以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態)
図1〜図9に本実施形態における分電盤10、及び分電盤10のキャビネット1の概略構成図を示す。まず、本実施形態の概要について説明する。
本実施形態の分電盤10は、住宅(戸建住宅や集合住宅の各住戸)内に設置される住宅用分電盤ではなく、例えば集合住宅の電気室やビル、工場などに設置される業務用(非住宅用)分電盤であって、電気室などの設置スペースの床71に設置される。つまり、本実施形態の分電盤10は、壁掛け型ではなく床置き型の自立式分電盤を想定している。また、以下では、床71に置かれた状態の分電盤10を前方から見た上下左右を上下左右方向として説明する(図1参照)。なお、これらの方向は、分電盤10の用途や設置形態、向きを特に限定する趣旨ではない。
本実施形態の分電盤10のキャビネット1は、複数(本実施形態では2つ)のボックス2を備える。複数のボックス2は、前面に開口部200を有する直方体状に形成され、内部に配線用遮断器50を配置可能な内器スペース201が設けられている。複数のボックス2は、左右方向に並びかつ離れて設けられている。分電盤10のキャビネット1は、複数のボックス2のうち左右方向に隣り合う2つのボックス2を連結する連結部材41,44,45をさらに備えている。複数のボックス2のうち左右方向に隣り合う2つのボックス2の間のスペースは、負荷側電線61(電線)を配線可能な配線スペース100である。複数のボックス2の各々は、左右方向に隣り合うボックス2との対向壁(右側のボックス2の左側壁212、左側のボックス2の右側壁213)に、負荷側電線61を挿通可能な第1通線口24(通線口)が形成されている。
また、本実施形態の分電盤10は、上記のキャビネット1と、複数の配線用遮断器50と、導電バー53(導電部材)と、接続電線57(接続部材)とを備える。複数の配線用遮断器50は、内器スペース201に配置される。導電バー53は、内器スペース201において複数の配線用遮断器50が電気的に接続される。接続電線57は、複数のボックス2のうち左右方向に隣り合う2つのボックス2の各々に設けられた導電バー53同士を電気的に接続する。
上記構成により、本実施形態のキャビネット1及び分電盤10は、独立して形成された複数のボックス2を有している。したがって、分電盤10の施工前に先行して負荷側電線61が設置スペースに配線されている場合、この負荷側電線61を移動させることなく、負荷側電線61を挟むように複数のボックス2を設置することが可能となる。そして、負荷側電線61を、配線スペース100に連続して形成された第1通線口24を通してボックス2内に引き込むことが可能となる。したがって、分電盤10の施工前に先行して配線された負荷側電線61を移動させることなく、分電盤10の施工が可能であるので、分電盤10を施工する際の施工性の向上を図ることが可能となる。
以下に、本実施形態の分電盤10、及び分電盤10のキャビネット1について詳細に説明する。
まず、分電盤10のキャビネット1の構成について説明する。キャビネット1は、2つのボックス2と、2つの扉31と、2つの土台32と、連結部材41,44,45とを備えている。なお、2つのボックス2を区別する場合、図1における右側のボックス2を右側ボックス2Aといい、左側のボックス2を左側ボックス2Bという。
図1に示すように、ボックス2は、上下方向を長手方向とする直方体状の箱体であり、前面に上下方向を長手方向とする矩形状に開口した開口部200を有する。ボックス2は、土台32を介して設置面である床71に設置されている。ボックス2は、その内部に配線用遮断器50を配置可能な内器スペース201が設けられている。
具体的には、ボックス2は、矩形板状の背壁211と、背壁211の左端縁から前方に突出した左側壁212と、背壁211の右端縁から前方に突出した右側壁213とを有している。さらに、ボックス2は、左側壁212と右側壁213の上端縁同士を連結する上壁214と、左側壁212と右側壁213との下端縁同士を連結する下壁215とを有している。言い換えれば、左側壁212と右側壁213と上壁214と下壁215とで直方体状の枠体を構成し、その枠体の背面が背壁211によって塞がれることで直方体状の箱体を構成している。この箱体の前面が開口部200となる。また、背壁211と左側壁212と右側壁213と上壁214と下壁215とで囲まれた空間が、内器スペース201となる。内器スペース201には、後述する複数の配線用遮断器50、端子台56などの内器が配置される。
