JP6622635B2 - 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池モジュールならびに燃料電池装置 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池モジュールならびに燃料電池装置 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池モジュールならびに燃料電池装置に関する。
従来、固体酸化物形燃料電池セルとして、固体電解質層の対向する一方の主面に、燃料ガスが供給される燃料極層、および導電性支持体が設けられるとともに、他方の主面に酸素含有ガスが供給される酸素極層が設けられてなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、中空平板型のセルとして、導電性支持体の一方側の平坦部に、燃料極層と固体電解質層と酸素極層とがこの順に積層され、他方側の平坦部にインターコネクタが積層されており、セルの一端部における導電性支持体の表面に、導電性支持体の酸化を抑制するため、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩を主成分として含有する酸化抑制層が設けられたものが記載されている。
国際公開第2010/050330号
しかしながら、特許文献1の導電性支持体の一端部においては、燃料ガス流路から排出された燃料ガスの燃焼によって温度が高くなり、燃料ガス流路の内壁と導電性支持体の端面との角部において、導電性支持体と酸化抑制層との熱膨張差が大きくなるので、この導電性支持体の角部においてクラックが生じるおそれがあった。
本発明は、導電性支持体におけるクラックの発生を抑制できる固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池モジュールならびに燃料電池装置を提供することを目的とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、燃料ガス流路が内部に設けられており、一対の主面と一対の側面とを有する平板状であり、鉄族金属成分を含む導電性支持体と、該導電性支持体の少なくとも一方主面上に設けられた燃料極層と、該燃料極層を覆っており、前記導電性支持体の前記一方主面から前記一対の側面にかけて設けられた固体電解質層と、該固体電解質層上で、前記燃料極層と対向するように設けられた空気極層と、を有しており、前記導電性支持体の一端部に酸化抑制層が設けられており、前記酸化抑制層は、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含むケイ酸塩を主成分として含有しており、前記燃料ガス流路の内壁と前記導電性支持体の端面との角部における前記酸化抑制層の厚みが、他の部分より薄いことを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、内部に燃料ガス流路が設けられており、鉄族金属成分を含み、燃料極層を兼ねる導電性支持体と、該導電性支持体上に設けられた固体電解質層と、該固体電解質層上に設けられた空気極層と、を有しており、前記導電性支持体の一端部に酸化抑制層が設けられており、前記酸化抑制層は、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含むケイ酸塩を主成分として含有しており、前記燃料ガス流路の内壁と
前記導電性支持体の端面との角部における前記酸化抑制層の厚みが、他の部分より薄いことを特徴とする。
本発明の燃料電池モジュールは、上記の固体酸化物形燃料電池セルを、収納容器内に複数個収納してなることを特徴とする。
本発明の燃料電池装置は、上記の燃料電池モジュールと、該燃料電池モジュールを作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることを特徴とする。
本発明の固体酸化物燃料電池セルでは、燃料ガス流路の内壁と導電性支持体の端面との角部における酸化抑制層の厚みが、他の部分より薄いので、導電性支持体と酸化抑制層との熱膨張差によるクラックの発生を抑制することができ、長期信頼性を向上できる。このような固体酸化物形燃料電池セルを燃料電池モジュールおよび燃料電池装置に用いることにより、長期信頼性を向上できる。
セルの一例を示すもので、(a)は横断面図、(b)は(a)の一部断面斜視図である。 図1に示すセルの一端部における一部断面斜視図である。 図1に示すセルの一端部を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は(a)中の破線部Aの拡大図である。 図3に示したセルの他の例を示す、セルの一端部の拡大断面図である。 燃料電池モジュールを示す外観斜視図である。 燃料電池装置を概略的に示す概略図である。
図1(a)は中空平板型のセル1の横断面を示し、(b)はセル1の一部を破断して示す斜視図である。なお、(a)は後述する発電部での横断面を示しており、(b)は発電部で破断したセル1の斜視図である。また、両図面において、セル1の各構成を一部拡大等して示している。
