JP6610886B2 - 呈色膜、呈色膜被覆基材及び呈色膜の製造方法 - Google Patents

呈色膜、呈色膜被覆基材及び呈色膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、呈色膜、呈色膜被覆基材及び呈色膜の製造方法に関する。
自動車、携帯電話、インテリア等の各種製品は、塗装や装飾が施される。例えば、このような着色層として、従来、色素や顔料を含む着色塗装が行われる。また金属ナノ粒子を用いた呈色膜として、例えば特許文献1に、金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散させた液を水面上に展開し、有機溶媒を揮発させて、金属ナノ粒子を二次元方向に自己組織化させて二次元結晶膜を形成してなる呈色膜が記載されている。この呈色膜は、金属反射面上に形成され、略均一な粒径を有する金属ナノ粒子が規則的に平面状に配列された少なくとも一層以上の金属ナノ粒子層を有している。また、局在プラズモンにより、金属ナノ粒子自体の色とは異なる種々の色に呈色させることができる。
上記のような製品に設けられる着色層には、着色の色相ないしは色味に深みや変化をつけたり、あるいは微細な、ないしはミクロな模様を付したりして、いわゆる意匠性を与えることができる呈色膜ができれば、上記の自動車や携帯電話等の付加価値を高めることができる。そのため、製品の適用範囲が大きく広がる。しかし、上記の金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散させた液を水面上に展開させる方法では、略均一な粒径を有する金属ナノ粒子が規則的に平面状に一様に自己組織化する。そのため着色色相ないしは色味に深みをつけたり、表面に部分的変化を付したり、あるいはミクロな色彩、模様を付したりすることは容易ではなかった。
国際公開第2013/039180号
本発明は、上記の呈色膜に対する高度の要求に応えた優れた呈色膜、この呈色膜を備えた呈色膜被覆基材、及びこの呈色膜を製造する方法を提供することを、課題にする。
本発明者らは、ナノメーターのオーダーの金属粒子(金属ナノ粒子)を含む液滴をスプレー法により金属反射面上に噴霧すると、金属反射面上で金属ナノ粒子が自己組織化して、特定の層構成の金属ナノ粒子層を形成することを見出した。さらに、この金属ナノ粒子層を備えた呈色膜が、局在プラズモン共鳴による発色に加えて、ナノメートルオーダーの厚さであるにもかかわらず構造色をも発現し、上記の課題を解決し、これにより従来にはないミクロな模様を付したりすることもでき、この呈色膜が製品の付加価値を高めうることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>金属反射面上に、金属ナノ粒子の規則的な配列からなる単粒子層を複数積層してなる、金属ナノ粒子の積層領域が存在し、該積層領域は、金属ナノ粒子層の積層数が一様でない、複数の積層部を含む呈色膜。
<2>前記金属ナノ粒子層の最大積層数が、2〜20層である<1>に記載の呈色膜。
<3>前記金属ナノ粒子層の最小積層数が、1層又は2層である<1>又は<2>に記載の呈色膜。
<4>前記複数の積層部が、平面視して交互に若しくは分散点在してなる<1>〜<3>のいずれか1項に記載の呈色膜。
<5>前記金属ナノ粒子層の積層数の差が、20層以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の呈色膜。
<6>前記金属ナノ粒子が、その表面に絶縁体の被覆膜を有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の呈色膜。
<7>前記金属ナノ粒子の粒径が、1〜50nmである<1>〜<6>のいずれか1項に記載の呈色膜。
<8>前記金属ナノ粒子層が、前記金属ナノ粒子の本来の色と異なる色を呈している<1>〜<7>のいずれか1項に記載の呈色膜。
<9>基材と、前記基材上に<1>〜<8>のいずれか1項に記載の呈色膜とを備えた呈色膜被覆基材。
<10>上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の呈色膜を製造する方法であって、金属反射面上に金属ナノ粒子を含む分散液を噴霧する呈色膜の製造方法。
<11>前記分散液中の金属ナノ粒子濃度が20質量%以下であり、分散液を平均液滴径が5〜50μmの液滴として前記金属反射面上に噴霧する<10>に記載の呈色膜の製造方法。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明により、局在プラズモン共鳴による発色と構造色とを兼ね備え、従来にはないミクロな模様を付与する等の、呈色膜に対する高度の要求に応えた優れた呈色膜、この呈色膜を備えた呈色膜被覆基材、及び、この呈色膜を製造する方法を提供できる。
図1は、本発明の呈色膜被覆基材の好ましい形態において金属ナノ粒子の積層領域の一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の呈色膜被覆基材の好ましい形態において、呈色膜2の積層部R2を拡大して示す概略説明図である。 図3は、金属ナノ粒子からなる単粒子層の平面図としての顕微鏡写真である。 図4は、本発明の呈色膜被覆基材の好ましい形態における呈色膜の吸収スペクトル図、及び、参考のための呈色膜の吸収スペクトル図である。 図5は、実施例1で製造した呈色膜の、斜視図としてのデジタルカメラ写真及び平面図としての顕微鏡写真である。 図6は、実施例2で製造した呈色膜の、斜視図としてのデジタルカメラ写真及び平面図としての顕微鏡写真である。 図7は、比較例1で製造した呈色膜の、斜視図としてのデジタルカメラ写真及び平面図としての顕微鏡写真である。 図8は、スプレーガンを用いて分散液を噴霧する、本発明の呈色膜とその呈色膜基材を製造する、スプレーガンと金属反射面との位置関係を説明する概略説明図である。
