以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る電気接続箱の概略構成を表す斜視図である。図2は、実施形態に係る電気接続箱の概略構成を表す分解斜視図である。図3は、実施形態に係る電気接続箱の概略構成を表す斜視図である。図4は、図3中のA矢視図(上面図)である。図5は、図3中のB矢視図(側面図)である。図6は、実施形態に係る電気接続箱のコルゲートカバーの概略構成を表す斜視図である。図7は、図4中のC−C断面図である。図8は、実施形態に係る電気接続箱のコルゲートカバーを含む部分断面図である。図9は、実施形態に係るコルゲートチューブの構成を表す斜視図である。図10は、実施形態に係るテープ部材の貼着を表す斜視図である。なお、図1は、電子部品が収容されていない状態の電気接続箱である。図2は、わかり易くするため電気接続箱に収容される電子部品のうちの一部を二点鎖線で図示している。また、図2、図3、図4、図5、図7、図8、図10は、わかり易くするため電線の一部、又は、全部の図示を省略している。
図1、図2、図3、図4、図5に示す電気接続箱1は、自動車等の車両に搭載され、ワイヤハーネスWHに組み込まれ、電線等の接続処理用部品を構成するコネクタ、ヒューズ、リレー、分岐部、電子制御ユニット等の電装品を集約して内部に収容するものである。電気接続箱1は、例えば、車両のエンジンルームや車体の下方部分に設置され、バッテリ等の電源と、車両内に搭載される各種電子機器との間に接続されている。電気接続箱1は、電源から供給された電力を車両内の各種電子機器に分配する。なお、電気接続箱1は、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックスなどとも呼ばれる場合があるが、本実施形態ではこれらを総称して電気接続箱と呼ぶ。なお、以下では、特に断りのない限り、電気接続箱1が車両に搭載された状態での方向として説明する。
ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線Wを一度に各装置に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、複数の電線Wと、電線Wに外装される外装部材としてのコルゲートチューブTと、当該電線Wと電気的に接続される電気接続箱1とを備える。電線Wは、例えば、複数の導電性の金属素線を撚り合わせた導体部(芯線)と、当該導体部の外側を覆う絶縁性の被覆部とを含んで構成される。
コルゲートチューブTは、可撓性を有する筒状(管状)に形成される。コルゲートチューブTは、典型的には、外周面に周方向に沿った凹凸が複数形成された蛇腹形状をなしており、その内側に電線Wが挿入される。コルゲートチューブTの詳細については、後述する。
ワイヤハーネスWHは、複数の電線Wを束ねて集約し、当該束ねられた電線Wの外側にコルゲートチューブTが装着されると共に、束ねられた電線Wの端部に接続部としてのコネクタ等を介して電気接続箱1が電気的に接続される。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、グロメット、プロテクタ、固定具等を含んで構成されてもよい。
そして、電気接続箱1は、電子部品2(図7も参照)と、電子部品2を収容する筐体3と、筐体3に組み付けられるカバー部材としてのコルゲートカバー4とを備える。電気接続箱1は、筐体3の内部の収容空間部35(図7も参照)に、種々の電子部品2が収容される。本実施形態の電気接続箱1は、筐体3に挿通口36(図7、図8も参照)を有し、筐体3に収容された電子部品2に電気的に接続される電線Wを、当該挿通口36を介して筐体3の内外に渡って挿通すると共に、当該電線Wを挿通口36の外部側で屈曲させてコルゲートチューブTと共に筐体3の壁体(後述の側壁部31a)に沿って延在させたものである。そして、電気接続箱1は、コルゲートカバー4が筐体3に組み付けられることで、筐体3とコルゲートカバー4との間にコルゲートチューブTの端部(後述する被挟持部t10)を保持するものである。これにより、電気接続箱1は、例えば、電気接続箱1に配索される電線Wの配索本数や外径が変更された場合であっても、挿通口36においてコルゲートチューブTの端部が保持されることで、水が挿通口36を介して筐体3内に直接的に浸入してしまうことを抑制したものである。以下、各図を参照して、電気接続箱1の各構成について具体的に説明する。
