JP6613068B2 - 蓄電素子用セパレータ - Google Patents
蓄電素子用セパレータ Download PDFInfo
- Publication number
- JP6613068B2 JP6613068B2 JP2015146978A JP2015146978A JP6613068B2 JP 6613068 B2 JP6613068 B2 JP 6613068B2 JP 2015146978 A JP2015146978 A JP 2015146978A JP 2015146978 A JP2015146978 A JP 2015146978A JP 6613068 B2 JP6613068 B2 JP 6613068B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- separator
- thermoplastic polymer
- mass
- storage element
- porous substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Secondary Cells (AREA)
- Cell Separators (AREA)
Description
非水電解液電池のサイクル特性又は安全性を向上するために、セパレータの改良が検討されている。
特許文献2には、電池抵抗を低減して電池パワーを向上するためのセパレータとして、ゲル状ポリマーを部分コートしたセパレータが開示されている。
特許文献3は、セパレータの接着性を高めることによって、電池製造の効率化と高温においても熱収縮率の小さいセパレータを提供することを目的とする。そして、基材多孔質フィルムに部分架橋接着剤を担持させて成るセパレータが、上記目的を達成すると説明している。
特許文献5は、耐熱性に優れて電池の安全性が改善されたリチウム2次電池用セパレータに関し、特定のガラス転移温度を有するバインダと有機粒子とを含む塗工層を具備するセパレータを開示する。
特許文献6には、特定のコアシェル構造を有するポリマー粒子を含有する接着層を有するセパレータが開示されている。
特許文献11は、電解液存在下でも密着性が損なわれないセパレータに関し、ゲル化度の異なる2種類の接着性樹脂を含有する絶縁性樹脂から成る多孔質層を有するセパレータが開示されている。該セパレータは、広い温度範囲でイオン伝導性が高いと説明されている。
特許文献12〜14は、短い工程時間で接着性の高いセパレータを与える技術に関する。これらの特許文献には、それぞれ、特定のコアシェル構造を有するポリマー粒子バインダを含有する接着層を具備するセパレータが開示されている。
近年、電池の製造工程におけるコスト削減及び製品歩留まりの向上が以前に増して強く叫ばれている。そのため、セパレータの分野においては、上記のような実際的な特性が十分に検証されていることの他、工程時間の短縮と、セパレータの接着性の向上と、を高いレベルで両立すべき要請が高まっている。
しかしながら、特許文献5及び6は、セパレータの接着性については考慮していない。
特許文献11では、絶縁性樹脂から成る多孔質層の形成を恒温槽内で1時間静置する手法によっており;
セパレータの製造において工程時間短縮の要請があることを、全く認識していない。
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、短い工程時間で電池特性に優れる電池を製造することができ、電極との接着性乃至密着性、及びイオン透過性の双方に優れる、蓄電素子用のセパレータ材料を提供することを目的とする。
[1]
ポリオレフィン多孔性基材、及び該多孔性基材の少なくとも片面に配置された熱可塑性ポリマー層を含む蓄電素子用セパレータであって、
前記蓄電素子用セパレータと電極とを重ね合わせてプレス速度2m/分でロールプレスを行ったときの前記蓄電素子用セパレータと前記電極との間の剥離強度が0.147N/cm以上であり、そして
前記蓄電素子用セパレータの透気度から前記多孔性基材の透気度を引いた値が100秒/100cc以下であることを特徴とする、前記蓄電素子用セパレータ。
[2]
前記熱可塑性ポリマー層に含有される熱可塑性ポリマーが、粒子状熱可塑性ポリマーであり、かつ
該粒子状熱可塑性ポリマーについてボロノイ分割を行って得られるボロノイ多角形の面積(Si)を用いて下記数式:
[3]
前記熱可塑性ポリマー層の表面被覆率が、前記ポリオレフィン多孔性基材のうちの前記熱可塑性ポリマー層が配置された面の面積に対して、5〜80%である、[1]又は[2]に記載の蓄電素子用セパレータ。
[4]
[1]〜[3]のいずれか一項に記載の蓄電素子用セパレータと、
正極と、
負極と、
から構成されて成ることを特徴とする、積層体。
[5]
[4]に記載の積層体を捲回して成ることを特徴とする、捲回体。
[6]
[1]〜[3]のいずれか一項に記載の蓄電素子用セパレータと、
正極と、
負極と、
電解液と、
から構成されて成ることを特徴とする、二次電池。
[7]
[1]〜[3]のいずれか一項に記載の蓄電素子用セパレータと、
集電体及び該集電体の少なくとも片面上に形成された活物質層を有する電極と、
を重ね合わせて1秒以下のプレスを行う工程を含むことを特徴とする、蓄電素子の製造方法。
本発明の蓄電素子用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材、及び該多孔性基材の少なくとも片面に配置された熱可塑性ポリマー層を含む。この蓄電素子用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材及び熱可塑性ポリマー層のみから成っていてもよいし、これら以外にフィラー多孔層を更に有していてもよい。本発明の蓄電素子用セパレータがフィラー多孔層を有する場合、該フィラー多孔層は、ポリオレフィン多孔性基材の片面又は両面に配置される。フィラー多孔層を有する面に熱可塑性ポリマー層を配置する場合、これらの相互位置関係は任意であるが、ポリオレフィン多孔性基材上に、フィラー多孔層及び熱可塑性ポリマー層をこの順に積層することが好ましい。
本発明の蓄電素子用セパレータを構成する各部材、及び蓄電素子用セパレータの製造方法の好ましい実施形態について、以下に詳細に説明する。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンを含有するポリオレフィン樹脂組成物から構成される多孔膜が挙げられ、ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔膜であることが好ましい。本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材におけるポリオレフィン樹脂の含有量は特に限定されないが、蓄電素子用セパレータとして用いた場合のシャットダウン性能などの観点から、該多孔性基材を構成する全成分の50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物から成る多孔膜であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂が占める割合は60質量%以上100質量%以下がより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂の代表例としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
蓄電デバイス用セパレータとして使用するポリオレフィン多孔性基材の材料としては、低融点であり、かつ高強度であることから、特に高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂を使用することが好ましい。
ここで、ポリプロピレンの立体構造は、限定されるものではなく、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン及びアタクティックポリプロピレンのいずれでもよい。
ポリオレフィン樹脂組成物中の総ポリオレフィンに対するポリプロピレンの割合は、特に限定されないが、耐熱性と良好なシャットダウン機能の両立の観点から、1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%、更に好ましくは4〜10質量%である。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材は、任意の添加剤を含有することができる。このような添加剤は、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン以外のポリマー;無機粒子;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