以下に、本発明の呈色膜、呈色膜被覆基材及び呈色膜の製造方法について、好ましい形態を、図面を参酌して説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<呈色膜及び呈色膜被覆基材>
本発明の好ましい呈色膜被覆基材1は、図1に示されるように、基材3と、この基材3上に本発明の好ましい呈色膜2とを備えている。この呈色膜2は、基材3に形成された下地層4の金属反射面4a上に、複数の金属ナノ粒子6が規則的(周期的)に配列された単粒子層5a1〜5a4を4層積層してなる、金属ナノ粒子の積層領域5を、備えている。この積層領域5は、単粒子層が4層積層されて形成されており、単粒子層5a1〜5a4の積層数が一様でない(積層数が一定でない)、3種の積層部R2〜R4を含んでいる(混在している)。これらにより、呈色膜2(積層領域5)は、局在プラズモン共鳴により金属ナノ粒子6の本来の色と異なる色と、さらに構造色とを発色し、呈色膜に対する上述のような高度の要求に応える結果を生じる優れた発色現象を発現する。
図1は、呈色膜2が有する積層領域5を1つ例に挙げて示すものであるが、本発明において、呈色膜は、金属ナノ粒子の積層領域(単層でない領域)を1つ有していてもよく、複数有していてもよい。積層領域の数は、目的とする呈色膜の色(模様などを含む)、呈色膜の表面積、呈色膜の製造条件(スプレー条件)等によって、適宜設定できる。一概に述べられないが、その積層領域の数の上限は特に限定されない。呈色膜が、金属ナノ粒子の積層領域を複数有する場合、各積層領域は、平面視したときに、金属反射面上に、密集していてもよく、点在(分散、散在)していてもよい。
本明細書において、金属ナノ粒子の積層領域を金属ナノ粒子層又は積層領域ということがある。
本発明において、単粒子層は、通常、複数の金属ナノ粒子が規則的かつ平面状(二次元的)に配列されてなる層(金属ナノ粒子の規則的な配列からなる層)をいう。ただし、本発明において、金属反射面上に直接形成された単粒子層(例えば図1の単粒子層5a1参照。最下層(最下段)ともいう。)に積層される単粒子層(2層(2段)目以降の単粒子層であり、例えば図1の単粒子層5a2〜5a4参照。)については、複数(例えば、少なくとも2つ)の金属ナノ粒子が規則的かつ平面状に配列してなる単粒子層に加えて、1つの金属ナノ粒子からなる部分も単粒子層という。
また、金属ナノ粒子層が、積層された階層(段)が同じ単粒子層を複数有する場合(例えば、図1に示す金属ナノ粒子層5においては、5つの単粒子層5a2と、5つの単粒子層5a3と、2つの単粒子層5a4とを有する。)、複数の単粒子層を合わせて第n層の単粒子層という。ここで、nは単粒子層の階層数を表し、1以上、単粒子層の最大積層数以下の数値である。
本発明において、金属ナノ粒子層を平面視したときの配列構造(パターン)は、上記発色現象を発現する限り、特に限定されない。例えば、後述するように、平面において、1つの金属ナノ粒子6の周囲を6個の金属ナノ粒子6が取り囲む六方最密充填構造(図3参照)等が挙げられる。
本発明において、単粒子層の積層態様は、上記発色現象を発現する限り、特に限定されない。例えば、金属反射面4a側の単粒子層を形成する金属ナノ粒子6上に、積層される単粒子層を形成する金属ナノ粒子6が位置する積層態様(図1参照)、金属反射面4a側の単粒子層を形成する金属ナノ粒子6の間に画成された空隙上に、積層される単粒子層を形成する金属ナノ粒子6が位置する積層態様が挙げられる。このような、空隙上に金属ナノ粒子6が位置する場合、単粒子層が3層積層されるときの積層構造は、その断面において、面心立方格子状又は六方最密格子状等の積層構造が挙げられ、六方最密格子状が好ましい。
本発明において、基材3は、呈色膜2により呈色させたい対象物、又は、その構成部材である。対象物としては、特に限定されないが、呈色膜等による塗装又は装飾が施される製品(材料及び半製品を含む)等が挙げられる。例えば、上記各種製品、電気製品(電子製品)、自動車用部品等が挙げられる。したがって、基材3の形状、寸法及び材質等は、呈色膜2の用途等に応じて、適宜に決定される。基材3の形状としては、特に限定されないが、例えば、呈色膜2を形成する表面形状として、平面、曲面又は凹凸面等が挙げられる。基材3の材質としては、例えば、樹脂又は金属等が挙げられるが、これらに限定されない。
基材3は、特に限定されないが、金属、ガラスや樹脂等で形成される。
基材3を形成する金属としては、特に限定されず、銅、金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスニウム、又は、これらの合金等が挙げられる。なかでも、可視光域での反射率の高い金属、例えば、金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム又はオスニウム等の貴金属が好ましい。基材3が例えば上記金属で形成される場合、この基材3の表面を金属反射面4aとして使用でき、下地層4を形成しなくてもよい。
一方、基材3が、ガラスや樹脂等の金属反射面4aを有さない材質で形成される場合、図1に示されるように、金属反射面4aを有する下地層(金属層)4を基材3の表面に設ける。基材3を形成するガラス及び樹脂は、特に限定されず、用途等に応じて適宜に選択される。下地層4は、金属ナノ粒子層5を通過した入射光を、金属ナノ粒子層5に向けて反射させる金属製の反射面(金属反射面)4aを有している。この金属反射面4aは、下地層4の、基材3に接する面と反対側の面(上面)に、設けられている。下地層4を形成する金属としては、特に限定されないが、上記金属が挙げられる。