電子部品2は、筐体3の内部に収容され、電線Wが電気的に接続されるものである。電子部品2は、複数設けられる。電子部品2は、例えば、コネクタ、ヒューズ、リレー、分岐部、電子制御ユニット、これらをユニット化した電子部品ユニット等である。
筐体3は、内部に形成される収容空間部35に電子部品2を収容するものであり、フレーム31、ロアカバー32、及び、アッパカバー33を含んで構成される。筐体3は、フレーム31、ロアカバー32、及び、アッパカバー33が分割された3層分割構造となっており、所定の積層方向に沿って積層され相互に組み付けられると共に内部に電子部品2を収容する収容空間部35を区画する。フレーム31、ロアカバー32、及び、アッパカバー33は、絶縁性の合成樹脂によって形成される。
フレーム31は、電子部品2が組み付けられる収容空間部35を形成する主たる部材である。フレーム31は、多角形筒状(矩形筒状)に形成された壁体である側壁部31aによって中空状に形成される。フレーム31は、この電気接続箱1がエンジンルーム等に接続された状態で、鉛直方向上側、及び、鉛直方向下側に開口が位置する。ロアカバー32は、フレーム31の鉛直方向下側の開口を塞ぐ皿状(トレイ状)の部材である。ロアカバー32は、多角形筒状(矩形筒状)に形成された壁体である側壁部32aと、側壁部32aの一方の開口(鉛直方向下側の開口)を塞ぐ底部32bとによって中空状に形成される。アッパカバー33は、フレーム31の鉛直方向上側の開口を塞ぐ蓋状の部材である。アッパカバー33は、多角形筒状(矩形筒状)に形成された壁体である側壁部33aと、側壁部33aの一方の開口(鉛直方向上側の開口)を塞ぐ天井部33bとによって中空状に形成される。筐体3は、フレーム31の鉛直方向下側の開口とロアカバー32の開口とが対向し、フレーム31の鉛直方向上側の開口とアッパカバー33の開口とが対向するようにして、ロアカバー32がフレーム31の鉛直方向下側に組み付けられアッパカバー33がフレーム31の鉛直方向上側に組み付けられる。筐体3は、フレーム31に対して、種々の形式の係止機構34を介して、アッパカバー33、ロアカバー32が係止される。なお、フレーム31とアッパカバー33とロアカバー32とが積層される積層方向は、典型的には、この電気接続箱1がエンジンルーム等に接続された状態で、鉛直方向に沿っているが、当該電気接続箱1の設置状況によっては当該積層される方向が鉛直方向に対して所定の角度を有して設置される場合もある。
そして、フレーム31、ロアカバー32、及び、アッパカバー33によって構成される筐体3は、収容空間部35と、挿通口36と、外装設置部37とを有する。
収容空間部35(図7も参照)は、フレーム31、ロアカバー32、及び、アッパカバー33によって区画され、当該フレーム31、ロアカバー32、及び、アッパカバー33によって囲われた空間である。すなわち、収容空間部35は、鉛直方向と交差する方向がフレーム31の側壁部31a、ロアカバー32の側壁部32a、アッパカバー33の側壁部33aによって区画され、鉛直方向下側がロアカバー32の底部32bによって区画され、鉛直方向上側がアッパカバー33の天井部33bによって区画される。電気接続箱1は、この収容空間部35内にブロック38(図7も参照)が設けられる。ブロック38は、フレーム31に対して着脱可能に組み付けられる。ブロック38は、フレーム31等と同様に絶縁性の合成樹脂によって形成されると共に多数のキャビティ38aが形成される。電子部品2は、キャビティ38a内に組み付けられる。ブロック38は、各キャビティ38aに対して鉛直方向上側から電子部品2が差し込まれ嵌合されると共に、鉛直方向下側から電線Wの端末を構成する端子等が差し込まれ嵌合されることで、各電子部品2と電線Wとが電気的に接続される。
