JP6614629B1 - 炭素繊維用サイズ剤、及び炭素繊維 - Google Patents

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【課題】弾性繊維の集束性及び開繊性を共に向上させる。【解決手段】炭素繊維用サイズ剤は、数平均分子量500〜20000であるポリエステル樹脂と、アミン化合物とを含有する。ポリエステル樹脂は、第1のポリエステル樹脂である。第1のポリエステル樹脂は、アルキレンオキサイドが付加された2価アルコールの水酸基がエステル結合を形成している構造の第1構成単位と、二塩基酸のカルボキシ基がエステル結合を形成している構造の第2構成単位とを有し、1分子当たりの第1構成単位の数Va及び第2構成単位の数Wが、1≦Va≦30、かつ0.8≦W−Va≦1.2の関係を満たすポリエステル樹脂である。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維用サイズ剤、及び炭素繊維に関する。
炭素繊維と、エポキシ樹脂等のマトリクス樹脂とを含む炭素繊維複合材料は、建材、輸送機器等の各分野において広く利用されている。炭素繊維複合材料に用いられる炭素繊維には、予め炭素繊維の表面に炭素繊維用サイズ剤を付着させることにより、炭素繊維ストランドに集束性等を付与する処理が行われている。
特許文献1には、ガラス転移点が特定温度以上であり、かつ結晶融解に基づく融解吸熱量が3J/g以上の吸熱ピークを有しないポリマー成分を含有し、不揮発分全体に占める該ポリマー成分の質量割合が10〜100重量%である炭素繊維用サイズ剤が開示されている。
特開2011−231414号公報
炭素繊維用サイズ剤は、炭素繊維の集束性を高める機能に加えて、加工性等の観点から、集束させた炭素繊維の開繊性を高める機能を有することが好ましい。しかしながら、炭素繊維の集束性及び開繊性は、その一方を高めると他方が低下する傾向がある。そのため、集束性及び開繊性を共に向上させることは難しい。
本発明が解決しようとする課題は、弾性繊維の集束性及び開繊性を共に向上させることにある。
上記課題を解決する炭素繊維用サイズ剤は、数平均分子量500〜20000であるポリエステル樹脂と、アミン化合物とを含有し、前記ポリエステル樹脂は、第1のポリエステル樹脂及び第2のポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、前記第1のポリエステル樹脂は、アルキレンオキサイドが付加された2価アルコールの水酸基がエステル結合を形成している構造の第1構成単位と、二塩基酸のカルボキシ基がエステル結合を形成している構造の第2構成単位とを有し、1分子当たりの前記第1構成単位の数Va及び前記第2構成単位の数Wが、1≦Va≦30、かつ0.8≦W−Va≦1.2の関係を満たすポリエステル樹脂であり、前記第2のポリエステル樹脂は、アルキレンオキサイドが付加された3価アルコールの水酸基がエステル結合を形成している構造の第1構成単位と、二塩基酸のカルボキシ基がエステル結合を形成している構造の第2構成単位とを有し、1分子当たりの前記第1構成単位の数Vb、及び前記第2構成単位の数Wが、1≦Vb≦20、かつ0.8≦W−2Vb≦1.2の関係を満たすポリエステル樹脂である。
前記第1のポリエステル樹脂を含有し、前記第1のポリエステル樹脂の第1構成単位は、芳香族環を有することが好ましい。
前記アミン化合物として、3級アミンを含有することが好ましい。
前記ポリエステル樹脂の水酸基価は、0〜10mgKOH/gであることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂の酸価は、5〜200mgKOH/gであることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂の酸価は、10〜70mgKOH/gであることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂の数平均分子量は、1000〜10000であることが好ましい。
エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
前記ポリエステル樹脂、前記アミン化合物、及び前記エポキシ樹脂の含有割合の合計を100質量部とすると、前記ポリエステル樹脂と前記アミン化合物との含有割合の合計が30〜95質量部であり、前記エポキシ樹脂の含有割合が5〜70質量部であることが好ましい。
上記課題を解決する炭素繊維は、上記炭素繊維用サイズ剤が付着している。
本発明によれば、弾性繊維の集束性及び開繊性を共に向上させることができる。
複合材界面特性評価装置の概略図。
以下、本発明の炭素繊維用サイズ剤(以下、サイズ剤という。)を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態のサイズ剤は、(A)特定のポリエステル樹脂と、(B)アミン化合物とを含有する。また、サイズ剤は、更に、(C)エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
(A)特定のポリエステル樹脂