金属ナノ粒子層5は、図1に示されるように、複数の金属ナノ粒子6が三次元的に配列されている。すなわち、この金属ナノ粒子層5は、金属反射面4a上に形成された最下層としての単粒子層5a1上に、単粒子層5a2〜5a4がそれぞれ積層されている。具体的には、金属ナノ粒子層5は、単粒子層5a1の表面全体に第2層としての単粒子層5a2が積層されている。さらに、単粒子層5a2の表面に局所的(一部)に、第3層としての単粒子層5a3及び第4層として単粒子層5a4が積層されている。このような金属ナノ粒子層は、金属ナノ粒子6の三次元配列構造(自己組織化構造)からなる、金属ナノ粒子の積層領域を有する。金属ナノ粒子層5は、金属ナノ粒子層を形成する単粒子層の積層数(金属ナノ粒子層の積層数)が一様ではない、3種の積層部R2〜R4をそれぞれ含んでいる。
単粒子層5a1〜5a4は、いずれも、平面視したときに、金属ナノ粒子6が規則的に平面状に配列されることにより、形成されている。このときの金属ナノ粒子6の配列構造は、上記した通りであり、単粒子層5a1〜5a4はいずれも六方最密充填構造で配列されている。単粒子層5a4の配列構造は六方最密充填構造の一部となっている。
図3は、実際に作成した金属ナノ粒子の単粒子層の上面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。この写真は、シリコンウエハ上に形成した単粒子層(1層)を撮影したものである。この単粒子層は、金属核としての銀粒子を絶縁体としてのミリスチン酸で被覆した金属ナノ粒子を自己組織化させて形成した。図3に示されるように、金属ナノ粒子は、二次元に規則正しく自己組織化された二次元結晶構造(六方最密充填構造)を採っている。金属ナノ粒子層は、結晶方位がそれぞれ異なる多結晶質であってもよい。
単粒子層5a1〜5a4の積層態様は、上記した通りであり、単粒子層5a1〜5a4はいずれも、金属反射面4a側の単粒子層を形成する金属ナノ粒子6上に、積層される単粒子層を形成する金属ナノ粒子6が位置する積層態様である。
金属ナノ粒子層5において、金属ナノ粒子6は、平面方向及び厚さ方向のいずれにおいても、粒子間距離Dで、配列されている。粒子間距離Dは、金属核51の粒径以下であることが好ましい。
本発明において、積層領域内に積層部を複数含んでいる。積層領域内に存在する積層部の数は特に限定されず、例えば、1以上、(金属ナノ粒子層の積層数の差+1)以下の数が挙げられる。例えば、呈色膜2においては、金属ナノ粒子層5は3種の積層部R2〜R4を含んでいる。すなわち、金属ナノ粒子層5は、単粒子層5a1及び5a2のみが積層してなる2層積層部R2と、単粒子層5a1〜5a3のみが積層してなる3層積層部R3と、単粒子層5a1〜5a4が積層してなる4層積層部R4とをそれぞれ含んでいる。これにより、角度によって互いに異なる色に見える構造色をも発現させることができる。各積層部R2〜R4の層平面内での位置は、特に限定されないが、平面視した場合、構造色の発現の点で、点在(交互に若しくは分散(散在))していることが好ましく、特に、積層数が大きい積層部が点在していることが好ましい。このとき、点在している積層部の割合(金属ナノ粒子層5の見掛け上の表面積に対する、分散している積層部の見掛け上の合計表面積の割合)及び個々の積層部の面積は、金属ナノ粒子の局在プラズモンによる呈色のため、一般的な構造色とは異なり限定されない。しかし意匠性を考えると、上記割合として30〜70%であることが好ましく、上記面積として数百ナノメートル四方〜数百マイクロメートル四方であることが好ましい。
本発明において、金属ナノ粒子層の最大積層数は、特に限定されないが、好ましくは2〜20層であり、より好ましくは2〜5層である。金属ナノ粒子層の積層数を変化させることにより、金属ナノ粒子層を1種類の金属ナノ粒子で形成した場合においても、局在プラズモン共鳴による発現する色を、例えばオレンジ〜赤〜ピンク〜紫〜青の鮮やかな金属光沢を有する色に、変えることができる。また、最大積層数が上記範囲内にあると、この発色に加えて、金属ナノ粒子層5の厚さがナノメートルオーダーであるにもかかわらず、構造色をも発現させることができる。
単粒子層の最小積層数は、最大積層数未満であればよく、好ましくは1層又は2層である。金属ナノ粒子層において、単粒子層の積層数の差は、特に限定されない。この積層数の差は、金属ナノ粒子の積層領域において最大積層数と最小積層数との差分とする。本発明における積層数の差は、好ましくは20層以下であり、より好ましくは1〜10層であり、さらに好ましくは1〜5層である。
積層領域5においては、最大積層数は4層(積層部R4)、最小積層数は2層(積層部R2)であり、積層数の差は2層である。
金属ナノ粒子層5の厚さは、金属ナノ粒子6の粒径若しくは粒子間距離D、又は、単粒子層の積層数等によって、一義的に決定されない。例えば、その一例を挙げると、金属ナノ粒子層の最大厚さ(最大積層数の積層領域の厚さ)として、数10〜数100nmであることが好ましい。
金属ナノ粒子6は、それぞれ略均一でナノメートルオーダーの粒径を有している。具体的には、金属ナノ粒子6の粒径は、1nm以上50nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがさらに好ましい。金属ナノ粒子6の粒径は、金属ナノ粒子6が絶縁体で被覆されている場合には、絶縁体を含む粒径であり、電子顕微鏡観察、走査型プローブ顕微鏡観察により測定できる。
金属ナノ粒子6としては、局在プラズモンを形成可能な金属種の粒子であればよく、例えば、金属粒子(金属核ともいう)そのもの、又は、この金属核を絶縁体で被覆した粒子(表面に絶縁体の被覆膜を有する粒子)を用いることができる。局在プラズモン共鳴による発色の点で、金属核を絶縁体で被覆した粒子が好ましい。
金属核を形成する金属としては、局在プラズモンを形成可能なものであればよく、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスニウムが挙げられる。なかでも、局在プラズモン吸収の大きい、金、銀、銅、アルミニウム又はパラジウム等の貴金属が特に好ましい。また、金属核は複数種の金属で形成されていてもよい。
