JP6618227B1 - データ処理装置及びデータ監視システム - Google Patents

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Abstract

【課題】1サイクル毎の測定データの監視において、実質的には正常な測定データが異常と判定される可能性を低減するデータ処理装置及びデータ監視システムを提供する。【解決手段】測定データを監視するためのデータ処理装置であって、条件設定部71は1以上のデータ仕分け基準領域、データ仕分け基準領域内の特徴点、仕分けレベル、仕分け範囲を設定し、第1処理部62は、データ仕分け基準領域に基づいて測定データを仕分けして第1処理後測定データ群を作成し、第2処理部64は、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データから第1処理後測定データ群に基づいて測定データを選出して第2処理後測定データ群を作成し、監視用波形作成部66は、第2処理後測定データ群に基づいて第2上限値波形及び1以上の第2下限値波形を作成するように構成されることを特徴とするデータ処理装置及びこのデータ処理装置を含むデータ監視システム。【選択図】図1

Description

本発明は、データ処理装置及びデータ監視システムに関し、詳しくは、開始時点から終了時点までの1サイクルを複数回繰り返すように時間変動する量の測定データを監視するために好適なデータ処理装置及びデータ監視システムに関する。
従来、開始時点から終了時点までの1サイクルを複数回繰り返すように時間変動する量について、その1サイクル分の時間にわたる上限値波形及び下限値波形を設定し、この上限値波形及び下限値波形と各サイクルの測定データとの比較に基づいて各サイクルの測定データを監視する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、図28は、上述したような時間変動量の測定データの一例を、(x,y,z)の3次元データとして示すグラフである。ここで、(x,y,z)は、(時間、測定値、サイクル数)に相当する。図28において、測定データは、時間(x)−測定値(y)の平面に沿った1サイクルにわたる測定値波形が、サイクル数(z)方向に重ねられて描かれている。
特開平06−201398号公報
従来、図28に示したような測定データを、1サイクルにわたる上限値波形と下限値波形に基づいて測定データを監視する場合、典型的には、上限値波形と下限値波形で規定される範囲から外れた測定データが異常と判定されるものである。
そして、従来の測定データの監視には、次のような問題があった。図29(a)、(b)は、工作機械における被加工物の加工工程において、それぞれ幾つかの測定データを、全測定データの平均値波形(m)及び正側標準偏差波形(+1σ)、及び負側標準偏差波形(−1σ)とともに、時間(x)−測定値(y)の2次元平面内に重ねて示したグラフである。ここで、平均値波形は、1サイクルの各時点における複数サイクルにわたる平均値を連ねてなる波形、正側標準偏差波形(+1σ)は、1サイクルの各時点における複数サイクルにわたる平均値に対してその時点の標準偏差を加算した値を連ねてなる波形、負側標準偏差波形(−1σ)は、1サイクルの各時点における複数サイクルにわたる平均値に対してその時点の標準偏差を減算した値を連ねてなる波形である。
例えば、図29(a)に示す各測定データは、A部において、正側標準偏差波形(+1σ)の値を超えており、図29(b)に示す各測定データは、B部において、正側標準偏差波形(+1σ)の値を超えていることが分かる。したがって、これらの測定データは、上限値波形及び下限値波形を用いた測定データの監視において異常と判定される可能性の高いものである。しかしながら、図29(a)、(b)に示された測定データは、実際には、それぞれの測定データが取得された加工工程で加工された被加工物の品質に問題がないことが加工後の品質検査で判明したものであり、その意味で、1サイクル毎の測定データの監視においても本来正常と判定されるべき測定データである。図29から分かるように、このような測定データが異常と判定される可能性が増大する要因は、測定データの時間(x)方向のずれ(すなわち、図29(a)では加工開始時点が通常より早かったこと、図29(b)では加工開始時点が通常より遅かったこと)である。
このような加工開始時点のばらつきは、加工及び測定の条件を一定にした場合でも、工作機械及び/または被加工物の特性のばらつきによって生じ得るものである。例えば、工作機械のばらつきには、温度の変動に伴う工作機械の構成要素の寸法の変動(膨張/縮小)が含まれ、被加工物のばらつきには、その寸法、硬度等のばらつきが含まれる。
実際の測定現場において、このような要因で異常と判定される測定データが存在する場合には、仮に1サイクル毎の測定データの監視において異常と判定されても、直ちにその測定データに関連する加工工程で加工された被加工物を不良とするのではなく、その被加工物に対して何らかの別の検査を実施して、本当に不良かどうかを確認するという作業が必要となる。したがって、このような状況が多発すれば、この工作機械における加工工程に関連する製品の、生産効率が低下するという問題があった。
また、従来、上限値波形及び下限値波形は、それぞれ上述したような正側標準偏差波形及び負側標準偏差波形のように、複数サイクルの測定データに対して統計的処理を施して求められる波形が使用されることが多い。このような波形は、例えば、算出に用いられる複数サイクルの測定データ中に少数の異常データが含まれていても、得られる上下値波形及び下限値波形にその影響が現れ難いという利点がある。しかしながら、この特徴は、一方では、複数の測定データ中に、時間方向にずれがあるだけで実質的には正常な測定データが含まれている場合でも、得られる上限値波形及び下限値波形に、そのようなデータの存在が反映され難いということにつながり、上述した問題の要因ともなるものである。
本発明の目的は、1サイクル毎の測定データの監視において、時間方向にずれがあるだけで実質的には正常である測定データが異常と判定される可能性を低減し、ひいては測定対象の稼働の効率を向上させることが可能な、データ処理装置及びデータ監視システムを提供することである。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)開始時点から終了時点までの1サイクルを繰り返すように時間変動する量の測定データを監視するためのデータ処理装置であって、第1処理部、第2処理部、条件設定部、監視用波形作成部、第1記憶部、第2記憶部、及び第3記憶部を含んでおり、
前記第1記憶部は、複数サイクルの測定データを保存し、
前記第1処理部は、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データに基づいて、1サイクルの時間範囲における第1上限値波形及び第1下限値波形を作成し、
前記条件設定部は、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域内に、該2次元領域の一部である1以上のデータ仕分け基準領域を設定し、該データ仕分け基準領域のそれぞれに、前記データ仕分け基準領域内の1つの時点を特徴点として設定し、測定値の1つの値を仕分けレベルとして設定し、前記データ仕分け基準領域と前記仕分けレベルに応じて、前記特徴点を含む時間範囲として仕分け範囲を設定し、
前記第1処理部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれについて、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データから、前記仕分け範囲のうち前記特徴点以前の範囲内に測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの交差点が存在する第1前側測定データ、及び、前記仕分け範囲のうち前記特徴点以後の範囲内に測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの交差点が存在する第1後側測定データ、及び、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの交差点が、前記仕分け範囲のうち前記特徴点の以前と以後の両方の範囲内に存在する第1両側測定データを選出し、選出された前記第1前側測定データ、前記第1後側測定データ、及び前記第1両側測定データを、前記第2記憶部に保存し、
前記第1処理部は、さらに、前記第2記憶部に保存された測定データから、前記第1上限値波形及び前記第1下限値波形に基づいて異常と判定される測定データを除去し、残りの測定データからなる第1処理後測定データ群を作成して、該第1処理後測定データ群を前記第2記憶部に保存し、
前記第2処理部は、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データから、前記第1処理後測定データ群に基づいて測定データを選出し、該選出された測定データからなる第2処理後測定データ群を作成して、該第2処理後測定データ群を前記第3記憶部に保存し、
前記監視用波形作成部は、前記第1記憶部に保存された複数の測定データが取得された期間以後に取得される測定データを監視するために、前記第2処理後測定データ群に基づいて、1サイクルの時間範囲の1以上の第2上限値波形及び1以上の第2下限値波形を作成する、ように構成されることを特徴とするデータ処理装置。
(2)(1)項に記載のデータ処理装置において、前記第1記憶部に保存される測定データを外部から受け入れる入力部と、外部へ前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を送出する出力部をさらに含むことを特徴とするデータ処理装置。
(3)(2)項に記載のデータ処理装置において、前記入力部から受けいれられる測定データのそれぞれは、該測定データが前記入力部に受け入れられた日時を表す日時情報とともに前記第1記憶部に保存され、
前記第1処理部は、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データの、複数サイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた第1平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた第1正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた第1負側標準偏差波形とを作成し、
前記条件設定部は、1サイクルの時間範囲内に設定された1以上の候補範囲のそれぞれについて、前記第1平均値波形の時間変動が所定の変動開始条件を満たす変動開始時点と、前記第1平均値波形の時間変動が所定の変動終了条件を満たす変動終了時点とを決定し、前記変動開始時点及び前記変動終了時点と、前記第1平均値波形、前記第1正側標準偏差波形、及び前記第1負側標準偏差波形の少なくとも1つとに基づいて、前記データ仕分け基準領域を設定し、前記データ仕分け基準領域内に、前記変動開始時点から前記変動終了時点までの各時点の複数サイクルにわたる測定データの値の分布及び当該測定データの値を前記日時情報に従って配列した時系列パターンの一方または両方に少なくとも部分的に基づいて、前記特徴点及び前記仕分けレベルを設定し、
前記データ仕分け基準領域は、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、前記変動開始時点における前記第1負側標準偏差波形の値と前記変動終了時点における前記第1負側標準偏差波形の値を直線状に結ぶ下辺と、前記変動開始時点における前記第1正側標準偏差波形の値と前記変動終了時点における前記第1正側標準偏差波形の値を直線状に結ぶ上辺との間の領域、または、前記変動開始時点における前記第1正側標準偏差波形の値と前記変動終了時点における前記第1正側標準偏差波形との値とを直線状に結ぶ下辺と、前記第1正側標準偏差波形からなる上辺との間の領域、または、前記変動開始時点における前記第1平均値波形の値と前記変動終了時点における前記第平均値波形との値とを直線状に結ぶ下辺と、前記第1平均値波形からなる上辺との間の領域、または、前記変動開始時点における前記第1負側標準偏差波形の値と前記変動終了時点における前記第1負側標準偏差波形との値とを直線状に結ぶ下辺と、前記第1負側標準偏差波形からなる上辺との間の領域を含み、
前記仕分け範囲は、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、前記データ仕分け基準領域の境界上で測定値方向の値が前記仕分けレベルをとる2つの時点の間の時間範囲である、ように構成されることを特徴とするデータ処理装置。
(4)(3)項に記載のデータ処理装置において、前記第1処理部は、前記第1正側標準偏差波形を前記第1上限値波形とし、前記第1負側標準偏差波形を前記第1下限値波形とすることを特徴とするデータ処理装置。
(5)(または(4)のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、前記データ処理装置は、第4記憶部をさらに含み、
前記第2処理部は、前記第1処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、選択した1以上の前記データ仕分け基準領域毎に、前記第1前側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以前の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値から該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの前側時間閾値範囲を設定し、
前記第1処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、前記選択した1以上の前記データ仕分け基準領域毎に、前記第1後側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以後の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値から該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの後側時間閾値範囲を設定し、
前記前側時間閾値範囲及び前記後側時間閾値範囲が設定された前記データ仕分け基準領域から選択した1以上の前記データ仕分け基準領域毎に、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データのうち、前記前側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する第2前側測定データ、前記後側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する第2後側測定データ、及び、前記前側時間閾値範囲内と前記後側時間閾値範囲内の両方に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの交差点が存在する第2両側測定データを選出し、全ての前記第2前側測定データ、前記第2後側測定データ、及び前記第2両側測定データを前記第3記憶部に保存し、
前記第2処理部は、さらに、前記第3記憶部に保存された測定データから、前記第1上限値波形及び前記第1下限値波形に基づいて異常と判定される測定データを除去し、残りの測定データからなる第2処理後測定データ群を作成し、該第2処理後測定データ群を前記第3記憶部に保存し、
前記第2処理部は、さらに、前記前側時間閾値範囲及び前記後側時間閾値範囲が設定された前記データ仕分け基準領域から選択した1以上の前記データ仕分け基準領域毎に、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データに対応する波形が前記仕分け範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値から該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの両側時間閾値範囲を設定し、前記第2処理後測定データ群から、前記両側時間閾値範囲内に測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データを選出し、該選出した測定データを前記第3記憶部に保存し、
前記監視用波形作成部は、前記第2処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、1以上の前記データ仕分け基準領域の任意の組合せに関連する前記第2両側測定データを選出して該選出された測定データからなる監視用測定データ群を作成し、該監視用測定データ群を前記第4記憶部に保存し、前記第4記憶部に保存された前記監視用測定データ群に基づいて、前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を作成する、ように構成されることを特徴とするデータ処理装置。
