JP5241306B2 - 自律移動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、指定された領域を塗り潰すように移動して清掃や環境測定などの作業を行うための自律移動装置に関する。
従来、住居内において自走し、壁の位置や障害物の位置を取得して住居内の各部屋の全領域の地図情報を生成する自走式ロボットが知られている。この自走式ロボットは、住居内の壁の内壁面から所定の間隔を空けて形成される仮想面に沿って繰り返し周回し、1周回毎に仮想面を内側にシフトさせることにより住居内の全領域を塗り潰すように移動して部屋内部にある障害物の位置を取得する(例えば、特許文献1参照)。
また、両側を壁などで囲まれた廊下などの領域において、壁を検出しては壁沿いに一定距離移動し、その後反対側の壁に向かって移動する動作を繰り返して、両側の壁を交互に伝いながらその領域を塗り潰すように移動する装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−339408号公報 特開2006−293976号公報
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような自走式ロボットによる塗り潰し移動の方法は、対象とする領域の全周囲が壁などで囲まれた領域でしか利用できない。また、上述した特許文献2に示されるような装置による塗り潰し移動の方法は、例えば、廊下の対向する壁の間隔に比べて廊下の長さが長いような領域の場合に、両壁の間を何回も往復移動するのは、移動が小刻みで不自然であり、また、他の移動体や人の移動の邪魔になるなどの問題がある。
本発明は、上記課題を解消するものであって、走行領域の種々の形状に柔軟に対応して自然な移動で効率的に領域を塗り潰しできる自律移動装置を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、目的地の情報を含む走行のための各種パラメータおよび走行領域の地図を記憶する記憶手段と、周囲の物体との距離を検出する距離検出手段と、前記地図上における自己位置を取得する位置認識手段と、前記地図上における自己位置および記憶手段に記憶された目的地をもとに走行するための経路を生成する経路生成手段と、走行のための走行手段と、前記位置認識手段により自己位置を認識するとともに前記経路生成手段の生成した経路に基づいて前記走行手段を制御して前記目的地まで走行する走行制御手段と、を備え、前記走行領域に設定された閉領域を所定の掃引幅で走行して塗り潰す自律移動装置において、前記閉領域は、該閉領域の端部にある少なくとも4つの領域定義点によって設定され、前記経路生成手段は、前記閉領域を前記掃引幅で走行して塗り潰すように、隣り合う領域定義点を結ぶ互いに対向する2つの線分にそれぞれ該線分を前記掃引幅に基づいて分割した分割点を仮目的地として設定すると共に、前記一方の線分における仮目的地と他方の線分における仮目的地とを順次接続して経路を生成し、前記一方の線分における仮目的地と他方の線分における仮目的地とを接続する経路を、直線的に移動する経路とするか、または前記距離検出手段によって周囲の物体との距離を検出して物体との距離を一定に保ちつつ移動する経路とするかが予め設定されているものである。
請求項の発明は、請求項に記載の自律移動装置において、前記経路生成手段は、前記2つの線分のうち長い方の線分において設定した仮目的地に基づいて他方の線分における仮目的地を設定するものである。
請求項の発明は、請求項1または請求項に記載の自律移動装置において、前記経路生成手段は、前記一方の線分における仮目的地と他方の線分における仮目的地とを接続する経路と、1つの線分内の2つの仮目的地間を移動する経路とを組み合わせて、当該閉領域を渦巻状に外側から内側に向けてまたは内側から外側に向けて移動する経路を順次生成するものである。
請求項の発明は、請求項1または請求項に記載の自律移動装置において、前記経路生成手段は、前記一方の線分における仮目的地と他方の線分における仮目的地とを接続する経路と、1つの線分内の2つの仮目的地間を移動する経路とを組み合わせて、前記線分の一端側から他端側に向けて順次移動する経路を順次生成するものである。
請求項の発明は、請求項または請求項に記載の自律移動装置において、前記距離検出手段によって周囲の物体との距離を検出して物体との距離を一定に保ちつつ移動する経路を生成するように設定されている場合に、前記経路生成手段は、経路から物体までの距離を、より外側の経路から物体までの距離に前記掃引幅を加えた距離とするものである。
請求項の発明は、請求項に記載の自律移動装置において、前記経路生成手段は、周囲の物体との距離を一定に保ちつつ移動する経路を生成する際に、距離を一定に保っている物体がある側とは移動方向反対側にある物体の方が近くなる場合には両側の物体との距離が等しくなる経路を生成するものである。
請求項の発明は、請求項に記載の自律移動装置において、前記経路生成手段は、前記仮目的地から所定範囲内においては、周囲の物体との距離を保ちつつ移動する経路に代えて当該仮目的地に直線的に接続する経路を生成するものである。
請求項の発明は、請求項に記載の自律移動装置において、前記経路生成手段は、前記2つの線分のうち長い方の線分を前記掃引幅に基づいて分割し、その分割点を仮目的地として設定する際に、前記長い方の線分の長さを前記掃引幅で割り算して商を求め、前記商を整数となるように切り上げた整数値を該線分を分割するための分割数とするものである。
請求項1の発明によれば、ユーザが閉領域を設定すると、自律移動装置が閉領域を所定の掃引幅で走行して塗り潰しを行うので、走行領域の種々の形状に柔軟に対応して容易に閉領域を設定できる。
また、大略四角形の閉領域を容易に設定でき、自律移動装置が自然な移動で効率的に塗り潰しを実現できる。例えば、廊下の対向する壁の間隔に比べて廊下の長さが長いような領域の場合に、廊下の両端に設定した領域定義点に基づく線分を設定して閉領域とすれば、従来例に見られたような両壁の間を廊下を横切って何回も往復移動する小刻みで不自然な移動をすることなく、廊下に沿って移動する他の移動体や人の移動の邪魔にならないように、移動の流れに沿って自然な塗り潰し移動ができる。また、自律移動装置は、線分の分割点として線分に沿って仮目的地を設定するので仮目的地を容易に設定できる。
また、走行領域に物体が連続的または一定離間間隔以内で不連続的に存在して形成された移動の案内役となるような境界(以下においてこのような境界を境界縁と呼ぶことにする)が存在するときに、このような境界縁に沿って移動しながら塗り潰すように指定できるので、自律移動装置は走行領域の種々の形状に柔軟に対応して、設定された領域を塗り潰すことができる。また、走行領域の塗り潰し予定領域において塗り残しがないように閉領域を容易に設定できる。
請求項の発明によれば、自律移動装置は、掃引の繰り返し回数、すなわち仮目的地の数がより多く必要となる長い方の線分側で設定した仮目的地に基づいて仮目的地を設定するので、塗り残しを生じることなく塗り潰すことができる。
請求項の発明によれば、自律移動装置は、繰り返し動作の組合せにより、効率的に閉領域塗り潰しができる。
請求項の発明によれば、地図における半島部分や岬部分、建物における展望用の張り出し部分などのように、走行領域における全体的に外方に膨らんでいる部分に対して、その部分を切り取るような閉領域を容易に設定でき、自律移動装置は、そのような領域を塗り潰すことができる。
請求項の発明によれば、自律移動装置は、境界縁に沿って移動することにより閉領域を、塗り残しを生じることなく塗り潰すことができる。
請求項の発明によれば、自律移動装置は、設定された閉領域に2つの境界縁の間隔が大きく変化している場所があっても、平均的な経路に沿って自然な塗り潰し移動を実現できる。
請求項の発明によれば、自律移動装置は、境界縁の端部における境界縁同士の間隔が境界縁の両端で大きく異なる閉領域が設定された場合であっても、間隔が狭い側において自然な移動を実現できる。
