JP6607737B2 - 磁気素子、スキルミオンメモリ及び演算処理装置 - Google Patents

磁気素子、スキルミオンメモリ及び演算処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気素子、スキルミオンメモリ及び演算処理装置に関する。
熱エネルギーを印加することによりデータを記録する装置の例として、DVD+RWがある。画像記録装置に用いるDVD+RWの記憶容量は、ブルーレーザの登場により、数十GB容量と飛躍的に増加した。このDVD+RWは書き換えが可能である相変化型メモリを用いる(特許文献1)。
相変化型メモリの場合、情報を書き込むときは局所熱によりGeTeなどの材料の一部を結晶相からアモルファス相に相変化させる。結晶相の低抵抗状態とアモルファス相の高抵抗状態との抵抗変化をビット情報として利用する(特許文献1)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2006−221712号公報
しかしながら、従来の相変化型メモリでは、結晶相からアモルファス相への転移時間に限界があり、転移時間以上に高速化できない。また、アモルファス相から結晶相への転移時間の短縮化には、アモルファス相の部分を従来よりもさらに細くする等の技術開発課題がある。
本発明の第1の態様においては、安定状態において、螺旋型の磁気構造を有する磁性体と、螺旋型の磁気構造を有する磁性体にエネルギーを供給することにより、磁性体にスキルミオンを発生させるスキルミオン制御部とを備える磁気素子を提供する。
本発明の第2の態様においては、第1の態様に係る磁気素子を備えるスキルミオンメモリを提供する。
本発明の第3の態様においては、第2の態様に係るスキルミオンメモリを備える演算処理装置を提供する。
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
磁性体10に生成されたスキルミオン40の一例を示す模式図である ヘリシテイγが異なるスキルミオンを示す図である。 安定状態における磁性体10の磁気相図の一例を示す。 準安定状態を含む磁性体10の磁気相図の一例を示す。 電流加熱による準安定スキルミオン状態の設定とリセットの説明図である。 光吸収加熱方式の磁気素子100の構成の一例を示す。 ジュール加熱方式の磁気素子100の構成の一例を示す。 温度23Kにおける、スキルミオン40に応じた抵抗率の変化を示す。 温度20Kにおける、スキルミオン40に応じた抵抗率の変化を示す。 温度10Kにおける、スキルミオン40に応じた抵抗率の変化を示す。 温度5Kにおける、スキルミオン40に応じた抵抗率の変化を示す。 急冷スキルミオン相の消滅に関する緩和時間τを示す。 急冷スキルミオン相の緩和時間τの温度依存性を示す。 試料ホルダの温度5Kでの抵抗率分布を示す。 試料ホルダの温度10Kでの抵抗率分布を示す。 試料ホルダの温度23Kでの抵抗率分布を示す。 スキルミオン相の設定工程及びリセット工程を示す。 スキルミオン相の設定工程及びリセット工程のスイッチング動作を示す。 演算処理装置300の構成例を示す。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、磁性体10に生成されたスキルミオン40の一例を示す模式図である。図1において、各矢印は、スキルミオン40における磁気モーメントの向きを示す。x軸及びy軸は互いに直交する軸であり、z軸はxy平面に直交する軸である。
磁性体10は、xy平面に平行な平面を有する。磁性体10中に配置したあらゆる向きを向く磁気モーメントは、スキルミオン40を構成する。本例では、磁性体10に印加する磁場の向きはプラスz方向である。この場合に、本例のスキルミオン40の最外周の磁気モーメントは、プラスz方向に向く。
スキルミオン40において、磁気モーメントを最外周から内側へ向けて渦巻状に回転していくように配置する。さらに磁気モーメントの向きは、当該渦巻き状の回転に伴い渦の中心に向かって徐々にプラスz方向からマイナスz方向へ向きを変える。
スキルミオン40は中心から最外周の間において、磁気モーメントの向きが連続的にねじれる。つまり、スキルミオン40は、磁気モーメントの渦巻き構造を有するナノスケール磁気構造体である。スキルミオン40が存在する磁性体10が薄い板状固体材料の場合、スキルミオン40を構成する磁気モーメントをその厚さ方向は同じ向きの磁気モーメントで構成している。すなわち板の深さ方向(z方向)には表面から裏面まで同じ向きの磁気モーメントからなる。本例において最外周とは、図1に示した外部磁場と同一の方向を向く磁気モーメントの円周を指す。
