JP6612647B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体シリコンチップの反りを防止する反り防止層を半導体シリコンチップの裏面に形成する為の硬化性組成物に関する。
近年、ICカードへの搭載や三次元積層化のために半導体シリコンチップ(以後、単に「チップ」と称する場合がある)の薄化が進んでいるが、薄化が進むに従って、基板実装時に、チップと、その上に形成される配線層との熱膨張率差等によって発生する応力によって、チップに反りが発生し易くなり、チップが反ることにより固定が困難となったり、基板との接続不良が発生する等により歩留まりが低下することが問題である。
特許文献1には、チップの裏側に、チップに反りを生じさせる前記応力とは逆方向の応力を発生する樹脂層を形成して応力を相殺することにより、基板実装時にチップが反るのを防止する方法が記載されている。前記樹脂層を形成する樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することが記載されている。
ここにおいて、従来、チップの基板実装にはSn/Pb半田等の鉛を含む半田が使用されてきたが、環境規制により鉛フリー半田が使用されるようになってきている。これらの半田の大きな違いは融点であり、鉛フリー半田は鉛を含む半田に比べて融点が高く、そのため、鉛フリー半田を用いたリフロー半田付けは、従来に比べて高温(例えば、150〜250℃の高温)で行われることになるが、前記エポキシ樹脂を使用して形成された樹脂層のガラス転移温度は130℃程度であるため、鉛フリー半田を用いたリフロー半田付け時の高温環境下では配線層の熱膨張による反りを相殺する逆方向の反りを発生することができず、チップの反りを防止することが困難であった。
特許文献2には、逆方向の応力を発生する樹脂層として、ガラス転移温度が300℃超のポリイミド層を形成することが記載されている。しかし、ポリイミド層の成形には300℃超の高温で加熱することが必要であり、そのような高温環境下ではチップが損傷し易いことが問題であった。また、より低温条件下で成形するためには、ポリイミドの前駆体(ポリアミド酸)を使用し、それを塗布した後でイミド化(脱水縮合)してポリイミド層を形成することが考えられるが、それでも200℃以上の高温で長時間加熱する必要があり、更にイミド化により収縮が生じるため、熱や収縮によってチップが損傷する恐れがあることが問題であった。
特開2012−54293号公報 特開2003−37030号公報
従って、本発明の目的は、半導体シリコンチップの裏面に反り防止層を形成するための硬化性組成物であって、鉛フリー半田を用いる場合等の、高温条件で基板実装する際に、半導体シリコンチップに反りが生じるのを防止する反り防止層を半導体シリコンチップを損傷することなく形成することができる硬化性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、高温条件で基板実装する際に、半導体シリコンチップに反りが生じるのを防止する反り防止層を有する半導体シリコンチップの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高温条件で基板実装する際に、半導体シリコンチップに反りが生じるのを防止する反り防止層を有する半導体シリコンチップを提供することにある。
本発明の他の目的は、前記反り防止層を有する半導体シリコンチップを備えた電子機器を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記事項を見いだした。
1.エポキシ化合物は硬化性に優れ、チップに損傷を与えない温和な温度で速やかに硬化物を形成することができること
2.エポキシ化合物の硬化物からなる樹脂層をチップの裏面に設けると、基板実装時の熱膨張により、チップに反りを生じさせる応力とは逆方向の応力を発生することにより、チップの反りを防止することができること(すなわち、反り防止効果を発揮すること)
3.エポキシ化合物の硬化物からなる樹脂層は250℃以上の高温域にガラス転移温度を有するため、鉛フリー半田を用いたリフロー半田付け付け処理の際の高温条件下でも、前記反り防止効果を発揮することができること
4.基板実装時に発生するチップの反りは、チップの厚みによって変化するものであるが、反り防止層の厚みと線膨張係数を制御することで対応できること
本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、半導体シリコンチップの反りを防止する反り防止層を半導体シリコンチップの裏面に形成する為の硬化性組成物であって、硬化性化合物として、ホモポリマーのガラス転移温度が250℃以上であるエポキシ化合物(A)を含有する硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、エポキシ化合物(A)が下記式(a)
Figure 0006612647
(式中、R1〜R18は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。Xは、単結合又は連結基を示す)
で表される化合物である前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、下記工程を有する反り防止層付き半導体シリコンチップの製造方法を提供する。
