以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態に係る弾性クローラについて説明する。
図1〜3中、符号1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性クローラである。図1には、弾性クローラ1の外周面の一部を示し、図2には、弾性クローラ1の内周面の一部を示す。図3は、図1及び2のA−A断面図である。
図1〜3中、符号11は、弾性を有して無端帯状の本体である。本実施形態では、本体11は、加硫ゴムからなる。
ここで、図中、矢印D1は、本体11の周方向(以下、「クローラ周方向」ともいう。)を示し、矢印D2は、本体11の幅方向(以下、「クローラ幅方向」ともいう。)を示す。更に、矢印D3は、本体11の厚み方向(以下、「クローラ厚み方向」ともいう。)を示す。
また、符号O1は、図1の平面視(本体11の外周面から視たとき)及び図2の平面視(本体11の内周面から視たとき)で、本体11をクローラ幅方向で二等分してクローラ周方向に沿って延びる本体幅中心線(以下、「クローラ幅中心線」ともいう。)である。更に、符号O2は、図1及び2の平面視で、クローラ幅中心線O1に対して直交すると共にクローラ幅方向に沿って延びる線(以下、「クローラ幅方向線」ともいう。)である。
図1中、符号12は、それぞれ、クローラ周方向に間隔を置いて配置されており、本体11に埋設された複数の芯金である。
本実施形態では、芯金12は、スチール等の金属からなる。本実施形態では、芯金12は、クローラ幅方向に延びている。詳細には、図2に示すように、芯金12は、1つの基部12aと、2つの翼部12bとを有している。2つの翼部12bはそれぞれ、基部12aからクローラ幅方向に延びている。本実施形態では、例えば、図2の平面視で示すように、クローラ幅方向での芯金12の外側端縁(以下、単に、「芯金12の外側端縁」ともいう。)12eは、クローラ周方向に沿って延びているクローラ周方向延在端縁12e1と、クローラ周方向延在端縁12e1に繋がる2つの角部端縁12e2で形作られている。詳細には、クローラ周方向延在端縁12e1は、本体11の幅方向外縁(以下、「クローラ幅方向外縁」ともいう。)11eに対して平行に延在し、2つの角部端縁12e2は、それぞれ、所望する任意の曲率半径で形作られている。更に、芯金12は、基部12aと翼部12bとの間(或いは、基部12a又は翼部12b)にそれぞれ、クローラ幅方向に間隔を置いて2つの突起12cを有している。図3に示すように、2つの突起12cはそれぞれ、本体11の内周面からクローラ厚み方向に突き出している。
図1中、符号13は、それぞれ、芯金12とクローラ周方向で交互に配置されており、クローラ幅方向に延びて本体11の外周面に突設させた複数のラグである。
本実施形態では、ラグ13は、加硫ゴムからなる。本実施形態では、ラグ13は、クローラ幅方向に延びており、図1の平面視で、クローラ幅中心線O1を挟んで非対称な形状である。
ラグ13は、本体11の外周面からクローラ厚み方向に突き出している。図3に示すように、本実施形態では、本体11の外周面は、1つの平面f1、2つの傾斜面f2、2つの窪み面f3及び2つの平面f4で形作られている。詳細には、図3に示すように、平面f1は、本体11の幅方向中心(以下、「クローラ幅方向中心」ともいう。)の領域(図1の平面視でクローラ幅中心線O1を含む領域)に配置された平面であり、図1に示すように、クローラ周方向に延びている。クローラ幅方向に間隔を置いて配置された2つの傾斜面f2はそれぞれ、平面f1に対してクローラ幅方向で繋がり、平面f1から本体11の幅方向外側(以下、「クローラ幅方向外側」ともいう。)に延びていると共に、クローラ周方向に延びている。図3に示すように、2つの傾斜面f2はそれぞれ、クローラ幅方向外側に向かうに従って本体11の内周面に向かって傾斜している。窪み面f3は、傾斜面f2に対してクローラ幅方向で繋がり、本体11の内周面に向かって窪み、平坦な底面を有している。図1に示すように、窪み面f3も、傾斜面f2に対してクローラ幅方向で繋がり、傾斜面f2からクローラ幅方向外側に延びていると共に、クローラ周方向に延びている。平面f4は、窪み面f3に対してクローラ幅方向で繋がり、窪み面f3からクローラ幅方向外側に延びていると共に、クローラ周方向に延びている。図3に示すように、平面f4は、クローラ厚み方向で平面f1よりも本体11の内周面に近い位置にあると共に窪み面f3の底面よりも本体11の内周面よりも遠い位置にある。
図1に示すように、本実施形態では、ラグ13は、本体11の平面f1から傾斜面f2にかけて形成された短ラグ部13aと、本体11の平面f1からクローラ幅方向外縁11eにかけて形成された長ラグ部13bと、短ラグ部13aと長ラグ部13bとを繋ぐ連結ラグ部13cと、で形作られている。図3に示すように、本実施形態では、連結ラグ部13cは、短ラグ部13aと長ラグ部13bとの間に窪みを形成している。また、図1に示すように、ラグ13はそれぞれ、短ラグ部13aと長ラグ部13bとのクローラ幅方向での関係がクローラ周方向で交互に入れ替わるように本体11の外周面に配置されている。