図1に示すセル1は、一対の主面(図1(a)においてnで示す)を有し、内部に長さ方向Lに貫通する燃料ガスを流通させるための複数の燃料ガス流路7を有する柱状の導電性支持体2を備え、この導電性支持体2の一方主面n上に、燃料極層3と固体電解質層4と酸素極層5とがこの順に積層され、他方主面n上にインターコネクタ6が積層されて構成されている。なお、導電性支持体2が燃料極層3を兼ねる構成とすることもできる。以下の説明では、導電性支持体2と燃料極層3とをそれぞれ有する構造を用いて説明する。
より詳細には、導電性支持体2は一対の主面nと両端の一対の側面(一対の弧状部)mとから構成され、一方の主面nと両端の一対の側面mを覆うように燃料極層3が積層され、この燃料極層3を覆うように、緻密質な固体電解質層4が積層されている。また、固体電解質層4の上には、中間層8を介して、燃料極層3と対面するように酸素極層5が積層されている。また、燃料極層3および固体電解質層4が積層されていない他方主面nの表面には、インターコネクタ6が積層されている。なお燃料極層3および固体電解質層4は、一対の側面mを経由してインターコネクタ6の両サイドにまで延びており、導電性支持体2の表面が外部に露出しないように構成されている。
ここで、図1に示すセル1は、燃料極層3の酸素極層5と対面(対向)している部分が発電部として機能する。すなわち、酸素極層5の外側(セル1の外側)に空気等の酸素含
有ガスを流し、かつ導電性支持体2の燃料ガス流路7に燃料ガス(水素含有ガス)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより発電する。そして、かかる発電によって生じた電流は、導電性支持体2上に積層されたインターコネクタ6を介して集電される。以下、図1に示すセル1を構成する各部材について説明する。
導電性支持体2は、燃料ガスを燃料極層3まで透過させるためにガス透過性であること、インターコネクタ6を介して集電を行なうために導電性であることが要求されることから、鉄族金属成分を含有する。具体的には、鉄族金属成分としては、安価であることおよび燃料ガス中で安定であることから、Niおよび/またはNiOを含有することが好ましい。またあわせて特定の希土類元素酸化物を含むこともできる。希土類元素酸化物は、導電性支持体2の熱膨張係数を固体電解質層4の熱膨張係数に近づけるために用いられ、Niおよび/またはNiOとの固溶、反応が殆どなく、また、熱膨張係数が固体電解質層4と殆ど同程度であり、かつ安価であるという点から、Yが好ましい。
また、導電性支持体2の良好な導電率を維持し、かつ熱膨張係数を固体電解質層4と近似させるという点で、Ni:Y=35:65〜65:35の体積比で存在することが好ましい。なお、導電性支持体2中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で、他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
また、導電性支持体2は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が20〜50%の範囲にあることが好ましい。また、導電性支持体2の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
なお、導電性支持体2の主面nの長さ(導電性支持体2の幅方向の長さ)は、通常、15〜35mm、側面mの長さ(弧状部の弧の長さ)は、2〜8mmであり、導電性支持体2の厚み(一対の主面n間の厚み)は1.5〜5mmであることが好ましい。
燃料極層3は、電極反応を生じさせるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスにより形成されるのが好ましい。例えば、希土類酸化物が固溶したZrOまたは希土類酸化物が固溶したCeOと、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。
燃料極層3中の希土類酸化物が固溶したZrOまたは希土類酸化物が固溶したCeOの含量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNiあるいはNiOの含量は、65〜35体積%であるのが好ましい。さらに、この燃料極層3の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。
固体電解質層4は、3〜15モル%のY、Sc、Yb等の希土類元素酸化物を含有した部分安定化あるいは安定化ZrOからなる緻密質なセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素酸化物としては、安価であるという点からYが好ましい。また、La(ランタン)、Sr(ストロンチウム)、Ga(ガリウム),Mg(マグネシウム)を含んでなるLSGM系の固体電解質層4とすることもできる。さらに、固体電解質層4は、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが1〜50μmであることが好ましい。
酸素極層5は、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスにより形成されるのが好ましい。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにLaが存在するLaMnO系酸化物、LaF
