JP6613898B2 - 空洞含有積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、空洞含有積層ポリエステルフィルムに関する。特に感熱記録用受容シート、印字基材、包装用、カード、ラベル、ビデオプリンタ用受容紙、印画紙、表示板などの基材に使用される空洞含有積層ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性等の優れた特性を有することから、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、感光材料、製図材料、写真材料等多くの分野の基材フィルムとして使用されている。
空洞含有フィルムは、その内部に形成された多数の独立空洞(ボイド)によってフィルム自体を軽量化できる点や、筆記性や鮮明な印刷・転写性が得られることから、合成紙(紙代替物)としての活用がすすんでいる。その中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステルを主体とする空洞含有フィルムは、優れた耐熱性と強度特性を併せ持つため、感熱転写記録を初めとする各種記録材料用、配送伝票用、ラベル用等に幅広く用いられている。
感熱転写記録方式とは、着色成分を含むインク層を塗布などにより形成したインクリボンを、最終的に画像が形成される受容シートに重ね合わせて、その上からサーマルヘッドにより熱を与えることによって、インクリボン上のインク成分を溶融や昇華させて、受容シート側へ転写し、画像を形成する印字方式である。インクリボンは一般的にレジンタイプ、セミレジンタイプ、ワックスタイプと大別され、使用基材や用途により使い分けされる。通常、合成紙やポリエステルフィルムを基材として用いた場合、求められる耐久性からレジンタイプが用いられる。レジンタイプのインキは融点が高く、印刷転写時のサーマルヘッドに掛かる熱量を高く設定する必要がある。
最近では、印字装置の小型化、省エネルギー化、高速化の観点で、ヘッドを小型に精緻化する方向にあることから、その結果として、ヘッドから受容シートに与える熱エネルギーが小さくなっている。したがって、少しの熱エネルギーで容易にインクリボン上のインク成分を溶融・昇華させて、受容シート側へ転写でき、かすれや欠け、ムラのない安定した画像を形成可能な受容シートが求められている。
そこで、受容シート素材としてポリエステル系樹脂を用いて、受容シート内部に微細な空洞を多量に含有させる技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。受容シートに微細な空洞が含有されると、空気層により受容シートの断熱効果が高まり、印字ヘッドの熱エネルギーを有効に印字することができるためである。
また、ポリエステルフィルムの表面は延伸により高度に結晶配向されているため、各種塗料、接着剤、インキ等との接着性が乏しい等の欠点を有している。特に、白色性を付与するために白色顔料を含有した二軸延伸ポリエステルフィルムや、空洞を含有した二軸延伸ポリエステルフィルムを使用する情報記録材料や印刷材料、ラベル用途やカード用途等では、その最終製品の使用状態や保管状態が各使用者によって大きく異なり、例えば保管中にラベルやカードが一時的に折れ曲がる状態を経ることがある。さらに、アンテナ、チップ、メモリー、電子部材を張合わせる際に変形が生じたり、エンボス、刻印などの修飾加工が施される場合がある。この時、基材フィルムと被覆物(印刷インキ層や磁気記録層等)との接着性が乏しいと、界面で剥離し製品外観を損なう、あるいはカードとしての機能を失うことになる。そのため、従来からポリエステルフィルム表面に種々の方法により接着性を付与する検討がなされてきた。
ポリエステルフィルムの接着性を改良する方法として、これまで種々の提案がされている。例えば、特許文献2では、共重合ポリエステルを、特許文献3では、共重合ポリエステルと水溶性ポリウレタン樹脂を易接着層として利用する方法が検討されている。また、特許文献4では傷付き防止のためにガラス転移点が40〜100℃のポリエステル樹脂と架橋剤を含む易接着層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムが提案されている。
特許第3067557号公報 特開2008−30475号公報 特開2005−290354号公報 特開2003−49011号公報
空洞を含有した白色フィルムは、感熱記録用受容シート、印字基材、包装用、カード、ラベル、ビデオプリンタ用受容紙、印画紙、表示板などの基材に使用されている。上述のような白色空洞含有ポリエステルフィルムを感熱転写基材に用いる場合には、断熱特性によりサーマルヘッドの温度低下による印刷欠け、印刷ムラが発生し印刷品位が悪くなることがある。
本発明の目的は、前記課題を解決することにある。すなわち、基材フィルムの空洞制御による断熱特性と易接着層の特性を高度に両立させることで、接着性に優れ加飾性に適した空洞含有積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
上記の課題を解決することができる、本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムは以下の構成からなる。
1. ポリエステル樹脂と前記ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を含有する組成物からなる空洞含有層(A層)と、A層の両面に積層された白色無機粒子を1〜45質量%含有するポリエステル層(B層)からなるB層/A層/B層の層構造を有するポリエステル基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する空洞含有積層ポリエステルフィルムであって、空洞含有積層ポリエステルフィルム全体の見かけ密度が1.12〜1.25g/cm であり、一方の表面から他方の表面のへの最大熱流速度(Q−max値) が0.81W/cm以上0.90W/cm以下であることを特徴とする空洞含有積層ポリエステルフィルム。
2. 易接着層が、共重合ポリエステル樹脂または自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a)と、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(b)とで主として構成された樹脂組成物からなることを特徴とする上記第1に記載の空洞含有積層ポリエステルフィルム。
3. (a)と(b)の質量比(a)/(b)が、90/10〜10/90であることを特徴とする上記第2に記載の空洞含有積層ポリエステルフィルム。
4. 上記第1〜第3のいずれかに記載の空洞含有積層ポリエステルフィルムを基材とする感熱記録用受容シート。
本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムは、内部に形成された多数の独立空洞(ボイド)によって構成されたフィルムに、特定の樹脂構成を有する易接着層が積層されている。特に、感熱記録用受容シート素材として用いられる場合、受容シート中の微細な空洞により受容シートの断熱効果が高まりサーマルヘッドの熱低下を起こさないことから、結果として、少しの熱エネルギーで容易にインクリボン上のインク成分を溶融・昇華させて、受容シート側へ転写でき、かすれや欠け、ムラのない安定した画像を形成することが可能である。さらに良好な成型追従性と、耐湿熱環境下においても良好な印刷層との接着性を有しており、そのため、各種記録材料用、配送伝票用、ラベル用、カード用、特に感熱記録用基材として好適である。
本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムは、内部に形成された多数の独立空洞(ボイド)によって構成されたフィルムに、特定の樹脂構成を有する易接着層が積層されている。特に、感熱記録用受容シート素材として用いられる場合、受容シート中の微細な空洞により受容シートの断熱効果が高まりサーマルヘッドの熱低下を起こさないことから、結果として、少しの熱エネルギーで容易にインクリボン上のインク成分を溶融・昇華させて、受容シート側へ転写でき、かすれや欠け、ムラのない安定した画像を形成することが可能である。さらに良好な成型追従性と、耐湿熱環境下においても良好な印刷層との接着性を有しており、そのため、各種記録材料用、配送伝票用、ラベル用、カード用、特に感熱記録用基材として好適である。
熱転写印刷によるバーコードの一例である。 美麗に熱転写印刷されたバーコード細線拡大図の一例である。 細線部分に欠けを生じた好ましくない熱転写印刷されたバーコード細線拡大図である。
(易接着層)
本発明における易接着層について詳細に述べる。
本発明における易接着層は後述する共重合ポリエステル樹脂または自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a)と、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(b)から主として構成された樹脂組成物からなる塗布層である。易接着層が、共重合ポリエステル樹脂または自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a)と、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(b)とで主として構成された樹脂組成物からなるとは、共重合ポリエステル樹脂または自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a)と、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(b)との合計が、易接着層を構成する樹脂組成物全100質量%に対して、80質量%以上であることを言う。
