JP6616152B2 - バーナ - Google Patents

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Description

本発明は、粉体のバイオマス燃料の燃焼に用いられるバーナに関するものである。
地球温暖化問題におけるCOの低減策の1つとしては、再生可能エネルギーの利用を促進することが考えられている。また、再生可能エネルギーについては、カーボンニュートラルの観点から、木材等、植物由来のバイオマスの燃料としての利用が注目されている。
バイオマス燃料の1つとしては、木材などの木質バイオマスを粉体化して製造される粉体バイオマス燃料(バイオマス粉体燃料)が知られている。
この種の粉体バイオマス燃料を主燃料として使用するバーナは、従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このバーナは、使用可能な粉体バイオマス燃料の平均粒径が、300μm以下、好ましくは100μm以下とされている。更に、このバーナは、平均粒径が30〜40μmのバイオマス微細粉燃料を用いるのが好適とされている。
特開2011−7478号公報
ところで、木質バイオマスは、繊維を含んでいるため、粉砕処理に要する時間とエネルギーが嵩む。そのため、粉体バイオマス燃料は、粒径が小さくなるほど製造コストが嵩む。
そのため、特許文献1に示されたバーナのように、平均粒径が100μm以下というような小さい粒径の粉体バイオマス燃料の使用が望まれるバーナは、運転する際の燃料コストが嵩むというのが実状である。
なお、木質バイオマスは水分を含んでいるものであるため、木質バイオマスから製造される粉体バイオマス燃料は、粒径が大きくなると燃焼に時間を要するようになる。また、粉体バイオマス燃料は、粒径が大きくなって粉体(粒子)の重量が大きくなると、気流中で浮遊させることが難しくなる。
したがって、1000μmを超えるような粒径の粉体バイオマス燃料は、空間に浮遊させた状態で燃焼させることが困難とされている。
したがって、粉体バイオマス燃料を燃料として使用する従来のバーナは、使用可能な粉体バイオマス燃料の粒径に、100μm〜数百μm以下というような上限が設定されているというのが実状である。
そこで、本発明は、使用可能な粉体バイオマス燃料の粒径の上限を緩和することができるバーナを提供しようとするものである。
本発明は、前記課題を解決するために、軸心方向の一端側が閉塞され、横方向に延びる筒状の燃焼室と、前記燃焼室の軸心方向他端側に設けられた火炎噴出口と、前記燃焼室の軸心方向一端寄り位置の周壁に前記燃焼室の軸心位置からずれた方向に向けて設けられた空気供給ノズルと、前記燃焼室における前記空気供給ノズルよりも軸心方向一端側位置に、前記燃焼室の軸心位置からずれた方向で且つ軸心方向他端側に斜めに傾斜した方向に向く姿勢で設けられた燃料供給ノズルと、前記燃焼室に設けられた点火手段とを備え、前記点火手段は、前記燃焼室における前記空気供給ノズルよりも軸心方向一端側位置で、かつ、前記燃焼室における前記燃料供給ノズルよりも下流側となる位置に配置されるバーナとする。
前記空気供給ノズルは、前記燃焼室に、前記燃焼室の軸心方向に対して直交する平面に沿う配置で設けられた構成としてある。
前記空気供給ノズルは、前記燃焼室に同心配置として想定される仮想円の接線方向に向けて設けられ、且つ該仮想円の直径は前記燃焼室の内径の25%〜75%とした構成としてある。
前記空気供給ノズルは、前記燃焼室の周壁の周方向の3個所以上に設けられた構成としてある。
前記点火手段は、前記燃焼室に、前記燃焼室の軸心方向に対して直交する平面に沿う配置で設けられた構成としてある。