金属核を被覆する絶縁体(被覆分子ともいう)は、金属ナノ粒子層5において隣接する金属ナノ粒子6同士が互いに導通することを防止する絶縁性を有する材料(物質)であれば、特に限定されない。絶縁体としては、金属ナノ粒子層5を形成するまで金属核から離脱しないものが好ましい。このような絶縁体としては、例えば、有機物(有機脂肪酸、有機アミン、アルカンチオール化合物、又はポリマー)やガラス等が挙げられる。
金属ナノ粒子6において、絶縁体と金属核との結合様式は、特に限定されない。例えば、化学結合(例えば、銀ナノ粒子とアルカンチオール化合物との結合)、イオン結合(例えば、銀ナノ粒子とカルボン酸との結合)、物理結合(例えば、銀ナノ粒子と有機アミンとの結合)、共有結合(例えば、金ナノ粒子とカルボン酸との結合)等が挙げられる。
絶縁体としてポリマーを用いる場合、ポリマーが官能基を有していないときでも金属核の表面からポリマーが離脱しないようにする必要がある。
金属ナノ粒子層5をスプレー法で形成する場合、金属ナノ粒子6が分散媒に分散する条件さえ満たしていればよく、特許文献1に記載の方法等のLB法とは違い、被覆分子が両親媒性である必要はない。被覆分子は、分散媒としての極性溶媒への分散には、金属核への結合に関与しない絶縁体部分(分子構造)の特性が極性的であることが望ましい。一方、分散媒としての非極性溶媒への分散には、金属核への結合に関与しない絶縁体部分の特性が非極性的であることが望ましい(例えばミリスチン酸分子及びアルカンチオール化合物による被覆の場合、カルボン酸(カルボキシ基)やチオール基以外の分子鎖の化学構造が長鎖アルカン(非極性)であるため、非極性溶媒に分散する)。
<呈色膜の呈色>
呈色膜2において、局在プラズモン共鳴による発色は、次のように、Near Field効果とFar Field効果とによるものと、考えられる。
(Near Field効果)
図2は、図1に示す呈色膜2のうち積層部R2を拡大して示したものであり、局在プラズモン共鳴による呈色の仕組みを説明する概略説明図である。
この呈色膜2に外部から光L1が照射されると、金属ナノ粒子6の周りには局在プラズモン8が励起される。金属ナノ粒子層5(積層部R2)においては、各単粒子層において、二次元方向に隣接している個々の金属ナノ粒子6で励起された局在プラズモン8は、面方向(金属反射面4aの表面に沿う方向)に相互に結合し、単独の金属ナノ粒子6よりも長波長の光を吸収する。一方、金属ナノ粒子層5を透過した一部の光L2は、金属反射面4aで反射され、再び背面(金属反射面4a側)から金属ナノ粒子層5に入射する。このように、外部からの直射光L1と金属反射面4aでの反射光L2とが、わずかな時間差で金属ナノ粒子層5に入射する。これにより、個々の単粒子層において励起された局在プラズモン8間に複雑な相互作用が生じる。その結果、単粒子層の層数に応じて共鳴吸収ピークはさらに長波長シフトを呈する。
(Far Field効果)
各単粒子層において、金属ナノ粒子6の金属核からなる金属核層Aは、局在プラズモン8が励起される波長においてのみ極めて大きな実効誘電率を有する。すなわち、金属核層Aは、狭い波長域において波長によって屈折率が大きく変化するメタマテリアル的性質を有する。一方、金属反射面4aと金属核層Aとの間の空間Bは、金属核層Aよりも、屈折率の小さな絶縁体で占められている。
金属核層Aのメタマテリアル的性質のために、金属ナノ粒子層5の背面に金属反射面4aでの反射光L2が入射すると、特定の波長の光が、金属ナノ粒子層5の積層数に応じて、金属ナノ粒子層5の層構造の中に強く閉じ込められる。
このように、直射光L1と金属反射面4aによる反射光L2との両方によって局在プラズモン8が励起される上記Near Field効果と、金属核層A及び空間Bに光を閉じ込める上記Far Field効果とによって、金属ナノ粒子層5は、その積層数に応じて、金属ナノ粒子6の本来の色とは異なる色に呈色する。
ここで、粒径が5nmであり、トルエン溶媒中に分散させたときに波長426nmに吸収スペクトルの吸収ピークを有する銀ナノ粒子6を用いて、金属ナノ粒子層5を形成した場合の吸収スペクトル(呈色の発現)について、具体的に説明する。
図4(a)は、参考例のための呈色膜として、石英基板上に金属反射面4aを介さずに設けた、上記銀ナノ粒子からなる金属ナノ粒子層の吸収スペクトルを示す。図4(b)は、本発明の呈色膜被覆基材の好ましい形態における呈色膜のスペクトルである。この呈色膜被覆基材は、石英基板(基材)上に、下地層(材質:金、厚さ:200nm)4を設け、さらに金属反射面4a上に上記銀ナノ粒子6からなる金属ナノ粒子層5を設けたものである。各金属ナノ粒子層において、銀ナノ粒子6の粒子間距離Dは2nmであった。
図4中、(i)は一層、(ii)は二層、(iii)は三層、(iv)は四層、(v)は五層、単粒子層を積層した積層部の吸収スペクトルを示す。
図4(a)に示すように、下地層を介さずに石英基板上に直接金属ナノ粒子層を設けた場合、金属ナノ粒子層の吸収ピークは、局在プラズモンが面内で相互に結合した効果により、トルエン中での吸収ピークに対して、約50nm程度赤方に偏移していた。しかし、吸収ピークの形状及び強度ともに本来の銀ナノ粒子のものと同様の吸収スペクトルを示した。しかも、金属ナノ粒子層の積層数が変化しても、吸収スペクトルの吸収ピークは移動しなかった。
これに対して、図4(b)に示すように、本発明の呈色膜被覆基材においては、形状も大きく変化した吸収スペクトルが500nm付近に観察された。また、金属ナノ粒子層5の積層数に応じて、吸収スペクトルの吸収ピークが赤方偏移している。これにより、金属ナノ粒子層5の積層数を変化させると、呈色膜2の色を変化させることができることが確認できた。さらに、この呈色膜2は、金属ナノ粒子層5の積層数の増加に応じて、オレンジ〜赤〜ピンク〜紫〜青の鮮やかな金属光沢を有する色を呈した。これは、トルエン中に分散している銀ナノ粒子6の薄黄色とは異なる色であった。
