JP6610347B2 - ヒートシールシートおよびプレススルー包装体 - Google Patents
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従来、PTPとしては、樹脂シートを成形して被収容物を収容するポケット部を複数設けた容器と、アルミ箔の片面に熱接着層を設けた蓋材とから構成されるものが汎用されている。蓋材は、ヒートシールにより容器に貼り合わされ、ポケット部の開口を封止する。PTPのポケット部に収容された被収容物は、ポケット部の膨らみを手指で押し込み、該ポケット部に対応する位置の蓋材を破断させて取り出される。
通常のPTP包装体では、容器フィルムはポリプロピレン樹脂やポリ塩化ビニル樹脂等の高い透明性を有するものが用いられているが、蓋材に関しては、錠剤を容易に押し出せるようアルミ箔が用いられる。
[1]繊維状セルロースを含む基材と、該基材の一方の面に積層した熱接着層とを備えたヒートシールシートにおいて、
該ヒートシールシートのISO5−2に準じて測定される透明度が96%以上であり、且つISO2758に準じて測定される破裂強度が、40〜250kPaであり、
前記繊維状セルロースの平均繊維幅が2nm以上100nm以下であることを特徴とするヒートシールシート。
[2]前記基材の坪量が、5.0〜25.0g/m2である[1]に記載のヒートシールシート。
[3]前記基材全固形分中の前記繊維状セルロース含有量が50%以上である[1]または[2]に記載のヒートシールシート。
[4]前記繊維状セルロースの平均繊維幅が2nm以上50nm以下である[1]〜[3]のいずれか一項に記載のヒートシールシート。
[5]前記繊維状セルロースが、リン酸基を含有する[1]〜[4]のいずれか一項に記載のヒートシールシート。
[6]前記基材が、前記基材の少なくとも前記熱接着層側の面に設けられたポリアクリルアミド樹脂を含む表面樹脂層を含む[1]〜[5]のいずれか一項に記載のヒートシールシート。
[7]前記ヒートシールシートが、プレススルー包装体用蓋材である[1]〜[6]のいずれか一項に記載のヒートシールシート。
[8]容器と蓋材とを備え、前記容器が、被収容物を収容する複数のポケット部と、該複数のポケット部の開口の周囲に設けられ、前記蓋材と貼り合わされるフランジ部とを備えるプレススルー包装体であって、前記蓋材が、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のヒートシールシートからなることを特徴とするプレススルー包装体。
本発明のヒートシールシートは、セルロースを含む基材と、該基材の一方の面に積層した熱接着層とを備えたヒートシールシートにおいて、
該セルロースの平均繊維幅が2〜100nmの微細繊維状セルロースを含み、該ヒートシールシートのISO5−2に準じて測定される透明度が96%以上であり、且つISO2758に準じて測定される破裂強度が、40〜250kPaであることを特徴とする。
図1は、本発明のヒートシールシートの一実施形態を模式的に示す断面図である。
本実施形態のヒートシールシート1は、基材3と、基材3の一方の面に積層した熱接着層5とを備える。
本発明のヒートシールシートのISO5−2に準じて測定される透明度を96%以上とするものである。透明度を96%とすることにより、プレススルー包装体用蓋材に使用した場合、錠剤表面の印刷文字が判読できるだけでなく、彫刻された文字も判読できるため、良好な錠剤視認性が得られ、錠剤の誤飲や紛失を防ぐことができる。
ヒートシールシートの透明度は98%以上がより好ましく、99%以上がさらに好ましい。
本発明で用いる基材を構成するセルロース繊維は、平均繊維幅が2〜100nmの微細繊維状セルロースを含むものである。本発明では基材がセルロース繊維を主成分としているため、誤飲した場合でもアルミニウム箔やプラスチックシートに比べて身体への悪影響が少ない。
微細繊維状セルロースとしては、特に限定するものではないが、例えばセルロース繊維をオゾン処理した後、水に分散し、得られたセルロース繊維の水系懸濁液を粉砕処理したもの、四級アンモニウム基を含有する化合物でカチオン変性されたカチオン性ミクロフィブリル化植物繊維、さらにはリグノセルロース原料を化学的処理及び解繊処理することにより得られるものが挙げられる。