これらの添加剤の合計含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
により求めることができる。ここで、例えばポリエチレンから成るポリオレフィン多孔性基材の場合には、膜密度を0.95(g/cm3)と仮定して計算することができる。気孔率は、ポリオレフィン多孔性基材の延伸倍率の変更等により調節可能である。
上記突刺強度は、ポリオレフィン多孔性基材の延伸倍率及び/又は延伸温度等を調整することにより調節可能である。
フィラー多孔層は、無機フィラー及び樹脂バインダを含む。
(無機フィラー)
フィラー多孔層に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、200℃以上の融点を持ち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等の、イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))が特に好ましい。イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、主としてカオリン鉱物から構成されているカオリンがより好ましい。カオリンには、湿式カオリン及びこれを焼成処理して成る焼成カオリンが知られている。本発明においては、焼成カオリンが特に好ましい。焼成カオリンは、焼成処理の際に、結晶水が放出されており、更に不純物も除去されていることから、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
フィラー多孔層に含有される樹脂バインダの種類としては、特に限定されないが、リチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定な樹脂バインダを用いることが好ましい。
このような樹脂バインダの具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の、融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
樹脂バインダの平均粒径は、重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pHなどを調整することで制御することが可能である。
フィラー多孔層の層密度は、0.5〜2.0g/cm3であることが好ましく、0.7〜1.5cm3であることがより好ましい。フィラー多孔層の層密度が0.5g/cm3以上であると、高温での熱収縮率が良好となる傾向にあり、2.0g/cm3以下であると、透気度が低下する傾向にある。
塗工液を基材に塗工する方法は、必要とする層厚及び塗工面積を実現できる限り特に限定されない。樹脂バインダを含んだフィラー原料と、ポリマー基材原料と、を共押出法により積層して押出してもよいし、基材とフィラー多孔膜とを個別に作製した後に貼り合せてもよい。
本実施形態における熱可塑性ポリマー層は、上記のようなポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に配置される。
熱可塑性ポリマー層は、ポリオレフィン多孔性基材の全面に配置してもよいし、該基材の面の一部にのみ配置してもよい。得られる電池において高いイオン透過性を示すためには、熱可塑性ポリマー層をポリオレフィン多孔性基材の面の一部にのみ配置することが好ましい。
本実施形態において、ポリオレフィン多孔性基材の面のうちの、熱可塑性ポリマー層が配置される面の全面積に対する熱可塑性ポリマー層の面積割合は、特に限定されないが、80%以下、75%以下、又は70%であることが好ましく、また、この面積割合は、5%以上、10%以上、又は15%以上であることが好ましい。より好ましくは、この面積割合は、20%以上60%以下である。この面積割合は、得られるセパレータの熱可塑性ポリマー層形成面をSEMで観察することによって測定される。
ポリオレフィン多孔性基材上に配置される熱可塑性ポリマー層の厚さは、片面当たり、0.01〜5μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることが更に好ましい。
蓄電デバイスの剛性に加えて高温保存特性も向上させるために、セパレータ基材上に配置された粒子状熱可塑性ポリマー(以下、「熱可塑性ポリマー粒子」ともいう)についてボロノイ分割を行って得られるボロノイ多角形の面積(si)の分散(σ2)が、0.01以上0.7以下であることが好ましい。
ボロノイ多角形の面積(si)の分散(σ2)とは、下記式:
により算出される値である。観察視野においてボロノイ分割を行なった時に、閉じられていない領域は、上記式の計算対象としないものとする。閉じられていない領域としては、例えば、観察視野の境界に粒子が存在し、その粒子の全体が観察されていない時に、その粒子に対してボロノイ分割を行なうことによって得られる領域が挙げられる。
従って、セパレータ表面の少なくとも一部の領域を撮影して得られた画像において、その画像の端に位置する粒子については、その粒子全体が観察されているか否かを確認することが好ましい。
但し、熱可塑性ポリマー粒子の分布は、観測視野によって変化することがある。従って、面積密度及び分散(σ2)としては、好ましくは複数の観察視野についてそれぞれ算出された値の平均値を採用することが好ましい。この視野数としては、3以上とすることが好ましい。
i)各測定視野:走査電子顕微鏡で撮像した画像
ii)視野の設定方法:
a)起点の視野を設定し、
b)前記起点の視野に対して横方向に順次に隣接する領域からなる視野の9個と、縦方向に順次に隣接する領域からなる視野の9個と、前記起点の視野と、からなる19視野を設定し、
c)前記19視野によって規定される領域を起点の区画として設定し、
d)前記起点の区画に対して10mm間隔で一軸方向に順次に隣接する領域からなる区画を4個設定し、
e)前記4個の区画について、前記起点の区画における19視野と相似の位置に各19視野を設定し、そして
f)前記4個の区画及び前記起点の区画における全95視野(19視野×5区画)を測定視野として設定する。
前記各測定視野は、1視野に観察される熱可塑性ポリマー粒子の数が80〜200個となる倍率に設定して撮像された撮像画像であることが好ましい。
i)撮像画像としては、上記のとおり、倍率1万倍の走査電子顕微鏡で撮像した画像を採用することが好ましい。例えば図5に示す画像である。図5は、倍率1万倍の走査電子顕微鏡で撮像した、基材上の熱可塑性ポリマー粒子の画像の一部をモデル的に示した図である。
図5の画像において、先ず、起点の視野(10)を設定する。1視野は倍率1万倍の走査電子顕微鏡で撮像した画像により構成されるため、その1視野のスケールは10μm×10μm程度であり、熱可塑性ポリマー粒子を基準としたボロノイ分割評価に適した視野を構成する。次に、前記起点の視野(10)に対して横方向(X軸方向)に順次に隣接する9個の視野(1〜9)を設定する。これらの視野(1〜9)は、それぞれ、起点の視野(10)と同じ倍率の撮像画像からなり、隣接する領域と一辺を共通にして一方向に順次に設定される。次に、前記起点の視野(10)に対して縦方向に順次に隣接する9個の視野(11〜19)を設定する。これらの視野(11〜19)は、それぞれ起点の視野(10)と同じ領域からなり、隣接する領域と一辺を共通にして一方向に順次に設定される。
本実施態様においては、更にセパレータ表面の状態を正確に評価すべく、上記1区画と同等の区画を5区画設けて評価を実施する。具体的には、図6を参照する。図6は、図5に示した基材上の熱可塑性ポリマー粒子の画像の全体像である。該図6において、前記起点の区画(I)に対して、10mm間隔で一軸方向に順次に隣接する4個の区画(II〜V)を設定する。これら4個の区画は、それぞれ起点の区画(I)と同じ領域から成る。
次いで、これら4個の区画(II〜V)について、前記起点の区画(I)における19視野と相似の位置に各19視野を設定する。そして、前記4個の区画(II〜V)及び前記起点の視野(I)における全95視野(19視野×5区画)を、基材上における熱可塑性ポリマー粒子の観察視野として設定する。
上記評価方法から理解されるとおり、95視野を観察対象とする場合、長さ約40mmのセパレータ片を測定対象とするため、セパレータ表面における熱可塑性ポリマーの分散状態を正確に評価することができる。
本実施形態におけるセパレータは、基材上に形成されたポリマー層中の熱可塑性ポリマー粒子が、実質的に重なり合うことがないように配置されたうえで、上記の面積密度、及び分散(σ2)が、それぞれ、上記した範囲に調整されることが好ましい。
