JP6622062B2 - オイルシール - Google Patents

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Description

本発明は、自動車やオートバイ、その他の各種機械における回転部や往復動部などに使用されるオイルシールに関する。
従来から、自動車やオートバイ、その他の各種機械における回転部や往復動部などにおいて、当該部位に封入された所定の流体(封入流体)、例えば、部品同士が相互に接触して摩擦が生じることによる抵抗の増大や焼付きなどを防止するための潤滑剤(潤滑油やグリース等)、薬液やガスなどの外部への漏洩を防止すべく、各種の密封部材を用いて封入流体の封止が図られている。同時に、かかる密封部材は、封入流体に対する外部からの異物(塵埃や泥水等)の混入も防止している。
には、このような密封部材の一つであるオイルシールの構成を例示している。オイルシール1は、所定の円筒状のハウジング3と、軸受などにより保持され、当該ハウジング3に対して回転等する回転軸2との間に介在するように設けられ、ゴム製のシールリリップ4及び取付嵌着部aと、取付嵌着部aからシールリップ4に向けて一体に成形された断面L字形の補強金具6とから構成されている。シールリリップ4は、軸方向、大気側A側にダストリップ4b、密封空間B側に主リップ4aを備え、ハウジング3に取り付けた状態で回転軸2に摺接する。ハウジング3内のオイルは、オイルシール1の主リップ4aにより外側への流出が防止され、外側の水や塵埃は、ダストリップ4bによりハウジング3内への流入が防止される。
また、シールリップ4の主リップ4aを回転軸2の外周面に対して緊密に摺接(密接)させるべく、環状の締付部材(ガータースプリング)7をオイルシール1に装着することで、主リップ4aを縮径方向へ締め付けて圧接させている。
ところで、回転軸2の外周面にシールリップ4の主リップ4aを摺接させると、その摺動摩擦による発熱が生じる。このため、熱伝導性が極めて低いゴムを材料とするオイルシール1のシールリップ4が劣化して、密封性の低下を招く虞があった。
そこで、特許文献1に示されるように、回転軸2と主リップ4aとの間に潤滑油膜を形成させてオイルシールの劣化及び密封性の低下を防止する技術思想として、主リップ4aの摺接相手である回転軸2に対する直接的な摺接面40に複数の油を潤滑剤とする潤滑剤溜め用の複数の凹部41を設けるオイルシールや、或いは、主リップ4aの回転軸2との摺接面に複数の潤滑剤溜め用の凹部を設けるオイルシールが従来から知られている。
特開平6−34054号公報
しかしながら、このようなオイルシールは、回転軸の摺接面に複数の潤滑剤溜め用の凹部の位置や深さを特定して製造することが必要であるため容易ではなくコスト高を招くことになる。また、主リップに潤滑剤溜め用の凹部を形成した場合、回転軸との経時的磨耗によって凹部深さが浅くなると、十分な油溜めが出来なくなり、状態によってはシールリップと回転軸の摺接面から潤滑剤が失われ、良好な潤滑が維持できなくなるという虞がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、シールリップに対して潤滑剤を滴下可能な潤滑剤溜め部を備え、シールリップと軸の間の良好な潤滑が維持されることにより、低トルクで耐久性に優れたオイルシールを提供することにある。
このような目的を達成するために、第1の発明は、相対回転可能に配される静止部材と回転部材との間に配され、前記回転部材の周面と摺接するシールリップを含む弾性部を有するオイルシールであって、前記弾性部には、前記シールリップよりも大径に形成されて軸方向で密封空間側に対向する面部が備えられており、前記面部には、潤滑剤溜め部を有し、前記潤滑剤溜め部は、径方向の上面と下面及び軸方向の前面が開放された、径方向に長尺の縦溝形状に形成され、前記面部の周方向で所定間隔をあけて複数個配設され、前記シールリップ方向に向けて潤滑剤を滴下可能な滴下領域を備え、前記滴下領域の径方向潤滑剤案内面は、前記シールリップにおける軸方向で密封空間側の端面と同一位置であることを特徴とする。