(6)(5)項に記載のデータ処理装置において、前記監視用波形作成部は、前記監視用測定データ群に含まれる1以上の測定データの1以上のサイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた第2平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた第2正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた第2負側標準偏差波形とを作成し、前記第2正側標準偏差波形を前記第2上限値波形とし、前記第2負側標準偏差波形を前記第2下限値波形とする、ことを特徴とするデータ処理装置。
(7)(6)項に記載のデータ処理装置において、前記監視用測定データ群は、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データのうち、選択した1つの前記データ仕分け基準領域に関連する前記両側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる単独型監視用測定データ群、及び、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データのうち、選択した複数の前記データ仕分け基準領域に関連する前記両側時間閾値範囲の少なくとも1つの範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる和型監視用測定データ群、及び、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データのうち、選択した複数の前記データ仕分け基準領域に関連する全ての前記両側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる積型監視用測定データ群からなり、
前記監視用波形作成部は、前記単独型監視用測定データ群、前記和型監視用測定データ群、及び前記積型監視用測定データ群のそれぞれについて、前記第2平均値波形、前記第2正側標準偏差波形、及び前記第2負側標準偏差波形を作成し、作成された複数の前記第2正側標準偏差波形のうちの少なくとも1つを前記第2上限値波形とし、作成された複数の前記第2負側標準偏差波形のうちの少なくとも1つを前記第2下限値波形とする、ことを特徴とするデータ処理装置。
(8)(5)から(7)のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、前記第2処理部は、選択した1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれについて、前記前側時間値範囲及び前記後側時間閾値範囲を、前記前側時間閾値範囲及び後側時間閾値範囲を設定する際に使用される前記既定の正数を複数個用いて、複数の前記既定の正数に応じた複数の段階毎に設定し、
前記監視用波形作成部は、前記監視用測定データ群を、1以上の前記データ仕分け基準領域の任意の組合せについて、前記複数の段階毎に作成して前記第4記憶部に保存し、該第4記憶部に保存された前記監視用測定データ群に基づいて、前記複数の段階毎に前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を作成する、ように構成されることを特徴とするデータ処理装置。
(9)(5)から(8)のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、時間方向を横軸、測定データの測定値方向を縦軸として測定データを表示可能に構成された波形解析及び表示部をさらに含み、
前記波形解析及び表示部は、1以上の前記候補範囲のそれぞれに関して、前記候補範囲内の前記第1平均値波形、前記第1正側標準偏差波形、及び前記第1負側標準偏差波形と、前記候補範囲内の任意の時点を通り、自動的にまたは操作者からの入力により時間方向に移動可能な縦軸平行線とを表示可能に構成され、
前記波形解析及び表示部は、さらに、前記縦軸平行線上の時点における前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データの値の分布図及び当該複数サイクルの測定データの値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、算出された当該複数サイクルにわたる値の平均値及び標準偏差に基づいて、該平均値を通る横軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る横軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る横軸平行線を表示可能に構成され、
前記波形解析及び表示部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれに関して、前記第1前側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以前の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の分布図及び当該時間の値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、当該時間の値の平均値と標準偏差に基づいて、該平均値を通る縦軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る縦軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る縦軸平行線を表示可能に構成され、
前記波形解析及び表示部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれに関して、前記第1後側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以後の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の分布図及び当該時間の値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、当該時間の値の平均値と標準偏差に基づいて、該平均値を通る縦軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る縦軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る縦軸平行線を表示可能に構成され、
前記波形解析及び表示部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれに関して、前記第1後側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以後の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の分布図及び当該時間の値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、当該時間の値の平均値と標準偏差に基づいて、該平均値を通る縦軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る縦軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る縦軸平行線を表示可能に構成され、
前記波形解析及び表示部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれに関して、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データに対応する波形が前記仕分け範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の分布図及び当該時間の値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成される、ことを特徴とするデータ処理装置。
(10)()項に記載にデータ処理装置において、前記条件設定部は、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、前記第2処理後測定データに含まれる1以上のサイクルの測定データの、1以上のサイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた確認用平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた確認用正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた確認用負側標準偏差波形とを作成し、設定された前記データ仕分け基準領域毎に、前記変動開始時点から前記変動終了時点までの各時点の1以上のサイクルにわたる測定データの値の分布及び当該測定データの値を前記日時情報に従って配列した時系列パターンの一方または両方に少なくとも部分的に基づいて、確認用特徴点を設定するように構成され、
前記波形解析及び表示部は、前記候補範囲内の任意の時点を通る前記縦軸平行線上の時点における、前記第2処理後測定データに含まれる1以上のサイクルの測定データの値の分布図及び当該1以上のサイクルの測定データの値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、算出された当該1以上のサイクルにわたる値の平均値及び標準偏差に基づいて、該平均値を通る横軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る横軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る横軸平行線を表示可能に構成される、ことを特徴とするデータ処理装置。
(11)(1)から(10)のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、前記監視用波形作成部は、前記第2処理後測定データ群に基づいて、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、1以上のサイクルの測定データの、1以上のサイクルにわたる時点毎の最大値及び最小値を求め、得られた複数の時点の最大値に基づいて前記第2上限値波形を作成し、得られた複数の時点の最小値に基づいて前記第2下限値波形を作成する、ように構成されることを特徴とするデータ処理装置。
(12)(1)から(11)のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データは、複数の異なる測定対象に対して同一の量を測定して得られる測定データを含むことを特徴とするデータ処理装置。
(13)(1)から(12)のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データは、機器の作動に応じて時間変動する量を表す測定データを含むことを特徴とするデータ処理装置。
(14)(1)から(13)のいずれか1項に記載のデータ処理装置において、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データは、人体の所定の部位の運動を表す測定データを含むことを特徴とするデータ処理装置。
(15)複数の測定現場と、(2)から(10)および(2)を引用する(11)から(14)のいずれか1項に記載のデータ処理装置と、前記測定現場と前記データ処理装置とを接続する通信回線とを含むデータ監視システムであって、
それぞれの前記測定現場は、開始時点から終了時点までの1サイクルを繰り返すように時間変動する量の測定データを測定対象から取得する測定機器と、該測定機器に対応するデータ監視装置とを含み、それぞれの前記測定現場で取得される測定データは、全ての前記測定現場で同一の量を測定して得られる測定データであり、
前記データ監視装置は、対応する前記測定機器からの測定データを受け入れる入力部と、複数サイクルの測定データが保存可能な記憶部と、1サイクルの時間範囲の監視用上限値波形及び監視用下限値波形に基づいて、対応する前記測定機器からの測定データを監視する監視部とを含み、
複数の前記測定現場に含まれる前記データ監視装置のそれぞれは、複数サイクルの測定データを、前記通信回線を介して前記データ処理装置に送信し、
前記データ処理装置は、1以上の前記データ監視装置から受信した前記複数サイクルの測定データに基づいて得られた前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を、前記出力部から前記通信回線を介して複数の前記測定現場に含まれる前記データ監視装置のそれぞれに送信し、
複数の前記測定現場に含まれる前記データ監視装置の前記監視部は、前記データ処理装置から受信した前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を、その受信以後に取得される測定データを監視するための前記監視用上限値波形及び前記監視用下限値波形として使用する、ように構成されることを特徴とするデータ監視システム。

(16)(15)項に記載のデータ監視システムにおいて、前記データ監視装置は、該データ監視装置の前記記憶部に保存された複数サイクルの測定データに基づいて、1サイクルの時間範囲の上限値波形及び下限値波形を作成する演算部をさらに含み、前記監視部は、前記演算部で作成された上限値波形及び下限値波形を、それぞれ前記監視用上限値波形及び前記監視用下限値波形として使用可能に構成されることを特徴とするデータ監視システム。
(17)(15)または(16)項に記載のデータ監視システムにおいて、前記データ監視装置に接続された外部機器をさらに含み、
前記外部機器は警報装置であり、前記データ監視装置は、対応する前記測定機器から取得される測定データが、前記監視用上限値波形及び前記監視用下限値波形に基づいて異常と判定される場合、前記警報装置に警報を発生させるように構成されることを特徴とするデータ監視システム。
本発明によれば、1サイクル毎の測定データの監視において、時間方向にずれがあるだけで実質的には正常である測定データが異常と判定される可能性を低減し、ひいては測定対象の稼働の効率を向上させることが可能な、データ処理装置及びデータ監視システムを提供することが可能となる。
特に、測定データの監視の基準となる波形を複数サイクルの測定データに対して統計的処理を施して生成する場合、少数の異常データの影響を受け難いという利点を維持しつつ、時間方向にずれがあるだけで実質的には正常である測定データを反映させた有効な波形を生成することが可能となる。
本発明の一実施形態におけるデータ監視システムを模式的に示すブロック図である。 本発明の一実施形態において、複数サイクルの測定データの一例について算出された第1平均値波形、第1正側標準偏差波形、及び第1負側標準偏差波形を示す図である。 本発明の一実施形態において、データ仕分け基準領域のための候補範囲の一例を示す図である。 本発明の一実施形態におけるデータ仕分け基準領域の一例を示す図である。 本発明の一実施形態におけるデータ仕分け基準領域の別の一例を示す図である。 本発明の一実施形態におけるデータ仕分け基準領域の別の一例を示す図である。 本発明の一実施形態におけるデータ仕分け基準領域の別の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、波形解析及び表示部における表示の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、仕分け範囲及び仕分けレベルと測定データの関係の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、仕分け範囲及び仕分けレベルと測定データの関係の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、仕分け範囲及び仕分けレベルと測定データの関係の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、仕分け範囲及び仕分けレベルと測定データの関係の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、仕分け範囲及び仕分けレベルと測定データの関係の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、前側時間閾値範囲の設定の一例を示す図である。 図14に示す前側時間閾値範囲の設定において、時間値の分布図の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、後側時間閾値範囲の設定の一例を示す図である。 図16に示す後側時間閾値範囲の設定において、時間値の分布図の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、両側時間閾値範囲の設定の一例を示す図である。 図18に示す両側時間閾値範囲の設定において、時間値の分布図の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、前側時間閾値範囲の一例を示す図である。 図5に示すデータ仕分け基準領域に関連して、後側時間閾値範囲の一例を示す図である。 本実施形態におけるデータ監視システムの第1の例において、第2平均値波形、第2正側標準偏差波形、及び第2負側標準偏差波形の一例を示す図である。 本実施形態におけるデータ監視システムの第2の例において、測定対象の運動の一例を模式的に示す図である。 本実施形態におけるデータ監視システムの第2の例において、第1平均値波形、第1正側標準偏差波形、及び第1負側標準偏差波形を、第1候補範囲(I)〜第6候補範囲(VI)とともに示す図である。 本実施形態におけるデータ監視システムの第2の例において、第2平均値波形、第2正側標準偏差波形、及び第2負側標準偏差波形の一例を示す図である。 本実施形態におけるデータ監視システムの第3の例において、各測定現場で測定される測定データの一例を示す図である。 本実施形態におけるデータ監視システムの第3の例において、第2上限値波形及び第2下限値波形の例を示す図である。 従来の測定データ監視装置における測定データの一例を示す図である。 (a)、(b)は、従来の測定データ監視装置において、時間ずれにより異常と判定される可能性の高い測定データを示す図である。