このように、呈色膜2によれば、金属ナノ粒子層5の積層数を変更することにより、異なる色に呈色させることができる。したがって、単一の金属種を用いて呈色膜2を複数の異なる色に呈色させることができ、従来のように異なる色ごとに異なる種類の金属ナノ粒子等を用いなくてもよい。また、このようにして得られる呈色膜2の表面は金属光沢を有する鮮やかな色に呈色されているので、様々な物品の付加価値及び表面の意匠性を高めることができる。
また、呈色膜2によれば、金属ナノ粒子層5は、単粒子層を必要な積層数だけ積層させれば、所望の色に呈色させることができる。つまり、鮮やかに呈色させるために金属ナノ粒子層5を厚く形成しなくてもよい。しかも、所望の色に呈色させるために複数の単粒子層を積層する場合でも、金属ナノ粒子層5を、ナノメートルオーダーの厚さに、薄く形成できる。
さらに、金属ナノ粒子層5の厚さが十分に薄いため、呈色に要する金属ナノ粒子6の使用量を低減できる。これにより、低コストで鮮やかに呈色させることができるので、付加価値及び意匠性を大幅に高めることができる。また、後述するように、金属ナノ粒子層5をスプレー法にて形成することができる。したがって、呈色膜2を低コストで提供できる。しかも、下地層4の表面がどのような形状をしていても、金属反射面4aの表面形状に沿って金属ナノ粒子6が付着し、金属ナノ粒子層5を形成することができる。これにより、三次元形状など複雑な表面に呈色膜2を形成することができる。
局在プラズモン共鳴による発色は、下地層4の材質、金属ナノ粒子6の粒径、金属ナノ粒子6の粒子間距離D、金属ナノ粒子6の金属核の材質等を適宜選択することにより、調整できる。また、金属核として互いに異なる金属からなる金属核を複数種用いて、異種金属が混在した金属ナノ粒子層5を形成することによっても、発色を調整できる。さらに、下地層4の材質と金属ナノ粒子6の金属核の材料との組み合わせによっても、発色を調整できる。これらにより、特にこれらを複数組み合わせることにより、呈色膜2の色のバリエーションを拡げることができる。
発色の調整方法及びその実証については、特許文献1の段落0046〜0055及び図6〜図11に記載されており、この記載がそのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
(構造色の発現)
呈色膜2は、まだ定かではない点もあるが、構造色は次のようにして、発現すると考えられる。
通常、構造色は厚さが数百nm以上の構造体(膜)でなければ発現しないが、本発明の呈色膜は、局在プラズモン共鳴により、数十nmの構造体でも発現する。具体的には、図1に示されるように、呈色膜2を上面から見ると、積層領域5内の各積層部は、上記のように、単粒子層の積層数に応じた色を呈している。一方、呈色膜2(積層領域5)を斜め方向から見ると、微細構造による構造色を呈する。これは、積層領域5を斜め方向から見ると、積層部R2〜R4それぞれの単粒子層の積層数が互いに異なることによる。例えば、図1に示されるように、積層部R4を隣接する積層部R2側から見ると、斜め方向に配列された金属ナノ粒子の積層数は、図1中の斜矢印で示すように、第4層から第2層に向けて4層、3層及び2層に変化し、積層部R4の斜め方向は積層数に応じた3色が発現する。
このように、本発明の呈色膜は、局在プラズモン共鳴による発色と構造色とを呈し、スプレー法等によって形成することができる。
<呈色膜の製造方法>
本発明の呈色膜は、特に限定されないが、金属反射面上に金属ナノ粒子を含む分散液を噴霧することにより、製造できる(本発明の呈色膜の製造方法)。この製造方法において、基材3を用いると、本発明の呈色膜被覆基材を製造できる(本発明の呈色膜被覆基材の製造方法)。
本発明の呈色膜の製造方法及び本発明の呈色膜被覆基材の製造方法(併せて、本発明の製造方法ということがある)においては、金属反射面4a(下地層4)を必要に応じて、例えば基材3に、形成する。
下地層4は、金属を用いて、蒸着やスパッタ、めっき等の公知の技術によって形成することができる。さらに、必要に応じて、下地層4の上面に公知の方法により金属反射面4aを形成する。
基材3が金属反射面4aを有している場合には下地層4を形成しなくてもよい。
本発明の製造方法においては、金属ナノ粒子を含む分散液を調製する。金属ナノ粒子、金属核及び絶縁体は上記の通りである。
有機脂肪酸が外周面に結合した金属ナノ粒子は、例えば、金属核となる金属(例えば銀)を含む有機金属化合物と、絶縁体としての有機脂肪酸(例えばミリスチン酸)の混合物を非酸化雰囲気下で加熱分解することにより、合成できる。この合成方法において、得られた、有機酸金属塩にアルカンチオール化合物を接触させることで、アルカンチオール化合物が外周面に結合した金属ナノ粒子が得られる。この場合、アルカンチオール化合物が絶縁体となる(金属核を銀で構成した例として、特許第4415083号明細書を参照でき、その記載がそのまま本明細書に好ましく取り込まれる。)。同様に、上記合成方法において、有機脂肪酸に代えて、有機アミン又はポリマーを用いることにより、これらが結合した金属ナノ粒子を合成できる。
上記合成方法において、有機脂肪酸、有機アミン又はアルカンチオール化合物の総炭素数を調整することにより、所望の炭素鎖を有する化合物が金属核の表面に結合した金属ナノ粒子6を形成することができる。これにより、炭素鎖の長さによって、金属ナノ粒子6の粒子間距離Dを調整することができる。
金属ナノ粒子を分散させる分散媒としては、特に限定されず、有機溶媒又は水等を用いることができ、2種以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。分散媒は、極性溶媒であっても非極性溶媒であってもよいが、揮発性溶媒が好ましい。揮発性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロホルム、塩化メチレン、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル等が挙げられる。ここで、揮発性溶媒とは、分散液を噴霧後、空気中を飛散している最中に溶媒が適度の速度で蒸発し、金属ナノ粒子がクラスター状態(粒子間相互作用でゆるく会合した状態)になり、さらに基板面に到着する際にはほぼ乾燥しきった状態になる溶媒のことを指す。