第2の発明は、相対回転可能に配される静止部材と回転部材との間に配され、前記回転部材の周面と摺接するシールリップを含む弾性部を有するオイルシールであって、前記弾性部には、前記シールリップよりも大径に形成されて軸方向で密封空間側に対向する面部が備えられており、前記面部には、潤滑剤溜め部を有し、前記潤滑剤溜め部は、径方向の上面と下面及び軸方向の前面が開放された、径方向に長尺の縦溝形状に形成され、前記面部の周方向で所定間隔をあけて複数個配設され、前記シールリップ方向に向けて潤滑剤を滴下可能な滴下領域を備え、前記滴下領域の径方向潤滑剤案内面は、前記シールリップにおける軸方向で密封空間側の端面よりも大気側に位置し、前記滴下領域の径方向下側に位置する前記シールリップの端部には、密封空間側に向けて除々に下降傾斜する潤滑剤受け面を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、シールリップに対して潤滑剤を滴下可能な潤滑剤溜め部を備え、シールリップと軸の間の良好な潤滑が維持されることにより、低トルクで耐久性に優れたオイルシールを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るオイルシールの部分拡大断面図である。 図1のオイルシールを軸方向で密封空間側からみたオイルシールの部分拡大図である。 本発明の他の実施形態に係るオイルシールの部分拡大断面図である。 従来のオイルシールの部分拡大断面図である。
以下、本発明のオイルシールについて、添付図面を参照して説明する。なお、本発明に係るオイルシールは、自動車やオートバイ、その他の各種機械における回転部や往復動部などにおいて、当該部位に封入された所定の流体(封入流体、例えば、部品同士が相互に接触して摩擦が生じることによる抵抗の増大や焼付きなどを防止するための潤滑油やグリース等の潤滑剤)や、薬液またはガスなどの外部への漏洩と、これら封入流体に対する外部からの異物(塵埃や泥水等)の混入を防止するための密封部材として使用されるが、その他の用途を特段排除するものではない。
図1には、本発明の一実施形態に係るオイルシール1の構成が示され、従来技術と同様の構成を有しているので、同様な構成部材には同様な符号を付している。
オイルシール1は、相対回転可能に配される静止部材(例えばハウジング3)と回転部材(例えば回転軸2)との間に配され、回転軸2の周面と摺接するシールリップ4を含む弾性部5と、弾性部5と一体に構成され、ハウジング3に固定する補強金具6とから構成されている。また、本実施形態では、潤滑剤として潤滑油を用いて説明をする。
なお、ハウジング3は図示形態に限定解釈されるものではなく、また、静止部材はハウジング以外の部材であってもよく本発明範囲内で設計変更可能である。さらに、回転部材は回転軸以外の部材であってもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
弾性部5は、ゴムなどの弾性部材で構成され、補助金具6の一部に一体に加硫成形され、補助金具6とともにハウジング3のオイルシール取付部3aに嵌着される取付嵌着部aを含む弾性被覆部51と、弾性被覆部51の内径側に一体に設けられている円環状の分岐部52と、分岐部52から連続して分岐されるシールリップ4とで構成されている。
シールリップ4は、分岐部52から連続して分岐され、軸方向で密封空間側Bに向けて備えられている主リップ4aと、同じく、分岐部52から連続して分岐され、軸方向で大気側Aに向けて備えられているダストリップ4bを備えている。
そして、取付嵌着部aと補助金具6を介してハウジング3に取り付けた状態で、主リップ4aとダストリップ4bが回転軸2に摺接している。これにより、主リップ4aにより大気側Aへの潤滑剤(潤滑油)の流出が防止され、大気側Aからの水や塵埃は、ダストリップ4bにより密封空間側Bへの流入が防止される。
取付嵌着部aは、ハウジング3のオイルシール取付部3aに嵌着され、大気側A方向への内圧を支えている。
主リップ4aは、分岐部52から連続し、軸方向で密封空間側Bの方向に向けて徐々に小径(縮径状)となる傾斜面を有する筒状の首部と、首部から連続し、その断面形状が径方向内方に向けて細くなる略V字形状で、その頂部がリップ先端となるリップ部gとで形成されている。
ダストリップ4bは、分岐部52から連続し、軸方向で大気側Aの方向に向けて徐々に小径(縮径状)となる傾斜面を有する筒状に形成され、その傾斜面の最小径部がリップ部として機能する。