前記燃焼室における前記空気供給ノズルよりも軸心方向一端側位置に、前記燃焼室内に粉体バイオマス燃料を供給する向きが前記燃焼室の軸心位置からずれた方向で且つ軸心方向他端側に斜めに傾斜した方向に向く姿勢で設けられた前記燃料供給ノズルは、前記空気供給ノズルから供給される燃焼用空気により前記燃焼室内に形成される旋回流の旋回方向に沿う向きで且つ前記燃焼室の軸心方向他端側に斜めに傾斜した方向に向く姿勢とされた構成としてある。
前記燃焼室は、軸心方向の他端寄りの領域に、軸心方向一端寄り部分の径よりも小さい
径の縮径部を備えた構成としてある。
前記縮径部の流路断面積と、前記燃焼室の軸心方向一端側寄り部分の流路断面積と、の比は、1:1.2から1:1.5の範囲の構成としてある。
本発明のバーナによれば、使用可能な粉体バイオマス燃料の粒径の上限を緩和することができる。
(a)(b)はバーナの実施形態を示す図である。 図1(a)のA−A方向矢視図である。 図1(a)のB−B方向矢視図である。
以下、本発明のバーナについて、図面を参照して説明する。
図1は、バーナの実施形態を示すもので、図1(a)は概略切断側面図、図1(b)は概略切断平面図である。図2は、図1(a)のA−A方向矢視図である。図3は、図1(a)のB−B方向矢視図である。
本実施形態のバーナは、図1(a)(b)乃至図3に符号1で示すもので、横向きの円筒状の燃焼室2を備えている。燃焼室2は、軸心方向の一端側が端壁3で閉塞されている。燃焼室2の周壁4および端壁3は、少なくとも内側となる面に耐火材を備えた構成とされている。
燃焼室2の軸心方向他端側は、外部に連通する開口とされ、この開口が本実施形態のバーナ1の火炎噴出口5とされている。
燃焼室2の軸心方向一端寄り位置の周壁4には、空気供給ノズル6が設けられている。燃焼室2における空気供給ノズル6の設置位置よりも軸心方向一端側となる位置には、粉体バイオマス燃料8の燃料供給ノズル7と、点火手段としての点火バーナ9が備えられている。
空気供給ノズル6は、燃焼室2の軸心方向一端寄りで且つ端壁3より設定された寸法離れた位置の周壁4に、燃焼室2の軸心方向に対して交差する平面、より好ましくは直交する平面に沿い且つ燃焼室2の軸心位置からずれた方向に向く配置で設けられている。図示しないが、空気供給ノズル6の上流側には、燃焼用空気10の供給部が空気供給ラインを介して接続されている。
これにより、空気供給ノズル6から燃焼室2内に燃焼用空気10を供給すると、燃焼室2内に燃焼用空気10の旋回流11a,11bが形成される。この際、主流の旋回流11aは、燃焼室2における空気供給ノズル6の設置位置から軸心方向他端側の火炎噴出口5に向かう流れになるが、燃焼室2における空気供給ノズル6の設置位置よりも軸心方向一端側となる領域にも、燃焼用空気10の旋回流11bは形成される。この旋回流11bの流速が、旋回流11aの流速と異なっていてもよいことは勿論である。
更に、燃焼室2内に、図2に一点鎖線で示すような燃焼室2の内径Dの25%〜75%(50%±25%)、より好ましくは40%〜65%、更に好ましくは45%〜60%の直径dを有する仮想円12を同心配置で想定し、空気供給ノズル6は、この仮想円12の接線に沿う配置とされることが好ましい。
また、空気供給ノズル6は、燃焼室2の周壁4に対し、周方向にほぼ等間隔で3個所以上の複数個所に設定されていることが好ましい。図1(a)(b)乃至図3は、周壁4の周方向等間隔の3個所に空気供給ノズル6が設けられた構成例を示している。
かかる構成によれば、1つの空気供給ノズル6から燃焼室2内に供給される燃焼用空気10には、空気供給方向の下流側に隣接配置されている他の空気供給ノズル6から供給される燃焼用空気10が、仮想円12の外周側から当たるようになる。このため、燃焼用空気10の進行方向は、燃焼室2の軸心寄りに転向される。この現象は、各空気供給ノズル6から供給される燃焼用空気10について、各空気供給ノズル6が配置されている周方向の複数個所で繰り返し行われる。これにより、燃焼室2内では、旋回流11a,11bは、図1(a)(b)に示すように、図2に示した仮想円12の直径dに対応した直径で燃焼室2の軸心方向に沿って延びる円筒状の領域を主として流れるようになる。
