JP6616747B2 - 蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法、及び該方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムを用いた光半導体装置の製造方法 - Google Patents
蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法、及び該方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムを用いた光半導体装置の製造方法 Download PDFInfo
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Description
前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を0℃以上60℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下に加熱することで行う蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法を提供する。
本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法は、(A)熱硬化性樹脂、(B)蛍光体、及び(C)溶剤を含む蛍光体含有樹脂組成物をサポートフィルム上にコーティングした後、加熱により前記(C)成分を揮散させて蛍光体含有波長変換フィルムを製造する方法であって、前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を0℃以上60℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下に加熱することで行う蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法である。
本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法に用いられる蛍光体含有樹脂組成物は(A)熱硬化性樹脂、(B)蛍光体、(C)溶剤、及び必要に応じてその他の添加成分、を均一に混合することで調製することができる。以下、本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物に含まれる各成分について、詳細に説明する。
本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物は、(A)成分として、熱硬化性樹脂を含む。
熱硬化性シリコーン樹脂としては、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及びヒドロシリル化触媒等を含有する付加硬化型シリコーン樹脂組成物から得られる樹脂、及びアルコキシシリル基及び/又はヒドロキシシリル基含有オルガノポリシロキサンや縮合触媒等を含有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物から得られる樹脂から選択される1種以上の樹脂を用いることが好ましい。作業性、保存性、透明性、電気特性などの諸物性の観点から付加硬化型シリコーン樹脂組成物が特に好ましい。
付加硬化型シリコーン樹脂組成物の場合には、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンが樹脂成分を構成する。
(A−A)実質的にR1SiO1.5単位、R2 2SiO単位、及びR3 aR4 bSiO(4−a−b)/2単位からなり(ここで、R1、R2、及びR3は独立にメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基を示し、R4はビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、上記R2 2SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個である構造を含む樹脂構造のオルガノポリシロキサン
(A−B)実質的にR1SiO1.5単位、R2 2SiO単位、及びR3 cHdSiO(4−c−d)/2単位からなり(ここで、R1、R2、及びR3は独立に上記の通りであり、cは0、1又は2で、dは1又は2で、かつc+dは2又は3である。)、上記R2 2SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個である構造を含む樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A−A)成分中のビニル基及びアリル基の合計量に対する(A−B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量
(A−C)白金族金属系触媒:硬化有効量
(A−A)成分の樹脂構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノポリシロキサンは、実質的にR1SiO1.5単位、R2 2SiO単位、及びR3 aR4 bSiO(4−a−b)/2単位からなり(ここで、R1、R2、及びR3は独立にメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基を示し、R4はビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、上記R2 2SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個、好ましくは10〜300個、より好ましくは15〜200個、更に好ましくは20〜100個である構造を部分的に含有する樹脂構造のオルガノポリシロキサンである。
ClMe2SiO(Me2SiO)m2SiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)m1(PhMeSiO)m2SiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)m1(Ph2SiO)m2SiMe2Cl、
HOMe2SiO(Me2SiO)m2SiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)m1(PhMeSiO)m2SiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)m1(Ph2SiO)m2SiMe2OH、
MeOMe2SiO(Me2SiO)m2SiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)m1(PhMeSiO)m2SiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)m1(Ph2SiO)m2SiMe2OMe
(ここで、m1=5〜150の整数(平均値)、m2=5〜300の整数(平均値))
等を例示することができる。
(A−B)成分のハイドロジェンポリシロキサンは、(A−A)成分と同様に樹脂構造状オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、実質的にR1SiO1.5単位、R2 2SiO単位、及びR3 cHdSiO(4−c−d)/2単位からなり(ここで、R1、R2、及びR3は上記の通りであり、cは0,1又は2で、dは1又は2で、かつc+dは2又は3である。)、上記R2 2SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個である構造を含む樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
この触媒成分は、本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物の付加硬化反応を促進させるために配合されるものであり、具体的には白金系、パラジウム系、ロジウム系のものが挙げられる。コスト等の見地から白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、H2PtCl6・nH2O,K2PtCl6,KHPtCl6・nH2O,K2PtCl4,K2PtCl4・nH2O,PtO2・nH2O,(nは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を例示することができる。これらの触媒は1種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、上述した成分以外にも、必要に応じて、それ自体公知の各種の添加剤を配合することができる。