分散液中の、金属ナノ粒子濃度は、金属ナノ粒子の金属種や粒径、被覆有機分子の構造・極性等によって決まる溶媒への分散性によるため、特に限定されないが、分散液中での金属ナノ粒子6の凝集防止、及び、金属ナノ粒子6の自己組織化の点で、20質量%以下が好ましい。
分散液は、自己組織化を妨げるので、溶媒以外の不揮発性の分散剤を含まないことが好ましい。
本発明の製造方法においては、金属反射面のうち呈色膜を形成する領域に分散液を噴霧する。呈色膜を形成する領域は、金属反射面の全面でもよく、一部でもよい。分散液の噴霧方法は、特に限定されず、スプレー法、インクジェット法等が挙げられ、スプレー法が好ましい。
スプレー法において、分散液を噴霧するのに必要な装置、例えば、スプレーノズル(スプレーガン)、霧化装置、分散液をスプレーノズルに供給する分散液供給装置等は、特に限定されない。スプレー法に用いるスプレーノズルは、特に限定されず、公知の各種ノズルを用いることができる。例えば、図8に模式的に示されるパールガンAGB−40N(ノズル口径φ0.8mm、エアーキャップ41N装備、旭サナック社製)等が挙げられる。
分散液の噴霧は、好ましくは0〜80℃、より好ましくは室温(10〜30℃)の温度(分散液の温度)で、常圧下で、行う。噴霧条件は、特に限定されないが、金属ナノ粒子6の自己組織化の点で、下記条件を適宜に設定することが好ましい。なかでも、平均液滴径が下記範囲内となる条件が好ましい。さらには、条件(2)、条件(3)、条件(5)又は条件(6)等について下記範囲内で適宜に設定した条件が好ましい。
(1)分散液を噴霧したときの液滴の平均液滴径としては、5〜50μmが好ましく、10〜25μmがより好ましく、15〜20μmがさらに好ましく、10〜20μmが特に好ましい。また、液滴径の分布を設定することも好ましい。液滴径の分布としては、例えば、5〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、5〜25μmがさらに好ましい。
平均液滴径、及び、液滴径の分布は、後述する液滴解析装置により、測定できる。
(2)スプレー距離(噴射距離ともいい、図8においてH1で示される。)としては、10〜150mmが好ましく、50〜100mmがより好ましく、80〜100mmがさらに好ましい。
(3)スプレー速度(移動距離又はステージ速度ともいう)としては、0.9〜36m/min(15〜600mm/s)が好ましく、1〜20m/min(16.7〜333.3mm/s)がより好ましく、5〜10m/min(83.3〜166.7mm/s)がさらに好ましい。
(4)吐出量としては、0.012μL/min〜42.57mL/minが好ましく、1〜10mL/minがより好ましく、1〜5mL/minがさらに好ましい。
(5)霧化エア圧としては、0.05〜0.5MPaが好ましく、0.05〜0.3MPaがより好ましく、0.05〜0.1MPaがさらに好ましい。
(6)パターンエア圧としては、0.05〜0.5MPaが好ましく、0.05〜0.3MPaがより好ましく、0.05〜0.1MPaがさらに好ましい。
(7)塗重ピッチ(図8においてW1で示される。)としては、0.3〜25mmが好ましく、0.5〜10mmがより好ましく、0.5〜1mmがさらに好ましい。
(8)塗布回数としては、上記積層数となる回数であればよく、例えば、1〜10回が好ましく、1〜5回がより好ましく、1〜4回がさらに好ましい。
本発明において、噴霧形態(スプレーガンの動作レシピ)は、金属反射面上に分散液を噴霧できれば特に限定されない。例えば、図8中の矢印に示されるように、スプレーガンを金属反射面4aの全面に対して一方向に動作させてもよく、また、金属反射面4aの表面に対して複数回に分けて(例えば金属反射面4aの半分の領域を2回に分けて)一方向に動作させてもよい(この場合、塗布回数は金属反射面の全面に分散液が噴霧されたときに1回とする)。
本発明の製造方法においては、このようにして分散液を金属反射面上に噴霧した後に、必要に応じて、形成された金属ナノ粒子層(着弾した分散液(液滴))を自然乾燥することもできる。
本発明の製造方法において、上記のようにして金属反射面上に分散液を噴霧すると、分散液が空気中を飛散している最中に溶媒が適度に蒸発し、液滴中で金属ナノ粒子が濃縮された結果、クラスター状態(金属ナノ粒子がゆるく会合した状態)になる。この状態で金属反射面上に着床した際に、高濃度で二次元的に広がり、自己組織化する。このようにして、積層数が一様ではない(互いに異なる)複数の積層領域を含む金属ナノ粒子層が形成されると、考えられる。
このようにして、本発明の呈色膜及び呈色膜被覆基材を製造できる。
本発明の製造方法は、金属ナノ粒子の分散液を金属反射面に噴霧することにより、金属ナノ粒子層を形成する方法である。したがって、金属反射面及び基材表面が平面に限られず、曲面又は凹凸面であっても、金属ナノ粒子の積層領域を有する呈色膜を形成できる。
本発明は、上述した好ましい形態に限定されるものではなく、上記好ましい形態を適宜、変形又は改良等することができる。上述した好ましい形態における各構成要素の材料、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明の課題を解決できるものであれば、特に限定されない。
例えば、上記好ましい形態においては、呈色させたい対象物(基材3)に呈色膜2を直接設けているが、本発明においては、例えば、基材と下地層との間に転写シートを設けてもよい。この場合、表面に下地層と呈色膜とをこの順で積層した転写シートを基材に貼り付けることにより、製造できる。
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