このような旋回流11a,11bを良好に形成させるという観点から考えると、各空気供給ノズル6からは燃焼用空気10を噴出するようにし、そのときの噴出速度vjは、7m/s〜25m/sに設定することが好ましく、10m/s〜20m/sに設定することがより好ましく、10m/s〜15m/sに設定することが更に好ましい。なお、燃焼室2内に燃焼用空気10の旋回流11a,11bを形成することができるようにしてあれば、空気供給ノズル6の数や燃焼室2の内径Dや仮想円12の直径d等に応じて、空気供給ノズル6から噴出させる燃焼用空気10の噴出速度vjを前記した範囲以外の値に設定してもよいことは勿論である。
なお、前記のように各空気供給ノズル6の配置の設定に用いる仮想円12の直径dが燃焼室2の内径Dの25%未満の場合は、空気供給ノズル6から燃焼室2内に供給される燃焼用空気10の流れが、燃焼室2の軸心位置の近くを集中して通ることになる。このため、燃焼室2内では、軸心方向の流れが強くなり、燃焼用空気10の旋回流が形成されにくくなったり、旋回流が形成されるとしても旋回方向の流速が遅くなったりするので、あまり好ましくない。
一方、前記仮想円12の直径dが燃焼室2の内径Dの75%を超過する構成があまり好ましくないのは以下の理由による。この構成では、各空気供給ノズル6から燃焼室2内に供給される燃焼用空気10の流れが、他の空気供給ノズル6から供給される燃焼用空気10の流れの影響を受ける前に周壁4の内面に到達しやすい。この場合は、燃焼室2に、周壁4の内面に沿う旋回流が形成されるので、後述するように粉体バイオマス燃料8の燃焼によって発生する火炎も旋回流と共に周壁4の内面に沿うようになる。そのため、燃焼室2の内底部に対しては、火炎による熱の供給は行えるとしても、供給されるガスは火炎の発生によって酸素が消費されたガスとなってしまう。よって、燃焼室2の内底部に落下する未燃の粉体バイオマス燃料8に対して酸素を多く含んだ燃焼用空気10を供給し難くなるため、未燃の粉体バイオマス燃料8の燃焼を促す効果が低下してしまう。
なお、空気供給ノズル6から供給する燃焼用空気10により燃焼室2内に旋回流を形成させることができるようになっていれば、空気供給ノズル6の数は2または1であってもよく、燃焼室2の軸心方向一端寄り位置に設ける空気供給ノズル6の向きは、前述した以外の向きに設定してもよいことは勿論である。
空気供給ノズル6から燃焼室2内へ供給する燃焼用空気10の量は、燃料供給ノズル7から燃焼室2内へ供給される粉体バイオマス燃料8の完全燃焼に必要とされる空気量(理論空気量)に対して、0.7〜1.2倍となるように設定することが好ましい。これは、燃焼室2に供給される燃焼用空気10の量が前記範囲の下限値を下回ると、燃焼室2内で粉体バイオマス燃料8の燃焼を良好に開始させるために必要とされる酸素に不足が生じるためである。一方、粉体バイオマス燃料8は、燃焼用空気10の供給量が前記範囲の上限値を上回ると、燃焼が安定しないという知見が得られている。そのため、燃焼室2に供給される燃焼用空気10の量が前記範囲の上限値を超えないようにすることが、粉体バイオマス燃料8の安定した燃焼に有効となる。なお、前記範囲のうち、燃焼室2に供給される燃焼用空気10の量が理論空気量に対し1.0倍未満となる場合は、燃焼室2の周壁における火炎噴出口5の近傍となる個所や、火炎噴出口5の下流側近傍位置に、空気供給ノズルのような燃焼用空気10の供給手段(図示せず)を追加した構成として、粉体バイオマス燃料8の完全燃焼を図るようにすればよい。なお、この追加の燃焼用空気10の供給手段は、燃焼室2に供給される燃焼用空気10の量が理論空気量に対し1.0倍以上となる場合に装備してもよい。