特定のポリエステル樹脂は、以下に記載する第1のポリエステル樹脂A1及び第2のポリエステル樹脂A2から選ばれる少なくとも1種である。第1のポリエステル樹脂A1及び第2のポリエステル樹脂A2は、一方を単独で使用してもよいし、両方を組み合わせて使用してもよい。
・ポリエステル樹脂A1
第1のポリエステル樹脂A1は、2価アルコールと二塩基酸とがエステル結合を形成してなるポリエステル樹脂であり、その構成単位として、2価アルコールに由来する第1構成単位と、二塩基酸に由来する第2構成単位とを有する。そして、1分子当たりの第1構成単位の数をVaとし、第2構成単位の数をWとしたとき、下記の関係式(1)及び関係式(2)を満たすように、第1構成単位及び第2構成単位が含まれている。
関係式(1):1≦Va≦30
関係式(2):0.8≦W−Va≦1.2
関係式(2)は、第1のポリエステル樹脂A1の末端のほぼ全てが第2構成単位により構成されていること、即ち、第1のポリエステル樹脂A1の分子主鎖のほぼ全ての末端がカルボキシ基であることを意味している。
第1のポリエステル樹脂A1の第1構成単位は、アルキレンオキサイドが付加された2価アルコールにおける1以上の水酸基がエステル結合を形成している構造である。上記2価アルコールにおけるアルキレンオキサイド側鎖を除くジオール部分の構造としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の鎖式炭化水素基、環式炭化水素基、アリール基等の芳香族環、及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらのなかでも、集束性、開繊性、及びサイズ剤の安定性の向上の観点から、芳香族環を含む構造であることが好ましい。上記ジオール部分の炭素数は、特に制限されないが、例えば、2〜30が好ましく、3〜18がより好ましい。なお、上記ジオール部分は、炭素及び水素以外の原子や置換基を含むものであってもよい。
上記ジオール部分の具体例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSが挙げられる。
第1構成単位を構成するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。第1構成単位1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは1〜50モル、より好ましくは2〜25モルである。
上記2価アルコールの具体例としては、プロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ジプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物、1,4−ブタンジオールのエチレンオキサイド付加物、1,6−ヘキサンジオールのエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコールのエチレンオキサイド付加物、3−メチルペンタンジオールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
第1のポリエステル樹脂A1の第2構成単位は、二塩基酸における1以上のカルボキシ基がエステル結合を形成している構造である。二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
第1のポリエステル樹脂A1の数平均分子量は、500〜20000である。また、集束性及び開繊性の観点から、1000〜10000であることが好ましい。
第1のポリエステル樹脂A1の水酸基価は特に制限されないが、例えば、JIS K 0070に準拠して測定される水酸基価が0〜10mgKOH/gであることが好ましく、0〜5mgKOH/gであることがより好ましい。
第1のポリエステル樹脂A1の酸価は特に制限されないが、例えば、JIS K 0070に準拠して測定される酸価が5〜200mgKOH/gであることが好ましく、10〜70mgKOH/gであることがより好ましい。
第1のポリエステル樹脂A1は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
・第2のポリエステル樹脂A2
第2のポリエステル樹脂A2は、3価アルコールと二塩基酸とがエステル結合を形成してなるポリエステル樹脂であり、その構成単位として、3価アルコールに由来する第1構成単位と、二塩基酸に由来する第2構成単位とを有する。そして、1分子当たりの第1構成単位の数をVbとし、第2構成単位の数をWとしたとき、下記の関係式(3)及び関係式(4)を満たすように、第1構成単位及び第2構成単位が含まれている。
関係式(3):1≦Vb≦20
関係式(4):0.8≦W−2Vb≦1.2
関係式(4)は、第2のポリエステル樹脂A2の末端のほぼ全てが第2構成単位により構成されていること、即ち、第2のポリエステル樹脂A2の分子主鎖のほぼ全ての末端がカルボキシ基であることを意味している。