本発明の実施形態を添付した図を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るデータ監視システム10は、複数の測定現場20と、データ処理装置50と、測定現場20とデータ処理装置50とを接続する通信回線40とを含む。それぞれの測定現場20は、開始時点から終了時点までの1サイクルを繰り返すように時間変動する量の測定データを測定対象から取得する測定機器21と、この測定機器21に対応するデータ監視装置30とを含む。本実施形態において、それぞれの測定現場20で取得される測定データは、全ての測定現場20にわたって同一の量を測定して得られる測定データである。
ここで、本発明において、各測定現場20で測定される「同一の量」とは、理想的には同一の測定データが取得されるべき量を意味し、その実際の定義は、測定対象及び/またはデータ監視の要件に応じて適切に定められるものである。このような実際の定義の非限定的な例を幾つか挙げれば、次の通りである。
例えば、測定対象が機器であり、データ監視システム10をこの機器の作動に応じて時間変動する量(例えば、電流、機械的振動、圧力等)の測定データに対して適用する場合、複数の測定現場20のそれぞれにおいて測定対象として同一機種の機器が準備され、それぞれの機器を同一条件で作動させたとき、各機器に発生するこの時間変動量を、異なるそれぞれの機器に関する「同一の量」とすることができる。勿論、「同一機種」及び「同一条件」における「同一」の定義は、例えば測定現20場及び/または測定のサイクルに応じて、一定の許容範囲を備えるものであってもよい。
別の例として、測定対象が人体であり、データ監視システム10を人体の所定の部位の運動に相当する量(例えば、加速度)の測定データに適用する場合、複数の測定現場20のそれぞれにおける測定対象の各個人が、複数の測定現場20に共通の決められた特定の動作(例えば、ダンスにおける一連のステップ。図23参照)を実行することを意図して所定の部位に生じさせた運動に相当する量を、同一の量とすることができる。この場合、測定対象を年齢、性別、または対象となる動作に対するスキル等の条件によって分類し、同一のグループに分類された測定対象のみに関する運動に相当する量を同一の量とする(言い換えれば、同じ動作を意図した運動でも、異なるグループに属する個人に関する運動に相当する量は異なる量とする)ということも可能である。
データ監視装置30は、対応する(すなわち、同じ測定現場20に含まれる)測定機器21からの測定データを受け入れる入力部31と、複数サイクルの測定データを保存可能な記憶部32と、通信回線40を介してデータ処理装置50と通信する通信部35と、1サイクルの時間範囲の監視用上限値波形及び監視用下限値波形に基づいて、対応する測定機器21からの測定データを監視する監視部34と、自身の記憶部32に保存された複数サイクルの測定データに基づいて、1サイクルの時間範囲の上限値波形及び下限値波形を作成する演算部33とを含んでいる。
ここで、本発明において、データに関連する「波形」という用語は、特に明示的に記載されていない限り、波としての形状そのものではなく、波形として表現され得るデータを指すものとする。また、本明細書では、波形データという用語も同様の意味で使用される。
データ監視システム10において、複数の測定現場20に含まれるデータ監視装置30のそれぞれは、複数サイクルの測定データを、通信部35から通信回線40を介してデータ処理装置50に送信するように構成される。
データ処理装置50は、入力部51及び出力部52を含んでおり、入力部51で受信した測定データに基づいて、上限値波形(後述する第2上限値波形)及び下限値波形(後述する第2下限値波形)を作成する。入力部51で受信される測定データは、1以上の(好ましくは、全ての)測定現場20に含まれるデータ監視装置30から送信された、それぞれの複数サイクルの測定データである。また、データ処理装置50は、作成した上限値波形及び下限値波形を、出力部52から通信回線40を介して複数の測定現場20に含まれるデータ監視装置30のそれぞれに送信するように構成される。
複数の測定現場20に含まれるデータ監視装置30の監視部34は、データ処理装置50から受信した上限値波形及び下限値波形を、その受信後に取得される測定データを監視するための監視用上限値波形及び監視用下限値波形として使用するように構成される。
本実施形態におけるデータ監視システム10において、各測定現場20のデータ監視装置30は、データ処理装置50から受信した上限値波形及び下限値波形を監視用上限値波形及び監視用下限値波形として用いて測定データを監視している所定の期間に、対応する測定機器21から受信して記憶部32に保存した複数のサイクルの測定データをデータ処理装置50に再度送信し、データ処理装置50は、各測定現場20のデータ監視装置30から新たに受信した測定データに少なくとも部分的に基づいて新たな上限値波形及び下限値波形を作成して各測定現場20のデータ監視装置30に送信し、各測定現場20の監視装置は、データ処理装置50から新たに受信した上限値波形及び下限値波形を監視用上限値波形及び監視用下限値波形として用いて、その後に取得される測定データを監視するものであってもよい。好ましくは、データ監視システム10は、その稼働の間、このような一連の過程を繰り返して実行するものである。
さらに、各測定現場20に含まれるデータ監視装置30は、演算部33を有しており、監視部34は、必要な場合、データ監視装置30の演算部33で作成された上下値波形及び下限値波形を監視用上限値波形及び監視用下限値波形として用いて、測定データを監視することも可能なように構成される。
尚、本実施形態におけるデータ監視システム10では、データ監視装置30は、その構成要素として通信部35を含むものであるが、本発明に係るデータ監視システムにおいて、データ監視装置30は通信部35を含まないものであってもよく、その場合、通信部35のないデータ監視装置30を含む測定現場20には、データ監視システム10に接続される外部機器(図示は省略する)として通信機能を備えた装置が含まれており、データ監視システム10は、この装置を用いて通信回線40を介してデータ処理装置50と通信するように構成されるものであってもよい。
次に、本実施形態におけるデータ監視システム10の構成についてさらに詳細に説明する。以下では、説明のための一例として、データ監視システム10を機器の作動に応じて時間変動する量の測定データに適用する場合が用いられる。以下で説明される第1の例において、さらに具体的には、各測定現場20における測定対象は、被加工物を加工する工作機械である。この場合、異なる複数の測定現場20は、例えば異なる複数の地域(例えば、日本、米国、中国等の異なる国)にそれぞれ存在する工場において、測定対象の工作機械が設置されている場所であってもよい。全ての測定現場20に含まれる工作機械のそれぞれは、最終的に同一の製品となる被加工物に対して同一の加工工程を実施するものであり、測定データの監視の要件を満たす範囲内で、同一機種の工作機械であるとともに同一の条件で作動することにより、上記加工工程を実行する。
この例において、それぞれの工作機械は、1つの被加工物に対する加工工程の開始時点から終了時点までを1サイクルとして、複数の被加工物を繰り返して加工する(言い換えれば、同一の加工サイクルを繰り返して実行する)。その際、機器の作動に応じて時間変動する量は、例えば、工作機械が備えるモータの負荷電流であり、それに対応する測定機器21は、電流センサである。
データ監視システム10において、各測定現場20に含まれるデータ監視装置30の入力部31は、対応する測定機器21からの測定データを受け入れる。この例では、入力部31は、測定機器21から出力されるアナログデータとしての測定データを所定のレート(例えば、1kHz)でサンプリングし、一連の数値からなるデジタルデータに変換するものとし、測定データの取得には、このようなデジタルデータへの変換も含まれるものとする。この場合、各サンプリングポイントは、1サイクルにわたる時間範囲において、サンプリング間隔(例えば、サンプリングレートが1kHzの場合、1ms)毎の各時点に対応する。以下の記載において、1サイクルの時間範囲における「時点」と「サンプリングポイント」とは、互いに代替可能な用語として用いられる。また、1サイクルの開始時点からの経過時間を、何番目のサンプリングポイントであるかを示すポイント数で表すこともでき、特に明示して記載されていない限り、nポイント(nは、任意の正の整数)という表現は、このようなポイント数で表された(1サイクルの開始時点からの)経過時間を意味する。
別の例において、データ監視装置30は、(通常は外部機器(図示は省略する)から)所定のタイミングで入力されるパルス信号に同期して、測定データを取得するものであってもよい。この場合、パルス信号における各パルスは、必ずしも一定の時間間隔で入力されるものではなく、例えば、被加工物の(例えば、加工寸法の重要度等に応じて決められる)特定の部位に対応させて、言い換えれば、工作機械においてその部位の加工を実施するための送り距離に対応させて、入力されるものであってもよい。本発明において、経過時間に相当するポイントという用語は、このようなパルス同期における各パルスに相当する場合も含まれるものである。
入力部31は、さらに、サンプリングを開始するためのトリガー条件(内部トリガー)を備えており、測定機器21から出力される測定データがこのトリガー条件を満たしたときを1サイクルの開始時点として、測定データのサンプリングを開始するものであってもよい。さらに、各測定現場20には、データ監視装置30の入力部31に接続される外部機器22が含まれており、データ監視装置30は、この外部機器22から入力部31に対して送信される開始信号をトリガー条件(外部トリガー)として、測定データのサンプリングを開始するものであってもよい。または、監視装置は、内部トリガーと外部トリガーとの組み合わせに基づいて、測定データのサンプリングを開始するものであってもよい。
入力部31は、1つの被加工物に対する加工工程に関する測定データを、1サイクル分の波形データとして、記憶部32に保存する。この場合、波形データとは、1回の加工工程に対応する1サイクルの時間範囲の開始時点から終了時点までの測定データであり、デジタルデータの場合、上記時間範囲内の各サンプリングポイントで取得された測定値に相当する数値が配列されてなるデジタルデータである。工作機械が複数の被加工物を繰り返して加工する間、データ監視装置30の記憶部32には、各加工工程に対応する複数サイクル分の測定データが、このような波形データとして保存されることになる。
また、1サイクル分の測定データのそれぞれには、その識別情報が付加され、各測定データは、その識別情報とともに記憶部32に保存されるものであってもよい。測定データの識別情報には、測定現場20(国、工場、建屋、部屋/区画等)の識別情報、測定対象(工作機械)の識別情報、測定機器21(電流センサ)の識別情報、測定条件、測定日時のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されるものではない。
データ監視装置30は、複数サイクルの測定データを、好ましくはその識別情報とともに、通信部35から通信回線40を介してデータ処理装置50に送信する。その際、データ監視装置30は、取得された測定データを1サイクルの測定毎にデータ処理装置50に送信するものであってもよい。または、データ監視装置30は、記憶部32に保存された複数サイクルの測定データを、任意の適切なタイミングで(例えば、所定期間の経過後、あるいは所定のサイクル数分の測定データの取得後に)まとめてデータ処理装置50に送信するものであってもよい。
本実施形態は、各測定現場20のデータ監視装置30とデータ処理装置50とを接続する通信回線40の具体的態様によって限定されるものではなく、例えば、任意の有線及び/または無線の通回線網により構築された任意の専用線、LAN、WAN、及び/または、インターネットを含むものであってもよい。
データ監視装置30の監視部34は、監視用上限値波形及び監視用下限値波形に基づいて、測定データの監視を実行する。具体的には、監視部34では、一般に、現在取得されている測定データの各時点における値が、その時点における監視用下限値波形の値から監視用上限値波形の値の範囲に含まれるか否かが、1サイクルの時間範囲にわたって判別される。測定データの値がこの範囲から外れる時点が存在する場合には、その測定データは異常と判定される。
この例において、監視部34には外部機器23が接続されており、この外部機器23は、監視部34からの開始信号に基づいて警報信号を出力する警報装置であってもよい。警報装置は、測定現場20の人員(例えば、工作機械の操作員)に対して測定データの異常を報知するものである。警報信号には、例えば、音響、光、電気的信号が含まれるが、これらに限定されるものではない。監視部34は、現在取得されている測定データを異常と判定した場合、その時点で外部機器23(この場合、警報装置)に対して、警報信号を出力させるものであってもよい。測定現場20の人員は、警報装置から出力される警報信号により測定データの異常に気づいた場合、工作機械及び/または被加工物に対して、必要な措置を取ることができる。
また、データ監視装置30の監視部34は、1以上の監視用上限値波形及び1以上の監視用下限値波形を備えるものであってもよく、これらの波形から1つの監視用上限値波形と1つの監視用下限値波形からなる監視用波形データの組が、複数組定められるものであってもよい。典型的には、これらの監視用波形データの組のうち、最も条件の緩い組が、上述したような測定データの異常判定の閾値として用いられ、その他のより条件の厳しい(一般には複数の)組は、各測定現場20(例えば、工作機械及び/またはそのオペレーション)の能力を比較・判別するための基準として用いられるものであってもよい。
上述したように、監視部34で使用される監視用上限値波形及び監視用下限値波形は、通常は、データ処理装置50から通信回線40を介して各データ監視装置30に送信された上限値波形及び下限値波形である。但し、監視部34は、記憶部32に保存されている複数サイクルの測定データに基づいて演算部33で作成された上限値波形及び下限値波形を、それぞれ監視用上限値波形及び監視用下限値波形として使用することもできる。
その際、演算部33は、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、記憶部32に保存された複数サイクルの測定データの、複数サイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対してその時点の標準偏差の既定の正数倍(例えば、3倍、5倍等)を加算した値を連ねた正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対してその時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた負側標準偏差波形とを作成し、この正側標準偏差波形及び負側標準偏差波形を、それぞれ上限値波形及び下限値波形とするものであってもよい。
その代わりにまたはそれに加えて、演算部33は、記憶部32に保存された複数サイクルの測定データの、複数サイクルにわたる時点毎の測定値の最大値及び最小値を求め、得られた複数の時点の最大値に基づいて上限値波形を作成し、最小値波形に基づいて下限値波形を作成するものであってもよい。この場合、上限値波形は、例えば、得られた複数の時点の最大値を適切に増減して得られた値を連ねてなる波形であってもよく、下限値波形は、得られた複数の時点の最小値を適切に増減して得られた値を連ねてなる波形であってもよい。
尚、データ監視装置30は、一般に、入力される全ての測定データをデータ処理装置50に送信し、かつ記憶部32に保存する。したがって、各データ監視装置30が記憶部32に保存し、かつデータ処置装置に送信する測定データには、特に、入力の間に監視部34により異常と判定された測定データも含まれている。