本実施形態では、図1の平面視で、短ラグ部13aは、連結ラグ部13cに繋がり、クローラ幅方向中心側に配置されたクローラ幅方向中心側部分(以下、「第1部分」ともいう。)13a1と、第1部分13a1に繋がり、第1部分13a1よりもクローラ幅方向外側に配置されたクローラ幅方向外側部分(以下、「第2部分」ともいう。)13a2と、で形作られている。
詳細には、図1の平面視で、短ラグ部13aの第1部分13a1は、連結ラグ部13cから平面f1のクローラ幅方向外縁e1に至るまで形成されており、短ラグ部13aの第2部分13a2は、平面f1のクローラ幅方向外縁e1から傾斜面f2のクローラ幅方向外縁e2に至るまで形成されている。
本実施形態では、短ラグ部13aの第1部分13a1は、図1の平面視で、クローラ周方向に対して傾斜している。詳細には、図1の平面視で、本体11の外周面と繋がる短ラグ部13aの第1部分13a1の根元部分であって、短ラグ部13aの第1部分13a1の外観形状を形作る輪郭線La1を基準にすると、短ラグ部13aの第1部分13a1の根元部分(輪郭線La1)は、クローラ幅方向線O2に対して角度θ1、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して角度θ(=90°−θ1)で傾斜している。
また、本実施形態では、短ラグ部13aの第2部分13a2は、図1の平面視で、クローラ幅方向線O2に対してほぼ平行に、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対してほぼ直角(θ=90°)に延びている。
また、本実施形態では、図1の平面視で、長ラグ部13bは更に、連結ラグ部13cに繋がり、クローラ幅方向中心側に配置されたクローラ幅方向中心側部分(以下、「第1部分」ともいう。)13b1と、第1部分13b1に繋がり、クローラ幅方向外側に配置されたクローラ幅方向外側部分(以下、「第2部分」ともいう。)13b2と、で形作られている。
詳細には、図1の平面視で、長ラグ部13bの第1部分13b1は、連結ラグ部13cから平面f1のクローラ幅方向外縁e1に至るまで形成されており、長ラグ部13bの第2部分13b2は、平面f1のクローラ幅方向外縁e1からクローラ幅方向外縁11eに至るまで形成されている。
更に本実施形態では、クローラ周方向に隣り合う2つのラグ13は、本体11の平面f1上で互いに同じ向きに傾斜している。本実施形態において、長ラグ部13bの第1部分13b1は、図1の平面視で、クローラ周方向に対して傾斜している。詳細には、図1の平面視で、本体11の外周面と繋がる長ラグ部13bの第1部分13b1の根元部分であって、第1部分13b1の外観形状を形作る輪郭線Lb1を基準にすると、長ラグ部13bの第1部分13b1の輪郭線Lb1は、クローラ幅方向線O2に対して角度θ3、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して角度θ(=90°−θ3)で傾斜している。また、本実施形態では、長ラグ部13bの第1部分13b1の根元部分(輪郭線Lb1)の角度θ3を、短ラグ部13aの第1部分13a1の根元部分(輪郭線La1)の角度θ1と等しくすることにより、図1の平面視で、長ラグ部13bの第1部分13b1は、短ラグ部13aの第1部分13a1に対して平行に、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して直角(θ=90°)に傾斜している。なお、本発明において、「2つのラグ13が同じ向きに傾斜している。」とは、例えば、図1の平面視で、2つのラグ13が同一の一方のクローラ周方向に向かうに従って同一の一方のクローラ幅方向に近づくように傾斜することを意味し、必ずしも平行である必要はない。
なお、本実施形態では、長ラグ部13bの第2部分13b2は、短ラグ部13aと同様、図1の平面視で、クローラ幅方向線O2に対して平行に延びている。詳細には、図1の平面視で、本体11の外周面と繋がる長ラグ部13bの第2部分13b2の根元部分であって、第2部分13b2の外観形状を形作る輪郭線Lb2を基準にすると、長ラグ部13bの第2部分13b2の輪郭線Lb2は、クローラ幅方向線O2に対して角度θ4(本実施形態では、θ4=0°)、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して直角(θ=90°)で傾斜している。
符号14は、それぞれ、クローラ周方向に延びて、クローラ周方向で隣り合う少なくとも1つのラグ13と連続していると共に、本体11の外周面から突き出した肉盛り部である。肉盛り部14は、クローラ周方向で隣り合ういずれか一方のラグ13と連続していればよいが、本実施形態では、クローラ周方向で隣り合う2つのラグ13のそれぞれと連続している。更に、本実施形態では、肉盛り部14は、クローラ周方向に配置された複数のラグ13の間の全てに配置されている。