eO系酸化物、LaCoO系酸化物の少なくとも1種が好ましく、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaCoO系酸化物が特に好ましい。なお、上記ペロブスカイト型酸化物においては、AサイトにLaとともにSrやCa(カルシウム)が存在してもよく、またLaに代わって、Sm(サマリウム)やSrが存在しても良い。さらに、Bサイトに、Co(コバルト)とともにFe(鉄)やMn(マンガン)が存在しても良い。
また、酸素極層5は、ガス透過性を有する必要があり、従って、酸素極層5を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、酸素極層5の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
図1に示すセル1においては、固体電解質層4と酸素極層5との間に、長時間の発電におけるセル1の発電性能の劣化を抑制することを目的として、(CeO1−x(REO1.5(REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数)で表される中間層8を設けることもできる。
一方、導電性支持体2の他方主面nには、インターコネクタ6と導電性支持体2との間の熱膨張係数差を軽減するために燃料極層3と類似する組成の密着層9を設けることができる。
そして、上記の酸素極層5と向かい合う位置において、密着層9を介して導電性支持体2上に設けられているインターコネクタ6は、導電性セラミックスにより形成されるのが好ましいが、燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が使用される。また、導電性支持体2の内部を通る燃料ガスおよび導電性支持体2の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。なお、インターコネクタ6はセルの形状にあわせて、金属製とすることもできる。また、インターコネクタ6の厚みは、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、10〜500μmであることが好ましい。
ところで、図1に示したセル1においては、燃料電池セル1の一端部が、導電性支持体2上に燃料極層3と固体電解質層4とがこの順で積層されており、酸素極層5が形成されていない非発電部として構成されている。
このような非発電部においては、セル1の外側を流れる酸素含有ガス(空気等)が逆流し、導電性支持体2の一部(一端部側)や燃料極層3の一端部側が酸化して、セル1が破損するおそれがある。
それゆえ、図1〜3に示すセル1においては、非発電部の一端部における少なくとも導電性支持体2上に、酸化抑制層10が設けられている。
このような酸化抑制層10は、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含むケイ酸塩を主成分として含有する。
ここで、酸化抑制層10の主成分である周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩(以下、単にケイ酸塩と略す場合がある。)としては、例えば、周期律表第2族元素としてMgを含有するフォルステライト(MgSiO)、ステアタイト
(MgSiO)、アケルマナイト(CaMgSiO)、ディオプサイト(CaMgSiO)や、周期律表第2族元素としてCaを含有するワラストナイト(CaSiO)、アノーサイト(CaAlSi)、ゲーレナイト(CaAlSiO)、周期律表第2族元素としてBaを含有するセルシアン(BaAlSi)等を例示することができる。特には、フォルステライト(MgSiO)、ステアタイト(MgSiO)およびワラストナイト(CaSiO)のいずれか一種を用いることが好ましく、特にはフォルステライト(MgSiO)を用いることが好ましい。
ところで、導電性支持体2の一端部においては、燃料ガス流路7から排出された燃料ガスの燃焼によって温度が高くなり、燃料ガス流路7の内壁と導電性支持体2の端面との角部において、導電性支持体2と酸化抑制層10との熱膨張差が大きくなるので、この導電性支持体2の角部においてクラックが生じるおそれがあった。
図2は、図1で示したセル1の一端部における斜視図であり、図3(a)は、セル1の一端部における縦断面図であり、図3(b)は図3(a)中の破線部Aの拡大図である。
図2に示したセル1においては、導電性支持体2上に燃料極層3と固体電解質層4とがこの順に積層されており、酸素極層5が形成されていない非発電部において、固体電解質層4とインターコネクタ6とを覆うように酸化抑制層10が設けられており、また図3(a)に示すように、導電性支持体2の端部においては、導電性支持体2の燃料ガス流路7の内壁を覆うように酸化抑制層10が設けられ、さらには、セル1の端面に位置する、導電性支持体2の端面、燃料極層3の端面、固体電解質層4の端面、インターコネクタ6の端面、密着層9の端面を覆うように酸化抑制層10が設けられている。但し、前述したように、燃料ガス流路7の内壁と導電性支持体2の端面との角部における酸化抑制層10の厚みは、他の部分より薄い。それにより、燃料ガス流路7の内壁と導電性支持体2の端面との角部において、導電性支持体2と酸化抑制層10との熱膨張差によるクラックの発生を抑制することができる。従って、セル1の長期信頼性を向上させることができる。
