〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
(自律移動システム)
図2は、自律移動システム1の動作の様子を表す図である。図2に示すように、自律移動システム1は、タブレット端末(端末)20と自律移動装置10とを備えている。
タブレット端末20は、自律移動装置10と無線により通信可能な携帯端末である。タブレット端末20は、主に、入力表示部22(図1参照)、通信部21(図1参照)、音声出力部(不図示)等を備えている。タブレット端末20は、ユーザ(作業者)2が自律移動装置10を移動操作するための入力を受け付けたり、自律移動装置10が作成した環境地図や自律移動装置10の状態等、各種の情報を表示したり、各種の情報や案内を音声として出力したりする。
自律移動装置10は、清掃作業を行う機能を有し、さらに、左右独立した駆動輪14により平面である床面を自律的に走行可能な装置である。本実施形態では、自律移動装置10は床面の清掃を行う自律移動装置であるものとする。
自律移動装置10は、主として、距離センサ(センサ)12と、駆動輪14と、エンコーダ15と、筐体と、制御部30(図1参照)とを備えている。距離センサ12と、エンコーダ15と、制御部30とは、筐体に覆われている。距離センサ12と、制御部30とは、後述する環境地図を作成する地図作成装置として機能する。なお、図示しないが、自律移動装置10は、さらに、清掃作業を行うための作業ユニットを備える。作業ユニットは、床に落ちているゴミを吸引する吸引部や、モップ、洗浄液タンク及び廃液タンクを有するウェット洗浄部等を有する。なお、作業ユニットが有する機能は清掃に限定されず、例えば、回転する刈刃を有することで芝を刈る芝刈り機能であってもよい。
自律移動装置10は、タブレット端末20と通信が可能である。自律移動装置10は、タブレット端末20により操作可能である。また、自律移動装置10は、自律移動装置10の状態その他の各種情報をタブレット端末20に送信することで、タブレット端末20に表示させたり、音声として出力させたりすることが可能である。
距離センサ12は、一例として、LRF(Laser Range Finder)である。距離センサ12は、自律移動装置10のうち進行方向前側の面である、筐体の前面に配されている。なお、距離センサ12は、さらに、本体部の前面とは逆側である筐体の後面にも配されていてもよい。距離センサ12は、レーザ光Lを放射状に出力して水平面内をスキャンすることで、自律移動装置10と、自律移動装置10の周囲の壁(障害物)3や障害物4などの物体との距離を測定し、距離データとして出力するものである。この距離データにより、自律移動装置10の周囲の壁3や障害物4の形状の把握が可能である。
距離センサ12は、所定の回転軸で回転する走査機構上にレーザ光出力部(不図示)と、レーザ光受光部(不図示)とを持つ。距離センサ12は、レーザ光Lの照射した角度と、照射してから反射するまでに要した時間とに基づいて、ある時点での測定方向についてのレーザ光Lを反射した障害物の距離を検出する、いわゆるTOF(time of flight)の原理による障害物検知(センシング)を行う。距離センサ12の前記回転軸は略鉛直方向になるように、自律移動装置10に設置されている。距離センサ12は、前記回転軸を回転しつつ繰り返し、測定光の発信と反射光の受信とを行うことによって、略水平面内の周囲各方向の距離を測定する。
距離センサ12のスキャン範囲LSは、一例として、自律移動装置10の進行方向前方を0度とすると左右100度程度である。距離センサ12は、1度ごとに距離を測定する。距離センサ12が測定する距離データ1式は−100度〜0度〜+100度の合計201件の測定データから構成されている。距離センサ12は、測定周期のたびに、距離データ一式を制御部30(図1参照)へ出力する。距離センサ12の測定周期は任意で設定すればよいが、一例として、50msであるものとする。なお、距離センサ12の測定周期や、1スキャンあたりの測定データの取得個数(測定角度)は任意に設定が可能である。
距離センサ12は、ある方位の距離が測定できなかった場合、その方位の距離データを、予め設定した所定の無効値とする。この距離センサ12によって距離が測定できなかった場合とは、その方位の壁までの距離が遠すぎたり、反射率が低いなどにより、レーザ光Lの反射光の強度が小さすぎ、レーザ光受光部が反射光を検出できない場合や、自律移動装置10の周囲の光が強すぎることでレーザ光受光部がレーザ光Lの反射光を識別できない場合などを挙げることができる。
また、無効値は、距離センサ12として規定されている定格距離よりも大幅に大きな値を設定しておく。一例として、距離センサ12の定格距離が10mと定められている場合、無効値は99mと設定しておく。この場合、距離センサ12が測定した距離データが99mである場合、その方位に存在する壁は、距離センサ12にて距離を測定できない程遠い位置に存在すると判定することができる。
駆動輪14は、本体部の左右に1つずつ配されている。2個の駆動輪14は、自身に接続されているモータ13(図1参照)により、それぞれが回転する左右独立した車輪である。エンコーダ15は、2個の駆動輪14それぞれの回転角度を出力するセンサである。エンコーダ15は2個の駆動輪14それぞれに接続されている。
自律移動装置10は、自律走行による清掃等の作業を開始する前に、環境地図を作成する機能を有する。環境地図は、距離センサ12により測定した周囲の地形を反映したものであり、作業すべき領域や作業順等の情報からなる作業意図をユーザ2に入力させるために、ユーザ2に提示する地図である。この環境地図の具体例については後述する。
自律移動装置10は、環境地図を作成する機能として、自律移動装置10が自律走行をして環境地図を作成する機能と、タブレット端末20を介してユーザ2から移動操作されることで地図を作成する機能とを有する。特にユーザ2が望む環境地図を自律移動装置10が作成する場合、後者のように、ユーザ2が実際にタブレット端末20を用いて自律移動装置10を移動させることで環境地図を作成する方が好ましい。自律移動装置10が自律走行をして環境地図を作成する場合と比べて、より、ユーザ2が望む領域の地形に関する情報を環境地図に反映させやすいためである。
本実施形態においては、ユーザ2が、タブレット端末20を介して自律移動装置10を移動操作することで自律移動装置10に環境地図を作成させる機能を地図作成モードと称する。
地図作成モードでは、ユーザ2がタブレット端末20の入力表示部22に表示された移動ボタンを操作することで、地図を作成したい場所の範囲内にて自律移動装置10を移動させる。自律移動装置10は、距離センサ12の出力である自律移動装置10と、壁3や障害物4との距離を示す距離情報と、エンコーダ15からの出力である駆動輪14それぞれの回転数を示す回転数情報とを基に環境地図を作成し、タブレット端末20の入力表示部22は、この自律移動装置10が作成した環境地図を表示する。
(自律移動システム1の機能ブロック図)
図1は、本発明の実施形態1に係る自律移動システム1の機能ブロック図である。タブレット端末20は、通信部21と、入力表示部22と、図示しない音声出力部とを備えている。
通信部21は、後述する自律移動装置10の通信部11と無線通信するものである。入力表示部22は、例えばタッチパネルである。入力表示部22は、ユーザ2から入力される指示を受け付けると共に、自律移動装置10が作成した環境地図等、各種の情報を表示する。なお、入力表示部22は、必ずしも、ユーザ2からの入力を受け付ける入力部と、各種情報を表示する表示部とが一体として構成されている必要はなく、それぞれ別の部材として構成されていてもよい。
自律移動装置10は、距離センサ12と、駆動輪14と、エンコーダ15とに加え、さらに、通信部11と、モータ13と、制御部30とを備えている。
通信部11は、タブレット端末20の通信部21と無線通信するものである。モータ13は、駆動輪14と接続されており、駆動輪14を回転させる。制御部30は、走行制御部31と、環境地図制御部(環境地図作成部)32と、走行経路作成部33と、記憶部34と、第1の評価部40とを備えている。環境地図制御部32は、図示しない自己位置推定部を備えている。自己位置推定部は、距離センサ12から得られた距離データを用いてSLAMを利用して自己位置を推定する。
第1の評価部40は、孤立点評価部41と、作業不可能領域評価部(狭路評価部)42と、自己位置推定困難領域評価部(自己位置推定評価部)43とを備えている。記憶部34には、環境地図Mを示す情報が格納されている。また、記憶部34には、入力表示部22を通してユーザ2が入力した作業領域D、作業開始位置S、及び作業終了位置Eと、走行経路作成部33が作成した走行経路Rとが、それぞれ情報として格納される。なお、作業領域D、作業開始位置S、及び作業終了位置Eが、ユーザ2の作業意図である。
走行制御部31は、ユーザ2からの指示によりモータ13を制御することで、自律移動装置10の駆動を制御する。
環境地図制御部32は、距離センサ12から取得する距離データに基づいて、環境地図Mを構成するグリッドG(図3、図4参照)に、障害物情報を割り当てていくことで環境地図Mを作成する。環境地図制御部32は、障害物情報として、障害物が無い旨の情報、障害物が有る旨の情報、及び、距離データを未取得であるため障害物の有無が不明である旨の情報の何れかを、各グリッドGに割り当てる。なお、自律移動装置10の移動領域内において、壁等、固定された障害物が存在していることが既知である場合、予め当該既知の障害物に対応する位置のグリッドGに、障害物が有る旨の情報が割り当てられていてもよい。
(理想的な環境地図と作業意図)
図3は、理想的な環境地図に、ユーザの作業意図及び走行経路を反映させた地図を表す図である。まず、図3を用いて、環境地図制御部32が作成する環境地図のうち、距離センサ12のノイズ等が乗っていない理想的な環境地図M0について説明する。
環境地図M0は、自律移動装置10が作業を行う部屋内の障害物の形状等の情報が表された地図である。環境地図M0は、環境地図制御部32が作成した後、記憶部34に記憶され、通信部11・21を介してタブレット端末20の入力表示部22に表示される。なお、図3では、環境地図M0として、図2に示した部屋内を距離センサ12がスキャンした距離データを画像として反映させた地図を表している。
環境地図M0は、自律移動装置10が作業を行う部屋の全体の形状を外枠として、その内部に一定間隔(例えば5cm)で水平方向(図3における横方向)及び垂直方向(図3における縦方向)に配置された格子点を結ぶグリッド線を仮想的に描写することで得られるグリッドマップである。