易接着層に求められる機能としては、ポリエステル基材との易接着性は基より、各種印刷インキとの密着性を有することが必要である。したがってポリエステル基材との密着性は共重合ポリエステル樹脂(以下、a1と記載することがある)または自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(以下、a2と記載することがある)が最適である。印刷後の高強度や耐湿熱性を求められる場合は、自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a2)をもちいることで、グラフト鎖による分子間結合による網目構造からより効果を発現できる。印刷インキとの密着性はブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤(以下、b1と記載することがある)またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(以下、b2と記載することがある)を用いることが最適であり、印刷後の高強度や耐湿熱性を求められる場合は、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤(b1)を用いることでポリエステル樹脂の末端基とイソシアネート基との化学結合力からより効果を発現できる。
易接着層に用いる(a1)または(a2)と(b1)または(b2)の組み合わせは特に限定されるものではなく、どちらか一方の剤との組み合わせで本発明の易接着性において効果を発現できる。即ち、前記(a1)又は(a2)と(b1)又は(b2)を選んでトータル4種類の組合せで、所望の接着性効果を奏する易接着層を形成することができる。
(自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a2))
本発明では前述のように易接着層に自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を含有することが好ましい。自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体は基材フィルム及び印刷層との接着性を付与させることに寄与する。自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体は、高度な自己架橋構造を形成することができるため耐湿熱性にも良好な効果を奏し、さらに、自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体は、基材フィルムと易接着層の接着性を向上させることができる。本発明で用いる自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体は、易接着層の耐湿熱性の点から、疎水性共重合ポリエステル樹脂に少なくとも1種の二重結合を有する酸無水物を含む重合性不飽和単量体がグラフトされたものを用いることが好ましい。以下、本発明に用いる自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体について説明する。
本発明において「グラフト化」とは、幹ポリマー主鎖に、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することである。本発明では、疎水性共重合性ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して少なくとも1種の二重結合を有する酸無水物を含む重合性不飽和単量体を反応せしめることによりグラフト重合を行うことが好ましい。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合性ポリエステルと重合性不飽和単量体とのグラフト共重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合性ポリエステル樹脂及び疎水性共重合性ポリエステルにグラフト化しなかった上記不飽和単量体の重合体をも含有している。本発明における自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体とは、上記した自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体ばかりではなく、これに未反応の疎水性共重合性ポリエステル、グラフト化しなかった不飽和単量体の重合体等も含む反応混合物もいう。
本発明において、疎水性共重合性ポリエステル樹脂に重合性不飽和単量体をグラフト重合させて得られる自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体の酸価は、600eq/10g以上であることが好ましい。より好ましくは、1200eq/10g以上である。グラフト共重合体の酸価が600eq/10g未満である場合は、基材フィルムとの接着性が十分とは言えなくなるおそれがあり、あまり好ましくない。
また、本発明の目的に適合する望ましいグラフト共重合体を得るための、疎水性共重合性ポリエステル樹脂と重合性不飽和単量体との質量比率は、ポリエステル/重合性不飽和単量体=40/60〜95/5の範囲が望ましく、更に望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。疎水性共重合性ポリエステル樹脂の質量比率が40質量%未満であると、成形時の追従性が低下し、耐湿熱環境下での接着性が低下する場合があり、あまり望ましくない。一方、疎水性共重合性ポリエステル樹脂の質量比率が95質量%より大きいときは、ブロッキングが起こりやすくなり、あまり望ましくない。
グラフト共重合体は、有機溶媒の溶液または分散液、あるいは水系溶媒の溶液または分散液の形態になる。特に水系溶媒の分散液、つまり水分散樹脂の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。このような水分散樹脂は、通常、有機溶媒中で、前記疎水性共重合性ポリエステル樹脂に、少なくとも1種の親水性の重合性不飽和単量体をグラフト重合し、次いで、水添加、有機溶媒留去により得ることができる。
グラフト共重合体のガラス転移点(Tg)は、70℃以下、好ましくは50℃以下である。ガラス転移点(Tg)が70℃以下のグラフト共重合体をグラフト共重合体含有層に用いることにより、印刷層積層後の成形加工時の追従性がよく、耐湿熱環境下においても優れた印刷層の接着性が得られやすい。尚TgはDSCを用いて測定した値で示している。
(疎水性共重合性ポリエステル樹脂)
本発明において、疎水性共重合性ポリエステル樹脂とは、本来それ自身で水に分散または溶解しない本質的に水不溶性であるものである。水に分散するまたは溶解するポリエステル樹脂を、グラフト重合に使用すると、本発明の目的である耐湿熱環境下での接着性が悪くなる。この疎水性共重合性ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分の組成は、芳香族ジカルボン酸60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜40モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸0.5〜10モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸が60モル%未満である場合や脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が40モル%を超えた場合は、印刷層との接着性が低下する場合があり、あまり好ましくない。
また、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5モル%未満の場合、疎水性共重合性ポリエステル樹脂に対する重合性不飽和単量体の効率的なグラフト化が行われにくくなり好ましくなく、逆に10モル%を超える場合は、グラフト化反応により粘度が上昇し、反応の均一な進行を妨げるので好ましくない。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸は70〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸2〜7モル%である。
芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等を挙げることができる。5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の親水基含有ジカルボン酸は、本発明の目的である耐ブロッキング性が低下するので、用いない方が好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を挙げることができ、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等を挙げることができる。重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸の例としては、α、β−不飽和ジカルボン酸として、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。このうち好ましいのは、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸である。
一方、グリコール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜12の脂環族グリコールおよび/またはエーテル結合含有グリコール等が挙げられる。炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等を挙げることができる。炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の二つのフェノール性水酸基に、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要により使用しうる。
