JP6616747B2 - 蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法、及び該方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムを用いた光半導体装置の製造方法 - Google Patents

蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法、及び該方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムを用いた光半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法、及び該方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムを用いた光半導体装置の製造方法に関する。特に、発光ダイオード(LED)等の光半導体素子のチップ表面に配置し硬化させて被覆することにより、LEDの青色光及び紫外光の波長を変換させることが可能な蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法に関する。
LEDの分野では、波長変換のために蛍光体を使用することが知られている(特許文献1)。シリコーン樹脂は耐光性に優れることからLED素子を封止、保護するための被覆材料として注目されている(特許文献2)。
また、白色LEDでは、蛍光体を分散させたシリコーン樹脂やエポキシ樹脂でLEDチップを被覆するなどの方法により、蛍光体をチップ近傍に分散させて青色光を擬似白色光に変換させている。一例として、熱硬化性樹脂に蛍光体を高充填し、均一分散させた蛍光体含有波長変換フィルムがある(特許文献3)。
蛍光体含有波長変換フィルムの製造は、一般的には熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂に蛍光体を混合した組成物に、溶剤を加えて塗工液を作製した後、これをコーティングロールなどでサポートフィルム上にコートし、加熱乾燥させることで行う。しかし、溶剤を効率よく揮散させるために温度を上げると、サポートフィルムの温度が軟化点以上となりサポートフィルムにたわみが生じる。その結果、蛍光体含有波長変換フィルム膜厚の均一性が損なわれることで色ずれの発生、サポートフィルムからの剥離性の低下など、収率や作業性の低下の問題が発生する。そのため、低粘度熱硬化性樹脂を活用し、溶剤非含有系での製造も検討されている。しかし、このような製造方法では強度の低下やチキソ性のコントロールが困難など作業性に難がある。また、熱可塑性樹脂のように温度依存性の大きい樹脂を使用した場合には、高温加熱による粘度低下に起因して蛍光体の沈降等の不均質化が発生するなどの問題がある。
特表2005−524737号公報 特開2010−202801号公報 特開2013−95914号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、溶剤を含有する組成物を用いた蛍光体含有波長変換フィルムの製造において、溶剤を揮散させる際の加熱で発生するサポートフィルムのたわみを抑えて、膜厚の均一性及びサポートフィルムからの剥離性に優れた蛍光体含有波長変換フィルムを製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、(A)熱硬化性樹脂、(B)蛍光体、及び(C)溶剤を含む蛍光体含有樹脂組成物をサポートフィルム上にコーティングした後、加熱により前記(C)成分を揮散させて蛍光体含有波長変換フィルムを製造する方法であって、
前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を0℃以上60℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下に加熱することで行う蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法を提供する。
このような方法であれば、溶剤を揮散させる際の加熱で発生するサポートフィルムのたわみを抑えて、膜厚の均一性及びサポートフィルムからの剥離性に優れた蛍光体含有波長変換フィルムを製造することができる。
また、前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を10℃以上40℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃を超え80℃以下に加熱することで行うことが好ましい。
このような温度範囲であれば、熱硬化性樹脂の硬化時間が長期化することによる生産性の低下や硬化不良などを防ぐことができ、かつ、サポートフィルムにたわみが生じることにより膜厚の均一性が低下することも防ぐことができる。
また、前記(C)成分の揮散は、前記蛍光体含有樹脂組成物を赤外線照射により加熱することで行うことが好ましい。
このように、赤外線照射であれば、サポートフィルムの厚さに依存せず溶剤を効率よく揮散させることができる。
また、前記サポートフィルムの温度の保持は、前記サポートフィルムの前記蛍光体含有樹脂組成物をコーティングした面とは逆の面を空冷又は水冷することで行うことが好ましい。
このような方法であれば、容易にサポートフィルムの温度を好ましい範囲に保持することができる。
また、前記(A)成分として、熱硬化性シリコーン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、及び熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂から選択される1種あるいは2種以上の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法では、例えばこのような熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。
更に、前記熱硬化性シリコーン樹脂として、付加硬化型シリコーン樹脂及び縮合硬化型シリコーン樹脂から選択される1種以上の樹脂を用いることが好ましい。
これらの熱硬化性シリコーン樹脂を用いることで、特に長期耐熱性に優れた蛍光体含有波長変換フィルムを製造することができる。
また、本発明では、前記方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムで光半導体素子を封止する光半導体装置の製造方法を提供する。
このように、本発明の方法で製造された蛍光体含有波長変換シートを用いて、光半導体素子を封止することで、高信頼性の光半導体装置を容易に製造することができる。
以上説明したように、本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法であれば、溶剤を揮散させる際に、サポートフィルムを60℃以下に保持してサポートフィルムへの熱負荷を抑えることで、サポートフィルムのたわみを防ぎながら、溶剤を比較的低温で効率よく揮散させることができる。これにより、膜厚の均一性に優れ、凹凸がない(即ち、色ずれが起こりにくい)蛍光体含有波長変換フィルムを製造することができる。また、サポートフィルムのたわみを防止することで、サポートフィルムからの剥離性も優れたものとすることができるため、蛍光体含有波長変換フィルム製造における作業性や収率も向上させることができる。また、溶剤の揮散に適した波長の熱源(例えば、赤外線)を用いることで効率よく溶剤を揮散させられることから、溶剤の揮散による粘度変化に起因する蛍光体の沈降等の不均質化が起こりにくい。従って、蛍光体が均質・均一に分散し、色ずれが抑制され、演色性が良好な蛍光体含有波長変換フィルムが得られる。また、このような本発明の方法で製造した蛍光体含有波長変換フィルムで光半導体素子を封止する本発明の光半導体装置の製造方法であれば、高信頼性の光半導体装置を容易に製造することができる。
本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法におけるサポートフィルムの温度を保持する方法の一例を示す概略図である。
上述のように、溶剤を含有する組成物を用いた蛍光体含有波長変換フィルムの製造において、溶剤を揮散させる際の加熱で発生するサポートフィルムのたわみを抑えて、膜厚の均一性及びサポートフィルムからの剥離性に優れた蛍光体含有波長変換フィルムを製造する方法の開発が求められていた。
そこで、本発明者らは蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、サポートフィルムへの熱負荷を抑えながら、溶剤を低温で揮散させることで、膜厚の均一性及びサポートフィルムからの剥離性に優れた蛍光体含有波長変換フィルムを製造できることを見いだし、本発明を完成させた。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、「常温」とは15〜30℃の温度を意味し、特には20℃であることを意味する。また本明細書中、Phはフェニル基、Meはメチル基、Etはエチル基、Viはビニル基を示す。
本発明で製造する蛍光体含有波長変換フィルムは、熱硬化性樹脂に蛍光体を均一分散させたフィルム形状のものであり、未硬化状態において常温で可塑性の固体もしくは半固体の状態にあるフィルムである。本明細書において「半固体」とは可塑性を有し、特定の形状に成形されたときに少なくとも1時間、好ましくは8時間以上その形状を保持し得る物質の状態をいう。したがって、例えば、常温で非常に高い粘度を有する流動性物質が本質的には流動性を有するものの、非常に高い粘度のために少なくとも1時間という短時間では付与された形状に変化(即ち、くずれ)を肉眼では認めることができないとき、その物質は半固体の状態にあると定義される。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法>
本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法は、(A)熱硬化性樹脂、(B)蛍光体、及び(C)溶剤を含む蛍光体含有樹脂組成物をサポートフィルム上にコーティングした後、加熱により前記(C)成分を揮散させて蛍光体含有波長変換フィルムを製造する方法であって、前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を0℃以上60℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下に加熱することで行う蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法である。