スキルミオン数Nskは、渦巻構造を有するナノスケール磁気構造体であるスキルミオン40を特徴づける。以下の[数1]及び[数2]は、スキルミオン数Nskを表現する。[数2]において、磁気モーメントとz軸との間の極角Θ(r)は、スキルミオン40の中心からの距離rの連続関数である。極角Θ(r)は、rを0から∞まで変化させたとき、πからゼロまで又はゼロからπまで変化する。
ベクトル量n(r)は、位置rにおけるスキルミオン40の磁気モーメントの向きを表す。
[数2]において、mはボルテシテイ、γはヘリシテイである。[数1]及び[数2]から、Θ(r)がrをから∞まで変化させ、πからゼロまで変化するときNsk=−mとなる。
図2は、ヘリシテイγが異なるスキルミオン40を示す模式図である。特に、スキルミオン数Nsk=−1の場合の一例を図2に示す。
図2(E)は、磁気モーメントnの座標のとりかた(右手系)を示す。なお、右手系であるので、n軸及びn軸に対してn軸は、紙面の裏から手前の向きに取る。また、濃淡と磁気モーメントの向きとの関係を、図2(E)に示す。
図2(A)から図2(D)において、濃淡は磁気モーメントの向きを示す。図2(A)から図2(D)における各矢印は、スキルミオン40の中心から所定の距離だけ離れた磁気モーメントを示す。図2(A)から図2(D)に示す磁気構造体は、スキルミオン40を定義する状態にある。図2(A)から図2(D)の最外周のように、濃淡が最も淡い領域は、紙面の裏面から手前方向の磁気モーメントを示している。なお、図では当該磁気モーメントを白色で表す。図2(A)から図2(D)の中心のように、濃淡が最も濃い領域は、紙面の手前から裏面方向の磁気モーメントを示している。なお、図では当該磁気モーメントを黒色で表す。
図2(A)(γ=0)の各磁気モーメントに対して、図2(B)(γ=π)の各磁気モーメントの向きは、図2(A)の各磁気モーメントを180°回転した向きである。図2(A)(γ=0)の各磁気モーメントに対して、図2(C)(γ=−π/2)の各磁気モーメントの向きは、図2(A)の各磁気モーメントを−90度(右回りに90度)回転した向きである。
図2(A)(γ=0)の各磁気モーメントに対して、図2(D)(γ=π/2)の各磁気モーメントの向きは、図2(A)の各磁気モーメントを90度(左回りに90度)回転した向きである。なお、図2(D)に示すヘリシテイγ=π/2のスキルミオン40が、図1のスキルミオン40に相当する。
図2(A)〜(D)に図示した4例の磁気構造は異なるように見えるが、トポロジー的には同一の磁気構造体である。図2(A)〜(D)の構造を有するスキルミオン40は、一度生成すると安定して存在し、外部磁場を印加した磁性体10中で情報伝達を担うキャリアとして働く。
図3は、安定状態における磁性体10の磁気相図の一例を示す。横軸は、磁性体10の温度(K)を示し、縦軸は、磁性体10に外部から印加する磁場(T)を示す。本明細書において、安定状態とは、予め定められた温度と磁場が与えられた場合において、磁性体10の磁気構造が安定している状態を指す。安定状態における磁性体10の磁気構造は、磁性体10の温度及び印加する磁場に応じて強磁性相、コニカル相、ヘリカル相、平衡スキルミオン相に大きく分けられる。また、本明細書において、コニカル相及びヘリカル相の磁気構造をまとめて螺旋型の磁気構造と称する。安定状態において、磁性体10がどのような磁気構造を取るかは、主に磁性体10の材料によって決まる。
平衡スキルミオン相は、磁性体10にスキルミオン40が安定的に生じる相である。平衡スキルミオン相は、磁気相図において、強磁性相、コニカル相及びヘリカル相の境界付近に位置する。また、平衡スキルミオン相は、磁気相図において、コニカル相及びヘリカル相よりも高温側に位置する。平衡スキルミオン相は、他の相と比較して磁気相図における範囲が狭い。そのため、平衡スキルミオン相においてスキルミオン40を生成するには、磁性体10の温度及び印加する磁場に関し、多くの制約が伴う。また、平衡スキルミオン相において、スキルミオン40の生成及び消去を制御することは困難である。
図4は、準安定状態を含む磁性体10の磁気相図の一例を示す。本明細書において、準安定状態とは、真の安定状態ではないが、大きなエネルギーが供給されない限り安定的に存在できる状態を指す。
準安定状態は、磁性体10を安定状態から非安定状態に状態を一度変化させることにより設定する。例えば、準安定状態は、磁性体10に熱エネルギーを供給した後、所定の冷却速度以上で磁性体10を急冷することにより生じる。このように、非安定状態に設定された磁性体10を急冷することにより準安定状態として急冷スキルミオン相が生じる。本明細書において急冷とは、例えば、20K/s以上の冷却速度で磁性体10を冷却することを指す。なお、磁性体10へのエネルギーの供給は、熱エネルギーに限られず、光エネルギー、磁気エネルギー等の他のエネルギーであってよい。