工程1:半導体シリコンウェハの裏面に前記の硬化性組成物の塗膜を形成する
工程2:塗膜を硬化させて反り防止層を形成する
工程3:裏面に反り防止層が形成された半導体シリコンウェハを個片化する
本発明は、また、半導体シリコンチップの裏面に、前記の硬化性組成物の硬化物からなる反り防止層を有する反り防止層付き半導体シリコンチップを提供する。
本発明は、また、反り防止層の150〜250℃におけるヤング率(GPa)と150〜250℃における線膨張係数(ppm)と厚み(μm)の積を、半導体シリコンチップの厚み(μm)の3乗根で除した値が1000〜2000の範囲である前記の反り防止層付き半導体シリコンチップを提供する。
本発明は、また、前記の反り防止層付き半導体シリコンチップをリフロー半田付けにより基板に実装する工程を有する電子機器の製造方法を提供する。
本発明は、また、前記の反り防止層付き半導体シリコンチップを備えた電子機器を提供する。
本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物として特定のエポキシ化合物を含有するため、チップの裏面に塗布、硬化すると、チップに損傷を与えない温度で速やかに硬化して、反り防止層を形成することができる。
本発明の硬化性組成物を使用して得られた前記反り防止層は、基板実装時に、熱膨張することにより、チップに反りを生じさせる応力とは逆方向の応力を発生して応力を相殺し、チップが反るのを防止することができる。
また、前記反り防止層は、鉛フリー半田を用いたリフロー半田付け処理温度(例えば、150〜250℃の高温)を超える高温域にガラス転移温度を有するため、前記反り防止層を有するチップを、鉛フリー半田を用いてリフロー半田付けしても、前記反り防止層が優れた反り防止効果を発揮することができる。
そのため、本発明の硬化性組成物の硬化物からなる反り防止層を裏面に有するチップは、鉛フリー半田を用いたリフロー半田付けにより効率よく基板実装を行うことができ、前記チップを有する電子機器を歩留まり良く製造することができる。
[エポキシ化合物(A)]
本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)としてエポキシ化合物(A)を1種又は2種以上を含有する。前記エポキシ化合物(A)は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が250℃以上(好ましくは280℃以上、特に好ましくは300℃以上)の化合物である。
また、エポキシ化合物(A)としては、硬化収縮率が例えば0〜5%程度(硬化収縮率の下限は、好ましくは1%である。硬化収縮率の上限は、好ましくは3%、特に好ましくは2%である)の化合物を使用することが、最小の厚みで、効果的にチップの反りを防止できる反り防止層を形成することができ、チップの薄化により一層貢献できる点で好ましい。尚、硬化収縮率は、硬化前後の体積密度を測定することにより計算することができる。硬化収縮率が上記範囲を上回るエポキシ化合物(A)を使用する場合は、チップの反りとは逆方向への反りが発生し易くなる傾向がある。
エポキシ化合物(A)としては、下記式(a)で表される化合物を使用することが好ましい。式中、R1〜R18は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。Xは、単結合又は連結基を示す。
Figure 0006612647
1〜R18におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
1〜R18における炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が含まれる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルキニル基等を挙げることができる。
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の3〜20員(好ましくは3〜15員、特に好ましくは5〜8員)程度のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロへキセニル基等の3〜20員(好ましくは3〜15員、特に好ましくは5〜8員)程度のシクロアルケニル基;ノルボルニル基、ノルボルネニル基、パーヒドロナフタレン−1−イル基、アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基等の橋かけ環式炭化水素基等を挙げることができる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14(好ましくは6〜10)程度の芳香族炭化水素基を挙げることができる。
上記炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
