JP6618443B2 - 電源システムの充電停止方法 - Google Patents

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Description

本発明は、充放電可能な電池列を有する複数の電池パックを並列に接続して構成された電源システムに関し、特に、電源システムの充電停止方法に関する。
充放電可能な電池列と電池列に対する充放電を監視し制御するバッテリー監視システム(BMS:Battery Management System)とを有する電池パックは、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車などにの車両に搭載されて、車両の発電機(回生装置)によって発生した電力によって充電される。電池パックを有する電源システム全体としての容量を大きくするために、特許文献1に記載されるように、電源システム内に複数の電池パックを設けてこれらを並列に接続することも行われている。特許文献1には、電池パックが満充電に近づいた時には入力可能電流あるいは入力可能電力としてより小さい値を車両側の電力変換部に通知し、これにより回生装置からの電流を小さくしたり止めたりするように制御することが開示されている。入力可能電流あるいは入力可能電力は、一般に、単セル当たりの満充電閾値Vs(電圧値)を基準として、パック内の単セルのうちセル電圧が最も大きいもののセル電圧をVmaxとして、VmaxがVsにどれだけ近いかによって計算される。
特開2016−82767号公報
複数の電池パックを並列に接続して構成された電源システムでは、電池パック間でその内部抵抗が異なっていると、電池パックごとに流れる充電電流が異なって各電池パックの開回路電圧(OCV;Open Circuit Voltage)の上昇速度が異なることとなり、電池パック間でOCVの不均衡が生じる。その結果、外部から電源システムに与えられる充電電流が小さくなったときに、OCVの違いによる電圧差に応じて、複数の電池パックの間で循環電流が流れはじめることになる。このとき、相対的にOCVが低い電池パックが充電される側となり、外部からの充電が終わったのちもこの充電される側の電池パックは充電され続けることとなる。循環電流は、複数の電池パックのOCVが等しくなるまで流れ続ける。電池パックを構成する複数の単セル間の特性差などにより、循環電流による充電の過程において、充電される側の電池パック内のいずれかの単セルにおいて過度の充電が起こることがある。特に、電池パックがリチウムイオン二次電池セルによって構成されている場合には、循環電流により、充電される側の電池パック内のいずれかの単セルの負極においてリチウムの析出が起こる可能性がある。
本発明の目的は、複数の電池パックを並列に接続して構成された電源システムの充電停止方法であって、充電停止後に循環電流によりいずれかの単セルにおいて過充電や電極での意図しない析出(例えばリチウムイオン電池セルの場合であれば負極におけるリチウムの析出など)が生じることを防ぐことができる充電停止方法を提供することにある。
本発明の電源システムの充電停止方法は、充放電可能な電池列とバッテリー監視システムとを備える複数の電池パックを有し、複数の電池パックが相互に並列に接続された電源システムの充電停止方法であって、外部から電源システムに対して電力を供給して充電を行う際に、複数の電池パックの間での開回路電圧(OCV)の差もしくはSOC(State of Charge:充電状態)の差、または充電電流の差に応じて充電の充電停止条件を変化させる。
本発明によれば、充電終了時の循環電流が大きくなる可能性があるときに充電停止条件を変更して充電を早く終わらせることにより、いずれかの単セルにおいて過充電や意図しない析出が起きたりすることを回避できるという効果が得られる。
本発明の実施の一形態の電源システムの構成を示すブロック図である。 循環電流を説明する図である。 電源システムの充電を停止する動作を説明する図である。 電源システムの動作の一例を示すフローチャートである。 電源システムの動作の別の例を示すフローチャートである。 電源システムの別の実施形態を示すブロック図である。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の一形態の電源システムを示すブロック図である。図1に示す電源システム10は、例えば、負荷であるとともに発電機能(あるいは電力回生機能)を有する負荷・回生機器1に接続されて負荷・回生機器1に電力を供給し負荷・回生機器1からの電力によって充電されるものである。