挿通口36(図7、図8も参照)は、収容空間部35内の電子部品2に接続される電線Wを筐体3の内外、言い換えれば、収容空間部35の内外に渡って挿通させるものであり、ここでは、フレーム31に形成される。挿通口36は、フレーム31において、積層方向と交差する方向の壁体、すなわち、側壁部31aを構成する1つの壁面に形成される。挿通口36は、フレーム31の鉛直方向下側の端部、すなわち、ロアカバー32が設けられる側の端部に形成される。挿通口36は、フレーム31に対してロアカバー32が組み付けられた状態で鉛直方向上側に向けて開口する。収容空間部35内の電子部品2に接続される電線Wは、挿通口36を介して筐体3の内外に渡って挿通され、配索される。
外装設置部37は、フレーム31の挿通口36の外部側に形成されコルゲートチューブTの端部が積層方向に沿って設置されるものである。外装設置部37は、フレーム31において、積層方向と交差する方向の壁体、すなわち、側壁部31aを構成する壁面のうち上述の挿通口36が形成される壁面に設けられる。外装設置部37は、フレーム31において、収容空間部35が形成される内部側とは反対側の外部側に露出して形成される。外装設置部37は、図7、図8にも示すように、設置壁面部37aと、受け部37bと、嵌合凸部37cと、係止部37dとを含んで構成される。設置壁面部37aは、コルゲートチューブTの外形に沿うような半円筒状に形成される部分であり、側壁部31aの外部側の壁面に当該側壁部31aと一体で形成される。設置壁面部37aは、外周面側が側壁部31aと対向し、かつ、設置壁面部37aの中心軸線方向が鉛直方向に対して若干傾斜を有するような位置関係で形成される。受け部37bは、半円筒状に形成される設置壁面部37aの内周面の鉛直方向下端部に形成される。受け部37bは、設置壁面部37aの内周面に沿って延在する半円弧状の突状部として形成される。受け部37bは、外装設置部37にコルゲートチューブTの端部が設置された状態で当該コルゲートチューブTの端部の端面が当接しこれを受ける面として形成される。嵌合凸部37cは、半円筒状に形成される設置壁面部37aの内周面の鉛直方向上端部、及び、中腹部に複数形成される。ここでは、嵌合凸部37cは、3つ形成される。各嵌合凸部37cは、設置壁面部37aの内周面に沿って延在する半円弧状の突状部として形成される。各嵌合凸部37cは、外装設置部37にコルゲートチューブTの端部が設置された状態で当該コルゲートチューブTの端部の外周面に形成された蛇腹状の凹凸に嵌合し噛み込む部分として形成される。係止部37dは、コルゲートカバー4が係止される部分である。係止部37dは、半円筒状に形成された設置壁面部37aの端部の外周面側に一対で設けられる。ここでは、各係止部37dは、後述するコルゲートカバー4の係止部4cを構成する係合爪部が係合可能な係合凹部によって構成される。
コルゲートカバー4は、筐体3に組み付けられ、筐体3との間にコルゲートチューブTの端部を保持するものである。コルゲートカバー4は、図6、図7、図8にも示すように、カバー壁面部4aと、嵌合凸部4bと、係止部4cとを含んで構成される。カバー壁面部4aは、コルゲートチューブTの外形に沿うような半円筒状に形成される部分であり、フレーム31等と同様に絶縁性の合成樹脂によって形成される。嵌合凸部4bは、半円筒状に形成されるカバー壁面部4aの内周面の鉛直方向上端部、及び、中腹部に複数形成される。ここでは、嵌合凸部4bは、3つ形成される。各嵌合凸部4bは、カバー壁面部4aの内周面に沿って延在する半円弧状の突状部として形成される。各嵌合凸部4bは、外装設置部37にコルゲートチューブTの端部が設置されコルゲートカバー4が外装設置部37に組み付けられた状態で当該コルゲートチューブTの外周面に形成された蛇腹状の凹凸に嵌合し噛み込む部分として形成される。各嵌合凸部4bは、コルゲートカバー4が外装設置部37に組み付けられた状態でコルゲートチューブTを挟んで外装設置部37の各嵌合凸部37cとほぼ対向する位置に形成される。係止部4cは、外装設置部37に係止される部分である。係止部4cは、半円筒状に形成されたカバー壁面部4aの端部の外周面側に一対で設けられる。つまり、係止部4cは、コルゲートカバー4が外装設置部37に組み付けられた状態で、積層方向と交差する方向に対向するように一対で設けられる。ここでは、各係止部4cは、カバー壁面部4aに突起状に形成され、外装設置部37の係止部37dを構成する係合凹部に係合可能な係合爪部によって構成される。コルゲートカバー4は、一対の係止部4cを介して外装設置部37の係止部37dに係止され外装設置部37との間にコルゲートチューブTの端部を挟み込んで保持する。