1〜R18における酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、上述の炭化水素基における少なくとも1つの水素原子が、酸素原子を有する基又はハロゲン原子で置換された基等を挙げることができる。上記酸素原子を有する基としては、例えば、ヒドロキシル基;ヒドロパーオキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のC1-10アルコキシ基;アリルオキシ基等のC2-10アルケニルオキシ基;C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、ハロゲン原子、及びC1-10アルコキシ基から選択される置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシ基(例えば、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等);ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のC7-18アラルキルオキシ基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のC1-10アシルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のC1-10アルコキシカルボニル基;C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、ハロゲン原子、及びC1-10アルコキシ基から選択される置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等);ベンジルオキシカルボニル基等のC7-18アラルキルオキシカルボニル基;グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のC1-10アシル基;イソシアナート基;スルホ基;カルバモイル基;オキソ基;これらの2以上が単結合又はC1-10アルキレン基等を介して結合した基等を挙げることができる。
1〜R18におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のC1-10アルコキシ基を挙げることができる。
前記アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニルオキシ基、C6-14アリールオキシ基、C1-10アシルオキシ基、メルカプト基、C1-10アルキルチオ基、C2-10アルケニルチオ基、C6-14アリールチオ基、C7-18アラルキルチオ基、カルボキシル基、C1-10アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、C7-18アラルキルオキシカルボニル基、アミノ基、モノ又はジC1-10アルキルアミノ基、C1-10アシルアミノ基、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、C1-10アシル基、オキソ基、及びこれらの2以上が単結合又はC1-10アルキレン基等を介して結合した基等を挙げることができる。
上記式(a)中、Xは単結合又は連結基を示す。前記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート基(−O−CO−O−)、アミド基(−CONH−)、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。
上記二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等を挙げることができる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等を挙げることができる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(以後、「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(a)で表される化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記式(a)で表される化合物は、例えば、下記式(a')で表される化合物と過酸(例えば、過酢酸等)を反応させて式(a')中の二重結合部をエポキシ化することにより製造することができる。尚、下記式(a')中のR1〜R18、Xは前記に同じ。
Figure 0006612647
本発明の硬化性組成物は硬化性化合物として上記エポキシ化合物(A)以外にも他の硬化性化合物(特に、他のカチオン硬化性化合物)を含有していても良いが、エポキシ化合物(A)の含有量(2種以上を含有する場合はその総量)は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量の例えば60重量%以上(例えば60〜100重量%)、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。エポキシ化合物(A)の含有量が上記範囲を下回ると、本発明の効果が得難くなる傾向がある。
[カチオン重合開始剤(B)]
本発明の硬化性組成物はカチオン重合開始剤(B)を含有することが好ましい。カチオン重合開始剤(B)には光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤が含まれる。