基材上でポリマー層がパターン状に存在する場合には、上記の面積密度及び分散(σ2)は、それぞれ、ポリマー層が存在する領域を撮影した画像を用いて評価されることが好ましい。
本実施形態で使用される熱可塑性ポリマーの構造は、特に限定されない。粒子状であることが好ましい。該粒子状熱可塑性ポリマーは、例えば、単層構造;
粒子状熱可塑性ポリマーと、該粒子状熱可塑性ポリマーの少なくとも一部を囲むポリマーと、から構成される構造;
積層構造
等が挙げられる。
熱可塑性ポリマー層において、蓄電デバイス用セパレータの最表面に存在する熱可塑性ポリマーの少なくとも一部が粒子状熱可塑性ポリマーであることが好ましい。このような構造を有することにより、セパレータと電極との接着性、及びイオン透過性に優れ、電池作成時の工程時間短縮、電池特性の向上に効果がある。
粒子状熱可塑性ポリマーは、単一の組成から成る粒子であってもよいし、複数の組成の混合物から成る粒子であってもよいし、コアシェル構造を有する粒子であってもよいし、2種類以上の熱可塑性ポリマーがブレンドされた状態であってもよい。
ここで、粒子状とは、走査型電子顕微鏡(SEM)の測定において、個々の熱可塑性ポリマーが輪郭を持つ状態を指す。該粒子は、細長形状、球状、多角形状等の任意の形状であってよい。
耐ブロッキング性及びイオン透過性の観点から、ガラス転移温度が20℃以上のポリマーもブレンドされていることが好ましい。ブレンドする場合の混合比としては、ガラス転移温度を20℃以上の領域に持つポリマーと、ガラス転移温度を20℃未満の領域に持つポリマーとの比が、0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲であることが好ましく、より好ましくは、5:95〜95:5であり、更に好ましくは50:50〜95:5であり、特に好ましくは60:40〜95:5である。
コアシェル構造の場合、シェルポリマーを変えることによって、電極、ポリオレフィン微多孔膜等の他材料に対する接着性及び相溶性の調整ができ、かつコアポリマーを調整することによって、例えば熱プレス時の電極に対する接着性を高めることができる。更には、コアポリマーの存在によって、熱プレス後のポリマー粒子形状の崩れが抑制される。その結果、熱可塑性ポリマーによるポリオレフィン基材の孔の閉塞が最小限に抑えられ、イオン透過性を落とすことがない。
本実施形態におけるガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定される。具体的には、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点の温度を、ガラス転移温度として採用することができる。より詳細には、実施例に記載の方法を参照することができる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、α−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー又はこれらを含むコポリマー;
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー若しくはこれらを含むコポリマー、又はこれらの水素化物;
アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等をモノマー単位として含むアクリル系ポリマー若しくはこれらを含むコポリマー、又はその水素化物;
エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;
エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;
ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂:並びに
これらのうちの複数から成る混合物
等から成る粒子が挙げられる。
ジエン系ポリマーは、特に限定されないが、例えば、ブタジエン、イソプレン等の、共役の二重結合を2つ有する共役ジエンモノマーを重合することにより得られるモノマー単位を含むポリマーである。ジエン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、共役ジエンのホモポリマー、及び共役ジエンと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。共役ジエンモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。共役ジエンと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、α,β−不飽和ニトリル化合物、不飽和カルボン酸化合物、スチレン系モノマー、ハロゲン原子含有モノマー、ビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物、ビニルケトン化合物、複素環含有ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、ヒドロキシアルキル基含有化合物、アミド系モノマー等が挙げられる。
このアクリル系ポリマーとしては、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、
酸モノマーと、
官能基含有モノマーと、
任意的に芳香環含有モノマーと、
任意的に架橋性モノマーと、
のコポリマーであることが、電極との密着性及びイオン透過性のバランスに特に優れるセパレータを製造できる点で、特に好ましい。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸鎖状アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル;
等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸;
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸;
等を挙げることができる。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンテンオール等のヒドロキシ基含有モノマー;
メタクリル酸2−アミノエチル等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート等のシアノ基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有モノマー;
等を挙げることができる。
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;
等を挙げることができる。
トリメチロールプロパントリアクリレート等を挙げることができる。
本実施形態における熱可塑性ポリマーとしてのアクリル系ポリマーは、好ましくは、以下のモノマー組成を有するものである。以下は、アクリル系ポリマーの全質量を基準とする各モノマー単位の好ましい含有割合である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル:好ましくは50〜99.9質量%、より好ましくは60〜99.9質量%、特に好ましくは80〜99.9質量%
酸モノマー:好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%
官能基含有モノマー:好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは1〜10質量%
芳香環含有モノマー:好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは芳香環含有モノマーを使用しないことである。
架橋性モノマー:好ましくは10質量%以下、より好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%
より好ましくは、コアのガラス転移温度Tg(core)がシェルのガラス転移温度Tg(shell)よりも高いコアシェル構造を有する粒子の場合である。Tg(core)とTg(shell)との差(Tg(core)−Tg(shell)の値)は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20〜150℃であり、更に好ましくは30〜100℃である。
コアシェル構造を有する粒子におけるTg(core)及びTg(shell)の好ましい範囲は、Tg(core)>Tg(shell)の関係を満たすことを条件に、それぞれ、以下のとおりである。
Tg(core):好ましくは0〜200℃、より好ましくは20〜150℃、更に好ましくは30〜120℃
