JP6611620B2 - サインペン用水性インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、サインペン用水性インク組成物に関する。
近年、ボールペン、サインペン等の、インクを用いた筆記具が広く用いられている。このインクの一態様として、水を主体とする溶媒、染料、顔料等の着色剤を含有する水性インクが存在する。水性インクの性能向上のため、種々の研究が行われている。
特許文献1では、少なくとも着色剤と水を含有するインキ組成物において、親水基にアルキレンオキサイド鎖を持ち、平均分子量が3000〜20万であるノニオン性高分子界面活性剤をインキ組成物中に0.1〜30重量%の範囲で含有することを特徴とする筆記具用水性インキ組成物が開示されている。
特許文献2では、水性インキの表面張力が30mN/m以下であり、かつ円盤体の平面部に対する水性インキの接触角が30°以上である直液式筆記具用水性インキ組成物が開示されている。特許文献2では、水性インキ組成物に乳化物を含有している態様、より具体的にはシリコーンエマルションを含有している態様が開示されている。
特許文献3では、着色剤、樹脂、溶剤及び添加剤とからなるボールペン用インキにおいて、球状シリコーン樹脂微粒子を含有してなるボールペン用インキが開示されている。特許文献3においては、平均粒子径が1μm未満の場合は目詰まり効果が弱くなり過ぎ、10μmをこえる場合強い目詰まりにより、筆記性が悪化するので、好ましくないとしている。
特開2004−256758号公報 特開2012−97153号公報 特開平8−134391号公報
筆記の用途によっては、水性インクをサインペンに用いることが求められることがある。この場合、上記の水性インクをサインペンに用いることが考えられる。
しかしながら、特許文献2のように、シリコーンエマルションを含有している水性インクをサインペンに用いた場合、表面に皮膜が形成され、その結果良好な書き味が得られない。
また、特許文献3のように、平均粒径1μm以上の球状シリコーン樹脂微粒子を含有している水性インクをサインペンに用いた場合にも、良好な書き味が得られない。
したがって、良好な書き味を有する、サインペン用水性インク組成物を提供する必要性が存在する。
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである:
〈1〉 水、固形シリコーン粒子及び着色剤を含有しており、かつ
動的光散乱法で測定したときの、上記固形シリコーン粒子の平均粒子径が20nm〜500nmである、
サインペン用水性インク組成物。
〈2〉 上記固形シリコーン粒子が、架橋シリコーン粒子である、上記〈1〉項に記載のサインペン用水性インク組成物。
〈3〉 インク貯蔵部、筆記部及び保持部を少なくとも具備しており、かつ
上記インク貯蔵部に上記〈1〉又は〈2〉項に記載のサインペン用水性インク組成物が貯蔵されている、
サインペン。
〈4〉 上記筆記部が、プラスチック芯である、上記〈3〉項に記載のサインペン。
本発明によれば、良好な書き味を有する、サインペン用水性インク組成物を提供することができる。
本発明のサインペンの筆記部の一態様の概略図である。
《サインペン用水性インク組成物》
本発明のサインペン用水性インク組成物は、水、固形シリコーン粒子、及び着色剤、並びに随意の水溶性有機溶剤を含有している。この固形シリコーン粒子は、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が20nm〜500nmである。
本発明のサインペン用水性インク組成物は、他の成分を更に含有していてもよい。
ここで、本発明において「サインペン」とは、インク貯蔵部に貯蔵されているインクを、毛細管現象により樹脂製の筆記部に供給する機構を有するペンを意味する。
本発明者らは、平均粒子径が20nm〜500nmの固形シリコーン粒子をサインペン用水性インク組成物に含有させることにより、このインク組成物を用いたサインペンの書き味が向上することを見出した。ここで、「書き味が向上する」とは、サインペンで筆記した際の動摩擦係数が低減することを意味するものである。
理論に拘束されることを望まないが、この理由としては、固形シリコーン粒子、特に架橋シリコーン粒子が有する弾性により、筆記時にペン先を良好に移動させることができ、かつシリコーンの安定性によって、この弾性が組成物中の他の成分によって阻害されないことに起因すると考えられる。更に、粒子径が小さい固形シリコーン粒子を用いることにより、サインペンの筆記部と紙との間に固形シリコーン粒子が良好に供給されると考えられる。