以上説明したようなデータ監視装置30は、任意の専用のハードウェア及び/またはそのハードウェア上で実行されるソフトウェア、またはパーソナルコンピュータ等の汎用の情報処理装置及び/またはその装置上で実行されるソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせによって構築することができる。
次に、データ処理装置50の構成の詳細について説明する。データ処理装置50は、開始時点から終了時点までの1サイクルを繰り返すように時間変動する量の測定データを監視するために使用され、第1処理部62、第2処理部64、条件設定部71、監視用波形作成部66、第1記憶部61、第2記憶部63、第3記憶部65、第4記憶部67、入力部51、出力部52、入出力管理部53を含んでいる。
入力部51は、データ監視システム10に含まれる各測定現場20のデータ監視装置30から通信回線40を介して送信される測定データを(通常、各データ監視装置30で付加された識別情報とともに)受け入れる。入力部51は、受け入れた測定データを第1記憶部61に保存する。この際、入力部51は、受け入れた測定データに対してさらに識別情報を付加するものである。データ処理装置50の入力部51によって付加される識別情報には、測定データが入力部51によって受け入れられた日時を表す日時情報が含まれる。
出力部52は、後述する第2上限値波形及び第2下限値波形を、データ監視システム10内の各測定現場20のデータ監視装置30へ送出する。
入出力管理部53は、入力部51が測定データを受け入れる条件及び/または出力部52が第2上限値波形及び第2下限値波形を送出する条件を設定可能なように構成される。例えば、入出力管理部53には、データ監視システム10内の各データ監視装置30(及び/またはその通信部35)の識別情報が予め登録されており、その識別情報に基づいて、データ処理装置50が、正しい機器(すなわち、データ監視システム10内のデータ監視装置30)のみとデータ通信することが担保されるものであってもよい。
第1処理部62は、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データに基づいて、1サイクルの時間範囲における第1上限値波形及び第1下限値波形を作成する。作成された第1上限値波形及び第1下限値波形は、第1記憶部61に保存される。
また、第1処理部62は、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データの、複数サイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた第1平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対してその時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた第1正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対してその時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた第1負側標準偏差波形とを作成する。作成された第1平均値波形、第1正側標準偏差波形、及び第1負側標準偏差波形は、第1記憶部61に保存される。
ここで、第1処理部62は、第1正側標準偏差波形及び第1負側標準偏差波形を、それぞれ第1上限値波形及び第1下限値波形とするものであってもよい。あるいは、第1上限値波形及び/または第1下限値波形は、第1正側標準偏差波形及び第1負側標準偏差波形とは別に作成されるものであってもよい。例えば、第1上限値波形は、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データの、複数サイクルにわたる時点毎の測定値の最大値を求め、得られた複数の時点の最大値に基づいて作成されるものであってもよく、及び/または、第1下限値波形は、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データの、複数サイクルにわたる時点毎の測定値の最小値を求め、得られた複数の時点の最小値に基づいて作成されるものであってもよい。この場合、第1上限値波形は、例えば、得られた複数の時点の最大値を適切に増減して得られた値を連ねてなる波形であってもよく、第1下限値波形は、得られた複数の時点の最小値を適切に増減して得られた値を連ねてなる波形であってもよい。
この例では、複数の測定現場20は、それぞれ異なる3ヶ国(日本、米国、中国)に設けられた工場である。測定対象は、既定の被加工物を加工する工作機械であり、工作機械が備えるモータの負荷電流が、測定データとして取得される。データ処理装置50の第1記憶部61には、日本、米国、中国の各測定現場20において、工作機械を20日間運転して取得された18985サイクルの測定データが保存されている。
図2は、横軸をサンプリングポイント数単位で示す時間、縦軸を負荷電流(単位は、アンペア)とするグラフである。この例では、サンプリング間隔は1msであり、1ポイントから7800ポイントまでのサンプリングポイント数で示され1サイクルの時間範囲は、7.8sに相当する。図2には、第1記憶部61に保存された18985サイクルの測定データから算出された、第1平均値波形(以下、m波形ともいう)、上記既定の正数を1としたときの第1正側標準偏差波形(以下、+1σ波形ともいう)及び第1負側標準偏差波形(以下、−1σ波形ともいう)、上記既定の正数を3としたときの第1正側標準偏差波形(以下、+3σ波形ともいう)及び第1負側標準偏差波形(以下、−3σ波形ともいう)、及び上記既定の正数を5としたときの第1正側標準偏差波形(以下、+5σ波形ともいう)及び第1負側標準偏差波形(以下、−5σ波形ともいう)が示されている。
条件設定部71は、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域内に、この2次元領域の一部である1以上のデータ仕分け基準領域80(図4〜図7参照)を設定する。さらに、条件設定部71は、データ仕分け基準領域80のそれぞれに、データ基準領域80内の1つの時点を特徴点tpとして設定し、測定値の1つの値を仕分けレベルLとして設定する(例えば、図8参照)。そして、条件設定部71は、データ仕分け基準領域80と仕分けレベルLに応じて、特徴点tpを含む時間範囲として仕分け範囲(t2〜t3)を設定する(例えば、図8参照)。
詳しくは、条件設定部71は、まず、1サイクルの時間範囲内に設定された1以上の候補範囲のそれぞれについて、第1平均値波形の時間変動が所定の変動開始条件を満たす変動開始時点t0と、第1平均値波形の時間変動が所定の変動終了条件を満たす変動終了時点t1とを決定する。図2には、1サイクルの時間範囲内に設定された第1候補範囲(I)、第2候補範囲(II)、及び第3候補範囲(III)の3つの候補範囲の例が示されている。この例において、これらの候補範囲は、被加工物の加工工程において特定の時間範囲に対応する加工部位の重要度、この加工工程に対応する既知の波形の特徴等に基づいて、予め選択されている。
図3には、図2に示す第2候補範囲(II)が、変動開始時点t0及び変動終了時点t1が特定された状態で、拡大されて示されている。この例では、変動開始条件は、所定の時間幅における測定値の増大が所定の閾値を上回ることであり、変動終了条件は、所定の時間幅における測定値の減少が所定の閾値を下回る(絶対値として上回る)ことである。具体的には、本例において、変動開始時点t0は2593ポイント、変動終了時点は3331ポイントである。但し、本発明において、測定データの波形の特徴によっては、所定の時間幅における測定値の減少が所定の閾値を下回ることを変動開始条件とし、所定の時間幅における測定値の増大が所定の閾値を上回ることを変動終了条件とする場合もあり得る。
条件設定部71は、変動開始時点t0及び変動終了時点t1と、第1平均値波形、第1正側標準偏差波形、及び第1負側標準偏差波形の少なくとも1つとに基づいて、データ仕分け基準領域80を設定する。具体的には、データ仕分け基準領域80は、図4に示すように、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、変動開始時点t0における第1負側標準偏差波形の値と変動終了時点t1における第1負側標準偏差波形の値を直線状に結ぶ下辺Eと、変動開始時点t0における第1正側標準偏差波形の値と変動終了時点t1における第1正側標準偏差波形の値を直線状に結ぶ上辺Eとの間の領域であってもよい。
図4の例では、この場合のデータ仕分け基準領域80の下辺Eを定める第1負側標準偏差波形として、−3σ波形が用いられ、このデータ仕分け基準領域80の上辺Eを定める第1正側標準偏差波形として、+3σ波形が用いられている。変動開始時点t0における−3σ波形の値は15.719A、変動終了時点t1における−3σ波形の値は15.726Aである。また、変動開始時点t0における+3σ波形の値は20.263A、変動終了時点t1における+3σ波形の値は、20.267Aである。
または、データ仕分け基準領域80は、図5に示すように、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、変動開始時点t0における第1正側標準偏差波形の値と変動終了時点t1における第1正側標準偏差波形との値とを直線状に結ぶ下辺Eと、第1正側標準偏差波形からなる上辺Eとの間の領域であってもよい。
図5の例では、このデータ仕分け基準領域80を定める第1正側標準偏差波形として、+1σ波形が用いられている。変動開始時点t0における+1σ波形の値は17.991A、変動終了時点t1における+1σ波形の値は、17.996Aである。
または、データ仕分け基準領域80は、図6に示すように、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、変動開始時点t0における第1平均値波形(m)の値と変動終了時点t1における第1平均値波形(m)との値とを直線状に結ぶ下辺Eと、第1平均値波形(m)からなる上辺Eとの間の領域であってもよい。
または、データ仕分け基準領域80は、図7に示すように、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、変動開始時点t0における第1負側標準偏差波形の値と変動終了時点t1における第1負側標準偏差波形との値とを直線状に結ぶ下辺Eと、第1負側標準偏差波形からなる上辺Eとの間の領域であってもよい。
図7の例では、このデータ仕分け基準領域80を定める第1負側標準偏差波形として、−1σ波形が用いられている。変動開始時点t0における−1σ波形の値は17.894A、変動終了時点t1における−1σ波形の値は17.900Aである。
条件設定部71は、データ仕分け基準領域80内に、変動開始時点t0から変動終了時点t1までの各時点の複数サイクルにわたる測定データの値の分布及びその測定データの値を日時情報に従って配列した時系列パターンの一方または両方に少なくとも部分的に基づいて、特徴点tp及び仕分けレベルLを設定する。この設定は、通常、波形解析及び表示部72の機能を援用しつつ実施される。次に、図8を参照して、この点について説明する。
ここで、図8は、図5に示すデータ仕分け基準領域80内に、特徴点tp及び仕分けレベルLを設定する例に対応する。このデータ仕分け基準領域80は、図8(a)では、ハッチング領域として示されている。
波形解析及び表示部72は、時間方向を横軸、測定データの測定値方向を縦軸として測定データを表示可能に構成される。また、この波形解析及び表示部72は、1以上の候補範囲のそれぞれに関して、候補範囲内の第1平均値波形、第1正側標準偏差波形、及び第1負側標準偏差波形と、候補範囲内の任意の時点を通り、自動的にまたはデータ処理装置50の操作者からの入力により時間方向に移動可能な縦軸平行線とを表示可能に構成される。
図8(a)に示す例では、上記の第2候補範囲(II)内の第1平均値波形(m)が表示され、また、第1正側標準偏差波形として、+1σ波形及び+3σ波形が、第1負側標準偏差波形として、−1σ波形及び+3σ波形が表示されるとともに、特徴点tpにおける縦軸平行線Vpが表示されている。尚、図示は省略するが、波形解析及び表示部72は、一般に、図8(a)に示す要素に重ねて、第1記憶部61に保存された個々の波形データを任意の数だけ表示可能に構成される。
波形解析及び表示部72は、さらに、縦軸平行線上の時点における第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データの値の分布図(図8(b))、及び、その複数サイクルの測定データの値を日時情報に従って配列した時系列パターン図(図8(c))を表示可能に構成される。
図示の例では、図8(b)には、特徴点tpにおける測定値の分布図がヒストグラムとして示されており、図8(c)には、特徴点tpにおける測定値の時系列パターン図が示されている。図8(c)の横軸(データ番号)は、第1記憶部61に保存された測定データに対して、データ処理装置50の入力部51での受け入れ日時に相当する日時情報(及び、必要な場合は、各測定現場20で付加される識別情報のうちの日時情報)に従って順序付けして付加される番号である。
さらに、波形解析及び表示部72は、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データの縦軸平行線上の時点における値の複数サイクルにわたる平均値及び標準偏差に基づいて、その平均値を通る横軸平行線、その平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る横軸平行線、及び、その平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る横軸平行線を表示可能に構成される。
図8の例では、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データの特徴点tpにおける値の複数サイクルにわたる平均値及び標準偏差に基づいて、その平均値を通る横軸平行線h(m)、平均値に対して標準偏差を加算した値を通る横軸平行線h(+1σ)、平均値に対して標準偏差の3倍を加算した値を通る横軸平行線h(+3σ)、平均値に対して標準偏差を減算した値を通る横軸平行線h(−1σ)、平均値に対して標準偏差の3倍を現在した値を通る横軸平行線h(−3σ)が示されている。
ここで、図示の例では、図8(a)、(b)、(c)において、縦軸(負荷電流軸)は共通であり、各図が横軸方向に並べられて示されている。そして、横軸平行線h(m)、h(+1σ)、h(+3σ)、h(−1σ)、h(−3σ)は、それぞれ図8(a)、(b)、(c)に共通の直線として、各図を横断する形で示されている。波形解析及び表示部72は、実際に図8(a)、(b)、(c)に示す態様で、各データを表示するように構成されるものであってもよい。本発明は、波形解析及び表示部72におけるデータの表示態様の詳細によって限定されるものではないが、このような表示態様は、各図間の測定値の比較及び分析が容易な点で有利である。
波形解析及び表示部72は、図8(a)に示される任意時点の縦軸平行線(図示は省略する)が時間軸方向に移動するに従って、図8(b)及び(c)に示される分布図及び時系列パターン図が、縦軸平行線上の時点に基づいて更新されるように構成されており、条件設定部71は、一般には、波形解析及び表示部72に表示される任意時点の縦軸平行線を、時間軸方向に移動させつつ、図8(b)及び(c)に示されるような測定値の分布及び時系列パターンの一方または両方に少なくとも部分的に基づいて(例えば、特徴点tpにおける値が仕分けレベルLより大きい測定データの数と、小さい測定データの数のバランスを考慮して)特徴点tp及び仕分けレベルLを設定するものである。本例では、このデータ仕分け基準領域80における特徴点tpとして、2940ポイントが設定され、仕分けレベルLとして、19.6Aが設定される。
これらの設定には、条件設定部71が自動的に(言い換えれば、既定のプログラムに基づいて)実行する部分が含まれるものであってもよく、及び/または、条件設定部71が、データ処理装置50を操作する操作者からの操作部(図示は省略する)を通じた入力に基づいて実行する部分が含まれるものであってもよい。この際、操作者は、一般には、波形解析及び表示部72の図8に示すような表示を観察しつつ、データ処理装置50を操作するものである。
このように、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、データ仕分け基準領域80と仕分けレベルLとが設定されると、データ仕分け基準領域80の境界上で測定値方向の値が仕分けレベルLをとる2つの時点t2、t3の間の時間範囲として、仕分け範囲(t2〜t3)が定められる。言い換えれば、時間を横軸と測定値の縦軸とする2次元領域において、データ仕分け基準領域80の外形と仕分けレベルLに相当する横軸平行線との交点として、仕分け範囲の開始時点t2と終了時点t3が定まる。図8(a)に示す例では、仕分けレベルLに相当する横軸平行線と、データ仕分け基準領域80(ハッチング部)の外形(この場合、上辺である+1σ波形)との2つの交点が、仕分け範囲の開始時点t2と終了時点t3である。尚、本例の場合、仕分けレベルLである19.6Aは、特徴点tp(2940ポイント)における測定値の平均値と略一致する値である。