図1に示すように、本実施形態では、クローラ周方向で隣り合う2つのラグ13の間に、それぞれ、2つの肉盛り部14がクローラ幅方向に間隔を置いて配置されている。本実施形態では、2つの肉盛り部14はそれぞれ、短ラグ13aの第1部分13a1と、長ラグ13bの第1部分13b1とに連結されている。詳細には、肉盛り部14はそれぞれ、図1の平面視で、平面f1上をクローラ周方向に延びていると共に、肉盛り部14のクローラ幅方向外側での端縁(以下、「肉盛り部14の外側端縁」ともいう。)は、平面f1のクローラ幅方向外縁e1に一致している。
また、図3に示すように、肉盛り部14は、本体11の外周面からクローラ厚み方向に突き出している。図3に示すように、本実施形態では、肉盛り部14は、クローラ厚み方向断面視で台形の形状に形作られており、頂面14aと、2つの側面14bとを有している。詳細には、頂面14aは平面に形作られており、2つの側面14bはそれぞれ、頂面14aに繋がり、クローラ幅方向内側又は外側に向かうに従って本体11の内周面に向かって傾斜する平面に形作られていると共に、2つの側面14bのそれぞれのクローラ幅方向外側での端縁が肉盛り部14の外側端縁(本実施形態では、平面f1のクローラ幅方向外縁e1)を形作っている。即ち、本実施形態では、肉盛り部14は、肉盛り部14の外側端縁が平面f1のクローラ幅方向外縁e1と一致するように、短ラグ13aと長ラグ13bとのそれぞれに連続している。
図1及び3中、溝15は、それぞれ、肉盛り部14に形成されており、図1の平面視で、クローラ周方向での芯金12の長さ(以下、単に「芯金12の長さ」ともいう。)L1の範囲内の位置に配置されている溝である。
本実施形態では、溝15は、肉盛り部14をクローラ幅方向に横切って延びている。詳細には、図1に示すように、溝15は、クローラ幅方向に沿ってクローラ幅方向線O2に延びている。また、図1に示すように、溝15は、芯金12の長さL1に対し、芯金12の長さL1よりも狭い幅(本実施形態では、クローラ周方向の幅)W1を有している。かつ、図1に示すように、溝15は、図1の平面視で、芯金12の長さL1で規定されるクローラ周方向の範囲(L1)内の位置に、言い換えれば、当該範囲(L1)よりも内側の範囲の位置に、配置されている。本実施形態では、芯金12の長さL1は、芯金12の最大長さである。
また、溝15は、肉盛り部14の頂面14aからクローラ厚み方向に凹んでいる。図1に示すように、本実施形態では、溝15は、クローラ幅方向視で逆台形の形状に形作られており、溝底面15aと、2つの溝側面15bとを有している。詳細には、溝底面15aは平面に形作られており、2つの溝側面15bはそれぞれ、平面に形作られていると共に、肉盛り部14の頂面14aに向かうに従って、肉盛り部14に連結された隣接するラグ13側に接近するように傾斜した傾斜面に形作られている。また、溝15は、図1の平面視で、クローラ幅中心線O1に対して直交するクローラ幅方向線O2に対して平行に延びている。本実施形態では、溝15の溝底面15aと溝側面15bとの境界線(以下、「溝底区画線」ともいう。)Ldがクローラ幅方向線O2に対して平行に、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して直角(θ=90°)に延びている。更に、本実施形態では、図3に示すように、溝15の溝底面15aは、本体11の外周面に一致し、本実施形態では、本体11の外周面のうちの平面f1と同一の平面を形成している。
本実施形態では、溝15は、図1の平面視で、芯金12の少なくとも一部と重複する位置に配置されている。
本実施形態では、芯金12の外側端縁12eは、肉盛り部14の外側端縁(e1)よりもクローラ幅方向の内側に位置していると共に、図1の平面視で、溝15と重複する位置(溝15の一部を含む位置)に位置している。
肉盛り部14は、ラグ13に連続しているため、弾性クローラの巻き掛け時に抵抗となる。特に、本実施形態のように、肉盛り部14がクローラ周方向で隣り合うラグ13のそれぞれに連続している場合は、巻き掛け時の抵抗が大きい。こうした抵抗は、肉盛り部14に生じる歪を増大させ、また、駆動エネルギーのロスを生じさせる。
図3に示すように、本実施形態では、本体11に抗張体(例えば、スチールコード)16が埋設されている。本実施形態では、抗張体16は、芯金12よりも本体11の外周面に近い位置に配置されている。抗張体16は、例えば、クローラ周方向にスパイラル状に巻き付けられるか、抗張体16を有端帯状に形成した後に抗張体16の両端部を接合することにより、クローラ幅方向に連続して配置されている。
弾性クローラの曲げは一般的に、抗張体16を曲げ中心として生じるため、巻き掛け時に生じる抵抗は、抗張体16からクローラ厚み方向(本実施形態では、本体11の外周面に向かう方向)に遠ざかる位置になるほど大きくなる。このため、弾性クローラの巻き掛け時に肉盛り部14に生じる歪は、肉盛り部14の頂面14aで大きく、特に、図1に示すような、肉盛り部14の頂面14aとラグ13との境界線Lc上で大きい。