微細繊維状セルロースの平均繊維幅を2nm以上とすることにより、前記基材の強度、剛性、寸法安定性を高めることができる。また、100nm以下とすることでより高い透明性を達成することができる。
(条件2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
繊維長は、前記平均繊維幅を測定する際に使用した電子顕微鏡観察画像を解析することにより求めることができる。すなわち、上記のような電子顕微鏡観察画像に対して、直線Xに交錯する繊維、直線Yに交錯する繊維の各々について少なくとも20本(すなわち、合計が少なくとも40本)の繊維長を読み取る。こうして上記のような電子顕微鏡画像を少なくとも3組以上観察し、少なくとも40本×3組(すなわち、少なくとも120本)の繊維長を読み取る。このように読み取った繊維長を平均して平均繊維長を求める。
微細繊維状セルロースを得るためのリグノセルロース原料の化学的処理の方法は、特に限定されないが、例えば、オゾン処理、酵素処理、又はセルロースと共有結合を形成し得る化合物による処理などが挙げられる。
濃度1%(W/V)のカルボキシルメチルセルロース(商品名:CMCNa High viscosity;CatNo.150561,MP Biomedicals,lnc.社製)の基質溶液(濃度100mM、pH5.0の酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液含有)を調製する。測定用酵素を予め緩衝液(前記同様)で希釈(希釈倍率は下記酵素溶液の吸光度が下記グルコース標準液から得られた検量線に入ればよい)する。90μlの前記基質溶液に前記希釈して得られた酵素溶液10μlを添加し、37℃、30分間反応させる。検量線を作成するために、イオン交換水(ブランク)、グルコース標準液(濃度0.5〜5.6mMからすくなくとも濃度が異なる標準液4点)を選択し、それぞれ100μlを用意し、37℃、30分間保温する。
CBHI活性=希釈後酵素溶液1m1の4−Methyl−umberiferon生成量(μmo1e)/30分×希釈倍率
前記化学的処理で得られたリグノセルロース原料を解繊処理して、微細繊維状セルロース懸濁液を得る。解繊処理を行う解繊処理装置としては、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーターなど、湿式粉砕する装置等を適宜使用することができるが、特にこれらに限定されない。
(基材の製造方法)
基材の製造方法は、微細セルロース繊維含有分散液を工程シート上に塗工する塗工工程と、工程シート上の微細セルロース繊維含有分散液を乾燥させてシート状の微細セルロース繊維含有基材を形成するシート状基材形成工程とを有する。
工程シートに塗工する微細セルロース繊維含有分散液は、微細セルロース繊維と分散媒と必要に応じてエマルション樹脂とを含有する液である。分散媒としては、水、有機溶剤を使用することができるが、取り扱い性やコストの点から、水のみが好ましい。有機溶剤を使用する場合でも水と併用することが好ましい。水と併用する有機溶剤としては、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、アセテート系溶剤(酢酸エチル等)等の極性溶剤が好ましい。
シート状基材形成工程における微細セルロース繊維含有分散液の乾燥方法としては、熱風または赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を適用することができ、加熱乾燥法と真空乾燥法を組み合わせてもよい。通常は、加熱乾燥法が適用される。加熱乾燥法における加熱温度は40〜120℃とすることが好ましく、60〜105℃とすることがより好ましい。加熱温度を前記下限値以上とすれば、分散媒を速やかに揮発させることができ、前記上限値以下であれば、加熱に要するコストの抑制及びセルロースの熱による変色を抑制できる。通常は、乾燥後に、得られた微細セルロース繊維含有基材を工程シートから剥離するが、工程シートがシートの場合には、微細セルロース繊維含有基材と工程シートとを積層したまま巻き取って、微細セルロース繊維含有基材の使用直前に微細セルロース繊維含有基材を工程シートから剥離してもよい。例えば、後工程において表面樹脂層や熱接着層を塗工した後、工程シートを剥離してもよい。