疎水性共重合性ポリエステル樹脂中には、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合することができるが、3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。一方、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、望ましくは0〜3モル%の範囲で共重合されるが、5モル%を超えると重合時のゲル化が起こりやすく、好ましくない。また、疎水性共重合性ポリエステル樹脂の分子量は、質量平均で5000〜50000の範囲が好ましい。分子量が5000未満の場合は印刷層の接着性の低下する場合があり、逆に50000を超えると重合時のゲル化等の問題が起きる場合があり、あまり好ましくない。
(自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体のグラフト部位)
疎水性共重合性ポリエステル樹脂にグラフトさせる重合性不飽和単量体とは、親水性のラジカル重合性単量体をいい、親水基を有するか、後で親水基に変化できる基をもつラジカル重合可能な単量体である。親水基として、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を挙げることができる。一方、親水基に変化できる基として、酸無水物基、グリシジル基、クロル基等を挙げることができる。これらの基の中でも水分散性、グラフト共重合体の酸価を上げる点から、カルボキシル基が好ましい。したがって、重合性不飽和単量体として二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含むことが望ましい。
重合性不飽和単量体としては、例えば、フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のフマル酸のモノエステルまたはジエステル;マレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸のモノエステルまたはジエステル;イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル;フェニルマレイミド等のマレイミド等;スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等である。また重合性不飽和単量体の一つであるアクリル重合性単量体は、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等):2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体:N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体:グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基含有アクリル単量体:アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体が挙げられる。しかし、アクリル重合性単量体は、本発明の表面エネルギー水素結合力成分項(γsh)を低下させる効果が少ないので本発明で用いるのはあまり好ましくない。上記重合性不飽和単量体は、1種もしくは2種以上を用いて共重合させることができるが、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含むことが望ましい。上記単量体の中でも、二重結合を有する酸無水物としてはマレイン酸無水物を用いることが好ましい。マレイン酸無水物と組み合わせる他の重合性不飽和単量体としては、スチレンが好ましい。また、これら酸無水物のエステルを含んでも良い。
(重合開始剤およびその他添加剤)
本発明で用い得るグラフト重合開始剤としては、当業者には公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用い得る。有機過酸化物として、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等を挙げることができる。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、重合性不飽和単量体に対して少なくとも0.2質量%、好ましくは0.5質量%以上である。重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール等を必要に応じて用い得る。この場合、重合性不飽和単量体に対して0〜5質量%の範囲で添加されるのが望ましい。上記のようにして、自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体が得られる。
(共重合ポリエステル樹脂(a1))
共重合ポリエステル樹脂は、塗工性の点から水溶性もしくは水分散性を有することが好ましい。このような共重合ポリエステルとしては、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合した共重合ポリエステル(以下、スルホン酸基含有共重合ポリエステルという)を用いるのが好ましい。
ここでスルホン酸基含有共重合ポリエステルとは、ジカルボン酸成分又はグリコール成分の一部にスルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合したポリエステルをいい、なかでも、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含有した芳香族ジカルボン酸成分を全酸成分に対して2〜10モル%の割合で用いて調整した共重合ポリエステルが好ましい。
このようなジカルボン酸の例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好適である。この場合、他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等が挙げられる。
なお、表面硬度を高くし、良好な耐ブロッキング性を維持するためには、全酸性分中の96〜90モル%をテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とすることが好ましく、これらの芳香族ジカルボン酸の4〜10モル%を前記のスルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含有させることがさらに好ましい。
スルホン酸基含有共重合ポリエステルを製造するためのグリコール成分としては、エチレングリコールが主として用いられ、この他に、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を共重合成分として用いると、ポリスチレンスルホン酸塩との相溶性が向上するという点で好ましい。
この他、共重合ポリエステルの共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分、グリコール成分を含んでも良い。さらに、得られる塗膜の表面硬度を向上させるために、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多カルボキシル基含有モノマーを5モル%以下の割合で上記ポリエステルの共重合成分として用いることも可能である。これらの多カルボキシル基含有モノマーが5モル%を超える場合には、得られるスルホン酸基含有共重合ポリエステルが熱的に不安定となり、ゲル化しやすく好ましくない。
スルホン酸基含有共重合ポリエステルは、例えば、前記ジカルボン酸成分、グリコール成分、及び必要に応じて、多カルボキシル基含有モノマーを用いて、常法により、エステル化、エステル交換、重縮合反応等により得ることができる。得られたスルホン酸基含有共重合ポリエステルは、例えば、n−ブチルセロソルブのような溶媒とともに加熱攪拌され、さらに攪拌しながら徐々に水を加えることにより、水溶液又は水分散液として用いることができる。
(ポリカーボネート系ポリウレタン(b2))
本発明において、ポリウレタンは易接着層の柔軟性を付与し、優れた成形性のために添加される。しかしながら、ポリウレタンによる柔軟性が増すと、さらに加温条件下の高速加工での耐ブロッキング性や耐湿熱性が低下する場合がある。そのため、本発明においては、ポリウレタンとしてポリカーボネート系ポリウレタンを用いることが好ましい。
ポリウレタンには大きくポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタンに分類されるがポリエステル系ポリウレタンは湿熱環境下で加水分解しやすく、ポリエーテル系ポリウレタンは吸湿性が高いため易接着層の膜強度が低下しやすく接着性が不足する。一方、ポリカーボネート系ポリウレタンは、ハードセグメントとしてポリカーボネート構造を有するため、優れた耐湿熱性を有する。本発明でポリカーボネート系ポリウレタンを用いるのはこの理由による。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂としては、ポリカーボネートジオールと脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートと、必要に応じて鎖延長剤を添加した重合物を用いることができる。なお、これらウレタンの構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
ポリカーボネートジオールは、下記一般式で示されるものである。
HO−[−R−O−COO−]−R−OH
(Rは脂肪族系、または脂環族系置換基)
ポリカーボネートジオールは、例えばアルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートからなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物とジオール類及び/またはポリエーテルポリオール類を反応させて得られる。
アルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等があげられる。
ジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、フェニル−ナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチル−ジフェニルカーボネート、4,4’−ジエチル−ジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピル−ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等が挙げられる。
これらカーボネート類に対する共反応物質として、まずジオール類の例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−ペンタンジオール、3−メチル−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,3,5−トリメチルペンタンジオール等が挙げられる。
また、ポリエーテルポリオール類の例としては、例えばテトラヒドロフランの開環重合により得られるポリテトラメチレングリコール、ジオール類のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。ここで用いるジオール類の例として、たとえばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、異性体ペンタンジオール類、異性体ヘキサンジオール類またはオクタンジオール類例えば2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサノン、トリメチロールプロパン、グリセリン等をあげることができ、アルキレンオキサイドの例として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等が挙げられ、これらは2種以上混合して使用することも可能である。
上述のジオール類及びポリエーテルポリオール類は1種単独でも、あるいはこれらを2種以上混合して使用しても差し支えない。これらはいずれも公知の方法で前述のアルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートからなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物と反応してポリカーボネートジオールを形成することができる。
本発明において、ウレタンの構成成分であるポリカーボネートポリオールの組成モル比は、ウレタンの全ポリイソシアネート成分を100モル%とした場合、3〜100モル%であることが好ましく、5〜50モル%であることがより好ましく、6〜20モル%であることがさらに好ましい。前記組成モル比が低い場合は、ポリカーボネートポリオールによる耐湿熱性の効果が得られない場合があり、あまり好ましくない。また、前記組成モル比が高い場合は、接着性が低下する場合があり、あまり好ましくない。
本発明のウレタンの構成成分であるポリイソシアネートとしては、例えば、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。
本発明の易接着層は、水系の塗布液を用い後述のインラインコート法により設けることが好ましい。そのため、本発明のウレタン樹脂は水溶性であることが望ましい。なお、前記の「水溶性」とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解することを意味する。
ウレタン樹脂に水溶性を付与させるためには、ウレタン分子骨格中にスルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。スルホン酸(塩)基は強酸性であり、その吸湿性能により耐湿性を維持するのが困難な場合があるので、弱酸性であるカルボン酸(塩)基を導入するのが好適である。
ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入し、塩形成剤により中和する。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミンなどのN−ジアルキルアルカノールアミン類が挙げられる。これらは単独で使用できるし、2種以上併用することもできる。
水溶性を付与するために、カルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物を共重合成分として用いる場合は、ウレタン樹脂中のカルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物の組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%としたときに、3〜60モル%であることが好ましく、10〜40モル%であることが好ましい。前記組成モル比が3モル%未満の場合は、水分散性が困難になる場合があり、あまり好ましくない。
本発明ではポリカーボネート系ポリウレタンのガラス転移点(Tg)を特定の範囲に制御することが好ましい。すなわち、本発明のポリウレタンのガラス転移点(Tg)は、下限40℃、好ましくは50℃、上限100℃、好ましくは90℃、である。該ポリウレタン樹脂のガラス転移点(Tg)が40℃未満の場合、耐ブロッキング性が低下する場合があり、あまり好ましくない。逆に100℃を超えると易接着層の柔軟性、接着性が低下する場合があり、あまり好ましくない。ポリウレタンのガラス転移点(Tg)を上記範囲に制御するためには、下記のポリオール成分、もしくはポリウレタンの分子量を適宜選択、調整することにより行うことができる。尚、TgはDSCを用いて測定した値である。
(ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤(b1))
本発明において好ましく用いられる架橋剤としては、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤を挙げることができる。ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤を添加することにより、高度に接着性、耐ブロッキング性を両立させることが可能となる。
ブロック型イソシアネート基を含ゆする架橋剤は、イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
本発明において、易接着層の柔軟性がより高度に両立させるためには、前記共重合ポリエステルと前記ポリウレタンの配合割合が共重合ポリエステル樹脂または自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a)と、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(b)が、(a)と(b)の質量比である(a)/(b)=90/10〜10/90で含有されていることが好ましい。更には前記配合割合は70/30〜40/60であることがさらに好ましい。(a)/(b)(質量比)が100/0や0/100であれば、易接着層の易接着性、柔軟性が低下し、易接着層の密着低下やインキ印刷性が低下する場合があり、好ましくない。
本発明では、易接着層の耐ブロッキング性をより向上させるために、易接着層に粒子を添加することも好ましい態様である。本発明において易接着層中に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレーなど或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無機粒子、例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムその他と併用、等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。
易接着層中の性粒子の平均粒径(SEMによる個数基準の平均粒径。以下同じ)は、0.04〜2.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.0μmである。不活性粒子の平均粒径が0.04μm未満であると、フィルム表面への凹凸の形成が不十分となるため、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性が低下する他、成型性も低下する場合があり、あまり好ましくない。逆に、2.0μmを超えると、粒子の脱落が生じやすく好ましくない。易接着層中の粒子濃度は、固形成分中0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがさらに好ましい。
本発明においては易接着層の厚みは、0.001〜2.00μmの範囲で適宜設定することができるが、加工性と接着性とを両立させるには0.01〜1.00μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜0.80μm、さらに好ましくは0.05〜0.50μmである。易接着層の厚みが0.01μm未満であると、接着性が不十分となる場合があり、あまり好ましくない。易接着層の厚みが2.00μmを超えると、ブロッキングが生じる場合があり、あまり好ましくない。
本発明の塗液中には、本発明の効果を阻害しない範囲において公知の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の粒子、帯電防止剤、核剤等を添加しても良い。
(帯電防止剤)
本発明のフィルムを情報記録体の部材として用いる場合、好ましい態様としては、25℃で65%RHにおける易接着層表面の表面固有抵抗値が1×10〜1014Ω/□であることが好ましい。表面抵抗値が上記範囲を超えた場合、印刷時の湿し水適性(水負け性)が悪化し、かすれ、にじみを生じやすくなり、好ましくない。また、印刷様式によってはインキのはじきが発生してムラとなったり、工程内異物の吸着やでスパークが発生する場合があり、あまり好ましくない。
(ポリエステル基材フィルム)