本発明は、(C)溶剤を揮散するべく、蛍光体含有樹脂組成物を加熱する時にサポートフィルムを冷却しつつ行うので、サポートフィルムがたわむことなく蛍光体含有樹脂組成物を加熱できる結果、膜厚の均一性及びサポートフィルムからの剥離性に優れた蛍光体含有波長変換フィルムを製造できる。
[蛍光体含有樹脂組成物の調製]
本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法に用いられる蛍光体含有樹脂組成物は(A)熱硬化性樹脂、(B)蛍光体、(C)溶剤、及び必要に応じてその他の添加成分、を均一に混合することで調製することができる。以下、本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物に含まれる各成分について、詳細に説明する。
((A)熱硬化性樹脂)
本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物は、(A)成分として、熱硬化性樹脂を含む。
(A)成分の熱硬化性樹脂としては、熱硬化性シリコーン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、及び熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂から選択される1種あるいは2種以上の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。なかでも、長期耐熱性の観点から熱硬化性シリコーン樹脂が特に好ましい。
≪熱硬化性シリコーン樹脂≫
熱硬化性シリコーン樹脂としては、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及びヒドロシリル化触媒等を含有する付加硬化型シリコーン樹脂組成物から得られる樹脂、及びアルコキシシリル基及び/又はヒドロキシシリル基含有オルガノポリシロキサンや縮合触媒等を含有する縮合硬化型シリコーン樹脂組成物から得られる樹脂から選択される1種以上の樹脂を用いることが好ましい。作業性、保存性、透明性、電気特性などの諸物性の観点から付加硬化型シリコーン樹脂組成物が特に好ましい。
−付加硬化型シリコーン樹脂組成物−
付加硬化型シリコーン樹脂組成物の場合には、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンが樹脂成分を構成する。
本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法に好適な付加硬化型シリコーン樹脂組成物として、以下の(A−A)、(A−B)、(A−C)成分を含む組成物が挙げられる。
(A−A)実質的にRSiO1.5単位、R SiO単位、及びR SiO(4−a−b)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは独立にメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基を示し、Rはビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、上記R SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個である構造を含む樹脂構造のオルガノポリシロキサン
(A−B)実質的にRSiO1.5単位、R SiO単位、及びR SiO(4−c−d)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは独立に上記の通りであり、cは0、1又は2で、dは1又は2で、かつc+dは2又は3である。)、上記R SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個である構造を含む樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A−A)成分中のビニル基及びアリル基の合計量に対する(A−B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量
(A−C)白金族金属系触媒:硬化有効量
上記の付加硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化して得られる硬化物層は、硬質状樹脂でありながら可撓性に優れ、表面のタックが少なく、有機溶剤に対する溶解性に優れ、しかも従来の成型装置でも容易に成型可能であるという利点がある。
以下に、付加硬化型シリコーン樹脂組成物に含まれる各成分を詳細に説明する。
(A−A)樹脂構造のオルガノポリシロキサン
(A−A)成分の樹脂構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノポリシロキサンは、実質的にRSiO1.5単位、R SiO単位、及びR SiO(4−a−b)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは独立にメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基を示し、Rはビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、上記R SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個、好ましくは10〜300個、より好ましくは15〜200個、更に好ましくは20〜100個である構造を部分的に含有する樹脂構造のオルガノポリシロキサンである。
なお、上記のR SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個である構造とは、下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン連鎖構造を意味する。
Figure 0006616747
(式中、mは5〜300の整数である。)
(A−A)成分のオルガノポリシロキサン中に存在するR SiO単位全体の少なくとも一部、好ましくは50モル%以上(50〜100モル%)、特には80モル%以上(80〜100モル%)が、分子中で上記一般式(1)で表される連鎖構造を形成していることが好ましい。
(A−A)成分の分子中においては、R SiO単位はポリマー分子を直鎖状に延伸するように働き、RSiO1.5単位はポリマー分子を分岐、あるいは三次元網状化させる。R SiO(4−a−b)/2単位の中のR(ビニル基又はアリル基)は、後述する(A−B)成分が有するR SiO(4−a−b)/2単位中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)とヒドロシリル化付加反応することにより付加硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化させる役割を果たす。
(A−A)成分を構成する必須の3種のシロキサン単位のモル比、即ち、RSiO1.5単位:R SiO単位:R SiO(4−a−b)/2単位のモル比は、90〜24:75〜9:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、合計で100)であることが得られる硬化物の特性上好ましい。
また、この(A−A)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、3,000〜1,000,000、特に10,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。このような分子量であれば(A−A)成分が可塑性固体もしくは半固体の状態であり、溶剤溶解後でも蛍光体の分散性に優れ、作業性、硬化性などにも優れたものとなる。
このような樹脂構造のオルガノポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で上記3種のシロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解縮合を行うことによって合成することができる。
ここで、RSiO1.5単位の原料としては、MeSiCl3、EtSiCl、PhSiCl、プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類などのアルコキシシラン類などを例示できる。
SiO単位の原料としては、
ClMeSiO(MeSiO)m2SiMeCl、
ClMeSiO(MeSiO)m1(PhMeSiO)m2SiMeCl、
ClMeSiO(MeSiO)m1(PhSiO)m2SiMeCl、
HOMeSiO(MeSiO)m2SiMeOH、
HOMeSiO(MeSiO)m1(PhMeSiO)m2SiMeOH、
HOMeSiO(MeSiO)m1(PhSiO)m2SiMeOH、
MeOMeSiO(MeSiO)m2SiMeOMe、
MeOMeSiO(MeSiO)m1(PhMeSiO)m2SiMeOMe、
MeOMeSiO(MeSiO)m1(PhSiO)m2SiMeOMe
(ここで、m1=5〜150の整数(平均値)、m2=5〜300の整数(平均値))
等を例示することができる。
また、R SiO(4−a−b)/2単位は、RSiO単位、R SiO0.5単位、R SiO単位、及びR SiO0.5単位から選ばれる1種のシロキサン単位又は2種以上のシロキサン単位の組み合わせであることを示す。その原料としては、MeViSiCl、MeViSiCl、PhViSiCl、PhViSiCl等のクロロシラン類、これらのクロロシランのそれぞれに対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類などを例示することができる。
なお、本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物において、(A−A)成分のオルガノポリシロキサンが「実質的にRSiO1.5単位、R SiO単位、及びR SiO(4−a−b)/2単位からなり」とは(A−A)成分を構成するシロキサン単位の90モル%以上(90〜100モル%)、特には95モル%以上(95〜100モル%)がこれら3種のシロキサン単位であって、0〜10モル%、特には0〜5モル%がその他のシロキサン単位であってもよいことを意味する。