ここで、データ仕分け基準領域80の設定に関連して、候補範囲が複数ある場合には、通常、それぞれの候補範囲について、上述したようにデータ仕分け基準領域80と、それに関する特徴点tp及び仕分けレベルLが設定されるものである(図示は省略する)。本実施形態では、図2に示す第1候補範囲(I)及び第3候補範囲(III)についても、第2候補範囲(II)に関連して上述した手順と同様の手順により、それぞれのデータ仕分け基準領域80と、それに関する特徴点tp及び仕分けレベルLが設定される。
以上のような条件設定のもとに、第1処理部62は、1以上のデータ仕分け基準領域80のそれぞれについて、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データから、第1前側測定データ、第1後側測定データ、及び第1両側測定データを選出し、選出された第1前側測定データ、第1後側測定データ、及び第1両側測定データを第2記憶部63に保存する。
ここで、第1前側測定データは、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データのうち、図9及び図10に示すように、仕分け範囲(t2〜t3)のうち特徴点tp以前の範囲(t2〜tp)内に測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの交差点が存在する測定データである。また、第1後側測定データは、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データのうち、図11及び図12に示すように、仕分け範囲(t2〜t3)のうち特徴点tp以後の範囲(tp〜t3)内に測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの交差点が存在する測定データである。また、第1両側測定データは、図13に示すように、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの交差点が、仕分け範囲(t2〜t3))のうち特徴点tpの以前と以後の両方の範囲(t2〜tp)、(tp〜t3)内に存在する測定データである。
第1処理部62は、さらに、第2記憶部63に保存された測定データから、第1上限値波形及び第1下限値波形に基づいて異常と判定される測定データを除去し、残りの測定データからなる第1処理後測定データ群を作成して、この第1処理後測定データ群を第2記憶部63に保存する。
そして、第2処理部64は、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データから、第1処理後測定データ群に基づいて測定データを選出し、選出された測定データからなる第2処理後測定データ群を作成して、この第2処理後測定データ群を第3記憶部65に保存する。
詳しくは、第2処理部64は、第1処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、選択した1以上のデータ仕分け基準領域80毎に、第1前側測定データ、または、第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が仕分け範囲(t2〜t3)のうち特徴点tp以前の範囲(t2〜tp)内で仕分けレベルLと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、その平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を減算した値からその平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの前側時間閾値範囲を設定する。
本例において、図5及び図8に示すデータ仕分け基準領域80に対して、第1前側測定データは、図9及び図10を参照して上述した条件を満たす測定データである。また、第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データにおける時間変動条件は、図9に示すように、測定値を増大させつつ仕分けレベルLと交差することであり、第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データにおける時間変動条件は、図12に示すように、測定値を減少させつつ仕分けレベルLと交差することである。したがって、前側時間閾値範囲を得るために使用される測定データは、簡明に言えば、図9及び図10に示す条件を満たす測定データ、または、図9及び図12に示す条件を満たす測定データである。
本例では、第1前側測定データ(すなわち、図9及び図10に示す条件を満たす測定データ)を使用して、前側時間閾値範囲を求めるものとする。具体的には、第2処理部64は、第1前側測定データについて、個々の測定データに対応する波形が仕分け範囲(t2〜t3)のうち特徴点tp以前の範囲(t2〜tp)内で仕分けレベルLと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出する。本例において、この平均値tfは2769ポイント、標準偏差は78ポイントである(図14参照)。さらに、本例では、この平均値tfに対して標準偏差の3倍(234ポイント)を減算した値t4からその平均値tfに対して標準偏差の3倍(234ポイント)を加算した値t5までの時間範囲として、前側時間閾値範囲(t4〜t5)を設定する(図20参照)。
これに関連して、波形解析及び表示部72は、1以上のデータ仕分け基準領域80のそれぞれに関して、第1前側測定データ、または、第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が仕分け範囲のうち特徴点tp以前の範囲内で仕分けレベルLと交差する時間の値の分布図及びその時間の値を日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成される。さらに、波形解析及び表示部72は、この時間の値の平均値と標準偏差に基づいて、この平均値を通る縦軸平行線、平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る縦軸平行線、及び、平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る縦軸平行線を表示可能に構成される。
本例では、第1前側測定データ(すなわち、図9及び図10に示す条件を満たす測定データ)について、測定データに対応する波形が仕分け範囲(t2〜t3)のうち特徴点tp以前の範囲(t2〜tp)内で仕分けレベルLと交差する時間の値の分布図(ヒストグラム)が示されている(図15参照)。また、図示は省略するが、時系列パターン図は、この時間の値を、図8(c)と同様にデータ番号順に配列させて描画される図である。さらに、図14には、平均値tfを通る縦軸平行線Vf、平均値tfに対して標準偏差を加算した値を通る縦軸平行線V5’、及び、平均値tfに対して標準偏差を減算した値を通る縦軸平行線V4’が示されており、図20には、平均値tfを通る縦軸平行線Vf、平均値tfに対して標準偏差を加算した値を通る縦軸平行線V5’、平均値tfに対して標準偏差の3倍を加算した値t5を通る縦軸平行線V5、平均値tfに対して標準偏差を減算した値を通る縦軸平行線V4’、及び平均値tfに対して標準偏差の3倍を減算した値t4を通る縦軸平行線V4が示されている。
第2処理部64は、さらに、第1処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、選択した1以上のデータ仕分け基準領域80毎に、第1後側測定データ、または、第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が仕分け範囲のうち特徴点tp以後の範囲内で仕分けレベルLと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、その平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を減算した値から平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの後側時間閾値範囲を設定する。
本例において、図5及び図8に示すデータ仕分け基準領域80に対して、第1後側測定データは、図11及び図12を参照して上述した条件を満たす測定データである。また、第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データにおける時間変動条件は、図10に示すように、測定値を減少させつつ仕分けレベルLと交差することであり、第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データにおける時間変動条件は、図11に示すように、測定値を増大させつつ仕分けレベルLと交差することである。したがって、後側時間閾値範囲を得るために使用される測定データは、簡明に言えば、図11及び図12に示す条件を満たす測定データ、または、図10及び図11に示す条件を満たす測定データである。
本例では、第1後側測定データ(すなわち、図11及び図12に示す条件を満たす測定データ)を使用して、後側時間閾値範囲を求めるものとする。具体的には、第2処理部64は、第1後側測定データについて、個々の測定データに対応する波形が仕分け範囲(t2〜t3)のうち特徴点tp以後の範囲(tp〜t3)内で仕分けレベルLと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出する。本例において、この平均値trは3123ポイント、標準偏差は102ポイントである(図16参照)。さらに、本例では、この平均値trに対して標準偏差の3倍(306ポイント)を減算した値t6からその平均値trに対して標準偏差の3倍(306ポイント)を加算した値t7までの時間範囲として、後側時間閾値範囲(t6〜t7)を設定する(図21参照)。
これに関連して、波形解析及び表示部72は、1以上のデータ仕分け基準領域80のそれぞれに関して、第1後側測定データ、または、第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が仕分け範囲のうち特徴点tp以後の範囲内で仕分けレベルLと交差する時間の値の分布図及びその時間の値を日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成される。さらに、波形解析及び表示部72は、この時間の値の平均値と標準偏差に基づいて、この平均値を通る縦軸平行線、平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る縦軸平行線、及び、平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る縦軸平行線を表示可能に構成される。
本例では、第1後側測定データ(すなわち、図11及び図12に示す条件を満たす測定データ)について、測定データに対応する波形が仕分け範囲(t2〜t3)のうち特徴点tp以後の範囲(tp〜t3)内で仕分けレベルLと交差する時間の値の分布図(ヒストグラム)が示されている(図17参照)。また、図示は省略するが、時系列パターン図は、この時間の値を、図8(c)と同様にデータ番号順に配列させて描画される図である。さらに、図16には、平均値trを通る縦軸平行線Vr、平均値trに対して標準偏差を加算した値を通る縦軸平行線V7’、及び、平均値trに対して標準偏差を減算した値を通る縦軸平行線V6’が示されており、図21には、平均値trを通る縦軸平行線Vr、平均値trに対して標準偏差を加算した値を通る縦軸平行線V7’、平均値trに対して標準偏差の3倍を加算した値t7を通る縦軸平行線V7、平均値trに対して標準偏差を減算した値を通る縦軸平行線V6’、及び平均値trに対して標準偏差の3倍を減算した値t6を通る縦軸平行線V6が示されている。
尚、図20及び図21には、上述した表示要素に加えて、複数の測定データに対応する波形が重ねられて表示されている。これらの波形は、従来技術の説明として、それぞれ図29(a)及び図29(b)に表示された波形と同種の測定データに対応する。図20及び図21は、これらの波形が、それぞれ前側時間閾値範囲(t4〜t5)及び後側時間閾値範囲(t6〜t7)に関する上述した条件を満たすことも示している。
第2処理部64は、さらに、前側時間閾値範囲(t4〜t5)及び後側時間閾値範囲(t6〜t7)が設定されたデータ仕分け基準領域80から選択した1以上のデータ仕分け基準領域80毎に、第1記憶部61に保存された複数サイクルの測定データのうち、前側時間閾値範囲(t4〜t5)内に、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する第2前側測定データ、後側時間閾値範囲(t6〜t7)内に、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する第2後側測定データ、及び、前側時間閾値範囲(t4〜t5)内と後側時間閾値範囲(t6〜t7)内の両方に、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの交差点が存在する第2両側測定データを選出し、全ての第2前側測定データ、第2後側測定データ、及び第2両側測定データを第3記憶部65に保存する。
第2処理部64は、さらに、第3記憶部65に保存された測定データから、第1上限値波形及び第1下限値波形に基づいて異常と判定される測定データを除去し、残りの測定データからなる第2処理後測定データ群を作成し、この第2処理後測定データ群を第3記憶部65に保存する。
第2処理部64は、さらに、前側時間閾値範囲(t4〜t5)及び後側時間閾値範囲(t6〜t7)が設定されたデータ仕分け基準領域80から選択した1以上のデータ仕分け基準領域80毎に、第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データに対応する波形が仕分け範囲内で仕分けレベルLと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、その平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を減算した値からその平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの両側時間閾値範囲を設定する。
本例において、この平均値tbは2968ポイント、標準偏差は325ポイントである(図18参照)。さらに、本例では、この平均値tbに対して標準偏差(325ポイント)を減算した値t8から、この平均値に対して標準偏差(325ポイント)を加算した値t9までの時間範囲として、両側時間閾値範囲(t8〜t9)を設定する(図18参照)。
これに関連して、波形解析部及び表示部は、1以上のデータ仕分け基準領域80のそれぞれに関して、第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データに対応する波形が仕分け範囲(t2〜t3)内で仕分けレベルLと交差する時間の値の分布図及びこの時間の値を日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成される。
図19には、本例において第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データに対応する波形が仕分け範囲(t2〜t3)内で仕分けレベルLと交差する時間の値の分布図(ヒストグラム)の例が示されている。図19に示される分布は、第2両側測定データに関する分布であるため、仕分け範囲(t2〜t3)の前半部分と後半部分にそれぞれ値が分布した二峰性の分布となる。また、図示は省略するが、時系列パターン図は、この時間の値を、図8(c)と同様にデータ番号順に配列させて描画される図である。さらに、図18及び図19には、平均値tbを通る縦軸平行線Vb、平均値tbに対して標準偏差を加算した値t9を通る縦軸平行線V9、及び、平均値tbに対して標準偏差を減算した値を通る縦軸平行線V8が示されている。
そして、第2処理部64は、第2処理後測定データ群から、両側時間閾値範囲(t8〜t9)内に測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データを選出し、選出した測定データを第3記憶部65に保存する。
この場合の時間変動条件は、例えば、時間的に先行して測定値を増大させつつ仕分けレベルLと交差する交差点が存在し、かつその後の時点に測定値を減少させつつ仕分けレベルLと交差する交差点が存在することである。
監視用波形作成部66は、第1記憶部61に保存された複数の測定データが取得された期間以後に取得される測定データを監視するために、第2処理後測定データ群に基づいて、1サイクルの時間範囲の1以上の第2上限値波形及び1以上の第2下限値波形を作成する。