尚、本発明で用いられる基材には、必要に応じて、一般的な紙と同様に、サイズ剤、紙力増強剤、填料などが含まれても構わない。
ポリアクリルアミド樹脂は、(メタ)アクリルアミド単位を有する重合体である。「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの総称である。ポリアクリルアミド樹脂は、アクリルアミド単位およびメタクリルアミド単位のいずれか一方を有してもよく、両方を有してもよい。ポリアクリルアミド樹脂は、(メタ)アクリルアミド単位以外の他の単位を有していてもよい。
アニオン性ポリアクリルアミド樹脂は、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、それらの塩等のアニオン性官能基を含有し、たとえば(メタ)アクリルアミドとアニオン性官能基含有モノマー(アクリル酸等)との共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解物等が挙げられる。
ポリアクリルアミド樹脂の質量平均分子量が前記の範囲内であれば、原紙のISO2758に準じて測定される破裂強度を上昇させることなく基材表面の毛羽立ちを抑える効果がより優れる。質量平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、熱接着層5が剥離する際の基材3の表面の毛羽立ちを抑える効果が得られやすい。
ポリアクリルアミド樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリエチレンオキシド換算値である。
他の成分としては、特に限定するものではないが、たとえばデンプン、変性デンプン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩等の水溶性高分子化合物、スチレン−ブタジエン共重合体エマルション、アクリル酸エステル共重合体エマルション、ウレタン樹脂、尿素樹脂、スチレン−アクリル樹脂エマルション、エチレン−アクリル樹脂エマルション等の水性高分子化合物、離型剤、消泡剤、分散剤、濡れ剤、有色染料、有色顔料、白色顔料等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱接着層5側の面における表面樹脂層の塗布量は、ポリアクリルアミド樹脂の量に換算して、0.1〜10.0g/m2であり、0.2〜3.0g/m2がより好ましい。熱接着層5側の面におけるポリアクリルアミド樹脂の塗布量が前記範囲の下限値以上であれば、イージーピール時に紙基材3と熱接着層5とが良好に剥離し、基材3の表面の毛羽立ちや基材破壊が生じにくい。該塗布量が前記範囲の上限値以下であれば、ヒートシールシート1の破裂強度が低く抑えられ、プレススルー適性が優れる。
基材中のポリアクリルアミド樹脂の濃度(基材の厚さ方向における濃度)は均一でもよく、基材の表面から内側に向かって濃度が低下していくような濃度勾配を有していてもよい。
また、基材3の坪量の上限以下であれば、ヒートシールシート1をプレススルー包装体用蓋材として用いる場合でもヒートシールシート1の破裂強度を低く抑えることができ、プレススルー包装体のポケット部から被収容物を押し出すのに必要な力が少なく、プレススルー適性に優れる。
基材3の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
基材3の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して厚さを測定して、厚さと坪量の測定値から計算で求められる。
熱接着層5を構成する材料は、特に限定されず、各種熱接着性を発現する材料が使用でき、熱接着層5が熱接着される被着体(たとえばヒートシールシートがPTPの蓋材である場合はPTPの容器)の材質や熱接着条件に応じて適宜選択される。
熱接着性を発現する材料としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル重合体、ポリエチレン、ポリエチレン−ポリブテン混合体等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒートシール剤は、上記の材料が水に溶解または分散した水系ヒートシール剤でもよく、上記の材料が溶剤に溶解した溶剤系ヒートシール剤でもよい。