なお、酸化抑制層10は、その厚みを適宜設定することができ、例えば、燃料ガス排出側である一端部における導電性支持体2の端面の酸化抑制層10はその厚みを20〜120μmとすることができ、燃料ガス排出側である一端部における燃料ガス流路7内における導電性支持体2上の酸化抑制層10は、その厚みを20〜60μmとすることができる。なお、この場合においては、固体電解質層4上およびインターコネクタ6上の酸化抑制層10は、その厚みを20〜60μmとすることができる。それにより、燃料ガス排出側である一端部における導電性支持体2の酸化を抑制することができるとともに、燃料ガス排出側である一端部の強度を向上することができ、セル1の破損を抑制することができる。
なお、燃料ガス流路7の内壁と導電性支持体2の端面との角部においては、酸化抑制層10の厚みは、10〜30μmとするとよい。
図4は、図3に示したセルの他の例を示す、セルの一端部の拡大断面図である。図4において、燃料ガス流路7の内壁と導電性支持体2の端面との角部に、酸化抑制層10が設けられていない。これによれば、さらに、燃料ガス流路7の内壁と導電性支持体2の端面との角部において、導電性支持体2と酸化抑制層10との熱膨張差によるクラックの発生を抑制することができる。
以上説明した中空平板型のセル1の製法について説明する。先ず、NiまたはNiOの粉末と、Yの粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形により、一対の平坦部と両端の弧状部を有する導電性支持体2成形体
を作製し、これを乾燥する。なお、導電性支持体2成形体として、導電性支持体2成形体を900〜1000℃にて2〜6時間仮焼した仮焼体を用いてもよい。
次に、例えば所定の調合組成に従いNiO、Yが固溶したZrO(YSZ)の素原料を秤量、混合する。この後、混合した粉体に、有機バインダーおよび溶媒を混合して燃料極層3用スラリーを調製する。
さらに、希土類酸化物が固溶したZrO粉末に、トルエン、バインダー、市販の分散剤等を加えてスラリー化したものをドクターブレード等の方法により、3〜75μmの厚さに成形してシート状の固体電解質層4成形体を作製する。得られたシート状の固体電解質層4成形体上に燃料極層3用スラリーを塗布して燃料極層3成形体を形成し、この燃料極層3成形体側の面を導電性支持体2成形体の一方主面から両方の側面にかけて積層する。なお、他方主面の一部にまで積層してもよい。
続いて、例えば、GdO1.5が固溶したCeO粉末を800〜900℃にて2〜6時間、熱処理を行い、その後、湿式解砕して凝集度を5〜35に調整した中間層8成形体用の原料粉末を用いて中間層8用スラリーを作製し、このスラリーを固体電解質層4成形体上の所定の位置に塗布して中間層8の塗布膜を形成する。
次に、例えば所定の調合組成に従いNiO、Yが固溶したZrO(YSZ)の素原料を秤量、混合する。この後、混合した粉体に、有機バインダーおよび溶媒を混合して密着層9用スラリーを調製する。
続いて、インターコネクタ6用材料(例えば、LaCrO系酸化物粉末)、有機バインダーおよび溶媒を混合してスラリー化したものをドクターブレード等の方法により成形してシート状のインターコネクタ6成形体を作製する。
インターコネクタ6成形体の一方側表面に、密着層9用スラリーを塗布し、その密着層9用スラリーを塗布した面を、燃料極層3成形体および固体電解質層4成形体が形成されていない導電性支持体2成形体の他方主面に積層する。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1400〜1600℃にて2〜6時間、同時焼結(同時焼成)する。
続いて、平均粒径0.3〜3μmの原料粉である周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含んでなるケイ酸塩(例えば、フォルステライト等)95wt%以上と、ガラス成分と、溶媒等とを含有する溶液に、酸化抑制層10を設ける部位を浸漬する。そして、燃料ガス流路の内壁と導電性支持体の端面との角部に位置する酸化抑制層10用材料を治具で除去する。このようにして酸化抑制層10成形体を作製し、焼成することで、酸化抑制層10を作製できる。なお、酸化抑制層10を焼成するにあたって、同時焼成温度より200℃以上低いことが好ましく、例えば1200℃〜1400℃で行うことが好ましい。
続いて、酸素極層5用材料(例えば、LaCoO系酸化物粉末)、溶媒及び造孔材を含有するスラリーをディッピング等により中間層8上に塗布する。次に1000〜1300℃で、2〜6時間焼き付けることにより、図1に示す構造のセル1を製造できる。なお、セル1は、その後、内部に水素含有ガスを流し、導電性支持体2および燃料極層3の還元処理を行なうのが好ましい。その際、たとえば750〜1000℃にて5〜20時間還元処理を行なうのが好ましい。
以上のような製造方法により、導電性支持体2の燃料ガス排出側である一端部に酸化抑
制層10が設けられておりつつ、燃料ガス流路7の内壁と導電性支持体2の端面との角部において他の部分より厚みが薄い酸化抑制層10が設けられていないセル1を容易に作製することができる。
図5は、燃料電池モジュールの一例を示す(以下、モジュールと略す場合がある)の外観斜視図であり、同一の構成については同一の符号を用いるものとする。