請求項の発明によれば、互いに平行ではない経路によって塗り潰す場合であっても、請求項13と同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施形態に係る自律移動装置について、図面を参照して説明する。なお、図1に示す自律移動装置1のブロック構成は、以下に示す各実施形態において共通であって、適宜参照される。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る自律移動装置のブロック構成を示し、図2は同装置によって塗り潰し移動が行われる閉領域を示し、図3(a)(b)(c)は同装置によって行われる塗り潰し移動の経路の例を示す。
自律移動装置1は、図1に示すように、目的地の情報を含む走行のための各種パラメータおよび走行領域の地図を記憶する記憶手段11と、周囲の物体との距離を検出する距離検出手段12と、地図上における自己位置を取得する位置認識手段13と、地図上における自己位置および記憶手段11に記憶された目的地をもとに走行するための経路を生成する経路生成手段14と、走行のための走行手段15と、位置認識手段13により自己位置を認識するとともに経路生成手段14の生成した経路に基づいて走行手段15を制御して目的地まで走行する走行制御手段16と、目的地や走行のためのパラメータなどを入力するための操作インターフェイス17と、を備えている。
記憶手段11は、走行領域の地図を記憶している。現実の走行領域は、例えば、後述の第14の実施形態(図23)に示すように、店舗境界、建物の境界や外壁等によって構成される物理的な境界の他に、物体や段差などの存在しない概念的な境界などによって規定されている。また、現実の走行領域を規定する境界には、物体が連続的または一定離間間隔以内で不連続的に線状に存在して形成された移動の案内役となるような境界も存在する。前者は物理的な境界のみで構成された境界であり、後者は、例えば、ポールが一定間隔で並んでいる例では、ポール(物体)による物理的な境界と、ポール間の隙間による概念的な境界との混合により構成された境界である。このような連続的または離散連続的、またはこれらの混合による境界は、距離検出手段12によって周囲の物体との距離を検出して物体との距離を一定に保ちつつ移動するために用いることができる。そこで、以下において、このような移動の案内役となる境界を「境界縁」と呼ぶことにする。境界縁は閉領域を設定する際に、自律移動装置が塗り潰し時の移動に用いるように、ユーザが指定することができる。記憶手段11は、現実の走行領域における要所々々の座標を用いて走行領域の地図を記憶している。また、記憶手段11は、ユーザによって指定される閉領域20の情報(領域定義点P0〜P3などの情報)を記憶する。
距離検出手段12は、走行方向前方の水平面内を所定一定角度でスキャンするレーザレーダや、超音波受波素子をアレイ状に複数配列して電子的スキャンによって3次元距離画像を得る超音波アレイセンサなどを用いて構成される。距離検出手段12は、自己位置から周囲の物体までの距離を検出すると共に距離データを演算処理して、その物体表面位置の座標を取得する。
位置認識手段13は、距離検出手段12が取得した壁などの位置情報と、記憶手段11に記憶された地図上の環境認識用のデータとを照合することにより、地図上における自己の位置を取得する。
経路生成手段14は、後述する仮目的地を設定すると共に、地図上における自己位置および記憶手段11に記憶された目的地や設定した仮目的地を順次接続して走行するための経路を生成する。その際に、経路生成手段14は、距離検出手段12によって検出される周囲の物体との距離をもとに当該周囲の物体との衝突を回避するように仮目的地を設定する。
走行手段15は、電池BTで駆動されるモータを備えている。このモータには、その回転数や回転速度を計測するエンコーダが設けられている。自律移動装置1の走行制御手段16は、このエンコーダの出力によって移動距離や移動方向を知ることができ、これをもとに、デッドレコニング(dead reckoning、推定航法)を行う。また、操作インターフェイス17は、人が直接操作できるタッチパネルやキーボード、または、人が遠隔操作できる無線通信手段などにより構成することができる。
記憶手段11、距離検出手段12の演算部、位置認識手段13、経路生成手段14、および走行制御手段16等を構成するため、CPUやメモリや外部記憶装置や表示装置や入力装置などを備えた一般的な構成を備えた電子計算機、およびその上のプロセスまたは機能の集合を用いることができる。
上述の構成を備えた自律移動装置1は、操作インターフェイス17を介してユーザにより指定された走行領域内の特定の閉領域(目的地)まで移動し、または、ユーザにより移動させられて、その閉領域の全域を効率的に塗り潰す。ここで、「塗り潰す」とは、自律移動装置1が行う所定の作業、例えば、環境計測、清掃、ワックス塗布、種まき、施肥、消毒液散布、芝刈りなどの作業を閉領域の全域にわたって行うという意味である。自律移動装置1は、これらの作業に必要な機器を備えたものである。
上述の閉領域は、例えば、図2に示すように、地図上に設定された走行領域2における2つの境界縁3と2つの線分4とで囲まれた閉領域20である。閉領域20の境界縁3は、壁や塀、フェンス、種々の配置物などの物体が連続または不連続に存在することにより形成される境界であり、距離検出手段12によって検出できる物理的な境界である。この点、閉領域20の線分4による境界は、何らかの物体で形成されることなく地図上でのみ設定された概念的な境界である。
閉領域20は、さらに述べると、当該閉領域20の境界に位置する4つ(4点)の領域定義点P0,P1,P2,P3(総称して領域定義点Pとする。他の実施形態においても同様)を定義して設定される。言い換えると、閉領域20は、一般に閉領域20の端部にある複数の領域定義点によって設定される。図2の閉領域20の場合、4つの領域定義点Pが2つの境界縁3の近傍に設定されている。閉領域20は領域定義点Pを結んで成る互いに対向する2つの線分4と、互いに対向する2つの境界縁3とによって大略四角形の領域として設定されている。なお、領域定義点Pは、自律移動装置1が自己位置に基づいて認識することができる点として設定され、また、後述するように、相互に接続して経路を構成する既定の仮目的地とされる。
閉領域20は、複数の領域定義点Pだけで領域定義点Pを結ぶ線分4によって囲まれた多角形領域として、または、境界縁3を援用して、結果的に領域定義点Pを結ぶ線分4と境界縁3とによって囲まれた領域として、ユーザによって設定され、自律移動装置1にその情報が与えられる。本実施形態では境界縁3を援用している。
ここで、「境界縁3を援用する」とは、自律移動装置1が距離検出手段12によって、境界縁3を構成している物体との距離を検出して物体との距離を一定に保ちつつ移動することである。ユーザは、現実空間の知識から、このような案内役となる境界縁3とすることができる環境物体の存在を知った上で、閉領域20を設定する。自律移動装置1は、境界縁3を援用する旨の指示が与えられた閉領域について塗り潰し作業を開始するときに、境界縁3を構成している物体を自ら検出する作業を行う。つまり、ユーザは、境界縁3を援用するかどうかの指示を、操作インターフェイス17を介して自律移動装置1に与えるだけであり、境界縁3を構成する壁や物体などの情報を自律移動装置1に与えるわけではない。この指示は、領域定義点Pと共に明示的に、または閉領域20の設定情報に付随させて暗示的に与えることができる。
境界縁3が援用されるのは領域定義点Pが境界縁3の近く(例えば、後述の距離d1の位置)に設定された場合とすることにより、暗示的に境界縁3を援用する旨の指示を与えることができる。従って、この暗示的指示の場合、図2の場合と異なって領域定義点Pがいずれも境界縁3の近くに設定されていない場合には、自律移動装置1は所定の距離内に境界縁3を構成している物体を検出することができず、結果的に境界縁3は援用されないことになり、閉領域20は、複数の領域定義点Pによって定まる多角形の領域となる。