以下のようにして、図5に示される呈色膜被覆基材1Aを、図8に示す噴霧装置10を用いて、製造した。なお、実施例1は、図1に示す積層領域5を持つ呈色膜2及び呈色膜被覆基材1そのものを製造するものではないが、理解のため、図1の符号を用いて、実施例1を説明する。この点は実施例2についても同様である。
用いた噴霧装置10は、スプレーガン11としてパールガンAGB−40N(ノズル口径φ0.8mm、エアーキャップ41N装備(図8において図示しない)、旭サナック社製)と、スプレーガン11にテフロン(登録商標)ホース12で接続された分散液供給装置13としてシリンジポンプYMC(旭サナック社製)とを備えている。
まず、分散液Cを次のようにして調製した。酢酸銀11.6gと、ミリスチン酸94.3gとを、非酸化雰囲気下で、220℃で20分にわたり加熱分解することにより、銀ナノ粒子を合成した。その後、n−ヘキサン及びメタノールで精製し、この銀ナノ粒子2g(固形分)をトルエン100mLとを混合して、銀ナノ粒子の濃度が2.5質量%の分散液(原液)を調製した。この分散液(原液)10gをトルエン20gで希釈した分散液Cを調製した。
基材3として準備したガラス基板の表面に、真空蒸着により、厚さ200nmの下地層4(材料:金)を形成した。
次いで、この金属反射面4aの全面に、温度25℃で、表1に示す条件下、噴霧装置10を用いたスプレー法により、スプレーガン11から100mmのスプレー距離H1をおいて分散液14を噴霧した。スプレーガン11の動作レシピは、図8矢印に示されるように、スプレーガン11を金属反射面4aの全面に対して一方向に動作させ、この動作を1回として表1に示す塗布回数行った。塗布した分散液14を25℃で1時間乾燥した。
このようにして、図5に示す、呈色膜2Aを有する呈色膜被覆基材1Aを製造した。
実施例1で製造した呈色膜2Aを、デジタルカメラ(型番:IXYDigital920IS、Canon社製)及び原子間力顕微鏡(AFM、Ti/Irコートシリコンプローブ使用(バネ定数:〜2Nm−1、共鳴周波数:70kHz)、ACモード測定、室温、大気中)で撮影した。原子間力顕微鏡はアサイラム社製Cypher装置である。これら写真を、それぞれ、図5(A)及び(B)に示す。
また、実施例1で製造した呈色膜2Aの吸光度を反射スペクトルから求めた。測定装置は、紫外可視吸収分光器(型番:UV−1800、島津製作所社製)を用い、測定条件を入射角5度の反射測定(室温、大気中)とした。
実施例1で製造した呈色膜2Aは、図5(A)では濃灰色であるが、実際の目視では後述のように目視の角度によって橙色から桃色を呈していた。この呈色膜2Aの吸収ピーク波長は516nmであった。この吸収ピーク波長は、特許文献1に記載の呈色方法により製造した、単粒子層を3層積層した呈色膜の吸収ピーク波長と、同等であった。
この呈色膜被覆基材1Aを、反射光学顕微鏡(光源:LED、カメラ:オリンパス社製CCD、原子間力顕微鏡内蔵)で観察したところ、境界によって隔てられた、鮮やかな桃色で平坦(均一)に見える積層領域5Aを複数有する呈色膜2Aを備えていた。また、図5(B)の原子間力顕微鏡像により、呈色膜2Aの積層領域5Aは、数百nmサイズのドメイン構造を有し、10nm程度の凹凸構造(積層数が一様でない、複数の積層部に相当する)を形成していることが確認できた。このことから、金属ナノ粒子の平均粒径(被覆膜を含めて、約10nm)を考慮すると、実施例1で製造した呈色膜2Aは、図1に示したような2層の積層部R2ないし3層の積層部R3を含む積層領域5Aを有し、これらの積層部によって、微細な段差構造が形成されていることがわかった。
さらに、実施例1で製造した呈色膜2Aを、角度を変えて目視にて観察した。その結果、呈色膜2Aに構造色、具体的には角度により橙色から桃色に見える現象を確認できた。
このように、1種類の金属ナノ粒子(銀ナノ微粒子)を用いて製造した呈色膜2Aは、局在プラズモン共鳴による発色と構造色とを兼ね備えていた。
実施例1において噴霧した分散液の平均液滴径及び液滴径の分布は、直接測定することはできないが、下記測定により得られた平均液滴径及び液滴径の分布と近似(関連)すると推定される。
下記条件で、パールガンAGB−40N(ノズル口径φ0.8mm、エアーキャップ41N装備、旭サナック社製)から純水を噴霧したときの液滴の、平均液滴径及び液滴径の分布を、液滴解析装置を用いて、測定した。平均液滴径は測定された液滴径から算出されたザウター平均径を用いた。
その結果、平均液滴径は15.4μmであり、液滴径の分布は5〜50μmの範囲内であった。
<条件>
測定温度:20〜25℃、霧化エア圧:0.1MPa、パターンエア圧:0.12MPa、吐出量:10mL/min、噴射距離(ノズル先端部から測定点までの距離):100mm
<液滴解析装置>
液滴解析装置は、測定点をレンズで拡大投影し、受光部に並べたファイバーアレイセンサにより干渉縞を通過する液滴の影を捉え、その直径を2次元化して測定する装置である。液滴解析装置は、日本カノマックス株式会社製(型式:SDPA)を用いた。
(実施例2)
実施例1において、分散液Cに代えて分散液(原液)を用い、かつ分散液(原液)の噴霧条件を表1に記載の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、図6に示す、呈色膜2Bを有する呈色膜被覆基材1Bを製造した。
実施例2で製造した呈色膜2Bを、実施例1と同様にして、デジタルカメラ及び原子間力顕微鏡で撮影した。これら写真を、それぞれ、図6(A)及び(B)に示す。また、実施例2で製造した呈色膜2Bの吸光度を実施例1と同様にして求めた。
実施例2で製造した呈色膜2Bは、図6(A)では濃灰色であるが、実際の目視では後述のように目視の角度によって桃色から紫桃色を呈していた。この呈色膜2の吸収ピーク波長は523nmであった。この吸収ピーク波長は、特許文献1に記載の呈色方法により製造した呈色膜の吸収ピーク波長と同様にブロードであった。この吸収ピーク波長は、特許文献1に記載の呈色方法により製造した、単粒子層を4層積層した呈色膜の吸収ピーク波長と、同等であった。