固形シリコーン粒子の含有率は、インク組成物の全量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、又は7質量%以上であることができ、また30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下であることができる。特に、インク組成物の粘度を小さくし、それにより良好な書き味を発現させる観点から、固形シリコーン粒子の含有率は上記の範囲であることが好ましい。
着色剤の含有率は、インク組成物の全量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上とすることができ、また60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、又は45質量%以下とすることができる。
以下では、本発明のサインペン用水性インク組成物の各構成要素について説明する。
〈水〉
水は、イオン交換水、蒸留水等であることができる。
〈固形シリコーン粒子〉
固形シリコーン粒子は、平均粒子径が20nm〜500nmである。なお、ここでいう平均粒子径とは、動的光散乱法により検出された散乱強度分布を正規分布に当てはめて平均粒子径を算出するキュムラント解析法により求めたD50の値である。
ここで、動的光散乱法による粒径の測定は、例えば大塚電子株式会社の濃厚系粒径アナライザー「FPAR−1000」を用いて行うことができる。
また、固形シリコーン粒子は、架橋シリコーン粒子、特にオルガノポリシロキサンが架橋物質で架橋されている構造を有する固形シリコーン粒子、より特にオルガノポリシロキサンがオルガノハイドロジェンポリシロキサンで架橋されている構造を有する固形シリコーン粒子であることが、本発明のサインペンの書き味を向上させる観点から好ましい。この架橋されている構造により、弾性を有することとなるため、このような固形シリコーン粒子は、「シリコーンゴム」としても言及される。
架橋シリコーン粒子としては、信越化学工業株式会社が「RTVシリコーンゴム」として販売している液状シリコーン組成物を硬化させたシリコーンゴム粒子を用いることが好ましい。
固形シリコーン粒子の平均粒子径は、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、70nm以上、又は100nmであることができ、また500nm以下、450nm以下、400nm以下、350nm以下、300nm以下、250nm以下、又は200nm以下であることができる。特に、サインペンの筆記部と紙との間に固形シリコーン粒子を良好に供給する観点から、固形シリコーン粒子の平均粒子径は上記の範囲であることが好ましい。
〈着色剤〉
着色剤としては、染料、顔料、又は染料と顔料との混合物等、従来のインクに用いることができる種々の着色剤を使用することができる。
本発明で使用することができる染料としては、通常の染料インク組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料、造塩染料、樹脂に染料を染着した染料等の中から任意のもの、及びこれらの水溶液を使用することができる。
本発明で使用することができる顔料としては、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン顔料等の無機顔科、タルク、シリカ、アルミナ、マイカ、アルミナシリケート等の体質顔科、アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン顔料、キナクドリン顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、各種レーキ顔料等の有機顔料、蛍光顔料、パール顔料、金色、銀色等のメタリック顔料等が挙げられる。
本発明で使用する着色剤は、上記した染料、顔料を単独で使用することができ、あるいは上記した染料、顔料を混合して使用することもできる。
〈水溶性有機溶剤〉
水溶性有機溶剤としては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のヒンダードアルコール、グリセリン又はその誘導体(例えば、ポリグリセリンなど)、ソルビタン、蔗糖、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のポリグリコール類等が好ましく使用できる。
〈他の成分〉
本発明のサインペン用水性インク組成物は、本発明の作用を損なわない範囲で、他の成分、例えばpH調整剤、防腐剤、ノンドライ剤等の添加剤等を含有していてもよい。
《サインペン用リフィル》
サインペン用リフィルは、インク貯蔵部を具備している。このインク貯蔵部には、上記のサインペン用水性インク組成物が貯蔵されている。
サインペン用リフィルは、サインペンにおける交換可能な部位を意味する。
また、サインペン用リフィルは、筆記部を更に具備していてもよい。