負荷・回生機器1と電源システム10とは1対の電力線3,4によって接続されている。図において、負荷・回生機器1に供給する電力や電源システムへの充電電流が流れる経路は、太線で示されている。負荷・回生機器1と電源システム10とを電気的に切り離し可能とするために、電力線3,4にはそれぞれリレー5,6が挿入されている。電源システム10を負荷・回生機器1に接続したときの突入電流を低減するために、プリチャージリレー7とプリチャージ抵抗8とを直列に接続したものが、リレー5に対して並列に設けられている。この電源システム10が搭載される機器(例えば車両など)の全体を制御し、特に負荷・回生機器1を制御する機器制御ユニット2が、信号線52を介して電源システム10に接続している。機器制御ユニット2は、リレー5,6及びプリチャージリレー7の開閉も制御する。
電源システム10には、相互に並列に接続されて電力線3,4に接続する複数の電池パックが設けられている。図示したものでは2つの電池パック11,12が設けられているが、電池パックの数は3以上でもよい。電池パック11は、電池列21とマスターBMS(バッテリー監視システム)31とを備えており、電池パック12は電池列22とスレーブBMS32とを備えている。電池列21,22は、複数の単セルを直列に接続した構成を有する。単セルとしては任意の種類の二次電池セルを用いることができるが、以下の説明では、各単セルはリチウムイオン二次電池セルであるものとする。電池パック11,12を並列接続するので、各電池パック11,12に含まれる電池列21,22における単セルの直列段数は同一である。電池パック11,12公称容量も同一のものとすることが好ましい。
BMS31,32は、そのBMS11,12を備える電池パック11,12内の電池列21,22を監視して電池パック11,12ごとの制御を行う機能を有するものである。特にマスターBMS31は、電源システム10に含まれる電池パック11,12の全体に対する制御も行う。電源システム10に設ける電池パックの数を3以上とするときは、3番目以降の電池パックは、電池パック12と同様に、電池列とスレーブBMSとを備えることとなる。スレーブBMS32は、信号線51によってマスターBMS31に接続している。機器制御ユニット2からの信号線52もマスターBMS31に接続している。
電池パック11には、電池列21及びマスタBMS31に加え、さらに、電力線4と電池列21の正側端子とを切り離し可能に接続するリレー41と、電力線5と電池列21の負側端子とを切り離し可能に接続するリレー42と、電池列21に流れる電流を計測する電流センサ(A)43と、電池列21の単セルごとにその端子電圧を計測する電圧センサ(V)44と、電池列21の単セルごとにあるいは単セルのグループごとにその温度を計測する温度センサ(T)45と、が設けられている。センサ43〜45の計測値はマスターBMS31に送られ、マスターBMS31は送られてきた計測値に基づく制御を行い、特にリレー41,42の開閉を制御する。同様に、電池パック12にもリレー41,42、電流センサ43、電圧センサ44及び温度センサ45が設けられいる。電池パック12では、センサ43〜45の計測値はスレーブBMS32に送られ、リレー41,42はスレーブBMS32の出力によって制御される。
次に、電池パック11,12が並列接続されているときの循環電流について、図2を用いて説明する。図2は、図1に示す回路を簡略化し等価回路図として示したものであり、リレー5,6及びプリチャージリレー7をまとめてメインスイッチMSで表し、電池パック11内のリレー41,42をまとめてスイッチSW1で表し、電池パック12内のリレー41,42をまとめてスイッチSW2で表している。電池列11,12の内部抵抗をそれぞれ抵抗R1,R2として表している。したがって、電池パック11は、抵抗R1、電池列21及びスイッチSW1が直列に接続されたもので表され、電池パック12は、抵抗R2、電池列22及びスイッチSW2が直列に接続されたもので表される。電源システム10と負荷・回生機器1とからなる構成は、負荷・回生機器1に対し、メインスイッチMSを介して、電池パック11と電池パック12とが並列に接続された構成として表されることになる。なお、図2(b)では、図面の煩雑を避けるため、電源システム10及び電池パック11,12を示す枠線は表示されていない。
