JP6619473B2 - アルミニウム合金溶加材の製造方法 - Google Patents
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Description
前記組成のビレットを450〜520℃で均質化熱処理する工程と、
均熱化処理後の前記ビレットを押し出し加工する工程と、
押し出し加工により得られた線材を圧延及び抽伸工程により伸線する工程と、
をこの順で実施して、
短径が10μm以上の略矩形状のMg2Siの数を、前記加工方向の平行断面と垂直断面の平均値で50個/mm2未満にする。
Mgは、溶接金属部の強度を向上させる元素である。溶加材のMg含有量が5.5質量%よりも少ないと、溶接金属部の強度向上が不十分となる。一方、溶加材に7.5質量%を超えてMgを含有させても、溶接金属部の強度向上効果は飽和し、更に、溶加材の強度が高くなり過ぎて伸線加工性が低下する。よって、本実施形態の溶加材では、Mg含有量は5.5〜7.5質量%とする。
Siは、Mgと金属間化合物(Mg2Si)を形成する。特に、Mgを5.5質量%以上と多量に含むアルミニウム合金では、巨大なMg2Siが形成されやすく、Si含有量が0.06質量%を超えると、その傾向が顕著になる。よって、本実施形態の溶加材では、Si含有量を0.06質量%以下に規制する。
本実施形態の溶加材の成分組成における残部は、Al及び不可避的不純物である。ここで、不可避的不純物としては、前述したSiの他に、Mn、Cr、Ti、Zr、Fe及びZnなどが挙げられる。ただし、これらの元素を多量に含有すると、粗大な粒子を形成したり、他の元素と金属間化合物を形成したりするため、伸線性に影響を与える虞がある。そこで、前述した元素を不可避的不純物として含有する場合は、それぞれMn:0.2質量%以下、Cr:0.25質量%以下、Ti:0.20質量%以下、Zr:0.25質量%以下、Fe:0.40質量%以下及びZn0.25質量%以下に規制することが好ましい。
溶加材のSi含有量が0質量%であれば、Mg2Siの形成を抑制することができるが、工業的には微量のSiが含まれることが一般的であり、その結果、Mg2Siの形成は避けられない。Mg2Siは、鋳造時に様々な大きさの略矩形状晶出物として形成されるが、その後の均質化熱処理から線材への最終加工までの間に結晶が粗大化することを防止できれば、Mg2Siの影響を抑制することができる。
原料を、常法により溶解・鋳造し、ビレットを作製した。次に、500℃(実施例)又は530℃(比較例)で4時間の均質化熱処理を行った。その後、押出径:φ155mm、押出温度:450℃、押出速度:0.5〜1m/分の条件で押出加工を行い、得られた直径15mmの線材を、通常の圧延及び抽伸工程により伸線し、直径1.2mmのソリッドワイヤ(溶加材)を得た。ただし、比較例5〜8は、加工性が劣っていたため、伸線加工することができなかった。
実施例の各ソリッドワイヤ及び均熱化熱処理後で押出加工前のビレットについて、断面の顕微鏡観察を行い、短径が10μm以上のMg2Siの数を測定した。その際、ソリッドワイヤについては、加工方向(長さ方向)に平行な断面と垂直な断面をそれぞれ1箇所ずつ位置を変えて観察し、ビレットについては、長手方向に平行な断面と、それに対して垂直な断面を、それぞれ1箇所ずつ位置を変えて観察した。そして、ソリッドワイヤ及びビレットそれぞれについて、垂直断面及び平行断面の2つ断面の平均値を求めた。図1に実施例2のソリッドワイヤの加工方向(長さ方向)に平行な断面の顕微鏡写真を示す。なお、比較例5〜8は、伸線加工できなかったため、ソリッドワイヤの断面観察はできなかった。
図2は溶接試験板形状及び試験片採取位置を示す平面図である。継手強度は、実施例の各溶加材を用いて自動パルスMIG溶接を行い、図2に示す継手を作製して評価した。その際、母材1にはAA5083のアルミニウム合金(板厚6mm、調質O材)を使用し、60°開先の突合せ継手を形成した。シールドガスは、Arガス100%とし、流量は25L/分とした。溶接電流は180A、溶接電圧は24V、溶接速度は400mm/分とし、1層1パス盛りで溶接した。
2 引張り試験片
3 ビード
Claims (1)
- Mg:5.5〜7.5質量%を含有すると共に、Si:0.02〜0.06質量%以下に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金溶加材の製造方法であって、
前記組成のビレットを450〜520℃で均質化熱処理する工程と、
均熱化処理後の前記ビレットを押し出し加工する工程と、
押し出し加工により得られた線材を圧延及び抽伸工程により伸線する工程と、
をこの順で実施して、
短径が10μm以上の略矩形状のMg2Siの数を、前記加工方向の平行断面と垂直断面の平均値で50個/mm2未満にするアルミニウム合金溶加材の製造方法。
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JP2018092034A JP6619473B2 (ja) | 2018-05-11 | 2018-05-11 | アルミニウム合金溶加材の製造方法 |
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