具体的には、(A−A)成分のオルガノポリシロキサンを上記の原料化合物の共加水分解縮合により製造する際には、RSiO1.5単位、R SiO単位、及び/又はR SiO(4−a−b)/2単位の他に、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれることがある。(A−A)成分のオルガノポリシロキサンが、かかるシラノール基含有シロキサン単位を含む場合でも、その含有量は、通常、全シロキサン単位に対して10モル%以下(0〜10モル%)、好ましくは5モル%以下(0〜5モル%)であることが好ましい。上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、R(HO)SiO0.5単位、R (HO)SiO0.5単位、R(HO)SiO0.5単位、R(HO)SiO0.5単位、R(HO)SiO1.0単位(ここで、R〜Rは上記の通りである)が挙げられる。
シラノール基含有シロキサン単位の含有量が10モル%以下であれば、蛍光体含有波長変換フィルムの製造工程における微発泡の生成や経時での光透過性の低下など蛍光体含有波長変換フィルムの収率低下や機能低下をもたらす恐れがない。このように、本発明の低温加熱による蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法は、シラノール基含有ポリシロキサン系でも有効な製造方法となる。
(A−B)樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(A−B)成分のハイドロジェンポリシロキサンは、(A−A)成分と同様に樹脂構造状オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、実質的にRSiO1.5単位、R SiO単位、及びR SiO(4−c−d)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは上記の通りであり、cは0,1又は2で、dは1又は2で、かつc+dは2又は3である。)、上記R SiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜300個である構造を含む樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
(A−B)成分に含まれるR SiO(4−c−d)/2単位の中のケイ素に結合した水素原子が、上述した(A−A)成分が有するアルケニル基(ビニル基又はアリル基)とヒドロシリル化付加反応することにより付加硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化させる役割を果たす。
(A−B)成分を構成する必須の3種のシロキサン単位のモル比、即ち、RSiO1.5単位:R SiO単位:R SiO(4−c−d)/2単位のモル比は、90〜24:75〜9:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、合計で100)であることが得られる硬化物の特性上好ましい。
また、この(A−B)成分のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は、3,000〜1,000,000、特に10,000〜100,000の範囲にあることが作業性、硬化物の特性などの点から好ましい。
このような樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で上記3種のシロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、共加水分解を行うことによって合成することができる。
ここで、RSiO1.5単位の原料、R SiO単位の原料は(A−A)成分と同様の原料が使用できる。また、R SiO(4−c−d)/2単位は、RHSiO単位、R HSiO0.5単位、HSiO単位、RSiO0.5単位から選ばれる1種又は2種以上のシロキサン単位の任意の組み合わせであることを示す。その原料としては、MeHSiCl、MeHSiCl、PhHSiCl、PhHSiCl等のクロロシラン類、これらのクロロシランのそれぞれに対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類などを例示することができる。
なお、本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物において、(A−B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが「実質的にRSiO1.5単位、R SiO単位、及びR SiO(4−c−d)/2単位からなり」とは(A−B)成分を構成するシロキサン単位の90モル%以上(90〜100モル%)、特には95モル%以上(95〜100モル%)がこれら3種のシロキサン単位であって、0〜10モル%、特には0〜5モル%がその他のシロキサン単位であってもよいことを意味する。
具体的には、(A−B)成分のオルガノポリシロキサンを上記の原料化合物の共加水分解縮合により製造する際には、RSiO1.5単位、R SiO単位、及びR SiO(4−c−d)/2単位の他に、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれることがある。(A−B)成分のオルガノポリシロキサンが、かかるシラノール基含有シロキサン単位を含む場合でも、その含有量は、通常、全シロキサン単位に対して10モル%以下(0〜10モル%)、好ましくは5モル%以下(0〜5モル%)であることが好ましい。上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、R(HO)SiO単位、R(HO)SiO0.5単位、R (HO)SiO0.5単位、RH(HO)SiO0.5単位、H(HO)SiO0.5単位、H(HO)SiO1.0単位(ここで、R〜Rは上記の通りである)が挙げられる。
(A−B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A−A)成分中のビニル基及びアリル基の合計量に対する(A−B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)のモル比で0.1〜4.0となる量、より好ましくは0.5〜3.0、更に好ましくは0.8〜2.0となる量である。配合量が0.1以上であれば、硬化反応が十分に進行し、容易にシリコーン硬化物を得ることができる。また、配合量が4.0以下であれば、未反応のSiH基が硬化物中に多量に残存することがないため、硬化物の物性が経時的に変化する恐れがない。
(A−C)白金族金属系触媒
この触媒成分は、本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物の付加硬化反応を促進させるために配合されるものであり、具体的には白金系、パラジウム系、ロジウム系のものが挙げられる。コスト等の見地から白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、HPtCl・nHO,KPtCl,KHPtCl・nHO,KPtCl,KPtCl・nHO,PtO・nHO,(nは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を例示することができる。これらの触媒は1種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
(A−C)成分の配合量は、硬化のための有効量でよく、通常、上記(A−A)及び(A−B)成分の合計量に対して白金族金属として質量換算で0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜100ppmの範囲で使用される。
(A−D)その他の配合剤
本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、上述した成分以外にも、必要に応じて、それ自体公知の各種の添加剤を配合することができる。
a)無機充填剤
本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン、ヒュームドアルミナ等の補強性無機充填剤、溶融シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、酸化亜鉛等の非補強性無機充填剤等を挙げることができる。これらの無機充填剤は、合計で、(A−A)及び(A−B)成分の合計量100質量部当り600質量部以下(0〜600質量部)の範囲で適宜配合することができる。
b)接着助剤
本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、接着性を付与するため、接着助剤を必要に応じて添加できる。接着助剤としては、シリコーン系なら例えば、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマー、下記一般式(2)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物及び/又はその加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)などが挙げられる。
Figure 0006616747
(式中、R19は、下記一般式(3)で表される有機基、又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であるが、R19の少なくとも1個は式(3)の有機基である。)
Figure 0006616747
(式中、R20は水素原子又は炭素原子数1〜8、好ましくは1〜6の一価炭化水素基であり、sは1〜6、特に1〜4の整数である。)
上記一般式(2)におけるR19の脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素原子数2〜8、特に2〜6のアルケニル基、シクロヘキセニル基等の炭素原子数6〜8のシクロアルケニル基などが挙げられる。また、式(3)におけるR20の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、上記R19について例示したアルケニル基及びシクロアルケニル基、更にフェニル基等のアリール基などの炭素原子数1〜8、特に1〜6の一価炭化水素基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。