水系ヒートシール剤としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルション、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体エマルション、アクリル酸エステル重合体エマルション、ポリエチレンエマルション、ポリエチレン−ポリブテン混合体エマルション、特殊ポリプロピレンエマルション等が挙げられる。これらのなかでも、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルション、アクリル酸エステルエマルション、ポリエチレンエマルション、特殊ポリプロピレンエマルションが、安定した剥離力を発現し、且つISO2758に準じて測定した破裂強度を上昇させることなく基材表面のケバ立ちを抑える効果が高いため、好ましい。
乾燥設備については、シリンダードライヤーによる塗布面直接接触方式では、ドライヤーやカンバスが汚染する虞があるため、塗布面と接触しないエアードラーヤーや赤外線ヒーター等の乾燥設備による乾燥が好ましい。
ヒートシールシート1のISO2758に準じて測定される破裂強度は、40〜250kPaとするものである。50〜150kPaがより好ましく、60〜130kPaがさらに好ましい。
破裂強度が250kPa以下であると、ヒートシールシート1をプレススルー包装体用蓋材として用いた場合に、被収容物を取り出すためにポケット部を押し込んで蓋材を押し破るのに要する力が大きくならず、非力な人でも負担が小さい。また、力の掛け具合の調節が容易であり、力を掛けたときに被収容物を飛び出させることなく蓋材を押し破ることができる。また、取り出された被収容物への蓋材の付着、このような被収容物を服用することによる蓋材の誤飲等が生じにくい。また、蓋材を押し破るために必要な力が小さいため、蓋材を押し破る際に被収容物の変形や割れが生じにくい。特に顆粒状の薬剤を内包したカプセル剤の場合、カプセル剤の変形は押し出しに支障を来たす虞がある。
ヒートシールシート1の破裂強度は、基材3の坪量、微細セルロース繊維の配合量、必要に応じて塗布される表面樹脂層の塗布量等により調整される。
ヒートシールシート1は、たとえば、以下の工程(α1)〜(α4)を有する製造方法により製造できる。
(α1)微細繊維状セルロースを含むセルローススラリーをシート化して基材3を得る工程。
(α2)必要に応じて、基材の少なくとも一方の面に表面樹脂層用塗料を塗布し乾燥する工程。
(α3)基材3の一方の面(表面樹脂層を有する場合はその面)にヒートシール剤を塗布し乾燥することで熱接着層5を形成し、ヒートシールシート1を得る工程。
工程(α1)〜(α3)はそれぞれ前述の手順で実施できる。
ヒートシール1にあっては、特定の透明度と、特定の破裂強度を有するため、プレススルー包装体用蓋材に使用される場合、プレススルー適性と内容物の視認性に優れる。
また、微細繊維状セルロースを含有する基材は、強固な繊維間結合が得られるため、プレススルー時の破材端面からの毛羽立ちや紙片の剥離が抑制されているため、毛羽立った部分から脱落した繊維や剥離した基材片が被着体や被収容物に付着することを防止できる。また、被収容物を服用する場合に、付着した繊維や基材片を誤飲することを防止できる。
また、ヒートシール1にあっては、基材がセルロースを主体とするため、基材にアルミニウム箔を用いたものに比べて、ヒートシールの破片を誤飲したときの人体への負荷が少ない。
たとえば、ヒートシールシート1の基材3と熱接着層5との間に他の層を有してもよい。他の層としては、たとえば水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等が挙げられる。基材3と熱接着層5との間に設けられる他の層は1層でもよく2層以上でもよい。
また、基材3の熱接着層5側とは反対側の面に印刷層を有してもよい。印刷層上にさらにオーバープリント層を有してもよい。
本発明のプレススルー包装体は、容器と蓋材とを備え、前記容器が、被収容物を収容する複数のポケット部と、該複数のポケット部の開口の周囲に設けられ、前記蓋材と貼り合わされるフランジ部とを備えるものであって、 前記蓋材が、本発明のヒートシールシートからなることを特徴とする。