光カチオン重合開始剤は、光の照射によって酸を発生して、硬化性組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。光カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、[(Y)sB(Phf)4-s-(式中、Yはフェニル基又はビフェニリル基を示す。Phfは水素原子の少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を示す。sは0〜3の整数である)、BF4 -、[(Rf)tPF6-t-(Rf:水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基、t:0〜5の整数)、AsF6 -、SbF6 -、SbF5OH-等を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム] ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル−2−チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、商品名「サイラキュアUVI−6970」、「サイラキュアUVI−6974」、「サイラキュアUVI−6990」、「サイラキュアUVI−950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、「Irgacure250」、「Irgacure261」、「Irgacure264」(以上、BASF社製)、「CG−24−61」(チバガイギー社製)、「オプトマーSP−150」、「オプトマーSP−151」、「オプトマーSP−170」、「オプトマーSP−171」(以上、(株)ADEKA製)、「DAICAT II」((株)ダイセル製)、「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、「CI−2064」、「CI−2639」、「CI−2624」、「CI−2481」、「CI−2734」、「CI−2855」、「CI−2823」、「CI−2758」、「CIT−1682」(以上、日本曹達(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート トルイルクミルヨードニウム塩)、「FFC509」(3M社製)、「BBI−102」、「BBI−101」、「BBI−103」、「MPI−103」、「TPS−103」、「MDS−103」、「DTS−103」、「NAT−103」、「NDS−103」(以上、ミドリ化学(株)製)、「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国、Sartomer社製)、「CPI−100P」、「CPI−101A」(以上、サンアプロ(株)製)等の市販品を使用できる。
熱カチオン重合開始剤は、加熱処理を施すことによって酸を発生して、硬化性組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、熱を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。熱カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のカチオン部としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウムイオン、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウムイオン等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のアニオン部としては、上記光カチオン重合開始剤のアニオン部と同様の例を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
カチオン重合開始剤(B)の含有量としては、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(特にカチオン硬化性化合物、2種以上含有する場合はその総量)100重量部に対して、例えば0.1〜10.0重量部であり、カチオン重合開始剤(B)の含有量の上限は、好ましくは5.0重量部、特に好ましくは3.0重量部、最も好ましくは1.0重量部である。カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲を下回ると、硬化性が低下する傾向がある。一方、カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲を上回ると、得られる硬化物が脆性を有し、硬化物の強度が低下する傾向がある。
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物は、上記成分以外にも必要に応じて他の成分(例えば、フィラー、重合禁止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、消泡剤、溶剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、色材、蛍光体等)を1種又は2種以上含有していても良い。