また、明示的に、仮目的地間を直線移動するように、または、境界縁に沿って移動するように指示することもできる。仮目的地間を直線移動するように指示された場合であっても、障害物が検出されれば、自律移動装置1はその障害物を回避するように自律的に移動する。また、境界縁に沿って移動するように指示された場合であって所定の距離内に物体が検出されない場合に、予め与えた設定条件に基づいて、自律移動装置1は仮目的地に向かって直線的に移動するか、または、操作インターフェイス17を介してエラー信号を発報する。
経路生成手段14は、設定された閉領域20を所定の掃引幅Wで走行して塗り潰すために、複数の追加の仮目的地を設定する。領域定義点Pは既定の仮目的地とする。さらに、経路生成手段14は領域定義点Pに基づく線分、すなわち領域定義点Pを端点とする線分4の長さを掃引幅Wで除算した商を切り上げて整数化して得た分割数によって線分4を分割した分割点a,bを仮目的地に追加する。線分4の長さが短くて分割できない場合には、仮目的地は追加されない。また、既定の仮目的地P0〜P3(領域定義点P0〜P3)のどの点間において追加の仮目的地を設定するかは、例えば、暗示的に、P1とP2間、およびP3とP0間のように各点を設定する順番などによって予め設定するものとする。また、明示的に指定してもよい。以上のように、仮目的地は、領域定義点Pと分割点a,bから成る。これらを総称して仮目的地Kとする。また、機能面から見て仮目的地P0,P1、仮目的地a,bなどとも表記する。他の実施形態においても同様とする。経路生成手段14は、これらの各仮目的地Kを経由するように順次接続して走行するための経路Rとする。
なお、目的地と仮目的地の違いは特になく、いずれも経路生成手段14が経路(閉領域20における経路Rに限らず走行領域2内の経路)を生成するための目標点または経路の通過点とされる地点である。仮目的地Kは、記憶手段11に記憶される。また、経路Rは、最初にその全経路が確定されるのではなく、次の目的地や仮目的地に向かうための当面の道順であり、随時生成されたり修正されたりする。経路Rは移動距離と移動方角の変化の積み重ねによって結果として決まる。また、これらの仮目的地Kは、全て、閉領域20の端部に設定されている。
次に、閉領域20と仮目的地K、経路R等について詳細に説明する。閉領域20における仮目的地P0,P3の組、および仮目的地P1,P2の組は、上述のように領域定義点Pであり、自律移動装置1は、操作インターフェイス17を介してこのような領域定義点Pの座標を与えられて閉領域20を認識する。
自律移動装置1は、距離検出手段12によって検出された物体の位置情報、通常、複数の位置情報を、記憶手段11に記憶された地図上において確認することにより、またはデッドレコニングを援用して、閉領域20の仮目的地P0〜P3を認識する。閉領域20における仮目的地P0〜P3の認識をより容易とするには、仮目的地P0〜P3の近くに位置確認用の物体を設置したり、逆に、位置確認の容易な位置の近くに領域定義点Pを設定したりすればよい。
自律移動装置1が、線分4上で自己位置を確実に認識し、自己位置の補正を行うことができるようにすると、塗り潰しを確実に行える。そこで、線分4の近くにある自己位置認識に用いることができる位置に、例えば、光を効率的にもとの方向に反射する再帰反射シートによる反射板などを設置すれば、距離検出手段12としてレーザ光や赤外線を用いてその位置を容易に検出でき、自己位置を確実に認識できる。
仮目的地Kのうち追加の仮目的地は、1つの線分4上で、互いに掃引幅Wの間隔、または掃引幅W以下の間隔(割り切れない場合や重ね塗りの場合など)で設定される。領域定義点P0,P3等は、境界縁3から所定の距離d1離れた位置に設定される。距離d1は、自律移動装置1による塗り潰し動作の内容、閉領域20における動作環境条件、掃引幅Wなどを考慮して決定される。例えば、d1=W/2+d0(d0は逃げ代)とされる。
掃引幅Wの値は、実際に塗り潰しに用いる装置、例えば、清掃用ブラシ幅などの実装置幅ではなく、塗り潰し作業を行う際の重ね代などを考慮した実効幅とすればよい。同様に、仮目的地a,b等を決めるために線分4を分割する際の掃引幅Wも、その分割の実体に合わせて適宜変更することができる。
本実施形態は、閉領域20が、4つの領域定義点Pを用いることにより互いに対向する2つの境界縁3と、その2つの境界縁3の端部を結ぶように配置されると共に互いに対向配置された2つの線分4と、で設定されている場合に関している。この場合、経路生成手段14は、閉領域20内で2つの線分4の一方における仮目的地Kと他方の線分4における仮目的地Kとを接続して経路Rとする。経路生成手段14は、各仮目的地を接続する順番を決める。
このような経路Rは、境界縁3側から見て最初の経路の場合、境界縁3に沿って距離d1を保つように形成される。2番目の経路Rは、境界縁3側から距離d2=d1+Wを保つように形成される。以下同様である(なお、図2に示した閉領域20の例は、境界縁3,3間の距離が大略一定の場合であ)。経路生成手段14は、このような経路Rを決定するために、仮目的地P0,P3の間に、掃引幅Wに応じて仮目的地a,aを設定し、仮目的地P1,P2の間に、仮目的地b,bを設定する。仮目的地の個数は、両線分4において同じである。
次に、各仮目的地Kを経由する経路Rに沿って移動する手順(道順)を説明する。自律移動装置1が、一定の掃引幅Wで閉領域20を塗り潰す移動を行うには、往復移動などの繰り返し移動が必要である。
その繰り返し移動の1つとして、図3(a)に示すように、閉領域20を設定している境界縁3から一定の距離を保ちつつ境界縁3に沿って移動する経路と、1つの線分4における仮目的地K(領域定義点Pと分割点a1,a2,b1,b2の総称)の2点間、すなわち同一線分内を移動する経路とを組み合わせて、閉領域20を渦巻状に外側から内側に向けて移動する方法が取られる。この例の場合、自律移動装置1は、仮目的地P0から移動開始して、P0,P1,P2,P3,a1,b1,b2,a2の順番で移動する。この移動において、境界縁3から一定の距離を保ちつつ境界縁3に沿って移動するために、(本例では左巻きの移動だから)より近い側となる進行方向右側の境界縁3との距離を一定に保つようにすれば効率良く移動できる。この場合、移動の向きが変わる毎に、参照する境界縁3が入れ替わる。図3(b)に示す例は、上述の渦巻状の移動を、逆に内側から外側に向けて行うものである。塗りつぶし開始位置は、例えば、本例に示すように、中央部に位置する点であって領域定義点P3に近い仮目的地(すなわち仮目的地a2)などのように決めておけばよい。この場合も、回る向きに応じて、進行方向の右か左の一方の境界縁3との距離を保つようにすればよい。
また、図3(c)に示す例は、閉領域20を設定している境界縁3から一定の距離を保ちつつ境界縁3に沿って移動する経路と、1つの線分4における仮目的地間を移動する経路とを組み合わせて、1つの境界縁3から次第に離れていく、いわばつづら折り状またははしご状の経路Rを、閉領域20を塗り潰すための経路Rとして生成するものである。この場合は、境界縁3から一定の距離を保ちつつ境界縁3に沿って移動するために、仮目的地の位置が近い側の境界縁3との距離を一定に保つようにすればよい。従って、塗りつぶしの前半と後半で、距離を参照する境界縁3が入れ替わることになる。
上述の渦巻状の経路Rやつづら折り状の経路Rのいずれを採用するかは、塗り潰し作業の内容や閉領域の状態等によって定めればよい。これらの方式の指定は、閉領域20を設定する際に自律移動装置1に適宜操作インターフェイス17を介して与えて設定してもよく、予めいずれかに設定して記憶手段11に記憶させておいてもよく、設定された領域定義点Pの配置に基づいて経路生成手段14が自ら設定するようにしてもよい。また、渦巻状の経路における左回りか右回りかについても、同様に設定される。
上述した本実施形態の自律移動装置1は、領域定義点P(2つの線分4を規定する4点)の位置座標を与えられることによって閉領域20を指定されると、経路生成手段14が線分4上に追加の仮目的地を設定し、各仮目的地P0等を経由するように走行するための経路Rを生成する。追加の仮目的地を設定するために必要な掃引幅Wや、境界縁3からの距離d1等の情報は、上述のように自律移動装置1が自己の特性データとして記憶手段11に記憶したもの、または、適宜操作インターフェイス17を介して与えられたものなどが用いられる。