右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとは、左右方向に離れて配置されており、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間のスペースは、負荷側電線61を配線可能な配線スペース100となる。負荷側電線61は、電気負荷に接続される電線であり、例えば電気室などの設置スペースにおける天井72から電気室内に引き込まれ、配線スペース100に配線される。また、ボックス2は、左右方向において隣り合うボックス2との対向壁に、第1通線口24及び第2通線口25が形成されている(図2参照)。具体的には、右側ボックス2Aの左側壁212、及び左側ボックス2Bの右側壁213の各々に、第1通線口24及び第2通線口25が形成されている。
第1通線口24及び第2通線口25は、それぞれ、上下方向を長手方向とする矩形状の開口である。第1通線口24は、第2通線口25よりも上側、かつ前側に形成されている。また、第1通線口24の上下方向の開口寸法は、第2通線口25の上下方向の開口寸法よりも大きい。第1通線口24には、負荷側電線61が通される。第2通線口25には、後述する接続電線57が通される。
また、ボックス2の上壁214には、第3通線口26が形成されている(図3参照)。第3通線口26は、矩形状の開口であり、系統電源(商用電源)からの引込電線である主幹側電線62が通される。
ここで、ボックス2は、本体部21と第1仕切部22と第2仕切部23が組み合わさることで、上述した直方体状の箱体を形成している(図2、図4、図5参照)。第1仕切部22は、第1通線口24、第2通線口25、及び開口部200それぞれの間を仕切るように構成されている。第2仕切部23は、第3通線口26と開口部200とを仕切るように構成されている。以下に、右側ボックス2Aにおける本体部21、第1仕切部22、及び第2仕切部23の構成について詳細に説明する。
右側ボックス2Aの本体部21は、背壁211と、右側ボックス2Aの左側壁212の一部である側壁本体210と、右側壁213と、上壁214と、下壁215とで構成されている。本体部21は、第1通線口24及び第2通線口25の前方が開放するように側壁本体210の上端部の一部が切り欠かれ、開口部200の左方が開放するように開口部200の左端縁の一部が切り欠かれている。
右側ボックス2Aの第1仕切部22は、仕切側壁221と仕切縁222とを有する。仕切側壁221は、右側ボックス2Aの左側壁212の一部であり、側壁本体210の切り欠きの一部を閉塞、すなわち第1通線口24及び第2通線口25の前方を閉塞する。仕切縁222は、仕切側壁221の前端に連続しており、開口部200の左端縁における切り欠き部分(開放部分)を閉塞する。また、第1仕切部22は、ねじ223によって本体部21に取り付けられており、本体部21から取り外し可能に構成されている。
したがって、本体部21から第1仕切部22が取り外された状態では、第1通線口24、第2通線口25、及び開口部200が、それぞれ互いに連続する。本体部21に第1仕切部22が取り付けられた状態では、第1通線口24、第2通線口25、及び開口部200がそれぞれ第1仕切部22によって仕切られる。
また、右側ボックス2Aの本体部21は、第3通線口26の前方が開放するように上壁214の前端部の一部が切り欠かれ、開口部200の上方が開放するように開口部200の上端縁の一部が切り欠かれている。
右側ボックス2Aの第2仕切部23は、第3通線口26の前方、及び開口部200の上端縁の切り欠き部分(開放部分)を閉塞する。また、第2仕切部23は、ねじ231によって本体部21に取り付けられており、本体部21から取り外し可能に構成されている。
したがって、本体部21から第2仕切部23が取り外された状態では、第3通線口26と開口部200とが連続し、本体部21に第2仕切部23が取り付けられた状態では、第3通線口26と開口部200とが第2仕切部23によって仕切られる。
なお、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとは、左右方向と直交する面に対して左右対称となるように形成されている。左側ボックス2Bにおける本体部21、第1仕切部22、第2仕切部23は、右側ボックス2Aの本体部21、第1仕切部22、第2仕切部23と同様の構成であり、説明を省略する。