環境地図M0は、水平方向及び垂直方向に延びるグリッド線によって区切られた個々の要素であるグリッドGがマトリクス状に並ぶことで構成されている。なお、グリッドGの水平方向及び垂直方向の間隔は、自律移動装置10の移動可能な曲率や絶対位置を認識する精度などの条件に応じて、適宜変更可能である。自律移動装置10がスリップしたと判定される際の閾値としてもグリッドGの間隔を用いることができる。
各グリッドGには障害物情報が割り当てられる。環境地図制御部32は、距離センサ12が測定した距離データに基づいて、障害物情報として、障害物が無い旨の情報、障害物が有る旨の情報、及び、距離データが未取得であるため障害物の有無が不明である旨の情報の何れかを各グリッドGに割り当てる。
各グリッドGのうち、障害物が無い旨の情報が割り当てられたグリッドを走行可能グリッドG1と称し、障害物が有る旨の情報が割り当てられたグリッドを障害物グリッドG2と称し、距離データが未取得であるため障害物の有無が不明である旨の情報が割り当てられたグリッドを未スキャングリッドG3と称する。
環境地図M0は、走行可能グリッドG1により構成されている走行可能領域Aと、走行可能グリッドG1により構成されている狭路領域(走行不可領域)Fと、障害物グリッドG2により構成されている障害物領域(走行不可領域)Bと、未スキャングリッドG3により構成されている未スキャン領域Cとを有する。なお、狭路領域Fは、未スキャングリッドG3により構成されていてもよい。
障害物領域Bは、壁3の位置に対応する位置の障害物グリッドG2からなる障害物領域(走行不可領域、第1の障害物領域)B1と、障害物4の外壁の位置に対応する位置の障害物グリッドG2からなる障害物領域(走行不可領域、第2の障害物領域)B2とを含む。障害物領域B1は壁3の形状に対応した形状を有する。障害物領域B2は障害物4の外壁の形状に対応した形状を有する。
未スキャン領域Cは、壁3に囲まれた領域の外側であって、自律移動装置10が作業をしない領域である。つまり、未スキャン領域Cは、距離センサ12が距離データを取得しなかった領域である。狭路領域Fは、壁3に囲まれた領域であるが、障害物4と壁3との間の領域であって、自律移動装置10の幅よりも狭い領域である。
走行可能領域Aは、環境地図M0において、自律移動装置10が走行可能な領域である。具体的には、走行可能領域Aは、環境地図M0において、壁3に対応する障害物領域B1に囲まれた領域のうち、障害物4に対応する障害物領域B2により囲まれた領域と、障害物領域B1と障害物領域B2との間の自律移動装置10の幅よりも狭い狭路領域Fとを除く領域である。
このように、環境地図制御部32が作成した環境地図M0を、タブレット端末20が入力表示部22に表示する。そして、タブレット端末20は、ユーザ2に対し、自律移動装置10に作業させる作業領域、作業開始位置、及び作業終了位置を示す情報である作業意図を、入力表示部22に入力させる。
図3の環境地図M0では、障害物領域B1に囲まれた走行可能領域Aにおいて、順に作業すべき領域として、ユーザによって、第1の作業領域(走行領域)D1、第2の作業領域(走行領域)D2及び第3の作業領域(走行領域)D3の3つの作業領域が設定されている。第1の作業領域D1は、障害物領域B1に囲まれた走行可能領域Aのうち、左側半分の領域である。第2の作業領域D2は、障害物領域B1に囲まれた走行可能領域Aのうち、右側半分における障害物領域B2より手前(図3の紙面下側)の領域である。第3の作業領域D3は、障害物領域B1に囲まれた走行可能領域Aのうち、右側半分における障害物領域B2より奥(図3の紙面上側)の領域である。
次に、ユーザ2により、入力表示部22を介して、各作業領域について、作業開始位置及び作業終了位置が設定される。図3の環境地図M0では、第1の作業領域D1における手前(図3の紙面下側)に第1の作業領域D1の作業開始位置S1及び作業終了位置E1がそれぞれ設定されている。第2の作業領域D2における手前(図3の紙面下側)に第2の作業領域D2の作業開始位置S2及び作業終了位置E2がそれぞれ設定されている。第3の作業領域D3における手前(図3の紙面下側)に第3の作業領域D3の作業開始位置S3が設定され、第3の作業領域D3における奥側(図3の紙面上側)に作業終了位置E3が設定されている。
このように、ユーザ2により、入力表示部22から作業意図が入力され、通信部21・11を介して、記憶部34に記憶される。作業意図が記憶部34に記憶されると、走行経路作成部33は、当該作業意図と、環境地図M0と、図示しない自己位置推定部で推定した現在の自己位置とに基づいて、各作業領域について、走行経路R(走行経路R1〜R3)を生成する。
走行経路作成部33は、まず、自己位置から最初に作業すべき第1の作業領域D1の作業開始位置S1への走行経路を作成したあと、第1の作業領域D1に含まれる走行可能領域A(走行可能グリッドG1)を自律移動装置10が全て通過するように、作業開始位置S1から作業終了位置E1へ至る走行経路R1を作成する。
次に、走行経路作成部33は、作業終了位置E1から、2番目に作業すべき第2の作業領域D2の作業開始位置S2への走行経路を作成したあと、第2の作業領域D2に含まれる走行可能領域A(走行可能グリッドG1)を自律移動装置10が全て通過するように、作業開始位置S2から作業終了位置E2へ至る走行経路R2を作成する。
そして、走行経路作成部33は、作業終了位置E2から、3番目に作業すべき第3の作業領域D3の作業開始位置S3への走行経路を作成したあと、第3の作業領域D3に含まれる走行可能領域A(走行可能グリッドG1)を自律移動装置10が全て通過するように、作業開始位置S3から作業終了位置E3へ至る走行経路R3を作成する。
そして、走行経路作成部33は、生成した走行経路R(走行経路R1〜R3)を示す情報を記憶部34に記憶する。記憶部34に記憶された走行経路R(走行経路R1〜R3)は、同じく記憶部34に記憶されている環境地図M0と、作業意図である、作業領域G、作業開始位置S及び作業終了位置Eと共に、通信部11・21を介して、タブレット端末20へ出力される。タブレット端末20は、当該走行経路R(走行経路R1〜R3)、作業領域G、作業開始位置S及び作業終了位置Eの情報を取得すると、当該当該走行経路R(走行経路R1〜R3)、作業領域G、作業開始位置S及び作業終了位置Eを、入力表示部22に表示する。
理想的な環境地図M0においては、ユーザ2が入力した作業意図である第1の作業領域D1に含まれるグリッドGの個数と、走行経路作成部33が第1の作業領域D1を塗りつぶすように作成した走行経路R1が示す領域に含まれるグリッドGの個数とは等しい。同様に、第2の作業領域D2に含まれるグリッドGの個数と走行経路R2が示す領域に含まれるグリッドGの個数とは等しく、第3の作業領域D3に含まれるグリッドGの個数と走行経路R3が示す領域に含まれるグリッドGの個数とは等しい。
(センサノイズ等を含む環境地図と作業意図)
しかし、種々の理由により、環境地図に、自律移動装置10が走行できないと推定される領域である走行不可領域が含まれる場合がある。この場合、走行経路作成部33は、必ずしも、ユーザ2が入力した作業意図通りに走行経路を生成できない。次に、図4を用いて、距離センサ12のノイズ等に起因する種々の走行不可領域を含む環境地図M及び作業意図について説明する。
図4は、ユーザ2が入力した作業意図と、走行経路作成部33が作成した走行経路との間に差異が生じる旨を表示した環境地図Mを表す図である。ユーザ2が入力した作業意図通りに、走行経路作成部33が、走行経路を生成できない場合として、主に、以下の(1)〜(3)に示す場合を挙げることができる。以下、順に説明する。
(1)ユーザ2が設定した環境地図上の作業領域内に、孤立点(走行不可領域、孤立領域)が存在する場合
距離センサ12のノイズ等により、実際には存在しない障害物が存在するものとして、障害物グリッドG2が割り当てられてしまう場合がある。
図4に示す環境地図Mでは、障害物領域Bとして、障害物領域B3を有する。障害物領域B3は、単一の障害物グリッドG2から構成されており、第1の作業領域D1内に配置されている。このように、本来であれば走行可能領域Aとなる領域に、距離センサ12のノイズにより誤って障害物領域B3が作成されてしまう場合、障害物領域B3の面積は比較的小さく、単一の障害物グリッドG2、又は、比較的、個数が少ない複数の障害物グリッドG2からなる孤立点として存在する場合が多い。なお、図4では、障害物領域B3は一つだけ存在する場合を表しているが、障害物領域B3は、走行可能領域A内に複数点在して存在する場合もある。
環境地図M中に存在する障害物領域B3を修正せずに、走行経路作成部33が走行経路R1を作成すると、自律移動装置10は障害物領域B3を迂回するように走行経路R1を作成する。このため、この障害物領域B3は、自律移動装置10による作業が実施されなくなる。このように、障害物領域B3が第1の作業領域D1内に存在すると、ユーザ2が作業の実施を希望している第1の作業領域D1に含まれるグリッドGの個数と、走行経路作成部33が作成した走行経路に含まれるグリッドGの個数(すなわち、第1の作業領域D1に含まれるグリッドGのうち障害物領域B3を構成する障害物グリッドG2を除くグリッドGの個数)との間に差異が生じることになる。障害物領域B3の個数が多く又は面積が大きくなればなるほど、第1の作業領域D1に含まれるグリッドGの個数と、走行経路作成部33が作成した走行経路に含まれるグリッドGの個数との差異が大きくなる。
(2)ユーザ2が設定した環境地図上の作業領域内に、自律移動装置10が作業を行うことができない領域(走行不可領域)が存在する場合
ユーザ2が、作業意図として、自律移動装置10が通り抜けできない狭路領域に対応するグリッドGや、障害物グリッドG2で囲まれた領域などを作業領域に含めてしまう場合がある。
図4に示す環境地図Mでは、第2の作業領域D2内に、障害物4(図2)に対応する障害物領域B2と、壁3に対応する障害物領域B1との間に存在し、自律移動装置10の幅より狭い幅を有し、自律移動装置10が通り抜けできない領域である狭路領域Fが含まれている。そして、第2の作業領域D2内において、作業開始位置S2は、第2の作業領域D2の手前側(図4の紙面下側)である一方、作業終了位置E2は、狭路領域F内に配置されている。これは、ユーザ2が、狭路領域Fは、自律移動装置10が通り抜けできない狭路領域であることを認識していないためである。
第2の作業領域D2に狭路領域Fが含まれている点が修正されずに、走行経路作成部33が、第2の作業領域D2内の走行経路R21を作成すると、走行経路作成部33は、作業開始位置S2から、狭路領域Fへ至る直前までの経路を走行経路R21として作成する。しかし、狭路領域F内は、自律移動装置10が通り抜けできないため、走行経路作成部33は走行経路を作成しない。