図2(a)は、メインスイッチMS1及びスイッチSW1,SW2を閉成(オン)することにより、電源システム10に対して外部からすなわち負荷・回生機器1から充電電流Iで充電がなされている状態を示している。このとき、電池パック11での充電電流はI1であり、電池パック12での充電電流はI2であり、I=I1+I2が成り立つ。内部抵抗R1,R2に不均衡があると、充電電流I1,I2も不均衡となり、電池列11,12ではSOCも異なることとなって、電池列11,12のOCVも異なることとなる。ここで図2(b)に示すようにメインスイッチMSを開放(オフ)すると、負荷・回生機器1からの充電が停止する。この時点での電池列21,22の端子電圧がそれぞれE1,E2であるとし、内部抵抗R1,R2の不均衡により、E1≠E2になっているものとする。その結果、Ic=(E2−E1)/(R1+R2)で表される循環電流Icが電池パック11,12の間で流れることになる。循環電流Icは、時間の経過とともに徐々に小さくなっていくが、端子電圧が小さい方の電池パックに対する充電電流であるから、端子電圧が低い方の電池パックのいずれかの単セルにおいて、循環電流Icによる過度の充電や意図しない析出などが起こる可能性がある。特に単セルがリチウムイオン二次電池である場合には、負極にリチウムが析出する可能性がある。
電池パック間におけるOCVの差(あるいはSOCの差)が大きいほど、また、充電電流の差が大きいほど、充電終了時の循環電流が大きくなり、その結果、循環電流に起因する過充電や意図しない析出などが起こりやすくなると考えられる。このことから、外部から電源システム10に対して充電を行っているときのその充電についての停止条件を適切に管理すれば、充電停止後の循環電流に起因する問題点を回避できるものと考えられる。本実施形態の電源システム10では、単セルにおける過度の充電や意図しない析出が起こらないように、充電終了時の循環電流が大きくなる可能性があるときに充電停止条件を変更して充電を早く終わらせるようにする。
図3は、本実施形態における電源システム10の充電を停止する動作を示している。図3(a)は、図1に示す回路を簡略化して示したものであり、図2と同様に、リレー5,6及びプリチャージリレー7をまとめてメインスイッチMSで表し、電池パック11内のリレー41,42をまとめてスイッチSW1で表し、電池パック12内のリレー41,42をまとめてスイッチSW2で表している。マスターBMS31は、電池パック11のみに関する監視と制御を行う部分であるローカル制御部33と、電源システム10の全体の制御を行う部分であるマスター制御部34とを備えている。スレーブBMS32は、それが設けられる電池パック12の監視と制御だけを行えばよいので、マスターBMS31に設けられているものと同様のローカル制御部33のみを備えている。電流センサ43、電圧センサ44及び温度センサ45の計測値はローカル制御部33に与えられる。
各ローカル制御部33は、電池列21,22ごとの電流値と、各セルの電圧及び温度とに基づいて、電池パック11,12のSOCやOCVを算出する。特に本実施形態では、電池パック11,12の入力可能電力Pinを算出する。入力可能電力Pinとは、電池パックを充電しているときに、あとどれだけの電力を充電できるかを示している。入力可能電力Pinは、これまでは電池パックのSOCあるいはSOP(電力状態;State of Power)から求められていたが、本実施形態では、例えば、負極へのリチウムの析出が起こらない最大の充電電圧を用いて算出する。単セルがリチウムイオン二次電池セルである場合、リチウムの析出が起こるか否かは、充電電流Iと端子電圧Vとの関係によって判定することができる。一般には充電電流Iが大きければ、低い端子電圧Vでもリチウムの析出が起こる。リチウムの析出が起こらない範囲の上限は、横軸を充電電流Iとし縦軸を端子電圧Vとすれば、温度が一定であるとすると、図3(b)において太線で示すように、右下がりの曲線または直線で表される。この曲線または直線を析出限界線と呼ぶことにする。またリチウムの析出は温度Tが高いほど起こりくくなるので、析出限界線は、温度が高いほど、横軸を充電電流Iとし縦軸を端子電圧Vとするグラフにおいて上側に位置するようになる。
ローカル制御部33は、温度ごとの析出限界線を表すデータをマップあるいはテーブルの形で保持しており、このマップを用いることによって、現在の充電電流Iで充電するときに析出物が出る前に充電を停止しなければならない電圧である析出防止電圧値Vsを求める。析出防止電圧値Vsは、析出限界線における充電電流Iに対応する端子電圧として求められる。析出防止電圧値Vsを求めたら、ローカル制御部33は、その制御する電池パック内の単セルのうち、最も電圧が高いセルの端子電圧Vmaxと析出防止電圧値Vsとの差を求め、Vmax−Vsの差に基づいて入力可能電力Pinを算出する。ローカル制御部33は、その制御する電池パックについて求めた平均OCV及びPinをマスター制御部34に送信する。図では電池パック11についての平均OCV及びPinをそれぞれOCV1及びPin1で表し、電池パック12についての平均OCV及びPinをそれぞれOCV2及びPin2で表している。