Tg(shell):好ましくは−50〜100℃、より好ましくは−10〜60℃、更に好ましくは0〜40℃
後述の蓄電素子を製造する方法において、セパレータと電極との積層体又は該積層体の巻回体に対してプレスを行う場合、上記Tg(shell)は、該プレス温度よりも低いことが好ましい。この場合、プレス温度とTg(shell)との差(プレス温度−Tg(shell)は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。
酸モノマーと、
官能基含有モノマーと、
任意的に芳香環含有モノマーと、
任意的に架橋性モノマーと、
のコポリマーである、コアシェル構造を有する粒子の場合である。これらのモノマーとしては、それぞれ、上記に例示した化合物と同じものを使用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル:好ましくは50〜99.9質量%、より好ましくは60〜99.9質量%、特に好ましくは80〜99.9質量%
酸モノマー:好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%
官能基含有モノマー:好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%
芳香環含有モノマー:好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは芳香環含有モノマーを使用しないことである。
架橋性モノマー:好ましくは10質量%以下、より好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%
(メタ)アクリル酸アルキルエステル:好ましくは50〜99.99質量%、より好ましくは60〜99.95質量%、特に好ましくは80〜99.9質量%
酸モノマー:好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%
官能基含有モノマー:好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは1〜10質量%
芳香環含有モノマー:好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは芳香環含有モノマーを使用しないことである。
架橋性モノマー:好ましくは10質量%以下、より好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%
例えば、約−50℃のTgのホモポリマーを与えるn−ブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等のモノマーを高い比率で共重合したコポリマーのTgは低くなる。
また、コポリマーのTgは、下記数式(1):
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・・・+Wi/Tgi+・・・・・・Wn/Tgn (1)
{数式(1)中、Tg(K)はコポリマーのTgであり、Tgi(K)は各モノマーiのホモポリマーのTgであり、Wiは各モノマーの質量分率である。}で表されるFOXの式によっても、概算することができる。
ただし、本実施形態における熱可塑性ポリマーのガラス転移温度Tgとしては、上記DSCを用いる方法により測定した値を採用する。
コアとシェルとの比率が上記の範囲にあることにより、電極への接着に際してTgがより低いシェルポリマーの有する接着性が効果的に機能する。また、Tgがより高いコアポリマーの存在によって、熱プレス後のポリマー粒子形状の崩れが抑制されるから、熱可塑性ポリマーによるポリオレフィン基材の孔の閉塞が最小限に抑えられ、イオン透過性を落とすことがない。
本実施形態における熱可塑性ポリマー層は、上記のような熱可塑性ポリマーのみを含有していてもよいし、これ以外の任意成分を併有していてもよい。
ここで使用できる任意成分としては、例えば、バインダ、無機フィラー、水溶性高分子等を挙げることができる。
[ポリオレフィン多孔性基材の製造方法]
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材を製造する方法は、特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。
先ず、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入し、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で可塑剤を導入して混練する方法が挙げられる。この際、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を樹脂混練装置に投入する前に、予めヘンシェルミキサー等を用い所定の割合で事前混練しておくことが好ましい。より好ましくは、事前混練において可塑剤の一部のみを投入し、残りの可塑剤を樹脂混練装置サイドフィードしながら混練することである。
上記のようにして製造されたポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面上に、熱可塑性ポリマー層を配置する。ポリオレフィン多孔性基材上に、熱可塑性ポリマーを配置する方法としては、特に限定されず、例えば、該熱可塑性ポリマーを含有する塗布液をポリオレフィン多孔性基材に塗布する方法が挙げられる。
塗布液中の熱可塑性ポリマーの含有量としては、該塗布液の全量に対する熱可塑性ポリマーの質量割合として、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましい。
本実施形態の蓄電素子用セパレータは、これを電極と重ね合わせてプレス速度2m/分でロールプレスを行ったときの、蓄電素子用セパレータと電極との間の剥離強度が0.147N/cm以上である。この剥離強度は、0.196N/cm以上であることが好ましく、0.294N/cm以上であることがより好ましい。剥離強度をこの範囲に設定することにより、電極及びセパレータからなる捲回体をプレス成形した際のプレスバックを抑制できる。また、シート状電極及びシート状セパレータからなる積層体をプレス成形した後の、剥がれ及び位置ズレを防ぐことができる。従って、電池組立工程における歩留まり低下を抑制し、生産工程時間を短縮することができ、好ましい。
この剥離強度は、蓄電素子用セパレータを電極と重ね合わせ、線圧22.6N/cm、及び70℃の条件下で、プレス速度2m/分にてロールプレスした後に、市販の引張試験機によって測定される180°剥離強度の値である。引張試験の試料は15mm幅とし、引張速度は300mm/分として測定することが適切である。
このリチウムイオン二次電池用正極については後述される。
本実施形態の蓄電素子用セパレータは、このように非常に大きな透気度を示す。このことにより、該セパレータをリチウムイオン二次電池に適用したときには、大きなイオン透過性を示すこととなる。
本実施形態の蓄電素子用セパレータは、前述のとおり、ポリオレフィン多孔性基材と、該多孔性基材上に配置された熱可塑性ポリマー層を含む。ここで、原料として用いたポリオレフィン多孔性基材が本来有していた透気度が、熱可塑性ポリマー層の配置によって損なわれる程度が少ないことが特徴的である。具体的には、本実施形態のセパレータの透気度から、その原料として用いた多孔性基材の透気度を引いた値が、100秒/100cc以下であることが好ましい。この値は、より好ましくは70秒/100cc以下であり、更に好ましくは50/100cc以下である。一方で、原料の多孔性基材上には、得られるセパレータが高い接着性を発現するために適正な量の熱可塑性ポリマー層が配置されるため、上記の値は、5秒/100cc以上であることが好ましい。
この透気度は、ポリオレフィン多孔性基材の透気度と同じく、JIS P−8117に準拠して測定される透気抵抗度である。
本実施形態の蓄電素子用セパレータは、これを正極、負極、及び非水電解液を組み合わせることにより、蓄電素子のセパレータとして好適に適用することができる。この蓄電素子としては、例えばリチウムイオン二次電池を挙げることができる。
本実施形態のセパレータをリチウムイオン二次電池を製造する場合、正極、負極、非水電解液に限定はなく、それぞれ公知のものを用いることができる。
正極としては、正極集電体上に正極活物質を含む正極活物質層が形成されて成る正極を好適に用いることができる。正極集電体としては、例えばアルミニウム箔等を;
正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、スピネル型LiMnO4、オリビン型LiFePO4等のリチウム含有複合酸化物等を;