そして、本実施形態のコルゲートカバー4は、一対の係止部4cによる係止に加えて、被押え端部4dがロアカバー32によってフレーム31に向けて押えられることで、より確実に筐体3に組み付けられる構成となっている。
ここで、被押え端部4dは、コルゲートカバー4の積層方向の一方側の端部であってコルゲートチューブTが延在する側とは反対側の端部である。つまり、被押え端部4dは、コルゲートカバー4の端部が外装設置部37に組み付けられた状態で、鉛直方向下側に位置する端部であり、鉛直方向と直交する水平方向に沿って延在する端部である。被押え端部4dは、コルゲートカバー4の端部が外装設置部37に組み付けられた状態で、鉛直方向下側の先端側がフレーム31側に屈曲している(特に図8等参照)。
また、コルゲートカバー4は、コルゲートカバー4が外装設置部37に組み付けられた状態で、被押え端部4dの鉛直方向上側に位置する部分に端面当接部4eが形成されている。端面当接部4eは、カバー壁面部4aの外部側の面に、積層方向と交差する方向(ここでは、水平方向)に沿った突状部として形成される。端面当接部4eは、被押え端部4dがロアカバー32によってフレーム31側に向けて押えられた状態でロアカバー32の鉛直方向上側の端面(より詳細には後述する押え壁部32cの鉛直方向上側の先端面)が当接しこれを受ける面として形成される。
そして、本実施形態のロアカバー32は、被押え端部4dをフレーム31に押える押え壁部32cを有する。押え壁部32cは、ロアカバー32がフレーム31に組み付けられた状態で、フレーム31の挿通口36、外装設置部37が位置する部分の近傍に設けられる。押え壁部32cは、被押え端部4dをフレーム31との間に挟み込み被押え端部4dと当接して当該被押え端部4dをフレーム31側に向けて押える部分である。押え壁部32cは、ロアカバー32の側壁部32aの底部32b側とは反対側の端部、すなわち、フレーム31側の端部によって構成される。さらに言えば、押え壁部32cは、側壁部32aに形成される段付き部32dより鉛直方向上側の先端部によって構成される。側壁部32aに形成される段付き部32dは、コルゲートカバー4の被押え端部4dを押え壁部32cの内側に入り込ませるための逃げ部として形成され、言い換えれば、押え壁部32cを外側にオフセットさせるための部分である。
上記のように構成される電気接続箱1は、電線Wが挿通口36に挿通されコルゲートチューブTの端部がフレーム31の外装設置部37の設置壁面部37aに積層方向に沿って設置された状態で、コルゲートカバー4の係止部4cが外装設置部37の係止部37dに係止されることで、コルゲートカバー4が外装設置部37に組み付けられる。電線Wは、挿通口36の外部側で屈曲されコルゲートチューブTと共に側壁部31aに沿って鉛直方向上側に延在する。この状態で、電気接続箱1は、受け部37bがコルゲートチューブTの端面と当接しこれを受けると共に、コルゲートカバー4がフレーム31の外装設置部37との間にコルゲートチューブTの端部を挟み込んで保持する。また、電気接続箱1は、この状態で、外装設置部37、コルゲートカバー4の各嵌合凸部37c、各嵌合凸部4bがコルゲートチューブTの外周面に形成された蛇腹状の凹凸に嵌合し噛み込むことで、当該コルゲートチューブTの端部がコルゲートカバー4と外装設置部37との間から脱落することが規制される。
そして、電気接続箱1は、コルゲートカバー4がコルゲートチューブTの端部を挟み込むようにして外装設置部37に組み付けられた状態で、フレーム31の鉛直方向下側の開口を塞ぐようにしてロアカバー32が組み付けられる。この状態で、電気接続箱1は、ロアカバー32の押え壁部32cの鉛直方向上側の先端面がコルゲートカバー4の端面当接部4eに当接すると共にコルゲートカバー4の被押え端部4dが押え壁部32cの内側に位置して、当該押え壁部32cによってフレーム31側に向けて押えられる。電気接続箱1は、この状態で、被押え端部4dと押え壁部32cとが当該押え壁部32cによる被押え端部4dの押え方向、ここでは、筐体3の内外方向に重なる重複部位39を有する。この重複部位39は、被押え端部4dが内側に位置し、押え壁部32cが外側に位置してラップする部分である。
