JPH0547929Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、MHD（Magneto Hydrodynamic）
発電用石炭燃焼器、石炭だきボイラ用バーナ、石
炭だきガスタービン用燃焼器等、石炭燃焼器の改
良に関する。

〔従来の技術〕

石炭燃焼器は、石炭を微粉に粉砕し、空気また
は不活性ガスで搬送して燃焼室内へ噴射するか、
あるいは微粉炭を石油と混合したもの（COM）
または水と混合したもの（CWM）を燃焼室内へ
噴霧するかして燃焼させ、燃焼火炎中から燃焼残
査（石炭灰）を溶融状態で分離排出し、高温クリ
ーンガスを製造するものである。そのような石炭
燃焼器の従来の例を第４図および第５図に示す。

第４図は横形サイクロン方式のもので、微粉炭
は燃焼室１頭部の中心軸方向に挿入されている微
粉炭ノズル９から噴射され、燃焼室１内で灰分１
７が壁面に分離されスラグポツト４へ排出され
る。第５図に示されるものは縦形サイクロン方式
であつて、燃焼室１の胴部に設けられたスワール
ノズル１３部に挿入された微粉炭ノズル９から、
微粉炭が酸化剤（高温空気）と混合して燃焼室１
内へ噴射される。いずれの方式においても、溶融
灰（スラグ）の分離抽出は、燃焼室内に形成され
る強力な旋回気流の遠心力作用によつて、燃焼火
炎中に混在する溶融灰が燃焼室の壁面にたゝきつ
けられ、壁面に沿つてスラグポツト４へ流下し、
系外へ排出される。

なお、第４図および第５図において、２は第２
段燃焼室、３，３ａ，３ｂは隔壁絞り、５は高温
ガスダクト、１１は微粉炭供給系、１２は一次燃
焼空気系、１４は空気供給系、１５は二次空気
系、１８は二次燃焼空気ノズルである。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記のような燃焼器において、高い燃焼性能と
高いスラグ分離除去性能を達成するためには、燃
料である微粉炭を燃焼室内に均一に噴射して酸化
剤（高温空気）との混合を高め燃焼を促進するこ
とと、微粉炭の噴流ジエツトを、燃焼室内に形成
される旋回渦流域に吹き込むことが、重要な課題
である。ところが、実用規模の燃焼器においは、
燃焼室の直径が1000mm〜2000mmにも達するため、
１箇所から大量の燃料を投入すると、燃焼室内で
よく混合せず燃焼が不安定となり、また燃料供給
系を分割挿入すると、アンバランスを生じトラブ
ル発生の原因となる欠点があつた。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、前記従来の課題を解決するために、
筒状の燃焼室内に旋回気流を形成させ、その遠心
力作用によつて燃焼残査を分離排出するサイクロ
ン形の石炭燃焼器において、上記燃焼室の側壁に
切線方向に開口して空気を供給するスワールノズ
ルと、上記燃焼室の頭部の中央部に設けられた予
燃パイロツトバーナと、同予燃パイロツトバーナ
を囲んで設けられ空気を旋回供給するアシストス
ワラと、同アシストスワラを囲んで設けられた複
数の微粉炭ノズルとを備えたことを特徴とする石
炭燃焼器を提供するものである。

〔作用〕

本考案においては、燃焼室胴部切線方向に開口
したスワールノズルと燃焼室頭部のアシストスワ
ラーとから吹き込まれる空気の旋回気流の合成気
流によつて、燃焼室の断面中央部に大きな循環流
が形成される。微粉炭は搬送空気のジエツト噴流
によつてその循環流域内に噴射され、燃焼空気と
の混合を高め燃焼が促進される。

〔実施例〕

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図は第１図の−鎖線による横断面図であ
る。本実施例の石炭燃焼器は概略的には、燃焼火
炎温度を石炭灰の主成分であるSiO₂の蒸気圧
（約2000℃）以下の温度に抑制（燃料過濃、還元
雰囲気）し石炭灰を分離抽出する第一段燃焼室１
と、同第一段燃焼室の後部下方に配されたスラグ
ポツト４と、上記第一段燃焼室１の後端に隔壁絞
り３を介して直結する第二段燃焼室２とで構成さ
れる。

第一段燃焼室１の胴部側壁には一次空気を接線
方向に吹き込むスワールノズル１３が設けられて
いる。また第一段燃焼室１の後端は、隔壁絞り３
によつて断面空間が絞られその後方の第二段燃焼
室２に続いている。さらに隔壁絞り３の上流すな
わち第一段燃焼室１後部の下方には、溶融スラグ
１７を落し込むスラグポツト４が設けられてい
る。第二段燃焼室２は上記のように第一段燃焼室
１の後端に隔壁絞り３を介して接続されており、
前部周壁には複数の二次燃焼空気ノズル１８が配
置されている。