本発明のポリエステル基材フィルムに用いるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは、(1)芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させ、次いで重縮合反応を行う方法(直重法)のほか、(2)芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させ、次いで重縮合反応を行う方法(エステル交換法)、あるいは(3)芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法、などの公知の方法によって製造することができる。
かかるポリエステルの代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、あるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。これらのポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであっても良い。いずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位、プロピレンテレフタレート単位、あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートがコストパフォーマンスの点から特に好適である。また、基材フィルムの固有粘度は0.50〜0.70dl/gであることが好ましい。なお上記ポリエステルは単独で使用してもよく、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。
本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂と前記ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を含有する組成物からなる空洞含有層(A層)を有する。そして、A層に空洞を形成させることによって、空洞含有フィルムとしての種々の特性を発現させることが出来る。
ここで、A層に含有させることが出来るポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂としては、フィルムの2軸延伸工程においてマトリックスポリマーであるポリエステルとの界面に空洞形成可能な樹脂であれば何ら制限されるものではないが、例えばポリメチルペンテンやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂等が例示される。
本発明において、Q−maxは、熱転写印刷適正において大切な断熱効果の程度を表している。そして、その断熱効果はフィルム基材中の空洞含有率と関連がある。Q−maxは、0.90W/cm以下であることが好ましい。Q−maxが0.90W/cmを超えると、後述のように熱転写印刷適正を損なうおそれがあり、好ましくない。より好ましくはQ−maxは0.85W/cm以下である。また、Q−maxは0.65W/cm以上であることが好ましい。Q−maxが0.65W/cm未満の場合には、後述のようにフィルム基材中の空洞含有率が大き過ぎることに関連して、フィルムの機械的特性、耐熱性、寸法安定性が悪くなるおそれがあり、好ましくない。より好ましくはQ−maxは0.70W/cm以上である。
本発明において基材フィルム中の空洞含有率は、好ましくは10〜50体積%、より好ましくは10〜30体積%である。10体積%未満では特に感熱転写記録印刷受容シートに用いた場合、断熱特性が低く(Q−max値高い)、図3のようにバーコード印刷を行った場合の細線部分に欠けや転写不良による印字ムラが発生し、正常な図2よりも描画性が劣ることになる。また、クッション性が無く腰感の強いフィルムとなるばかりか、樹脂凸版を用いた印刷方式では版を変形させてしまい、精彩な印刷を行うことができなくなる。空洞含有率が50体積%を超えると腰の弱いフィルムとなる。印刷工程での搬送性、取り扱い時のサバキ性が扱い難いものになる。また表面の強度が著しく低下し、耐久性に劣るフィルムとなってしまう。
Q−max値0.65W/cm未満であると基材フィルムの見かけ密度が低いことになり、2軸延伸ポリエステルフィルムの特徴であるフレキシビリティーを確保することが出来づらく、フィルムのハンドリング性(耐折れシワ性)の点で好ましくない。Q−max値0.90W/cmを超えると、見かけ密度が高く基材フィルムには空洞含有率が不足し、断熱効果が高くなってしまい、サーマルヘッドの熱量不足からバーコード印刷をした場合、細線に細かな欠けや印刷ムラが生じる場合があり、あまり好ましくない(例えば、図3参照)。
またA層には、隠蔽性等を向上させるため、無機または有機の粒子を必要に応じて含有させてもよい。使用可能な粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、有機白色顔料等が例示されるが特に限定されるものではない。これらの粒子は、予めポリエステル樹脂中及び/又はポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂中に含有させておくことで、フィルム内に含有させることができる。
本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムは、A層の少なくとも片面に共押し出し成形された、白色無機微粒子を5〜45質量%含有するポリエステル層(B層)を有することが好ましい。そして、B層を共押し出し成形することによって、フィルムの隠蔽性や白度、感熱転写記録時の優れた感度特性を達成することが出来る。
前記白色無機粒子としては、アナターゼ型もしくはルチル型の酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫化亜鉛が例示されるが、アナターゼ型もしくはルチル型の酸化チタンが最も好ましい。これは、フィルムに隠蔽性を付与するのに効果的なこと、その結果、A層の色調が多少変動してもフィルム表面の安定した色調が得られること、また感熱転写記録時の感度特性を著しく向上することが可能となるからである。
また、上記白色無機粒子のB層に対する含有量は、5〜45質量%であることが好ましい。白色無機粒子のB層に対する含有量が5質量%未満では、上記の効果が得られづらく、あまり好ましくない。逆に、白色無機粒子のB層に対する含有量が45質量%を超えると、フィルム表面が極端にマット化(粗面化)し、またフィルム表面の強度が低下する場合があり、あまり好ましくない。
前記白色無機微粒子のより好ましい含有量は、その用途によって異なる。本発明の空洞含有複合ポリエステル系フィルムを感熱転写記録材料用基材フィルムとして用いる場合には、B層に対する白色無機微粒子の含有量が10〜45質量%であることが好ましく、より好ましくは13〜40質量%であり、特に好ましくは15〜37質量%である。白色無機粒子のB層に対する含有量が10質量%未満では、感熱転写記録時の感度特性を向上することが困難となり、あまり好ましくない。
また、ラベル、伝票、商業印刷等の一般用途に本発明の空洞含有複合ポリエステル系フィルムを用いる場合には、B層に対する白色無機微粒子の含有量が5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜28%であり、特に好ましくは13〜25%である。白色無機粒子のB層に対する含有量が30質量%を超えると、フィルムの表面強度が低下する場合があり、あまり好ましくない。
ここで、上記一般用途において、B層に対する白色無機微粒子の含有量の上限値が感熱転写記録用途よりも低い理由は以下の通りである。すなわち、昇華転写記録等の感熱転写記録材料では、一般に受像面表層に離型性が付与され、離型加工が施されない一般用途よりも表面のデラミは生じにくい。そのため、昇華転写記録等の感熱転写記録材料用途よりも、一般用途の方がフィルムの表面強度に対する要求レベルが高くなるためである。
本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムのB層中に含有させる無機粒子の平均粒子径の上限値は、後加工で印刷層などを設ける際の印刷品位の点から、5.0μmであることが好ましく、より好ましくは3.0μm、特に好ましくは2.0μmである。また、前記基材フィルム中に含有させる無機粒子の平均粒子径の下限値は、フィルム製造工程及び後加工工程での滑り性の点から、0.5μmであることが好ましく、特に好ましくは0.7μmである。
なお、B層には複数の種類の無機粒子を組合せて用いても良いし、無機粒子以外の添加剤、例えば蛍光増白剤や帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を添加してもかまわない。
本発明における空洞含有積層ポリエステルフィルムのB層の積層厚みは最大熱流速度(Q−max)を実質的に発現させるために必要な厚みである。なお、B層の厚みは1層あたり1μm以上であり、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上、最も好ましくは4μm以上である。一方、B層の厚みの上限は、フィルム全体厚みに対しB層全体(表面及び/又は裏面)の厚みを30%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下であり、特に好ましくは20%以下である。30%を超えるとB層厚みが厚くなり、断熱特性が低くなり、最大熱流速度(Q−max)は高くなり、感熱転写記録材料用用途に不適なものになってしまう。
なお、基材フィルムの空洞含有率は、フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製SU1510)で撮影し、汎用的な画像解析ソフトウェア(ImageJ)を用いて各領域の空洞を抽出し、空洞率を面積率で求め、この値をそのまま体積%とし表示した。
また、積層フィルムの全厚みは用途によって適宜調整すればよいが、一般には25〜250μmであることが好ましい。一方、熱転写基材、ラベル印刷基材に用いる場合は、通常25〜75μmであることが好ましい。