また、シールリップ4の主リップ4aとダストリップ4bの間には、空間部分40が形成されている。
なお、シールリップ4を構成する主リップ4aとダストシールリップ4bの数や形状などは特に限定されず、任意に設定することが可能である。
弾性被覆部51は、分岐部52よりも鉛直方向(径方向)で外方に設けられ、第一の円環部61の密封空間側Bに位置する面部を被覆する第一の被覆部51aと、第一の被覆部51aから連続し、第一の円筒部62aの密封空間側Bに位置する面部を被覆する第二の被覆部51bと、第二の被覆部51bから連続し、第二の円筒部62bの密封空間側Bに位置する面部を被覆する第三の被覆部51cと、第三の被覆部51cから連続し、テーパ部62cの密封空間側Bに位置する面部を被覆する第四の被覆部51dとで構成されている。本実施形態では、第三の被覆部51cと第四の被覆部51dとで取付嵌着部aを構成している。
なお、第一の被覆部51aは、第一の円環部61の大気側Aに対向する面部61aの一部をも周方向に被覆している。本実施形態において大気側Aに対向する面部61aを被覆する第一の被覆部51aの大気側面部61bは、ダストリップ4bの最小径部(リップ先端側)よりも、軸方向で大気側Aに位置するように構成されている(図1参照)。
また、第二の被覆部51bと第三の被覆部51cとの間には、第二の被覆部51bから連続して径方向で上方に向けて形成され、第一の円筒部62aと第二の円筒部62bとの間に存する屈曲部62cを被覆する環状の屈曲部被覆領域53を備え、かつ屈曲部被覆領域53から第三の被覆部51cへと連続して形成される環状のくびれ部50を備えている。
従って、第二の被覆部51bと第三の被覆部51cと屈曲部被覆領域53とくびれ部50によって、補助金具6の折り重ね部62における密封空間側Bに位置する面部が被覆されている。
くびれ部50は、オイルシール1の取付嵌着部aを、その弾性に抗して押圧してハウジング3に嵌着する際の追従性を向上させている。また、補助金具6は、ハウジング3との嵌着部分だけを残して、その他の全領域を弾性部にて被覆する構成であってもよく任意である。
補強金具6は、少なくとも弾性部5と接していない一部が静止部材(ハウジング3)に接触して備えられている。また、折り重ねられて形成された折り重ね部62を少なくとも一部に備えており、折り重ね部62の少なくとも一部が弾性部5と接している。
なお、この補強金具6は、金属板(例えば、SPCC(Steel Plate Cold Commercial、冷間圧延鋼板などの鋼板)を、中心部位に所定径の孔部を有した一枚の円環状の板材をプレス成形して形成される。
補強金具6は、中心部位に存する孔部21から鉛直方向(径方向)に連続する小径の第一の円環部61と、当該第一の円環部61から軸方向で内方に連続して形成した小径の第一の円筒部62aと、当該第一の円筒部62aの内方の端部にて軸方向で外方に向けて折り曲げ、鉛直方向で第一の円筒部62aの上方に折り重なるようにして連続して形成した第一の円筒部62aよりも大径な第二の円筒部62bと、第二の円筒部62bから外方に向けて拡開状に連続して形成したテーパ部62cと、当該テーパ部62cから軸方向で外方に連続して形成した第二の円筒部62bよりも大径な第三の円筒部63と、当該第三の円筒部63から鉛直方向に連続して形成した大径の第二の円環部64と、を含んで構成されている。
また、第一の円筒部62a、第二の円筒部62b、及び第三の円筒部63にあっては、本実施形態では、回転軸2と平行に形成されている。
本実施形態では、上述したとおりの構成を有しているため、第一の円筒部62aと第二の円筒部62bとで折り重ね部62が構成されている。
また、ハウジング3のオイルシール取付部3a(軸方向)と、補強金具6の第三の円筒部63、及び、オイルシール取付部3b(径方向)と補強金具6の第二の円環部64とが、それぞれ直接的に面接触している。
また、オイルシール1には、主リップ4aを回転軸2との摺接方向(図1においては、下方向)へ締め付けるための締付部材(環状のバネ、例えばコイルバネ)であるガータースプリング7が、主リップ4aの背面に周にわたって形成された凹部に、シールリップ4と一体的に取付けられている。これにより、主リップ4aには回転軸2に対する締め代が付与され、ダストリップ4bには主リップ4aのものより小さな若干の締め代が付与されている。