それぞれ挙げることができる。正極活物質層には、正極活物質の他、バインダ、導電材等を含んでいてもよい。
負極活物質としては、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種合金材料等を;
それぞれ挙げることができる。
本実施形態のセパレータを、幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜4,000m(好ましくは1,000〜4,000m)の縦長形状のセパレータとして製造し、当該セパレータを、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で積層し、円又は扁平な渦巻状に巻回して巻回体を得、当該巻回体を電池缶内に収納し、更に電解液を注入することにより、製造することができる。或いは、シート状のセパレータ及び電極からなる積層体、又は電極及びセパレータを折り畳んで巻回体としたものを、電池容器(例えばアルミニウム製のフィルム)に入れて、電解液を注液する方法によって製造してもよい。
本実施形態の蓄電素子用セパレータと、
集電体及び該集電体の少なくとも片面上に形成された活物質層を有する電極と、
を、前者の熱可塑性ポリマー層と活物質層とが対向するように重ね合わせて1秒以下のプレスを行う方法を例示することができる。プレス温度は、効果的に接着性を発現できる温度として例えば50℃以上が好ましい。また熱プレスによるセパレータ孔の目詰まりや熱収縮を抑える点で、プレス温度はポリオレフィン多孔性基材の融点よりも低いことが好ましく、100℃以下がさらに好ましい。さらには60〜80℃とすることが好ましい。プレス時間は0.01〜1秒とすることが好ましく、0.01〜0.5秒とすることがより好ましい。プレス時間を上記の範囲に設定することにより、電池の生産に要する時間が従来技術における方法と比べて有意に短くなるため、電池の生産性を顕著に高めることができる。
詳しくは、ロール温度を上記の好ましい温度に設定し、ロールスピードを好ましくは0.1〜20m/分、より好ましくは0.5〜10m/分に設定して、ロールプレスを行う方法である。
(1)気孔率
ポリオレフィン多孔性基材から10cm×10cm角のサンプルを切り取り、その体積(cm3)及び質量(g)を求めた。これらの値を用い、該多孔性基材の密度を0.95(g/cm3)として、気孔率を下記数式:
気孔率(%)=(1−質量/体積/0.95)×100
により計算した。
(2)透気度(秒/100cc)
JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度とした。
蓄電素子用セパレータと、その原料として用いたポリオレフィン多孔性基材について、上記(2)の方法によりそれぞれ透気度を測定し、蓄電素子用セパレータの透気度(AR(A)(秒/100cc))とポリオレフィン多孔性基材の透気度(AR(B)(秒/100cc))との差(AR(A)−AR(B)(秒/100cc))と求めた。この値を以下の基準により評価した。
◎(優良):AR(A)−AR(B)が50秒/100cc以下であった場合
○(良好):AR(A)−AR(B)が50秒/100ccを超え100秒/100cc以下であった場合
×(不良): AR(A)−AR(B)が100秒/100ccを超えた場合
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーでポリオレフィン多孔性基材を固定した。次に、固定された多孔性基材の中央部を、先端の曲率半径0.5mmの針を用いて、突刺速度2mm/秒で、25℃雰囲気下において突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(g)を得た。
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm3)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm3、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm3)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機を用いて圧縮成形することにより、正極を作製した。この時の正極活物質塗布量は109g/m2であった。
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm3、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、負極を作製した。この時の負極活物質塗布量は5.2g/m2であった。
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
d.電池組立
各実施例及び比較例で得られた蓄電素子用セパレータを24mmφ、正極及び負極をそれぞれ16mmφの円形に切り出した。正極と負極の活物質面とが対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、線圧2.3kg/cm、ロール速度2m/分、及び表5の記載のプレス温度にてロールプレスしたうえで、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接していた。この容器内に前記非水電解液を0.4ml注入して密閉することにより、電池を組み立てた。
d.で組み立てた簡易電池を、25℃において、電流値3mA(約0.5C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法により、電池作成後の最初の充電を合計約6時間行った。その後、電流値3mAで電池電圧3.0Vまで放電した。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値6mAで電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値12mA(約2.0C)で電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を2C放電容量(mAh)とした。
そして、1C放電容量に対する2C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
レート特性(%)=(2C放電容量/1C放電容量)×100
レート特性(%)の評価基準は以下のとおりとした。
○(良好):レート特性が90%以上
×(不良):レート特性が90%未満
各実施例及び比較例で得られた蓄電素子用セパレータと、
被着体としての正極(上記(5)aと同様にして製造したもの)と
をそれぞれ幅15mm及び長さ60mmの長方形状に切り取り、
セパレータの熱可塑性ポリマー粒子層と、正極の活物質層とが相対するように重ね合わせて積層体を得た後、その積層体を、以下の条件でロールプレスした。
線圧:22.6N/cm
温度:70℃
プレス速度:2m/分
◎(優良):剥離強度0.196N/cm以上
○(良好):剥離強度0.147N/cm以上0.196N/cm未満
×(不良):剥離強度0.147N/cm未満
比較例1〜5については、上記条件下のロールプレス法による積層体の評価に加えて、
ロールプレスに代えて70℃及び60秒の熱プレスを行った積層体についての剥離強度も測定した。
正極/セパレータ/負極/セパレータ/正極から成る5層積層体を作製し、上記(5)と同じ条件でロールプレスした。
プレス後の積層体の端をつまんで持ち上げたとき、積層体に剥がれが見られるかどうかを観察した。この試験を3回行い、積層体の剥がれが1個も見られなかった場合(不具合率0%の場合)を「○(生産性良好)」、積層体の剥がれが1個でも見られた場合(不具合率が33%以上であった場合)を「×(生産性不良)」として評価した。
上記(5)a〜dのように組み立てた簡易電池を用いて、高温保存特定の評価を行った。
上記の電池を、25℃気下、3mA(約0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法により、合計6時間の充電を行った。その後、3mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電した。
次に25℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計3時間充電を行った。そして6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量をA(mAh)とした。