急冷スキルミオン相は、磁性体10を急冷することにより生じる、準安定状態のスキルミオン相である。急冷スキルミオン相は、磁性体10の温度、磁性体10に印加する磁場の大きさ、冷却速度等の所定の条件を満たすことにより生じる。即ち、急冷スキルミオン相の磁気相図における範囲は、これらの条件に応じて変化する。本例の急冷スキルミオン相は、磁性体10の加熱、冷却時に磁性体10に印加する磁場を一定とし、磁性体10に熱エネルギーを供給した場合に生じる。一方、磁性体10の加熱、冷却時に磁性体10に印加する磁場を変更してもよいが、この場合、急冷スキルミオン相の領域が本例の急冷スキルミオン相と異なる領域になり得る。
急冷時の冷却速度は、安定状態における磁性体10の温度(即ち、加熱前の磁性体10の温度)、磁性体10の加熱温度(即ち、加熱後の磁性体10の温度)及び磁性体10の材料の物性等に応じて決まる。本例の磁気相図は、磁性体10の加熱を終了することにより急冷を開始する場合の磁気相図である。この場合、磁性体10の加熱量が大きいほど、安定状態における磁性体10との温度差が大きくなるので、冷却速度が大きくなる。
図5は、電流加熱による準安定スキルミオン状態の設定とリセットを説明するための図である。図5は、磁性体10の温度を制御することにより、スキルミオン相とコニカル相との間で自由に相転移を制御できることを示す。本例のポテンシャル図は、ボールが右側の安定領域にある場合にスキルミオン相となり、ボールが左側の安定領域にある場合にコニカル相となることを示す。
領域Aは、磁性体10が熱力学的にスキルミオン相を安定に形成する温度範囲を示す。領域Aの範囲は、磁性体10の材料及び磁性体10に印加する磁場の大きさによって変化する。本例の領域Aは、温度27K以上29K以下の範囲である。即ち、領域Aは、磁気相図において、平衡スキルミオン相付近の温度である。
領域Bは、磁性体10が熱力学的にコニカル相を比較的安定に形成する温度範囲を示す。領域Bの範囲は、磁性体10の材料及び磁性体10に印加する磁場の大きさによって変化する。本例の領域Bは、温度27Kより低い範囲である。領域Bの高温側では、領域Bの低温側よりもコニカル相で安定化しやすい。つまり、領域Bの高温側に所定の期間保持することにより、スキルミオン相からコニカル相に相転移する。
スキルミオン40を生成する場合、磁性体10の磁気相図において、領域Aよりも高温側に磁性体10を加熱する。その後、磁性体10を領域Bに急冷することにより、磁性体10をスキルミオン相に設定できる。即ち、磁性体10を急冷することにより、領域Bの高温側での保持期間が短くなるので、コニカル相に相転移することなくスキルミオン相を保持できる。よって、所定の急冷条件を満たせば高い確率でスキルミオン40を生成できる。磁性体10の磁気相図において、平衡スキルミオン相よりも高温側に磁性体10を加熱し、その後、平衡スキルミオン相よりも低温側に磁性体10を急冷することが重要である。
一方、徐冷の場合、領域Bの高温側での保持期間が長くなるので、徐冷時にスキルミオン相からコニカル相に相転移してしまう。そのため、徐冷時にはスキルミオン相が安定化されず、スキルミオン40を生成することができない。
スキルミオン40を消去する場合、磁性体10を加熱することにより、領域Bの高温側で磁性体10を保持する。領域Bの高温側では、特に、コニカル相が安定となるので、一定期間、領域Bの高温側で磁性体10を保持することにより磁性体10をコニカル相に設定できる。これにより、磁性体10は、スキルミオン相からコニカル相に相転移する。なお、領域Bの高温側で磁性体10を保持する期間を長くすることにより、磁性体10がコニカル相に相転移する確率が高くなる。
なお、本明細書において、特に実験条件を指定していない場合、スキルミオン40の生成及び消去には、磁性体10に印加する磁場を一定とし、磁性体10の温度のみを変化させている。また、磁性体10の急冷は、磁性体10への熱エネルギーの供給を停止することにより実現されている。
図6は、光吸収加熱方式の磁気素子100の構成の一例を示す。磁気素子100は、磁性体10、磁場発生部20及びスキルミオン制御部30を備える。本例のスキルミオン制御部30は、レーザ光源31を有する。
磁性体10は、安定状態において、螺旋型の磁気構造を有する。磁性体10は、エネルギーの供給によりスキルミオン40を生成及び消去する。磁性体10は、薄層状に形成される。例えば、磁性体10は、MBE(Molecular Beam Epitaxy)又はスパッター等の技術を用いて、500nm以下の厚さに形成される。本例の磁性体10は、FeGeやMnSi等で形成している。磁性体10は、第1面12及び第2面14を有する。第1面12及び第2面14は、x‐y面と平行な平面である。