本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン、ヒュームドアルミナ等の補強性無機充填剤、溶融シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、酸化亜鉛等の非補強性無機充填剤等を挙げることができる。これらの無機充填剤は、合計で、(A−A)及び(A−B)成分の合計量100質量部当り600質量部以下(0〜600質量部)の範囲で適宜配合することができる。
本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、接着性を付与するため、接着助剤を必要に応じて添加できる。接着助剤としては、シリコーン系なら例えば、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH2基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマー、下記一般式(2)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物及び/又はその加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)などが挙げられる。
(式中、g及びhは各々0〜50の範囲の正の整数であって、しかもg+hが2〜50、好ましくは4〜20を満足するものである。)
本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には必要に応じて適宜硬化制御剤を配合することができる。硬化制御剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物などが挙げられる。硬化制御剤の添加量は(A−A)成分100質量部当り、通常0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部である。
一方、本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法に好適な縮合硬化型シリコーン樹脂組成物として、以下の(A−E)、(A−F)、(A−G)成分を含む組成物が挙げられる。
(A−E)分子鎖末端が水酸基(ヒドロキシシリル基)又はアルコキシシリル基等の加水分解性基で封鎖されたオルガノポリシロキサン
(A−F)ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上有するシランもしくはその部分加水分解縮合物
(A−G)縮合触媒
(A−E)成分は、分子鎖末端が水酸基又は加水分解性基で封鎖されたオルガノポリシロキサンである。また、(A−E)成分の25℃における粘度は100〜500,000mPa・s、特に500〜100,000mPa・sであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンとしては、α,ω−ジヒドロキシ(又はジオルガノオキシ)−ジオルガノポリシロキサンが例示される。
(A−F)成分の1分子中に少なくとも3個の珪素原子結合加水分解性基を含有するシランもしくはその部分加水分解縮合物(即ち、少なくとも1個、好ましくは2個以上の加水分解性基が残存するオルガノポリシロキサン)は硬化剤として作用する成分である。
また、(A−G)成分の縮合触媒は任意の成分であり、上記シラン又はその部分加水分解縮合物が、例えば、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を有する場合には、使用しなくてもよい。このような縮合触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)等の有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物、及びその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、硝酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;グアニジル基含有有機珪素化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
熱硬化性エポキシ樹脂は、通常、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を含む組成物からなる。この種の組成物の場合には、エポキシ樹脂と硬化剤が樹脂成分を構成する。
熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂とは、樹脂成分として、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含む組成物から得られる樹脂である(例えば、特開2011−74359号公報)。これらの樹脂組成物は、硬化により相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を形成する。このIPNは化学結合によって相互に連結したこれら2つの樹脂材料に由来しており、それゆえにIPN構造の形成なしに作られた単なる2つの混合物と比較して優れた性質(耐磨耗性、靭性など)を有するものである。
本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物は、(B)成分として蛍光体を含む。蛍光体は、公知の蛍光体であればいずれのものであってもよい。窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換する蛍光体であればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系の元素により、主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属硫化物蛍光体、希土類硫化物蛍光体、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機蛍光体及び有機錯体蛍光体、Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体等から選ばれるいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を挙げることができるが、これに限定されない。
また、本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物は、(C)成分として溶剤を含む。溶剤として使用する有機溶媒は特に限定されないが、例えば、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒;オクタメチルシクロシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン系等が挙げられる。また、シクロヘキサノン、セロソルブアセテート、ブチロセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、シクロヘキサノール、ジグライム、トリグライム等の溶剤が使用できる。これらの溶剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法に用いられる蛍光体含有樹脂組成物には、フィルム強度向上、製膜特性改善等を目的に任意成分として熱可塑性樹脂を添加することができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、鎖状ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、メチルセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアリレート類、ポリサルフォン類、フッ素樹脂、TPX(ポリ−4−メチルペンテン−1)、透明フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、脂環式オレフィン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー類、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー類、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー類などが挙げられる。その添加量は、熱硬化性樹脂100質量部に対し、5〜100質量部である。添加量が5質量部以上であれば、上記フィルム強度向上等の効果が得られ、100質量部以下であれば、加熱時間の長時間化に伴う生産性の低下やサポートフィルムへのダメージ等が発生しない。また、耐熱性の低下がおきないため、蛍光体含有波長変換フィルムとしての長期信頼性を得ることができる。