モジュール11は、直方体状の収納容器12の内部に、本発明の一例である中空平板型のセル1を複数立設させた状態で所定間隔をおいて配列し、隣接する燃料電池セル1間に集電部材(図示せず)を配置して電気的に直列に接続してセルスタック14を構成するとともに、セル1の下端をガラスシール材等の絶縁性接合材(図示せず)でマニホールド13に固定してなる燃料電池セルスタック装置17を収納容器12に収納して構成されている。
図5においては、セル1の発電で使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器18をセルスタック14(セル1)の上方に配置している。なお、図5に示した改質器18は、水を気化するための気化部16と改質触媒を備える改質部15とを具備しており、それにより効率の良い水蒸気改質を行うことができる。そして、改質器18で生成された燃料ガスは、ガス流通管19によりマニホールド13に供給され、マニホールド13を介してセル1の内部に設けられた燃料ガス流路7に供給される。なお、燃料電池セルスタック装置17は改質器18を含むものとしてもよい。
なお、図5においては、収納容器12の一部(前後面)を取り外し、内部に収納される燃料電池セルスタック装置17を後方に取り出した状態を示している。ここで、図5に示したモジュール11においては、燃料電池セルスタック装置17を、収納容器12内にスライドして収納することが可能である。
なお、収納容器12の内部には、マニホールド13に並置されたセルスタック14の間に配置され、酸素含有ガス(酸素含有ガス)が集電部材の内部を介して燃料電池セル1の側方を下端部から上端部に向けて流れるように、酸素含有ガス導入部材20が配置されている。
このようなモジュール11においては、収納容器12内に、上述したようなセル1を複数個収納してなることから、信頼性の向上したモジュール11とすることができる。
図6は、燃料電池装置21の一例を示す分解斜視図である。なお、図6においては一部構成を省略して示している。
図6に示す燃料電池装置21は、支柱22と外装板23から構成される外装ケース内を仕切板24により上下に区画し、その上方側を上述したモジュール11を収納するモジュール収納室25とし、下方側をモジュール11を動作させるための補機類を収納する補機収納室26として構成されている。なお、補機収納室26に収納する補機類を省略して示している。
また、仕切板24は、補機収納室26の空気をモジュール収納室25側に流すための空気流通口27が設けられており、モジュール収納室25を構成する外装板23の一部に、モジュール収納室25内の空気を排気するための排気口28が設けられている。
このような燃料電池装置21においては、上述したように、信頼性の向上した燃料電池
セル1を収納容器12内に収納してなるモジュール11をモジュール収納室25内に収納して構成されることにより、信頼性の向上した燃料電池装置21とすることができる。
1:セル
2:導電性支持体
3:燃料極層
4:固体電解質層
5:酸素極層
6:インターコネクタ
7:燃料ガス流路
8:中間層
10:酸化抑制層
11:燃料電池モジュール
21:燃料電池装置

Claims (5)

  1. 内部に燃料ガス流路が設けられており、鉄族金属成分を含む導電性支持体と、
    該導電性支持体の少なくとも一方主面上に設けられた燃料極層と、
    該燃料極層を覆って設けられた固体電解質層と、
    該固体電解質層上で、前記燃料極層と対向するように設けられた空気極層と、を有しており、
    前記導電性支持体の一端部に酸化抑制層が設けられており、
    前記酸化抑制層は、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含むケイ酸塩を主成分として含有しており、
    前記燃料ガス流路の内壁と前記導電性支持体の端面との角部における前記酸化抑制層の厚みが、他の部分より薄いことを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
  2. 内部に燃料ガス流路が設けられており、鉄族金属成分を含み、燃料極層を兼ねる導電性支持体と、
    該導電性支持体上に設けられた固体電解質層と、
    該固体電解質層上に設けられた空気極層と、を有しており、
    前記導電性支持体の一端部に酸化抑制層が設けられており、
    前記酸化抑制層は、周期律表第2族元素のうち少なくとも1種を含むケイ酸塩を主成分として含有しており、
    前記燃料ガス流路の内壁と前記導電性支持体の端面との角部における前記酸化抑制層の厚みが、他の部分より薄いことを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
  3. 前記燃料ガス流路の内壁と前記導電性支持体の端面との角部に、前記酸化抑制層が設けられていないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池セルを、収納容器内に複数個収納してなることを特徴とする燃料電池モジュール。
  5. 請求項4に記載の燃料電池モジュールと、該燃料電池モジュールを作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることを特徴とする燃料電池装置。
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