また、図4に示す環境地図Mでは、第2の作業領域D2内に、障害物領域B2により囲まれることで、自律移動装置10が進入できない領域が含まれている。
第2の作業領域D2に、障害物領域B2及び障害物領域B2により囲まれた領域が含まれている点が修正されずに、走行経路作成部33が、第2の作業領域D2内の走行経路R22を作成すると、走行経路作成部33は、障害物領域B2により囲まれた領域も走行経路R22に含めようとするものの、当該障害物領域B2により囲まれた領域は、自律移動装置10が進入できない領域であるため、当該障害物領域B2により囲まれた領域の走行経路は作成しない。
このように、狭路領域である狭路領域Fや自律移動装置10が進入できない領域が第2の作業領域D2内に存在すると、ユーザ2が作業の実施を希望している第2の作業領域D2に含まれるグリッドGの個数と、走行経路作成部33が作成した走行経路R21や走行経路R21に含まれるグリッドGの個数との間に差異が生じることになる。自律移動装置10が進入できない領域の面積が大きい(含まれているグリッドGの個数が多い程)、ユーザ2の作業意図である第2の作業領域D2に含まれるグリッドGの個数と、走行経路作成部33が作成した走行経路R21や走行経路R21に含まれるグリッドGの個数との差異が大きくなる。
(3)ユーザ2が設定した環境地図上の作業領域内に、自己位置推定が困難な領域(走行不可領域、計測データ不足領域)が存在する場合
ユーザ2が設定した作業領域内において未スキャングリッドG3が多すぎるため、自律移動装置10が作業するために当該領域を走行する際、自律移動装置10が距離センサ12を使用して推定する自己位置推定困難となることが予測される場合がある。
図4に示す環境地図Mは、未スキャングリッドG3からなる未スキャン領域Cとして、未スキャン領域C0・C1及び自己位置推定困難領域(走行不可領域)C2を有する。未スキャン領域C0は、障害物領域Bよりも外側の領域である。未スキャン領域C1は、第3の作業領域D3の外側を囲む一部領域である。未スキャン領域C1は、本来なら障害物領域B1の一部となる領域であるが、距離データが取得できず、障害物グリッドG2ではなく未スキャングリッドG3として割り当てられたグリッドからなる領域である。
この結果、第3の作業領域D3に含まれるグリッドGのうち、未スキャン領域C1の内側領域に含まれる大半のグリッドGも、未スキャングリッドG3として割り当てられた領域からなる自己位置推定困難領域(走行不可領域)C2となっている。この第3の作業領域D3に含まれる自己位置推定困難領域C2は、環境地図M上、外側の障害物の存在が不明であるため、自律移動装置10が、自己位置推定困難領域C2に対応する領域に進入すると、距離センサ12からの距離データによって自己位置推定部が行う自己位置推定ができず、作業の継続が不可となることが推定される。
そして、第3の作業領域D3内において、作業開始位置S3は、第3の作業領域D3の手前側(図4の紙面下側)の走行可能グリッドG1上に配置されている一方、作業終了位置E3は、自己位置推定困難領域C2内に配置されている。
環境地図M中に、第3の作業領域D3内に自己位置推定困難領域C2が含まれることが修正されずに、走行経路作成部33に、第3の作業領域D3内の走行経路R3を作成させると、走行経路作成部33は、第3の作業領域D3における自己位置推定困難領域C2に進入すると自己位置推定が困難となることが予想できるため、作業開始位置S3から自己位置推定困難領域C2の直前に至るまでの経路を走行経路R3として作成する。そして、走行経路作成部33は、自己位置推定困難領域C2内の走行経路は作成しない。
このように、第3の作業領域D3に自己位置推定困難領域C2が含まれる場合、ユーザ2が作業の実施を希望している第3の作業領域D3に含まれるグリッドGの個数と、走行経路作成部33が作成した走行経路R3に含まれるグリッドGの個数(すなわち、第3の作業領域D3に含まれるグリッドGのうち、自己位置推定困難領域C2に含まれる未スキャングリッドG3を除くグリッドGの個数)との間に差異が生じることになる。未スキャングリッドG3からなる領域の面積(すなわち、未スキャングリッドG3からなる領域に含まれる未スキャングリッドG3の個数)が多くなればなるほど、第3の作業領域D3に含まれるグリッドGの個数と、走行経路作成部33が作成した走行経路R3に含まれるグリッドGの個数との差異が大きくなる。
(環境地図の評価のフローチャート)
図5は、自律移動装置10による環境地図の評価の流れを表す図である。
自律移動装置10において環境地図制御部32が環境地図Mを作成し、ユーザ2により作業意図が入力されたあと、走行経路作成部33が作成した走行経路が適切に作成されたか否かを、第1の評価部40が評価する。第1の評価部40は、環境地図M及び作業意図に基づいて、上記(1)〜(3)に係る走行不可領域を抽出し、当該抽出した走行不可領域を削除候補として、タブレット端末20を通してユーザ2に提示する。
第1の評価部40は、走行経路Rを作成した旨の情報を走行経路作成部33から取得すると、記憶部34から環境地図M、作業意図(作業領域D、作業開始位置S、及び作業終了位置E)、及び走行経路Rの情報を取得する。次いで、孤立点評価部41は、環境地図Mにおいて複数設定された作業領域(例えば、第1の作業領域D1)中に孤立点があるか否かを判定する(ステップS11)。
ステップS11において、孤立点評価部41は、当該作業領域に孤立点があると判定すると(ステップS11のYES)、当該判定結果を記憶部34に格納する。そして、当該判定結果が記憶部34に格納されると、通信部11は、当該作業領域に孤立点が存在する旨の情報を、通信部21を介してタブレット端末20へ出力する。そして、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図M上に、当該作業領域(例えば、第1の作業領域D1)中に孤立点がある旨の情報を表示することで、ユーザ2に案内する(ステップS12)。
次に、作業不可能領域評価部42は、環境地図Mにおいて、孤立点評価部41が孤立点の有無を判定した作業領域(例えば、第1の作業領域D1)中に、作業不可能領域があるか否か判定する(ステップS13)。
ステップS13において、作業不可能領域評価部42は、当該作業領域(例えば第2の作業領域D2)中に、作業不可能領域があると判定すると(ステップS13のYES)、当該作業領域に作業不可能領域がある旨の情報を判定結果として記憶部34に格納する。そして、当該判定結果が記憶部34に格納されると、通信部11は、当該作業領域に作業不可能領域がある旨の情報を、通信部21を介してタブレット端末20へ出力する。そして、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図M上に、当該作業領域(例えば、第2の作業領域D2)中に作業不可能領域がある旨の情報を表示することで、ユーザ2に案内する(ステップS14)。
次に、自己位置推定困難領域評価部43は、環境地図Mにおいて、孤立点評価部41が孤立点の有無を判定した作業領域(例えば、第3の作業領域D3)中に、自己位置推定困難な領域があるか否か判定する(ステップS15)。
ステップS15において、自己位置推定困難領域評価部43は、当該作業領域(例えば第3の作業領域D3)中に、自己位置推定困難な領域があると判定すると(ステップS15のYES)、当該作業領域に自己位置推定困難な領域がある旨の情報を判定結果として記憶部34に格納する。そして、当該判定結果が記憶部34に格納されると、通信部11は、当該作業領域に自己位置推定困難な領域がある旨の情報を、通信部21を介してタブレット端末20へ出力する。そして、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図M上に、当該作業領域(例えば、第3の作業領域D3)中に自己位置推定困難な領域がある旨の情報を表示することで、ユーザ2に案内する(ステップS16)。
次に、第1の評価部40は、環境地図Mにおいて複数設定された作業領域の全て(例えば、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3)に対して、ステップS11〜ステップS16の処理を行った否かを判定する(ステップS17)。
ステップS17において、全ての作業領域に対して、ステップS11〜ステップS16の処理を行っていると第1の評価部40が判定すると(ステップS17のYES)、第1の評価部40は、環境地図Mの評価を終了する。
一方、ステップS17において、全ての作業領域に対して、ステップS11〜ステップS16の処理を行っていないと第1の評価部40が判定すると(ステップS17のNO)、残っている作業領域に対して、ステップS11〜ステップS16の処理を行う。これにより、第1の評価部40は、全ての作業領域に対してステップS11〜ステップS16の処理を行う。
ステップS11において、孤立点評価部41は、当該作業領域に孤立点はないと判定すると(ステップS11のNO)、ステップS12の処理を飛ばし、ステップS13の処理を行う。
ステップS13において、作業不可能領域評価部42は、当該作業領域(例えば第1の作業領域D1)中に、作業不可能領域はないと判定すると(ステップS13のNO)、ステップS14を飛ばし、ステップS15の処理を行う。
ステップS15において、自己位置推定困難領域評価部43は、当該作業領域(例えば第1の作業領域D1)中に、自己位置推定困難な領域はないと判定すると(ステップS15のNO)、ステップS16を飛ばし、ステップS17の処理を行う。
(第1の評価部40の処理)
次に、図6〜図8を用いて、孤立点評価部41が、環境地図Mにおいて設定された作業領域中に孤立点があるか否かを判定する方法について説明する。
図6は、簡易な環境地図Mを表す図である。上述のように、環境地図Mを構成する各グリッドGは、走行可能グリッドG1と、障害物グリッドG2と、未スキャングリッドG3とに分類することができる。環境地図Mのうち、一又は複数の走行可能グリッドG1により構成される領域が走行可能領域Aであり、一又は複数の障害物グリッドG2により構成される領域が障害物領域Bであり、一又は複数の未スキャングリッドG3により構成される領域が未スキャン領域Cである。
第1の評価部40は、走行可能グリッドG1と、障害物グリッドG2と、未スキャングリッドG3との3つの情報を用いて、環境地図Mにおける、孤立点の有無の判定、作業不可能領域の有無の判定、及び自己位置推定困難な領域(環境地図を構成する距離データの不足)の判定を行う。以下、順に説明する。
<孤立点の判定>