また、本実施形態に係る弾性クローラ1のように、肉盛り部14がラグ13と連続している場合、弾性クローラを駆動させて回転させると、ラグ13が肉盛り部14をクローラ周方向に引っ張るため、ラグ13と肉盛り部14との境界線上、特に、ラグ13と肉盛り部14の頂面14aとの境界線Lc上に、大きな歪が生じる。
また、本実施形態に係る弾性クローラ1のように、クローラ幅方向に延びた芯金12をクローラ周方向にラグ13と交互に間隔を置いて配置して弾性クローラを駆動させる場合、当該弾性クローラの側面視で、あたかも境界線Lcを頂点とする多角形状の環状体のように、弾性クローラが回転することで、ラグ13と肉盛り部14との境界線上、特に、境界線Lc上に大きな歪が生じる。
このように、ラグ13と肉盛り部14が連続する場合、ラグ13と肉盛り部14との境界線上、特に、ラグ13と肉盛り部14の頂面14aとの境界線Lc上に歪が集中し易い。
これに対し、本実施形態に係る弾性クローラ1では、溝15が肉盛り部14に形成されており、かつ、溝15は、図1の平面視で、クローラ周方向での芯金12の長さL1の範囲内の位置に配置されている。
このように、肉盛り部14に溝15を形成すれば、肉盛り部14の一部の剛性が低下して肉盛り部14が曲がり易くなることにより、ラグ13と肉盛り部14との境界線上に生じる歪、特に、ラグ13と肉盛り部14の頂面14aとの境界線Lc上に集中する歪を抑制することができる。また、これにより、ラグ13と肉盛り部14との境界線上に生じる歪に起因して生じる問題、たとえば、ラグ13と肉盛り部14との境界線上の疲労、特に、ラグ13と肉盛り部14の頂面14aとの境界線Lc上の疲労が抑えられることで、耐久性が向上し、また、歪が生じることに起因する駆動エネルギーロスも低減される。
また、本実施形態のように、ラグ13から肉盛り部14をクローラ周方向に連続させると、肉盛り部14が、ラグ13間に抱え込んだ土砂や泥等の異物をクローラ幅方向外側に逃がすことを妨げてしまう。このため、ラグ13から肉盛り部14をクローラ周方向に連続させるだけでは、ラグ13間での異物の詰まりが生じ易くなる。更に、こうした異物の詰まりは、旋回動作時の抵抗になり、また、旋回半径を大きくさせてしまう。
これに対しても、本実施形態に係る弾性クローラ1は、肉盛り部14に形成した溝15を通して異物をクローラ幅方向外側に逃がすことができる。また、異物の詰まりが抑制されることにより、旋回動作時の抵抗を軽減することができ、また、旋回半径が大きくなることを防止することができる。
ところで、弾性クローラの巻き掛け時に生じる歪は、溝15にも生じ得る。溝15に生じる歪は、溝15の溝底面15aで大きく、特に、溝底面15aと溝側面15bとの境界線である溝底区画線Ld上で大きい。
これに対し、本実施形態に係る弾性クローラ1では、芯金12は、クローラ幅方向に延びており、溝15は、図1の平面視で、芯金12の外側端縁12eとの関係からも明らかなように、芯金12の少なくとも一部と重複する位置(芯金12の少なくとも一部を含む位置)に配置されている。この場合、溝15の少なくとも一部が芯金12上に存在することにより、溝15に生じる歪、特に、溝15の溝底区画線Ld上に生じる歪を抑制することができる。
また、弾性クローラは芯金のクローラ幅方向端部においてクローラ幅方向への曲げ等の変形に伴い、歪を生じ易い。これに対し、本実施形態に係る弾性クローラ1では、芯金12は、クローラ幅方向に延びており、溝15は、クローラ幅方向での芯金12の外側端縁12eを横切る位置に配置されている。この場合、図1の平面視で、肉盛り部14が芯金12の外側端縁12e上に配置されていることで、芯金12の外側端縁12e近傍に生じ易い歪みを抑制することができる。
なお、本実施形態では、短ラグ部13a側の境界線Lcは、短ラグ部13aの第1部分13a1と肉盛り部14の頂面14aとの境界線(以下、「短ラグ部13a側の境界線Lc」ともいう。)である。短ラグ部13a側の境界線Lcは、図1の平面視で、短ラグ部13aの第1部分13a1の根元部分(輪郭線La1)に対して平行であり、短ラグ部13a側の境界線Lcがクローラ幅方向線O2に対してなす角度θ5は、角度θ5=θ1である。言い換えれば、短ラグ部13a側の境界線Lcがクローラ幅方向中心線O1に対してなす角度θ(=90°−θ5)は、角度(90°−θ1)である。また、本実施形態では、長ラグ部13b側の境界線Lcは、長ラグ部13bの第1部分13b1と肉盛り部14の頂面14aとの境界線(以下、「長ラグ部13b側の境界線Lc」ともいう。)である。長ラグ部13b側の境界線Lcは、図1の平面視で、長ラグ部13bの第1部分13b1の根元部分(輪郭線Lb1)に対して平行であり、長ラグ部13b側の境界線Lcがクローラ幅方向線O2に対してなす角度θ6は、角度θ6=θ3である。