第2のポリエステル樹脂A2の第1構成単位は、アルキレンオキサイドが付加された3価アルコールにおける1以上の水酸基がエステル結合を形成している構造である。上記3価アルコールにおけるアルキレンオキサイド側鎖を除くトリオール部分の構造としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の鎖式炭化水素基、環式炭化水素基、アリール基等の芳香族環、及びそれらの組み合わせが挙げられる。上記トリオール部分の炭素数は、特に制限されないが、例えば、3〜30が好ましく、4〜18がより好ましい。なお、上記トリオール部分は、炭素及び水素以外の原子や置換基を含むものであってもよい。
上記トリオール部分の具体例としては、トリメチロールプロパン、1,2,3−プロパントリオール、1,2,4−ブタントリオールが挙げられる。
第1構成単位を構成するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。第1構成単位1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは1〜50モル、より好ましくは2〜25モルである。
上記3価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物、1,2,3−プロパントリオールのエチレンオキサイド付加物、1,2,4−ブタントリオールのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
第2のポリエステル樹脂A2の第2構成単位は、第1のポリエステル樹脂A1と同様である。
第2のポリエステル樹脂A2の数平均分子量は、500〜20000である。また、集束性及び開繊性の観点から、1000〜10000であることが好ましい。
第2のポリエステル樹脂A2の水酸基価は特に制限されないが、例えば、JIS K 0070に準拠して測定される水酸基価が0〜10mgKOH/gであることが好ましく0〜5mgKOH/gであることがより好ましい。
第2のポリエステル樹脂A2の酸価は特に制限されないが、例えば、JIS K 0070に準拠して測定される酸価が5〜200mgKOH/gであることが好ましく、10〜70mgKOH/gであることがより好ましい。
第2のポリエステル樹脂A2は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)アミン化合物
アミン化合物は、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのいずれであってもよい。ただし、集束性、及びサイズ剤の安定性の向上の観点から3級アミンであることが好ましい。
アミン化合物としては、例えば、(1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N−N−ジイソプロピルエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−メチルブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ジメチルラウリルアミン等の脂肪族アミン、(2)アニリン、N−メチルベンジルアミン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、これらの誘導体等の芳香族アミン類又は複素環アミン、(3)モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、(4)N−メチルベンジルアミン等のアリールアミン、(5)ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステリルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、(6)アンモニアが挙げられる。
(C)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレン付加アルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレン付加フェニルグリシジルエーテル、トリグリシジルアミン、テトラグリシジルアミン等の重合体等のアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂の分子量は、特に制限されないが、例えば、数平均分子量として100〜5000であることが好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に制限されないが、例えば、50〜1000であることが好ましい。
(D)その他成分
本実施形態のサイズ剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、通常サイズに用いられるその他成分をさらに含有してもよい。その他成分としては、例えば、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等のサイズ剤の品質保持のための安定化剤や制電剤が挙げられる。その他成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、本実施形態のサイズ剤における各成分の含有割合について記載する。本実施形態のサイズ剤における各成分の含有割合は、特に制限されるものではないが、以下の含有割合であることが好ましい。