また、B層はA層の片面に積層してもよく、A層の両面に積層してもよいが、前記一般用途においてはA層の両面にB層をほぼ均一な厚み(B層の表裏厚み差≦50%)に積層することが好ましい。
次に、本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムは、フィルム全体の見かけ密度が1.00〜1.25g/cmであることが好ましい。そして、フィルム全体の見かけ密度が1.25g/cmを超える場合には、空洞含有フィルムとしての特性を得づらくなり、断熱特性、最大熱流速度が高くなり印刷しづらくなるので、あまり好ましくない。逆に、フィルム全体の見かけ密度が1.00g/cmを下回る場合には、2軸延伸ポリエステルフィルムの特徴であるフレキシビリティーを確保しづらくなり、フィルムのハンドリング性(耐折れシワ性)の点からあまり好ましくない。
(製造方法)
本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムは、逐次二軸延伸もしくは同時二軸延伸により得られた二軸配向積層ポリエステルが望ましい。以下、最も好んで用いられる逐次二軸延伸方法について説明する。
まず、ポリエステル樹脂と、ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂との混合は、予備的にペレット混合して押出機に供給することが好ましい。ペレットを攪拌、混合する方法としては、原料空送系での自然攪拌、インラインミキサーを用いた連続攪拌、バッチ処理のミキサーを用いる方法を単独あるいは組合せて用いることが出来る。
原料ペレットを予備混合することによって、後続の押出し機スクリュー部でのデッドスペースを低減することが可能となり、メルトライン中でのポリマーの劣化が抑制される。逆に、ペレット混合なしで押出し機に原料を供給した場合には、原料組成の不均質化によって、溶融ポリマーの部分的な滞留を生じる結果、フィルム品質が不均質化するおそれがあり、あまり好ましくない。
次いで、ペレット混合した原料を押出し機に供給する。押出し機は単軸押出し機あるいは2軸押出し機等が使用可能であるが、工業生産においては吐出能力の安定性から単軸押出し機が好ましい。なお、単軸押出し機を用いる場合、そのスクリュー形状は任意であるが、本発明においては、ダブルフライト型のスクリューを採用することが好ましい。ポリマーの吐出能力の点からは通常のシングルフライトスクリューが優れるが、不均質なペレット混合物の押出しにおいては、デッドスペースを排除し、フィルム品質の安定化を図るため、ダブルフライトスクリューの採用が好ましい。
次に、押出機によって溶融・混合されたポリマーは、定量供給装置及びフィルターを介し、共押出しユニット(フィードブロックまたはマルチマニホールドダイ)に供給される。
一方、B層原料はA層とは別の押出し機から供給され、定量供給装置、フィルターを介して前記の共押出しユニット(フィードブロックまたはマルチマニホールドダイ)に供給され、共押出しユニット内でA層の片面もしくは両面に接合される。
このようにして接合された溶融ポリマーを、単一のフラットダイから押し出して冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸フィルムを製造する。冷却ドラムへのキャスティングに際しては、静電密着法やエアナイフ法を用いることが出来る。
次に、前記の方法で製造した未延伸フィルムを、2軸延伸及び熱処理する。第1段の縦延伸工程では、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。
ただし、ポリエステルと非相溶性樹脂との界面に均一に空洞を発現させるためには、加熱ロールを用いて未延伸フィルムをポリエステルの2次転移温度以下の温度、好ましくは50〜70℃に均一加熱した後、未延伸フィルムの片面もしくは両面から赤外線加熱ヒータを用いて加熱し、均一延伸に必要十分な熱量を供給して瞬間的に延伸を開始・完了させる方法を採用することが好ましい。この場合の好ましい縦延伸倍率は、2.8〜4.0倍であり、さらに好ましくは3.0〜3.6倍である。
次いで、縦1軸延伸フィルムをテンターに導入し、フィルムを横方向に延伸する。好ましい延伸温度は100〜160℃であるが、前記温度範囲内で加熱昇温しつつ延伸処理を施すことがさらに好ましい。また、好ましい横延伸倍率は3.2〜4.2倍であり、さらに好ましくは3.5〜4.0倍の範囲である。
このようにして得られた2軸延伸フィルムに対し、テンター内で熱処理を施す。熱処理温度の設定は、200〜240℃の範囲が好ましく、210〜230℃の範囲がさらに好ましい。
また、フィルムの寸法安定性を向上(熱収縮率を低下)させるために、フィルムの製造工程中あるいはフィルムの製造後に加熱弛緩処理をフィルム長手方向及び/又は幅方向に施してもかまわない。弛緩処理の方法としては、(a)テンター内でクリップを開放あるいは端部を切断して弛緩処理する方法、(b)テンターを出てからフィルムを巻き取るまでの間にフィルムを再加熱して弛緩させる方法、(c)フィルム巻き取り後に別工程でアニール処理を実施する方法、等を採用することが出来る。
この場合、弛緩処理温度は150℃以上かつ前記の熱処理温度未満が好ましく、さらに好ましくは160〜190℃である。
本発明の空洞含有複合ポリエステル系フィルムの熱収縮率(150℃×30分)は、2%未満であることが好ましく、より好ましくは1.5%未満、更に好ましくは1.0%未満、最も好ましくは0.5%未満である。
易接着層の塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能であるが中でも、基材ポリエステルフィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも1方向に延伸した後、ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させる、インラインコート法が本発明の効果をより顕著に発現させることができるので好ましい方法である。
易接着層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる。
次に本発明の実施例および比較例を示す。まず本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。
(1)最大熱流速度(Q−max値)
本発明の空洞含有積層ポリエステルフィルムは、特に感熱転写記録方式の受容シートに用いられた場合、微細な空洞による空気層のため断熱効果が高まり、印字ヘッドの熱エネルギーを有効に印字することができる。断熱効果を評価する方法に特に制限はないが、例えばQ−max値(W/cm)を用いることができる。
Q−max値(W/cm)は、精密迅速熱物性測定装置を用いて測定した最大熱伝達量である。精密迅速熱物性測定装置には、例えば、カトーテック社製 THERMO LABO II(KES−F7)がある。Q値とは、断熱材上に装着された純銅板に熱を貯え、これが試料表面に接触した直後、貯えられた熱量が低温側の試料(フィルム)に移動する熱流を測定した値である。熱流信号は、接触後、約0.2秒でピークに達するので、このピーク値をQ−max値と定義する。
Q−max値を測定する試料(フィルム)は、あらかじめ恒温恒湿室(室温20℃、湿度65%RH)に1週間以上放置しておく。面積25cmの純銅板の温度は30℃に設定する。Water boxの温度を20℃に設定する。この状態で試料(フィルム)をWater boxの上に置き、その後30℃に設定された純銅板をWater box上の試料(フィルム)上に速やかに移動させ、最大熱伝達量Q−max値(W/cm)を読み取る。Q−max値は、貯熱板である純銅板から試料(フィルム)への熱伝達量Qを銅板温度Tで微分して時間の関数として表わす。最大熱伝達量(Q−max値)は、値が小さいほど、試料(フィルム)の瞬間的な断熱効果が高いことを示す。
(2)熱転写リボンインキ印刷性
(シャープ性)
熱転写リボン(リコー株式会社製、B−110Cレジンタイプ 黒色)をボン電気株式会社製BLP−323に装着させ、任意に作成したバーコード柄を印刷させる。転写されたリボンインキの細線が印刷不良による抜け、濃淡差が起きていないか、15倍ルーペにて観察した。
(密着性)
また、印刷部分にセロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社製、CT−24)を気泡が入らないように貼りつけ、さらにその上をこすって十分に密着させる。その後、上記インキ面のセロテープ(登録商標)が密着されていない前後の両端部を手で押さえ、90°方向に急速に剥離した。剥離箇所に於けるバーコード柄が密着しているか目視にて判定した。
○:抜け、濃淡が無くシャープな細線が印字されており、リボンインキが密着している。△:抜け、濃淡差がある。リボンインキは密着している。(実用上問題になると思われる)
×:抜け、濃淡差があり、リボンインキが基材より剥離を起こす。(実用上問題)
(3)接着性
UV硬化型インキ(株式会社セイコーアドバンス製、UVA710 ブラック)をフィルム表面(易接着層が設けられている場合は、易接着層表面)にテトロン・スクリーン(#300メッシュ)によって印刷した後に、500mJ/cmでUV露光した。
硬化した印刷層に対し、カッターナイフにより2mm角100マスのクロスカット面を入れ、その上にセロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社製、CT−24)を気泡が入らないように貼りつけ、さらにその上をこすって十分に密着させる。その後、上記インキ面のセロテープ(登録商標)が密着されていない前後の両端部を手で押さえ、90°方向に急速に剥離した。
剥離後のインキ面を観察し、100個のマス目におけるインキ残留率(マス目の一部分でも剥がれたものも剥がれた個数として扱う)を以下の4段階の基準で接着性を評価し、◎及び○を合格とした。なお、本発明でいう易接着性とは、上記評価を行った際にインキ残留率が90%以上を有するものと定義する。
○:残留率70%以上100%以下(全く剥離しないか、又は実用上問題なく使用できる)
×:残留率70%未満(接着性不良)
(4)フィルムの見かけ密度