本発明の硬化性組成物はフィラーを1種又は2種以上含有してもよい。フィラーを含有することにより硬化性組成物の硬化収縮率を調整することができる。また、本発明の硬化性組成物にフィラーを添加することにより、得られる硬化物の線膨張係数やヤング率を調整することができ、特定のフィラーを選択して添加することで、反り防止層の厚みをより一層薄化することが可能である。また、本発明の硬化性組成物に平板状のフィラーを添加すると、得られる反り防止層に水蒸気バリア性を付与することができる。
前記フィラーとしては、例えば、グラフェン、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、マイカ、チタニア、酸化アンチモン、クレイ、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト等の無機フィラーを挙げることができる。
フィラーの形状は、特に限定されないが、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状など)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状など)、平板状、りん片状、不定形状等を挙げることができる。
フィラーの大きさは、その形状に応じて適宜調整することができる。尚、フィラーのメディアン径、最大径、最小径は、レーザー回折・散乱法により求められる。
例えば球状である場合、フィラーのメディアン径(d50)は、例えば0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.1〜1μmである。
例えば球状以外の形状である場合、フィラーの最小径は、例えば0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.1〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。また、フィラーの最大径は、例えば0.1〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。
フィラーの含有量は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物、2種以上含有する場合はその総量)100重量部に対して、例えば1〜90重量部、好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは10〜50重量部、最も好ましくは10〜30重量部である。フィラーの含有量が過剰となると、得られる反り防止層が脆くなり、クラックを生じ易くなる傾向がある。また、グラフェン等の導電性フィラーを用いた場合は、得られる硬化物が導電性を示し、短絡などの不具合を引き起こす恐れがある。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、チップ裏面にチップの反りを防止する反り防止層を形成する為の硬化性組成物であり、硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)として上記エポキシ化合物(A)を少なくとも含有する。
本発明の硬化性組成物は、上記エポキシ化合物(A)と、必要に応じて他の成分(例えば、カチオン重合開始剤(B)、溶剤等)を、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル、擂潰機等の一般的に知られる混合用機器を使用して均一に混合することにより製造することができる。
[反り防止層付き半導体シリコンチップ]
本発明の反り防止層付き半導体シリコンチップ(以後、「反り防止層付きチップ」と称する場合がある)は、チップの裏面に上記硬化性組成物の硬化物からなる反り防止層を少なくとも1層有する。チップの基板実装時の反りの大きさはチップの厚みに依存し、チップが薄くなるほど反りが大きくなる傾向がある。そのため、反り防止層の組成や厚みは、チップの厚みに応じて適宜調整することが好ましい。
本発明の反り防止層付きチップを構成する反り防止層の、150〜250℃の高温環境下におけるヤング率(GPa)、線膨張係数(ppm)、及び厚み(μm)と、半導体シリコンチップの厚み(μm)は、下記式を満たすことが好ましい。
反り防止層のヤング率×反り防止層の線膨張係数×反り防止層の厚み/半導体シリコンチップの厚み1/3=1000〜2000(好ましくは1000〜1500、特に好ましくは1200〜1300)
前記反り防止層(若しくは、反り防止層を形成する上記硬化性組成物の硬化物)の、150〜250℃の高温環境下における線膨張係数は、例えば20〜100ppm、好ましくは30〜80ppm、特に好ましくは40〜70ppmである。尚、前記線膨張係数の値は実施例に記載の方法で測定される値である。
前記反り防止層(若しくは、反り防止層を形成する上記硬化性組成物の硬化物)の、150〜250℃の高温環境下におけるヤング率は、例えば1.0〜10.0GPa、好ましくは2.0〜9.0GPa、特に好ましくは2.5〜8.5GPa、最も好ましくは2.5〜7.5、とりわけ好ましくは2.5GPa以上6.5GPa未満である。尚、前記ヤング率の値は実施例に記載の方法で測定される値である。