更に、接着助剤としては、1,5−グリシドキシプロピル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−グリシドキシプロピル−5−トリメトキシシリルエチル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等、並びに、下記式に示される化合物が例示される。
Figure 0006616747

(式中、g及びhは各々0〜50の範囲の正の整数であって、しかもg+hが2〜50、好ましくは4〜20を満足するものである。)
Figure 0006616747
Figure 0006616747
上記の接着助剤のうち、得られる硬化物に特に良好な接着性をもたらす化合物は、一分子中にケイ素原子結合アルコキシ基と、アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子(SiH基)とを有する有機ケイ素化合物である。
上述した接着助剤のなかでも、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。
接着助剤の配合量は、(A−A)、(A−B)、(A−C)成分の合計100質量部に対して、通常10質量部以下(即ち、0〜10質量部)、好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.2〜5質量部程度である。
接着助剤の配合量が上記範囲内であれば、硬化物の硬度に悪影響を及ぼしたり、表面タック性を高めたり、離型性の低下を招いたりする恐れがない。また、金型汚れが発生しにくい。
c)硬化制御剤(反応抑制剤)
本発明に用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には必要に応じて適宜硬化制御剤を配合することができる。硬化制御剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物などが挙げられる。硬化制御剤の添加量は(A−A)成分100質量部当り、通常0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部である。
付加硬化型シリコーン樹脂を含む蛍光体含有波長変換フィルムは、上記した(A−A)成分、(A−B)成分、(A−C)成分及びその他の配合剤からなる付加硬化型シリコーン樹脂組成物に蛍光体を均一分散させ、塗布加工して製造する。
−縮合硬化型シリコーン樹脂組成物−
一方、本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法に好適な縮合硬化型シリコーン樹脂組成物として、以下の(A−E)、(A−F)、(A−G)成分を含む組成物が挙げられる。
(A−E)分子鎖末端が水酸基(ヒドロキシシリル基)又はアルコキシシリル基等の加水分解性基で封鎖されたオルガノポリシロキサン
(A−F)ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上有するシランもしくはその部分加水分解縮合物
(A−G)縮合触媒
(A−E)分子鎖末端が水酸基(ヒドロキシシリル基)又はアルコキシシリル基等の加水分解性基で封鎖されたオルガノポリシロキサン
(A−E)成分は、分子鎖末端が水酸基又は加水分解性基で封鎖されたオルガノポリシロキサンである。また、(A−E)成分の25℃における粘度は100〜500,000mPa・s、特に500〜100,000mPa・sであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンとしては、α,ω−ジヒドロキシ(又はジオルガノオキシ)−ジオルガノポリシロキサンが例示される。
分子鎖末端の加水分解性基としては、例えば、トリアルコキシシロキシ基、ジアルコキシオルガノシロキシ基、トリアシロキシシロキシ基、ジアシロキシオルガノシロキシ基、トリイミノキシシロキシ基(即ち、トリケトオキシムシロキシ基)、ジイミノキシオルガノシロキシ基、トリアルケノキシシロキシ基、ジアルケノキシオルガノシロキシ基、トリアルコキシシロキシエチル基、ジアルコキシオルガノシロキシエチル基等の2個又は3個の加水分解性基含有シロキシ基あるいは2個又は3個の加水分解性基含有シロキシアルキル基等の形で直鎖状ジオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端に位置していることが好ましい。
このようなオルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端2−トリメトキシシロキシエチル基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(A−F)ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上有するシランもしくはその部分加水分解縮合物
(A−F)成分の1分子中に少なくとも3個の珪素原子結合加水分解性基を含有するシランもしくはその部分加水分解縮合物(即ち、少なくとも1個、好ましくは2個以上の加水分解性基が残存するオルガノポリシロキサン)は硬化剤として作用する成分である。
上記シランとしては、式:R SiX4−e(式中、Rは置換又は非置換の炭素原子数1〜10、特に1〜8の一価炭化水素基、Xは加水分解性基、eは0又は1である。)で表されるものが好ましい。上記Rとしては、特に、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基が好ましい。上記Xとしては、例えば、アルコキシ基、アルケノキシ基、ケトオキシム基、アセトキシ基、アミノ基、アミノキシ基等が挙げられる。
このようなシラン又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート等、及びこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明に用いる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物において、上記シラン又はその部分加水分解縮合物の含有量は、通常、(A−E)成分100質量部対し0.01〜20質量部であることが好ましく、特に、0.1〜10質量部であることが好ましい。この含有量が下限以上であれば、得られる組成物の貯蔵安定性や接着性の低下を防ぐことができ、また、上限以下であれば、組成物を適切な時間で硬化させることができる。
なお、この硬化剤(架橋剤)としての(A−F)成分は、上記(A−E)成分が分子鎖末端を水酸基で封鎖したオルガノポリシロキサンである場合には必須とされるものであるが、(A−E)成分が分子鎖末端を加水分解性基で封鎖したオルガノポリシロキサンである場合には、この(A−F)成分は特に必須とされるものではなく、必要に応じて適宜配合してもよい任意成分である。
(A−G)縮合触媒
また、(A−G)成分の縮合触媒は任意の成分であり、上記シラン又はその部分加水分解縮合物が、例えば、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を有する場合には、使用しなくてもよい。このような縮合触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)等の有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物、及びその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、硝酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;グアニジル基含有有機珪素化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明に用いられる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物において、上記(A−G)成分の縮合触媒を用いる場合、その配合量は、特に制限されず、触媒としての有効量でよいが、通常、(A−F)成分100質量部に対して0.01〜20質量部であることが好ましく、特に、0.1〜10質量部であることが好ましい。この触媒を用いる場合、含有量が上記範囲の下限以上であれば、架橋剤の種類によらず組成物を十分に硬化させることができ、上限以下であれば、組成物の貯蔵安定性の低下を防ぐことができる。
上記した(A−E)成分、(A−F)成分、(A−G)成分からなる縮合硬化型シリコーン樹脂組成物には、必要に応じて付加硬化型シリコーン樹脂組成物の(A−D)成分と同様のその他の配合剤を添加することができる。
縮合硬化型シリコーン樹脂を含む蛍光体含有波長変換フィルムは、上記した(A−E)成分、(A−F)成分、(A−G)成分及びその他の配合剤からなる付加硬化型シリコーン樹脂組成物に蛍光体を均一分散させ、塗布加工して製造する。
≪熱硬化性エポキシ樹脂≫
熱硬化性エポキシ樹脂は、通常、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を含む組成物からなる。この種の組成物の場合には、エポキシ樹脂と硬化剤が樹脂成分を構成する。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸骨格を持つエポキシ樹脂等が挙げられる。
硬化剤としては酸無水物、各種フェノール樹脂、各種アミン化合物などを使用することができる。
硬化促進剤としては、例えば4級ホスホニウム塩、有機ホスフィン、3級アミン化合物、イミダゾール類などが挙げられる。
なかでも、LED分野、特に波長変換用フィルム用途のエポキシ樹脂組成物としては、トリアジン誘導体エポキシ樹脂、酸無水物、及び硬化促進剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物が、耐熱性や耐光性が優れていることから、特に好ましい。
なお、上記成分以外に、必要に応じて付加硬化型シリコーン樹脂組成物の(A−D)成分と同様の無機充填剤や接着助剤を適宜添加して組成物とすることもできる。
≪熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂≫
熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂とは、樹脂成分として、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂とが化学的に結合したハイブリッド樹脂を含む組成物から得られる樹脂である(例えば、特開2011−74359号公報)。これらの樹脂組成物は、硬化により相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を形成する。このIPNは化学結合によって相互に連結したこれら2つの樹脂材料に由来しており、それゆえにIPN構造の形成なしに作られた単なる2つの混合物と比較して優れた性質(耐磨耗性、靭性など)を有するものである。
なお、シリコーン・エポキシ混成樹脂に、必要に応じて付加硬化型シリコーン樹脂組成物の(A−D)成分と同様の無機充填剤や接着助剤を適宜添加して組成物とすることもできる。
熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂組成物として、LPS−7600(信越化学工業(株)社製)を例示できる。
本発明では、上記した熱硬化性樹脂、なかでも長期耐熱性、作業性、硬化性等に優れる付加硬化型シリコーン樹脂組成物に下記する蛍光体を均一分散させて蛍光体含有樹脂組成物を調製し、これを用いて蛍光体含有波長変換フィルムを製造することが好ましい。
なお、本発明の製造方法における蛍光体含有樹脂組成物としては、付加硬化型シリコーン樹脂組成物に限定されるものではない。
((B)蛍光体)
本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物は、(B)成分として蛍光体を含む。蛍光体は、公知の蛍光体であればいずれのものであってもよい。窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換する蛍光体であればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系の元素により、主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属硫化物蛍光体、希土類硫化物蛍光体、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機蛍光体及び有機錯体蛍光体、Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体等から選ばれるいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を挙げることができるが、これに限定されない。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体としては、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などがある。また、MSi:EuのほかMSi10:Eu、M1.8Si0.2:Eu、M0.9Si0.110:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などを例示できる。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体としては、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体としては、M(POX:Z(Mは、Sr、Ca、Ba、Mgから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1種以上である。)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体としては、MX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mgから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体としては、SrAl:R、SrAl1425:R、CaAl:R、BaMgAl1627:R、BaMgAl1612:R、BaMgAl1017:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1種以上である。)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体としては、(BaMg)Si:Eu、(BaSrCa)SiO:Eu、などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属硫化物蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca)(Al,Ga)2S4:Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活される希土類硫化物蛍光体としては、LaS:Eu、YS:Eu、GdS:Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属チオガレート蛍光体としては、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、SrAlSi:Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるゲルマン酸塩蛍光体としては、ZnGeO:Mnなどを例示できる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体としては、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12の組成式で表されるYAG系蛍光体などを例示できる。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなども使用できる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類ケイ酸塩蛍光体としては、YSiO:Ce,Tbなどを例示できる。
Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体とは、モル%表示で、CaCOをCaOに換算して20〜50モル%、Alを0〜30モル%、SiOを25〜60モル%、AlNを5〜50モル%、希土類酸化物又は遷移金属酸化物を0.1〜20モル%とし、5成分の合計が100モル%となるオキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体である。なお、オキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体では、窒素含有量が15質量%以下であることが好ましく、希土類酸化物イオンの他に増感剤となる他の希土類元素イオンを希土類酸化物の状態で含むことが好ましく、蛍光体中に0.1〜10モル%の範囲の含有量で共賦活剤として含むことが好ましい。
その他の蛍光体としては、ZnS:Eu、ZnGeO:Mn、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などを例示できる。
上述の蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。例えば、赤色LED用蛍光体として近年開発が進んでいるKSiF:Mn4+などがある。
蛍光体の形状は、蛍光体を破砕した破砕状のもの、結晶成長の条件を制御して製造した角が取れた球状に近いもの、更には造粒や溶射などにより製造した球状のものなど種々のものがある。球形度の高い蛍光体を混合することで高充填化が可能となる。
粒径は、例えば、シーラスレーザー測定装置などのレーザー光回折法による粒度分布測定から求めることができる。使用可能な蛍光体の粒径の範囲としては特に制限はないが、平均粒径(D50:累積重量平均値、又はメジアン値)で、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは2〜50μm、更に好ましくは5〜20μmである。蛍光体の平均粒径(D50)が上記範囲にある場合は、蛍光体含有層において、光源から伝送された光が充分に散乱される。また、蛍光体が蛍光体含有層の空間を充分に埋めることができるため、光源から伝達された光が充分に蛍光体粒子に吸収され、波長変換が高効率に行なわれると共に、蛍光体から発せられる光が全方向に照射されるため、均一な色と照度が得られる。
また、蛍光体を樹脂組成物中に高充填しても未硬化の波長変換シートが適度な引張強さと弾性を有していることが、LED素子表面への貼り付け工程においては求められる。そのために、蛍光体の平均粒径は蛍光体含有波長変換フィルムの厚さの60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、20〜50%であることが更に好ましい。
また、蛍光体粒子の最大粒径は、蛍光体含有波長変換フィルムの厚みの90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、70〜30%の範囲が更に好ましい。蛍光体粒子の最大粒径が上記範囲内であれば、蛍光体含有波長変換フィルム中の蛍光体の分布が不均一になりにくい。
また、蛍光体は、粒度分布に少なくとも2個以上のピークを持つものが望ましい。2個以上のピークを有する粒度分布とするためには、2種類以上の粒度の蛍光体を混合しても、直接蛍光体製造時に2個以上のピークを持ったものを製造してもよい。
本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物において、蛍光体の含有量は製造する蛍光体含有波長変換フィルムの厚みにもよるが、樹脂成分100質量部に対し好ましくは10〜2,000質量部であり、より好ましくは10〜1,000質量部であり、更に好ましくは50〜800質量部であり、特に好ましくは100〜600質量部である。
((C)溶剤)