本実施形態の自律移動装置1によれば、塗り潰すための閉領域20を2つの境界縁3と領域定義点Pに基づく2つの線分4とで囲まれた閉領域20として設定するので、このような閉領域20を走行領域2に複数設定することにより複雑な形状の走行領域2であっても、自律移動装置1は所定の掃引幅Wで走行して効率的に塗り潰しを行うことができる。また、閉領域20の設定には、領域定義点Pの座標を指定すればよいので、走行領域の形状に柔軟に対応して容易に閉領域20を設定できる。また、折り返し移動のために線分4に沿って設定した仮目的地P0,P1等を経由するように経路Rを生成するので、自律移動装置1が、少なくとも領域定義点Pの位置を確実に認識可能としておくことにより、経路Rが大きく外れることなくより安定に自律的に塗り潰し移動ができる。
また、境界縁3は、その近傍を塗り潰すための境界であって、連続した壁である必要はなく、閉領域20の設定に融通性があり、走行領域2の塗り潰し移動を容易に実現できる。自律移動装置1は、明確に物理的な連続線として検知できない境界をもつ走行領域であっても閉領域20を設定することにより効率的に塗り潰すように移動できる。さらに、長い廊下などのように、境界縁3沿いに長い閉領域の場合に、自律移動装置1は長手方向に移動する他の移動体や人の移動の邪魔にならないように、閉領域20の長手方向に、移動の流れに沿って経路を生成しつつ往復移動しながらその閉領域に対して自然な塗り潰しができる。
また、塗り潰しのための移動が一定動作の繰り返し動作で構成されるので、閉領域20に対して、共通化した簡単な所定の手順(プログラム)を用いて塗り潰し動作を容易に実現できる。
(第2の実施形態)
図4は第2の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示し、図5は同装置による物体の検出と経路生成を示し、図6は同装置による物体の検出と経路生成の他の例を示し、図7は同装置による物体の検出と経路生成のフローチャートを示す。
本実施形態では、図4に示すように、外から内に向かう渦巻状の経路Rに沿って、境界縁3との距離d1,d2,d3等を一定に保ちつつ移動する様子を具体的に説明する。閉領域20は、第1の実施形態と同じく、2つの境界縁3と2つの線分4とに囲まれた領域である。仮目的地P0〜P3の間の仮目的地(不図示)は、経路生成手段14によって決定されている。本例の経路Rは、全体として左回りの渦巻形状となっている。
自律移動装置1は、境界縁3に沿って移動して仮目的地に達した後、各線分4の周辺における折り返し領域2a,2bにおいて、線分4に沿って次の仮目的地に向かって移動し、その後、対向する他の線分4における仮目的地に向かって、境界縁3に沿って移動する。境界縁3に沿う移動は、境界縁3から所定の距離d1,d2=d1+W,d3=d2+Wを保つように行われる。
上述の距離d1,d2,d3を保つ移動は、距離検出手段12による境界縁3における物体Mの検出結果(下記)、および、デッドレコニングによる自己位置認識の結果などに基づいて行われる。最初の距離d1を保つ移動は、境界縁3を検出しながら移動することにより、境界縁3に近接して塗り潰し移動を行うことができる。また、次の距離d2等を保つ移動は、自律移動装置1が本来備えている自律移動の機能(デッドレコニング等に基づく推定航行)のみに基づいて仮目的地に向かうようにしてもよい。いずれの移動方式で移動するかは、予めユーザが与えることができる。このような経路Rを生成しつつ経路Rに沿った移動をする間も、他の移動体や人や放置障害物などとの衝突の回避が行われる。また、予め掃引幅Wに余裕を持たせておく(実際より狭めに設定する)ことにより、塗り潰し移動における重ね代を大きく取ることができ、経路Rに求められる位置精度を緩和することができる。
自律移動装置1は、図5に示すように、距離センサ12aを進行方向前面に備えている。距離センサ12aは距離検出手段12を構成するセンサである。図中に示したXY座標系は、自律移動装置1と共に移動する座標系であり、Y方向が自律移動装置の進行方向である。距離センサ12aは、扇型の検出エリアSR,SLにおける物体の位置を検出する。検出エリアSR,SLは、前面の左右所定高さの水平面にそれぞれ設定され、その大きさは、距離測定値の大きさを判断する距離閾値によって、自律移動装置1の移動速度や移動環境、塗り潰しの作業内容等に応じて、適宜段階的に設定できる。
距離検出手段12が距離センサ12aを介して、境界縁3側、すなわち、図5における右側の検出エリアSRに境界縁3を構成する物体Mを検出すると、経路生成手段14は、進行方向に直交する方向であって、境界縁3(物体M)から所定の距離ΔXだけ離れた位置Tに向かう経路Rを生成する。これにより、自律移動装置1は矢印eで示す方向に進むことになる。
上述のように経路Rを生成すると、例えば、境界縁3が平面から成る壁であって物体Mが壁の一部である場合に、自律移動装置1は、その壁を検出している間、壁から一定の距離ΔXを保って、壁(境界縁3)と平行な直線の経路Rに沿って移動することになる。
図6に示す状態は、自律移動装置1が、右前方に加え、さらに左前方に物体Mを検出して、矢印eで示すように左側に旋回する様子を示す。この状況は、例えば、仮目的地P0、P3側の線分4に沿って、仮目的地P0に向かって移動した後左折する場合などが想定される。
距離検出手段12が距離センサ12aを介して、左側の検出エリアSLに物体Mを検出すると、経路生成手段14は、進行方向手前側に境界縁3(物体M)から所定の距離ΔYだけ離れた位置Tに向かう経路Rを設定する。このような位置Tは、記憶手段11に記憶されている仮目的地Kに向かうために随時設定される仮目的地であり、その名の通りの仮の目的地である。この経路Rに向かって移動することにより、自律移動装置1は左旋回することになる。
図7のフローチャートは、上述の一連の動作の処理を示している。自律移動装置1が仮目的地P0から塗り潰しの移動を開始すると、距離検出手段12は、境界縁3側の所定距離内(本例の場合、検出エリアSR内)で一番近い障害物(この場合、他の移動体などではなく境界縁3を構成する物体)までの距離を検出する(#1)。障害物が検出エリア内に検出されなかった場合(#2でNo)、経路生成手段14は、所定の仮目的地に向かう経路を設定する(#3)。
障害物が検出エリアSR内に検出された場合(#2でYes)、距離検出手段12は、境界縁3の反対側の所定距離内(検出エリアSL内)で一番近い障害物までの距離を検出する(#4)。障害物が、検出エリアSLにおいて検出された場合(#5でYes)、経路生成手段14は、障害物の手前に向かう経路を設定する。これは、図6に示した状況に対応する。
また、障害物が、検出エリアSLにおいて検出されなかった場合(#5でNo)、経路生成手段14は、進行方向に直交する方向であって、所定の距離だけ離れた位置に向かう経路を設定する(#7)。これは、図5に示した状況に対応する。
自律移動装置1は、ステップ#3,#6,#7のいずれかのステップの後、設定された経路Rに沿って移動し、最終でない仮目的地に達したら経路を変更する(#8)。
ステップ#8の後、自律移動装置1は、塗り潰し終了かどうかを判断し(#9)、塗り潰し終了なら現在処理中の閉領域20の処理を終了し(#9でYes)、塗り潰しが終了していない場合には、ステップ#1に戻って、上述の処理を所定の制御周期のもとで繰り返す。なお、フローチャートにおける終了判断のステップ#9の位置は、上記に限らず適宜変更設定することができる。
(第3の実施形態)
図8は第3の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路と閉領域を示し、図9は同装置による仮目的地を設定する処理のフローチャートを示し、図10(a)は図9のフローチャートの一部を実行するプログラムを示し、図10(b)は(a)のプログラムにおける変数ifloorのグラフを示し、図10(c)は(a)のプログラムにおける変数imodのグラフを示し、図11は同装置による経路生成を位置ベクトルによって示す。