第2上限値波形及び第2下限値波形の作成について詳しくは、監視用波形作成部66は、第2処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、1以上のデータ仕分け基準領域80の任意の組合せに関連する第2両側測定データを選出して、その選出された測定データからなる監視用測定データ群を作成し、その監視用測定データ群を第4記憶部67に保存し、第4記憶部67に保存された監視用測定データ群に基づいて、第2上限値波形及び第2下限値波形を作成するように構成される。
特に、監視用波形作成部66は、監視用測定データ群に含まれる1以上の測定データの1以上のサイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた第2平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対してその時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた第2正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対してその時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた第2負側標準偏差波形とを作成し、作成された第2正側標準偏差波形を第2上限値波形とし、第2負側標準偏差波形を第2下限値波形とするものであってもよい。
ここで、監視用測定データ群は、典型的には、単独型監視用測定データ群、和型監視用測定データ群、または積型監視用測定データ群である。ここで、単独型監視用測定データ群は、第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データのうち、選択した1つのデータ仕分け基準領域80に関連する両側時間閾値範囲(t8〜t9)内に、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる。
例えば、本例において、選択した1つのデータ仕分け基準領域80を、図2に示す第2候補範囲(II)に関連して定められたデータ仕分け基準領域80とすれば、単独型監視用測定データ群は、第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データのうち、第2候補範囲(II)に関連する両側時間閾値範囲(t8〜t9)内に測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在するという条件を満たす測定データからなる。
また、和型監視用測定データ群は、第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データのうち、選択した複数のデータ仕分け基準領域80に関連する両側時間閾値範囲の少なくとも1つの範囲内に、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる。
例えば、本例において、選択した複数のデータ仕分け基準領域80を、図2に示す第1候補範囲(I)に関連して定められたデータ仕分け基準領域80(以下、第1データ仕分け基準領域ともいう)、第2候補範囲(II)に関連して定められたデータ仕分け基準領域80(以下、第2データ仕分け基準領域ともいう)、及び第3候補範囲(III)に関連して定められたデータ仕分け基準領域80(以下、第3データ仕分け基準領域ともいう)とすれば、和型監視用測定データ群は、第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データのうち、第1データ仕分け基準領域に関連する両側時間閾値範囲内、第2データ仕分け基準領域に関連する両側時間閾値範囲(t8〜t9)内、及び、第3データ仕分け基準領域に関連する両側時間閾値範囲内のうちの少なくとも1つに、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在するという条件を満たす測定データからなる。
また、積型監視用測定データ群は、第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データのうち、選択した複数のデータ仕分け基準領域80に関連する全ての両側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる。
例えば、本例において、選択した複数のデータ仕分け基準領域80を、第1データ仕分け基準領域、第2データ仕分け基準領域、及び第3データ仕分け基準領域とすれば、積型監視用測定データ群は、第2処理後測定データ群に含まれる第2両側測定データのうち、第1データ仕分け基準領域に関連する両側時間閾値範囲内、第2データ仕分け基準領域に関連する両側時間閾値範囲(t8〜t9)内、及び、第3データ仕分け基準領域に関連する両側時間閾値範囲内の全てに、測定データに対応する波形と仕分けレベルLとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在するという条件を満たす測定データからなる。
尚、これらの3種類の測定データ群の集合として包含関係は、単独型監視用測定データ群を定めるために使用される1つのデータ仕分け基準領域80と同一のデータ仕分け基準領域80が、積型監視用測定データ群及び和型監視用測定データ群の定義にも用いられている場合には、
(積型)⊆(単独型)⊆(和型)
となるものである。但し、(積型)、(単独型)、(和型)は、それぞれ測定データの集合としての単独型監視用測定データ群、積型監視用測定データ群、及び和型監視用測定データ群を表す。例えば、これらの監視用測定データ群を作成するために使用されるデータ仕分け基準領域80は、複数の候補範囲のそれぞれに対応する加工工程の重要度等に応じて、適切に選択される。
監視用波形作成部66は、単独型監視用測定データ群、和型測定データ群、及び積型監視用測定データ群のそれぞれについて、第2平均値波形、第2正側標準偏差波形、及び第2負側標準偏差波形を作成し、作成された複数の第2正側標準偏差波形のうちの少なくとも1つを第2上限値波形とし、作成された複数の第2負側標準偏差波形のうちの少なくとも1つを第2下限値波形とするものであってもよい。
図22には、図2に示す第2候補範囲(II)に関連して定められたデータ仕分け基準領域80に基づく単独型監視用測定データ群を使用して作成された、第2平均値波形(M)、既定の正数を1としたときの第2正側標準偏差波形(+1Σ)及び第2負側標準偏差波形(−1Σ)、上記既定の正数を3としたとの第2正側標準偏差波形(+3Σ)及び第2負側標準偏差波形(−3Σ)が示されている。図22に示された各波形を、例えばそこに示された前側時間閾値範囲(t4〜t5)の開始時点t4、及び後側時間閾値範囲(t6〜t7)の終了時点t7を参照して図20、図21等に示される各波形と比較すると、第2平均値波形(M)、第2正側標準偏差波形(例えば、+1Σ)、第2負側標準偏差波形(例えば、−1Σ)は、第1平均値波形(m)、第1正側標準偏差波形(例えば、+1σ)、及び第1負側標準偏差波形(例えば、−1σ)と比較して、時間方向(特に、その正方向及び負方向の両方向)に引き伸ばされた形をしていることが分かる。
図22に示される波形のうち、例えば、+3Σ波形及び−3Σ波形を、それぞれ第2上限値波形及び2下限値波形として選択するものであってもよい。あるいは、+1Σ波形及び−1Σ波形の組を、第2上限値波形及び2下限値波形の1つの組とし、+3Σ波形及び−3Σ波形の組、第2上限値波形及び2下限値波形の別の組として、第2上限値波形及び第2下限値波形の組を複数組構成するものであってもよい。
さらに、第2処理部64は、選択した1以上のデータ仕分け基準領域80のそれぞれについて、前側時間値範囲及び後側時間閾値範囲を、前側時間閾値範囲及び後側時間閾値範囲を設定する際に使用される既定の正数を複数個用いて、複数の既定の正数に応じた複数の段階毎に設定し、監視用波形作成部66は、監視用測定データ群を、1以上のデータ仕分け基準領域80の任意の組合せについて、複数の段階毎に作成して第4記憶部67に保存し、第4記憶部67に保存された監視用測定データ群に基づいて、複数の段階毎に第2上限値波形及び第2下限値波形を作成するものであってもよい。
例えば、前側時間閾値範囲及び後側時間閾値範囲を設定する際に使用される既定の正数として、1、3、5の3段階を用いて、これらの段階毎に所定の監視用測定データ群を作成し、さらに3段階の所定の監視用測定データ群のそれぞれに対して、第2正側標準偏差波形及び第2負側標準偏差波形を作成するための既定の正数を、0.5、1、3、4、5の5種類とすると、3段階の所定の監視用測定データ群のそれぞれに対して、5種類の第2正側標準偏差波形及び第2負側標準偏差波形の組が作成される。したがって、これらの第2正側標準偏差波形及び第2負側標準偏差波形の組を、第2上限値波形及び第2下限値波形の組とすれば、第2上限値波形及び第2下限値波形の組が15組構成されることになる。また、これに対して監視用測定データ群の定義を上述したように様々に変えることによって、第2上限値波形及び第2下限値波形の組をさらに増大させることもできる。
上述したように、データ監視システム10において、これらの(1以上の)第2上限値波形及び第2下限値波形は、上述したように、出力部52から通信回線40を介して各測定現場20のデータ監視装置30に送信され、各測定現場20において、その受信以後に取得される測定データを監視するための監視用上限値波形及び監視用下限値波形として使用される。第2上限値波形と第2下限値波形からなる組が複数組作成されて、各測定現場20のデータ監視装置30に送信される場合、各データ監視装置30は、このような複数組の第2上限値波形及び第2下限値波形を用いて、監視用上限値波形と監視用下限値波形からなる監視用波形データの組を、複数組定めることができる。上述したように、これらの複数組の監視用波形データのうち、例えば、最も条件の緩い(言い換えれば、許容幅が広い)組が、測定データの異常判定の閾値として用いられ、その他のより条件の厳しい(一般的には複数の)組は、各測定現場20の測定対象に関する(例えば、工作機械及び/またはそのオペレーションの)能力を比較・判別するための基準として用いられるものであってもよい。
ここで、データ処理装置50の条件設定部71は、さらに、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、第2処理後測定データに含まれる1以上のサイクルの測定データの、1以上のサイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた確認用平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対してその時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた確認用正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対してその時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた確認用負側標準偏差波形とを作成し、設定されたデータ仕分け基準領域80毎に、変動開始時点から変動終了時点までの各時点の1以上のサイクルにわたる測定データの値の分布及び測定データの値を日時情報に従って配列した時系列パターンの一方または両方に少なくとも部分的に基づいて、確認用特徴点を設定するように構成されるものである。
これに関連して、波形解析部及び表示部は、候補範囲内の任意の時点を通る縦軸平行線上の時点における、第2処理後測定データに含まれる1以上のサイクルの測定データの値の分布図及びその1以上のサイクルの測定データの値を日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、算出されたその1以上のサイクルにわたる値の平均値及び標準偏差に基づいて、その平均値を通る横軸平行線、平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る横軸平行線、及び、平均値に対して標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る横軸平行線を表示可能に構成される。
また、監視用波形作成部66は、第2処理後測定データ群に基づいて、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、1以上のサイクルの測定データの、1以上のサイクルにわたる時点毎の最大値及び最小値を求め、得られた複数の時点の最大値に基づいて第2上限値波形を作成し、得られた複数の時点の最小値に基づいて第2下限値波形を作成するものであってもよい。
以上説明したようなデータ処理装置50は、任意の専用のハードウェア及び/またはそのハードウェア上で実行されるソフトウェア、またはパーソナルコンピュータ等の汎用の情報処理装置及び/またはその装置上で実行されるソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせによって構築することができる。特に、本実施形態において、データ処理装置50は、その記憶手段として、第1記憶部61、第2記憶部63、第3記憶部65、及び第4記憶部67を含むものとしたが、本発明において、これらの構成要素に関連して上述した各機能を実現する構成は、任意の適切な1つまたは複数のハードウェアを用いて構築され得るものである。同様に、本実施形態におけるデータ処理装置50は、保存されたデータに対して様々な処理を実行するための第1処理部62、第2処理部64、入出力管理部53、監視用波形作成部66、条件設定部71、波形解析及び表示部72を含むものとしたが、これらの構成要素に関連して上述した各機能を実現する構成は、1つの中央処理装置または中央処理装置を含む情報処理装置及びそれらの装置上で実行されるプログラム、及び/または、それらの装置に関連する表示装置の任意の組み合わせを用いて構築され得るものである。また、上記の説明において、それぞれの記憶部に保存された測定データに対して実行された処理の結果として得られる様々なデータのうち、後の処理のために必要なデータは、特に言及がない場合でも、それぞれ適切な記憶部(上述した第1〜第4記憶部61、63、65、67、またはその他の記憶部)に保存されることは言うまでもない。
本実施形態におけるデータ監視システム10は、各測定現場20における測定データを監視するために、データ処置装置で上述したように作成された第2上限値波形及び第2下限値波形を使用するため、各測定現場20における個々の測定データの監視において、時間方向にずれがあるだけで実質的には正常である測定データを異常と判定する可能性が低減し、ひいては測定対象の稼働(例えば、工作機械による被加工物の加工)の効率を向上させることが可能となる。
その際、データ処置装置で作成される第2上限値波形及び第2下限値波形は、各測定現場20における測定データを集約し、その集約されたデータに基づいて作成されるものであるため、各測定現場20の測定データの監視作業の精度を適切に維持しつつ、上記効率の向上が達成され得る。
さらに、本実施形態におけるデータ処理装置50において、特徴点tp及び仕分けレベルLを、測定データの値の分布及び/または時系列パターンに少なくとも部分的に基づいて設定することは、これらの値の分布が多くの場合正規分布をとはなっていないため、(例えば、単に平均値等に基づいて設定する場合と比較して)、より妥当な設定を実行するために有利なものである。その際、データ処理装置50の波形解析及び表示部72が、対応する分布図(ヒストグラム)及び時系列パターン図を表示可能に構成されていることは、特にこれらの設定がデータ処理装置50の操作者からの入力に基づいて実行される部分が含まれる場合、さらに有利ものである。
さらに、本実施形態におけるデータ処置装置の条件設定部71は、第2処理後測定データに基づいて、確認用特徴点を設定するように構成されるため、第1記憶部61に保存されたデータに基づいて設定され、第2上限値波形及び第2下限値波形を作成するために使用される特徴点tpと、確認用特徴点との比較が可能となる。これによって、データ処理装置50で作成される第2上限値波形及び第2下限値波形の妥当性を判別することが可能となり、ひいてはデータ監視システム10における測定データの監視の精度をさらに向上させることが可能となる。
また、本実施形態におけるデータ処理装置50では、監視用波形作成部66が、1異常のサイクルの測定データの1以上のサイクルにわたる時点毎の最大値及び最小値に基づいて第2上限値波形及び第2下限値波形を作成する場合でも、最大値及び最小値を得るために使用される測定データは、第2処理後測定データ群に含まれる(したがって、異常波形が取り除かれた)測定データである。したがって、異常波形の影響を受けることなく、上の最大値及び最小値に基づいて、適切な第2上限値波形及び第2下限値波形を作成することが可能となる。