言い換えれば、長ラグ部13b側の境界線Lcがクローラ幅方向中心線O1に対してなす角度θ(=90°−θ6)は、角度(90°−θ3)である。すなわち、図1の平面視で、短ラグ部13a側の境界線Lcは、本体11の外周面(本実施形態では、平面f1)で、ラグ13の短ラグ部13aに対して平行に延びている。また、長ラグ部13b側の境界線Lcは、図1の平面視で、本体11の外周面(本実施形態では、平面f1)で、ラグ13の長ラグ部13bに対して平行に延びている。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る弾性クローラ2の外周面の一部を示す平面図である。以下、上述した第1の実施形態に係る弾性クローラ1と実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
弾性クローラ2は、弾性クローラ1と基本的な構成は同じであるが、図4に示すように、弾性クローラ2では、芯金12の外側端縁12eは、肉盛り部14の外側端縁(e1)よりもクローラ幅方向の外側に位置している。この場合、溝15全体が芯金12上に存在することにより、溝15に生じる歪、特に、溝底区画線Ld上に生じる歪を更に抑制することができる。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る弾性クローラ3の外周面の一部を示す平面図である。以下、上述した第1の実施形態に係る弾性クローラ1と実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
弾性クローラ3は、弾性クローラ1と基本的な構成は同じであるが、図5に示すように、弾性クローラ3では、芯金12の外側端縁12eは、肉盛り部14よりもクローラ幅方向の内側に位置していると共に、図5の平面視で溝15と重複しない位置(溝15を全く含まない位置)にある。肉盛り部14の下に芯金12がある場合、芯金端部が屈曲の起点となるが、上記の構成の場合、肉盛り部14近傍において弾性クローラ1は柔軟に曲げられるため、境界線Lcにおける歪みを更に低減出来る。
図6は、本発明の第4の実施形態に係る弾性クローラ4の外周面の一部を示す平面図である。以下、上述した第1の実施形態に係る弾性クローラ1と実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
弾性クローラ4は、弾性クローラ1と基本的な構成は同じであるが、図6に示すように、弾性クローラ4では、芯金12のクローラ周方向の長さを、第1の実施形態での長さL1よりも長いL2(L1<L2)としている。この場合、芯金12の翼12bの一部が、図6の平面視で、ラグ13の一部に対してクローラ周方向で重複する位置(本実施形態では、短ラグ部13aの第1部分13a1の根元部分(輪郭線La1)の一部と、長ラグ部13bの第1部分13b1の根元部分(輪郭線Lb1)の一部とを含む位置)にある。この場合、ラグ13と肉盛り部14との境界線上に生じる歪、特に、ラグ13と肉盛り部14の頂面14aとの境界線Lc上に生じる歪を更に抑制することができる。
図7は、本発明の第5の実施形態に係る弾性クローラ5の外周面の一部を示す平面図である。以下、上述した第1の実施形態に係る弾性クローラ1と実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
弾性クローラ5では、本体11の外周面に、長ラグ17と短ラグ18とがクローラ周方向に間隔を置いて配置されている。長ラグ17及び短ラグ18は、それぞれ、クローラ幅方向に延びており、図7の平面視で、クローラ幅方向に間隔を置いてクローラ幅中心線O1を挟んで対称な位置に配置されている。本実施形態では、長ラグ17及び短ラグ18は、加硫ゴムからなる。図7に示すように、長ラグ17及び短ラグ18はそれぞれ、長ラグ17と短ラグ18とのクローラ周方向での関係が、芯金12を挟んで交互に入れ替わるように配置されている。
本実施形態では、長ラグ17は、図7の平面視で、本体11の幅方向中心側に配置されたクローラ幅方向中心側部分(以下、「第1部分」ともいう。)17a1と、第1部分17a1に繋がり、第1部分17a1よりもクローラ幅方向外側に配置されたクローラ幅方向外側部分(以下、「第2部分」ともいう。)17a2と、で形作られている。
詳細には、図7の平面視で、長ラグ17の第1部分17a1は、本体11の平面f1上に、平面f1のクローラ幅方向外縁e1に至るまで形成されており、長ラグ17の第2部分17a2は、平面f1のクローラ幅方向外縁e1からクローラ幅方向外縁11eに至るまで形成されている。
本実施形態では、長ラグ17の第1部分17a1は、クローラ周方向に対して傾斜している。詳細には、図7の平面視で、本体11の外周面と繋がる長ラグ17の第1部分17a1の根元部分であって、長ラグ17の第1部分17a1の外観形状を形作る輪郭線La1を基準にすると、長ラグ17の第1部分17a1の根元部分(輪郭線La1)は、クローラ幅方向線O2に対して角度θ7で傾斜している。