図7は、第1の評価部40の孤立点評価部41が、環境地図M11において、上下左右方向の何れかに走行可能領域が存在し、障害物領域B11に属する障害物グリッドG2を抽出している様子を表す図である。図8は、第1の評価部40の孤立点評価部41が、環境地図M11における障害物領域B11に属する障害物グリッドG2にラベル付けをしている様子を表す図である。図9は、第1の評価部40の孤立点評価部41が、環境地図M11における障害物領域B11に属する障害物グリッドG2へのラベル付けが完了した様子を表す図である。
図10は、第1の評価部40の孤立点評価部41が、環境地図M11において、上下左右方向の何れかに走行可能領域が存在し、障害物領域B12に属する障害物グリッドG2を抽出している様子を表す図である。図11は、第1の評価部40の孤立点評価部41が、環境地図M11における障害物領域B12に属する障害物グリッドG2へのラベル付けが完了した様子を表す図である。
図12は、第1の評価部40の孤立点評価部41が、環境地図M11において、上下左右方向の何れかに走行可能領域が存在し、障害物領域B13に属する障害物グリッドG2を抽出している様子を表す図である。図13は、第1の評価部40の孤立点評価部41が、環境地図M11における障害物領域B12に属する障害物グリッドG2へのラベル付けが完了した様子を表す図である。
図7に示すように、環境地図M11には、孤立点ではない面積が大きい障害物領域B11と、孤立点である障害物領域B12・B13と、走行可能領域A11とが配置されている。
障害物領域B11〜B13は、互いに離間して配置されている。障害物領域B1は、壁等に対応して配置された障害物領域であり、孤立点よりも多くの障害物グリッドG2が連続して配置されることで構成されている。障害物領域B12は、孤立点であり、3個の障害物グリッドG2が連続して配置されることで構成されている。障害物領域B13は、孤立点であり、2個の障害物グリッドG2が連続して配置されることで構成されている。環境地図M11のうち、障害物領域B11〜B13以外の領域は、走行可能グリッドG1が連続して構成されている走行可能領域A11である。
孤立点評価部41は、環境地図M11において、障害物領域B11〜B13それぞれに、順次、再帰的にラベル付けを行うことで、孤立点を抽出する。
第1の評価部40が環境地図M11を記憶部34から取得すると、まず、ステップS101として、孤立点評価部41は、環境地図M11において、上下左右方向(垂直方向及び水平方向)の何れかに走行可能領域A11が存在する障害物グリッドG2を抽出する。
そして、孤立点評価部41は、当該抽出した障害物グリッドG2を「接続抽出を開始するグリッド」として、識別情報であるラベル「1」を付ける。例えば、孤立点評価部41は、環境地図M11において、図7の左上から右下に向けて、各グリッドについて順に、「上下左右の何れかに走行可能領域が存在する障害物グリッドであるか否か」を判定していく。これにより、孤立点評価部41は、障害物領域B11〜B13のうち何れかに属する障害物グリッドG2を抽出する。図7においては、孤立点評価部41は、障害物領域B11に属し、走行可能グリッドG1と隣接している障害物グリッドG2を抽出している。
次に、図8に示すように、ステップS102として、孤立点評価部41は、ステップS101にて抽出した障害物グリッドG2の上下左右方向にある障害物グリッドG2に、同一のラベル「1」を付ける。
そして、ステップS103として、孤立点評価部41は、ステップS102にてラベルを付けた障害物グリッドG2についても同様に、当該ラベル「1」を付けた障害物グリッドG2の上下左右方向にある障害物グリッドG2に、同一のラベル「1」を付ける。孤立点評価部41は、上下左右に、障害物領域B11に属する障害物グリッドG2であって、ラベルが付与されていない障害物グリッドG2が無くなるまで、ステップS102・S103を繰り返す。
図9に示すように、ステップS104として、孤立点評価部41は、障害物領域B11に属する障害物グリッドG2全てに同一のラベルの付与が完了すると、次に、ステップS105として、孤立点評価部41は、ステップS101において抽出した障害物グリッドG2(障害物領域B11に属する障害物グリッドG2)に隣接する次のグリッドから、再度、「上下左右の何れかに走行可能領域が存在する障害物グリッドであるか否か」を順次判定していく。これにより、孤立点評価部41は、上下左右方向の何れかに走行可能領域A11が存在する障害物グリッドG2を抽出する。ただし、孤立点評価部41は、抽出した障害物グリッドG2に既にラベルが付されている場合、当該障害物グリッドG2を抽出せず、次のグリッドへ処理を進める。ラベルが付されていない障害物グリッドG2を抽出すると、孤立点評価部41は、当該抽出した障害物グリッドG2を「接続抽出を開始するグリッド」として、識別情報である新たなラベル「2」を付ける。図10においては、孤立点評価部41は、障害物領域B12に属し、走行可能グリッドG1と隣接している障害物グリッドG2を抽出している。
次に、図11に示すように、ステップS105として、孤立点評価部41は、ステップS104にて抽出した障害物グリッドG2の上下左右方向にある障害物グリッドG2に、同一のラベル「2」を付ける。
そして、ステップS106として、孤立点評価部41は、ステップS105にてラベルを付けた障害物グリッドG2についても同様に、当該ラベル「2」を付けた障害物グリッドG2の上下左右方向にある障害物グリッドG2に、同一のラベル「2」を付ける。
孤立点評価部41は、上下左右に、障害物領域B12に属する障害物グリッドG2であって、ラベルが付与されていない障害物グリッドG2が無くなるまで、ステップS105・S106を繰り返す。
ステップS107として、孤立点評価部41は、障害物領域B12に属する障害物グリッドG2全てに同一のラベルを付与する。ラベルの付与が完了すると、次に、ステップS108として、孤立点評価部41は、ステップS104において抽出した障害物グリッドG2(障害物領域B12に属する障害物グリッドG2)に隣接する次のグリッドから、再度、「上下左右の何れかに走行可能領域が存在する障害物グリッドであるか否か」を順次判定していく。これにより、孤立点評価部41は、上下左右方向の何れかに走行可能領域A11が存在する障害物グリッドG2を抽出する。ただし、孤立点評価部41は、抽出した障害物グリッドG2に既にラベルが付されている場合、当該障害物グリッドG2を抽出せず、次のグリッドへ処理を進める。ラベルが付されていない障害物グリッドG2を見つけると、孤立点評価部41は、当該抽出した障害物グリッドG2を「接続抽出を開始するグリッド」として、識別情報である新たなラベル「3」を付ける。図12においては、孤立点評価部41は、障害物領域B13に属し、走行可能グリッドG1と隣接している障害物グリッドG2を抽出している。
次に、図13に示すように、ステップS109として、孤立点評価部41は、ステップS108にて抽出した障害物グリッドG2の上下左右方向にある障害物グリッドG2に、同一のラベル「3」を付ける。孤立点評価部41は、上下左右に、障害物領域B13に属する障害物グリッドG2であって、ラベルが付与されていない障害物グリッドG2が無くなるまで、ステップS109を繰り返す。
ステップS110として、孤立点評価部41は、障害物領域B13に属する障害物グリッドG2全てに同一のラベルを付与する。ラベルの付与が完了すると、次に、ステップS111として、孤立点評価部41は、ステップS108において抽出した障害物グリッドG2(障害物領域B13に属する障害物グリッドG2)に隣接する次のグリッドから、再度、「上下左右の何れかに走行可能領域が存在する障害物グリッドであるか否か」を順次判定していく。これにより、孤立点評価部41は、上下左右方向の何れかに走行可能領域A11が存在する障害物グリッドG2を抽出する。ただし、孤立点評価部41は、抽出した障害物グリッドG2に既にラベルが付されている場合、当該障害物グリッドG2を抽出せず、次のグリッドへ処理を進める。
ステップS112として、孤立点評価部41は、環境地図M11を構成するグリッドにおいて、ラベルが付されておらず、かつ、上下左右方向の何れかに走行可能領域A11が存在する障害物グリッドG2は存在しないと判定すると、ラベル付けを終了する。
このようにして、孤立点評価部41は、環境地図M11を構成する各グリッドにラベル付けを行う。
そして、ステップS113として、孤立点評価部41は、環境地図M11を構成する全ての障害物グリッドG2についてラベル付け処理が終了すると、各障害物領域B11〜B13毎に、ラベルの個数を計数する。そして、孤立点評価部41は、障害物領域B11〜B13のうち、ラベルの数が所定の個数を下回った領域を、孤立点であると判定する。
<作業不可能領域の有無の判定>
図14は、環境地図M21において、拡張領域EXの作成を開始している様子を表す図である。図15は、環境地図M21において、拡張領域EXの作成が完了した様子を表す図である。図16は、環境地図M21において、拡張領域EXの一部を走行可能グリッドG1へ戻し始めた様子を表す図である。図17は、環境地図M21において、作業不可能領域を特定した様子を表す図である。
図14に示すように、環境地図M21には、孤立点ではない面積が大きい障害物領域B21・B22と、走行可能領域A21とが配置されている。障害物領域B21と、障害物領域B22との間は、走行可能領域A21ではあるものの、自律移動装置10が通過できない狭路領域である。
作業不可能領域評価部42は、環境地図M21において、走行可能領域A21と障害物領域B21との境界を特定し、障害物領域B21を拡張させて、作業不可能領域を抽出する。
まず、ステップS121として、作業不可能領域評価部42は、環境地図M21において、走行可能領域A21に含まれる走行可能グリッドG1のうち、障害物領域B21・B22との境界に位置する境界グリッドGA1(すなわち、障害物グリッドG2に隣接する走行可能グリッドG1)を特定することで、当該特定した境界グリッドGA1からなる注目領域N1を特定する。
次に、ステップS122として、作業不可能領域評価部42は、注目領域N1のうち、最も端に位置する境界グリッドGA1を特定する。そして、作業不可能領域評価部42は、当該特定した境界グリッドGA1を中心として、予め設定された直径の円CE1を仮想的に描く。円CE1の直径は、自律移動装置10の筐体の幅に対応する長さである。つまり、環境地図M21において、円CE1の幅は、自律移動装置10が走行可能な最低限の幅を表している。
そして、ステップS123として、作業不可能領域評価部42は、仮想的に描いた円CE1に含まれる走行可能グリッドG1を、拡張グリッドGEとし、当該拡張グリッドGEから構成される拡張領域EXを設定する。