前記反り防止層の厚みは、例えば5〜50μm、好ましくは5〜40μm、特に好ましくは5〜30μm、最も好ましくは5μm以上、30μm未満である。また、厚みの下限は、より好ましくは10μmである。反り防止し層の厚みが過剰となると、チップの薄化に対応することが困難となる傾向がある。
本発明の反り防止層付きチップは、下記工程を経て製造することが好ましい。
工程1:半導体シリコンウェハの裏面に上記硬化性組成物の塗膜を形成する
工程2:塗膜を硬化させて反り防止層を形成する
工程3:裏面に反り防止層が形成された半導体シリコンウェハを個片化する
工程1において、硬化性組成物の塗膜の形成は、例えば、半導体シリコンウェハ(好ましくは、薄化後の半導体シリコンウェハ)の裏面に硬化性組成物を塗布する方法により行うことができる。硬化性組成物の塗布には、スキージ塗布、スクリーン印刷等を採用することができる。塗膜の厚みは、半導体シリコンウェハ(若しくは、チップ)の厚み、塗膜の硬化物のヤング率及び線膨張係数に応じて調整することが好ましく、特に、前記塗膜の硬化物のヤング率と線膨張係数と厚みの積を、半導体シリコンウェハ(若しくは、チップ)の厚みの3乗根で除した値が上記範囲となるように調整することが好ましい。
工程2における塗膜の硬化方法としては、例えば硬化性組成物が光カチオン重合開始剤を含有する場合は光照射を施すことが好ましい。また、硬化性組成物が熱カチオン重合開始剤を含有する場合は加熱処理を施すことが好ましい。
前記光照射は、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、太陽光、電子線源、レーザー光源、LED光源等を使用し、積算照射量が例えば500〜5000mJ/cm2となる範囲で照射することが好ましい。光源としては、なかでも、UV−LED(波長:350〜450nm)が好ましい。
前記加熱処理は、例えば80〜200℃の温度で、例えば0.5〜5時間加熱することが好ましい。
加熱処理を施すことにより硬化する硬化性組成物を使用する場合は、加熱処理を施す前に半導体シリコンウェハを支持体等に固定しておくことが好ましい。前記加熱処理により半導体シリコンウェハ表面の配線層が熱膨張して反りを生じることにより、半導体シリコンウェハが破損する恐れがあるためである。半導体シリコンウェハの固定には、周知慣用の仮止め用接着剤や接着テープ等を使用することができる。
工程3における半導体シリコンウェハの個片化は、ダイシングソー等の周知慣用の切断装置を使用して行うことができる。また、半導体シリコンウェハが支持体等に固定されている場合は、個片化する前に支持体から剥離することが好ましく、剥離後に糊残りがある場合は、洗浄等を施して糊残りを除去することが好ましい。
[電子機器]
本発明の電子機器は、上記反り防止層付きチップを備えることを特徴とする。本発明の電子機器には、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット端末、電子辞書等の携帯型電子機器が含まれる。
本発明の電子機器は、上記方法により得られた反り防止層付きチップをリフロー半田付け(特に、鉛フリー半田を用いたリフロー半田付け)により基板に実装する工程を経て製造することができる。上記反り防止層付きチップの反り防止層は、リフロー半田付け(特に、鉛フリー半田を用いたリフロー半田付け)を行う高温環境下(例えば150〜250℃)において、優れた反り防止効果を発揮することができる。そのため、前記製造方法によれば、高性能の電子機器を、優れた作業性で、歩留まり良く製造することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
尚、線膨張係数及び弾性率は下記方法で測定した。
線膨張係数(CTE):熱・応力・歪測定装置として、商品名「TMA/SS 6100」(SIIナノテクノロジー(株)製)を使用し、JIS K7197に準拠した方法で測定した。
ヤング率(弾性率):引張圧縮試験機として、商品名「TGI 100kN」(ミネベア製)を使用し、JIS K7161に準拠した方法(試験片寸法:縦5cm×横1.5cm×厚み0.1cm、試験速度:0.5mm/min)で測定した。
調製例1[(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシルの調製]
95重量%硫酸70g(0.68モル)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)55g(0.36モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌機、温度計、および脱水剤が充填され且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに、水添ビフェノール(=4,4’−ジヒドロキシビシクロヘキシル)1000g(5.05モル)、上記で調製した脱水触媒125g(硫酸として0.68モル)、プソイドクメン1500gを入れ、フラスコを加熱した。内温が115℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてプソイドクメンの沸点まで温度を上げ(内温162〜170℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、脱水触媒は反応条件下において液体であり反応液中に微分散していた。3時間経過後、ほぼ理論量の水(180g)が留出したため反応終了とした。