これにより、電気接続箱1、ワイヤハーネスWHは、コルゲートカバー4が外装設置部37に対して一対の係止部4cによって係止されることに加えて、フレーム31とロアカバー32との間にコルゲートカバー4の被押え端部4dを挟み込み、ロアカバー32の押え壁部32cによって当該被押え端部4dをフレーム31側に向けて押えることで、コルゲートチューブTの端部を保持するためのコルゲートカバー4を確実に筐体3に組み付けることができる。またこのとき、電気接続箱1、ワイヤハーネスWHは、被押え端部4dの鉛直方向下側の先端側がフレーム31側に屈曲した形状となっており、また、押え壁部32c側には被押え端部4dを押え壁部32cの内側に入り込ませるための逃げ部として段付き部32dが形成されていることから、ロアカバー32を組み付けた際に当該ロアカバー32の押え壁部32cによって当該被押え端部4dをフレーム31側に向けて押え込み易くすることができる。この結果、電気接続箱1、ワイヤハーネスWHは、コルゲートカバー4を3点で確実に固定することができるので、例えば、コルゲートカバー4のガタツキを抑制することができ、電線Wに外装されるコルゲートチューブTの端部を確実に組み付けることができる。
そして、本実施形態のコルゲートチューブTは、図9に示すように、被挟持部t10と、小径部t20とを備える。被挟持部t10と小径部t20とは、大きさの異なる円筒状に形成される。被挟持部t10は、外径が小径部t20の外径よりも大きく形成される。例えば、被挟持部t10は、外装設置部37の設置壁面部37aの内径に対応して外径が形成される。被挟持部t10の外周面t11には、少なくとも外装設置部37の嵌合凸部37cが嵌合し噛み込む凹部t12が形成される。凹部t12は係止受けとして機能し、嵌合凸部37cは係止部として機能し、外装設置部37の係止部が被挟持部t10の係止受けに係止する。小径部t20は、外装設置部37に被挟持部t10が設置された状態において、筐体3の挿通口36とは反対側の端部に形成される。小径部t20は、外径が被挟持部t10の外径よりも小さく形成される。例えば、小径部t20は、電線Wの外径に対応して小径部t20の内径が設定される。小径部t20は、電線Wの外周面に小径部t20の内周面が接するように小径部t20の内径が設定されることが好ましい。つまり、小径部t20は、小径部t20から露出する電線Wと小径部t20の開口部t21との隙間を可能な限り無くすように小径部t20の内径が設定されることが好ましい。小径部t20は、被挟持部t10の一方側の端部t13、つまり、挿通口36とは反対側の端部t13から中心軸線方向に延在する。ここで、中心軸線方向は、被挟持部t10の中心軸線X1に沿う方向である。被挟持部t10の中心軸線X1と小径部t20の中心軸線X2とは、同一直線上に存在する。つまり、被挟持部t10と小径部t20とは、中心軸線方向から見た場合に同心円上に位置する。被挟持部t10の中心軸線方向における長さと、小径部t20の中心軸線方向における長さとは、ほぼ同じ長さである。被挟持部t10と小径部t20とは、一体成型される。コルゲートチューブTは、小径部t20の内径が異なる複数のコルゲートチューブTが用意され、これらのコルゲートチューブTの中から電線Wの外径に対応する小径部t20の内径を有するコルゲートチューブTが選択される。
外装設置部37は、外装設置部37にコルゲートチューブTの被挟持部t10が設置された状態で当該コルゲートチューブTの被挟持部t10の外周面t11に形成された蛇腹状の凹凸の凹部t12に各嵌合凸部37cが嵌合し噛み込むと共に、受け部37bがコルゲートチューブTの端面t14を受ける。そして、コルゲートカバー4は、外装設置部37にコルゲートチューブTの被挟持部t10が設置されコルゲートカバー4が外装設置部37に組み付けられた状態で当該コルゲートチューブTの外周面t11に形成された凹部t12に各嵌合凸部4bが嵌合し噛み込み、被挟持部t10を外装設置部37との間で挟持する。