図15に示すように、作業不可能領域評価部42は、注目領域N1に含まれる境界グリッドGA1に対して順番に円CE1を描いていき、円CE1に含まれる走行可能グリッドG1を拡張グリッドGEとしていき、当該拡張グリッドGEから構成される拡張領域EXを設定していく。作業不可能領域評価部42は、注目領域N1に含まれる境界グリッドGA1のうち、最も端に位置する境界グリッドGA1へ至るまで、拡張グリッドGEから構成される拡張領域EXを設定していく。図15では、障害物領域B21と、障害物領域B22との間のグリッドGは、境界グリッドGA1及び拡張グリッドGEのみから構成されている。
次に、ステップS124として、拡張領域EXの設定が終わると、拡張領域EXと、障害物領域B21との間の境界グリッドGA1を障害物グリッドG2として障害物領域B21に組み込み、図16に示すように、障害物領域B21の領域が拡張された障害物領域B21aを設定する。また、同様に、拡張領域EXと、障害物領域B22との間の境界グリッドGA1を障害物グリッドG2として障害物領域B22に組み込み、障害物領域B22の領域が拡張された障害物領域B22aを設定する。
そして、作業不可能領域評価部42は、環境地図M21において、走行可能領域A21に含まれる走行可能グリッドG1のうち、拡張領域EXとの境界に位置する境界グリッドGA2(すなわち、拡張領域EXに隣接する走行可能グリッドG1)を特定することで、当該特定した境界グリッドGA2からなる注目領域N2を特定する。
次に、ステップS125として、作業不可能領域評価部42は、注目領域N2のうち、最も端に位置する境界グリッドGA2を特定する。そして、作業不可能領域評価部42は、当該特定した境界グリッドGA2を中心として、円CE2を仮想的に描く。円CE2の直径は、円CE1と同様である。
そして、ステップS126として、作業不可能領域評価部42は、仮想的に描いた円CE2に含まれる拡張グリッドGEを、走行可能グリッドG1へ戻す。
図17に示すように、作業不可能領域評価部42は、注目領域N2に含まれる走行可能グリッドG1を順番に注目グリッドGA2として円CE2を描いていき、円CE2に含まれる拡張グリッドGEを走行可能グリッドG1へと戻していく。作業不可能領域評価部42は、注目領域N2に含まれる走行可能グリッドG1のうち、最も端に位置する走行可能グリッドG1へ至るまで、円CE2に含まれる拡張グリッドGEを走行可能グリッドG1へと戻していく。拡張グリッドGEから戻された走行可能グリッドG1は、走行可能領域A21に再び組み込まれる。
図17において、障害物領域B21aと、障害物領域B22aとの間には、円CE2が進入しなかったため、障害物領域B21aと、障害物領域B22aとの間には拡張領域EXの一部が残っている。作業不可能領域評価部42は、この残った拡張領域EXを、自律移動装置10が通り抜けできない幅を有する狭路領域Fである作業不可能領域と判定する。
<自己位置推定困難な領域(距離データの不足)の有無の判定>
図18は、環境地図M31において、第1の評価部40の自己位置推定困難領域評価部43が、未スキャン領域C31を特定している様子を表す図である。
図18に示すように、環境地図M31は、一部に、未スキャングリッドG3からなる未スキャン領域C31が配置され、未スキャン領域C31を除く周囲の縁に、障害物グリッドG2からなる障害物領域B31が配されており、障害物領域B31及び未スキャン領域C31に囲まれた領域内に走行可能グリッドG1からなる走行可能領域A31が配置されている。図18においては、未スキャン領域C31は、4×5(横×縦)の未スキャングリッドG3からなる。未スキャン領域C31は、当該領域に対応する領域に自律移動装置10が進入すると、自律移動装置10は、距離センサ12によって自己位置の推定が困難となることが推定される程度に面積が大きい領域である。
自己位置推定困難領域評価部43は、環境地図M31において、走行可能領域A31と、未スキャン領域C31との境界を特定し、未スキャン領域C31に再帰的にラベル付けを行うことで、未スキャン領域C31を抽出する。
まず、ステップS131として、自己位置推定困難領域評価部43は、環境地図M31において、上下左右方向(垂直方向及び水平方向)の何れかに、走行可能グリッドG1が存在する未スキャングリッドG3を抽出しラベルを付す。図18では、自己位置推定困難領域評価部43は、未スキャン領域C31を構成する未スキャングリッドG3にラベル「1」を付している。
次に、ステップS132として、図18の矢印に示すように、自己位置推定困難領域評価部43は、ステップS131にて特定した未スキャングリッドG3の上下左右方向にある未スキャングリッドG3に、同一のラベルを付ける。
そして、図19に示すように、ステップS133として、自己位置推定困難領域評価部43は、未スキャン領域C31を構成する全ての未スキャングリッドG3についてラベルを付す。
次に、ステップS134として、自己位置推定困難領域評価部43は、未スキャン領域C31を構成する全ての未スキャングリッドG3についてラベルを付す処理が終了すると、次に、環境地図M31において、未スキャン領域C31とは異なる未スキャン領域が配置されている場合、自己位置推定困難領域評価部43は、当該未スキャン領域には、未スキャン領域C31とは異なるラベル(例えば「2」など)を付す。これにより、自己位置推定困難領域評価部43は、自己位置推定困難領域である未スキャン領域毎に、順に、それぞれの識別情報としてラベルを付す。
そして、ステップS135として、自己位置推定困難領域評価部43は、環境地図M31における各未スキャン領域へのラベル付けが完了すると、各未スキャン領域毎に、ラベルの個数を計数する。
そして、未スキャングリッドG3のラベルの数が所定の個数以上である場合、自己位置推定困難領域評価部43は、当該未スキャン領域(図19の例では、未スキャン領域C31)は、自己位置推定困難領域であると判定する。他にも未スキャン領域が配置されている場合、当該未スキャン領域も同様に、ラベルの個数が所定の個数以上であれば、自己位置推定困難領域評価部43は、当該未スキャン領域は、自己位置推定困難な領域であると判定する。
(自律移動システム1の主な利点)
以上のように、自律移動装置10は、周囲の障害物4及び壁3の形状を計測し、当該計測した計測データを生成する距離センサ12と、上記計測データに基づき上記周囲の障害物4及び壁3の形状が反映された環境地図Mを作成する環境地図制御部32と、環境地図Mにおいてユーザ2により設定された走行すべき第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3のうち、自律移動装置10が走行不可と推定される走行不可領域を避けて、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3を埋めるように自律移動装置10の走行経路R1〜R3を作成する走行経路作成部33と、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3と、走行経路R1〜R3に含まれる領域との差分が所定値以上であるか否かを評価し、当該評価結果を入力表示部22に表示させる第1の評価部40とを備えている。
上記構成によると、第1の評価部40は、環境地図制御部32が作成した環境地図Mにおいて、ユーザ2により設定された走行すべき第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3と、走行経路作成部33が、自律移動装置10が走行不可と推定される走行不可領域を避けて、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3を埋めるように作成した走行経路R1〜R3に含まれる領域との差分が所定値以上であるか否かを評価する。そして、第1の評価部40は、当該評価結果を、通信部11・21を通じてタブレット端末20へ送信する。このように、第1の評価部40は、当該評価結果を、入力表示部22に表示させる。
これにより、ユーザ2により設定された第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3と、走行経路作成部33が作成した走行経路R1〜R3に含まれる領域とに差分が生じても、当該差分を評価結果として入力表示部22に表示させることでユーザ2に提示することができる。このため、ユーザ2は、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3の再設定の要否を判断することができる。これにより、走行経路作成部33は、ユーザ2の意図に沿った走行経路R1〜R3を再度、作成することができる。これにより、自律移動装置10は作業するための走行効率がよく、かつ、ユーザ2からの要求を満足させ易い。
また、上記所定値として、上記走行不可領域の個数又は面積が所定値以上であると、第1の評価部40は、当該評価結果を入力表示部22に表示させる。これにより、ユーザ2は、上記走行不可領域の個数又は面積が、上記所定値未満となるように、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3を再設定する必要があるか否かを判断することができる。このため、走行経路作成部33は、再度、ユーザ2の意図に沿った走行経路R1〜R3を作成することができるため、作業するための走行効率がよく、かつ、ユーザ2からの要求を満足させ易い。
また、第1の評価部40の孤立点評価部41は、走行経路R1〜R3に、障害物領域Bの面積が所定より小さい孤立点である障害物領域B3が存在した場合、障害物領域B3を上記走行不可領域と設定する。
上記構成によると、第1の評価部40は、環境地図Mの第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3それぞれに含まれる孤立点の、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3毎のトータル面積又は数に基づく評価結果を、入力表示部22に表示させる。このため、ユーザ2は、環境地図Mに、距離センサ12のノイズなどに起因して作成された孤立点の存在を把握しやすい。この結果、走行経路作成部33は、再度、ユーザ2の意図に沿った走行経路R1〜R3を作成することができるため、走行効率がよく、かつ、ユーザ2からの要求を満足させ易い。
また、第1の評価部40の作業不可能領域評価部42は、走行経路R1〜R3に、自律移動装置10が通り抜けできない幅である狭路領域Fが存在した場合、当該狭路領域Fを上記走行不可領域と設定する作業不可能領域評価部42を備える。