更に、本実施形態では、長ラグ17の第2部分17a2は、クローラ幅方向に対して平行に、言い換えれば、クローラ周方向に対して直角(θ=90°)に延びている。なお、本実施形態では、図7の平面視で、本体11の外周面と繋がる長ラグ17の第2部分17a2の根元部分であって、長ラグ17の第2部分17a2の外観形状を形作る輪郭線La2は、クローラ幅方向外側に向かうに従って第2部分17a2の根元部分(輪郭線La2)のクローラ周方向の間隔が広くなるように、クローラ幅方向線O2に対して角度θ8、言い換えれば、クローラ周方向に対して角度θ(=90°−θ8)で傾斜している。
また、本実施形態では、短ラグ18は、図7の平面視で、本体11の幅方向中心側に配置されたクローラ幅方向中心側部分(以下、「第1部分」ともいう。)18b1と、第1部分18b1に繋がり、第1部分18b1よりもクローラ幅方向外側に配置されたクローラ幅方向外側部分(以下、「第2部分」ともいう。)18b2と、で形作られている。
詳細には、図7の平面視で、短ラグ18の第1部分18b1は、本体11の平面f1上に、平面f1のクローラ幅方向外縁e1に至るまで形成されており、短ラグ部18の第2部分18b2は、平面f1のクローラ幅方向外縁e1から傾斜面f2の一部にわたって形成されている。
本実施形態では、短ラグ18の第1部分18b1は、クローラ周方向に対して傾斜している。詳細には、図7の平面視で、本体11の外周面と繋がる短ラグ18の第1部分18b1の根元部分であって、短ラグ18の第1部分18b1の外観形状を形作る輪郭線Lb1を基準にすると、短ラグ18の第1部分18b1の根元部分(輪郭線Lb1)は、クローラ幅方向線O2に対して角度θ9で傾斜している。本実施形態では、短ラグ18の第1部分18b1の根元部分(輪郭線Lb1)の角度θ9を、長ラグ17の第1部分17a1の根元部分(輪郭線La1)の角度θ7と等しくすることにより、図7の平面視で、短ラグ18の第1部分18b1は、長ラグ17の第1部分17a1に対して平行に傾斜している。
本実施形態では、クローラ周方向に隣り合う長ラグ17及び短ラグ18は、本体11の平面f1上で互いに同じ向きに傾斜している。なお、本発明において、「長ラグ17及び短ラグ18が同じ向きに傾斜している。」とは、例えば、図1の平面視で、長ラグ17及び短ラグ18が同一の一方のクローラ周方向に向かうに従って同一の一方のクローラ幅方向に近づくように傾斜することを意味し、必ずしも平行である必要はない。
また、本実施形態では、肉盛り部14はそれぞれ、長ラグ17の第1部分17a1と短ラグ18の第1部分18b1とに連続している。詳細には、肉盛り部14はそれぞれ、図7の平面視で、平面f1上をクローラ周方向に延びていると共に、肉盛り部14の外側端縁は、平面f1のクローラ幅方向外縁e1よりも、クローラ幅方向中心側に位置している。
更に、本実施形態では、長ラグ部17側の境界線Lcは、長ラグ部17の第1部分17a1と肉盛り部14の頂面14aとの境界線(以下、「長ラグ17側の境界線Lc」ともいう。)である。長ラグ17側の境界線Lcは、図7の平面視で、長ラグ17の第1部分17a1の根元部分(輪郭線La1)に対して平行であり、長ラグ17側の境界線Lcがクローラ幅方向線O2に対してなす角度θ10は、角度θ10=θ7である。言い換えれば、長ラグ17側の境界線Lcがクローラ幅方向中心線O1に対してなす角度θ(=90°−θ10)は、角度(90°−θ7)である。また、本実施形態では、短ラグ部18側の境界線Lcは、短ラグ部18の第1部分18a1と肉盛り部14の頂面14aとの境界線(以下、「短ラグ18側の境界線Lc」ともいう。)である。短ラグ18側の境界線Lcは、図7の平面視で、短ラグ18の第1部分18b1の根元部分(輪郭線Lb1)に対して平行であり、短ラグ18側の境界線Lcがクローラ幅方向線O2に対してなす角度θ11は、角度θ11=θ9である。言い換えれば、短ラグ18側の境界線Lcがクローラ幅方向中心線O1に対してなす角度θ(=90°−θ11)は、角度(90°−θ9)である。すなわち、図1の平面視で、長ラグ17側の境界線Lcは、本体11の外周面(本実施形態では、平面f1)で、長ラグ17に対して平行に延びている。また、短ラグ18側の境界線Lcは、図1の平面視で、本体11の外周面(本実施形態では、平面f1)で、短ラグ18に対して平行に延びている。
更に、本実施形態では、溝15において、長ラグ17側の溝底区画線Ldは、図7の平面視で、クローラ幅方向線O2に対して角度θ12、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して角度θ(=90°−θ12)で傾斜している。また、本実施形態では、溝15において、短ラグ18側の溝底区画線Ldは、図7の平面視で、クローラ幅方向線O2に対して角度θ13、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して角度θ(=90°−θ13)で傾斜している。本実施形態では、長ラグ17側の溝底区画線Ldがクローラ幅方向線O2に対してなす角度θ12を、短ラグ18側の溝底区画線Ldがクローラ幅方向線O2に対してなす角度θ13と等しくすることにより、図1の平面視で、溝15の長ラグ17側の溝底区画線Ldと、溝15の短ラグ18側の溝底区画線Ldと、は、互い平行に傾斜している。