燃料供給ノズル7は、たとえば、図1(a)(b)および図3に示すように、燃焼室2における端壁3の近傍となる位置に、旋回流11a,11bの旋回方向に沿う方向から燃焼室2の軸心方向他端側に斜めに傾斜した方向に向く姿勢で設けられている。なお、燃料供給ノズル7内での粉体バイオマス燃料8の流通を良好に行わせるという観点からは、燃料供給ノズル7は、図3に示すように、斜め下向きに傾斜した姿勢で設けることが好ましい。
なお、図示してないが、燃料供給ノズル7の上流側には、燃料供給部より粉体バイオマス燃料8を空気搬送する燃料供給ラインが接続されている。
前記燃料供給部は、粒度分布を有し、粒径の上限がおよそ1500μmであり、更に、水分の上限がおよそ30%となる粉体バイオマス燃料8を供給する機能を備えている。
これにより、燃料供給ノズル7から燃焼室2内へ粉体バイオマス燃料8が供給されると、粉体バイオマス燃料8に含まれている粒度分布を有する粉体のうち、500μm程度までの比較的粒径が小さい小粒径粉体は、燃焼室2内に形成されている燃焼用空気10の旋回流11aや旋回流11bに乗って旋回し、燃焼用空気10に対して速やかに分散して混合される。よって、燃焼室2内の温度が粉体バイオマス燃料8の着火温度以上となっているか、あるいは、燃焼室2内の軸心方向一端側の小粒径粉体が通過する領域に種火が存在していれば、小粒径粉体は、燃焼用空気10の旋回流11a,11b中で空間に浮遊した状態で速やかに燃焼される。このように燃料が空間に浮遊した状態で燃焼されることを、以下、空間燃焼という。
このように小粒径粉体が旋回流11bに乗って旋回しながら速やかに燃焼されるときの火炎は、燃料供給ノズル7から小粒径粉体を含んだ粉体バイオマス燃料8が供給されている間、継続して生じるようになる。よって、この旋回流11bに乗って燃焼室2内の軸心方向一端側の領域に保持される火炎は、その後に燃料供給ノズル7から燃焼室2内に供給される粉体バイオマス燃料8に着火するための種火として利用することが可能になる。
粉体バイオマス燃料8に含まれている粒径が前記小粒径粉体よりも大きく且つ1000μm程度までとなる中粒径粉体は、燃料供給ノズル7から燃焼室2内に供給されると、燃焼用空気10の旋回流11a,11bに乗って旋回する。このため中粒径粉体も、小粒径粉体と同様に燃焼用空気10と速やかに混合されて燃焼が開始されるが、完全に燃焼するまでには小粒径粉体よりも時間がかかる。よって、中粒径粉体は、燃焼用空気10の旋回流11aや旋回流11bに乗って旋回しながら、次第に空間燃焼される。
したがって、燃焼室2では、旋回流11a,11bに沿って小粒径粉体や中粒径粉体の燃焼による火炎が発生し、このうち旋回流11aに沿って生じる火炎が、旋回流11aと共に火炎噴出口5より外部へ噴出されるようになる。
粉体バイオマス燃料8に含まれている粒径が中粒径粉体よりも大きく且つ1500μm程度までの粒径を有する大粒径粉体は、燃料供給ノズル7から燃焼室2内に供給されると、旋回流11a,11bの流れに一旦取り込まれるが、自重により旋回流11a,11b中で落下するため、旋回流11aには同伴されずに、図3に二点鎖線で示すように、燃焼室2の内底部に落下する。図1(b)および図2では、燃焼室2の内底部に落下した大粒径粉体を、符号8aを付して示している。
このように燃焼室2の内底部に落下した大粒径粉体8aは、その落下領域を通過する旋回流11a,11bから燃焼に必要な酸素の供給を受けると共に、前記したように旋回流11a,11bに沿って生じる火炎から熱分解や燃焼に必要な熱の供給を受ける。このため、大粒径粉体8aは、燃焼室2の内底部に落下した状態で、熱分解と燃焼が進行する。よって、この大粒径粉体8aによって生じる火炎も、旋回流11aと共に火炎噴出口5より外部へ噴出されるようになる。