上記構成によると、第1の評価部40は、環境地図Mの第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3それぞれに含まれる狭路領域Fの、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3毎のトータル面積又は数に基づく評価結果を、入力表示部22に表示させる。このため、ユーザ2は、環境地図Mに、自律移動装置10が通り抜けできない狭路領域の存在を把握しやすい。この結果、走行経路作成部33は、再度、ユーザ2の意図に沿った走行経路R1〜R3を作成することができるため、走行効率がよく、かつ、ユーザ2からの要求を満足させ易い。
また、第1の評価部40の自己位置推定困難領域評価部43は、走行経路R1〜R3に、環境地図Mに基づく自律走行時、距離センサ12の計測データに基づいて環境地図M上の自己位置を推定することができない程度に、周囲の障害物4及び壁3の形状を反映させるための距離センサ12の計測データが不足している自己位置推定困難領域C2が存在した場合、自己位置推定困難領域C2を上記走行不可領域と設定する。
上記構成によると、第1の評価部40は、環境地図Mの第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3それぞれに含まれる自己位置推定困難領域C2の、第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3毎のトータル面積又は数に基づく評価結果を、入力表示部22に表示させる。このため、ユーザ2は、環境地図Mに、自律移動装置10が自己位置推定困難となる自己位置推定困難領域(走行不可領域)C2の存在を把握しやすい。この結果、走行経路作成部33は、再度、ユーザ2の意図に沿った走行経路R1〜R3を作成することができるため、走行効率がよく、かつ、ユーザ2からの要求を満足させ易い。
また、環境地図Mは、マトリクス状に配された要素である複数のグリッドGにより構成されており、複数のグリッドGは、計測データに基づいて環境地図制御部32によって障害物が存在する旨の情報が割り当てられた一又は複数の障害物グリッドG2を含み、孤立点評価部41は、一又は複数の障害物グリッドG2のみからなる障害物領域B2の障害物グリッドG2の個数を計数し、当該障害物グリッドG2の個数が所定の個数より少ない場合、障害物領域B2は孤立点であると判定する。このようにして、孤立点評価部41は、孤立点を、正確に特定することができる。
また、環境地図Mを構成する複数のグリッドGは、障害物グリッドG2に加え、さらに、上記計測データに基づいて、上記環境地図制御部32によって、障害物が存在しない旨の情報が割り当てられた複数の走行可能グリッドG1を含む。
そして、作業不可能領域評価部42は、複数の障害物グリッドG2のみからなる互いに離間した障害物領域B1及び障害物領域B2と、障害物領域B1及び障害物領域B2に挟まれた領域とにおいて、当該障害物領域B1及び障害物領域B2に挟まれた領域の幅が、自律移動装置10の幅に対応する長さより短い場合、当該障害物領域B1及び障害物領域B2に挟まれた領域は狭路領域Fであると判定する。このように、作業不可能領域評価部42は、自律移動装置10が通り抜けできない狭路領域Fを正確に特定することができる。なお、狭路判定がされる対象である、障害物領域B1及び障害物領域B2に挟まれた領域は、走行可能グリッドG1、障害物グリッドG2及び未スキャングリッドG3のうち、障害物グリッドG2以外であればよく、走行可能グリッドG1又は未スキャングリッドG3の何れであってもよい。
また、上記自己位置推定困難領域評価部43は、複数の未スキャングリッドG3のみからなる自己位置推定困難領域C2の未スキャングリッドG3の個数を計数し、未スキャングリッドG3の個数が所定の個数以上である場合、自己位置推定困難領域C2は自己位置推定困難領域であると判定する。このように、自己位置推定困難領域評価部43は、自律移動装置10が自己位置推定困難となる自己位置推定困難領域C2を正確に特定することができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図20〜図24に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図20は、本発明の実施形態2に係る自律移動システム1Aの機能ブロック図である。図21は、環境地図Mを、第1の評価部40Aが修正した環境地図MAを表す図である。
図22は、本発明の実施形態2に係る自律移動装置が、残った拡張領域EXを除去した環境地図を表示している様子を表す図である。図23は、本発明の実施形態2に係る自律移動装置が、自己位置推定困難領域を除去した環境地図を表示している様子を表す図である。
自律移動システム1Aは、自律移動装置10Aと、タブレット端末20とを備えている。自律移動装置10Aは、自律移動装置10(図1参照)が備えていた第1の評価部40に換えて第1の評価部40Aを備える。自律移動装置10Aの他の構成は、自律移動装置10と同様である。
第1の評価部40Aは、孤立点評価部41Aと、作業不可能領域評価部(狭路評価部)42Aと、自己位置推定困難領域評価部(自己位置推定評価部)43Aとを備える。第1の評価部40Aは、環境地図M(図4参照)に含まれる走行不可領域を抽出し、当該走行不可領域を除去した環境地図MAを示す情報を作成する。
孤立点評価部41Aは、孤立点である障害物領域B12・B13(図7及び図8参照)を抽出したようにして、環境地図Mの第1の作業領域D1(図4参照)に含まれている孤立点(障害物領域B3)を抽出したあと、当該抽出した孤立点(障害物領域B3)を除去した作業領域DA(作業領域DA1(図21参照))を示す情報を作成する。そして、第1の評価部40Aは、作業領域DA(作業領域DA1)を示す情報を記憶部34に記憶する。記憶部34に作業領域DA(作業領域DA1)を示す情報が記憶されると、当該作業領域DA(作業領域DA1)を示す情報は通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力される。
タブレット端末20は、入力表示部22に表示していた環境地図Mにおける第1の作業領域D1を作業領域DA(作業領域DA1)に表示を差し換える。孤立点評価部41Aは、作業領域D2・D3中に含まれている孤立点(障害物領域B3)が存在した場合も同様に、孤立点を除去した作業領域を示す情報を作成する。これにより、第1の評価部40Aは、孤立点を除去した作業領域を入力表示部22に表示させる。孤立点が複数存在しても、それぞれ毎に異なるラベルを付しているので、それぞれの領域毎に除去可能である。
作業不可能領域評価部42Aは、図14〜図17を用いて説明したようにして第2の作業領域D2(図4参照)に含まれる狭路領域Fを抽出したあと、図22に示すように、当該抽出した狭路領域Fを除去する情報を作成する。そして、作業不可能領域評価部42Aは、第2の作業領域D2から、当該抽出した狭路領域Fを除去した作業領域DA(作業領域DA2)を示す情報を記憶部34に記憶する。記憶部34に、作業領域DA(作業領域DA2)を示す情報が記憶されると、当該作業領域DA(作業領域DA2)を示す情報は、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力される。タブレット端末20は、入力表示部22に表示していた環境地図Mにおける第2の作業領域D2を作業領域DA(作業領域DA2)に表示を差し換える。
図23に示すように、作業不可能領域評価部42Aは、第1の作業領域D1及び第3の作業領域D3に含まれている狭路領域Fが存在した場合も同様に、狭路領域Fを除去した作業領域DAを示す情報を作成し、当該作業領域DAを示す情報が記憶部34に記憶される。当該作業領域DAを示す情報が記憶部34に記憶されると、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力される。タブレット端末20は、入力表示部22に表示していた環境地図Mにおける第1の作業領域D1・第3の作業領域D3を作業領域DA(作業領域DA1・D3)に表示を差し換える。これにより、入力表示部22は、狭路領域Fを除去した作業領域DAを表示する。狭路領域Fが複数存在しても、それぞれ毎に異なるラベルを付しているので、それぞれの領域毎に除去可能である。
自己位置推定困難領域評価部43Aは、図18〜図19を用いて説明したようにして、未スキャン領域C31を抽出したあと、図23に示すように、当該抽出した未スキャン領域C31を除去する情報を作成する。自己位置推定困難領域評価部43Aは、未スキャン領域C31とは異なる未スキャン領域C32を抽出したときも、当該抽出した未スキャン領域C32を除去する情報を作成する。そして、自己位置推定困難領域評価部43Aは、未スキャン領域C31・C32(すなわち自己位置推定困難領域C2)を除去した作業領域DA3(図21参照)を示す情報を作成し、記憶部34に記憶する。記憶部34に、作業領域DA3を示す情報が記憶されると、当該作業領域DA3を示す情報は、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力される。タブレット端末20は、入力表示部22に表示していた環境地図Mにおける第3の作業領域D3を作業領域DA3に表示を差し換える。自己位置推定困難領域評価部43Aは、第1の作業領域D1及び第2の作業領域D2に含まれている自己位置推定困難領域C2が存在した場合も同様に、自己位置推定困難領域C2を除去した作業領域を示す情報を作成し、記憶部34に記憶する。これにより、通信部11は、通信部21を介して、自己位置推定困難領域を除去した作業領域を除去した作業領域を入力表示部22に表示させる。図23に示すように、自己位置推定困難領域が、未スキャン領域C31・C32と複数存在しても、それぞれ毎に異なるラベルを付しているので、それぞれの領域毎に除去可能である。
図24は、自律移動装置10Aによる環境地図の評価の流れを表す図である。ステップS11(図5参照)において、孤立点評価部41Aが、当該作業領域に孤立点があると判定すると(ステップS11のYES)、当該作業領域から孤立点を除去した作業領域DAを示す情報を、記憶部34に記憶する。当該記憶部34に記憶された作業領域DAを示す情報は、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力される。そして、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図M上において、孤立点が削除された作業領域DA(例えば、作業領域DA1)を表示することで、ユーザ2に案内する(ステップS21)。