すなわち、サインペン用リフィルは、インク貯蔵部のみが交換可能な部位となるインクカートリッジであってもよく、インク貯蔵部と筆記部とが一体となって交換可能な部位となるものであってもよい。
〈インク貯蔵部〉
インク貯蔵部には、上記のサインペン用水性インク組成物が貯蔵されている。
インク貯蔵部は、インクを貯蔵し、かつ筆記部にインクを供給することができる物であれば、任意の物を用いることができる。
〈筆記部〉
筆記部は、サインペンの筆記部として用いることができる材料で構成されていればよい。筆記部としては、例えば繊維芯及びプラスチック芯、特にプラスチック芯が挙げられる。
繊維芯は、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組合せからなる平行繊維束、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した芯である。
プラスチック芯(10)は、図1(a)〜(c)に示すように、棒状樹脂(2)の長軸方向に、インクをインク貯蔵部から供給するためのインク溝(4)が形成されている芯である。ここで、図1(a)は、プラスチック芯(10)の側面図であり、図1(b)は、プラスチック芯の側面断面図であり、かつ図1(c)は、図1(b)のC−C断面の断面図である。
この棒状樹脂は、繊維芯に関して挙げた樹脂で構成されていてよい。インク溝の形状としては、例えば特開2003−268285号公報の図2に挙げられている形状であることができる。
特に、筆記部がプラスチック芯である場合、より特にはポリアセタールで構成されているプラスチック芯である場合に、本発明の利点がより顕著に表れる。
《サインペン》
本発明のサインペンは、インク貯蔵部、筆記部及び保持部を少なくとも具備している。
インク貯蔵部及び筆記部としては、サインペン用リフィルに関して挙げたものを用いることができる。また、保持部は、サインペンを使用する使用者が保持する部分であり、樹脂、木材、金属等で形成されており、滑り止めのシリコーンゴム等で形成されていてもよい。
《サインペン用水性インク組成物製造方法》
本発明のサインペン用水性インク組成物の製造方法は、乳化工程、及び硬化工程を含む固形シリコーン粒子の製造工程と、これを他のインク組成物材料とともに配合するサインペン用水性インク組成物の製造工程からなる。
〔固形シリコーン粒子の製造工程〕
〈乳化工程〉
乳化工程は、油相を撹拌させながら、水相を滴下し、それによって転相乳化を行う工程である。
ここで、「転相乳化」とは、乳化剤を油相に溶かし、ここに水相を添加し、連続相を油相から水相に転化させてO/W型(水中油滴型)エマルションを調製する方法を意味する。
油相の撹拌は、600rpm以上、620rpm以上、又は650rpm以上で、かつ800rpm以下、780rpm以下、又は750rpm以下で行うことができる。
また、乳化工程は、高圧乳化させることを含んでもよい。高圧乳化の際に印加する圧力は、150MPa以上、155MPa以上、又は160MPa以上であることができ、また200MPa以下、195MPa以下、又は190MPa以下であることができる。
{油相}
油相は、液状シリコーン組成物、及びHLB値が10以下の乳化剤を含有している。
(液状シリコーン組成物)
液状シリコーン組成物は、硬化させることにより、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が20nm〜500nmである固形シリコーン粒子、特に架橋シリコーン粒子を形成する組成物である。
液状シリコーン組成物としては、市販のものを用いることができ、例えば信越化学工業株式会社が「RTVシリコーンゴム」として販売している液状シリコーン組成物を用いることができる。中でも、加熱して硬化させることにより固形シリコーン粒子を形成する熱硬化性液状シリコーン組成物を用いることが好ましく、また一液硬化型の液状シリコーン組成物を用いることが好ましい。
(油相の乳化剤)
油相が含有している乳化剤は、HLB値が10以下の乳化剤である。このHLB値は、10以下、9以下、又は8以下であることができ、また0超、1以上、又は2以上であることができる。このような乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を用いることができる。
ここで、「HLB値」とは、親水性親油性バランス(Hydrophile−Lipophile−Balance)を意味するものである。より具体的には、親水基を持たない物質をHLB値0とし、親油基を持たず親水基のみを持つ物質をHLB値20として等分したものである(グリフィン法)。
{水相}
水相は、水、及びHLB値が10超の乳化剤を含有している。水としては、サインペン用水性インク組成物に関して挙げた水を用いることができる。