なお、前記した小粒径粉体、中粒径粉体、大粒径粉体8aは、粉体の挙動を説明するための便宜的な分類であり、前記した粒径の範囲は厳密なものではない。たとえば、小粒径粉体に対応する粒径の粉体であっても、含まれる水分量などに起因して旋回流11a,11b中で速やかに燃焼しないものは、前述した中粒径粉体と同様の挙動で燃焼されることがある。一方、中粒径粉体に対応する粒径の粉体であっても、含まれる水分量が少ない場合や、燃焼性が良好な性状を有している場合は、前述した小粒径粉体と同様の挙動で燃焼されることがある。
また、小粒径粉体や中粒径粉体に対応する粒径の粉体であっても、含まれる水分量などに起因して、旋回流11a,11bに同伴されないものは、前述した大粒径粉体8aと同様に、燃焼室2の内底部に落下した状態で燃焼されることがある。一方、大粒径粉体8aに対応する粒径の粉体であっても、含まれる水分量が少ない場合や、燃焼性が良好な性状を有している場合は、前述した中粒径粉体と同様の挙動で燃焼されることがある。
点火バーナ9は、本実施形態では、燃焼室2における空気供給ノズル6の設置位置よりも軸心方向一端側となる位置で、且つ旋回流11bの旋回方向に沿って燃料供給ノズル7よりも下流側となる位置に設けられている。
点火バーナ9は、LPGやLNGや灯油などを燃料として用いるものを採用すればよい。点火バーナ9は、ランニングコストの観点から考えると、本実施形態のバーナ1の熱量の数%程度の熱量のものを使用することが好ましい。たとえば、本実施形態のバーナ1の熱量が10万kcal/hの場合、点火バーナ9は、5000kcal/h程度の熱量のものを用いるようにすればよい。
これにより、点火バーナ9は、本実施形態のバーナ1の起動時等に燃料を燃焼させることにより、燃焼室2内に粉体バイオマス燃料8を着火できる高温領域を形成する。なお、前述したように、燃焼室2にて旋回流11b中で小粒径粉体が順次燃焼するときの火炎を種火として保持できる場合は、その後の本実施形態のバーナ1の運転中、点火バーナ9は消すようにしてもよい。
また、点火バーナ9は、本実施形態のバーナ1の運転中に常時種火を保炎するように使用してもよい。この場合は、燃料供給ノズル7より燃焼室2内に順次供給される粉体バイオマス燃料8に対し、点火バーナ9で保炎する種火を用いて積極的に着火することができるため、使用する粉体バイオマス燃料8に粒径の変化や水分量の変化等に起因する燃焼性の変化が生じても、本実施形態のバーナ1の運転を安定して継続させることが可能になる。
なお、点火バーナ9は、燃焼室2内で燃焼用空気10と混合された粉体バイオマス燃料8を着火させることができれば、図示した以外の配置としてもよい。また、点火手段は、燃焼用空気10と混合された粉体バイオマス燃料8を着火させることができれば、化石燃料以外の任意の燃料を燃焼させる形式の点火バーナ9を用いるようにしてもよく、更には、プラズマやスパークのような電気的な現象を利用して着火させる形式等、燃料を使用する以外の形式の点火手段を用いるようにしてもよい。
燃焼室2は、図1(a)(b)に示すように、軸心方向他端寄りの領域に、軸心方向一端寄り部分の径よりも小さい径の縮径部13を備えた構成とされることが好ましい。この場合、縮径部13の流路断面積と、燃焼室2の軸心方向一端寄り部分の流路断面積との比が、1:1.2から1:1.5の範囲となることが好ましい。また、軸心方向一端寄りの部分の内周面と縮径部13の内周面との間は、軸心方向の一端側から他端側に向けて徐々に縮径するテーパ部14で繋がれた構成とすることが好ましい。
このように燃焼室2の軸心方向他端寄りに縮径部13を備える構成とすれば、前述したように燃焼室2の内底部に落下した状態で燃焼される大粒径粉体8aの火炎噴出口5への吹き抜けを防ぐことができる。よって、この縮径部13を備えた構成によれば、燃焼室2の内底部に落下した粉体バイオマス燃料8の大粒径粉体8aを、より確実に燃焼させることができる。更に、本実施形態のバーナ1を火炎噴出口5がやや下向きとなる傾斜姿勢で使用する場合に、大粒径粉体8aの火炎噴出口5への吹き抜けを防ぐためにも有効となる。