次に、ステップS13において、作業不可能領域評価部42Aが、当該作業領域(例えば作業領域D2)中に、作業不可能領域があると判定すると(ステップS13のYES)、当該作業領域のうち作業不可能領域を除く作業可能領域のみの情報である作業領域DAを示す情報を、記憶部34に記憶する。当該記憶部34に記憶された作業領域DAを示す情報は、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力される。そして、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図M上に、当該作業領域DA(例えば、作業領域DA2)中における作業不可能領域を除く作業可能領域のみを表示することで、ユーザ2に案内する(ステップS23)。
そして、ステップS15において、自己位置推定困難領域評価部43Aが、当該作業領域DA(例えば作業領域DA3)中に、自己位置推定困難領域があると判定すると(ステップS15のYES)、当該作業領域のうち自己位置推定困難領域を除く自己位置推定可能な領域を抽出し、当該自己位置推定可能な領域の情報である作業領域DAを示す情報を、記憶部34に記憶する。当該記憶部34に記憶された作業領域DAを示す情報は、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力される。そして、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図M上に、当該作業領域DA(例えば、第3の作業領域D3)中に自己位置推定可能な領域を表示することで、ユーザ2に案内する(ステップS25)。
次に、第1の評価部40Aは、環境地図MAにおいて複数設定された作業領域の全て(例えば、作業領域DA1〜DA3)に対して、ステップS11〜ステップS25の処理を行った否かを判定する(ステップS17)。
ステップS17において、全ての作業領域に対して、ステップS11〜ステップS25の処理を行っていると第1の評価部40Aが判定すると(ステップS17のYES)、第1の評価部40Aは、環境地図MAの評価を終了する。
一方、ステップS17において、全ての作業領域に対して、ステップS11〜ステップS25の処理を行っていないと第1の評価部40Aが判定すると(ステップS17のNO)、残っている作業領域に対して、ステップS11〜ステップS25の処理を行う。これにより、第1の評価部40Aは、全ての作業領域に対してステップS11〜ステップS25の処理を行う。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図25〜図28に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1、2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図25は、本発明の実施形態3に係る自律移動システム1Bの機能ブロック図である。自律移動システム1Bは、自律移動装置10Bと、タブレット端末20とを備えている。自律移動装置10Bは、自律移動装置10(図1参照)の構成に加え、第2の評価部50を備える。
第2の評価部50は、環境地図制御部32が環境地図Mを作成している最中に、不適切と思われる図の情報、走行不能な狭路領域などの情報を評価し、当該評価結果を入力表示部22に表示させることでユーザ2へ案内する。
第2の評価部50は、ユーザ2が自律移動装置10Bを移動操作することで、環境地図制御部32が部分的に作成してく環境地図Mの一部を逐次取得する。第2の評価部50は、自己位置推定困難領域評価部51と、作業不可能領域評価部52とを備える。
図26は、環境地図の作成のために、自律移動装置10Bがユーザ2により移動操作されている様子を表す図である。図26に示すように、距離センサ12によるスキャンが不十分であると、図27に示すように、環境地図を正確に作成するために距離データが不足する。図27は、自律移動装置10Bの環境地図制御部32が作成している環境地図MBの様子を表す図である。
図26に示したように、距離センサ12のスキャン方向と、壁3の延伸方向とが適切ではない場合、図27に示すように、距離センサ12は、壁3に対応する距離データが計測できず、壁3に対応する障害物領域B1によって閉じられていない領域の大半は、未スキャングリッドG3から構成される。この未スキャングリッドG3が連続する個数が多くなると、自己位置推定困難領域C2となる。
自己位置推定困難領域評価部51は、環境地図MB作成中に作成された自己位置推定困難領域C2を抽出して、当該自己位置推定困難領域C2近傍の障害物領域B1がない領域をスキャンするようにユーザ2に促す旨のスキャン指示情報を生成する。そして、第2の評価部50は、スキャン指示情報を、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力する。これにより、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図MBにおいて、自己位置推定困難領域C2近傍の障害物領域B1がない領域をスキャンするようにユーザ2に促す旨の情報を表示する。なお、自己位置推定困難領域評価部51が、自己位置推定困難領域C2を抽出する方法は、図18及び図19を用いて説明した方法と同様である。
また、障害物4と壁3との隙間部分のように、環境地図MBの作成中に狭路領域Fが作成された時点で、その領域は自律移動装置10Bが進入できないため、作業不可能領域評価部52は、当該生成された狭路領域Fを抽出し、当該狭路領域Fを特定した旨の情報を生成する。第2の評価部50は、狭路領域Fを抽出した旨の情報を、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力する。これにより、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図MBにおいて、狭路領域Fが存在する旨の情報を表示することで、ユーザ2に狭路領域Fを案内する。なお、作業不可能領域評価部52が、狭路領域Fを抽出する方法は、図14〜図17を用いて説明した方法と同様である。
図28は、自律移動装置10Bによる作成中の環境地図MBの評価の流れを表す図である。
環境地図制御部32が環境地図MBの作成を開始し、順次、環境地図MBを更新していく(ステップS31)。第2の評価部50は、環境地図制御部32が更新する環境地図MBを順次取得し、自己位置推定困難領域評価部51は、環境地図MBに、障害物を示す情報(障害物領域B1)が閉じられているか否かを判定する(ステップS32)。
ステップS32において、自己位置推定困難領域評価部51は、障害物領域B1が閉じられていない(ステップS32のNO)場合、生成された自己位置推定困難領域C2を抽出すると、第2の評価部50は、タブレット端末20を介して、障害物領域B1が閉じられていない領域をスキャンするように、ユーザ2に案内する(ステップS33)。
次に、作業不可能領域評価部52は、作成中の環境地図MB中における狭路領域Fの有無を判定する(ステップS34)。作業不可能領域評価部52は、作成中の環境地図MBから狭路領域Fを抽出すると(ステップS35)、第2の評価部50は、タブレット端末20を介して、抽出した狭路領域Fをユーザ2に通知する(ステップS36)。
次に、ユーザ2から環境地図MBの作成終了指示があると(ステップS37のYES)、環境地図MBの作成を終了する。ユーザ2から環境地図MBの作成終了指示ないと(ステップS37のNO)、ステップS31に戻る。
ステップ33でYESの場合、ステップS33を飛ばし、ステップS34へ進む。また、ステップS35でNOの場合、ステップS36を飛ばし、ステップS37へ進む。
自律移動装置10Bによると環境地図の欠落や、ユーザによる不適切な作業意図入力を、未然に防ぐことができるため、より効率的に作業できる。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図29〜図32に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1〜3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図29は、本発明の実施形態4に係る自律移動システム1Cの機能ブロック図である。自律移動システム1Cは、自律移動装置10Cと、タブレット端末20とを備えている。自律移動装置10Cは、自律移動装置10(図1参照)の構成に加え、第3の評価部60を備える。第3の評価部60は、障害物評価部61と、作業不可能領域評価部62とを備える。
第3の評価部60は、登録済の環境地図M、及びユーザ2から入力される作業意図に基づいて自律移動装置10Cが作業を行っている最中に、登録内容と異なる点についてユーザ2へ案内する。
図30は、自律移動装置10Cの作業中に、環境地図Mに登録された障害物4及び壁3とは異なる障害物5が存在している様子を表す図である。障害物5は環境地図M作成後に新たに置かれた障害物等である。また、図31は、自律移動装置10Cの環境地図制御部32が作成した環境地図MCの様子を表す図である。
障害物評価部61は、作業中に、登録済の環境地図Mに含まれていない新しい障害物領域BCを検知する。第3の評価部60は、障害物評価部61が検知した障害物領域BCを環境地図制御部32に出力する。環境地図制御部32は、環境地図Mに新しい障害物領域BCを加えた環境地図MCを作成して、記憶部34に記憶する(地図情報を更新する)。新しい環境地図MCが記憶部34に記憶されると、環境地図MCは、通信部11・21を介してタブレット端末20へ出力される。これにより、タブレット端末20は、入力表示部22に表示している環境地図Mに代わり、新たな障害物領域BCを含んだ新しい環境地図MCの表示を行う。
そして、走行経路作成部33は、新しい環境地図MCに基づき、走行経路を再生成し、記憶部34に記憶する。作業不可能領域評価部62は、記憶部34に記憶された、新しい環境地図MC及び新しい環境地図MCに基づく走行経路を評価する。作業不可能領域評価部62は、当該記憶部34に記憶された走行経路を再生成した結果、走行不可能な領域FCが発生した場合、その旨を、通信部11・21を介して、タブレット端末20に出力する。これにより、入力表示部22は、走行不可能な領域FCが発生した旨を表示することで、ユーザ2に案内する。
図32は、自律移動装置10Cによる環境地図MCの評価の流れを表す図である。