本実施例においては、第一段燃焼室１の頭部中
央にガス燃料または石油を燃料とする予燃パイロ
ツトバーナ６が軸線に沿つて設けられ、同予燃パ
イロツトバーナ６を囲んで、アシストスワラ７が
設けられる。このアシストスワラ７は、リング状
の旋回羽根を形成しており、アシスト燃焼空気を
旋回させて吹込む。アシストスワラ７の外側に
は、これをドーナツ状に囲んでスクロール式の微
粉炭マニホールド８が設けられ、この微粉炭マニ
ホールド８から第一段燃焼室１内の軸心に向かつ
て、内向角20度ないし30度の微粉炭ノズル９が複
数個配置される。

なお第１図および第２図において、５は高温ガ
スダクト、１０はアシスト空気系、１１は微粉炭
供給系、１２は一次燃焼空気系、１４は空気供給
系、１５は二次空気系、１６は予燃燃料系であ
る。

こゝで、第一段燃焼室１内には、矢印で示され
るように、スワールノズル１３から吹き込れる一
次燃焼空気１２とアシストスワラー７から吹き込
まれるアスシト空気１０とによつて、強力な旋回
気流が形成され、さらにこの２つの旋回流の合流
域（燃焼室断面の中央部）に循環流Ｂが形成され
る。

循環流域の直径断面における旋回気流の周方向
旋回速度ｕの分布を見ると、第３図に示されるよ
うに、外周域ａでは自然渦、中心域ｃでは剛体渦
がそれぞれ形成され、中間の遷移域ｂではほゞ等
速、いわゆるランキン形の合成渦が形成されてい
る。このような合成渦を形成させることによつ
て、微粉炭粒子を気流渦中に閉じ込め、酸化剤
（空気）との混合を高めて、空間燃焼ゾーンでの
微粉炭粒子の帯留時間をできる限り長くして燃焼
性能を高め、燃焼器の高負荷燃焼を達成するので
ある。

なお循環流域Ｂの下流では、外周側へ行くに従
つて周方向旋回速度ｕが早くなる剛体渦が形成さ
れる。したがつて第一段燃焼室の後部域では、強
烈な剛体渦の旋回流による遠心力作用によつて、
燃焼火炎中の残査ミストが燃焼室壁面にたゝきつ
けられ、スラグの分離効率が高められる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、次の効果が得られる。

１ スクロール式微粉炭供給マニホールドを燃焼
室頭部ケーシングの中に構成し、その内側端面
に直接微粉炭噴口ジエツトノズルを設けて一体
構造とすることにより、小形コンパクトな大容
量の微粉炭バーナが実現され、高性能の石炭燃
焼器が得られる。

２ スワールノズルとアシスト空気スワラーを組
合せた構成により、燃焼室内に流れが安定し混
合が促進されるので、燃焼安定域が増大し燃焼
負荷調整域が拡大されて、プラント熱効率が高
められる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図は第１図の−横断面図、第３図は同実施
例の作用を示す図である。第４図および第５図は
従来の石炭燃焼器の例を示す図である。 １……第一段燃焼室、２……第二段燃焼室、
３，３ａ，３ｂ……隔壁絞り、４……スラグポツ
ト、５……高温ガスダクト、６……予燃パイロツ
トバーナ、７……アシストスワラー、８……微粉
炭マニホールド、９……微粉炭ノズル、１０……
アシスト空気系、１１……微粉炭供給系、１２…
…一次燃焼空気系、１３……スワールノズル、１
４……空気供給系、１５……二次空気系、１６…
…予燃燃料系、１７……溶融スラグ、１８……二
次燃焼空気ノズル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒状の燃焼室内に旋回気流を形成させ、その遠
   心力作用によつて燃焼残査を分離排出するサイク
   ロン形の石炭燃焼器において、上記燃焼室の側壁
   に切線方向に開口して空気を供給するスワールノ
   ズルと、上記燃焼室の頭部の中央部に設けられた
   予燃パイロツトバーナと、同予燃パイロツトバー
   ナを囲んで設けられ空気を旋回供給するアシスト
   スワラと、同アシストスワラを囲んで設けられた
   複数の微粉炭ノズルとを備えたことを特徴とする
   石炭燃焼器。