(水相の乳化剤)
水相が含有している乳化剤は、HLB値が10超の乳化剤である。このHLB値は、20未満、19以下、又は18以下であることができ、また10超、11以上、又は12以上であることができる。このような乳化剤としては、例えばポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を用いることができる。
〈硬化工程〉
硬化工程は、液状シリコーン組成物を硬化させ、それによって固形シリコーン粒子を生成する工程である。
硬化方法は、液状シリコーン組成物の硬化条件に応じ、適宜選択することができる。
例えば、液状シリコーン組成物が熱硬化性液状シリコーン組成物である場合、乳化工程を経た液状シリコーン組成物を加熱することにより行うことができる。この場合、硬化温度は、40℃以上、50℃以上、60℃以上、又は70℃以上であることができ、また120℃以下、110℃以下、100℃以下、又は90℃以下であることができる。
〈他の工程〉
固形シリコーン粒子の製造工程は、他の工程、例えば硬化後の固形シリコーン粒子の水分散体を分級する工程を含んでもよい。
〔サインペン用水性インクの製造工程〕
前記固形シリコーン粒子の水分散体、及びサインペン用水性インク組成物を構成する材料をディスパー等の攪拌機器を用いて混合しながら、従来公知の方法で製造する。
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
《組成物の作製》
〈実施例1〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物(KE−1844、信越化学工業株式会社、20.0質量部)及び乳化剤としての成分名(品番:エマルゲン102KG、HLB:6.3、メーカー名:花王株式会社、1.0質量部)を含有している油相を600rpmで撹拌し、そこに乳化剤としての成分名(品番:エマルゲン150、HLB:18.4、メーカー名:花王株式会社、9.0質量部)を含有している水相を滴下した。その後、混合液を高圧乳化機により、150MPa、10パスの条件で処理して乳化した。次いで、混合液を80℃で12時間加熱して液状シリコーン組成物を硬化させ、そして12500rpmで30分間分級して、実施例1の水性インク組成物に用いるための、架橋シリコーン粒子(シリコーンゴム)を含有している固形シリコーン粒子の水分散体を作製した。
着色剤としての染料(Water Black 191−L conc.15%、オリエント化学工業株式会社、20.0質量部)、防腐剤(バイオデン421、大和化学工業株式会社、0.3質量部)、pH調整剤としてのトリエタノールアミン(0.2質量部)、ノンドライ剤としての尿素(7.5質量部)、溶剤としてのグリセリン(10質量部)及びエチレングリコール(2.5質量部)、粒子原料としての上記の固形シリコーン粒子の水分散体(固形分換算で3.0質量部)並びにイオン交換水(残部)を用い、実施例1の水性インク組成物を100質量部作製した。
〈実施例2〉
固形シリコーン粒子の水分散体の質量部を、10.0質量部(固形分換算)に変更したことを除き、実施例1と同様にして、実施例2の水性インク組成物を作製した。
〈実施例3〉
固形シリコーン粒子の水分散体の質量部を、20.0質量部(固形分換算)に変更したことを除き、実施例1と同様にして、実施例2の水性インク組成物を作製した。
〈実施例4〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物を、KE−1842(信越化学工業株式会社)に変更したことを除き、実施例2と同様にして、実施例4の水性インク組成物を作製した。
〈実施例5〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物を、KE−1886(信越化学工業株式会社)に変更したことを除き、実施例2と同様にして、実施例5の水性インク組成物を作製した。
〈比較例1〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物を油相に含有させなかったことを除き、実施例1と同様にして、比較例1の水性インク組成物を作製した。
〈比較例2〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物の代わりに、添加粒子としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)粒子(Nipol(商標)LX112、日本ゼオン株式会社、20.0質量部)を用いたことを除き、実施例1と同様にして、比較例1の水性インク組成物を作製した。