また、本実施形態におけるデータ監視システム10において、複数の測定現場20のそれぞれでは、データ処理装置50で作成された共通の第2上限値波形及び第2下限値波形を、それぞれの監視用上限値波形及び監視用下限値波形として、測定データの監視を実行するものであるため、各測定現場20(例えば、日本、米国、中国等の複数の異なる国に設けられた工場)での測定データの監視作業の標準化を促進することが可能となり、測定対象の稼働の均一性を向上させることが可能となる。例えば、各測定現場20が工場であり、測定対象が工作機械である場合、これによって、工作機械によって加工される被加工物から製作される製品の品質の、工場間でのばらつきを低減することが可能となる。
特に、本実施形態におけるデータ監視システム10において、許容範囲に関して様々な段階を有する複数の監視用上限値波形及び監視用下限値波形を使用することが可能であるため、各測定現場20における測定データの監視において、単に正常/異常の判定の標準化が促進されるだけでなく、より条件の厳しい複数の監視用上限値波形及び監視用下限値波形を用いて、正常な測定データをさらに精細にレベル分けすることが可能となる。これによって、それぞれの測定現場20の測定対象に関する特徴(例えば、工作機械及びそのオペレーションの能力)の、複数の測定現場20の中での位置付けを、容易かつ正確に比較及び判別することが可能となる。
本発明は、このように複数の測定現場20を含むデータ監視システム10として特に有利なものであるが、本発明に係るデータ処理装置50は、1つの測定現場20のみを有するデータ監視システム10で使用することも可能であり、その場合でも、測定データの監視の精度を維持しつつ、測定対象の稼働の効率を向上させることが可能となるものである。
次に、図23〜図25を参照し、本実施形態におけるデータ監視システム10の第2の例として、ダンスのステップにおける足の運動を表す測定データに対して、データ監視システム10を適用する場合の例を説明する。本例における測定データは、人体の所定の部位の運動を表す測定データの一例である。この場合、測定現場20は、例えば、ダンス教室または家庭等のダンスの練習場所であり、例えば、同一の練習場所に属する1または複数の個人が各測定現場20における測定対象である。この場合、測定機器21は、ダンスのステップを実行する個人の足に取り付けられた振動(加速度)センサであり、好ましくは、無線式の振動(加速度)センサである。この場合、データ監視装置30の入力部31は、無線受信機能を備えており、加速度センサから出力される測定データを、この無線受信機能を用いて受信するものである。
ここで、本例における測定現場20(練習場所)は、上述した例と同様に、複数の測定現場20が、様々な国、地域等に分散して存在するものであってもよい。尚、本例は、図1〜図22を参照して上述した第1の例と、データ監視システム10の構成及びその機能は同様のものであるため、重複する部分の説明は省略し、以下では、主として本例に固有の特徴について説明する。
図23には、ダンスのステップの一例が示されている。図示された(I)〜(VI)の符号は、このステップで実行される足の運びの順序に対応し、(I)から開始して(VI)で終了する足の運びが1サイクルに相当する。本例において、データ監視装置30の入力部31は、測定機器21から出力される測定データを、3msのサンプリング間隔で1ポイントから2500ポイントまで(すなわち、7.5s間)サンプリングし、さらに、運動の特徴をより明確に抽出するために、サンプリングされたデジタルデータに対してリアルタイムで実効値演算を実行するものとする。各測定現場20のデータ監視装置30の記憶部32には、このような測定データが複数サイクル分保存されることになる。
図24には、データ処理装置50の第1処理部62で作成された、第1平均値波形(m)と、既定の正数を1とした第1正側標準偏差波形(+1σ)及び第1負側標準偏差波形(−1σ)が示されている。また、図24に示された(I)〜(VI)の時間範囲は、それぞれ図23に示す足の運びに対応するとともに、本例における第1候補範囲(I)〜第6候補範囲(VI)である。
本例では、以上のような設定の下に、上述した第1の例と同様に、データ処理装置50において第2上限値波形及び第2下限値波形が作成され、これらの第2上限値波形及び第2下限値波形が各測定現場20における監視用上限値波形及び監視用下限値波形として用いられる。図25には、データ処理装置50の監視用波形作成部66で、第5候補範囲(V)に関連して定められた単独型監視用測定データ群から作成された、第2平均値波形(M)、及び既定の正数を1とした第2正側標準偏差波形(+1Σ)及び第2負側標準偏差波形(−1Σ)が表示されている。本例において、これらの第2正側標準偏差波形(+1Σ)及び第2負側標準偏差波形(−1Σ)が、それぞれ第2上限値波形及び第2下限値波形とされるものである。
本例におけるデータ監視システム10は、各測定現場20の(例えば、ダンスのステップの矯正を目的とする)測定データの監視において、上述した第1の例と同様の作用効果を奏する。尚、本例では、その測定対象の性質上、それぞれの測定現場20で取得される測定データの数は、例えば上記第1の例及び後述する第3の例と比較して小数であることが予想される一方、測定現場20として可能な場所は、世界中で膨大な数に上ることが考えられる。その意味で、データ処理装置50により、各測定現場20からの測定データを集約してそれぞれの測定現場20に共通の監視用上限値波形及び下限値波形を提供する本発明に係るデータ監視システム10は、本例においても有利に適用されるものである。
次に、図26及び図27を参照し、本実施形態におけるデータ監視システム10の第3の例として、ロボットのアームの動きの検査工程における測定データに対して、データ監視システム10を適用する場合の例を説明する。本例における測定データは、機器の作動に応じて時間変動する量を表す測定データの、上記第1の例とは異なる例の1つである。この場合、測定現場20は、例えば、測定対象のロボットを製造工場であってもよく、あるいは、使用のためにロボットを設置した場所であってもよい。
尚、本例は、図1〜図22を参照して上述した第1の例と、データ監視システム10の構成及びその機能は同様のものであるため、重複する部分の説明は省略し、以下では、主として本例に固有の特徴について説明する。
ここで、本例は、上述したように機器の作動に応じて時間変動する量の例ではあるが、対象とする測定データが可動要素の運動を表す測定データである点で、上記第2の例とも共通の特徴を備えるものである。その反映として、本例における測定機器21も、ロボットのアームの所定の位置に取り付けられた振動(加速度)センサであり、好ましくは、振動(無線式)の加速度センサである。この場合、データ監視装置30の入力部31は、無線受信機能を備えており、加速度センサから出力される測定データを、無線受信機能を用いて受信するものである。尚、本発明は、振動(加速度)センサの構成に依るものではないが、振動(加速度)センサは、例えば、ロボットのアームに取り付けられた圧電フィルムを巻き付けた細いピエゾ線を含むものであってもよい。
さらに、本例においても、データ監視装置30の入力部31は、測定機器21から出力される測定データをサンプリングするとともに、運動の特徴をより明確に抽出するために、サンプリングされたデジタルデータに対してリアルタイムで実効値演算を実行するものである。図26には、データ処理装置50の第1記憶部61に保存された測定された個々の測定データが、第1処理部62で作成された、第1平均値波形(m)と、第1候補範囲(I)及び第2候補範囲(II)とともに示されている。
本例では、以上のような設定の下に、上述した第1及び第2の例と同様に、データ処理装置50において第2上限値波形及び第2下限値波形が作成され、これらの第2上限値波形及び第2下限値波形が各測定現場20における監視用上限値波形及び監視用下限値波形として用いられる。図27には、データ処理装置50の監視用波形作成部66で、第2処理後測定データ群に基づいて、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、1以上のサイクルの測定データの、1以上のサイクルにわたる時点毎の最大値及び最小値を求め、得られた複数の時点の最大値に基づいて作成された第2上限値波形(MAX)、得られた複数の時点の最小値に基づいて作成された第2下限値波形(MIN)、第2処理後測定データ群の1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、1以上のサイクルの測定データの、1以上のサイクルにわたる時点毎の平均値を連ねてなる波形(M’)が示されている。
本例におけるデータ監視システム10は、各測定現場20の(ロボットのアームの運動の検査を目的とする)測定データの監視において、上述した第1の例と同様の作用効果を奏する。
10:データ監視システム、20:測定現場、21:測定機器、22:外部機器、23:外部機器、30:データ監視装置、31:入力部、32:記憶部、33:演算部、34:監視部、35:通信部、40:通信回線、50:データ処理装置、51:入力部、52:出力部、53:入出力管理部、61:第1記憶部、62:第1処理部、63:第2記憶部、64:第2処理部、65:第3記憶部、66:監視用波形作成部、67:第4記憶部、71:条件設定部、72:波形解析及び表示部、80:データ仕分け基準領域

Claims (17)

  1. 開始時点から終了時点までの1サイクルを繰り返すように時間変動する量の測定データを監視するためのデータ処理装置であって、第1処理部、第2処理部、条件設定部、監視用波形作成部、第1記憶部、第2記憶部、及び第3記憶部を含んでおり、
    前記第1記憶部は、複数サイクルの測定データを保存し、
    前記第1処理部は、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データに基づいて、1サイクルの時間範囲における第1上限値波形及び第1下限値波形を作成し、
    前記条件設定部は、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域内に、該2次元領域の一部である1以上のデータ仕分け基準領域を設定し、該データ仕分け基準領域のそれぞれに、前記データ仕分け基準領域内の1つの時点を特徴点として設定し、測定値の1つの値を仕分けレベルとして設定し、前記データ仕分け基準領域と前記仕分けレベルに応じて、前記特徴点を含む時間範囲として仕分け範囲を設定し、
    前記第1処理部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれについて、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データから、前記仕分け範囲のうち前記特徴点以前の範囲内に測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの交差点が存在する第1前側測定データ、及び、前記仕分け範囲のうち前記特徴点以後の範囲内に測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの交差点が存在する第1後側測定データ、及び、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの交差点が、前記仕分け範囲のうち前記特徴点の以前と以後の両方の範囲内に存在する第1両側測定データを選出し、選出された前記第1前側測定データ、前記第1後側測定データ、及び前記第1両側測定データを、前記第2記憶部に保存し、
    前記第1処理部は、さらに、前記第2記憶部に保存された測定データから、前記第1上限値波形及び前記第1下限値波形に基づいて異常と判定される測定データを除去し、残りの測定データからなる第1処理後測定データ群を作成して、該第1処理後測定データ群を前記第2記憶部に保存し、
    前記第2処理部は、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データから、前記第1処理後測定データ群に基づいて測定データを選出し、該選出された測定データからなる第2処理後測定データ群を作成して、該第2処理後測定データ群を前記第3記憶部に保存し、
    前記監視用波形作成部は、前記第1記憶部に保存された複数の測定データが取得された期間以後に取得される測定データを監視するために、前記第2処理後測定データ群に基づいて、1サイクルの時間範囲の1以上の第2上限値波形及び1以上の第2下限値波形を作成する、ように構成されることを特徴とするデータ処理装置。
  2. 前記第1記憶部に保存される測定データを外部から受け入れる入力部と、外部へ前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を送出する出力部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
  3. 前記入力部から受けいれられる測定データのそれぞれは、該測定データが前記入力部に受け入れられた日時を表す日時情報とともに前記第1記憶部に保存され、
    前記第1処理部は、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データの、複数サイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた第1平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた第1正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた第1負側標準偏差波形とを作成し、
    前記条件設定部は、1サイクルの時間範囲内に設定された1以上の候補範囲のそれぞれについて、前記第1平均値波形の時間変動が所定の変動開始条件を満たす変動開始時点と、前記第1平均値波形の時間変動が所定の変動終了条件を満たす変動終了時点とを決定し、前記変動開始時点及び前記変動終了時点と、前記第1平均値波形、前記第1正側標準偏差波形、及び前記第1負側標準偏差波形の少なくとも1つとに基づいて、前記データ仕分け基準領域を設定し、前記データ仕分け基準領域内に、前記変動開始時点から前記変動終了時点までの各時点の複数サイクルにわたる測定データの値の分布及び当該測定データの値を前記日時情報に従って配列した時系列パターンの一方または両方に少なくとも部分的に基づいて、前記特徴点及び前記仕分けレベルを設定し、
    前記データ仕分け基準領域は、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、前記変動開始時点における前記第1負側標準偏差波形の値と前記変動終了時点における前記第1負側標準偏差波形の値を直線状に結ぶ下辺と、前記変動開始時点における前記第1正側標準偏差波形の値と前記変動終了時点における前記第1正側標準偏差波形の値を直線状に結ぶ上辺との間の領域、または、前記変動開始時点における前記第1正側標準偏差波形の値と前記変動終了時点における前記第1正側標準偏差波形との値とを直線状に結ぶ下辺と、前記第1正側標準偏差波形からなる上辺との間の領域、または、前記変動開始時点における前記第1平均値波形の値と前記変動終了時点における前記第平均値波形との値とを直線状に結ぶ下辺と、前記第1平均値波形からなる上辺との間の領域、または、前記変動開始時点における前記第1負側標準偏差波形の値と前記変動終了時点における前記第1負側標準偏差波形との値とを直線状に結ぶ下辺と、前記第1負側標準偏差波形からなる上辺との間の領域を含み、
    前記仕分け範囲は、1サイクルの時間範囲と測定値の全範囲とで構成される2次元領域において、前記データ仕分け基準領域の境界上で測定値方向の値が前記仕分けレベルをとる2つの時点の間の時間範囲である、ように構成されることを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
  4. 前記第1処理部は、前記第1正側標準偏差波形を前記第1上限値波形とし、前記第1負側標準偏差波形を前記第1下限値波形とすることを特徴とする請求項3に記載のデータ処理装置。
  5. 前記データ処理装置は、第4記憶部をさらに含み、
    前記第2処理部は、前記第1処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、選択した1以上の前記データ仕分け基準領域毎に、前記第1前側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以前の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値から該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの前側時間閾値範囲を設定し、
    前記第1処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、前記選択した1以上の前記データ仕分け基準領域毎に、前記第1後側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以後の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値から該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの後側時間閾値範囲を設定し、