また、前記のような流路断面積の比とする構成や、テーパ部14を備える構成によれば、燃焼室2の軸心方向に形成させる旋回流11aの乱れを抑制することができる。
なお、燃焼室2は、縮径部13やテーパ部14を備えない構成としてもよいことは勿論である。
以上の構成としてある本実施形態のバーナを使用する場合は、燃焼室2では、空気供給ノズル6からの燃焼用空気10の供給を開始して、燃焼室2内に、燃焼用空気10の旋回流11a,11bを形成する。
続いて、点火バーナ9を点火して燃焼室2内に粉体バイオマス燃料8を着火する高温領域を形成する。
この状態で、燃料供給ノズル7から燃焼室2内への粉体バイオマス燃料8の供給を開始する。
燃焼室2内では、粉体バイオマス燃料8に含まれる小粒径粉体および中粒径粉体は、旋回流11a,11b中で空間燃焼し、旋回流11a,11bに同伴されない大粒径粉体8aは、燃焼室2の内底部に落下した状態で燃焼する。
このため、燃焼室2では、供給される粉体バイオマス燃料8を、その粒径ごとに適した挙動ですべて燃焼させることができる。その燃焼により生じる火炎は、旋回流11aに沿って円筒状の火炎として火炎噴出口5から外部へ噴出させることができる。
なお、本実施形態のバーナ1の運転を停止する場合は、燃焼室2への粉体バイオマス燃料8の供給を停止し、その後、燃焼用空気10の供給をしばらく継続すれば、燃焼室2の内底部に落下した大粒径粉体8aは燃焼させることができる。このため、本実施形態のバーナ1は、燃焼室2の内部で未燃の粉体バイオマス燃料の堆積物が成長したり、燃焼室2内にクリンカの塊が形成したりする虞を抑制することができる。
このように、本実施形態のバーナ1によれば、1500μm程度となる大粒径粉体8aや、更には、水分が30%程度となる粉体を含んだ粉体バイオマス燃料8も、燃料として使用することができる。
したがって、本実施形態のバーナ1は、使用可能な粉体バイオマス燃料8の粒径の上限、更には、水分の上限を、従来、粉体バイオマス燃料の燃焼に使用されていたバーナに比して緩和することができる。
更に、粉体バイオマス燃料の粒径が500μmであっても、水分が20%程度になると、従来のバーナでは着火させること自体が難しかったが、本実施形態のバーナ1では、前記したような粒径が1500μm、水分30%という条件の大粒径粉体8aを含んだ粉体バイオマス燃料8であっても着火させることができて、燃料として使用することができる。
また、粒径1500μm、水分30%の大粒径粉体8aを含んでいる粉体バイオマス燃料8は、粒径100μm、水分10%以下というような条件が求められる粉体バイオマス燃料に比して、単位時間当たりの製造量を1.5倍から2倍にすることができ、その分、製造コストが低くなる。このため、本実施形態のバーナ1は、より品位が低く、より安価なバイオマス燃料を使用することが可能になり、運転時の燃料コストの低減化を図ることができる。
よって、本実施形態のバーナ1は、粉体バイオマス燃料の燃焼に使用される従来のバーナに比して、ランニングコストの低減化を図ることができる。
これにより、本実施形態のバーナ1は、木質バイオマスから製造される粉体バイオマス燃料の利用拡大を促すのに有効であり、更には、化石燃料のバイオマス燃料への代替を促すことができて、COの低減化に有効となる。
なお、本発明のバーナは、前記実施形態にのみ限定されるものではなく、燃焼室2の径と軸心方向の寸法、燃焼室2の壁厚、各構成機器のサイズや、それらの寸法比は、図示するための便宜上のものであり、実際の装置構成を反映したものではない。