扉31は、ボックス2の開口部200に合わせた寸法、及び形状の矩形板状に形成されており、開口部200を開閉可能に構成されている。右側ボックス2Aの扉31は、右端部を回転軸として開閉するように右側ボックス2Aの右側壁213に取り付けられている。左側ボックス2Bの扉31は、左端部を回転軸として開閉するように左側ボックス2Bの左側壁212に取り付けられている。すなわち、扉31は、開口部200を覆う閉位置と、開口部200を開放する開位置との間で移動自在(回転自在)に構成される。
土台32は、ボックス2を支えるようにボックス2の下側に設けられている。土台32は、上方から見た投影図において、その外周形状がボックス2と略同一に形成されている。土台32の上下方向の寸法は、土台32の左右方向の寸法、及び土台32の前後方向の寸法に比べて小さく設定されている。土台32は、ボックス2の下壁215とビスなどで固定される。
次に、連結部材41,44,45について図6、図7を用いて説明する。連結部材41,44,45のそれぞれは、左右方向に並んで配置された右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを連結するように構成されている。
連結部材41は、右側連結部42と左側連結部43とを有する。右側連結部42は、背面、左面、及び右面が開口した直方体状に形成されており、第2通線口25の一部と前後方向に重なるように、右端部が右側ボックス2Aの左側壁212に固定されている。具体的には、右側連結部42は、前片421が右側ボックス2Aの左側壁212に形成された第2通線口25の後端よりも前方に位置するように、右側ボックス2Aの左側壁212に固定されている。また、左側連結部43は、背面、左面、及び右面が開口した直方体状に形成されており、第2通線口25の一部と前後方向に重なるように、左端部が左側ボックス2Bの右側壁213に固定されている。具体的には、左側連結部43は、前片431が左側ボックス2Bの右側壁213に形成された第2通線口25の後端よりも前方に位置するように、左側ボックス2Bの右側壁213に固定されている。また、左側連結部43は、右側連結部42よりも上下方向の寸法が僅かに小さく形成されており、右側連結部42の後側に嵌まり込むように構成されている。右側連結部42の前片421における上端部及び下端部には、それぞれ、ねじ410が挿通する挿通孔422が形成されている。この挿通孔422は、開口形状が左右方向を長手方向とする長穴に形成されている。左側連結部43の前片431における上端部及び下端部には、それぞれ、ねじ410が結合するねじ孔432が形成されている。そして、ねじ410が、右側連結部42に形成された挿通孔422を挿通し、左側連結部43に形成されたねじ孔432に結合されることで、右側連結部42と左側連結部43とが固定される。上記構成により、連結部材41は、左右方向に並んで配置された右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを連結する。
連結部材44は、左右方向から見た断面がL字状に形成されており、左右方向を長手方向とする矩形板状の前片441と、前片441の上端から後方に突出した矩形板状の上片442とを有する。連結部材44は、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとに跨って設けられており、前片441が右側ボックス2A及び左側ボックス2Bそれぞれの前面と対向し、上片442が右側ボックス2A及び左側ボックス2Bそれぞれの上面と対向する。前片441は、右端部及び左端部それぞれにねじ440が挿通する挿通孔443が形成されている。この挿通孔443は、開口形状が左右方向を長手方向とする長穴に形成されている。右側ボックス2Aの前面の上端部における左端側、及び左側ボックス2Bの前面の上端部における右端側それぞれには、ねじ440が結合されるねじ孔が形成されている。そして、ねじ440が、前片441に形成された挿通孔443を挿通し、右側ボックス2A、及び左側ボックス2Bそれぞれの前面における上端部に形成されたねじ孔に結合される。上記構成により、連結部材44は、左右方向に並んで配置された右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを連結する。