そして、ワイヤハーネスWHは、図10に示すように、テープ部材5を備える。テープ部材5は、小径部t20から電線Wに渡って巻き回される。例えば、テープ部材5は、テープ部材5の一部を重ね合わせながら小径部t20から電線Wに渡って小径部t20の中心軸線方向に巻き回されて貼着される。貼着されたテープ部材5は、小径部t20の開口部t21と電線Wとの隙間を塞ぐ。
以上で説明した電気接続箱1、ワイヤハーネスWH、及び、コルゲートチューブTによれば、外装設置部37とコルゲートカバー4とにより挟持される被挟持部t10と、外径が被挟持部t10の外径よりも小さい小径部t20とを備える。これにより、比較的小径の電線WにコルゲートチューブTを適用する場合に、外装設置部37とコルゲートカバー4とを交換することなく、小径部t20から露出する電線Wと小径部t20との隙間を削減することができる。従って、小径部t20から露出する電線Wと小径部t20との隙間から水が浸入することを防ぐことができ、防水性を高めることができる。
また、小径部t20は、電線Wの外径に対応して小径部t20の内径が設定される。これにより、小径部t20から露出する電線Wと小径部t20との隙間を精度良く削減することができる。
また、テープ部材5は、小径部t20から電線Wに渡って巻き回される。これにより、小径部t20から露出する電線Wと小径部t20との隙間を塞ぐことができる。従って、水が小径部t20と電線Wとの隙間から小径部t20と被挟持部t10との内部を伝わって電気接続箱1の内部に浸入することを防止できる。
なお、参考例として他の電気接続箱について説明する。図11は、参考例に係る電気接続箱の概略構成を表す分解斜視図である。参考例では、被挟持部t10を形成せずにアタッチメントなどを用いてコルゲートチューブTの小径部t20との外径の差分を調整する点で実施形態と異なる。参考例に係る電気接続箱1Aは、図11に示すように、コルゲートチューブTに替えてコルゲートチューブTAを備え、かつ、アタッチメント部材6と、コルゲートカバー7とを備える。コルゲートチューブTAは、被挟持部t10を有していない点でコルゲートチューブTとは異なる。なお、実施形態の電気接続箱1と同じ構成には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
コルゲートチューブTAは、可撓性を有する筒状(管状)に形成される。コルゲートチューブTAは、典型的には、外周面に周方向に沿った凹凸が複数形成された蛇腹形状をなしており、その内側に電線Wが挿入される。コルゲートチューブTAは、円筒状に形成される。例えば、コルゲートチューブTAは、電線Wの外径に対応して内径が設定される。コルゲートチューブTAは、電線Wの外周面に内周面が接するように内径が設定されることが好ましい。
アタッチメント部材6は、外装設置部37とコルゲートチューブTAとの間に配置され、コルゲートチューブTAの外径と外装設置部37の内径との差分を調整するものである。アタッチメント部材6は、半円筒状に形成され、外径が外装設置部37の内径とほぼ同じ長さに形成される。アタッチメント部材6は、外周面が外装設置部37の内周面に当接する。また、アタッチメント部材6は、内径がコルゲートチューブTAの外径とほぼ同じ長さに形成される。アタッチメント部材6は、内周面がコルゲートチューブTAの外周面に当接する。アタッチメント部材6は、嵌合凹部6aと、嵌合凸部6bと、受け部6cとを含んで構成される。嵌合凹部6aは、アタッチメント部材6の外周面に沿って延在する半円弧状の溝状部として複数形成される。各嵌合凹部6aは、外装設置部37にアタッチメント部材6が設置された状態で外装設置部37の各嵌合凸部37cに嵌合され噛み込まれる部分として形成される。嵌合凸部6bは、アタッチメント部材6の内周面に沿って延在する半円弧状の突状部として複数形成される。各嵌合凸部6bは、アタッチメント部材6にコルゲートチューブTAが設置された状態で当該コルゲートチューブTAの外周面に形成された蛇腹状の凹凸の凹部に嵌合し噛み込む部分として形成される。受け部6cは、アタッチメント部材6の内周面の鉛直方向下端部に形成される。受け部6cは、アタッチメント部材6の内周面に沿って延在する半円弧状の突状部として形成される。受け部6cは、アタッチメント部材6にコルゲートチューブTAが設置された状態で当該コルゲートチューブTAの端面が当接しこれを受ける面として形成される。