図2は、本発明のプレススルー包装体の一実施形態を模式的に示す断面図である。
本実施形態のプレススルー包装体10は、蓋材11と、容器13とを備える。
蓋材11は、図1に示したヒートシールシート1からなり、熱接着層5側を容器13側に向けて配置されている。
フランジ部17の蓋材11側の表面は平面状であり、蓋材11と密着する。
複数のポケット部15はそれぞれ、フランジ部17の蓋材11側とは反対側の表面から突出して形成されており、突出した部分の内側に、被収容物19を収容する凹部を有する。凹部は、フランジ部17の蓋材11側の表面に開口し、該開口が蓋材11で封止されることにより、被収容物19を収容する空間が形成されている。
蓋材11を構成するヒートシールシート1としては、前述のとおり、セルロースの平均繊維幅が2〜100nmの微細繊維状セルロースを含み、該ヒートシールシートのISO5−2に準じて測定される透明度が96%以上であり、且つISO2758に準じて測定される破裂強度が、40〜200kPaであるものが使用されるため、優れた錠剤視認性とプレススルー適性とを両立できる。
容器13の材質は、特に限定されず、公知の各種の素材が使用できる。例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル−ポリ塩化ビニリデン複合樹脂等が挙げられる。
剥離強度:引張試験機(例えば、テンシロンRTC−1250A、オリエンテック社製)を用いて、JIS P 8113:2006に準じて、幅15mmに断裁したPTP10の蓋材11、容器13それぞれの端部をチャッキングして180°ピール法で剥離速度300mm/分にて測定した剥離強度。
プレススルー包装体10は、たとえば、容器13のポケット部15に被収容物19を収容し、該容器13に、蓋材11を、ポケット部15の開口を封止するように重ねて熱接着することにより製造できる。熱圧着条件としては、特に限定されない。
被収容物19としては、特に限定されず、たとえば錠剤、坐剤、カプセル剤等の薬剤、菓子(飴、チョコレート等)等の食品、化粧品等が挙げられる。
従来、蓋材の基材がアルミ箔を主体とする場合、優れたプレススルー適性と内封物視認性を両立することは難しかった。
プレススルー包装体10にあっては、蓋材11がヒートシール1からなるため、優れたプレススルー適性と内封物視認性とを両立できる。たとえば充分に少ない力でポケット部15を押し込んで蓋材11を破断させ、被収容物19を取り出すことができる。
また、蓋材がセルロースを主体とするため、従来のアルミ箔を用いたものに比べて、蓋材を誤飲したときの人体への負荷が少ない。また、ヒートシール剤により密封されることにより埃等の異物混入を防ぐことができる。
したがって、プレススルー包装体10は、実用上極めて有用なものである。
たとえば、蓋材11を構成するヒートシールシートは、本発明のヒートシールシートであればよく、ヒートシールシート1に限定されない。
また、容器13の少なくとも片面に印刷層を有してもよい。印刷層上にさらにオーバープリント層を有してもよい。
[微細繊維状セルロース懸濁液Aの調製]
[微細繊維状セルロース含有基材の製造]
上記で得られた微細セルロース懸濁液Aの固形分濃度が0.4質量%となるように水で希釈したのち、ダイヘッドより工程シート上に押出し、80℃で熱風乾燥した。工程シートとして、ポリエチレンテレフタレートのフィルムを用いた。乾燥後、得られた微細繊維状セルロース含有基材を工程シートから剥離し、坪量を測定したところ、12.2g/m2であった。
上記で得られた基材の片面に、バーコーターを用いて、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルション系ヒートシール剤(商品名:EA−H700、東洋インキ社製)を、乾燥後の塗布量が3.0g/m2となるように塗布および乾燥して熱接着層を形成し、坪量15.2g/m2のヒートシールシートを得た。
以下の容器を用意し、上記で得られたヒートシールシートを蓋材として用いて以下の手順でPTPを製造した。
容器:直径10mm、深さ4mmのポケット部が12個(6個×2列)設けられた、厚さ250μmのポリ塩化ビニル樹脂フィルム製のPTP用容器。
上記容器のポケット部に薬剤(高血圧治療剤、商品名:ミカルディス錠40mg、日本ベーリンガーインゲルハイム社製、錠剤の直径約8.0mm、厚さ約2.8mm)を充填し、蓋材を、熱接着層側の面が容器と接するように重ね、上記ポケット部に対応する孔を有する金型を装着させた熱プレス試験機を用いて、150℃、3.0kgf/cm2、1.1秒間の熱圧着条件で熱圧着して、上記薬剤が封緘されたPTPを製造した。
実施例1の微細繊維状セルロース含有基材の製造において、微細セルロース懸濁液Aの固形分濃度が0.65質量%とした以外は実施例1と同様にして微細繊維状セルロース含有基材、ヒートシールシートおよびPTPを順次製造した。なお、得られた微細繊維状セルロース含有基材の坪量は、15.0g/m2、ヒートシールシートの坪量は18.0g/m2であった。
実施例1の微細繊維状セルロース含有基材の製造において、微細セルロース懸濁液Aの固形分濃度が1.0質量%とした以外は実施例1と同様にして微細繊維状セルロース含有基材、ヒートシールシートおよびPTPを順次製造した。なお、得られた微細繊維状セルロース含有基材の坪量は、20.4g/m2、ヒートシールシートの坪量は23.4g/m2であった。
実施例2のヒートシールシートの製造において、実施例2の微細繊維状セルロース含有基材の製造と同様にして得られた坪量15.0g/m2の基材の片面にバーコーターにて、下記の下塗り剤(A)を、乾燥後の塗布量が1.1g/m2となるように塗布および乾燥した。
下塗り剤(A):アニオン性ポリアクリルアミド樹脂(質量平均分子量20万)の水溶液(荒川化学工業社製のポリマセット(登録商標)512を水で希釈してアニオン性ポリアクリルアミド樹脂濃度10質量%に調整したもの)。
[紙基材の製造]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をDDRにて、変則フリーネス(パルプ採取量0.3g/L)が460mLになるように叩解し、パルプスラリーを得た。該パルプスラリーに内添薬品として、パルプ質量に対し、絶乾で硫酸バンド1%、濾水性向上剤(商品名:ソフトール(登録商標)3503、油化産業社製)0.07%を添加し、抄紙原料を得た。該抄紙原料を長網抄紙機で抄紙して原紙を得た。
[ヒートシールシートの製造]
上記で得られた紙基材の片面に、バーコーターを用いて、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルション系ヒートシール剤(商品名:EA−H700、東洋インキ社製)を、乾燥後の塗布量が3.0g/m2となるように塗布および乾燥して熱接着層を形成し、坪量30.0g/m2のヒートシールシートを得た。次に実施例1と同様にしてPTPを製造した。
[微細繊維状セルロース懸濁液Bの調製]
リン酸二水素ナトリウム二水和物265g、及びリン酸水素二ナトリウム197gを538gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。針葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙社製、水分50質量%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)を含水率80質量%になるようイオン交換水で希釈し、パルプスラリーを得た。このパルプスラリー500gに前記リン酸化試薬210gを加え、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社 DKM400)で時折混練しながら質量が恒量となるまで乾燥させた。ついで150℃の送風乾燥機で時折混練しながら1時間加熱処理して、セルロースにリン酸基を導入した。
上記で得られた微細セルロース懸濁液B(固形分濃度2.1質量%)を、ダイヘッドより工程シート上に押出し、80℃で熱風乾燥した。工程シートとして、ポリエチレンテレフタレートのフィルムを用いた。乾燥後、得られた微細繊維状セルロース含有基材を工程シートから剥離し、坪量を測定したところ、32.5g/m2であった。
上記で得られた基材の片面に、バーコーターを用いて、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルション系ヒートシール剤(商品名:EA−H700、東洋インキ社製)を、乾燥後の塗布量が3.0g/m2となるように塗布および乾燥して熱接着層を形成し、坪量35.5g/m2のヒートシールシートを得た。次に実施例1と同様にしてPTPを製造した。