連結部材45は、前後方向を厚み方向とし、左右方向を長手方向とする矩形板状に形成されている。連結部材45は、右側ボックス2A、右側ボックス2Aを支える土台32(右側土台32Aとする)、左側ボックス2B、及び左側ボックス2Bを支える土台32(左側土台32Bとする)に跨って設けられている。連結部材45は、右側ボックス2A、右側土台32A、左側ボックス2B、及び左側土台32Bそれぞれの前面に対向する。連結部材45は、右端側及び左端側それぞれの上端部及び下端部に、ねじ450が挿通する挿通孔451が形成されている。この挿通孔451は、開口形状が左右方向を長手方向とする長穴に形成されている。右側ボックス2Aの前面の下端部における左端側、及び左側ボックス2Bの前面における下端部における右端側それぞれには、ねじ450が結合されるねじ孔が形成されている。また、右側土台32Aの前面の下端部における左端側、及び左側土台32Bの前面の下端部における右端側それぞれには、ねじ450が結合されるねじ孔が形成されている。そして、ねじ450が、挿通孔451を挿通し、右側ボックス2A、右側土台32A、左側ボックス2B、及び左側土台32Bそれぞれの前面に形成されたねじ孔に結合される。上記構成により、連結部材45は、左右方向に並んで配置された右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを連結する。
また、分電盤10のキャビネット1は、図8に示すように、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間の空間である配線スペース100の前側を覆うカバー33を備えていてもよい。カバー33は、配線スペース100に配線された負荷側電線61を前方から隠す化粧板であり、上下方向を長手方向とする矩形板状に形成されている。右側ボックス2Aの左側壁212、及び左側ボックス2Bの右側壁213それぞれの前端側には、L字状の固定部材34が上下方向に並んで固定されている。カバー33は、固定部材34の前片341と対向する部位にねじ340が挿通する挿通孔331が形成されている。この挿通孔331は、開口形状が左右方向を長手方向とする長穴に形成されている。固定部材34の前片341には、ねじ340が挿通するねじ孔342が形成されている。そして、ねじ340が、カバー33に形成された挿通孔331を挿通し、固定部材34の前片341に形成されたねじ孔342に結合される。これにより、カバー33は、配線スペース100の前側を覆うように右側ボックス2A及び左側ボックス2Bに取り付けられる。
次に、分電盤10の構成について説明する。分電盤10は、上述したキャビネット1と、接続電線57と、導電バー53と、各ボックス2の内器スペース201に内器として設けられる複数の配線用遮断器50、及び端子台56とを備えている。
右側ボックス2Aの内器スペース201には、複数の配線用遮断器50として、主幹ブレーカ51及び複数の分岐ブレーカ52が設けられている。したがって、右側ボックス2Aの内器スペース201には、主幹ブレーカ51、複数の分岐ブレーカ52、及び端子台56が内器として設けられている。
主幹ブレーカ51は、上端側に3つの一次側端子511が設けられ、下端側に3つの二次側端子512が設けられている(図4、図5参照)。各一次側端子511には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込電線(例えばキュービクル(Cubicle)のような受電設備からの引込電線)である主幹側電線62が電気的に接続される。主幹側電線62は、例えば電気室などの設置スペースにおける天井72から引き込まれ、第3通線口26を通って主幹ブレーカ51の一次側端子511に電気的に接続される。各二次側端子512は、正面視がL字状に形成された第1接続導体54を介して、上下方向を長手方向とする長尺状に形成された導電バー53(導電部材)に電気的に接続されている。
本実施形態では、配電方式として単相三線式を想定しているので、3つの導電バー53は、それぞれ、中性極(N相)に対応する導電バー、第1電圧極(L1相)に対応する導電バー、第2電圧極(L2相)に対応する導電バーとして機能する。これら3つの導電バー53は、電気絶縁性を有する支持部材531によって前後方向に重なるようにしてボックス2に取り付けられている(図3参照)。
複数の分岐ブレーカ52は、各導電バー53の左側において上下方向1列に並ぶように配置されている。分岐ブレーカ52は、協約形寸法に形成されている。協約形寸法とは、「JIS C 8201-2-1」に準拠した電灯分電盤用の回路遮断器の寸法を示す。
分岐ブレーカ52は、一次側端子と二次側端子とを有しており、一次側端子が導電バー53に電気的に接続され、二次側端子には負荷側電線61が電気的に接続される。分岐ブレーカ52は、導電バー53に差し込まれる差込口を導電バー53との対向面に有している。差込口は、3つの導電バー53の各々に対応するように、前後方向に並んで3つ設けられている。一次側端子は、3つの差込口のうち2つの差込口内に露出するように設けられている。例えば、中性極及び第1電圧極に接続される分岐ブレーカ52は、一次側端子が中性極の導電バー53及び第1電圧極の導電バー53それぞれに対応する差込口内に露出するように設けられている。また、中性極及び第2電圧極に接続される分岐ブレーカ52は、一次側端子が中性極の導電バー53及び第2電圧極の導電バー53それぞれに対応する差込口内に露出するように設けられている。第1電圧極及び第2電圧極に接続される分岐ブレーカ52は、一次側端子が第1電圧極及び第2電圧極の導電バー53それぞれに対応する差込口内に露出するように設けられている。
分岐ブレーカ52は、差込口に導電バー53が差し込まれた状態で、右側ボックス2Aに取り付けられる。これにより、分岐ブレーカ52の一次側端子が導電バー53と電気的に接続される。また、分岐ブレーカ52の二次側端子には、電気負荷に接続される負荷側電線61が、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間の配線スペース100から右側ボックス2Aの左側壁212に形成された第2通線口25を通って接続される。
端子台56は、上下方向に並んで配置された複数の分岐ブレーカ52の下側に設けられている。端子台56は、上端側に3つの第1接続端子561が設けられ、下端側に3つの第2接続端子562が設けられている(図9参照)。各第1接続端子561は、上下方向に隣り合う第2接続端子562と1対1に対応しており、対応する第2接続端子562と電気的に接続されている。各第1接続端子561は、正面視がL字状に形成された第2接続導体55を介して導電バー53と電気的に接続されている。各第2接続端子562は、接続部材である接続電線57が電気的に接続される。
また、左側ボックス2Bの内器スペース201には、複数の配線用遮断器50として複数の分岐ブレーカ52が設けられている。したがって、左側ボックス2Bの内器スペース201には、複数の分岐ブレーカ52、及び端子台56が内器として設けられている。すなわち、左側ボックス2Bの内器スペース201には、右側ボックス2Aの内器スペース201に設けられた構成部材から、主幹ブレーカ51、及び主幹ブレーカ51と導電バー53とを繋ぐ第1接続導体54が省かれた構成部材が設けられている。
左側ボックス2Bに設けられた複数の分岐ブレーカ52、導電バー53、端子台56、及び第2接続導体55の位置は、右側ボックス2Aに設けられた複数の分岐ブレーカ52、導電バー53、端子台56、及び第2接続導体55の位置と左右対称となる。すなわち、上下方向に並んで設けられた複数の分岐ブレーカ52の左側に導電バー53が設けられ、複数の分岐ブレーカ52の下側に端子台56が設けられている。
分岐ブレーカ52は、差込口に導電バー53が差し込まれた状態で、左側ボックス2Bに取り付けられ、分岐ブレーカ52の一次側端子が導電バー53と電気的に接続される。分岐ブレーカ52の二次側端子には、電気負荷に接続される負荷側電線61が、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間の配線スペース100から左側ボックス2Bの右側壁213に形成された第2通線口25を通って接続される。
また、端子台56の各第1接続端子561と、導電バー53とは、正面視がL字状の第2接続導体55によって電気的に接続されている。端子台56の各第2接続端子562は、接続電線57が電気的に接続される。
接続電線57は、右側ボックス2A及び左側ボックス2Bそれぞれに形成された第2通線口25を通って、右側ボックス2Aに設けられた端子台56の第2接続端子562と、左側ボックス2Bに設けられた端子台56の第2接続端子562とを電気的に接続する。これにより、右側ボックス2Aに設けられた各導電バー53と、左側ボックス2Bに設けられた各導電バー53とが、第2接続導体55、端子台56、接続電線57を介して1対1に対応するように電気的に接続される。したがって、右側ボックス2Aに設けられた複数の分岐ブレーカ52と、左側ボックス2Bに設けられた複数の分岐ブレーカ52とは、右側ボックス2Aに設けられた共通の主幹ブレーカ51の二次側に電気的に接続されることとなる。
次に、分電盤10の施工方法について説明する。