本実施形態では、仮目的地P1,P2間、および仮目的地P3,P0間の仮目的地を予め設定するのではなく設定しつつ移動する場合の手順について説明する。図8に示す閉領域20における経路Rは、境界縁3に沿った経路R1,R3,R5と、線分4に沿った経路R2,R4とから成る。
経路生成手段14は、塗り潰し移動の開始にあたり、図9に示すように、仮目的地数mを算出し、仮目的地を指定する変数iを初期化して、i=1とする(S1)。図9の処理において、自律移動装置1は、仮目的地P0に居る状態から処理を開始するものとする。そこで、変数i=0は仮目的地P0に対応し、i=1は仮目的地P1に対応する。
仮目的地数mは、図8に示す例の場合、P0〜P5の6つ、m=6である。ここで、2つの線分4が領域定義点P(仮目的地P0〜P3)によって決定されており、2つの線分4の長さが等しいとして、その長さをLとする。すると、m=ceil(L/W)×2+2、と表される。関数ceil(x)は、xより小さくない(すなわちx以上の)最小の整数を返す関数である。例えば、図8において、L/W=1.8の場合、ceil(1.8)=2であり、m=ceil(1.8)×2+2=2×2+2=6である。2つの線分4において、仮目的地は同数とされており、mは偶数となる。なお、2つの線分4の長さが等しくない場合には、塗り残しが発生しないように、より長い方の長さに基づいて仮目的地数mを求めればよい。
経路生成手段14は、ステップS2において、i番目の仮目的地Piの座標(Pix,Piy)を設定する。この座標は、少なくとも閉領域20の全体に共通に固定されたxy座標系に関する座標である。なお、i=0,1,2,3に対する仮目的地Piの座標は、領域定義点Pの座標であって既知である。仮目的地の座標は、線分4を掃引幅Wに基づいて分割する点として決定される。より詳しくは、上述の仮目的地数mに基づいて、さらには、ceil(L/W)による分割数によって分割する分割点として決定される。本例の場合の分割点は、ceil(1.8)=2であるから、各線分の長さを2分割した点である。本例のように2つの線分の長さが等しい場合は、仮目的地を均等間隔に配置することになるが、2つの線分の長さが異なる場合は、各線分4毎に異なる配置となる。
自律移動装置1は、座標が設定されたi番目の仮目的地Piに到達するまで自ら経路Rを生成しつつ移動し(S3,S4)、仮目的地に到達したら変数iをインクリメント、i=i+1する(S5)。
その後、経路生成手段14は、変数iと仮目的地数mとを比較し、iがm以上でなければ(S6でNo)、ステップS2からの処理を繰り返す。
また、経路生成手段14は、変数iと仮目的地数mとを比較し、iがm以上ならば(i≧m)、途中の全ての仮目的地を経由して最終の仮目的地(図8の場合、P5)に到達したことになり、閉領域20における塗り潰しの移動処理を終了する。
次に、上述の仮目的地Piの座標を設定する処理プログラムの例を説明する。簡単のため、仮目的地P3,P0間、および仮目的地P1,P2間の距離Lが、共に2Wであると仮定する。一般に、距離Lが掃引幅Wの整数倍ではない場合には、前処理を行って、W0=L/(ceil(L/W))=L/((m−2)/2)として求めたW0を新たなWに置き換えればよい。例えば、図8の場合、L/W=1.8、m=6であるので、W0=L/2、逆に、L=2×W0であり、このW0が新たなWとされる。このような掃引幅の置き換えは、他の実施形態においても同様に適用される。図10(a)に示すプログラムリストの1行目におけるfloor(x)関数は、xより大きくない(すなわちx以下の)最大の整数を返す関数である。従って整数iに対して、ifloor=floor(i/4)は、図10(b)に示すように、整数4毎に1増加するステップ関数となる。
また、プログラムリストの2行目におけるimod=i−ifloor×4は、図10(c)に示すように、整数iに対して、0,1,2,3の値を順番にとる関数を整数4毎に繰り返す関数となる。
プログラムリストにおけるUP12x,UP12yは、図11に示すように、仮目的地P1,P2を結ぶベクトルP12方向の単位ベクトルUP12のx,y成分であり、UP30x,UP30yは、図11に示すように、仮目的地P3,P0を結ぶベクトルP30方向の単位ベクトルUP30のx,y成分である。
各仮目的地P0,・・,P5の位置ベクトルをp0,・・,p5とすると、p4=p0−UP30×W,p5=p1+UP12×Wである(仮定により、P0,P4の間隔がP3,P4の間隔に等しい)。
従って、i=0,1,・・,5、すなわちm=6の場合に、プログラムリストにおける「case 0」においてP0,P4、「case 1」においてP1,P5、「case 2」においてP2、「case 3」においてP3のxy座標が算出される。
本実施形態では、自律移動装置1が移動しつつ各仮目的地の座標を設定する例を示したが、これに限らず、予め全ての仮目的地の座標を設定して記憶した後、移動するようにしてもよい。
上述のように、閉領域20を、境界縁3に沿って移動する経路と、線分4に沿って移動する経路に基づいて塗り潰しを行う場合、仮目的地の設定が、単純な繰り返し処理によって達成されるので、処理プログラムの作成や保守が容易となる。なお、最初に仮定した仮目的地P3,P0間および仮目的地P1,P2間の距離Lが共に等しい、という仮定が成り立たない場合には、各線分4毎に区別して上述のWを2種類準備して処理すればよい。
(第4の実施形態)
図12は第4の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す。本実施形態は、上述の第3の実施形態の閉領域20における仮目的地数m=6が、m=8に増加したものであり、仮目的地P0〜P7となった点を除いて、上記と同様である。従って、増加した仮目的地P6は、プログラムリストにおける「case 2」において算出され、仮目的地P7は、「case 3」において算出される。
(第5の実施形態)
図13は第5の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路と閉領域を示す。本実施形態は、上述の各実施形態において、2つの境界縁3が直線であって互いに一定距離を隔てて平行である場合について示すものであり、自律移動装置1の経路生成手段14は、境界縁3に平行な経路Rを形成するように追加の仮目的地a,bを設定する。この場合において、自律移動装置1は、既定の仮目的地としての領域定義点Pを与えられると共に、適切な追加の仮目的地を決定するための情報が与えられる。例えば、平行な境界縁3間の距離(垂直距離)および平行な経路Rを形成する旨の指示が与えられる。自律移動装置1は、この垂直距離と掃引幅Wに基づいて、追加の仮目的地を決定することができる。他の方法として、自律移動装置1が、自ら、領域定義点Pの4点の座標と地図情報とから閉領域20が平行な境界縁3を有することを判断して垂直距離を算出するようにしてもよい。
本実施形態の自律移動装置1によれば、例えば、建物内の一定の幅の直線廊下を一定の長さで区切って閉領域を設定する場合、廊下に沿って往復移動しながらその閉領域20を所定の掃引幅Wで塗り潰すことができる。この場合、仮目的地a,bは、2つの境界縁3を隔てている一定距離を掃引幅Wに基づいて分割した位置とすることにより、容易に設定することができる。
(第6の実施形態)
図14は第6の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路と閉領域を示す。本実施形態は、上述の第1乃至第4の各実施形態において、2つの境界縁3が直線ではない場合であって互いに一定距離を隔てて対向している場合(2つの境界縁3が各局所局所において平行となっている)について示すものであり、自律移動装置1の経路生成手段14は、境界縁3に平行な経路Rを形成するように追加の仮目的地a,bを設定する。本実施形態では、境界縁3が直線とは限らないので、上述の第5の実施形態とは異なり、境界縁3間の距離(垂直距離)を与えるのが好ましい。他の方法として、領域定義点Pによって定まる線分4が各境界縁3に垂直となるように領域定義点Pを設定すれば、適切な仮目的地と経路Rを生成することができる。