コルゲートカバー7は、筐体3に組み付けられ、筐体3との間にコルゲートチューブTAを保持するものである。コルゲートカバー7は、カバー壁面部7aと、嵌合凸部7bと、係止部7cとを含んで構成される。カバー壁面部7aは、コルゲートチューブTAの外形に沿うような半円筒状に形成される部分であり、上述したコルゲートカバー4のカバー壁面部4aよりも内径が小さい。嵌合凸部7bは、半円筒状に形成されるカバー壁面部7aの内周面に複数形成される。各嵌合凸部7bは、カバー壁面部7aの内周面に沿って延在する半円弧状の突状部として形成される。各嵌合凸部7bは、アタッチメント部材6を介して外装設置部37にコルゲートチューブTAが設置され、コルゲートカバー7が外装設置部37に組み付けられた状態で当該コルゲートチューブTAの外周面に形成された蛇腹状の凹凸の凹部に嵌合し噛み込む部分として形成される。係止部7cは、外装設置部37に係止される部分である。係止部7cは、半円筒状に形成されたカバー壁面部7aの端部の外周面側に一対で設けられる。コルゲートカバー7は、一対の係止部7cを介して外装設置部37の係止部37dに係止されアタッチメント部材6を介して外装設置部37との間にコルゲートチューブTAを挟み込んで保持する。コルゲートカバー7とアタッチメント部材6とは、コルゲートチューブTAの外径に対応して1組のセットで用意される。コルゲートカバー7とアタッチメント部材6とのセットは、コルゲートチューブTAの外径に対応して複数のセットが用意される。
以上で説明した電気接続箱1Aによれば、コルゲートチューブTAの外径と外装設置部37の内径との差分を調整するアタッチメント部材6と、コルゲートチューブTAの外形に沿うような半円筒状に形成されたコルゲートカバー7とを備える。これにより、比較的小径の電線WにコルゲートチューブTAを適用する場合に、外装設置部37を交換することなく、コルゲートチューブTAから露出する電線WとコルゲートチューブTAとの隙間を削減することができる。従って、コルゲートチューブTAから露出する電線WとコルゲートチューブTAとの隙間から水が浸入することを防ぐことができ、防水性を高めることができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る電気接続箱、ワイヤハーネス、及び、外装部材は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上で説明した筐体3は、フレーム31、ロアカバー32、及び、アッパカバー33が分割された3層分割構造となっているものとして説明したがこれに限らず、例えば、フレーム31とアッパカバー33とが一体であってもよい。また、フレーム31とロアカバー32とが一体であってもよい。
また、コルゲートチューブTの小径部t20は、被挟持部t10の端部t13から中心軸線方向に延在するに従って徐々に外径が小さくなる先細り形状でもよい。
また、外装設置部37の設置壁面部37aは、フレーム31の側壁部31aと一体で形成される例について説明したが、フレーム31の側壁部31aと別体で形成してもよい。
また、電線Wを挿通口36の外部側で屈曲させてコルゲートチューブTと共に筐体3の側壁部31aに沿って延在させる例について説明したが、これに限定されない。例えば、電線Wを筐体3の側壁部31aに沿って延在させずに側壁部31aと交差する方向に延在させてもよい。また、挿通口36をロアカバー32に設け、ロアカバー32に設けられた挿通口36から電線Wを鉛直方向下側に向けて延在させてもよい。また、ロアカバー32に設けられた挿通口36から電線Wを当該挿通口36の外部側で屈曲させてコルゲートチューブTと共にロアカバー32の底部32bに沿って延在させてもよい。
また、テープ部材5は、小径部t20から電線Wに渡って巻き回される例について説明したが、これに限定されない。例えば、弾力性を有するリング状の部材を小径部t20の開口部t21と電線Wとを覆うように装着して、小径部t20の開口部t21と電線Wとの隙間を塞いでもよい。