次に25℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計3時間充電を行った。充電状態に保持したセルを60℃雰囲気下で7日間保持した。その後セルを取り出し、25℃雰囲気下、6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電した。次に25℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計3時間充電を行った。更に6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量をB(mAh)とした。
そして、BのAに対する比率を用いて、以下の基準により高温保存特性を評価した。
A(良好):放電容量Bの放電容量Aに対する比率が70%以上であった場合
B(許容):放電容量Bの放電容量Aに対する比率が70%未満であった場合
ASRM−D4020に準拠して、デカリン溶剤中、135℃における極限粘度[η]を求めた。この[η]値を用いて、下記数式の関係から粘度平均分子量Mvを算出した。
ポリエチレンの場合:[η]=0.00068×Mv 0.67
ポリプロピレンの場合:[η]=1.10×10 −4 Mv 0.80
i)3視野を用いる評価
走査型電子顕微鏡S−4800(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用い、ポリマー粒子の粒径に応じて倍率1万倍又は3万倍でセパレータ上のポリマー層表面を3つの視野で写真撮影した。これら3つの視野に含まれる粒状の熱可塑性ポリマーについての面積密度、ボロノイ多角形の面積(si)の分散(σ2)、及び投影面積(ci)とボロノイ多角形の面積(si)との比(ci/si)を、それぞれ3つの視野の平均値として得た。ここで、面積密度、ボロノイ多角形の面積(si)の分散(σ2)、及び比(ci/si)は、画像処理ソフトウェア「A像くん」(登録商標;旭化成エンジニアリング株式会社製)を用いて自動的に算出された。また、観察視野においてボロノイ分割を行なった時に、閉じられていない領域は、ボロノイ多角形の面積を計算するための対象としなかった。
走査型電子顕微鏡S−4800(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用い、ポリマー粒子の粒径に応じて倍率1万倍又は3万倍でセパレータ上のポリマー層表面を写真撮影した。得られた画像を用いて、上述したように5区画95視野を設定した。これら95個の視野に含まれる粒状の熱可塑性ポリマーについての面積密度、ボロノイ多角形の面積密度、ボロノイ多角形の面積(si)の分散(σ2)、及び投影面積(ci)とボロノイ多角形の面積(si)との比(ci/si)を、上記i)と同様にして、それぞれ95視野の平均値として得た。
製造例A
Mvが70万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが30万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレン5質量部と、
を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。
得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。
得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。
また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中の、流動パラフィンの割合が65質量部、及びポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
このシートを同時二軸延伸機にて、温度112℃において倍率7×6.4倍に延伸した。その後、延伸物を塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥し、更にテンター延伸機を用いて温度130℃において横方向に2倍延伸した。
その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、ポリオレフィン多孔性基材Aを得た。
以下の材料:
SiO2「DM10C」(商標、トクヤマ社製) 6.4質量部、
粘度平均分子量が70万の高密度ポリエチレン 12.2質量部、
粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン 12.2質量部、
粘度平均分子量40万のホモポリプロピレン 1.3質量部、
可塑剤として、流動パラフィン 37.1質量部、及び
酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 0.3質量部添加
をスーパーミキサーにて予備混合することにより、ポリオレフィン第1微多孔層の原料を調製した。
以下の原料:
粘度平均分子量が70万の高密度ポリエチレン10.8質量部、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン 10.8質量部、
粘度平均分子量40万のホモポリプロピレン 1.1質量部、
可塑剤として、流動パラフィン 46.3質量部、及び
酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 0.3質量部
をスーパーミキサーにて予備混合することにより、ポリオレフィン第2微多孔層の原料を調製した。
押出機における溶融混練条件は、以下のとおりである。
第1微多孔層の原料
設定温度:200℃
スクリュー回転数:100rpm
吐出量:5kg/h
第2微多孔層の原料
設定温度:200℃
スクリュー回転数:120rpm
吐出量:16kg/h
得られたポリオレフィン多孔性基材Bを製造例Aと同様に上記方法により評価した。評価結果を表1に示す。
以下の原料:
Mv2.5×105の高密度ポリエチレン 95質量部、
Mv4.0×105のポリプロピレン 5質量部、及び
酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン 0.1質量部
を混合することにより、第1微多孔層を構成する第1樹脂組成物を調製した。
以下の原料:
一次粒径が15nmであるSiO2 44.8質量部(樹脂と無機粒子との総量中の割合として81質量%)、
Mv7.0×105の高密度ポリエチレン樹脂 10.4質量部(樹脂と無機粒子との総量中の割合として19質量%)、
可塑剤として、流動パラフィン 44.8質量部、
酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1質量部、
をヘンシェルミキサーにて予備混合することにより、第2微多孔層を構成する第2樹脂組成物を調製した。
第1微多孔層の原料
設定温度:200℃
スクリュー回転数:20rpm
吐出量:8kg/h
第2微多孔層の原料
設定温度:200℃
スクリュー回転数:150rpm
吐出量:14kg/h
得られたポリオレフィン多孔性基材Cの特性を表1に示す。
上記製造例Aと同様にしてポリオレフィン多孔性基材Aを製造した。
次に、水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)96.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製した。続いて、その塗布液を、ポリオレフィン多孔性基材Aの表面にグラビアコーターを用いて塗布した。その後、60℃において乾燥して水を除去した。このようにして、ポリオレフィン多孔性基材A上に水酸化酸化アルミニウム層(無機フィラーの多孔層)を厚さ2μmで形成することにより、ポリオレフィン多孔性基材Dを得た。
上記製造例Aと同様にしてポリオレフィン多孔性基材Aを製造した。
次に、水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)の配合量を80.0質量部、アクリルラテックスの配合量を20.0質量部とし、塗布厚みを3μmとした以外は、製造例Dと同様にしてポリオレフィン多孔性基材A上に水酸化酸化アルミニウムの層を形成することにより、ポリオレフィン多孔性基材Eを得た。
合成例A〜H
(コアの製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を装着した反応容器に、初期仕込みとして、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液)0.5質量部と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液)を7.5質量部添加した。