また、本発明に用いられる蛍光体含有樹脂組成物は、(C)成分として溶剤を含む。溶剤として使用する有機溶媒は特に限定されないが、例えば、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒;オクタメチルシクロシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン系等が挙げられる。また、シクロヘキサノン、セロソルブアセテート、ブチロセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、シクロヘキサノール、ジグライム、トリグライム等の溶剤が使用できる。これらの溶剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶剤の添加量は、使用する熱硬化性樹脂の種類、ベースポリマーの重合度、加工方法等により異なるが、熱硬化性樹脂100質量部に対し、5〜200質量部である。添加量が5質量部以上であれば、添加による加工性、特にコーティング加工性の改善が認められる。また、200質量部以下であれば、塗工液の粘度が低下せず、発泡の要因とならない。また、乾燥工程時間が長期化せずサポートフィルムの凹凸発生などの悪影響が生じない。
熱硬化性樹脂単独系での溶剤添加量は、好ましくは5〜100質量部、更に好ましくは10〜80質量部である。一方、後述の熱可塑性樹脂を併用する場合、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して、20〜200質量部、好ましくは50〜150質量部である。
(熱可塑性樹脂)
本発明の製造方法に用いられる蛍光体含有樹脂組成物には、フィルム強度向上、製膜特性改善等を目的に任意成分として熱可塑性樹脂を添加することができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、鎖状ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、メチルセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアリレート類、ポリサルフォン類、フッ素樹脂、TPX(ポリ−4−メチルペンテン−1)、透明フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、脂環式オレフィン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー類、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー類、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー類などが挙げられる。その添加量は、熱硬化性樹脂100質量部に対し、5〜100質量部である。添加量が5質量部以上であれば、上記フィルム強度向上等の効果が得られ、100質量部以下であれば、加熱時間の長時間化に伴う生産性の低下やサポートフィルムへのダメージ等が発生しない。また、耐熱性の低下がおきないため、蛍光体含有波長変換フィルムとしての長期信頼性を得ることができる。
上述のように、本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法では、熱硬化性樹脂、蛍光体、溶剤等と必要に応じてその他の所要の成分を均一に混合することによって、蛍光体含有樹脂組成物を調製する。樹脂成分は上記熱硬化性樹脂(組成物)から選択されるが、熱硬化性シリコーン樹脂であるか、熱硬化性エポキシ樹脂であるか、熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂であるかにより公知の必要かつ適切な措置がとられる。
例えば、付加硬化型シリコーン樹脂を用いる場合には、蛍光体以外の成分を含む組成物を調製又は用意し、この組成物と蛍光体を上記した溶剤に溶解しボールミル等の混合機を用い均一に混合する。
なお、付加硬化型シリコーン樹脂組成物は公知のように、硬化が進行しないように諸成分を2液に分けて保存し、使用時に2液を混合して次工程に供されてもよいし、前述したアセチレンアルコール等の硬化制御剤を少量添加して1液として用いることもできる。
[蛍光体含有樹脂組成物のサポートフィルム上へのコーティング]
本発明において熱硬化性シリコーン樹脂を用いた蛍光体含有波長変換フィルムを製造するには、例えば、上記のように調製した蛍光体含有樹脂組成物をサポートフィルム(剥離フィルム)上に、チャンバードクターコーター、一本ロールキスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、リバースロールコーター、正回転ロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーター等のコーターを用い、塗布(コーティング)加工する。
サポートフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム等が挙げられ、なかでもPETフィルムが好ましい。
[溶剤の揮散]
ついで、蛍光体含有樹脂組成物(熱硬化性樹脂塗工液)が含有する溶剤(即ち、(C)成分)を加熱により揮散させ除去する。このとき、本発明では、蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下、特に好ましくは40℃を超え80℃以下に加熱・乾燥する。加熱温度が40℃未満では硬化時間が長くなり生産性が劣る。また、硬化不良となりやすいなどの欠点が発現するため好ましくない。一方、120℃を超えると、サポートフィルムの温度制御が困難になったり、サポートフィルムに凹凸が発生し、蛍光体含有波長変換フィルムの厚みのばらつき要因となったりする。
また、本発明では、この蛍光体含有樹脂組成物を加熱する際に、サポートフィルムの温度を、0℃以上60℃以下、好ましくは10℃以上40℃以下に保持する。上述のように、サポートフィルムに例えば60℃を超える過剰な熱負荷がかかると、サポートフィルムにたわみが生じてしまい、蛍光体含有波長変換フィルムの膜厚均一性が悪化し、凹凸が発生するなどの問題が生じる。これに対し、本発明では、(C)成分の溶剤を揮散させる際に、サポートフィルムの温度を0℃以上60℃以下に保持したまま、蛍光体含有樹脂組成物を加熱するため、サポートフィルムのたわみを防ぎながら、溶剤を比較的低温で効率よく揮散させることができる。これにより、膜厚の均一性に優れ、凹凸がない(即ち、色ずれが起こりにくい)蛍光体含有波長変換フィルムを製造することができる。
コーターでのフィルムの送り速度は、上記蛍光体含有樹脂組成物中の溶剤の種類や含有量、塗工液の粘度、チキソ性等の粘性特性及び炉長にもよるが、0.1〜10m/min.が好ましく、0.2〜5m/min.がより好ましい。
溶剤を揮散させる方法として、サポートフィルム上に溶剤を含む蛍光体含有樹脂組成物をコーティングした後、波長制御した熱源で加熱するのが好ましい。なかでも、炉内温度の上昇を抑え、水分子や溶剤の水素結合を切断する能力に優れる近赤外線を集中的に放射して、塗膜を効率よく、連続して加熱乾燥することができる波長制御塗膜乾燥炉が特に好ましい。
赤外線乾燥(赤外線照射による加熱)の長所は、サポートフィルムの厚さに依存せず乾燥させることができるところにある。サポートフィルムは、厚い方が蛍光体含有波長変換フィルムの表面平滑性を均一にできるメリットがあるが経済性の観点から、通常サポートフィルムの厚さは10〜500μm、好ましくは20〜400μm、30〜300μmが更に好ましい。
また、サポートフィルムの温度を上記の温度範囲に保持するための手段としては、サポートフィルムの非コーティング面(サポートフィルムの蛍光体含有樹脂組成物をコーティングした面とは逆の面)を空冷あるいは水冷することが好ましい。図1は本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法におけるサポートフィルムの温度を保持する方法の一例を示す概略図である。図1の方法では、蛍光体含有樹脂組成物1をコーティングしたサポートフィルム2の非コーティング面を水冷装置3で水冷する。これによりサポートフィルムを0℃以上60℃以下に保持しつつ、上部より赤外線照射すれば蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下に加熱して(C)成分である溶剤を揮散させることができる。
上記方法で製造した蛍光体含有波長変換フィルムの厚さは、通常10〜100μm、好ましくは20〜100μmである。10μm以上であれば、蛍光体が均一に分散した、厚さが一定の蛍光体含有波長変換フィルムを容易に製造することができ、また100μm以下であれば、蛍光体の濃度低下によって波長変換効率が低下する恐れもない。
また、上記方法で製造した蛍光体含有波長変換フィルムは、−20℃以下で冷凍して保存すると長期間安定して保存できるので好ましい。
<光半導体装置の製造方法>
また、本発明では、上記方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムで光半導体素子を封止する光半導体装置の製造方法を提供する。
下記に熱硬化性樹脂が熱硬化性シリコーン樹脂である場合を例にその使用条件を記すが、他の熱硬化性樹脂の場合も同様である。
蛍光体含有波長変換フィルムの光半導体素子上への圧着は、通常、常温〜300℃で、10MPa以下(通常0.01〜10MPa)の加圧下で行うことができ、好ましくは5MPa以下(例えば0.1〜5MPa)、特には0.5〜5MPaで行うことが好ましい。
本発明で製造する蛍光体含有波長変換フィルムは、上述したように、未硬化状態で可塑性固体又は半固体の状態であるが、該未硬化状態はAステージ(未反応)状態でもBステージ状態でもよい。該蛍光体含有波長変換フィルムは50℃以上の温度で硬化し始めるが、現象的には固化する前に一旦僅かに軟化する。そのため、金線で接続されているような光半導体素子も金線を変形させることなく封止することができる。
Aステージ(未反応)状態では加熱時の粘度が低くなりすぎる場合、予め50℃〜100℃の温度雰囲気下で希望する粘度になるまで放置し、反応を進めることもできる。
蛍光体含有波長変換フィルムの硬化は、通常50〜200℃、特に70〜180℃で1〜30分、特に2〜10分である。また、50〜200℃、特に70〜180℃で0.1〜10時間、特に1〜4時間のポストキュアを行うこともできる。