このように本実施形態によれば、補助金具6の少なくとも一部に折り重ね部62が採用されるため、熱を伝達する金属部分が増加するとともに、その折り重ね部62の少なくとも密封空間側Bに位置する面部を弾性部5によって被覆しているため、弾性部5と補助金具6との接触面積が増加した。
これにより、熱伝導率が良い金属性の補助金具6を介して、大量の熱を直に放熱することができる。
したがって、軸回転時にシールリップ4と回転軸2の摺動で発生する熱は、補強金具6の、第一の円環部61に伝播され、第一の円環部61から第一の円筒部62aと第二の円筒部62bに伝播され、そしてテーパ部62cから第三の円筒部63を介してハウジング3へと伝播されて放熱される。また、第三の円筒部63から第二の円環部64を介してハウジング3へと伝播されて放熱される。
さらに、本実施形態では、補助金具6の大気側Aに面している面部は弾性部5によって被覆されていない構成を採用しているため、大気側Aに面した補強金具6の面部からも大気側Aに放熱することができる。
これにより、シールリップ4と回転軸2の摺動で発生する熱によるシールリップ4の劣化やクラックによる密封機能が下がるといった不具合を防止することできる。その結果、耐久性に優れたオイルシールを提供することができる。
また、この折り重ねられた第一の円筒部62aと第二の円筒部62bとが隙間なく接触して、熱の伝播経路を短くすると共に折り重ねによる接触面積を大きくしていることから、熱の伝播が早くされ放熱の効果が大きくなる。さらに、この折り重ね部分は、単に折り曲げ加工をするだけで良いことから、製造が容易で製造過程も短くなり安価で経済的なメリットがある。
図2は、図1のオイルシール1の弾性部5を密封空間側Bから示したもので、符号aからgで示す7つの円環状部分を示している。これら7つの円環状部分は、第三の被覆部51cと第四の被覆部51dのそれぞれの外径面で構成され、ハウジング3のオイルシール取付部3aに弾性部5が嵌着される面を表す円環状の取付嵌着部aと、第二の被覆部51bと第三の被覆部51cとの間に設けられている円環状の段差面bと、弾性被覆部51の屈曲部被覆領域53を構成する円環状の軸方向対向面(軸方向で密封空間側Bに対向する面部)cと、第一の被覆部51aから連続し、密封空間側Bに位置する面部を被覆する第二の被覆部51bを構成する円環状の軸方向対向面(軸方向で密封空間側Bに対向する面部)dと、主リップ4aの密封空間側Bに対向する円環状の端面4cにおける鉛直方向上部の端部を表す円環状の上端部eと、主リップ4aの円環状の端面4cにおける鉛直方向下部の端部を表す円環状の下端部fと、主リップ4aの頂部で、リップ先端を表す円環状のリップ部gとで構成される。
オイルシール1は、図1及び図2に示すように、弾性部5の屈曲部被覆領域53に潤滑剤(潤滑油)を溜める潤滑剤溜め部54が設けられている。
潤滑剤溜め部54は、屈曲部被覆領域53を構成する円環状の軸方向対向面(軸方向で密封空間側Bに対向する面部)cにおいて、周方向に所定間隔をあけて複数個(本実施形態では8個)備えられている。
潤滑剤溜め部54は、屈曲部被覆領域53の軸方向対向面cから大気側A方向に向けて凹設されており、軸方向対向面cから連続して凹設された径方向に長尺矩形状の左右の壁面53a,53aと、左右の壁面53a,53aにわたって架設された径方向に長尺矩形状の径方向内底面55aとを含み、径方向の上面と下面及び軸方向の前面が開放された径方向に長尺の縦溝形状に形成されている。すなわち、潤滑剤溜め部54は、幅(軸方向奥行き深さ)Dで、径方向長さW1を有する縦長の凹溝形状で、かつシールリップ4よりも大径に形成されている(図1及び図2参照)。
また、本実施形態では、それぞれの潤滑剤溜め部54の径方向内底面55aが、主リップ4aの軸方向で密封空間側Bに位置する端面4cと径方向で同一線上(同一面上)に位置するように回転軸の軸芯から放射状にそれぞれ構成されている(図1及び図2参照)。
潤滑剤溜め部54には、シールリップ4方向に向けて潤滑剤(潤滑油)を滴下可能な滴下領域W2を備えている。
滴下領域W2は、本実施形態にあっては、潤滑剤溜め部54の開放状の下面領域(左右の壁面53a,53aで囲まれた図1にて符号Dで示す幅の全領域)が相当する。