マスター制御部34は、ローカル制御部33からOCV1、OCV2、Pin1及びPin2を受け取ると、図3(c)に示すように、電池パック間での平均OCVの差ΔOCVをΔOCV=|OCV1−OCV2|で算出し、ΔOCVに基づいて、充電可能電力閾値Psを算出する。充電可能電力閾値Psは、例えば以下の式で算出されるものである。ΔOCVがゼロである、言い換えれば循環電流が発生しない条件において、さらにこれだけ充電してよいという電力量を充電可能電力閾値基準値P0として、例えば、Ps=P0−k・ΔOCVで算出される。kは正の定数であって、循環電流Icをどの程度まで抑えるかに基づいて決定される。例えば、析出限界線のマップから上限の電流値を求め、それに基づいてkを決定することができる。kの値はマスター制御部34に予め格納されている。
本実施形態において充電可能電力閾値Psは、電源システム10の充電停止条件となるものであって、少なくとも1つの電池パックの入力可能電力Pinが充電可能電力閾値Ps以下となった場合に、充電を停止することとする。マスター制御部34は、各電池パックの入力可能電力Pinがすべて充電可能電力閾値Psを上回っているかを判定し、上回っていれば充電継続とし、そうでなければ充電終了処理を行う。マスター制御部34は、充電終了処理において機器制御ユニット2に対して充電停止を要請し、これを受けて機器制御ユニット2はメインスイッチMSを遮断して負荷・回生機器1から電源ユニット10を電気的に切り離す。
本実施形態では、ΔOCVに基づいて充電停止条件を変更しており、充電終了時の循環電流が大きくなる可能性があるときに充電停止条件を変更して充電を早く終わらせることができる。これによって、循環電流のためにいずれかの単セルにおいて過充電や意図しない析出が起きたりすることを回避できる。
図4は、ΔOCVの差に基づいて充電停止条件を変更する場合の電源システム10の全体的な処理を示すフローチャートである。ここでは既に電源システム10の充電が開始しているものとする。以下の説明においてステップ101〜108は、BMS31,32のローカル処理部33において平行して行われる処理であり、ステップ109〜112,115はマスターBMS31内のマスター制御部34で行われる処理である。ステップ101において、ローカル処理部33は、電流Iと各単セルの温度Tとを検出し、ステップ102において、電流Iの方向が充電方向であるかを判定する。ここで電流Iの方向が充電方向ではないときは、充電中であるにも関わらずある電池パックが放電状態となっているときであり、このような状況ではいずれかの電池パックにおいて過度の充電が起こる可能性が高いので、ステップ115に移行して充電終了処理を実行する。なお、ステップ102の電流方向の判定処理は、必ずしも行わなくてもよい。ステップ102において電流Iが充電方向であれば、ステップ103において、各単セルの電圧Vを検出し、最大セル電圧Vmaxを決定し、ステップ104において、電流Iと温度Tから析出防止電圧値Vs(I,T)を取得する。次にローカル制御部33は、ステップ105において、電流I、温度T,最大セル電圧Vmax及び析出防止電圧値Vsから入力可能電力Pinを推定し、ステップ106において、単セルの電圧Tを合計することによって電池パックの合計電圧を取得し、ステップ107において、ステップ電流I、温度T及び合計電圧から、電池パック内の単セルのOCVの平均である平均OCVを推定する。その後、ローカル制御部33は、ステップ108において、その制御する電池パックについてのPinと平均OCVとをマスター制御部34に送信する。
マスター制御部34は、各ローカル制御部33から平均OCV及び入力可能電力Pinを受け取ると、ステップ109において電池パック間での平均OCVの差ΔOCV=|OCV1−OCV2|を算出し、ステップ110において、ΔOCVに基づいて、充電可能電力閾値Psを例えばPs=P0−k・ΔOCVによって算出する。上述したようにOCV1は電池パック11での平均OCVであり、OCV2は電池パック12での平均OCVである。kの値はマスター制御部34に予め格納されている。その後、ステップ111において、マスター制御部34は、各電池パックの入力可能電力Pinがすべて充電可能電力閾値Psを上回っているかを判定し、上回っていればステップ112に移行して充電継続とし、その後、処理はステップ101に戻る。一方、ステップ111において少なくとも1つの電池パックについてPin≦Psであれば、ステップ115に移行して充電終了処理を実行する。充電終了処理が終了すれば、電源システム10の充電に関する処理はすべて終了する。