本実施形態では、溝15は、角度θ7=θ9=θ10=θ11=θ12=θ13とすることにより、図7の平面視で、長ラグ17及び短ラグ18と同じ向きに傾斜させている。なお、本発明において、「溝15は、図7の平面視で、長ラグ17及び短ラグ18と同じ向きに傾斜している。」とは、例えば、図7の平面視で、長ラグ17及び短ラグ18が同一の一方のクローラ周方向に向かうに従って同一の一方のクローラ幅方向に近づくように傾斜すると共に、溝15も、長ラグ17及び短ラグ18と同じ一方のクローラ周方向に向かうに従って同一の一方のクローラ幅方向に近づくように傾斜することを意味し、必ずしも平行である必要はない。このため、本実施形態において、「溝15は、図7の平面視で、長ラグ17及び短ラグ18と同じ向きに傾斜している。」とは、角度θ7,θ9〜θ13の数値が全て完全に一致するだけでなく、角度θ7,θ9〜θ13のそれぞれの数値が0°〜10°の誤差の範囲に含まれている場合も、「溝15は、図7の平面視で、長ラグ17及び短ラグ18と同じ向きに傾斜している。」ということになる。
また、本実施形態では、溝15は、クローラ周方向での芯金12の長さL1に対し、芯金12の長さL1よりも狭い幅(クローラ周方向の幅)W2を有している。かつ、図1に示すように、溝15は、図1の平面視で、芯金12の長さL1で規定される範囲内の位置に配置されている。なお、本実施形態において、「溝15は、図1の平面視で、芯金12の長さL1で規定される範囲内の位置に配置されている」とは、図1の平面視で、溝15の一部が芯金12の長さL1の範囲から外れている場合も含まれる。
上述のとおり、本実施形態に係る弾性クローラ5では、図7の平面視で、長ラグ17及び短ラグ18はクローラ周方向に対して傾斜しており、溝15は、長ラグ17及び短ラグ18と同じ向きに傾斜している。
長ラグ17、短ラグ18及び溝15は、互いに同じ向きに傾斜して延びていることで、溝15で分けられた長ラグ17側の肉盛り部14は、クローラ幅方向の肉盛り部14全域にわたってほぼ均等にクローラ周方向に延びている。このため、長ラグ17側の境界線Lc上に生じる歪や、溝15に生じる歪、特に、長ラグ17側の溝底区画線Ld上に生じる歪を、溝15に沿ってほぼ均一に抑制することができる。
同様に、溝15で分けられた短ラグ18側の肉盛り部14も、クローラ幅方向の肉盛り部14全域にわたってほぼ均等にクローラ周方向に延びている。このため、短ラグ18側の境界線Lc上に生じる歪や、溝15に生じる歪、特に、短ラグ18側の溝底区画線Ld上に生じる歪も、溝15に沿ってほぼ均一に抑制することができる。
特に、本実施形態のように、長ラグ17、短ラグ18及び溝15を、互いに平行に傾斜させれば、境界線Lc上に生じる歪や、溝15に生じる歪、特に、溝底区画線Ld上に生じる歪を、溝15に沿ってより均一に近い状態に抑制することができる。更に、本実施形態に係る弾性クローラ5では、角度θ7,θ9〜θ13を適宜、調整することができる。
ところで、上述した本発明の様々な実施形態では、本体11の平面視で、クローラ幅方向中心領域において、ラグの一部をクローラ周方向に対して0°<θ<90°となる角度θで傾斜させているが、角度θ=90°、即ち、ラグ全体をクローラ幅方向線O2に対して平行に延ばすことも可能である。
図8は、本発明の第6の実施形態に係る弾性クローラ6の外周面の一部を示す平面図である。以下、上述した第1の実施形態に係る弾性クローラ1と実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
本発明の第6の実施形態に係る弾性クローラ6は、上述の第5の実施形態に係る弾性クローラ5と同様、肉盛り部14に形成した溝15は、図8の平面視で、ラグと同じ向きに傾斜している。
本実施形態では、本体11の外周面に、長ラグ19と短ラグ20とがクローラ周方向に間隔を置いて配置されている。本実施形態では、長ラグ19及び短ラグ20は、加硫ゴムからなる。本実施形態では、長ラグ19及び短ラグ20は、それぞれ、クローラ幅方向に沿って延びており、図8の平面視で、クローラ幅中心線O1を挟んで対称な形状である。長ラグ19及び短ラグ20はそれぞれ、クローラ周方向で、芯金12を挟んで交互に入れ替わるように配置されている。
図8に示すように、本実施形態では、長ラグ19は、クローラ幅方向に間隔を置いて本体11の平面f1からクローラ幅方向外縁11eにかけて形成された2つのラグ本体部19aと、これらラグ本体部19aを繋ぐ連結ラグ部19bと、で形作られている。本実施形態では、連結ラグ部19bは、2つのラグ本体部19aの間に窪みを形成している。