上記とは別に、表2の「乳化液1」欄に記載したモノマー及びその他の使用原料をホモミキサーにより5分間混合して乳化液1を調製した。
前記反応容器中に上記の乳化液1を滴下した。具体的には、前記反応容器に過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に、該反応容器への前記滴下槽からの乳化液1の滴下を開始し、150分かけて全量を滴下した。
乳化液1の滴下終了後、反応容器内部温度を90分間80℃に維持し、その後室温まで冷却し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンに水酸化アンモニウム水溶液(25質量%水溶液)を加えてpH=9.0に調整することにより、コア粒子を40質量%含有するエマルジョンを得た。
上記で得たコア粒子を含有するエマルジョンをシードポリマーとして用い、該シードポリマーの存在下で以下のように2段目の重合を行ってシェル部を合成することにより、コア/シェル構造を有する熱可塑性ポリマー粒子を製造した。
攪拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を装着した反応容器に、初期仕込みとして、イオン交換水、シードポリマーエマルジョン、及び乳化剤を投入し、反応容器中の温度を30℃に保ち、更に開始剤の2質量%水溶液を添加した。
上記とは別に、表3の「乳化液2」欄に記載したモノマー及びその他の使用原料をホモミキサーにより5分間混合して乳化液2を調製した。
前記反応容器中に上記の乳化液2を滴下した。具体的には、前記反応容器に開始剤を添加した5分後に、該反応容器への前記滴下槽からの乳化液2の滴下を開始し、150分かけて全量を滴下した。この状態で更に30分撹拌を継続して、シードポリマーにモノマーを吸収させた。
次に、反応系のpHを4以下に維持した状態で、反応容器の温度を80℃に上昇し、120分間攪拌を続け、その後、室温まで冷却した。
冷却後、200メッシュの金網でろ過を行い、凝集物等を除去することにより、熱可塑性ポリマー粒子A〜Hをそれぞれ含有するエマルジョン得た。
得られたエマルジョンは、それぞれろ過した後、25質量%のアンモニア水及び水を加えて、pH=8、固形分含量=40質量%に調整したうえで、使用に供した。
合成例G及びHにおいては、それぞれ単層構造の粒子を含有するエマルジョンとして、pH=8、固形分含量=40質量%に調整したうえで、使用に供した。
コア粒子及び熱可塑性ポリマー粒子のガラス転移温度は、上記のようにして得られたコア粒子及び熱可塑性ポリマー粒子のそれぞれを試料として、下記の方法によって測定した。シェル部のガラス転移温度は、シードポリマーを使用しない他は、上記「シェル部の製造(熱可塑性ポリマー粒子の製造)」と同様に操作して、シェル部と同一の組成を有するポリマー粒子を得て、該粒子を試料として、下記の方法によって測定した。測定結果は表4に示した。
1段目昇温プログラム:70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
2段目降温プログラム:110℃から毎分40℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
3段目昇温プログラム:−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
ベースライン(得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線)と、変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用し、測定した。測定条件としては、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒とし、得られたデータにおける50%粒子径の数値を粒子径として記載した。
(乳化剤)
KH1025:アクアロンKH1025、商品名、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液
SR1025:アデカリアソープSR1025、商品名、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液、
NaSS:p−スチレンスルホン酸ナトリウム
(開始剤)
APS:過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液)
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸n−ブチル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AM:アクリルアミド
(架橋剤)
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート
上記合成例Aで得た熱可塑性ポリマー粒子Aを含有するエマルジョンと、
上記合成例Hで得た熱可塑性ポリマー粒子Hを含有するエマルジョンと、
を、ポリマー粒子A及びポリマー粒子Hの合計に対するポリマー粒子Hの配合量が10質量%となるように混合して混合液を得た。この混合液を水で4倍(質量基準)に希釈することにより、塗工液を得た。
上記塗工液を、上記製造例Aで得たポリオレフィン多孔性基材Aの片面上に、グラビアコーターにより塗工面積比率60%、塗工目付け0.5g/m2となるように全面に塗布した。次いで、50℃において1分間加熱して乾燥することにより、ポリオレフィン多孔性基材上に熱可塑性ポリマー粒子層を形成し、蓄電素子用セパレータを得た。
このセパレータを用いて上述のとおりにリチウムイオン二次電池を組み立て、評価した。
評価結果は表5に示した。
上記実施例1において、ポリオレフィン多孔性基材及び熱可塑性ポリマー粒子の種類、塗工液におけるポリマー粒子Hの配合量、塗工方法、塗工形状、塗工面積、及び塗工目付けを、それぞれ、表5又は6に記載のとおりとしたほかは実施例1と同様にしてセパレータを製造し、該セパレータを用いてリチウムイオン二次電池を組み立て、評価した。
評価結果は表5及び6に示した。
比較例5においては、熱可塑性ポリマー粒子層を形成しないポリオレフィン多孔性基材を、そのままセパレータとして用いた。
Claims (7)
- ポリオレフィン多孔性基材、及び該多孔性基材の少なくとも片面に配置された熱可塑性ポリマー層を含む蓄電素子用セパレータであって、
前記熱可塑性ポリマー層に含有される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が、0℃〜40℃の範囲であり、
前記熱可塑性ポリマーの塗工目付けが0.3g/m 2 〜0.8g/m 2 であり、
前記蓄電素子用セパレータと電極とを重ね合わせてプレスの線圧22.6N/cm、温度70℃、速度2m/分でロールプレスを行ったときの前記蓄電素子用セパレータと前記電極との間の剥離強度が0.147N/cm以上であり、
前記蓄電素子用セパレータの透気度が50秒/100cc〜500秒/100ccであり、そして
前記蓄電素子用セパレータの透気度から前記多孔性基材の透気度を引いた値が100秒/100cc以下であることを特徴とする、前記蓄電素子用セパレータ。 - 前記熱可塑性ポリマー層に含有される熱可塑性ポリマーが、粒子状熱可塑性ポリマーであり、かつ
該粒子状熱可塑性ポリマーについてボロノイ分割を行って得られるボロノイ多角形の面積(Si)を用いて下記数式:
- 前記熱可塑性ポリマー層の表面被覆率が、前記ポリオレフィン多孔性基材のうちの前記熱可塑性ポリマー層の存在する面積として、5〜80%である、請求項1又は2に記載の蓄電素子用セパレータ。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電素子用セパレータと、
正極と、
負極と、
から構成されて成ることを特徴とする、積層体。 - 請求項4に記載の積層体を捲回して成ることを特徴とする、捲回体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電素子用セパレータと、
正極と、
負極と、
電解液と、
から構成されて成ることを特徴とする、二次電池。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電素子用セパレータと、
集電体及び該集電体の少なくとも片面上に形成された活物質層を有する電極と、