図4に示した処理では、充電終了条件を変更するための処理をマスター処理部34において実行しているが、充電終了条件を変更するために必要な演算を各BMS31,32で分散して実行するようにしてもよい。充電終了条件として、いずれかの電池パックにおいて入力可能電力Pinが充電可能電力閾値Ps以下となったことを用いているが、他の充電終了条件を用いてその充電終了条件を電池パック間での平均OCVの差によって変化させるようにしてもよい。OCVとSOCとはOCVが増加するにつれてSOCも単調に増加する関係にあるので、ステップ107において電池パックごとの平均OCVを求める代わりに電池パックごとの平均SOCを求め、ステップ109において、電池パック間での平均SOCの差ΔSOCを求め、ステップ110において、ΔSOCに基づいて充電可能電力閾値Psを求めてもよい。図3及び図4では、電源システム10が2つの電池パック11,12を有するものとしているが、3以上の電池パックを並列に接続して電源システム10を構成する場合には、ΔOCV(あるいはΔSOC)が最も大きくなる2つの電池パックに着目してステップ109〜112,115の処理を実行すればよい。
図3及び図4に示した処理では、電池パックの間での平均OCV(あるいは平均SOC)の差に基づいて充電停止条件を変化させているが、本発明に基づく充電停止方法は、これに限定されるものではなく、電池パックとして同じ公称定格値を有する複数のものを用いる場合には、複数の電池パックの間での充電電流Iの差に応じて充電の充電停止条件を変化させるようしてもよい。図5は、電池パック11,12の間での充電電流Iの差に応じて充電の充電停止条件を変更するときの電源システム10の全体的な処理を示すフローチャートである。図5においてステップ101〜105,121は、BMS31,32のローカル処理部33において平行して行われる処理であり、ステップ111,112,115,122,123はマスターBMS31内のマスター制御部34で行われる処理である。図4に示した処理でのステップ101〜105を実行した後、ステップ121において、ローカル処理部33は、その制御する電池パックでの電流Iと入力可能電力Pinとをマスター制御部34に送信する。
マスター制御部34は、各ローカル制御部33から電流I及び入力可能電力Pinを受け取ると、ステップ122において電池パック間での電流差ΔI=|I1−I2|を算出し、ステップ123において、ΔIに基づいて、充電可能電力閾値Psを例えばPs=P0−k・ΔIによって算出する。ここでI1は電池パック11での充電電流Iであり、I2は電池パック12での充電電流Iである。kは正の定数であって、循環電流Icをどの程度まで抑えるかに基づいて決定される。その後、ステップ111において、マスター制御部34は、各電池パックの入力可能電力Pinがすべて充電可能電力閾値Psを上回っているかを判定し、上回っていればステップ112に移行して充電継続とし、その後、処理はステップ101に戻る。一方、ステップ111において少なくとも1つの電池パックについてPin≦Psであれば、ステップ115に移行して充電終了処理を実行する。充電終了処理が終了すれば、電源システム10の充電に関する処理はすべて終了する。
図5に示した処理においては、充電終了条件を変更するための処理をマスター処理部34において実行しているが、充電終了条件を変更するために必要な演算を各BMS31,32で分散して実行するようにしてもよい。充電終了条件として、いずれかの電池パックにおいて入力可能電力Pinが充電可能電力閾値Ps以下となったことを用いているが、他の充電終了条件を用いてその充電終了条件を電池パック間での充電電流の差によって変化させるようにしてもよい。
図1及び図3に示した電源システム10では、電源システム10内に設けられる複数の電池パック11,12のうち、1つの電池パック11にはマスターBMS31を配置し、残りの電池パック12にはスレーブBMS32を配置しているが、本発明が適用される電源システムはこれに限定されるものではない。図6は、本発明が適用される電源システム10の別の例を示している。図6に示す電源システム10は、各電池パック11,12にはローカル制御部33の機能のみを有するBMS30を配置し、電池パック11,12とは別個に統合制御ユニット50を設けたものである。統合制御ユニット50は、マスター制御部34としての機能を有するものであり、各BMS30に対して信号線51により接続するとともに、機器制御ユニット2からの信号線52にも接続している。図6に示す電源システム10では、図4に示す処理を実行するときは、BMS30はステップ101〜108の処理を実行し、統合制御ユニット50はステップ109〜112,115の処理を実行する。図6に示す処理を実行するときは、BMS30はステップ101〜106,121の処理を実行し、統合制御ユニット50はステップ122,123,111,112,115の処理を実行する。