障害物評価部61は、作業中に、登録済の環境地図Mに含まれていない新しい障害物情報の有無を判定する(ステップS41)。ステップS41において、障害物評価部61は、新しい障害物領域BCが存在すると判定すると(ステップS41)、地図情報を更新する(ステップS42)。次に、作業不可能領域評価部62は、狭路判定を行う(ステップS43)。そして、作業不可能領域評価部62は、障害物領域BC生成により作業不可能な領域FCが発生するか否かを判定する(ステップS44)。ステップS44においてYESの場合、タブレット端末20を通じてユーザ2に案内する(ステップS45)。ステップS44においてNOの場合、完了する。また、ステップS41においてYESの場合も完了する。
自律移動装置10Cによると、作業環境の変化に対し、地図再作成の手順を踏むことなく内容を修正できる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
自律移動装置10の制御ブロック(特に、第1の評価部40、第2の評価部50及び第3の評価部60)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、自律移動装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る自律移動装置10は、周囲の障害物4(壁3)の形状を計測し、当該計測した計測データを生成するセンサ(距離センサ12)と、上記計測データに基づき上記周囲の障害物4(壁3)の形状が反映された環境地図Mを作成する環境地図作成部(環境地図制御部32)と、上記環境地図Mにおいてユーザ2により設定された走行すべき走行領域(第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3)のうち、自装置(自律移動装置10)が走行不可と推定される走行不可領域を避けて、当該走行領域(第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3)を埋めるように自装置(自律移動装置10)の走行経路R1〜R3を作成する走行経路作成部33と、上記走行領域(第1の作業領域D1〜第3の作業領域D3)と、上記走行経路R1〜R3に含まれる領域との差分が所定値以上であるか否かを評価し、当該評価結果を表示部(入力表示部22)に表示させる第1の評価部40とを備えていることを特徴とする。
上記構成によると、上記第1の評価部は、上記環境地図作成部が作成した上記環境地図において、上記ユーザにより設定された走行すべき走行領域と、上記走行経路作成部が、自装置が走行不可と推定される走行不可領域を避けて、当該走行領域を埋めるように作成した走行経路に含まれる領域との差分が所定値以上であるか否かを評価する。そして、上記第1の評価部は、当該評価結果を表示部に表示させる。
これにより、上記ユーザにより設定された走行領域と、上記走行経路作成部が作成した走行経路に含まれる領域とに差分が生じても、当該差分を評価結果として表示部に表示させることでユーザに提示することができる。このため、ユーザは、走行領域の再設定の要否を判断することができ、上記走行経路作成部は、ユーザの意図に沿った走行経路を再度作成することができる。これにより、走行効率がよく、かつ、ユーザからの要求を満足させ易い。
本発明の態様2に係る自律移動装置10は、上記態様1において、上記所定値は、上記走行不可領域の個数又は面積であることが好ましい。上記構成によると、上記走行不可領域の個数又は面積が所定値以上であると、上記第1の評価部は、当該評価結果を表示部に表示させる。これにより、ユーザは、上記走行不可領域の個数又は面積が、上記所定値未満となるように走行領域を再設定する必要があるか否かを判断することができる。このため、上記走行経路作成部は、再度、ユーザの意図に沿った走行経路を作成することができるため、走行効率がよく、かつ、ユーザからの要求を満足させ易い。
本発明の態様3に係る自律移動装置10は、上記態様1又は2において、上記第1の評価部40は、上記走行経路R1〜R3に、障害物(障害物領域B)の面積が所定より小さい孤立領域(障害物領域B3、孤立点)が存在した場合、当該孤立領域(障害物領域B3、孤立点)を上記走行不可領域と設定する孤立点評価部41を備えることが好ましい。
上記構成によると、上記環境地図に含まれる孤立領域に基づく評価結果を、上記表示部に表示させる。このため、ユーザは、上記環境地図に、上記センサのノイズなどに起因して作成された当該孤立領域の存在を把握しやすい。この結果、上記走行経路作成部は、再度、ユーザの意図に沿った走行経路を作成することができるため、走行効率がよく、かつ、ユーザからの要求を満足させ易い。
本発明の態様4に係る自律移動装置10は、上記態様1〜3において、上記第1の評価部40は、上記走行経路R1〜R3に、自装置(自律移動装置10)が通り抜けできない幅を有する狭路領域Fが存在した場合、当該狭路領域Fを上記走行不可領域と設定する狭路評価部(作業不可能領域評価部42)を備えることが好ましい。
上記構成によると、第1の評価部は、環境地図の上記走行領域に含まれる狭路領域の、上記走行領域毎のトータル面積又は数に基づく評価結果を、上記表示部に表示させる。このため、ユーザは、環境地図に、自律移動装置が通り抜けできない狭路領域の存在を把握しやすい。この結果、上記走行経路作成部は、再度、ユーザの意図に沿った走行経路を作成することができるため、走行効率がよく、かつ、ユーザからの要求を満足させ易い。
本発明の態様5に係る自律移動装置10は、上記態様1〜4において、上記第1の評価部40は、上記走行経路R1〜R3に、上記環境地図Mに基づく自律走行時、上記センサ(距離センサ12)の計測データに基づいて上記環境地図M上の自己位置を推定することができない程度に、上記周囲の障害物の形状を反映させるための上記センサ(距離センサ12)の計測データが不足している計測データ不足領域(自己位置推定困難領域C2)が存在した場合、当該計測データ不足領域(自己位置推定困難領域C2)を上記走行不可領域と設定する自己位置推定評価部(自己位置推定困難領域評価部43)を備えることが好ましい。
上記構成によると、上記第1の評価部は、上記環境地図の上記走行領域それぞれに含まれる計測データ不足領域の、上記走行領域毎のトータル面積又は数に基づく評価結果を、上記表示部に表示させる。このため、ユーザは、環境地図に、自律移動装置が自己位置推定困難な領域の存在を把握しやすい。この結果、走行経路作成部は、再度、ユーザの意図に沿った走行経路を作成することができるため、走行効率がよく、かつ、ユーザ2からの要求を満足させ易い。
本発明の態様6に係る自律移動装置10は、上記態様1〜5において、上記第1の評価部は、上記走行領域と、上記走行経路に含まれる領域との差分が所定値以上である場合、上記走行不可領域の個数又は面積が上記所定値未満となるように、当該上記走行不可領域のうち削除候補である上記走行不可領域を特定することが好ましい。上記構成によると、上記走行経路作成部は、再度、ユーザの意図に沿った走行経路を作成することができるため、走行効率がよく、かつ、ユーザからの要求を満足させ易い。
本発明の態様7に係る自律移動装置10は、上記態様3において、上記環境地図は、マトリクス状に配された要素である複数のグリッドにより構成されており、上記複数のグリッドは、上記計測データに基づいて上記環境地図作成部(環境地図制御部32)によって障害物が存在する旨の情報が割り当てられた一又は複数のグリッドを含み、上記孤立点評価部は、上記障害物が存在する旨の情報が割り当てられている一又は複数のグリッドのみからなる領域のグリッドの個数を計数し、当該グリッドの個数が所定の個数より少ない場合、当該領域は孤立領域であると判定することが好ましい。このようにして、上記孤立点評価部は、孤立点を、正確に特定することができる。
本発明の態様8に係る自律移動装置10は、上記態様4において、上記環境地図は、マトリクス状に配された要素である複数のグリッドにより構成されており、上記複数のグリッドは、上記計測データに基づいて、上記環境地図作成部(環境地図制御部32)によって、障害物が存在する旨の情報が割り当てられた複数のグリッドを含み、上記狭路評価部は、上記障害物が存在する旨の情報が割り当てられた複数のグリッドのみからなり、互いに離間する第1及び第2の障害物領域と、当該第1及び第2の障害物領域に挟まれた複数のグリッドからなる領域とにおいて、当該第1及び第2の障害物領域に挟まれた複数のグリッドからなる領域の幅が、自装置の幅に対応する長さより短い場合、当該当該第1及び第2の障害物領域に挟まれた複数のグリッドからなる領域を狭路領域であると判定することが好ましい。このように、上記上記狭路評価部は、上記自律移動装置が通り抜けできない狭路領域を正確に特定することができる。
本発明の態様9に係る自律移動装置10は、上記態様5において、上記環境地図は、マトリクス状に配された要素である複数のグリッドにより構成されており、上記複数のグリッドは、上記計測データに基づいて上記環境地図作成部(環境地図制御部32)によって障害物の存在が不明である旨の情報が割り当てられた複数のグリッドを含み、上記自己位置推定評価部は、上記障害物の存在が不明である旨の情報が割り当てられた複数のグリッドのみからなる領域のグリッドの個数を計数し、該グリッドの個数が所定の個数以上である場合、当該領域は上記計測データ不足領域であると判定することが好ましい。このように、上記自己位置推定評価部は、上記自律移動装置が自己位置推定困難な領域を正確に特定することができる。
本発明の態様10に係る自律移動システム1は、上記態様1〜9において、上記自律移動装置と、上記環境地図を表示し、上記走行領域をユーザに設定させる端末とを備えていることが好ましい。
本発明の態様11に係る環境地図評価方法は、周囲の障害物の形状を計測し、当該計測した計測データを生成するセンサと、上記計測データに基づき上記周囲の障害物の形状が反映された環境地図を作成する環境地図作成部とを備える自律移動装置における環境地図評価方法であって、上記環境地図においてユーザにより設定された走行すべき走行領域のうち、自装置が走行不可と推定される走行不可領域を避けて、当該走行領域を埋めるように自装置の走行経路を作成する走行経路作成ステップと、上記走行領域と、上記走行経路に含まれる領域との差分が所定値以上であるか否かを評価する評価ステップとを含むことを特徴とする。
このため、ユーザは、走行領域の再設定の要否を判断することができ、上記走行経路作成ステップにおいて、ユーザの意図に沿った走行経路を再度作成することができる。これにより、走行効率がよく、かつ、ユーザからの要求を満足させ易い。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。