〈比較例3〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物の代わりに、シリコーンオイル(KF−96−500cs、信越化学工業株式会社、20.0質量部)を用いたことを除き、実施例1と同様にして、比較例1の水性インク組成物を作製した。比較例1の水性インク組成物は、シリコーンエマルションを含有しており、表1の「粒径」の欄には液滴の径を記載している点に留意されたい。
〈実施例6〉
まず、固形シリコーン粒子の水分散体を、実施例1と同様にして作製した。次いで、着色剤としてのカーボンブラック(8.0質量部)、顔料分散剤としてのスチレンアクリル酸樹脂(1.8質量部)、防腐剤(バイオデン421、大和化学工業株式会社、0.3質量部)、pH調整剤としてのトリエタノールアミン(0.2質量部)、溶剤としてのグリセリン(10.0質量部)、粒子原料としての上記の固形シリコーン粒子の水分散体(固形分換算で10.0質量部)及びイオン交換水(残部)を用い、実施例6の水性インク組成物を100質量部作製した。
〈実施例7〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物を、KE−1842(信越化学工業株式会社)に変更したことを除き、実施例6と同様にして、実施例7の水性インク組成物を作製した。
〈実施例8〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物を、KE−1886(信越化学工業株式会社)に変更したことを除き、実施例2と同様にして、実施例8の水性インク組成物を作製した。
〈比較例4〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物の代わりに、添加粒子としてのシリコーン粒子(トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、固形分換算で9.7質量部)を用いたことを除き、実施例6と同様にして、比較例4の水性インク組成物を作製した。
〈比較例5〉
粒子原料としての液状シリコーン組成物の代わりに、添加粒子としてのシリコーン粒子(トスパール1110、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、固形分換算で9.7質量部)を用いたことを除き、実施例6と同様にして、比較例5の水性インク組成物を作製した。
《評価》
作製した水性インク組成物を、サインペンのインク貯蔵部にそれぞれ充填した。サインペンの筆記部としては、ポリアセタール芯を用いた。
各サインペンについて、表面性測定器(HEIDON−14D、新東化学株式会社)を用い、筆記速度3.3m/分、荷重100g、並びに筆記角度90°の条件で、10cmの直線動作をした際の摩擦抵抗を3回ずつ測定し、その平均値から摩擦係数を求めた。筆記用紙としては、標準紙(しらおい)を用いた。
結果を表1及び表2に示す。
なお、表1及び表2中の平均粒子径は、実施例1〜8及び比較例1〜3については上記の動的光散乱法により測定したものであるが、比較例4及び5については、粒径が大きいことに起因して動的光散乱法で測定できないため、粒子径分布解析装置HRA9320−X100(日機装株式会社製)を用いて、レーザー回折法により体積基準で算出されたD50の値である。
Figure 0006611620
Figure 0006611620
表1及び2から、平均粒子径が20nm〜500nmの架橋シリコーン粒子を含有している実施例1〜8の水性インク組成物は、比較例1〜5の水性インク組成物と比較して、サインペンに用いた場合に良好な書き味が得られることが理解されよう。なお、比較例3では、上記の評価結果は比較的良好であったものの、長く使用するとペン先に皮膜が形成されて、筆記性が極端に劣化した。
2 棒状樹脂
4 インク溝
10 プラスチック芯

Claims (4)

  1. 水、固形シリコーン粒子及び着色剤を含有しており
    動的光散乱法で測定したときの、前記固形シリコーン粒子の平均粒子径が20nm〜500nmであり、かつ
    前記固形シリコーン粒子が、架橋シリコーン粒子である、
    サインペン用水性インク組成物。
  2. 動的光散乱法で測定したときの、前記架橋シリコーン粒子の平均粒子径が、20nm〜250nmである、請求項1に記載のサインペン用水性インク組成物。
  3. インク貯蔵部、筆記部及び保持部を少なくとも具備しており、かつ
    前記インク貯蔵部に請求項1又は2のいずれか一項に記載のサインペン用水性インク組成物が貯蔵されている、
    サインペン。
  4. 前記筆記部が、プラスチック芯である、請求項3に記載のサインペン。
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