を重ね合わせて1秒以下のプレスを行う工程を含むことを特徴とする、蓄電素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015146978A JP6613068B2 (ja) | 2015-07-24 | 2015-07-24 | 蓄電素子用セパレータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015146978A JP6613068B2 (ja) | 2015-07-24 | 2015-07-24 | 蓄電素子用セパレータ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017027852A JP2017027852A (ja) | 2017-02-02 |
JP6613068B2 true JP6613068B2 (ja) | 2019-11-27 |
Family
ID=57946712
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015146978A Active JP6613068B2 (ja) | 2015-07-24 | 2015-07-24 | 蓄電素子用セパレータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6613068B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6927043B2 (ja) * | 2015-10-28 | 2021-08-25 | 日本ゼオン株式会社 | 非水系二次電池接着層用組成物、非水系二次電池用接着層、非水系二次電池用接着層付きセパレータ、非水系二次電池用接着層付き電極、並びに、非水系二次電池およびその製造方法 |
JP2018200780A (ja) * | 2017-05-26 | 2018-12-20 | 旭化成株式会社 | リチウムイオン二次電池用セパレータ |
EP3553869B1 (en) * | 2017-10-20 | 2021-08-11 | LG Chem, Ltd. | Electrode assembly and electrochemical device comprising electrode assembly |
EP4184700A4 (en) | 2020-07-21 | 2024-09-04 | Ningde Amperex Technology Ltd | BATTERY AND ELECTRONIC DEVICE |
WO2024034648A1 (ja) * | 2022-08-10 | 2024-02-15 | 旭化成株式会社 | 蓄電デバイス用セパレータ、その製造方法及び蓄電デバイス |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103828114B (zh) * | 2011-09-26 | 2018-03-09 | 住友化学株式会社 | 二次电池用粘合树脂组合物 |
JP6171680B2 (ja) * | 2013-06-28 | 2017-08-02 | 日本ゼオン株式会社 | リチウムイオン二次電池用多孔膜組成物、リチウムイオン二次電池用セパレータ、リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池 |
JP6135396B2 (ja) * | 2013-08-23 | 2017-05-31 | 日本ゼオン株式会社 | リチウムイオン二次電池用セパレータ、及びリチウムイオン二次電池 |
JP6243666B2 (ja) * | 2013-09-05 | 2017-12-06 | マクセルホールディングス株式会社 | リチウムイオン二次電池用セパレータおよびその製造方法、並びにリチウムイオン二次電池およびその製造方法 |
-
2015
- 2015-07-24 JP JP2015146978A patent/JP6613068B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017027852A (ja) | 2017-02-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10811659B2 (en) | Separator for electricity storage device, laminate and porous film | |
JP6105816B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP6431621B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ並びにそれを用いた電極体及び蓄電デバイス | |
JP6692619B2 (ja) | 二次電池用セパレータ | |
JP6698326B2 (ja) | 多層多孔膜及び蓄電デバイス用セパレータ | |
JP6425484B2 (ja) | 電池用セパレータ | |
JP2017027945A (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP6382051B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP6613068B2 (ja) | 蓄電素子用セパレータ | |
JP6718218B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP6412760B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP6378998B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータの製造方法 | |
JP2017103206A (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ及びそれを用いた積層体、捲回体、リチウムイオン二次電池又は蓄電デバイス | |
JP2016139489A (ja) | 電池用セパレータ、及び非水電解液電池 | |
JP2016072197A (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ、及び電気化学素子 | |
JP6903090B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ、及びそれを用いた捲回体、リチウムイオン二次電池、並びに蓄電デバイス | |
JP6762107B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP2016071963A (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP2013203894A (ja) | ポリオレフィン微多孔膜 | |
JP6718669B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ捲回体 | |
WO2024034648A1 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ、その製造方法及び蓄電デバイス | |
KR20240104030A (ko) | 축전 디바이스용 세퍼레이터 | |
JP2024039503A (ja) | 多層多孔膜 | |
JP2024072806A (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ、その製造方法及び蓄電デバイス | |
JP2024039479A (ja) | 多層多孔膜 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20160405 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180710 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190521 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190522 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190722 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20191029 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191101 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6613068 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |