JP6610858B2 - 試料作製装置および試料作製方法 - Google Patents

試料作製装置および試料作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、分子数測定済みの試料を作製するための試料作製装置および試料作製方法に関する。
GMO検出を含む食品検査をはじめ、医療における診断においても遺伝子検査が広く利用されるようになってきている。食品検査でGMOの検出を実施し、さらにはウィルスなどの検出を行うためには、特定の塩基配列を持つDNAを選択的に検出することが遺伝子検査の基本的な技術であり、PCR法のようなDNAの増幅反応を応用した検出系が一般的に用いられている。
DNAの検出系が、遺伝子検査に用いることが妥当であるかどうかを判断するために必要な、最も基本的な情報が、その検出系を用いでどこまで少量のDNAを検出できるのか、すなわち検出限界である。PCRでは、一般的には、わずか1分子のDNAから検出可能であると考えられているが、これまで、既存のPCR装置において何分子のDNAが検出可能であるのか、その性能が検証されることは一般的ではなかった。なぜならば、そのような性能評価のためには、分子数をあらかじめ計測し、含まれる分子の個数がわかっている標準サンプルが必要だからである。
現在、PCR分析において性能評価等に用いられている標準DNAは、吸光度法等の様々な核酸定量手法に基づき、直接DNAの濃度を定量するか、あるいは試験室間共同定量試験によって認証値が規定されてきた。
Kuribara , H., Shindo, Y., Matsuoka, T., Takubo, K., Futo, S., Aoki, N., Hirao, T., Akiyama, H., Goda, Y., Toyoda, M., Hino, A. Novel reference molecules for quantification of genetically modified maize and soybean. J. AOAC Int., 85, 1077-1089 (2002). National Institute of Standards and Technology (NIST). Standard Reference Materials (SRM) Home. http://www.nist.gov/srm/ Kline, M.C., Duewer, D.L., Travis, J.C., Smith, M.V., Redman, J.W., Vallone, P.M., Decker, A.E., Butler, J.M. Production and certification of NIST Standard Reference Material 2372 Human DNA Quantitation Standard. Anal. Bioanal. Chem. 394, 1183-1192 (2009). Baume, M., Garrelly, L., Facon, J.P., Bouton, S., Fraisse, P.O., Yardin, C., Reyrolle, M., Jarraud, S. The characterization and certification of a quantitative reference material for Legionella detection and quantification by qPCR. J. Appl. Microbiol. 114, 1725-1733 (2013). European Commission. Joint Research Centre. Institute for Reference Materials and measurements (IRMM). ERM application notes. http://irmm.jrc.ec.europa.eu/reference_materials_catalogue/user_support/Pages/index.aspx
しかしながら、従来の手法では、標準物質としてDNAの分子数に値付けを行うためには、少なくとも定量が可能な一定濃度以上のDNA溶液である必要があり、数分子という極低濃度のDNA溶液を標準物質として値付けし、安定的に供給することはできなかった。また、限界希釈法により、1分子の標準物質を作製できることは知られているが、限界希釈法では、ほとんどのサンプルにはDNAが含まれず、わずかに確率的に1分子のDNAが含まれる溶液ができるような条件で希釈し後から1分子のDNAを含む溶液を選択するため、ほとんどの製品にDNAが含まれないことが自明であり、量産には向かなかった。さらに、1分子以外の分子数を得ようとすれば、1分子のサンプルを複数混合する必要があり、多大な工数を必要とするという問題があった。
このような背景から、その後の試料の量産のための自動化等の施策に適した原理に基づく分子数の計測方法を利用した、分子数測定済み試料作製装置及び分子数測定済み試料の作製方法の開発が切望されていた。
試料の量産のための自動化等の施策に適した原理に基づく分子数の計測方法を利用した、分子数測定済み試料作製装置及び分子数測定済み試料の作製方法の開発においては、従来用いられていたような吸光度法等の様々な核酸定量手法に基づくDNAの濃度定量方法、試験室間共同定量試験による認証値の規定は、分子数が少なすぎるため利用することはできない。また、限界希釈法は、手法の原理の問題による歩留まりの向上は望めず、量産には適していないという問題点があり、これら少ない分子数の計測方法および、数分子レベルの極低濃度の核酸溶液を作ることができ、なおかつ量産化に適した核酸試料の作製原理の開発が課題となっていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、従来の定量方法や限界希釈法では達成できなかった分子数測定済み試料の量産化に適した、分子数測定済み試料作製装置、および、その装置を用いた分子数測定済み試料の作製方法を提供することを目的とする。
本発明の試料作製装置は、分子数測定済みの試料を作製するための試料作製装置であって、試料作製装置は、絶縁体でコートされ、貫通孔が設けられた導電性基板と、導電性基板を挟むように配置された電極対と、電極対に接続され、試料が貫通孔を通過するときのイオン電流値の変化を測定する電流検出装置と、を備え、イオン電流値の変化を測定することにより、貫通孔を通過した試料の分子数が測定される。
また、本発明の試料作製装置は、貫通孔を通過した試料を分取する分取装置を備えてもよい。
また、本発明の試料作製装置では、貫通孔の直径は、3nm〜100nmに設定されてもよい。
また、本発明の試料作製装置では、試料は、核酸分子であり、核酸分子には、DNAまたはRNAが含まれてもよい。
本発明の試料作製方法は、試料作製装置を用いて分子数測定済みの試料を作製する試料作製方法であって、試料作製装置は、絶縁体でコートされ、貫通孔が設けられた導電性基板と、導電性基板を挟むように配置された電極対と、電極対に接続され、試料が貫通孔を通過するときのイオン電流値の変化を測定する電流検出装置と、を備え、方法は、試料が貫通孔を通過するときのイオン電流値の変化を測定し、イオン電流値の変化を測定することにより、貫通孔を通過した試料の分子数を測定する。
また、本発明の試料作製方法では、貫通孔を通過した試料を分取してもよい。
また、本発明の試料作製方法では、貫通孔の直径は、3nm〜100nmに設定されてもよい。
また、本発明の試料作製方法では、試料は、核酸分子であり、核酸分子には、DNAまたはRNAが含まれてもよい。
本発明によれば、イオン電流値の変化を測定することにより、貫通孔を通過した試料の分子数を直接的に測定する。従来のように間接的にDNAの濃度を定量するのではなく、直接的に分子数を測定する手法を用いているため、これまでは不可能であった、ごく微量の試料(例えばDNA)を含む標準物質の安定供給が可能になる。
本発明の実施の形態における試料作製装置の構成を示す説明図 GM標準DNAの配列を示す図 本発明の実施例におけるイオン電流値の測定結果を示す図 本発明の実施例におけるリアルタイムPCR増幅曲線を示す図 本発明の実施の形態におけるリアルタイムPCRによる概算定量を示す図 本発明の実施例におけるPCR結果を示す図
以下、本発明の実施の形態の試料作製装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、試料(DNAやRNA等の核酸)の検出による食品検査や遺伝子検査(医療分野の診断等に利用される遺伝子検査)等に用いられる試料作製装置の場合を例示する。
本発明の実施の形態の試料作製装置の構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の試料作製装置の構成を示す説明図である。図1に示すように、試料作製装置1は、導電性基板2と電極対3と電流検出装置4と分取装置5を備えている。導電性基板2は、例えばシリコン基板であり、表面(上下両面)を絶縁体6(例えば窒化シリコン)でコートされている。また、導電性基板2の中央部には、貫通孔7が設けられている。貫通孔7の直径は、3nm〜100nmに設定されている。この貫通孔7は、ナノポアとも呼ばれる。電極対3は、導電性基板2を挟むように上下に配置されている。電極対3には、電源装置8が接続されており、電極対3に電圧を印加すると、供給した試料9が電気泳動により貫通孔7を通過する。なお、供給した試料9は、圧力により貫通孔7を通過するようにしてもよく、電気泳動と圧力を併用してもよい。貫通孔を通過した試料は、分取装置5に分取される。電極対3には、電流検出装置4が接続されている。電流検出装置4は、試料が貫通孔7を通過するときのイオン電流値の変化を測定する。試料作製装置1は、イオン電流値の測定結果を表示する表示装置10(ディスプレイ)を備えてもよい。また、試料作製装置1は、イオン電流値の測定結果に応じて電極対3に印加する電圧をコントロールする制御装置11を備えてもよい。電極対3に印加する電圧のコントロールは、作業者が手動で行ってもよい。
上述のように、本実施の形態では、分子数の測定に、ゲーティングナノポアデバイスを用いる。ゲーティングナノポアデバイスは、窒化シリコン基板に直径数〜数十nmの貫通孔7(ナノポア)を形成し、一分子摘出および一分子識別を可能とする技術である。次々世代型高速シークエンサーをはじめ様々な分野への応用が期待されている。ナノポアデバイスは、上下にイオン電流計測用及び電気泳動用の電極対3が設置され、試料分子9が電気泳動によってナノポアを通過する際にイオン電流値が変化することを利用して検出する。イオン電流変化の回数がナノポアを通過した分子数に相当する。
本実施の形態では、このナノポアデバイスを用いて、1分子からごく少数のDNAを含む核酸溶液試料を作製した。原理的には、電極間に電圧を印可し、電気泳動によってDNAをナノポアへ引き寄せ、電流値をリアルタイムで計測し、特定の個数の電流変化が生じた時点で電圧を切ることによって、規定分子数の核酸が回収可能である。本実施の形態では、このような原理に基づき、ゲーティングナノポアデバイスを作製し、電気泳動を用いて核酸を回収し、その過程でイオン電流を計測することによって分子数を測定し、所望の個数の核酸分子が測定されたのを確認して、核酸試料を回収することにより、分子数測定済み試料作製装置を構成し、構成された装置を用いて分子数測定済み試料の作製を実現する。
本実施の形態で使用するゲーティングナノポアデバイスは、例えば、下記のように作製することができる。Si34膜で表面が被覆されたSiウェハーを、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー、ポアを作製する。このようなナノポア構造にポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製した流路を組み合わせることで、ゲーティングナノポアデバイスを作製することが可能である。
本実施の形態のゲーティングナノポアデバイスによるDNA の回収には、電気泳動を用いることができる。この電気泳動においては、例えば直径20nmのナノポア、Au電極であれば、500mV前後の電圧を印加させることによりDNAの電気泳動を実施することができる。また、このとき、公知のナノパーティクル計測器のように、圧力を単独または電気泳動と併用してもよい。
本実施の形態におけるイオン電流計測では、核酸を含む緩衝溶液を陰極側に注入し、陽極側には、核酸を含まないTE緩衝液を注入し、100MHzの条件で、定電圧化におけるイオン電流の変化を計測し、分子が通過したことによるイオン電流の変化を検出する。分子数が所望の数に達したところで電気泳動、もしくは圧力の付加を停止するが、この停止は手動でも可能であり、また、ソフトウェア等を用いて自動的に電圧を遮断することによって実現してもよい。このような方法により、ナノポアをDNAが通過したことを示すイオン電流の低下が観察された段階で電気泳動のための電圧を切りあるいは圧力の付加を停止し、ナノポアデバイスの陽極側に充填されているTE緩衝液をすべて回収することで、所望の分子数の核酸を含む緩衝液を回収することが可能である。
<実施例>
以下実施例により、詳しく本発明を説明するが、これらの実施例は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
本実施例では、分子数の測定に、厚さ50nmのSi34膜で表面が被覆された、厚さ0.5mmのSiウェハーを、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー、プラズマクリーニング、さらに、SEMを用いたポア縮小、といった微細加工を行うことで構成した、直径約20nmのナノポアを用いた。このようなナノポア構造にポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製した流路を組み合わせたものをナノポアデバイスとしてDNA回収の実施に用いた。
本実施例に用いたDNAは、我が国の遺伝子組換え(GM)検知に用いられている組換え配列および各種農作物特異的な内在性配列を中心にした配列(図2参照)を、プラスミドへ挿入して構築した。DNA試料は下記のようにして調製した。大腸菌内で複製した後にプラスミドを抽出・精製した。対象となる配列を制限酵素、EcoRIおよびSalIで切断し、電気泳動によって分離・精製した。本標準DNA(以下、GM標準DNA)は729bpからなり、DNAの5’側および3’側に、それぞれEcoRIおよびSalI処理による4塩基の5’末端突出構造を有する。GM標準DNAは、ダイズの内在性遺伝子Lectin1を標的としたLe1(118bp)、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターを標的としたp35S(101bp)、トウモロコシの内在性遺伝子Starch Synthase IIbを標的としたSSIIb(114bp)、Nopaline Synthase遺伝子のターミネーターを標的としたtNOS(151bp)、イネ内在性遺伝子Sucrose Phosphate Synthaseを標的としたSPS(92bp)、さらに、9+8+136=153bpの人工配列から構成されている。アガロースゲルからの回収はMinElute Gel Extraction Kit (QIAGEN)により行い、回収されたDNA断片をフェノール処理・エタノール沈殿によって精製したものを実験に用いた。
本実施例のゲーティングナノポアデバイスによるDNA の回収は、電気泳動を用いて行った。実際には、直径約20nmのナノポアを用い、Au電極を用いて、500mVの電圧を200秒間印加させDNAの電気泳動を行った。
本実施例では、次にTE(10mM Tris−HCl,pH8.0,1mM EDTA)緩衝溶液中に対象DNAが1010分子/μLが含まれる溶液を陰極側に注入し、陽極側には、DNAを含まない(ColE1/TE溶液を含む)TE緩衝液を注入し、100MHzの条件で、定電圧化におけるイオン電流の変化を計測した。測定には、通常のパッチクランプアンプを使用し、電流は一般的なオシロスコープを用いてモニタした。本実施例では、手動で電気泳動用の電圧を遮断したが、電圧の遮断には、電流変化を検出して電圧を遮断するためのソフトウェアを用いてもよい。ナノポアをDNAが通過したことを示すイオン電流の低下が観察された段階で電圧を切り、ナノポアデバイスの陽極側に充填されているTE緩衝液をすべて回収した。具体的には、電流計測後、ナノポアデバイスを計測機から取り外し、陽極側のPDMS孔にイエローチップを差し込み、陽極側に充填されている全溶液をピペットを用いて慎重に回収した。回収した溶液は、10倍量のキャリヤーDNA(5ng/μL ColE1)を含むTE溶液を加え、4℃で保存した。以後の説明ではこの溶液をナノポア回収DNAと呼ぶ。
ナノポア回収DNAに含まれる分子数の評価は、ABI PRISM 7900HT (Life technologies)を用いた。PCRの標的には、Le1およびp35Sを用いた。プライマープローブの配列は、以下の通り、
Le1用プライマー、Le1n02−5’5’−GCCCTCTACTCCACCCCCA−3’およびLe1n02−3’5’−GCCCATCTGCAAGCCTTTTT−3’、Le1用プローブ、Le1−Taq 5’FAM−AGCTTCGCCGCTTCCTTCAACTTCAC−TAMRA3’、
p35S用プライマー、P35S 1−5’5’−ATTGATGTGATATCTCCACTGACGT−3’およびP35S 1−3’5’−CCTCTCCAAATGAAATGAACTTCCT−3’、p35S用プローブ、P35S−Taq 5’VIC−CCCACTATCCTTCGCAAGACCCTTCCT−TAMRA3’。
Le1を標的とした解析では96ウェルプレートを用い、反応溶液は25μL、p35Sを標的とした解析では384ウェルプレートを用い、反応溶液は10μLで行った。溶液の組成は、以下の通り
定量に供するDNA溶液
ForwardおよびReverseプライマー0.5μM、
TaqManプローブ0.2μM
反応溶液の半量のUniversal Master Mix(Life technologies)
PCR反応条件は、以下の通り
50℃ 2分 →95℃ 10分 →(95℃ 30秒 →59℃ 1分) ×45 サイクル
9600emulationモード
Le1を用いた解析では、GMダイズMON89788(RRS2)定量用標準プラスミドpSCS(20,125,1500,20000,250000コピー/reaction)を用いて作成した検量線をもとに定量した。Threshold lineは、マニュアルモードに変更し、増幅曲線のLinear phase中に設定するために、非特許文献1あるいは、独立行政法人 農林水産消費安全技術センターのJAS分析試験ハンドブック「遺伝子組換え食品検査・分析マニュアル」IV 定量的PCR編の方法にしたがって決定した。
一方、p35Sは、Le1で概算定量を行った解析済みDNA溶液を回収し、10倍希釈したもののうち、2.5μLを解析に供し、デジタルPCR解析を行った(Threshold lineは0.2)。増幅があったものをPositive wellと判定した。
本実施例では、実施前に陰極側にTE緩衝液のみを充填して測定および陽極側の溶液の回収を行った(Negative Control)。続いて、本実施例では、1010分子/μLのGM標準DNAを陰極側に充填し、一定時間泳動した後、陽極側の溶液を回収する操作を行った。回収溶液は約4μLであった。回収DNAを安定化させるため、回収溶液に35μLの5ng/μL ColE1/TE用液を加え、全量40μLのナノポア回収DNA溶液とした。
イオン電流の変化を詳細に解析した結果、Negative Controlでは電流値の変化は認められなかった。一方、GM標準DNAを陰極側に充填した場合には、DNAが通過していることを示す電流値の変化を示すピークが多数検出された(図3)。詳細な解析を行った結果、ピークの数は約450と見積もられた。
これらのナノポア回収DNAから2.5μLを用いて、Le1を標的にリアルタイムPCRによって定性分析を行ったこところ、Negative ControlではDNA由来の増幅は認められず、ナノポア回収DNAから増幅が認められた(図4)。
次に、ナノポア回収DNA中のDNAの分子数を見積もるために、GMダイズMON89788定量用標準プラスミドpSCSを用いて作成した検量線による、リアルタイムPCRによる概算定量を行った(図5)。5回の繰り返し実験を行い、ナノポア回収DNA溶液40μL中0.25μL分に含まれるDNA分子の絶対定量を行った(図6)。その結果、ナノポア回収DNA0.25μL中のGM標準DNAは、平均で2.81±1.05分子/μLとなった。したがって、元のナノポア回収DNA中の全DNA分子数は、約2.81×40/0.25=450分子と見積もられ、これは、イオン電流値変化のピーク数と一致していた。このように、イオン電流の変化によって分子数を計測することが可能であり、計測した数の分子を含む試料が得られることが示され、本発明の分子数測定済み試料作製装置及び分子数測定済み試料の作製方法を実施することができた。
このような構成を使えば同様の方法により1分子から所望の数の分子数までの分子数測定済み試料を作製することができる分子数測定済み試料作製装置を構成でき、さらに分子数測定済み試料を作成するための分子数測定済み試料の作製方法が実現可能である。
本実施の形態の試料作製装置によれば、従来のように間接的にDNAの濃度を定量するのではなく、直接的にDNAの分子数をカウントする手法を用いているので、これまでは不可能であった、ごく微量のDNAを含む標準物質の安定供給が可能になると考えられる。このような、1分子標準物質が実用化されれば、市販されているPCR装置の能力評価が可能となる。また、PCR検査においては、検知下限や定量下限の絶対的評価が可能となる。
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
以上のように、本発明にかかる試料作製装置は、ごく微量の試料を含む標準物質の安定供給が可能になるという効果を有し、試料(DNAやRNA等の核酸)の検出による食品検査や遺伝子検査(医療分野の診断等に利用される遺伝子検査)等に用いられ、有用である。
1 試料作製装置
2 導電性基板(シリコン基板)
3 電極対(電気泳動電極対)
4 電流検出装置
5 分取装置
6 絶縁体(窒化シリコン)
7 貫通孔(ナノポア)
8 電源装置
9 試料(DNAやRNA等の核酸)
10 表示装置(ディスプレイ)
11 制御装置

Claims (3)

  1. 試料作製装置を用いて分子数測定済みの試料を作製する試料作製方法であって、
    前記試料作製装置は、
    絶縁体でコートされ、貫通孔が設けられた導電性基板と、
    前記導電性基板を挟むように配置された電極対と、
    前記電極対に接続され、試料が前記貫通孔を通過するときのイオン電流値の変化を測定する電流検出装置と、
    前記貫通孔を通過した試料を分取する分取装置と、
    を備え、
    前記方法は、
    前記電極間に電圧を印加することにより、電気泳動によって試料を貫通孔へ引き寄せ、
    前記試料が前記貫通孔を通過するときのイオン電流値の変化を測定し、
    前記イオン電流値の変化を測定することにより、前記貫通孔を通過した試料の分子数を測定し、
    特定の個数の前記変化が測定された時点で前記電圧を切ることにより、規定分子数の試料を分取することを特徴とする方法。
  2. 前記貫通孔の直径は、3nm〜100nmに設定される、請求項に記載の試料作製方法。
  3. 前記試料は、核酸分子であり、前記核酸分子には、DNAまたはRNAが含まれる、請求項1または請求項2に記載の試料作製方法。
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