本実施形態の自律移動装置1によれば、例えば、建物内の一定の幅の蛇行している廊下を両端における線分で区切って閉領域を設定する場合、廊下に沿って往復移動しながらその閉領域20を所定の掃引幅Wで塗り潰すことができる。この場合、仮目的地a,bは、図示のように2つの境界縁を隔てている一定距離を掃引幅Wに基づいて分割した位置とすることにより、容易に設定することができる。
(第7の実施形態)
図15は第7の実施形態に係る自律移動装置が塗り潰し移動を行う閉領域を示し、図16は図15の閉領域における塗り潰し移動の経路を示す。
本実施形態は、領域定義点Pを3点用いることにより、閉領域20が、1つの境界縁3と、境界縁3の端部近傍を走行領域内の1点に結ぶ2つの線分4(領域定義点Pを結んで成る2つの線分)とで設定されている場合について示すものであり、自律移動装置1の経路生成手段14は、2つの線分4のうち一方の線分における仮目的地P0,aと他方の線分4における仮目的地P1,bとを結ぶ経路を生成する。
本実施形態の閉領域20は、第1の実施形態の閉領域20における境界縁3の一方が長さゼロになった場合と見做すこともできる。この場合、例えば、仮目的地P2,P3が互いに同じ位置を示すことになる。本実施形態の自律移動装置1によれば、走行領域に三角形や扇形の閉領域20を設定して塗り潰し移動できる。
(第8の実施形態)
図17は第8の実施形態に係る自律移動装置が塗り潰し移動を行う閉領域を示す。本実施形態は、第1の実施形態の閉領域20における互いに対向する2つの線分4の長さが異なる場合について示すものであり、自律移動装置1の経路生成手段14は、互いに対向する2つの線分4のうち、より長い方の線分4に沿って設定した仮目的地、より詳しくは、その仮目的地を設定する際に算出した仮目的地数mに基づいて他方の線分4の仮目的地を設定するものである。
図17に示す閉領域20の場合、仮目的地P3,P0間の長さすなわち距離Laよりも、仮目的地P1,P2間の距離Lbの方が長いので、距離Lbを掃引幅Wに基づいて分割するように仮目的地数mを求めて(第3の実施形態参照)仮目的地b,bが決定される。この場合、距離Laの方は、距離Lbを分割した分割数と同じ分割数(本例の場合3分割)で分割されて、仮目的地a,aが決定される。なお、線分4は、通常、可能な限り両境界縁3に対し、より垂直となるように設定される。
本実施形態の自律移動装置1によれば、閉領域20を設定するための2つの線分4の長さが大きく異なる場合、すなわち境界縁3の端部における境界縁3同士の間隔が境界縁3の両端で大きく異なる場合でも、塗り残しの生じない、空間的に偏りのない平均的な経路に沿って自然な塗り潰し移動を実現できる。
(第9の実施形態)
図18は第9の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路と閉領域を示す。本実施形態は、閉領域20が、領域定義点Pを2点用いるものであり、湾曲する1つの境界縁3と、境界縁3の両端部の近くに設定された領域定義点P0,P1を結ぶ1つの線分4とで設定されている場合について示すものである。この場合の塗潰用の移動経路は、結果的に、1つしかない線分4の中心側から外側に向けて、または、外側から中心側に向けて、当該線分の中心に対して互いに反対側に位置する仮目的地を交互に経由するような経路となる。
図18に示す例では、経路Rは、線分4の一方の端に設定された仮目的地P0から(すなわち外側から)出発して、反対側の端に設定された仮目的地P1、仮目的地P0に近い側の仮目的地a、仮目的地P1に近い側の仮目的地bを経由するものとなる。経路Rは、線分4に沿って移動する経路と、1つしかない境界縁3に沿って湾曲しながら移動する経路とからなっている。また、経路Rを仮目的地bから逆に辿れば、線分4の中心側から外側に向けて、当該線分4の中心に対して互いに反対側に位置する仮目的地を交互に経由する経路となる。
ユーザは、このような閉領域20を設定する際に、塗り潰しに必要な指示を自律移動装置1に与える。例えば、いずれの仮目的地P0,P1から塗り潰しを開始するか、また、そこからいずれの方向に移動開始するか、すなわち、2つの領域定義点P0,P1を結ぶ線分で2分されるいずれかの側において距離検出手段14によって周囲の物体との距離を検出して物体との距離を一定に保ちつつ移動するか、などの指示を自律移動装置1に与える。
本実施形態の自律移動装置1によれば、走行領域における湾曲部に閉領域20を設定して、その閉領域20を塗り潰すことができる。また、境界縁3は、湾曲したものに限らず、走行領域を規定する全体的に外方に膨らんでいる領域を規定する境界縁3、例えば、地図における半島部分や岬部分のように、走行領域における全体的に外方に膨らんでいる部分における曲線形状や直線形状の境界縁を対象とすることができ、その膨らんだ部分を切り取るような閉領域を設定することができる。従って、複雑な境界縁形状を有する走行領域であっても、上述の第1の実施形態における大略四角形の閉領域や第7の実施形態における大略三角形の閉領域と、本実施形態における閉領域20とを組み合わせることにより、自律移動装置は閉領域で分割したその走行領域の全体を余すことなく塗り潰すことができる。
(第10の実施形態)
図19は第10の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路と閉領域を示す。本実施形態は、第1、第2の実施形態におけるように対向する2つの境界縁3がある場合であって、一方の境界縁3に沿って一定間隔を保ちながら移動する経路Rが、現在注目している当該境界縁3よりも他方の境界縁3の方に近づく場合には、両方の境界縁3との距離が等しくなる経路を生成する経路生成について示すものである。
図19に示す例では、現在注目している一方側の境界縁3の中央部付近に、閉領域20の内部側に大きくくびれた境界縁3の位置を示す境界点n1が検出され、反対側の境界縁3に境界点n3が検出されている。
自律移動装置1は、第2の実施形態の図4について説明したように、仮目的地P0から出発して、境界縁3との距離d1を保つ経路Rを生成しつつ移動し、折り返し領域2aで折り返して、境界縁3との距離d2を保つ経路Rを生成しつつ移動する。自律移動装置1は、通常、進行方向の右側だけでなく左側についても、距離検出手段12による境界縁3に沿った物体(従って、左側の境界縁3)の検出を行っている。
ところが、図4の場合と異なり、図19における境界縁3のくびれた境界点n1に対して距離d2を保つ経路は、現在注目している境界縁3とは反対側の境界縁3における境界点n3に近づいてしまい、自律移動装置1と境界点n3との距離が、境界点n1との距離、すなわち距離d2よりも近くなってしまう。このような場合には、経路Rとして、境界点n1,n3の中点n2を通る経路が生成される。境界点n1と中点n2との間の距離α、中点n2と境界点n3との間の距離βの関係は、α=β<d2である。
本実施形態の自律移動装置1によれば、経路生成手段14が、周囲の物体との距離を一定に保ちつつ移動する経路を生成する際に、距離を一定に保っている物体がある側とは移動方向反対側にある物体の方が近くなる場合には両側の物体との距離が等しくなる経路を生成するので、閉領域20に2つの境界縁3の間隔が大きく変化している場所があっても、空間的に偏りのない平均的な経路に沿って自然な移動と塗り潰しを実現できる。
(第11の実施形態)
図20は第11の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路と閉領域を示す。本実施形態は、線分4上の移動ではなく閉領域20内から移動して仮目的地に近づいたとき、または、逆に仮目的地から閉領域20の内部に移動するときの処理を説明するものである。自律移動装置1は、仮目的地b1から仮目的地a1に向かって境界縁3との距離d2を保って経路Rに沿って移動し、仮目的地a1から所定範囲De内に近づいた地点c1以降は、境界縁3から一定の距離を保ちつつ境界縁3に沿って移動する経路Rに代えて、仮目的地a1に直接すなわち直線的に向かう経路R2に沿って移動する。このような経路R2は、経路Rと同様に、自律移動装置1の経路生成手段14が生成する。