本発明において熱硬化性シリコーン樹脂を用いた蛍光体含有波長変換フィルムを製造するには、例えば、上記のように調製した蛍光体含有樹脂組成物をサポートフィルム(剥離フィルム)上に、チャンバードクターコーター、一本ロールキスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、リバースロールコーター、正回転ロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーター等のコーターを用い、塗布(コーティング)加工する。
ついで、蛍光体含有樹脂組成物(熱硬化性樹脂塗工液)が含有する溶剤(即ち、(C)成分)を加熱により揮散させ除去する。このとき、本発明では、蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下、特に好ましくは40℃を超え80℃以下に加熱・乾燥する。加熱温度が40℃未満では硬化時間が長くなり生産性が劣る。また、硬化不良となりやすいなどの欠点が発現するため好ましくない。一方、120℃を超えると、サポートフィルムの温度制御が困難になったり、サポートフィルムに凹凸が発生し、蛍光体含有波長変換フィルムの厚みのばらつき要因となったりする。
また、本発明では、上記方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムで光半導体素子を封止する光半導体装置の製造方法を提供する。
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A1)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:27mol、ClMe2SiO(Me2SiO)20(Ph2SiO)10SiMe2Cl:1mol、MeViSiCl2:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A1)を合成した。この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMe2O−(Me2SiO)20(Ph2SiO)10−SiMe2O2/2]で表される構造の構成比が、式:[PhSiO3/2]0.27[−SiMe2O−(Me2SiO)20−(Ph2SiO)10−SiMe2O2/2]0.01[MeViSiO2/2]0.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は64,000、融点は65℃であった。
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B1)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:27mol、ClMe2SiO(Me2SiO)20(Ph2SiO)10SiMe2Cl:1mol、MeHSiCl2:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B1)を合成した。この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMe2O−(Me2SiO)20−(Ph2SiO)10−SiMe2O2/2]で表される構造の構成比が、式:[PhSiO3/2]0.27[−SiMe2O−(Me2SiO)20−(Ph2SiO)10−SiMe2O2/2]0.01[MeHSiO2/2]0.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は62,000、融点は60℃であった。
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A2)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:27mol、ClMe2SiO(Me2SiO)33SiMe2Cl:5mol、MeViSiCl2:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A2)を合成した。この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMe2O−(Me2SiO)33−SiMe2O2/2]で表される構造の構成比が、式:[PhSiO3/2]0.27[−SiMe2O−(Me2SiO)33−SiMe2O2/2]0.05[MeViSiO2/2]0.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は68,000、融点は50℃であった。
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B2)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:27mol、ClMe2SiO(Me2SiO)33SiMe2Cl:5mol、MeHSiCl2:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B2)を合成した。この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMe2O−(Me2SiO)33−SiMe2O2/2]で表される構造の構成比が、式:[PhSiO3/2]0.27[−SiMe2O−(Me2SiO)33−SiMe2O2/2]0.05[MeHSiO2/2]0.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は65,000、融点は48℃であった。
<蛍光体含有樹脂組成物−1の調製>
合成例1のビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A1)50質量部、合成例2のヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B1)50質量部、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.1質量部、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液0.1質量部、YAG系蛍光体(平均粒径18μm、最大粒径35μm)100質量部及び溶剤としてシクロヘキサノン10質量部を配合した。配合後更に60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく攪拌し、付加硬化型シリコーン樹脂を含む蛍光体含有樹脂組成物−1を調製し、常温まで冷却し、保存した。
得られた蛍光体含有樹脂組成物−1を、フィルムコーター((株)テクノスマート製)にて厚さ200μmのPET製サポートフィルム上にコーティングし、日本ガイシ(株)製波長制御システム付き試験機で蛍光体含有樹脂組成物−1を50℃/3分間加熱・乾燥して、厚さ50μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。なお、サポートフィルムは加熱・乾燥工程中、非コーティング面から水冷して40℃に保持した。
<蛍光体含有樹脂組成物−2の調製>
配合量を、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液0.2質量部、YAG系蛍光体(平均粒径18μm、最大粒径35μm)350質量部、シクロヘキサノン15質量部に変更した以外は実施例1と同様な配合条件で配合した。配合後更に60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく攪拌し、付加硬化型シリコーン樹脂を含む蛍光体含有樹脂組成物−2を調製し、常温まで冷却し、保存した。