フィルムを5.00cm角の正方形に4枚切り出して試料とした。これを4枚重ねにして、その厚みをマイクロメーターにより場所を変え任意の10箇所を有効数字4桁で測定し、重ね厚みの平均値を求めた。この平均値を4で除して有効数字3桁に丸め、一枚あたりの平均厚み(t:μm)とした。同試料4枚の質量(w:g)を有効数字4桁で自動上皿天秤を用いて測定し、次式より見かけ密度を求めた。なお、見かけ密度は有効数字3桁に丸めた。
見かけ密度(g/cm)=(w×10)/(5.00×5.00×t)
(共重合ポリエステル樹脂の調製)
ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500の共重合ポリエステル系樹脂(a1)を得た。
(疎水性重合ポリエステル樹脂の調製)
攪拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレス製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート218質量部、ジメチルイソフタレート194質量部、エチレングリコール488質量部、ネオペンチルグリコール200質量部およびテトラ−N−ブチルチタン0.5質量部を仕込み、160℃から220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、フマル酸13質量部およびセバシン酸51質量部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温しエステル化反応を行った。次いで、255℃まで昇温し反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、疎水性共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた疎水性共重合ポリエステルは、淡黄色透明であった。
(水分散した自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体の調製)
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、疎水性共重合ポリエステル75質量部、メチルエチルケトン56質量部およびイソプロピルアルコール19質量部を入れ、65℃で加熱、撹拌し樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、無水マレイン酸15質量部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10質量部およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5質量部を12質量部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノールを5質量部添加した。次いで、イオン交換水300質量部とトリエチルアミン15質量部を反応溶液に加え、1時間半撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げメチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散した自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を得た。得られた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体は、淡黄色透明で、ガラス転移点は40℃であった。この樹脂を自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a2)とした。
(ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤の調製)
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とマレイン酸とのポリエス
テル(分子量2000)200部に、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6部を添加し、100℃×2時間反応を行い、遊離イソシアネート基4質量%を有するウレタンプレポリマーを得た。次いで系の温度を一旦50℃まで下げ、30%重亜硫酸ナトリウム水溶液84部を添加し、45℃で60分間攪拌を行った後、水で希釈し樹脂分を25%としたブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤(b1)とした。
(ポリカーボネート系ポリウレタンの合成)
還流冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた4つ口フラスコ中に、ポリイソシアネートとして、1,3−シクロヘキサンビス(メチルイソシアネート)73.0質量部と、数平均分子量2000のポリヘキサンジオールカーボネート112.7質量部と、ネオペンチルグリコール11.7質量部と、ジメチロールプロピオン酸12.6質量部と、有機溶媒として、アセトニトリル60質量部、N−メチルピロリドン30質量部とを仕込み、窒素雰囲気下で、反応液温度を75〜78℃に調整して、反応触媒としてオクチル酸第1錫を0.06質量部加え、7時間で反応率99%以上まで反応させた。次いで、これを30℃まで冷却し、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水分散性ポリカーボネート系ポリウレタン(b2)の水溶液を調製した。ガラス転移点(Tg)は86℃であった。
(塗布液Aの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂(a1)、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤(b1)の固形分の割合が(a1)/(b1)(質量比)=50/50であり、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
(実施例1)
(空洞形成剤の製造)
溶融粘度1,300ポイズのポリメチルペンテン(PMP)樹脂60質量%、溶融粘度2,000ポイズのポリプロピレン(PP)樹脂20質量%、及び溶融粘度3,900ポイズのポリスチレン(PS)樹脂20質量%をペレット混合して、285℃に温調したベント式二軸押出機に供給、混練して空洞形成剤(原料c)を製造した。
(ポリエステルの製造)
シリカ粒子含有ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を次の方法で得た。エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.03質量部及び酢酸マグネシウム4水和物を0.088質量部、トリエチルアミンを0.16質量部添加した。
次いで、加圧昇温を行いゲージ圧0.343MPa、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.040質量部を添加した。さらに、260℃に昇温し、リン酸トリメチルを添加した15分後に、平均粒子径(島津製作所製、SA−CP3)が1.0μmの凝集体シリカ粒子のエチレングリコールスラリー(スラリー濃度:140g/L)を、生成ポリエステルに対し、500ppmとなるよう添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃の減圧下で重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、95%カット径が28μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(原料d)を製造した。
(酸化チタン粒子含有マスターバッチの製造)
上記のポリエチレンテレフタレート(原料d)と表面にシロキサン処理を施した平均粒径 0.2μmのアナターゼ型二酸化チタン粒子(堺化学工業株式会社製)を質量比50/50で混合し、ベント式混練機で混練して、二酸化チタン粒子含有マスターバッチ(原料e)を製造した。
(フィルムの製造)
加熱真空乾燥を施した前記原料をc/d/e=7/88/5(質量比)となるように連続計量・連続攪拌してA層の原料とした。次に、この原料をダブルフライトの単軸押出機に供給して溶融混練し、ギアポンプ、フィルター、直径50mmの短管内部に装着された12エレメントのスタティックミキサーを経由して、直ちにフィードブロック(共押出し接合器)に供給した。このとき、スタティックミキサー部で生じた圧損は3.7MPaであった。
一方、B層の原料には前記原料をd/e=70/30(質量比)となるように連続計量したものを用い、ベント式2軸押出し機に供給して溶融混練し、ギアポンプ、フィルターを経由して前記フィードブロックに供給した。
フィードブロックでは、前記A層の両面に前記B層を同じ厚みとなるように接合した。このとき、延伸前の各層の厚み比率がB/A/B=10/80/10となるように、A層側及びB層側の押出機及びギアポンプの回転数を制御した。
次いで、フィードブロックで接合した溶融ポリマーを、フィードブロック直下に連結されたコートハンガーダイに供給し、表面温度30℃の冷却ドラム上にキャストして、厚さ0.71mmの未延伸フィルムを製造した。
次に、前記の方法で得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に加熱した後、周速が異なるロール間で3.1倍に延伸した。このとき、低速ロールと高速ロールの中間部に、フィルムを挟んで対向する位置に集光IRヒータを設置し、フィルムを均一延伸するために必要十分な熱量をフィルムの両面から均等に与えた。
続いて、得られた一軸延伸フィルムに上記に示す水系塗布液Aをロールコート法でフィルムの片面に塗布し、130℃で3秒間乾燥し水分を除去した。
次に、得られた一軸延伸フィルムをテンターに導入し、120℃から150℃に加熱昇温しつつ幅方向に3.9倍の延伸を行った。さらに、テンター内で、230℃で7秒間の熱処理を施し、更に205℃で幅方向に5%緩和させることにより、厚さ50μmの空洞含有複合ポリエステル系フィルム(実施例1)を製造した。なお、基材フィルムの見かけ密度は1.12g/cmであった。