本実施形態における分電盤10の施工方法は、設置工程と、接続工程と、連結工程とを有する。設置工程は、複数のボックス2を左右方向に並べてかつ離して設ける工程である。接続工程は、配線スペース100に配線された電線を、第1通線口24を通して分岐ブレーカ52(配線用遮断器50)に接続する工程である。連結工程は、左右方向に隣り合う2つのボックス2を連結部材41,44,45で連結する工程である。
すなわち、施工者が本実施形態の分電盤10を施工するにあたって、施工者は、まず右側土台32Aと左側土台32Bとを左右方向に離して床71に設置する。そして、施工者は、右側土台32Aの上に右側ボックス2Aを設置し、左側土台32Bの上に左側ボックス2Bを設置する(設置工程)。この際、分電盤10を施工する前に先行して負荷側電線61が配線されている場合、負荷側電線61が右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間、すなわち配線スペース100に位置するように、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを設置する。なお、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを設置した後、負荷側電線61を配線スペース100に配線してもよい。
次に、施工者は、右側ボックス2A及び左側ボックス2Bそれぞれの本体部21から第1仕切部22、及び第2仕切部23を取り外す。そして、施工者は、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間の配線スペース100に配線された負荷側電線61を、右側ボックス2A、あるいは左側ボックス2Bに形成された第1通線口24を通して分岐ブレーカ52に接続する(接続工程)。また、施工者は、右側ボックス2A、及び左側ボックス2Bそれぞれに設けられた端子台56に接続電線57を接続する。また、施工者は、主幹側電線62を第3通線口26を通して主幹ブレーカ51に接続する。
本体部21から第1仕切部22及び第2仕切部23が取り外されていることによって、第1通線口24、第2通線口25、及び第3通線口26それぞれが前方に開放し開口部200と連続している。したがって、負荷側電線61、接続電線57、主幹側電線62それぞれを、第1通線口24、第2通線口25、第3通線口26にくぐらせる必要がなく、前方から第1通線口24、第2通線口25、第3通線口26に通すことができる。そして、施工者は、負荷側電線61、接続電線57それぞれを、分岐ブレーカ52、端子台56に接続した後、本体部21に第1仕切部22を取り付ける。また、施工者は、主幹側電線62を主幹ブレーカ51に接続した後、本体部21に第2仕切部23を取り付ける。なお、第1仕切部22、及び第2仕切部23は、ボックス2を設置する前に本体部21から取り外されていてもよい。
その後、施工者は、連結部材41,44,45を用いて、左右方向に並んで配置された右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを連結する(連結工程)。この際、連結部材41の右側連結部42及び左側連結部43は、前後方向において、それぞれの前片421,431と第2通線口25の後端との間に接続線57が通るように、右側ボックス2A、左側ボックス2Bに固定される(図7参照)。また、連結部材41,44,45それぞれに形成された挿通孔422,443,451の開口形状は、左右方向を長手方向とする長穴に形成されている。ここで、左右方向における右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間隔を「設置間隔」とする。連結部材41,44,45それぞれの挿通孔422,443,451が長穴に形成されていることによって、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを連結可能(設置可能)となる設置間隔に、所定の範囲を設定することができる。言い換えれば、連結部材41,44,45それぞれの挿通孔422,443,451が長穴に形成されていることによって、設置間隔の調整、すなわち左右方向における配線スペース100の寸法(幅)を調整することが可能となる。なお、連結工程は、接続工程の前に行われてもよい。