実施例1〜4、比較例1、2それぞれで得たヒートシールシート(蓋材)およびPTPについて以下の評価を行い、結果を表1に示した。
[透明度の測定]
各例のヒートシールシートの透明度をISO5−2に準じて、拡散光透過率計DOT−5(村上色彩技術研究所社製)で測定を行った。
各例のヒートシールシートの破裂強度(kPa)を、破裂試験機(型式:MD200、熊谷理機工業社製)を用いて、ISO2758に準じて測定した。
各例のヒートシールシートと、あらかじめ直径10mmの孔を開けた容器用ポリ塩化ビニル樹脂フィルム(ポケットは未成形)とを、ヒートシールシートの熱接着層側の面がポリ塩化ビニル樹脂フィルムと接するように重ねて、熱プレス試験機を用いて、150℃、3.0kgf/cm2、1.1秒間の熱圧着条件で熱圧着物を作成した。
次に、上記樹脂板の上に、樹脂板の孔の中心に上記熱圧着物のポリ塩化ビニル樹脂フィルムに開けられた孔の中心が来るように、またポリ塩化ビニル樹脂フィルムが上になるようにセットした。
得られたPTPについて実際に、以下の基準でプレススルー性を官能評価した。
(プレススルー適性)
○:問題なく薬剤が押し出せた。
△:薬剤を押し出すのにやや大きな力を要した。
×:蓋材が強すぎて薬剤が押し出せなかった。または、薬剤を押し出す前に蓋材が剥がれてしまった。
薬剤(高血圧治療剤、商品名:ミカルディス錠40mg、日本ベーリンガーインゲルハイム社製、錠剤の直径約8.0mm、厚さ約2.8mm)の上に得られたヒートシールシートを重ねて、錠剤の形状、表面の彫刻印字の視認性を確認した。
(錠剤視認性)
○:彫刻印字が問題なく判読できた。
×:彫刻印字が判読できなかった。
3 基材
5 熱接着層
10 PTP(プレススルー包装体)
11 蓋材
13 容器
15 ポケット部
17 フランジ部
19 被収容物
Claims (8)
- 繊維状セルロースを含む基材と、該基材の一方の面に積層した熱接着層とを備えたヒートシールシートにおいて、
該ヒートシールシートのISO5−2に準じて測定される透明度が96%以上であり、且つISO2758に準じて測定される破裂強度が、40〜250kPaであり、
前記繊維状セルロースの平均繊維幅が2nm以上100nm以下であり、
前記繊維状セルロースがリグノセルロース原料を化学的処理及び解繊処理することによって得られる微細繊維状セルロースであり、
前記基材全固形分中の前記繊維状セルロース含有量が50%以上であり、
前記基材の坪量が、5.0〜25.0g/m 2 であり、
熱接着層の坪量が0.1〜30g/m 2 である
ことを特徴とするヒートシールシート。 - 前記繊維状セルロースにリン酸基を導入されてなる請求項1に記載のヒートシールシート。
- 前記繊維状セルロース中に導入されるリン酸基の割合は、前記ヒートシールシート1gに対して0.01mmol以上4.00mmol以下である請求項2に記載のヒートシールシート。
- 前記繊維状セルロースの平均繊維幅が2nm以上50nm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒートシールシート。
- 前記基材の坪量が、10.0〜20.0g/m 2 である請求項1〜4のいずれか一項に記載のヒートシールシート。
- 前記基材が、前記基材の少なくとも前記熱接着層側の面に設けられたポリアクリルアミド樹脂を含む表面樹脂層を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のヒートシールシート。
- 前記ヒートシールシートが、プレススルー包装体用蓋材である請求項1〜6のいずれか一項に記載のヒートシールシート。
- 容器と蓋材とを備え、前記容器が、被収容物を収容する複数のポケット部と、該複数のポケット部の開口の周囲に設けられ、前記蓋材と貼り合わされるフランジ部とを備えるプレススルー包装体であって、前記蓋材が、請求項1〜7のいずれか一項に記載のヒートシールシートからなることを特徴とするプレススルー包装体。
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