反応終了後、反応器内の液について、10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温137〜140℃にて蒸留し、731gのビシクロヘキシル−3,3’−ジエンを得た。
得られたビシクロヘキシル−3,3’−ジエン243g、酢酸エチル730gを反応器に仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を37.5℃になるようにコントロールしながら約3時間かけて30重量%過酢酸の酢酸エチル溶液(水分率0.41重量%)274gを滴下した。滴下終了後、40℃で1時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了時の粗液を水洗し、70℃/20mmHgで低沸点化合物の除去を行い、化合物270gを得た。得られた化合物のオキシラン酸素濃度は15.0重量%であった。また1H−NMRの測定では、δ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークが消失し、δ3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。以上より、得られた化合物は、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシルであることが確認された。また、得られた化合物の硬化収縮率は1.15%であった。
実施例1
(硬化性組成物の調製)
調製例1で得られた(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル10gに熱カチオン重合開始剤(スルホニウム塩系化合物、商品名「サンエイドSI−150L」、三新化学工業(株)製、以後「SI−150L」と称する場合がある)の50重量%シクロヘキサノン溶液を25mg(主成分含有量:12.5mg)添加して、自転・公転真空ミキサー(商品名「あわとり練太郎」、シンキー社製)を使用し、真空状態で2分間混練して硬化性組成物(1)を得た。
(反り防止層の形成)
仮止め接着剤((株)ダイセル製開発品)でシリコン基材に固定され100μm厚に薄化された20mm角のTEGチップ(信頼性評価用シリコンチップ、ウォルツ社製)の裏面に、硬化性組成物(1)をスキージを使用して塗布した。その後、100℃で1時間、続いて150℃で2時間、更に200℃で1時間加熱処理を施して前記硬化性組成物(1)を硬化させて、反り防止層付きTEGチップ(1)(反り防止層厚み:25μm)を得た。硬化後に、230℃の熱スライド剥離によりシリコン基材から反り防止層付きTEGチップ(1)を剥がし、PGMEAで洗浄した。
(反り評価)
反り防止層付きTEGチップ(1)を平板上に置いたときの、チップの中心部とエッジ部の平板からの高さの差を「反り」とした。平板の温度を室温(20℃)、100℃、200℃、又は250℃に制御し、それぞれの温度における「反り」を測定した。「反り」の数値が全ての温度において50μm以下のとき、反り防止効果の評価を「○」、いずれかの温度において50μmを超えるとき、反り防止効果の評価を「×」とした。
(硬化物の物性測定)
また、得られた硬化性組成物(1)をコの字型のテフロン(登録商標)スペーサーを介して、スライドガラスに挟んで硬化した。硬化条件は、100℃で1時間、続いて150℃で2時間、更に200℃で1時間である。得られた硬化物の、100℃、200℃、及び250℃における、線膨張係数(CTE)とヤング率を測定した。
実施例2
(硬化性組成物の調製)
調製例1で得られた(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル10gとナノシリカ(球状フィラー、メディアン径(d50):0.5μm、商品名「アドマファインSO−C2」、(株)アドマテックス製)5gを自転・公転真空ミキサーを使用して真空状態で5分間×2回混練した。これに、SI−150Lの50重量%シクロヘキサノン溶液を25mg(主成分含有量:12.5mg)添加し、自転・公転真空ミキサーを使用して真空状態で2分間混練して硬化性組成物(2)を得た。
(反り防止層の形成)、(反り評価)、(硬化物の物性測定)
硬化性組成物(1)に代えて硬化性組成物(2)を使用した以外は実施例1と同様に行って、反り防止層付きTEGチップ(2)(反り防止層厚み:25μm)を得、実施例1と同様に反り評価と硬化物の物性測定を行った。
実施例3
(硬化性組成物の調製)
調製例1で得られた(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル10gとグラフェン(平板状フィラー、最大径:100μm、最小径(厚み):約10nm、商品名「iGurafenα」、アイテック社製)1.0gを自転・公転真空ミキサーを使用して真空状態で5分間×2回混練した。更に前記グラフェン0.5gを追加して、自転・公転真空ミキサーを使用して真空状態で5分間×2回混練した。これに、SI−150Lの50重量%シクロヘキサノン溶液を25mg(主成分含有量:12.5mg)添加し、自転・公転真空ミキサーを使用して真空状態で2分間混練して硬化性組成物(3)を得た。
(反り防止層の形成)、(反り評価)、(硬化物の物性測定)
硬化性組成物(1)に代えて硬化性組成物(3)を使用し、塗布厚みを変更した以外は実施例1と同様に行って、反り防止層付きTEGチップ(3)(反り防止層厚み:15μm)を得、実施例1と同様に反り評価と硬化物の物性測定を行った。
比較例1
(反り評価)
反り防止層を形成しないTEGチップについて、実施例と同様にして反り評価を行った。
比較例2
(硬化性組成物の調製)
(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシルに代えてビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂(商品名「エピクロン850S」、DIC社製、以後「エピクロン850S」と称する場合がある)を使用した以外は実施例1と同様にして硬化性組成物(4)を得た。
(反り防止層の形成)、(反り評価)、(硬化物の物性測定)
硬化性組成物(1)に代えて硬化性組成物(4)を使用し、塗布厚みを変更した以外は実施例1と同様に行って、反り防止層付きTEGチップ(4)(反り防止層厚み:30μm)を得、実施例1と同様に反り評価と硬化物の物性測定を行った。
比較例3
(反り防止層の形成)、(反り評価)、(硬化物の物性測定)
硬化性組成物(1)に代えて硬化性組成物(4)を使用し、塗布厚みを変更した以外は実施例1と同様に行って、反り防止層付きTEGチップ(5)(反り防止層厚み:60μm)を得、実施例1と同様に反り評価と硬化物の物性測定を行った。
比較例4
(硬化性組成物の調製)
(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシルに代えてエピクロン850Sを使用した以外は実施例2と同様にして硬化性組成物(5)を得た。
(反り防止層の形成)、(反り評価)、(硬化物の物性測定)
硬化性組成物(1)に代えて硬化性組成物(5)を使用し、塗布厚みを変更した以外は実施例1と同様に行って、反り防止層付きTEGチップ(6)(反り防止層厚み:30μm)を得、実施例1と同様に反り評価と硬化物の物性測定を行った。
上記結果を下記表にまとめて示す。
Figure 0006612647
比較例1から、TEGチップは反り防止層を設けないと、室温(20℃)でも、150〜250℃の高温環境下でも大きく反ることがわかる。また、室温と、高温環境下では、逆方向に反りを生じた。
実施例で得られた反り防止層付きTEGチップは、反り防止層を構成する硬化物のTgが300℃超であるため、20℃から250℃までの何れの温度においても反り量を極めて小さく抑制することができた。従って、本発明の硬化性組成物は、150〜250℃の高温条件下でチップに反りが生じるのを防止する反り防止層を形成する用途に好適に使用できることがわかった。
一方、比較例2〜4で得られた反り防止層付きTEGチップは、反り防止層を構成する硬化物のTgが130℃程度と低いため、Tgより低い100℃ではチップの反りをある程度防止することができたが、150〜250℃の高温環境下ではチップの反りを防止することができなかった。

Claims (6)

  1. 半導体シリコンチップの反りを防止する反り防止層を半導体シリコンチップの裏面に形成する為の硬化性組成物であって、硬化性化合物とカチオン重合開始剤を含有し、前記硬化性化合物として、下記式(a)
    Figure 0006612647
    (式中、R 1 〜R 18 は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。Xは、単結合又は連結基を示す)
    で表され、ホモポリマーのガラス転移温度が250℃以上であるエポキシ化合物(A)を含有し、前記エポキシ化合物(A)の含有量は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量の80重量%以上であり、前記カチオン重合開始剤の含有量は、硬化性化合物100重量部に対して0.1〜10.0重量部である硬化性組成物。
  2. 下記工程を有する反り防止層付き半導体シリコンチップの製造方法。
    工程1:半導体シリコンウェハの裏面に請求項1に記載の硬化性組成物の塗膜を形成する
    工程2:塗膜を硬化させて反り防止層を形成する
    工程3:裏面に反り防止層が形成された半導体シリコンウェハを個片化する
  3. 半導体シリコンチップの裏面に、請求項1に記載の硬化性組成物の硬化物からなる反り防止層を有する反り防止層付き半導体シリコンチップ。
  4. 半導体シリコンチップの裏面に、下記反り防止層を有する反り防止層付き半導体シリコンチップ。
    反り防止層:硬化性化合物として、ホモポリマーのガラス転移温度が250℃以上であるエポキシ化合物(A)を含有する硬化性組成物の硬化物からなり、150〜250℃におけるヤング率(GPa)と150〜250℃における線膨張係数(ppm)と厚み(μm)の積を、半導体シリコンチップの厚み(μm)の3乗根で除した値が1000〜1300の範囲である
  5. 請求項3又は4に記載の反り防止層付き半導体シリコンチップをリフロー半田付けにより基板に実装する工程を有する電子機器の製造方法。
  6. 請求項3又は4に記載の反り防止層付き半導体シリコンチップを備えた電子機器。
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