この呈色膜被覆基材1Bを、反射光学顕微鏡で観察したところ、境界によって隔てられた、均一な紫桃色で平坦に見える積層領域5Bを複数有する呈色膜2Bを備えていた。また、図6(B)の原子間力顕微鏡像により、呈色膜2Bの積層領域5Bは、数百nmサイズのドメイン構造を有し、20nm程度の凹凸構造(積層数が一様でない、複数の積層部に相当する)を形成していることが確認できた。このことから、分散液中の金属ナノ粒子の粒径を考慮すると、実施例2で製造した呈色膜2Bは、図1に示したような、5層の積層部、4層の積層部R4ないし3層の積層部R3を含む積層領域5Bを有し、これらの積層領域によって、微細な段差構造が形成されていることがわかった。
さらに、実施例2で製造した呈色膜2Bを、角度を変えて目視にて観察した。その結果、呈色膜2Bに構造色、具体的には角度により桃色から紫桃色に見える現象を確認できた。
このように、1種類の金属ナノ粒子(銀ナノ微粒子)を用いて製造した呈色膜2Bは、局在プラズモン共鳴による発色と構造色とを兼ね備えていた。
(比較例1及び2)
実施例1において、分散液Cに代えて分散液A(分散液(原液)10gをトルエン150gで希釈)又は分散液B(分散液(原液)10gをトルエン40gで希釈)を用い、かつ分散液の噴霧条件を表1に記載の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1及び2の呈色膜被覆基材を、それぞれ、製造した。
比較例1及び2で製造した各呈色膜を、実施例1と同様にして、デジタルカメラ及び原子間力顕微鏡で撮影した。比較例1で製造した呈色膜2Cを撮影した写真を図7(A)及び(B)に示す。
また、比較例1及び2で製造した各呈色膜の吸光度を実施例1と同様にして求めた。
比較例1で製造した呈色膜2Cは、図7(A)では濃灰色であるが、実際の目視では後述のように目視の角度にかかわらず橙色を呈していた。この呈色膜2Cの吸収ピーク波長は495nmであった。この吸収ピーク波長は、特許文献1に記載の呈色方法により製造した、単粒子層を1層からなる呈色膜の吸収ピーク波長と同等であった。
この呈色膜被覆基材1Cを、反射光学顕微鏡で観察したところ、均一な橙色に見える単粒子層からなる領域5Cを有する呈色膜2Cで全体が覆われていた。一方、図7(B)の原子間力顕微鏡像は、Z軸スケールを図6(B)の原子間力顕微鏡像と同じスケールで撮影したものであるが、図7(B)に示す原子間力顕微鏡像により、呈色膜2Cの単粒子層からなる領域5Cは、広範囲(大きな表面積)にわたって、ナノレベルで均一(表面が平坦、層数1)であることが確認できた。したがって、比較例1で製造した呈色膜2Cを、角度を変えて目視にて観察したが、構造色の発現を確認できなかった。
比較例2で製造した呈色膜は珊瑚色を呈していた。この呈色膜の吸収ピーク波長は510nmであった。この吸収ピーク波長は、特許文献1に記載の呈色方法により製造した、単粒子層を2層積層した呈色膜の吸収ピーク波長と同等であった。
比較例2で製造した呈色膜被覆基材を、反射光学顕微鏡及び原子間力顕微鏡で撮影して観察したところ、表面がナノレベルで平坦な積層領域(層数2)を有しており、膜厚は15nmであることが確認できた。したがって、比較例2で製造した呈色膜を、角度を変えて目視にて観察したが、構造色の発現を確認できなかった。
1、1A〜1C 呈色膜被覆基材
2、2A〜2C 呈色膜
3 基材
4 下地層
4a 金属反射面
5、5A、5B 金属ナノ粒子の積層領域
5A 表面
5a1 単粒子層(最下層)
5a2 単粒子層(第2層)
5a3 単粒子層(第3層)
5a4 単粒子層(第4層)
6 金属ナノ粒子
5C (単粒子層の)領域
8 局在プラズモン
10 噴霧装置
11 スプレーガン
12 ホース
13 分散液供給装置
14 分散液
L1、L2 光
R2〜R4 積層部
A 金属核層
B 空間

Claims (11)

  1. 金属反射面上に、金属ナノ粒子の規則的な配列からなる単粒子層を複数積層してなる、金属ナノ粒子の積層領域が存在し、該積層領域は、金属ナノ粒子層の積層数が一様でない、複数の積層部を含む呈色膜。
  2. 前記金属ナノ粒子層の最大積層数が、2〜20層である請求項1に記載の呈色膜。
  3. 前記金属ナノ粒子層の最小積層数が、1層又は2層である請求項1又は2に記載の呈色膜。
  4. 前記複数の積層部が、平面視して交互に若しくは分散点在してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の呈色膜。
  5. 前記金属ナノ粒子層の積層数の差が、20層以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の呈色膜。
  6. 前記金属ナノ粒子が、その表面に絶縁体の被覆膜を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の呈色膜。
  7. 前記金属ナノ粒子の粒径が、1〜50nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の呈色膜。
  8. 前記金属ナノ粒子層が、前記金属ナノ粒子の本来の色と異なる色を呈している請求項1〜7のいずれか1項に記載の呈色膜。
  9. 基材と、前記基材上に請求項1〜8のいずれか1項に記載の呈色膜とを備えた呈色膜被覆基材。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の呈色膜を製造する方法であって、金属反射面上に金属ナノ粒子を含む分散液を噴霧する呈色膜の製造方法。
  11. 前記分散液中の金属ナノ粒子濃度が20質量%以下であり、分散液を平均液滴径が5〜50μmの液滴として前記金属反射面上に噴霧する請求項10に記載の呈色膜の製造方法。
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