また、自律移動装置1は、仮目的地b2から仮目的地a2に向かう際にも、同様に、仮目的地a2から所定範囲De内に近づいた地点c2以降は、経路Rに変えて仮目的地a2に直接すなわち直線的に向かう経路R2に沿って移動する。他の場合も同様である。
上述の経路R2が生成される状況は、境界縁3の端部における境界縁同士の間隔が境界縁3の両端で大きく異なる場合に、間隔が狭い側(本例の場合、仮目的地P3側)の線分に関する仮目的地において発生する。
本実施形態の自律移動装置1によれば、境界縁3の端部における境界縁同士の間隔が境界縁の両端で大きく異なる場合であって間隔が狭い側、言い換えれば、閉領域を設定する2つの線分の長さが大きく異なる場合であって線分の長さが短い側における、自然な移動を実現できる。つまり、本実施形態の自律移動装置1によれば、塗り残しなく閉領域20を塗り潰すために、必然的に間隔が広い側において十分な数の仮目的地を設定するので、間隔が狭い側において仮目的地の間隔が必要以上に狭くなった場合であっても、そのような状況に柔軟に対応できる。
なお、上記では、仮目的地a1,a2等に向かう場合を説明したが、逆に、仮目的地a1,a2等から仮目的地b1,b2等に向かう場合においても、本実施形態を同様に適用できる。例えば、移動の向きを逆にした場合を想定して仮目的地間の互いの間隔が狭い仮目的地a1から閉領域20内に出発する場合に、仮目的地a1から所定の範囲De内において、境界縁3との距離が漸近的に距離d2となるまで経路R2に沿って直線的に移動し、距離d2となった地点c1以降は経路Rに沿って移動するようにすればよい。他の仮目的地についても同様である。
(第12の実施形態)
図21は第12の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路と閉領域を示す。本実施形態は、閉領域20が、1つの境界縁3と、4つの領域定義点P0〜P3を端点とする第1乃至第3の3つの線分4とで設定されている場合について示すものである。第1および第2の線分4は互いに対向しており、その各一端部は境界縁3側にあり、各他端部は、第3の線分4の両端部側にある。つまり、本実施形態の閉領域20は、第1の実施形態(図2)に示した閉領域20において、2つの境界縁3の1つの境界縁3を第3の線分4に置き換えたものとなっている。
仮目的地は、第1の線分4上にP0,P3,a等が設定され、第2の線分4上にP1,P2,b等が設定されている。塗り潰し移動のための経路は、これらの互いに対向する線分について設定された仮目的地を結ぶように生成される。経路は、境界縁3側では境界縁に沿って生成され、第3の線分4側では直線的な経路が生成される。領域定義点Pによってどのように線分4を構成かを決定して各線分の役割を一意的とするために、操作インターフェイス17を介して自律移動装置1に付加的な情報が渡される。その情報は、例えば、線分を領域定義点Pの対で指定して、線分(P0,P3)と、線分(P1,P2)とはそれぞれ追加の仮目的地を設定する線分であり、線分(P2,P3)は追加の仮目的地を設定しない線分である、などの情報である。他の方法として、各領域定義点Pを設定する順番によって、自律移動装置1が線分の役割を判断するようにしてもよい。この他に、境界縁3を援用するか否かの情報も渡される。
(第13の実施形態)
図22は第13の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路と閉領域を示す。本実施形態は、閉領域20が、2つの互いに対向する境界縁3と、境界縁3の端部を結ぶ2つの線分4と、2つの境界縁3の中程を結ぶ線分4からなる3つの線分4とによって設定されている場合について示すものである。
つまり、本実施形態の閉領域20は、第1の実施形態(図2)に示した閉領域20において、閉領域20の中に2つの境界縁3を結ぶ第3の線分4を追加したものとなっている。本例は、領域定義点Pを6点用いた例となっている。また、別の見方をすれば、第1の実施形態(図2)に示した閉領域20を2つ隣り合わせに接合して設定したものと言える。この場合、接合部における線分4は2つの閉領域20に共通の線分4となっている。
上述のような閉領域20において、中央の第3の線分4には、その両側の線分4と同様に仮目的地P4,P5,c等が設定されている。但しこれらの仮目的地P4,P5,c等は、互いの間では折り返し用の経路が形成されず、左右の線分4に含まれる仮目的地を結ぶ経路の通過点となっている。このような仮目的地P4,P5,c等を有する線分4は、例えば、直角に曲がる廊下などの曲がり角に設定することができる。この場合、左右の線分4は、その廊下の曲がり角の両側に設定されることになる。また、本例において、境界縁3が援用されない場合には、6つの領域定義点Pを頂点とする6角形の領域が、閉領域として設定されることになる。領域定義点Pに基づいて線分を設定するために、上述の第12の実施形態におけると同様に、付加的な情報が自律移動装置1に与えられる。
(第14の実施形態)
図23は第14の実施形態に係る自律移動装置が塗り潰し移動を行う複数の閉領域を含む走行領域を示す。本実施形態は、上述した第1乃至第12の実施形態における閉領域の例を含む具体的な走行領域の例2を説明するものである。本図は、複数の店舗が設けられている建物内のフロアを示しており、各店舗部分と吹き抜け部分を除いた領域が走行領域2となっている。走行領域2の境界は、点線で示した店舗境界、実線で示した吹き抜け部分の境界、および建物の外壁等で構成されている。境界には、太い実践で示した実障害物が散在している。これらの実障害物、吹き抜け部分の境界、および建物の外壁は、自律移動装置1が、距離検出手段12によって検出して自己位置を参照できる物理的な境界であって、閉領域を設定する境界縁とされる。
走行領域2は、閉領域A〜Fが設定されて区分されている。各閉領域は、上述の物理的な境界を含む境界に沿う壁沿い移動(破線矢印に沿った移動)、およびデッドレコニングのもとで地図上で自己の位置を認識しながら行う位置確認移動(実線矢印に沿った移動)の組合せによって、自律移動装置1による塗り潰しが行われる。
破線矢印で示した壁沿い移動が行われる「壁」を含む境界が、上記した各実施形態における閉領域20の「境界縁3」に相当する。この壁沿い移動は、壁に近い経路や、壁から段階的に離れて生成される経路に沿った移動を含む。
実線矢印で示した位置確認移動は、上記した各実施形態における閉領域20の「線分4」に沿った移動に相当する。つまり、実線矢印で示した位置に線分4が設定され、この実線矢印上の位置に仮目的地Pが設定される。自律移動装置1がこの実線矢印の位置、従って、実線矢印上での自己位置を認識できるように、参照できる物理的境界以外に、位置検出用のマークを設けることによって自律移動装置1の動作をより確実なものとすることができる。
閉領域Aは、3ヶ所あり、2つの直線から成る境界縁と2つの線分によって設定された閉領域であって、2つの境界縁が互いに平行な場合の閉領域である。この場合、渦巻移動により、常に進行方向の片方の境界縁(進行方向が逆転する毎に2つの境界縁3が交互に入れ替わる)との距離を一定に保ちながら移動することができる。
閉領域Bは、2ヶ所あり、2つの境界縁と2つの線分によって設定された閉領域であって、境界縁が直線ではない場合の閉領域である。
閉領域Cは、1ヶ所あり、1つの境界縁と2つの線分によって設定された三角形の閉領域である。
閉領域Dは、中央上部と右下の2ヶ所にあり、1つの多角形状に張り出した境界縁と1つの線分とによって設定された閉領域である。境界縁は、必ずしも連続した物理境界である必要はなく、右下の閉領域Dにおける湾曲した境界縁の一部は走行領域2を横切る境界縁を含むものとなっている。
閉領域Eは、1つの境界縁と3つの線分によって設定された長方形の閉領域である。このような形状の閉領域Eは、上記の閉領域Aと異なって、1つだけ存在する一方側の境界縁との距離を一定に保つようにして壁沿い移動を行うことができる。