本実施形態も、2つのラグ本体部19aは、それぞれ、クローラ周方向に対して傾斜している。本実施形態では、2つのラグ本体部19aは、それぞれ、クローラ幅方向線O2に対して平行に延びている。詳細には、図8の平面視で、本体11の外周面と繋がるラグ本体部19aの根元部分であって、ラグ本体部19aの外観形状を形作る輪郭線Laを基準にすると、ラグ本体部19aの根元部分(輪郭線La)は、クローラ幅方向線O2に対して角度θ14(本実施形態では、θ14=0)、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して角度(θ=90°)で傾斜している。
また、図8に示すように、本実施形態では、短ラグ20は、クローラ幅方向に間隔を置いて本体11の平面f1から傾斜面f2のクローラ幅方向外縁e2にかけて形成された2つのラグ本体部20bと、これらラグ本体部20bを繋ぐ連結ラグ部20cと、で形作られている。本実施形態では、連結ラグ部20cは、2つのラグ本体部20bの間に窪みを形成している。
本実施形態も、2つのラグ本体部20bは、それぞれ、クローラ周方向に対して傾斜している。本実施形態では、2つのラグ本体部20bは、それぞれ、クローラ幅方向線O2に対して平行に延びている。詳細には、図8の平面視で、本体11の外周面と繋がるラグ本体部20bの根元部分であって、ラグ本体部20bの外観形状を形作る輪郭線Lbを基準にすると、ラグ本体部20bの根元部分(輪郭線Lb)は、クローラ幅方向線O2に対して角度θ15(本実施形態では、θ15=0)、言い換えれば、クローラ幅中心線O1に対して角度(θ=90°)で傾斜している。
また、本実施形態では、第1の実施形態に係る弾性クローラ1と同様、溝15は、クローラ幅中心線O1に対して直交するクローラ幅方向線O2に対して平行に延びている。これにより、本実施形態では、溝15は、図8の平面視で、長ラグ19及び短ラグ20と同じ向きに傾斜している。
更に、本実施形態では、溝15の長ラグ19側の溝底区画線Ldは、図8の平面視で、クローラ幅中心線O1に対して角度(θ=90°)で傾斜している。また、本実施形態では、溝15の短ラグ20側の溝底区画線Ld)は、図8の平面視で、クローラ幅中心線O1に対して角度(θ=90°)で傾斜している。すなわち、溝15の溝底区画線Ldはそれぞれ、長ラグ19及び短ラグ20と共に、クローラ幅方向線O2に対して平行に延びている。
本実施形態に係る弾性クローラ6も、他の実施形態と同様、境界線Lc上に生じる歪を抑制することができ、これにより、ラグ13と肉盛り部14との境界線上に生じる歪に起因して生じる問題を解決し、また、異物の詰まりや当該異物の詰まりに起因して生じる問題を解決することができる。
上述したとおり、各実施形態に係る弾性クローラによれば、ラグと肉盛り部との境界線上に生じる歪を抑制することができる弾性クローラを提供することができる。
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を開示したにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、上述の各実施形態のように、本体11を平面視したときに、肉盛り部14に形成した溝15がラグと同じ向きに傾斜しているかどうかは、本体11の外周面のうち、クローラ幅方向の中心領域に配置された平坦な面(本実施形態では、平面f1)において判断することができる。クローラ厚み方向での本体11の外周面(f1)からの肉盛り部14の高さは、クローラ厚み方向での本体11の外周面(f1)からのラグの高さ以下であればよい。このため、肉盛り部14の高さを所定の高さとすることにより、肉盛り部14は、ラグと同様の機能(例えば、ラグと同様に接地して駆動伝達を行う機能)を有してもよい。本体11の外周面からの肉盛り部14の高さは、例えば、平面f1からの肉盛り部14の高さhである。更に、溝15は、クローラ厚み方向での深さを本体11の外周面と一致させるだけでなく、本体11の外周面(f1)よりも肉盛り部14の頂面14aに近い位置に溝底面15aの高さが嵩上げされるように構成することも可能である。溝15の、肉盛り部14の頂面14aからの深さDは、例えば、最も深いもので溝底面15aが本体11の外周面(f1)と一致している。また、溝15は、例えば、図1,4,6,7及び8の平面視のように、芯金12の外側端縁12eのうち、クローラ周方向延在端縁12e1の領域のみで重複することが好適である。この場合、芯金12の角部端縁12e2を起点とした本体部11(ゴム)におけるクラックの発生を抑制することができる。また、溝15の断面形状は、逆台形の形状に限定されることなく、V溝、角溝等であってもよい。更に、溝15は、肉盛り部14をクローラ幅方向全体に渡って横切るだけでなく、肉盛り部14のクローラ幅方向外縁の少なくともいずれか一方を閉じる形状とすることもできる。
また、上述したそれぞれの実施形態に係る弾性クローラの各構成部分は、適宜、互いに置き換えて、或いは、他の実施形態に対して付加することができる。