(A)特定のポリエステル樹脂の含有割合は、(A)特定のポリエステル樹脂、及び(B)アミン化合物の含有割合の合計(以下、第1主成分合計という。)を100質量部とすると、50〜99.9質量部であることが好ましく、60〜99質量部であることがより好ましい。
(B)アミン化合物の含有割合は、(A)特定のポリエステル樹脂が有するカルボキシ基を完全に中和させる含有割合であることが好ましい。具体的には、第1主成分合計を100質量部とすると、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜40質量部であることがより好ましい。
また、(C)エポキシ樹脂を含有する場合、(A)特定のポリエステル樹脂、(B)アミン化合物、及び(C)エポキシ樹脂の含有割合の合計(以下、第2主成分合計という。)を100質量部とすると、(A)特定のポリエステル樹脂と(B)アミン化合物との含有割合の合計は、30〜95質量部であることが好ましく、40〜90質量部であることがより好ましい。
また、(C)エポキシ樹脂の含有割合は、第2主成分合計を100質量部とすると、5〜70質量部であることが好ましく、10〜60質量部であることがより好ましい。
(第2実施形態)
次に、本発明の炭素繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態の炭素繊維は、第1実施形態のサイズ剤が付着している炭素繊維である。炭素繊維に対するサイズ剤の付着量については特に制限はないが、炭素繊維にサイズ剤(溶媒を含まない)を0.01〜10質量%となるよう付着させたものが好ましい。
炭素繊維としては、特に制限はないが、例えば、アクリル繊維を原料として得られたPAN系炭素繊維、ピッチを原料として得られたピッチ系炭素繊維が挙げられる。
本実施形態の炭素繊維の製造方法は、第1実施形態のサイズ剤を炭素繊維に付着させることにより得られる。炭素繊維にサイズ剤を付着させる方法は、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、ローラー浸漬法、ローラー接触法、スプレー法、抄紙法等、一般に工業的に用いられている方法を適用できる。
サイズ剤は、好ましくは水性のエマルションの状態で炭素繊維に付着される。続いて、乾燥処理し、サイズ剤の溶液に含まれている水等の溶媒の除去を行うことにより、炭素繊維ストランドを得ることができる。ここでの乾燥処理は、例えば、熱風、熱板、ローラー、各種赤外線ヒーター等を熱媒として利用した方法を採用できる。
次に、第1実施形態及び第2実施形態の効果について説明する。
(1)第1実施形態のサイズ剤は、数平均分子量500〜20000である特定のポリエステル樹脂と、アミン化合物とを含有する。特定のポリエステル樹脂は、第1のポリエステル樹脂A1及び第2のポリエステル樹脂A2から選ばれる少なくとも1種である。第2実施形態の炭素繊維は、第1実施形態のサイズ剤が付着されている。
上記構成によれば、サイズ剤を付着させた炭素繊維の集束性及び開繊性が共に向上する。更に、サイズ剤を付着させた炭素繊維のマトリックス樹脂との接着性が向上する。また、上記構成によれば、サイズ剤の安定性が向上する。
(2)第1のポリエステル樹脂A1を含有する。第1のポリエステル樹脂A1の第1構成単位は、芳香族環を有する。
上記構成によれば、集束性、開繊性、及びサイズ剤の安定性が更に向上する。
(3)アミン化合物として、3級アミンを含有する。
上記構成によれば、集束性、及びサイズ剤安定性が更に向上する。
(4)特定のポリエステル樹脂の水酸基価は、0〜10mgKOH/gである。
上記構成によれば、上記(1)の効果がより顕著に得られやすい。
(5)特定のポリエステル樹脂の酸価は、5〜200mgKOH/gである。
上記構成によれば、上記(1)の効果がより顕著に得られやすい。
(6)特定のポリエステル樹脂の酸価は、10〜70mgKOH/gである。
上記構成によれば、集束性及び開繊性が更に向上する。
(7)特定のポリエステル樹脂の数平均分子量は、1000〜10000である。
上記構成によれば、集束性及び開繊性が更に向上する。
(8)第1実施形態のサイズ剤は、エポキシ樹脂を含有する。
上記構成によれば、接着性が更に向上する。
(9)特定のポリエステル樹脂、アミン化合物、及びエポキシ樹脂の含有割合の合計を100質量部とすると、ポリエステル樹脂とアミン化合物との含有割合の合計が30〜95質量部であり、エポキシ樹脂の含有割合が5〜70質量部である。
上記構成によれば、上記(8)の効果がより顕著に得られやすい。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。
試験区分1(炭素繊維用サイズ剤の調製)
・実施例1:表1に示すように、ポリエステル樹脂A−1(71.4質量部)と、アミン化合物B−1(8.6質量部)と、エポキシ樹脂C−1(20質量部)とをよく混合し、撹拌を続けながら固形分濃度が30%となるようにイオン交換水を徐々に加えることにより実施例1のサイズ剤を調製した。