特に、左右の壁面53a,53a間に位置する径方向内底面55aに潤滑剤が付着し、潤滑剤はその径方向内底面55aに沿って開放状の下面領域へと流下するため、径方向内底面55aの下端の全領域が相当する。しかし、滴下する量によっては符号Dで示す幅領域一杯で潤滑剤が滴下することがあるため、潤滑剤溜め部54の符号Dで示す軸方向の幅領域一杯が滴下領域W2として機能するようにしている。
本実施形態によれば、潤滑剤溜め部54を主リップ4aの外径方向に備え、潤滑剤溜め部54の滴下領域W2、すなわち径方向内底面55aの下端領域が、主リップ4aの端面4cと径方向で同一線上(同一面上)に位置するように構成されているため、回転軸2の振動によって攪拌された潤滑剤が密封空間B内で拡散され、拡散された潤滑剤がそれぞれの潤滑剤溜め部54内に付着して溜められる。
そして、潤滑剤溜め部54に溜った(径方向内底面55aに付着した)潤滑剤は、回転軸2の振動を受けると、径方向内底面55aから流下し、滴下領域W2から主リップ4aの端面4cに向けて集中的に滴下させることができる。すなわち、潤滑剤は、主リップ4aの端面4cに滴下するとともに、端面4cに沿ってリップ部gに集中的に案内される。又、端面4cの直下の回転軸2上にも滴下するが、端面4c直下の回転軸2上は、主リップ4aと回転軸2の摺接箇所にきわめて近い箇所であるため、潤滑剤はリップ部gへと案内される。
従って、潤滑剤溜め部54に溜まった潤滑剤(潤滑油)により、シールリップ4と回転軸2の摺接する箇所に潤滑剤(潤滑油)が多く行き届き、シールリップ4と回転軸2の間の良好な潤滑が維持されることにより、低トルクで耐久性に優れたオイルシールを提供することができる。
なお、本実施形態において、潤滑剤溜め部54は、径方向の上面と下面、及び軸方向で密封空間側Bに対向する前面の3面のいずれも密封空間側Bに開放されているが、少なくとも、前面と上面のいずれか一方と、滴下領域W2の径方向の下面(図面では下側の符号Pの矢印方向)が開放されていれば良い。すなわち、潤滑剤が滴下する滴下領域W2が確保されていなければならないが、オイルシールの用途によっては、該滴下領域W2以外の前面(軸方向で密封空間側Bに対向する側)及び上面と下面(径方向で上下の面)のいずれかが開放されている潤滑剤溜め部54であっても本発明の実施形態の範囲内である。
本実施形態では、上述したとおり、周方向で8個の潤滑剤溜め部54を一定間隔で備えているが、実質的には、鉛直方向の上半分側(図2で水平方向に位置する左右の潤滑剤溜め部54を含めて上半分側の5個)の潤滑剤溜め部54が、潤滑剤溜め部54として機能する。すなわち、密封空間Bに密封されている潤滑剤(潤滑油)は、回転軸2の回転作動によってオイルシール1へと降り掛かり、それぞれの潤滑剤溜め部54へと潤滑剤が入り込むが、潤滑剤溜め部54は、静止部材であるハウジング3側に備えられているため、常に静止状態である。したがって、鉛直方向の上半分側(図2で水平方向に位置する左右の潤滑剤溜め部54を含めて上半分側の5個)の潤滑剤溜め部54に降り掛かって溜まった潤滑剤は、回転軸の振動により主リップ4a方向に向けて自然に滴下するが、鉛直方向の下半分側(図2で水平方向に位置する左右の潤滑剤溜め部54よりも下側に位置している2個)の潤滑剤溜め部54には、潤滑剤は溜まるが、主リップ4a方向に滴下することはないため潤滑剤溜め部としての機能は実質的に奏しない。
さらに、本実施形態のように潤滑剤溜め部54を周方向に均等間隔に8個を並設していることにより次のような特有の作用効果を発揮することが可能である。
ハウジング3と回転軸2との間にオイルシール1を配する工程において、特に位置合わせなどの面倒な工程を経ることなく、簡単にオイルシール1を配設することが可能である。すなわち、周方向にある8個のうちのいずれの潤滑剤溜め部54を回転軸2の鉛直方向の直上に位置するように配設したとしても、いずれかの潤滑剤溜め部54が必ず回転軸2の鉛直方向上側に位置するようにすることができる。これにより、オイルシール1の嵌める工程で、潤滑剤を主リップ4a方向に向けて滴下できる位置に問題なく嵌め込まれているか否かを作業者が気にしなくても済み、作業効率に支障が生じない効果がある。
なお、潤滑剤溜め部54の配設数や形状などは特に限定されず、任意に設定することが可能である。また、潤滑剤溜め部54の形状は、略正面視で矩形状としているが、台形、半楕円形等であっても良く、いずれの形状であっても本発明の範囲内である。