得られた積層ポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(塗布液Bの調製)
上記で得られた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a2)、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤(b1)の固形分の割合が(a2)/(b1)(質量比)=60/40であり水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
(実施例2)
実施例1において、塗布液Aを塗布液Bに代えたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層を有する、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(実施例2)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(塗布液Cの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂(a1)、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(b2)の固形分の割合が(a1)/(b2)(質量比)=60/40であり、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
(実施例3)
実施例2において塗布液Bを塗布液Cに代えたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層を有する、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(実施例3)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(塗布液Dの調製)
上記で得られた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a2)、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(b2)の固形分の割合が(a2)/(b2)(質量比)=70/30であり、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
(実施例4)
実施例3において、塗布液Cを塗布液Dに代えたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層を有する、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(実施例4)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(参考例5)
実施例1において、フィルムの製造におけるA層原料をc/d/e=12/83/5(質量比)に変更し、塗布液Dを水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とし、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(参考例5)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、フィルムの製造におけるA層原料をc/d/e=4/91/5(質量比)に変更し、塗布液Dを水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とし、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(実施例6)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(参考例7)
実施例1において、空洞成型剤cをポリプロピレン樹脂100質量%に変更し、フィルムの製造におけるA層原料をc/d/e=13/82/5(質量比)に変更し、塗布液Aを水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とし、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(参考例7)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(塗布液Eの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂(a1)、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤(b1)、ポリカーボネート系ポリウレタン(b2)の固形分の割合が(a1)/(b1又はb2)(質量比)=100/0であり、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=70/30;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
(比較例1)
実施例1において、フィルムの製造におけるA層原料をc/d/e=1/94/5(質量比)に変更し、塗布液Aを塗布液Eに代えたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層を有する、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(比較例1)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(塗布液Fの調製)
上記で得られた共重合ポリエステル樹脂液(a1)、自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a2)、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(b2)の固形分の割合が(a1又はa2)/(b2)(質量比)=0/100であり、、水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=70/30;質量比)で希釈して水系塗布剤とした。
(比較例2)
実施例1において、フィルムの製造におけるA層原料をc/d/e=1/94/5(質量比)に変更し、塗布液Aを塗布液Fに代えたこと以外は実施例1と同様にして、易接着層を有する、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(比較例2)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、易接着層の塗布を実施せず空洞含有複合ポリエステル系フィルム(比較例3)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、フィルムの製造におけるA層原料をc/d/e=0/95/5(質量比)に変更し、塗布液Dを水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とし、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(比較例4)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、フィルムの製造におけるA層原料をc/d/e=19/76/5(質量比)に変更し、塗布液Dを水/イソプルピルアルコールの混合溶媒(=65/35;質量比)で希釈して水系塗布剤とし、空洞含有複合ポリエステル系フィルム(比較例5)を製造した。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
本発明による空洞含有積層ポリエステルフィルムは、接着性、熱転写印刷適性に優れているので幅広い用途に適用ができる。そのため、各種記録材料用、配送伝票用、ラベル用、カード用、特に感熱記録用基材として好適である。

Claims (4)

  1. ポリエステル樹脂と前記ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を含有する組成物からなる空洞含有層(A層)と、A層の両面に積層された白色無機粒子を1〜45質量%含有するポリエステル層(B層)からなるB層/A層/B層の層構造を有するポリエステル基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する空洞含有積層ポリエステルフィルムであって、空洞含有積層ポリエステルフィルム全体の見かけ密度が1.12〜1.25g/cm であり、一方の表面から他方の表面のへの最大熱流速度(Q−max値) が0.81W/cm以上0.90W/cm以下であることを特徴とする空洞含有積層ポリエステルフィルム。
  2. 易接着層が、共重合ポリエステル樹脂または自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体(a)と、ブロック型イソシアネート基を含有する架橋剤またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(b)とで主として構成された樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の空洞含有積層ポリエステルフィルム。
  3. (a)と(b)の質量比(a)/(b)が、90/10〜10/90であることを特徴とする請求項2に記載の空洞含有積層ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の空洞含有積層ポリエステルフィルムを基材とする感熱記録用受容シート。
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