以上のように、本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法であれば、溶剤を揮散させる際に、サポートフィルムを冷却して60℃以下に保持してサポートフィルムへの熱負荷を抑えることで、サポートフィルムのたわみを防ぎながら、溶剤を比較的低温(40℃以上120℃以下)で加熱して効率よく揮散させることができる。これにより、膜厚の均一性に優れ、凹凸がない(即ち、色ずれが起こりにくい)蛍光体含有波長変換フィルムを製造することができる。また、サポートフィルムのたわみを防止することで、サポートフィルムからの剥離性も優れたものとすることができるため、蛍光体含有波長変換フィルム製造における作業性や収率も向上させることができる。また、溶剤の揮散に適した波長の熱源(例えば、赤外線)を用いることで効率よく溶剤を揮散させられることから、溶剤の揮散による粘度変化に起因する蛍光体の沈降等の不均質化が起こりにくい。従って、蛍光体が均質・均一に分散し、色ずれが抑制され、演色性が良好な蛍光体含有波長変換フィルムが得られる。また、このような本発明の方法で製造した蛍光体含有波長変換フィルムで光半導体素子を封止する本発明の光半導体装置の製造方法であれば、高信頼性の光半導体装置を容易に製造することができる。
以下、合成例、実施例、及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。また、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置における累積重量平均値D50(又はメジアン値)として求めた値である。
[合成例1]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A1)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)20(PhSiO)10SiMeCl:1mol、MeViSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A1)を合成した。この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)20(PhSiO)10−SiMe2/2]で表される構造の構成比が、式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)20−(PhSiO)10−SiMe2/20.01[MeViSiO2/20.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は64,000、融点は65℃であった。
[合成例2]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B1)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)20(PhSiO)10SiMeCl:1mol、MeHSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B1)を合成した。この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)20−(PhSiO)10−SiMe2/2]で表される構造の構成比が、式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)20−(PhSiO)10−SiMe2/20.01[MeHSiO2/20.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は62,000、融点は60℃であった。
[合成例3]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A2)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:5mol、MeViSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A2)を合成した。この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)33−SiMe2/2]で表される構造の構成比が、式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)33−SiMe2/20.05[MeViSiO2/20.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は68,000、融点は50℃であった。
[合成例4]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B2)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:5mol、MeHSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B2)を合成した。この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)33−SiMe2/2]で表される構造の構成比が、式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)33−SiMe2/20.05[MeHSiO2/20.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は65,000、融点は48℃であった。
[実施例1]
<蛍光体含有樹脂組成物−1の調製>
合成例1のビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A1)50質量部、合成例2のヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−B1)50質量部、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.1質量部、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液0.1質量部、YAG系蛍光体(平均粒径18μm、最大粒径35μm)100質量部及び溶剤としてシクロヘキサノン10質量部を配合した。配合後更に60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく攪拌し、付加硬化型シリコーン樹脂を含む蛍光体含有樹脂組成物−1を調製し、常温まで冷却し、保存した。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
得られた蛍光体含有樹脂組成物−1を、フィルムコーター((株)テクノスマート製)にて厚さ200μmのPET製サポートフィルム上にコーティングし、日本ガイシ(株)製波長制御システム付き試験機で蛍光体含有樹脂組成物−1を50℃/3分間加熱・乾燥して、厚さ50μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。なお、サポートフィルムは加熱・乾燥工程中、非コーティング面から水冷して40℃に保持した。
その後、上記サポートフィルムと反対側の蛍光体含有樹脂組成物が露出している面にPET製サポートフィルムを貼付して両面がPETフィルムで保護された蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
[実施例2]
<蛍光体含有樹脂組成物−2の調製>
配合量を、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液0.2質量部、YAG系蛍光体(平均粒径18μm、最大粒径35μm)350質量部、シクロヘキサノン15質量部に変更した以外は実施例1と同様な配合条件で配合した。配合後更に60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく攪拌し、付加硬化型シリコーン樹脂を含む蛍光体含有樹脂組成物−2を調製し、常温まで冷却し、保存した。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
得られた蛍光体含有樹脂組成物−2を、フィルムコーター((株)テクノスマート製)にて厚さ400μmのPET製サポートフィルム上にコーティングし、日本ガイシ(株)製波長制御システム付き試験機で蛍光体含有樹脂組成物−2を50℃/5分間加熱・乾燥して、厚さ80μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。実施例1と同様に、サポートフィルムは加熱・乾燥工程中、非コーティング面から水冷して、40℃に保持した。
その後、上記サポートフィルムと反対側の蛍光体含有樹脂組成物が露出している面にPET製サポートフィルムを貼付して両面がPETフィルムで保護された蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
[実施例3]
<蛍光体含有樹脂組成物−3の調製>
合成例3のビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A−A2)50質量部、合成例4のヒドロシリル基含有樹脂(A−B2)50質量部、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール0.1質量部、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液0.1質量部、YAG系蛍光体(平均粒径18μm、最大粒径35μm)60質量部及び溶剤としてシクロヘキサノン8質量部を配合した。配合後更に60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく攪拌し、付加硬化型シリコーン樹脂を含む蛍光体含有樹脂組成物−3を調製し、常温まで冷却し、保存した。
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
得られた蛍光体含有樹脂組成物−3をフィルムコーター((株)テクノスマート製)にて厚さ200μmのPET製サポートフィルム上にコーティングし、日本ガイシ(株)製波長制御システム付き試験機で蛍光体含有樹脂組成物−3を50℃/3分間加熱・乾燥して、厚さ40μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。サポートフィルムは加熱・乾燥工程中、非コーティング面から水冷して30℃に保持した。
その後、上記サポートフィルムと反対側の蛍光体含有樹脂組成物が露出している面にPET製サポートフィルムを貼付して両面がPETフィルムで保護された蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
[実施例4]