    前記前側時間閾値範囲及び前記後側時間閾値範囲が設定された前記データ仕分け基準領域から選択した1以上の前記データ仕分け基準領域毎に、前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データのうち、前記前側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する第2前側測定データ、前記後側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する第2後側測定データ、及び、前記前側時間閾値範囲内と前記後側時間閾値範囲内の両方に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの交差点が存在する第2両側測定データを選出し、全ての前記第2前側測定データ、前記第2後側測定データ、及び前記第2両側測定データを前記第3記憶部に保存し、
    前記第2処理部は、さらに、前記第3記憶部に保存された測定データから、前記第1上限値波形及び前記第1下限値波形に基づいて異常と判定される測定データを除去し、残りの測定データからなる第2処理後測定データ群を作成し、該第2処理後測定データ群を前記第3記憶部に保存し、
    前記第2処理部は、さらに、前記前側時間閾値範囲及び前記後側時間閾値範囲が設定された前記データ仕分け基準領域から選択した1以上の前記データ仕分け基準領域毎に、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データに対応する波形が前記仕分け範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の平均値と標準偏差を算出し、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値から該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値までの両側時間閾値範囲を設定し、前記第2処理後測定データ群から、前記両側時間閾値範囲内に測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データを選出し、該選出した測定データを前記第3記憶部に保存し、
    前記監視用波形作成部は、前記第2処理後測定データ群に含まれる測定データのうち、1以上の前記データ仕分け基準領域の任意の組合せに関連する前記第2両側測定データを選出して該選出された測定データからなる監視用測定データ群を作成し、該監視用測定データ群を前記第4記憶部に保存し、前記第4記憶部に保存された前記監視用測定データ群に基づいて、前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を作成する、ように構成されることを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
  6. 前記監視用波形作成部は、前記監視用測定データ群に含まれる1以上の測定データの1以上のサイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた第2平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた第2正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた第2負側標準偏差波形とを作成し、前記第2正側標準偏差波形を前記第2上限値波形とし、前記第2負側標準偏差波形を前記第2下限値波形とする、ことを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
  7. 前記監視用測定データ群は、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データのうち、選択した1つの前記データ仕分け基準領域に関連する前記両側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる単独型監視用測定データ群、及び、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データのうち、選択した複数の前記データ仕分け基準領域に関連する前記両側時間閾値範囲の少なくとも1つの範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる和型監視用測定データ群、及び、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データのうち、選択した複数の前記データ仕分け基準領域に関連する全ての前記両側時間閾値範囲内に、測定データに対応する波形と前記仕分けレベルとの所定の時間変動条件を満たす交差点が存在する測定データからなる積型監視用測定データ群からなり、
    前記監視用波形作成部は、前記単独型監視用測定データ群、前記和型監視用測定データ群、及び前記積型監視用測定データ群のそれぞれについて、前記第2平均値波形、前記第2正側標準偏差波形、及び前記第2負側標準偏差波形を作成し、作成された複数の前記第2正側標準偏差波形のうちの少なくとも1つを前記第2上限値波形とし、作成された複数の前記第2負側標準偏差波形のうちの少なくとも1つを前記第2下限値波形とする、ことを特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
  8. 前記第2処理部は、選択した1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれについて、前記前側時間値範囲及び前記後側時間閾値範囲を、前記前側時間閾値範囲及び後側時間閾値範囲を設定する際に使用される前記既定の正数を複数個用いて、複数の前記既定の正数に応じた複数の段階毎に設定し、
    前記監視用波形作成部は、前記監視用測定データ群を、1以上の前記データ仕分け基準領域の任意の組合せについて、前記複数の段階毎に作成して前記第4記憶部に保存し、該第4記憶部に保存された前記監視用測定データ群に基づいて、前記複数の段階毎に前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を作成する、ように構成されることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
  9. 時間方向を横軸、測定データの測定値方向を縦軸として測定データを表示可能に構成された波形解析及び表示部をさらに含み、
    前記波形解析及び表示部は、1以上の前記候補範囲のそれぞれに関して、前記候補範囲内の前記第1平均値波形、前記第1正側標準偏差波形、及び前記第1負側標準偏差波形と、前記候補範囲内の任意の時点を通り、自動的にまたは操作者からの入力により時間方向に移動可能な縦軸平行線とを表示可能に構成され、
    前記波形解析及び表示部は、さらに、前記縦軸平行線上の時点における前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データの値の分布図及び当該複数サイクルの測定データの値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、算出された当該複数サイクルにわたる値の平均値及び標準偏差に基づいて、該平均値を通る横軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る横軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る横軸平行線を表示可能に構成され、
    前記波形解析及び表示部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれに関して、前記第1前側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以前の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の分布図及び当該時間の値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、当該時間の値の平均値と標準偏差に基づいて、該平均値を通る縦軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る縦軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る縦軸平行線を表示可能に構成され、
    前記波形解析及び表示部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれに関して、前記第1後側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以後の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の分布図及び当該時間の値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、当該時間の値の平均値と標準偏差に基づいて、該平均値を通る縦軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る縦軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る縦軸平行線を表示可能に構成され、
    前記波形解析及び表示部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれに関して、前記第1後側測定データ、または、前記第1前側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データと前記第1後側測定データのうち所定の時間変動条件を満たす測定データからなる測定データについて、測定データに対応する波形が前記仕分け範囲のうち前記特徴点以後の範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の分布図及び当該時間の値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、当該時間の値の平均値と標準偏差に基づいて、該平均値を通る縦軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る縦軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る縦軸平行線を表示可能に構成され、
    前記波形解析及び表示部は、さらに、1以上の前記データ仕分け基準領域のそれぞれに関して、前記第2処理後測定データ群に含まれる前記第2両側測定データに対応する波形が前記仕分け範囲内で前記仕分けレベルと交差する時間の値の分布図及び当該時間の値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成される、ことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
  10. 前記条件設定部は、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、前記第2処理後測定データに含まれる1以上のサイクルの測定データの、1以上のサイクルにわたる時点毎の測定値の平均値及び標準偏差を算出し、算出された複数の時点の平均値を連ねた確認用平均値波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を加算した値を連ねた確認用正側標準偏差波形と、複数の時点のそれぞれの平均値に対して当該時点の標準偏差の既定の正数倍を減算した値を連ねた確認用負側標準偏差波形とを作成し、設定された前記データ仕分け基準領域毎に、前記変動開始時点から前記変動終了時点までの各時点の1以上のサイクルにわたる測定データの値の分布及び当該測定データの値を前記日時情報に従って配列した時系列パターンの一方または両方に少なくとも部分的に基づいて、確認用特徴点を設定するように構成され、
    前記波形解析及び表示部は、前記候補範囲内の任意の時点を通る前記縦軸平行線上の時点における、前記第2処理後測定データに含まれる1以上のサイクルの測定データの値の分布図及び当該1以上のサイクルの測定データの値を前記日時情報に従って配列した時系列パターン図を表示可能に構成され、算出された当該1以上のサイクルにわたる値の平均値及び標準偏差に基づいて、該平均値を通る横軸平行線、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を加算した値を通る横軸平行線、及び、該平均値に対して該標準偏差の既定の正数倍を減算した値を通る横軸平行線を表示可能に構成される、ことを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
  11. 前記監視用波形作成部は、前記第2処理後測定データ群に基づいて、1サイクルの時間範囲内の複数の時点において、1以上のサイクルの測定データの、1以上のサイクルにわたる時点毎の最大値及び最小値を求め、得られた複数の時点の最大値に基づいて前記第2上限値波形を作成し、得られた複数の時点の最小値に基づいて前記第2下限値波形を作成する、ように構成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
  12. 前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データは、複数の異なる測定対象に対して同一の量を測定して得られる測定データを含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
  13. 前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データは、機器の作動に応じて時間変動する量を表す測定データを含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
  14. 前記第1記憶部に保存された複数サイクルの測定データは、人体の所定の部位の運動を表す測定データを含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
  15. 複数の測定現場と、請求項2から10および請求項2を引用する請求項11から14のいずれか1項に記載のデータ処理装置と、前記測定現場と前記データ処理装置とを接続する通信回線とを含むデータ監視システムであって、
    それぞれの前記測定現場は、開始時点から終了時点までの1サイクルを繰り返すように時間変動する量の測定データを測定対象から取得する測定機器と、該測定機器に対応するデータ監視装置とを含み、それぞれの前記測定現場で取得される測定データは、全ての前記測定現場で同一の量を測定して得られる測定データであり、
    前記データ監視装置は、対応する前記測定機器からの測定データを受け入れる入力部と、複数サイクルの測定データが保存可能な記憶部と、1サイクルの時間範囲の監視用上限値波形及び監視用下限値波形に基づいて、対応する前記測定機器からの測定データを監視する監視部とを含み、
    複数の前記測定現場に含まれる前記データ監視装置のそれぞれは、複数サイクルの測定データを、前記通信回線を介して前記データ処理装置に送信し、
    前記データ処理装置は、1以上の前記データ監視装置から受信した前記複数サイクルの測定データに基づいて得られた前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を、前記出力部から前記通信回線を介して複数の前記測定現場に含まれる前記データ監視装置のそれぞれに送信し、
    複数の前記測定現場に含まれる前記データ監視装置の前記監視部は、前記データ処理装置から受信した前記第2上限値波形及び前記第2下限値波形を、その受信以後に取得される測定データを監視するための前記監視用上限値波形及び前記監視用下限値波形として使用する、ように構成されることを特徴とするデータ監視システム。
  16. 前記データ監視装置は、該データ監視装置の前記記憶部に保存された複数サイクルの測定データに基づいて、1サイクルの時間範囲の上限値波形及び下限値波形を作成する演算部をさらに含み、前記監視部は、前記演算部で作成された上限値波形及び下限値波形を、それぞれ前記監視用上限値波形及び前記監視用下限値波形として使用可能に構成されることを特徴とする請求項15に記載のデータ監視システム。
  17. 前記データ監視装置に接続された外部機器をさらに含み、
    前記外部機器は警報装置であり、前記データ監視装置は、対応する前記測定機器から取得される測定データが、前記監視用上限値波形及び前記監視用下限値波形に基づいて異常と判定される場合、前記警報装置に警報を発生させるように構成されることを特徴とする請求項15または16に記載のデータ監視システム。
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