図3は本発明の他の実施の一形態を示す。
図3に示す実施形態では、潤滑剤の滴下領域W2が図3にて符号Dで示す軸方向の幅領域一杯であって、滴下領域W2内において、潤滑剤溜め部54の径方向内底面55aよりも、軸方向で密封空間側Bの方向に主リップ4aの端部4cが位置している形態を示している。
また、本実施形態では、径方向内底面55aの下方にて、鉛直方向で同一線上(同一面上)に位置する主リップ4aの上端縁から端面4cに向けて徐々に小径となるテーパ4dを設けている。ここでは、滴下領域W2を表す軸方向の幅Dにおける密封空間側B寄りの端部と、幅D内に入り込んだ主リップ4aの端面4cとの間の幅D1と、幅Dとの差分が、テーパ4dの傾斜を形成している。なお、本実施形態では、テーパ(平面の傾斜)としているが、丸みをもった曲面であっても構わず、シールリップ4と回転軸2の摺接する箇所に潤滑剤(潤滑油)が集中的に多く案内され、シールリップと軸との間の良好な潤滑が維持できるとの目的が達成可能であればそのテーパ形状には限定解釈されるものではない。
これにより、潤滑剤溜め部54から滴下する潤滑剤(潤滑油)(矢印P方向)は、テーパ4dに落ちて、これに沿って流れて、シールリップ4と回転軸2の摺接する箇所に潤滑剤(潤滑油)が多く行き届くオイルシールを提供することができる。
また、本実施形態では、シールリップ4のテーパ4dの傾斜の基端4daを、屈曲部被覆領域53の径方向内底面55aと同一線上(同一面上)に位置するように設定しているが、テーパ4dの傾斜の基端4daをガータースプリング7寄りにして、テーパ部分を大きくしても良い。これにより、回転運動等の振動によって滴下位置が多少ずれても広くなったテーパ4dにより潤滑剤(潤滑油)を受け止めることができ、シールリップ4と回転軸2の間の良好な潤滑が維持される。
以上、オイルシールの本来の効果として、オイルシールの屈曲部被覆領域53に窪んだ溝部からなる潤滑剤溜め部54を設けるとともに、シールリップ側にテーパ4dを設けることで、さらに、回転軸2との潤滑性を維持させ、回転軸2との摩擦力を低減(低トルク化)させることができ、耐久性に優れたオイルシールを提供することができる。
1 オイルシール
2 回転軸(回転部材)
3 ハウジング(静止部材)
4 シールリップ
5 弾性部
6 補強金具
7 ガータースプリング
54 潤滑剤溜め部
A 大気側
B 密封空間
W2 滴下領域

Claims (2)

  1. 相対回転可能に配される静止部材と回転部材との間に配され、前記回転部材の周面と摺接するシールリップを含む弾性部を有するオイルシールであって、
    前記弾性部には、前記シールリップよりも大径に形成されて軸方向で密封空間側に対向する面部が備えられており、
    前記面部には、潤滑剤溜め部を有し、
    前記潤滑剤溜め部は、
    径方向の上面と下面及び軸方向の前面が開放された、径方向に長尺の縦溝形状に形成され、
    前記面部の周方向で所定間隔をあけて複数個配設され、
    記シールリップ方向に向けて潤滑剤を滴下可能な滴下領域を備え、
    前記滴下領域の径方向潤滑剤案内面は、前記シールリップにおける軸方向で密封空間側の端面と同一位置であることを特徴とするオイルシール。
  2. 相対回転可能に配される静止部材と回転部材との間に配され、前記回転部材の周面と摺接するシールリップを含む弾性部を有するオイルシールであって、
    前記弾性部には、前記シールリップよりも大径に形成されて軸方向で密封空間側に対向する面部が備えられており、
    前記面部には、潤滑剤溜め部を有し、
    前記潤滑剤溜め部は、
    径方向の上面と下面及び軸方向の前面が開放された、径方向に長尺の縦溝形状に形成され、
    前記面部の周方向で所定間隔をあけて複数個配設され、
    前記シールリップ方向に向けて潤滑剤を滴下可能な滴下領域を備え、
    前記滴下領域の径方向潤滑剤案内面は、前記シールリップにおける軸方向で密封空間側の端面よりも大気側に位置し、
    前記滴下領域の径方向下側に位置する前記シールリップの端部には、密封空間側に向けて除々に下降傾斜する潤滑剤受け面を備えていることを特徴とするオイルシール。
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