射光学系の装置とされている。図6は、本実施例に係る反射光学系の装置を示すブロック図である。
この図6に示すように、本実施例においても、実施例1とほぼ同様の光学系とされている。具体的には、実施例1と同様に、レーザー光源21、コリメーターレンズ22、瞳伝達レンズ系25、2次元走査デバイス26、ビームスプリッター27等が順に配置されている。
但し、この図6に示すように、本実施例では、コリメーターレンズ22と瞳伝達レンズ系25との間に、音響光学素子(AOD)43が配置されている。また、この音響光学素子43にAODドライバー44が接続されて音響光学素子43の動作がこのAODドライバー44により制御されている。この一方、本実施例では、レーザー光源21に図1に示すドライブ回路23が接続されていないことから、レーザー光源21から照射される照射光が変調されることがない。そして、音響光学素子43及びAODドライバー44が本実施例では変調素子となる。
他方、光軸Lが通過する方向に対して直交する方向であって受光素子群29と反対側の偏光ビームスプリッター27の隣の位置には、受光素子群28が配置されている。この受光素子群28も2つの受光素子28A及び受光素子28Bにより構成されている。そして、受光素子群29からの信号を比較する信号比較器33にこの受光素子群28も接続され、この信号比較器33が、最終的にデータを処理して測定対象物G1のプロフィル等を得るデータ処理部34に繋がっている。
この一方、この音響光学素子43には、AODドライバー44より、sin(2πfct)sin(2πfmt)のようなDSB変調信号が変調信号として加えられる。この様な変調を行うと、fc+fmとfc-fmの2つの周波数変調が加えられたことになる音響光学素子43は、ブラッグ回折格子のピッチdに相当する音波の粗密波を発生する。すなわち、超音波の速度をVa、印加する周波数をfとすると、d=Va/fとなる。具体的には、この粗密波により、音響光学素子43に入射されたレーザー光であるビームは、±1次回折光に分離され、各々の回折光は周波数fc±fmの周波数で変調される。たとえば、音響光学素子43の材料としてTeO2が用いられるが、この材料の音速は、660m/sである。
ここで、2つの周波数変調が加えられたことになる音響光学素子43は、相互に周波数の異なる2つのビームを生じさせ、瞳伝達拡大レンズ系25を通過し2次元走査デバイス26に送られる。さらに、対物レンズ31の瞳位置に共役にする瞳伝達レンズ系30により、この2次元走査デバイス26からの2つのビームが走査ビームLA、LBとされ、これら走査ビームLA、LBは、角度差を有した±1次回折光として対物レンズ31に入射する。このようにして、図7の実線で示す走査ビームLAおよび点線で示す走査ビームLBのように、非常に接近して相互に同一径とされる2つの走査ビームを得ることができる。
図6および図7に示す測定対象物G1で反射されたこの2つの走査ビームLA、LBは、対物レンズ31、瞳伝達レンズ系30および偏光ビームスプリッター27を介して、受光素子群29を構成する受光素子29A、29Bに導かれる。この受光素子群29を2次元走査デバイス26の位置と共役な位置に配しておくと、2つの走査ビームLA、LBは同じ位置に戻るので、2つの走査ビームLA、LBの位相差δがビート信号として検出される。
また、受光素子群29と偏光ビームスプリッター27を挟んで対向して配置されている受光素子群28の受光素子28A、28Bも図示しない光電変換部を有した構造とされている。このため、音響光学素子43で生じる回折光の入射ビームのビート信号がこの受光素子群28に入射されて、受光素子28A、28Bの光電変換部により検出される。つまり、音響光学素子43までに光学系等で生じた位相差を受光素子28A、28Bの光電変換部により検出することになるので、この受光素子群28は位相の基準を与える役割をしている。
従って、第1実施例と同様に、受光素子29A、29Bでそれぞれ光電変換された各々の位相情報の信号及び、受光素子28A、28Bでそれぞれ光電変換された各々の基準信号に基づいて信号比較器33がこれら信号を比較し、最終的にデータを処理してデータ処理部34が測定対象物G1のプロフィル等の光学的距離の計測値を得る。但し、本実施例においても前記実施例と同様に、境界線で区分けされた片側にある一方の受光素子29Aのみ或いは他方の受光素子29Bのみでも位相情報を検出できるので、受光素子は一つであっても良い。
以上より、本実施例によっても、面内の分解能が高く、しかも面外において高さや屈折率分布に対する分解能が高く、また、通常の結像光学系では取得不可能な空間周波数を取得して測定対象物G1の有する空間周波数情報を正確に再現することで、実効上分解能が高く空間周波数の欠損のない光学的距離計測装置が提供されるようになる。尚、本実施例では、反射光学系の装置の例で説明したが、反射光学系の装置だけでなく、透過光学系の装置にも適用できるものである。
さらに、上記実施例では、各受光素子が境界線で区画された何れかの側に位置しているが、境界線を跨いで受光素子を配置しても良い。この場合でも、境界線の片側にずれた形で受光素子が位置していれば良い。また、半導体レーザーとされるレーザー光源21を直接変調するかわりに、上述した音響光学素子43を用いて2つの走査ビームが走査することで、図3、図4に示す透過光学系に準じたものとしてもよい。
他方、繰り返しとなるが、前述の実施例1、2のようにドライブ回路23によりレーザー光源21を直接変調する場合には、レーザー光源21を半導体レーザーとすれば良く、照射光は1つとなる。この際、変調は単一周波数による変調やDSB変調が可能である。また、比較例のように音響光学素子(AOD)43によりレーザー光源21を外部変調する場合には、レーザー光源21を半導体レーザー、ガスレーザー、固体レーザー等とすれば良く、音響光学素子43を通過した照射光は1つ又は2つとなる。すなわち、単一変調であれば照射光は1つであり、DSB変調であれば照射光は非常に相互に接近した2つとなる。さらに、図示しない電気光学変調素子によりレーザー光源21を外部変調することも考えられる。この場合には、レーザー光源21を半導体レーザー、ガスレーザー、固体レーザー等とすれば良く、電気光学変調素子を通過した照射光は1つとなる。この際も、変調は単一周波数による変調やDSB変調が可能である。
なお、上記の各場合において、前述したように1つの照射光の有する周波数は、「光の振動数+キャリア周波数fc」であり、2つの照射光の有する周波数は、「光の振動数+キャリア周波数fc±変調周波数fm」となる。
以上、本発明に係る各実施例を説明したが、本発明は前述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。