得られた蛍光体含有樹脂組成物−2を、フィルムコーター((株)テクノスマート製)にて厚さ400μmのPET製サポートフィルム上にコーティングし、日本ガイシ(株)製波長制御システム付き試験機で蛍光体含有樹脂組成物−2を50℃/5分間加熱・乾燥して、厚さ80μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。実施例1と同様に、サポートフィルムは加熱・乾燥工程中、非コーティング面から水冷して、40℃に保持した。
<蛍光体含有樹脂組成物−3の調製>
合成例3のビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A2)50質量部、合成例4のヒドロシリル基含有樹脂(A−B2)50質量部、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.1質量部、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液0.1質量部、YAG系蛍光体(平均粒径18μm、最大粒径35μm)60質量部及び溶剤としてシクロヘキサノン8質量部を配合した。配合後更に60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく攪拌し、付加硬化型シリコーン樹脂を含む蛍光体含有樹脂組成物−3を調製し、常温まで冷却し、保存した。
得られた蛍光体含有樹脂組成物−3をフィルムコーター((株)テクノスマート製)にて厚さ200μmのPET製サポートフィルム上にコーティングし、日本ガイシ(株)製波長制御システム付き試験機で蛍光体含有樹脂組成物−3を50℃/3分間加熱・乾燥して、厚さ40μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。サポートフィルムは加熱・乾燥工程中、非コーティング面から水冷して30℃に保持した。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1において蛍光体含有樹脂組成物−1を加熱・乾燥する条件を、80℃/3分間に変更し、加熱・乾燥工程中にサポートフィルムを非コーティング面から水冷して30℃に保持する以外は実施例1と同様にして蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
<蛍光体含有樹脂組成物−4の調製>
エポキシ樹脂(TEPIC−S)45質量部、硬化剤(酸無水物系;リカシッドMH)55質量部(エポキシ基/酸無水物基のモル比=1.4)、酸化防止剤(亜リン酸トリフェニル)3質量部、及び触媒(2E4MZ)1質量部を計量し、プラネタリーミキサーに入れ、80℃で10時間混合反応させた。得られた反応生成物をメチルエチルケトン10質量部に溶解して、エポキシ樹脂溶解品を調製し、ついでYAG系蛍光体(平均粒径18μm、最大粒径40μm)400質量部を添加し、混合することでエポキシ樹脂を含む蛍光体含有樹脂組成物−4を調製した。この蛍光体含有樹脂組成物−4は可塑性の固体であった。
・エポキシ樹脂:トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアネート(商品名:TEPIC−S、日産化学(株)製)
・硬化剤:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(商品名:リカシッドMH、新日本理 化(株)製)
・酸化防止剤:亜リン酸トリフェニル(和光純薬(株)製)
・触媒:2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ:四国化成(株)製)
得られた蛍光体含有樹脂組成物−4を、フィルムコーター((株)テクノスマート製)にて厚さ200μmのフッ素樹脂製ETFE製サポートフィルム上にコーティングし、日本ガイシ(株)製波長制御システム付き試験機で蛍光体含有樹脂組成物−4を80℃/5分間加熱・乾燥して、厚さ50μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。加熱・乾燥工程中、サポートフィルムを非コーティング面から実施例1と同様に、水冷して40℃に保持した。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1において蛍光体含有樹脂組成物−1を加熱・乾燥する条件を、120℃/3分間に変更し、加熱・乾燥工程中にサポートフィルムを非コーティング面から水冷して60℃に保持する以外は実施例1と同様にして蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1において蛍光体含有樹脂組成物−1を加熱・乾燥する条件を、40℃/20分間に変更し、加熱・乾燥工程中にサポートフィルムを非コーティング面から水冷して0℃に保持する以外は実施例1と同様にして蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1で調製した蛍光体含有樹脂組成物−1を用い、以下の加熱・乾燥条件で蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1で調製した蛍光体含有樹脂組成物−1を用い、以下の加熱・乾燥条件で蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
未硬化の蛍光体含有波長変換フィルムを、主発光ピークが460nmのInGaN半導体を用いたLEDチップが搭載されたCOB(Chip On Board)基板にサポートフィルムを剥がして貼り合わせ、120℃/30分加熱して硬化させた。
*2 蛍光体分散性;良い ○、悪い △、非常に悪い ×
*3 サポートフィルムとの剥離性;剥離軽い ○、剥離重い △、剥離非常に重い ×
*4 表面平滑性;蛍光体含有波長変換フィルムの表面凹凸;良い ○、悪い △、非常に悪い ×
Claims (6)
- (A)熱硬化性樹脂、(B)蛍光体、及び(C)溶剤を含む蛍光体含有樹脂組成物をサポートフィルム上にコーティングした後、加熱により前記(C)成分を揮散させて蛍光体含有波長変換フィルムを製造する方法であって、
前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を0℃以上60℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下に加熱することで行い、
前記サポートフィルムの温度の保持は、前記サポートフィルムの前記蛍光体含有樹脂組成物をコーティングした面とは逆の面を水冷することで行うことを特徴とする蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。 - 前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を10℃以上40℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃を超え80℃以下に加熱することで行うことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
- 前記(C)成分の揮散は、前記蛍光体含有樹脂組成物を赤外線照射により加熱することで行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
- 前記(A)成分として、熱硬化性シリコーン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、及び熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂から選択される1種あるいは2種以上の熱硬化性樹脂を用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
- 前記熱硬化性シリコーン樹脂として、付加硬化型シリコーン樹脂及び縮合硬化型シリコーン樹脂から選択される1種以上の樹脂を用いることを特徴とする請求項4に記載の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムで光半導体素子を封止することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
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