・実施例2〜18、比較例1〜4:実施例1と同様にして、表1に示すポリエステル樹脂、アミン化合物、エポキシ樹脂の全部又は一部をよく混合して均一にすることで、実施例2〜18及び比較例1〜4のサイズ剤を調製した。
表1に記載するA−1〜A−12、ra−1〜ra−3の詳細は表2に示すとおりである。
また、表1に記載するB1〜B4、C1〜C2の各成分の詳細は以下のとおりである。
(アミン化合物)
B−1:トリエタノールアミン
B−2:トリエチルアミン
B−3:ジブチルアミン
B−4:アンモニア
(エポキシ樹脂)
C−1:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量184〜194
C−2:固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500
試験区分2(炭素繊維のサイジング)
試験区分1で調製した各例のサイズ剤を水で希釈し、処理浴に入れた。ポリアクリロニトリル系繊維から得た未サイジングの炭素繊維(引張強度3500MPa、引張弾性率2.3×105MPa、12000フィラメント)を連続的に上記処理浴に浸漬し、サイズ剤(溶媒を含まない)の付着量が炭素繊維に対して1.5%一定となるようにローラーの絞り条件を調節してサイズ剤を付着させた。引き続き、連続的に120℃のオーブンに5分間通して乾燥することにより、サイズ剤を付着させた炭素繊維を得た。なお、比較例1及び比較例4のサイズ剤は、水に分散しなかったため、比較例1及び比較例4のサイズ剤を付着させた炭素繊維を得ることはできなかった。
試験区分3(炭素繊維用サイズ剤及び炭素繊維の評価)
・集束性
サイズ剤を付着させた炭素繊維からカッターナイフを用いて5mmの長さの試験片を10本、切り出した。切り出した際に試験片がほぐれるか否かを目視にて観察し、以下の基準で集束性を評価した。その結果を表1に示す。なお、比較例1及び比較例4のサイズ剤については評価不可とした。
◎:ほぐれが生じた本数が2本以下である。
○:ほぐれが生じた本数が3本以上7本以下である。
×:ほぐれが生じた本数が8本以上である。
・開繊性
合計5本の直径1cmのクロムメッキ梨地ピンを一定間隔で交互に上下にずらして配置し、サイズ剤を付着させた炭素繊維をこれらのクロムメッキ梨地ピンに接触させながら全体として波状に糸速1m/分で通過させて、通過前の炭素繊維束の幅W1と通過後の炭素繊維束の幅W2を測定し、下記式(5)により変動幅を求め、以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。なお、比較例1及び比較例4のサイズ剤については評価不可とした。
変動幅(mm)=W2−W1…(5)
◎:変動幅が5mm以上である。
○:変動幅が3mm以上5mm未満である。
×:変動幅が3mm未満である。
・接着性
・接着性の評価
接着性は、市販の複合材界面特性評価装置を用いてマイクロドロップレット法によって測定される応力により評価した。図1に複合材界面特性評価装置10の概略図を示す。
サイズ剤を付着させた炭素繊維から1本の炭素繊維12を取り出し、炭素繊維12を緊張させた状態として、その両端を板状の四角枠状のホルダー11に接着剤14で固定した。次に、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(エポキシ当量190、三菱化学社製の商品名jER828)/BF3モノエチルアミン塩(ステラケミファ社製の商品名三フッ化ホウ素モノエチルアミン)=100/3(質量比)の割合で混合したマトリックス樹脂を直径がほぼ100μmの樹脂滴13となるように炭素繊維12に付着させ、150℃の雰囲気下で15分間加熱して固定した。
図示しない装置本体には、一側面において垂直断面が先細状に成型された2枚の板状のブレード17,18が、その先端部17a及び18aが向かい合わせになる位置状態で取り付けられている。
樹脂滴13が固定されている炭素繊維12を2枚のブレード17,18の先端部17a,18aで挟む位置にて、ホルダー11を装置本体に固定されている基板16に取り付けた。基板16にはロードセル15が接続され、基板16に負荷される応力が計測される。
ホルダー11を15mm/分の速度で繊維軸方向に移動させた時に、ブレード17,18の先端部17a,18aによって樹脂滴13が炭素繊維12から剥離する際に生じる最大応力Fを、ロードセル15にて計測した。計測した値を用いて、下記式(6)により界面せん断強度τを算出した。
τ=F/πDL…(6)
F:炭素繊維12から樹脂滴13が剥離する際に生じる最大応力(N)
D:炭素繊維12の直径(m)
L:樹脂滴13の引き抜き方向の直径(m)。
同様の操作を20回行い、得られた界面せん断強度の平均値を以下の基準により評価した。その結果を表1に示す。なお、比較例1及び比較例4のサイズ剤については評価不可とした。
◎:界面せん断強度が80以上である。
○:界面せん断強度が60以上80未満である。
×:界面せん断強度が60未満である。
・サイズ剤安定性
試験区分1で調製した炭素繊維用サイジング剤を25℃で3ヶ月静置して、以下の基準で安定性を評価した。その結果を表1に示す。
◎:ほとんど分離、沈殿は見られず、良好な乳化性を保っている。
○:わずかに沈殿が見られるが、乳化性は良好である。