上述したように、本実施形態における分電盤10のキャビネット1は、独立して形成された2つのボックス2(右側ボックス2A,左側ボックス2B)を備えている。したがって、分電盤10の設置前に先行して負荷側電線61が設置スペースに配線されている場合、この負荷側電線61を左右方向に挟むようにして右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとを設置することができる。これにより、負荷側電線61を移動させることなく、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間のスペースである配線スペース100に、負荷側電線61を配線することができる。
さらに、右側ボックス2A及び左側ボックス2Bは、互いに対向する対向壁(右側ボックス2Aの左側壁212、左側ボックス2Bの右側壁213)に負荷側電線61を通す第1通線口24が形成されている。すなわち、右側ボックス2A及び左側ボックス2Bには、配線スペース100に連続する第1通線口24が形成されている。したがって、配線スペース100に配線された負荷側電線61を大きく引き回すことなく、第1通線口24を通してボックス2内に引き込み、分岐ブレーカ52(配線用遮断器50)に接続することができる。
また、複数のボックス2が独立して形成されているため、ボックス2の小型化、軽量化を図ることができ、ボックス2の搬入、設置などが容易となる。
したがって、本実施形態における分電盤10のキャビネット1は、分電盤10を施工する際の施工性の向上を図ることが可能となる。また、本実施形態における分電盤10は、上述したキャビネット1を備えて構成されており、分電盤10を施工する際の施工性の向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態における分電盤10の施工方法は、分電盤10の施工前に先行して負荷側電線61が配線されている場合であっても、分電盤10を施工する際に負荷側電線61を避ける工程が不要となる。したがって、本実施形態における分電盤10の施工方法は、分電盤10を施工する際の施工性の向上を図ることが可能となる。
また、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとは、連結部材41,44,45によって連結されている。したがって、連結部材41,44,45が設けられていない場合に比べて、右側ボックス2A、及び左側ボックス2Bの歪み、位置ずれなどに対する強度の向上を図ることが可能となる。さらに、本実施形態では、連結部材41は、ボックス2の後端側に設けられ、連結部材44,45は、ボックス2の前端側に設けられている。また、連結部材44は、ボックス2の上端側に設けられ、連結部材45は、ボックス2の下端側に設けられている。このように、連結部材41,44,45によって、ボックス2の前端側、後端側、上端側、及び下端側それぞれが、左右方向に隣り合うボックス2と連結されているので、ボックス2の歪み、位置ずれなどに対する強度のさらなる向上を図ることが可能となる。また、左右方向における右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間において、連結部材41は、接続電線57を覆うように設けられている。したがって、連結部材41により、接続電線57が保護される。
また、連結部材41,44,45は、それぞれの挿通孔422,443,451が長穴に形成されている。すなわち、連結部材41,44,45は、左右方向における配線スペース100の寸法を調整可能に構成される。上記構成により、例えば分電盤10を設置する電気室の広さ、負荷側電線61の量(本数)などに応じたボックス2の設置間隔を設定することができる。
また、本実施形態における分電盤10のキャビネット1は、複数のボックス2として一対のボックス2(右側ボックス2A、左側ボックス2B)を備える。上記構成により、配線スペース100が一箇所となり、負荷側電線61を一箇所にまとめることができ、分電盤10の設置前に先行して負荷側電線61の配線を行いやすくなる。
また、本実施形態における分電盤10のキャビネット1は、一対のボックス2のうち一方のボックス2(右側ボックス2A)と他方のボックス2(左側ボックス2B)とは、左右方向に直交する面に対して左右対称となる形状に形成されている。上記構成により、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの間に配線された負荷側電線61を左右に振り分け、分岐ブレーカ52に接続する接続作業の作業性の向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態における分電盤10のキャビネット1は、ボックス2に取り付けられる扉31をさらに備える。扉31は、開口部200を覆う閉位置と、開放する開位置との間を移動自在に構成される。上記構成により、ボックス2内に設けられた内器を保護することが可能となる。