閉領域Fは、下部中央に示されており、4つの線分によって設定された四角形の閉領域である。この閉領域Fには、物理的境界を有する境界縁が含まれていない。すなわち、閉領域Fは、第1の実施形態等における境界縁3を援用しない領域定義点Pだけによる閉領域である。このような閉領域には、実線矢印の位置、従って、実線矢印上での自己位置を地図上で認識できるように、位置検出用のマークを設けることで、より確実に塗り潰しを行うことができる。また、閉領域Fの上方に隣接している閉領域Eにおける境界縁を閉領域Fの境界縁と見做すこともできる。この場合、距離d1は、図2等に示した距離d1に塗り潰し作業に直接関係しない追加の距離を加えたものとなる。
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、各実施形態において向きを指定して示した経路Rは、その向きを逆にした経路であってもよい。また、上述した境界縁3を有する各閉領域20において、境界縁3が存在しない状態を想定すると、領域定義点Pだけ(すなわち線分だけ)による閉領域とすることもできる。境界縁3を閉領域20の設定に援用するかどうか(すなわち、境界縁3沿いの移動をするか、直線移動するか)の指示は、操作インターフェイス17を介して自律移動装置1に与えることができる。基本的には、領域定義点Pが境界縁3に所定の距離(例えば、距離d1)に設定されている場合に、そのことを地図情報から判断してその境界縁3に沿う移動をするようにすればよい。なお、上述した各実施形態の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る自律移動装置のブロック構成図。 同上装置によって塗り潰し移動が行われる閉領域の平面図。 (a)(b)(c)は同上装置によって行われる塗り潰し移動の経路の例を示す平面図。 第2の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 同上装置による物体の検出と経路生成を説明する平面図。 同上装置による物体の検出と経路生成の他の例を説明する平面図。 同上装置による物体の検出と経路生成の処理を説明するフローチャート。 第3の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 同上装置による仮目的地を設定する処理のフローチャート。 (a)は図9のフローチャートの一部を実行するプログラムの説明図、(b)は(a)のプログラムにおける変数ifloorのグラフ、(c)は(a)のプログラムにおける変数imodのグラフ。 同上装置による経路生成を位置ベクトルによって説明する平面図。 第4の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 第5の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 第6の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 第7の実施形態に係る自律移動装置が塗り潰し移動を行う閉領域の平面図。 図15の閉領域におる塗り潰し移動の経路を示す平面図。 第8の実施形態に係る自律移動装置が塗り潰し移動を行う閉領域の平面図。 第9の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 第10の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 第11の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 第12の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 第13の実施形態に係る自律移動装置による塗り潰し移動の経路を示す閉領域の平面図。 第14の実施形態に係る自律移動装置が塗り潰し移動を行う複数の閉領域を含む走行領域の平面図。
符号の説明
1 自律移動装置
2 走行領域
3 境界縁
4 線分
11 記憶手段
12 距離検出手段
13 位置認識手段
14 経路生成手段
15 走行手段
16 走行制御手段
20 閉領域
A〜F 閉領域
a,a1,a2,b,b1,b2,c 仮目的地
K 仮目的地
M 物体
P,P0〜P5 領域定義点
P0〜P7 仮目的地
R,R1〜R7 経路
W 掃引幅

Claims (8)

  1. 目的地の情報を含む走行のための各種パラメータおよび走行領域の地図を記憶する記憶手段と、周囲の物体との距離を検出する距離検出手段と、前記地図上における自己位置を取得する位置認識手段と、前記地図上における自己位置および記憶手段に記憶された目的地をもとに走行するための経路を生成する経路生成手段と、走行のための走行手段と、前記位置認識手段により自己位置を認識するとともに前記経路生成手段の生成した経路に基づいて前記走行手段を制御して前記目的地まで走行する走行制御手段と、を備え、前記走行領域に設定された閉領域を所定の掃引幅で走行して塗り潰す自律移動装置において、
    前記閉領域は、該閉領域の端部にある少なくとも4つの領域定義点によって設定され
    前記経路生成手段は、前記閉領域を前記掃引幅で走行して塗り潰すように、隣り合う領域定義点を結ぶ互いに対向する2つの線分にそれぞれ該線分を前記掃引幅に基づいて分割した分割点を仮目的地として設定すると共に、前記一方の線分における仮目的地と他方の線分における仮目的地とを順次接続して経路を生成し、前記一方の線分における仮目的地と他方の線分における仮目的地とを接続する経路を、直線的に移動する経路とするか、または前記距離検出手段によって周囲の物体との距離を検出して物体との距離を一定に保ちつつ移動する経路とするかが予め設定されていることを特徴とする自律移動装置。
  2. 前記経路生成手段は、前記2つの線分のうち長い方の線分において設定した仮目的地に基づいて他方の線分における仮目的地を設定することを特徴とする請求項に記載の自律移動装置。
  3. 前記経路生成手段は、前記一方の線分における仮目的地と他方の線分における仮目的地とを接続する経路と、1つの線分内の2つの仮目的地間を移動する経路とを組み合わせて、当該閉領域を渦巻状に外側から内側に向けてまたは内側から外側に向けて移動する経路を順次生成することを特徴とする請求項1または請求項に記載の自律移動装置。
  4. 前記経路生成手段は、前記一方の線分における仮目的地と他方の線分における仮目的地とを接続する経路と、1つの線分内の2つの仮目的地間を移動する経路とを組み合わせて、前記線分の一端側から他端側に向けて順次移動する経路を順次生成することを特徴とする請求項1または請求項に記載の自律移動装置。
  5. 前記距離検出手段によって周囲の物体との距離を検出して物体との距離を一定に保ちつつ移動する経路を生成するように設定されている場合に、
    前記経路生成手段は、経路から物体までの距離を、より外側の経路から物体までの距離に前記掃引幅を加えた距離とすることを特徴とする請求項または請求項に記載の自律移動装置。
  6. 前記経路生成手段は、周囲の物体との距離を一定に保ちつつ移動する経路を生成する際に、距離を一定に保っている物体がある側とは移動方向反対側にある物体の方が近くなる場合には両側の物体との距離が等しくなる経路を生成することを特徴とする請求項に記載の自律移動装置。
  7. 前記経路生成手段は、前記仮目的地から所定範囲内においては、周囲の物体との距離を保ちつつ移動する経路に代えて当該仮目的地に直線的に接続する経路を生成することを特徴とする請求項に記載の自律移動装置。
  8. 前記経路生成手段は、前記2つの線分のうち長い方の線分を前記掃引幅に基づいて分割し、その分割点を仮目的地として設定する際に、前記長い方の線分の長さを前記掃引幅で割り算して商を求め、前記商を整数となるように切り上げた整数値を該線分を分割するための分割数とすることを特徴とする請求項に記載の自律移動装置。
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