△:沈殿、分離が生じているが、撹拌すると分散する。
×:沈殿、分離が生じ、撹拌してもすぐに沈殿、分離が生じる。
表1に示すように、第1のポリエステル樹脂A1又は第2のポリエステル樹脂A2とアミン化合物とを含有する実施例1〜18のサイズ剤を用いた場合には、集束性及び開繊性が共に高い評価であった。これに対して、第1のポリエステル樹脂A1又は第2のポリエステル樹脂A2を含有しない比較例2〜3のサイズ剤を用いた場合には、集束性については高い評価であるものの、開繊性については低い評価であった。また、実施例1〜18のサイズ剤を用いた場合には、集束性及び開繊性の評価に加えて、接着性及びサイズ剤安定性の各評価についても優れた結果が得られた。これらの結果から、実施例1〜18のサイズ剤は、炭素繊維用サイズ剤として有用であることが分かる。
実施例9のサイズ剤を用いた場合と実施例15のサイズ剤を用いた場合との比較から、第1構成単位が芳香族環を有する構造の第1のポリエステル樹脂A1を含有するサイズ剤を用いることにより、集束性、開繊性、及びサイズ剤安定性の評価が向上することが分かる。
実施例9のサイズ剤を用いた場合と実施例10〜11のサイズ剤を用いた場合との比較から、アミン化合物として、3級アミンを含有するサイズ剤を用いることにより、集束性及びサイズ剤安定性の評価が向上することが分かる。
実施例1〜8のサイズ剤を用いた場合と実施例12のサイズ剤を用いた場合との比較、及び実施例9のサイズ剤を用いた場合と実施例13〜14のサイズ剤を用いた場合との比較から、数平均分子量が1000〜10000であるポリエステル樹脂を含有するサイズ剤を用いることにより、集束性及び開繊性の評価が向上することが分かる。
実施例1〜8のサイズ剤を用いた場合と実施例9のサイズ剤を用いた場合との比較から、エポキシ樹脂を含有するサイズ剤を用いることにより、接着性の評価が向上することが分かる。
10…複合材界面特性評価装置、11…ホルダー、12…炭素繊維、13…樹脂滴、14…接着剤、15…ロードセル、16…基板、17,18…ブレード。

Claims (10)

  1. 数平均分子量500〜20000であるポリエステル樹脂と、アミン化合物とを含有し、
    前記ポリエステル樹脂は、第1のポリエステル樹脂及び第2のポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記第1のポリエステル樹脂は、
    アルキレンオキサイドが付加された2価アルコールの水酸基がエステル結合を形成している構造の第1構成単位と、二塩基酸のカルボキシ基がエステル結合を形成している構造の第2構成単位とを有し、
    1分子当たりの前記第1構成単位の数Va及び前記第2構成単位の数Wが、1≦Va≦30、かつ0.8≦W−Va≦1.2の関係を満たすポリエステル樹脂であり、
    前記第2のポリエステル樹脂は、
    アルキレンオキサイドが付加された3価アルコールの水酸基がエステル結合を形成している構造の第1構成単位と、二塩基酸のカルボキシ基がエステル結合を形成している構造の第2構成単位とを有し、
    1分子当たりの前記第1構成単位の数Vb、及び前記第2構成単位の数Wが、1≦Vb≦20、かつ0.8≦W−2Vb≦1.2の関係を満たすポリエステル樹脂である炭素繊維用サイズ剤。
  2. 前記第1のポリエステル樹脂を含有し、
    前記第1のポリエステル樹脂の第1構成単位は、芳香族環を有する請求項1に記載の炭素繊維用サイズ剤。
  3. 前記アミン化合物として、3級アミンを含有する請求項1又は請求項2に記載の炭素繊維用サイズ剤。
  4. 前記ポリエステル樹脂の水酸基価は、0〜10mgKOH/gである請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイズ剤。
  5. 前記ポリエステル樹脂の酸価は、5〜200mgKOH/gである請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイズ剤。
  6. 前記ポリエステル樹脂の酸価は、10〜70mgKOH/gである請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイズ剤。
  7. 前記ポリエステル樹脂の数平均分子量は、1000〜10000である請求項1〜6のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイズ剤。
  8. エポキシ樹脂を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイズ剤。
  9. 前記ポリエステル樹脂、前記アミン化合物、及び前記エポキシ樹脂の含有割合の合計を100質量部とすると、
    前記ポリエステル樹脂と前記アミン化合物との含有割合の合計が30〜95質量部であり、
    前記エポキシ樹脂の含有割合が5〜70質量部である請求項8に記載の炭素繊維用サイズ剤。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイズ剤が付着している炭素繊維。
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