さらに、各ボックス2は、複数の分岐ブレーカ52が上下方向の1列に並べて収納され、各分岐ブレーカ52には、左右方向の一方側から負荷側電線61が接続される。そのため、ボックス2の幅寸法(左右方向の寸法)は、複数の分岐ブレーカを上下方向の2列に並べて収納された従来のボックスの幅寸法に比べて小さく設定することができる。したがって、ボックス2に取り付けられる扉31の幅寸法も、従来の構成に比べて小さく設定することができる。これにより、扉31を開くために必要なボックス2の前方のスペースが、従来の構成よりも狭くなるので、電気室のスペースを有効に活用することができ、分電盤10を狭い電気室に設置することも可能となる。
また、本実施形態における分電盤10のキャビネット1は、配線スペース100の前側を覆うカバー33をさらに備える。上記構成により、配線スペース100に配線された負荷側電線61が前方から視認されにくくなるので見栄えがよくなる。さらに、カバー33により、負荷側電線61を保護することが可能となる。
また、カバー33の挿通孔331が長穴に形成されているので、カバー33を取り付けることができる右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの設置間隔に、所定の範囲を設定することができる。すなわち、カバー33は、右側ボックス2Aと左側ボックス2Bとの設置間隔が変動した場合であっても、取り付けることが可能となる。
ボックス2は、開口部200及び第1通線口24(通線口)を有する本体部21と、開口部200と第1通線口24とを仕切るように本体部21に取り付けられる第1仕切部22(仕切部)とを有する。第1仕切部22は、本体部21から取り外し可能に構成される。上記構成により、負荷側電線61を分岐ブレーカ52に接続する際に、第1仕切部22を本体部21から取り外すことで、負荷側電線61を第1通線口24にくぐらせる必要がなくなり、負荷側電線61を前方から第1通線口24に通すことができる。これにより、負荷側電線61を分岐ブレーカ52に接続する接続作業の作業性の向上を図ることが可能となる。
また、ボックス2は、開口部200を前方から覆い内器を保護する保護板が設けられていてもよい。保護板は、開口部200を覆った状態でも、主幹ブレーカ51、及び複数の分岐ブレーカ52それぞれの操作ハンドルを前方から操作可能とするために、操作ハンドルと対向する部位に開口が設けられる。
なお、本実施形態では、本体部21に第1仕切部22が取り付けられた状態では、第1通線口24と第2通線口25とが、第1仕切部22によって仕切られているが、第1通線口24と第2通線口25とが連続するように形成されていてもよい。
また、本実施形態では、端子台56は、複数の分岐ブレーカ52の下側の位置に配置されているが、この位置に限らない。例えば、端子台56は、複数の分岐ブレーカ52の上側の位置に配置されていてもよい。この場合、端子台56は、主幹ブレーカ51と導電バー53との間において電気的に介在するように設けられ、接続電線57を介して左右方向に隣り合うボックス2に設けられる複数の分岐ブレーカ52が主幹ブレーカ51の二次側に電気的に接続される。
また、本実施形態では、負荷側電線61、主幹側電線62は、天井72から電気室に引き込まれているが、床71から電気室に引き込まれていてもよい。
また、本実施形態における分電盤10のキャビネット1は、2つのボックス2(右側ボックス2A、左側ボックス2B)を備えているが、3つ以上のボックス2を備えていてもよい。例えば、3つのボックス2が左右方向に並びかつ離れて設けられていてもよい。この場合、中央に配置されるボックス2は、左側壁212及び右側壁213に第1通線口24及び第2通線口25が形成される。また、中央のボックス2は、接続電線57を介して右側のボックス2の端子台56と電気的に接続される端子台56、接続電線57を介して左側のボックス2の端子台56と電気的に接続される端子台56を備える。これにより、右側のボックス2、中央のボックス2、左側のボックス2それぞれに設けられた複数の分岐ブレーカ52が、共通の主幹ブレーカ51の二次側に電気的に接続されることとなる。このように、本実施形態における分電盤10のキャビネット1は、ボックス2の数を増加させ、負荷側電線61の増加にも対応することが可能となる。
なお、上述した実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんのことである。