JP6612584B2 - エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂シート、およびそれを用いた金属ベース回路基板 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1ではアルミナ粉を使用しているため、80vol%を超える高充填が可能なものの、アルミナ粉自体の熱伝導率が低いため、基板の熱伝導率は低い、といった課題があった。一方、特許文献2では窒化アルミ粉を高充填することにより、10W/mKを超える高熱伝導化を達成しているが、耐電圧の値が30kV/mm程度と十分でない、といった課題があった。
特許文献3では窒化ホウ素粉を使用し、その配向を制御することで、低いフィラー充填量で高熱伝導化を達成している。窒化ホウ素粉の一次粒子は通常燐片状であり、これをフィラーとして絶縁層内に分散させた場合は、塗工時やプレス硬化時に窒化ホウ素粉が面方向に整列し、高熱伝導化が期待できないが、窒化ホウ素粉の凝集体を絶縁層内に分散させることで、垂直方向へ配向を制御しており、高熱伝導化を達成し、かつ、効率的に熱パスを形成できることから、充填量を少なくすることができ、結果として耐電圧値の向上も両立している。
しかしながら、特許文献3では使用している凝集粉は基板作製プロセス中に凝集粉が破壊しないように粒子強度が高く、また、凝集粉内の空隙は少ないことが条件になっているため、粒子強度が高いため変形が起きず、内部の空隙へ樹脂を充填することが困難となり、電気絶縁性などの電気特性が低下したり、窒化ホウ素粉同士の接触が十分に得られず、熱伝導率の向上効果が小さくなる、といった課題があった。
水銀ポロシメーターを用いた全細孔容積としては、例えば、「PASCAL 140−440」(FISONS INSTRUMENTS社製)を用いて測定することができる。この測定の原理は、式εg=Vg/(Vg+1/ρt)×100に基づいている。式中、εgは、窒化ホウ素粒子の空隙率(%)であり、Vgは、粒子内空隙2の積算細孔容積(cm3/g)であり(図1の符号5)、ρtは、一次粒子の六方晶窒化ホウ素粒子の密度2.34(g/cm3)である。なお、Vgは、全細孔容積3(図1)から粒子間空隙1の積算細孔容積を差し引いた値(図1の符号4)として求めることができる。図1に測定結果の一例を示す。
2 粒子内空隙
3 全細孔容積
4 全細孔容積3から粒子間空隙1の積算細孔容積を差し引いた値
5 粒子内空隙2の積算細孔容積
圧壊強度を求める際の測定機としては、例えば島津製作所 微小圧縮試験機 MCT-510を用いて測定することが出来る。圧壊強度は 式St=2.8P/πd2を用いて計算を行った。式中、Stは圧壊強度(MPa)であり、Pは破壊試験力(N)、dは粒子径(mm)である。式中、2.8は係数であり、日本鉱業会誌、81、p1024、1965年を参考に決定した。試験はφ200μmの平面圧子による圧縮試験によって行い、試験条件は設定試験力49(mN)、負荷速度(mN/sec)を用いた。測定回数は10回行い、その平均値を窒化ホウ素凝集粉の圧壊強度とした。
(エポキシ樹脂組成物の作製)
エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂ep828(三菱化学株式会社製、比重1.2g/cm3)31.0体積%、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂TD−2131(東都化成株式会社製、比重1.1g/cm3)18.4体積%を120℃で攪拌し、溶解した。
溶解した樹脂と、熱伝導性の無機フィラーとして窒化ホウ素フィラー FP−70(デンカ社製、平均粒径70μm、空隙率60体積%、圧壊強度2MPa)を50.0体積%、硬化促進剤として2E4MZ(四国化成工業社製、比重0.975g/cm3)0.6体積%をプラネタリーミキサーで15分間、攪拌混合しエポキシ樹脂組成物を作製した。
エポキシ樹脂組成物を、厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム上に、硬化後の厚さが0.20mmになるように塗布し、100℃15分加熱乾燥させ、これによりBステージ状態のシートを作製した。
作製したエポキシ樹脂組成物のシートをPETフィルムからはがし、金属板として厚さ1.5mmのアルミニウム板上に置き、その上に0.035mm銅箔GTS−MP(古河サーキットフォイル社製)の粗化面を配置し、プレス機によって面圧160kgf/cm2をかけながら180℃180分間加熱硬化した。
作製した基板の絶縁強度はJIS C 6481に基づき、TOS 8650(KIKUSUI社製)を用いて測定した。200μmの絶縁層のとき、8kV以上(40kV/mm以上)の値が望ましい。
エポキシ樹脂組成物をシリコーンシート上に流し込み、縦10mm、横10mm、厚さ0.5mmの硬化体を作製し、レーザーフラッシュ法により、熱拡散率αを測定し、下記式から熱伝導率λを評価した。
λ=α×Cp×ρ
比熱CpはDSC測定から算出し、比重ρはアルキメデス法による実測値を使用した。
熱伝導率は8W/mK以上が望ましい。
使用材料を変えて、実施例1と同様に、エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂シートを作製し、基板の絶縁強度、熱伝導率の測定を行った。結果を表1、2に示す。
1.エポキシ樹脂
(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、商品名ep828、比重1.2g/cm3
(2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC株式会社製、商品名、商品名YDF−170、比重1.2g/cm3
(3)ナフタレン型エポキシ樹脂、DIC株式会社製、商品名HP−4032D、比重1.2g/cm3
2.硬化剤
(1)フェノールノボラック樹脂、東都化成株式会社製、商品名TD2131、比重1.1g/cm3
(2)芳香族アミン、日本合成加工株式会社製、商品名H84B、比重1.1g/cm3
(3)脂肪族アミン、三井化学ファイン株式会社製、商品名D400、比重1.05g/cm3
3.硬化促進剤
(1)四国化成工業社製、商品名2E4MZ、比重0.975g/cm3
(2)北興化学工業社製、商品名TPP、比重1.1g/cm3
4.窒化ホウ素凝集粉
(1)FP−10:デンカ社製、平均粒径10μm
(2)FP−20:デンカ社製、平均粒径20μm
(3)FP−70:デンカ社製、平均粒径70μm
(4)FP−100:デンカ社製、平均粒径100μm
(5)FP−150:デンカ社製、平均粒径150μm
Claims (4)
- エポキシ樹脂と硬化剤と無機フィラーからなるエポキシ樹脂組成物であって、無機フィラーが窒化ホウ素凝集粉であり、前記窒化ホウ素凝集粉が、平均粒子径20〜100μm、空隙率50〜70体積%、圧壊強度1.0〜4.0MPaであり、かつ、前記窒化ホウ素凝集粉の含有量が35〜50体積%であるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物であるエポキシ樹脂シート。
- 請求項1記載のエポキシ樹脂組成物の半硬化物であるBステージ状態のエポキシ樹脂シート。
- 金属板上に絶縁層を介して回路材が積層された金属ベース回路基板であって、前記絶縁層が請求項2または3記載のエポキシ樹脂シートであることを特徴とする金属ベース回路基板。
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