1 負荷・回生機器
10 電源システム
11,12 電池パック
21,22 電池列
30,31,32 BMS(バッテリー監視システム)
34 マスター制御部
50 統合制御ユニット

Claims (5)

  1. 充放電可能な電池列とバッテリー監視システムとを備える複数の電池パックを有し、前記複数の電池パックが相互に並列に接続された電源システムの充電停止方法であって、
    外部から前記電源システムに対して電力を供給して充電を行う際に、前記複数の電池パックの間での開回路電圧及びSOCのうちの一方の差に応じて前記充電の充電停止条件を変化させ
    電池パックに関して充電により受け入れ可能な電力を入力可能電力として、前記充電停止条件は、前記入力可能電力の下限を定める充電可能電力閾値であって、前記差が大きいほど、前記充電可能電力閾値を小さくする、充電停止方法。
  2. 充放電可能な電池列とバッテリー監視システムとを備える複数の電池パックを有し、前記複数の電池パックが相互に並列に接続された電源システムの充電停止方法であって、
    外部から前記電源システムに対して電力を供給して充電を行う際に、前記複数の電池パックの間での充電電流の差に応じて前記充電の充電停止条件を変化させ
    電池パックに関して充電により受け入れ可能な電力を入力可能電力として、前記充電停止条件は、前記入力可能電力の下限を定める充電可能電力閾値であって、前記差が大きいほど、前記充電可能電力閾値を小さくする、充電停止方法。
  3. 充放電可能な電池列とバッテリー監視システムとを備える複数の電池パックを有し、前記複数の電池パックが相互に並列に接続された電源システムの充電停止方法であって、
    外部から前記電源システムに対して電力を供給して充電を行う際に、前記複数の電池パックの各々について充電電流を取得し、いずれかの電池パックに対する充電電流の方向が当該電池パックに関して放電する方向であることを検出した場合に前記充電を停止し、
    前記充電電流の方向が当該電池パックに関して充電する方向であることを検出した場合に、前記複数の電池パックの間での開回路電圧及びSOCのうちの一方の差に応じて前記充電の充電停止条件を変化させ、
    電池パックに関して充電により受け入れ可能な電力を入力可能電力として、前記充電停止条件は、前記入力可能電力の下限を定める充電可能電力閾値であって、前記差が大きいほど、前記充電可能電力閾値を小さくする、充電停止方法。
  4. 充放電可能な電池列とバッテリー監視システムとを備える複数の電池パックを有し、前記複数の電池パックが相互に並列に接続された電源システムの充電停止方法であって、
    外部から前記電源システムに対して電力を供給して充電を行う際に、前記複数の電池パックの各々について充電電流を取得し、いずれかの電池パックに対する充電電流の方向が当該電池パックに関して放電する方向であることを検出した場合に前記充電を停止し、
    前記充電電流の方向が当該電池パックに関して充電する方向であることを検出した場合に、前記複数の電池パックの間での充電電流の差に応じて前記充電の充電停止条件を変化させ、
    電池パックに関して充電により受け入れ可能な電力を入力可能電力として、前記充電停止条件は、前記入力可能電力の下限を定める充電可能電力閾値であって、前記差が大きいほど、前記充電可能電力閾値を小さくする、充電停止方法。
  5. 前記電池列は直列に接続された複数のリチウムイオン二次電池セルから構成されており、充電電流に基づいて、前記リチウムイオン二次電池セルでのリチウムの析出を防止できる析出防止電圧値を計算し、前記析出防止電圧値と前記電池列を構成するリチウムイオン二次電池セルの各々のセル電圧のうちの最大のものとの差から前記電池パックごとの前記入力可能電力を計算する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の充電停止方法。
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