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1において蛍光体含有樹脂組成物−1を加熱・乾燥する条件を、80℃/3分間に変更し、加熱・乾燥工程中にサポートフィルムを非コーティング面から水冷して30℃に保持する以外は実施例1と同様にして蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
[実施例5]
<蛍光体含有樹脂組成物−4の調製>
エポキシ樹脂(TEPIC−S)45質量部、硬化剤(酸無水物系;リカシッドMH)55質量部(エポキシ基/酸無水物基のモル比=1.4)、酸化防止剤(亜リン酸トリフェニル)3質量部、及び触媒(2E4MZ)1質量部を計量し、プラネタリーミキサーに入れ、80℃で10時間混合反応させた。得られた反応生成物をメチルエチルケトン10質量部に溶解して、エポキシ樹脂溶解品を調製し、ついでYAG系蛍光体(平均粒径18μm、最大粒径40μm)400質量部を添加し、混合することでエポキシ樹脂を含む蛍光体含有樹脂組成物−4を調製した。この蛍光体含有樹脂組成物−4は可塑性の固体であった。
使用した材料の詳細は次の通りである。
・エポキシ樹脂:トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアネート(商品名:TEPIC−S、日産化学(株)製)
・硬化剤:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(商品名:リカシッドMH、新日本理 化(株)製)
・酸化防止剤:亜リン酸トリフェニル(和光純薬(株)製)
・触媒:2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ:四国化成(株)製)
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
得られた蛍光体含有樹脂組成物−4を、フィルムコーター((株)テクノスマート製)にて厚さ200μmのフッ素樹脂製ETFE製サポートフィルム上にコーティングし、日本ガイシ(株)製波長制御システム付き試験機で蛍光体含有樹脂組成物−4を80℃/5分間加熱・乾燥して、厚さ50μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。加熱・乾燥工程中、サポートフィルムを非コーティング面から実施例1と同様に、水冷して40℃に保持した。
その後、上記サポートフィルムと反対側の蛍光体含有樹脂組成物が露出している面にETFE製サポートフィルムを貼付して両面がETFEフィルムで保護された蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
[実施例6]
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1において蛍光体含有樹脂組成物−1を加熱・乾燥する条件を、120℃/3分間に変更し、加熱・乾燥工程中にサポートフィルムを非コーティング面から水冷して60℃に保持する以外は実施例1と同様にして蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
[実施例7]
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1において蛍光体含有樹脂組成物−1を加熱・乾燥する条件を、40℃/20分間に変更し、加熱・乾燥工程中にサポートフィルムを非コーティング面から水冷して0℃に保持する以外は実施例1と同様にして蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
[比較例1]
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1で調製した蛍光体含有樹脂組成物−1を用い、以下の加熱・乾燥条件で蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
蛍光体含有樹脂組成物−1をフィルムコーター(井上金属製)にて厚さ200μmのPET製サポートフィルム上にコーティングし、汎用加熱炉試験機で蛍光体含有樹脂組成物−1を150℃/3分間加熱・乾燥して、厚さ50μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。その時、サポートフィルムの冷却を行わなかったのでその温度は120℃以上であった。
その後、上記サポートフィルムと反対側の蛍光体含有樹脂組成物が露出している面にPET製サポートフィルムを貼付して両面がPETフィルムで保護された蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
[比較例2]
<蛍光体含有波長変換フィルムの製造>
実施例1で調製した蛍光体含有樹脂組成物−1を用い、以下の加熱・乾燥条件で蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
蛍光体含有樹脂組成物−1をフィルムコーター(井上金属製)にて厚さ200μmのPET製サポートフィルム上にコーティングし、汎用加熱炉試験機で蛍光体含有樹脂組成物−1を80℃/3分間加熱・乾燥して、厚さ50μmの蛍光体含有波長変換フィルムに成形した。加熱・乾燥工程中、サポートフィルムを冷却しなかったので、その温度は60℃を超えていた。
その後、上記サポートフィルムと反対側の蛍光体含有樹脂組成物が露出している面にPET製サポートフィルムを貼付して両面がPETフィルムで保護された蛍光体含有波長変換フィルムを製造した。
<評価>
未硬化の蛍光体含有波長変換フィルムを、主発光ピークが460nmのInGaN半導体を用いたLEDチップが搭載されたCOB(Chip On Board)基板にサポートフィルムを剥がして貼り合わせ、120℃/30分加熱して硬化させた。
硬化後の蛍光体含有波長変換フィルムをフィルムの厚さ方向にカットして、外観を目視で観察して上記蛍光体含有波長変換フィルムの厚さの均一性、内部組織の蛍光体の沈降の有無などの分散性、発泡(ボイド)の存在の有無を評価した。また、貼り合わせ後、チップとは逆側のサポートフィルムを剥離して外観を目視で観察し、サポートフィルムからの剥離性や、フィルム表面の凹凸を評価した。その結果を表1に記す。
Figure 0006616747
*1 波長変換フィルムの厚み公差;厚さ±2%以内 ○、厚さ±2%超 ×
*2 蛍光体分散性;良い ○、悪い △、非常に悪い ×
*3 サポートフィルムとの剥離性;剥離軽い ○、剥離重い △、剥離非常に重い ×
*4 表面平滑性;蛍光体含有波長変換フィルムの表面凹凸;良い ○、悪い △、非常に悪い ×
表1に示すように、実施例1〜7ではボイドの発生がなく、蛍光体の分散性も良好であった。また、PET製サポートフィルムあるいはETFE製サポートフィルムからの剥離性は良好であり、蛍光体含有波長変換フィルムにサポートフィルムの熱負荷に起因する凹凸が少なく、厚み公差は厚さの±2%以内で良好であった。
一方、比較例1では、ボイドはないものの厚さのばらつきがあり、高温硬化により樹脂粘度低下による蛍光体の沈降に起因する分散不良・不均質化が発生した。また、PET製サポートフィルムからの剥離性は悪く熱負荷に起因する凹凸量も大きかった。比較例2では、汎用加熱炉のため溶剤の抜けが不十分であり、ボイドが発生した。また、厚さのばらつきがあり、サポートフィルムの剥離性も悪く、フィルム表面の平滑性も実施例より劣っていた。
以上のように、本発明の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法であれば、溶剤を含有する組成物を用いた蛍光体含有波長変換フィルムの製造において、膜厚の均一性及びサポートフィルムからの剥離性に優れた蛍光体含有波長変換フィルムを製造できることが明らかになった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…蛍光体含有樹脂組成物、 2…サポートフィルム、 3…水冷装置

Claims (6)

  1. (A)熱硬化性樹脂、(B)蛍光体、及び(C)溶剤を含む蛍光体含有樹脂組成物をサポートフィルム上にコーティングした後、加熱により前記(C)成分を揮散させて蛍光体含有波長変換フィルムを製造する方法であって、
    前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を0℃以上60℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃以上120℃以下に加熱することで行い、
    前記サポートフィルムの温度の保持は、前記サポートフィルムの前記蛍光体含有樹脂組成物をコーティングした面とは逆の面を水冷することで行うことを特徴とする蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
  2. 前記(C)成分の揮散は、前記サポートフィルムの温度を10℃以上40℃以下に保持したまま、前記蛍光体含有樹脂組成物を40℃を超え80℃以下に加熱することで行うことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
  3. 前記(C)成分の揮散は、前記蛍光体含有樹脂組成物を赤外線照射により加熱することで行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
  4. 前記(A)成分として、熱硬化性シリコーン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、及び熱硬化性シリコーン・エポキシ混成樹脂から選択される1種あるいは2種以上の熱硬化性樹脂を用いることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
  5. 前記熱硬化性シリコーン樹脂として、付加硬化型シリコーン樹脂及び縮合硬化型シリコーン樹脂から選択される1種以上の樹脂を用いることを特徴とする請求項に記載の蛍光体含有波長変換フィルムの製造方法。
  6. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の方法で製造された蛍光体含有波長変換フィルムで光半導体素子を封止することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
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