又、燃焼室2における燃料供給ノズル7の配置は、図示した以外の配置としてもよい。このことに関連して、燃焼室2内に形成させる旋回流11a,11bの旋回方向は、図示した旋回方向と逆の方向であってもよい。
燃焼室2における空気供給ノズル6の配置と設置数は、図示した以外の配置と設置数としてもよい。また、空気供給ノズル6は、燃焼室2内に旋回流11a,11bを形成できるようにしてあれば、燃焼室2の軸心方向の複数個所に備えるようにしてもよい。
粉体バイオマス燃料8としては、木質バイオマス由来のものを例示したが、バイオマス由来の燃料であって、且つ所定の粒径に粉体化された燃料であれば、木質以外の植物由来や微生物由来の粉体バイオマス燃料8を使用してもよい。
更に、本発明のバーナ1は、火炎と高温の燃焼ガスのいずれか一方または双方が要求される任意の需要先(利用先)に適用してよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 バーナ
2 燃焼室
4 周壁
5 火炎噴出口
6 空気供給ノズル
7 燃料供給ノズル
9 点火バーナ(点火手段)
10 燃焼用空気
11a,11b 旋回流
12 仮想円
13 縮径部
14 テーパ部

Claims (8)

  1. 軸心方向の一端側が閉塞され、横方向に延びる筒状の燃焼室と、
    前記燃焼室の軸心方向他端側に設けられた火炎噴出口と、
    前記燃焼室の軸心方向一端寄り位置の周壁に前記燃焼室の軸心位置からずれた方向に向けて設けられた空気供給ノズルと、
    前記燃焼室における前記空気供給ノズルよりも軸心方向一端側位置に、前記燃焼室内に粉体バイオマス燃料を供給する向きが前記燃焼室の軸心位置からずれた方向で且つ軸心方向他端側に斜めに傾斜した方向に向く姿勢で設けられた燃料供給ノズルと、
    前記燃焼室に設けられた点火手段とを備え
    前記点火手段は、前記燃焼室における前記空気供給ノズルよりも軸心方向一端側位置で、かつ、前記燃焼室における前記燃料供給ノズルよりも下流側となる位置に配置されること
    を特徴とするバーナ。
  2. 前記空気供給ノズルは、前記燃焼室に、前記燃焼室の軸心方向に対して直交する平面に沿う配置で設けられた
    請求項1記載のバーナ。
  3. 前記空気供給ノズルは、前記燃焼室に同心配置として想定される仮想円の接線方向に向けて設けられ、且つ該仮想円の直径は前記燃焼室の内径の25%〜75%とした
    請求項2記載のバーナ。
  4. 前記空気供給ノズルは、前記燃焼室の周壁の周方向の3個所以上に設けられた
    請求項2または3記載のバーナ。
  5. 前記点火手段は、前記燃焼室に、前記燃焼室の軸心方向に対して直交する平面に沿う配置で設けられた
    請求項1記載のバーナ。
  6. 前記燃焼室における前記空気供給ノズルよりも軸心方向一端側位置に、前記燃焼室内に粉体バイオマス燃料を供給する向きが前記燃焼室の軸心位置からずれた方向で且つ軸心方向他端側に斜めに傾斜した方向に向く姿勢で設けられた前記燃料供給ノズルは、前記空気供給ノズルから供給される燃焼用空気により前記燃焼室内に形成される旋回流の旋回方向に沿う向きで且つ前記燃焼室の軸心方向他端側に斜めに傾斜した方向に向く姿勢とされた
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載のバーナ。
  7. 前記燃焼室は、軸心方向の他端寄りの領域に、軸心方向一端寄り部分の径よりも小さい径の縮径部を備えた
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載のバーナ。
  8. 前記縮径部の流路断面積と、前記燃焼室の軸心方向一端側寄り部分の流路断面積と、の比は、1:1.2から1:1.5の範囲である、
    請求項7記載のバーナ。
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