磁場発生部20は、予め定められた大きさの磁場を発生する。例えば、磁場発生部20は、薄膜状に形成された強磁性体である。磁場発生部20は、磁性体10の第1面12に対向して設けられる。即ち、磁場発生部20は、磁性体10よりもマイナスz方向に配置する。本例の磁場発生部20は、磁性体10の第1面12からマイナスz方向に離間して、第1面12に対して略平行に配置される。これにより、磁場発生部20は、発生させた磁場を、磁性体10の第1面12から第2面14の方向に、磁性体10と略垂直に印加する。磁場発生部20は、0T以上0.5T以下程度の磁場を発生するものであればよい。即ち、磁場発生部20の材料として、一般的な磁石材料を用いることができる。なお、磁場発生部20が強磁性体の絶縁体である場合、磁性体10と磁場発生部20とを接触させてもよい。
スキルミオン制御部30は、磁性体10にエネルギーを供給することにより、磁性体10にスキルミオン40を発生させる。例えば、スキルミオン制御部30は、エネルギーとして熱エネルギーを磁性体10に供給する。熱エネルギーの供給は、光吸収及びジュール加熱等の方法により行われる。
レーザ光源31は、磁性体10の第2面14に対してレーザ光32を照射する。レーザ光32の照射により、磁性体10の第2面14の一部が加熱される。本例のレーザ光源31は、第2面14に対して局所的な熱エネルギーを供給したが、より広範囲の領域にレーザ光32を照射してもよい。つまり、スキルミオン40の直径等に応じて最適な照射径を選択すればよい。例えば、局所的な熱エネルギーを生成するための熱エネルギーを出力する装置として、集束コイルで集束した電子線を出力する集束電子線発生装置を用いてもよい。
図7は、ジュール加熱方式の磁気素子100の構成の一例を示す。磁気素子100は、磁性体10、磁場発生部20、スキルミオン制御部30及び絶縁体50を備える。本例のスキルミオン制御部30は、スキルミオン40の書き込み、消去及び読み出しを行うことができる。即ち、本例の磁気素子100は、スキルミオンメモリ200として動作する。なお、絶縁体50は、磁場発生部20が絶縁体で形成される場合は不要である。
スキルミオン制御部30は、第1電極33、第2電極34、電源37及び電流計38を備える。スキルミオン制御部30は、レーザ光源31を用いる代わりに、磁性体10に電流を流し、スキルミオン40の生成及び消去を実現する。また、スキルミオン制御部30は、スキルミオン40の存在の有無に応じた磁性体10の抵抗値の変化を検出することにより、スキルミオン40を検出する。なお、スキルミオン40の検出は、ディスク上部にトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magneto Resistance)素子などのセンサーを配置することによっても実現できる。
第1電極33は、磁性金属35及び絶縁体36を有する。磁性金属35は、円柱状の磁性金属である。例えば、磁性金属35は、強磁性体金属であるCo、Ni、Fe、又は、これら強磁性体金属からなる積層強磁性体金属薄膜である。磁性金属35の断面形状は、生成されるスキルミオン40の直径の大きさに応じて適宜変更される。絶縁体36は、磁性体10の第2面14と磁性金属35との間に設けられる。
第2電極34は、磁性体10の第1面12と接して設けられた金属からなる。第2電極34は、強磁性金属であってもよく、非磁性金属のCu、W、Ti、Al、Pt、Au、TiN、及びAlSi等であってよい。なお、第2電極34は、スキルミオン40を生成する磁性体金属であってもよい。この場合、磁性体10と第2電極34とが同一の材料で形成されてもよい。但し、磁性体10を構成する磁性体金属の抵抗値が高い場合、より抵抗値の低い材料により、第2電極34を形成することが好ましい。本例の第2電極34の断面は、第1電極33の断面よりも大きい。但し、第2電極34の断面は、第1電極33の断面と同じサイズであってもよい。
電源37は、第1電極33と第2電極34との間にパルス的な電流を流す。電源37は、電流のオンオフを切り替えるために、FETトランジスタ等で形成された切替スイッチを有する。電源37は、パルス的に磁性体10に電流を流すことにより、磁性体10をジュール加熱する。なお、電源37はスキルミオンメモリ200の構成要素ではなく、外部に設けられてもよい。
電流計38は、磁性体10に流れる電流の電流値を測定する。磁性体10の抵抗値は、磁性体10におけるスキルミオン40の有無に応じて変化する。即ち、電流計38は、磁性体10の抵抗値に応じた電流値の変化を測定することにより、スキルミオン40の有無を読み取ることができる。なお、電流計38はスキルミオンメモリ200の構成要素ではなく、外部に設けられてもよい。
磁性体10にスキルミオン40が存在しない場合、磁性金属35の磁気モーメントは、磁性金属35が強磁性体金属からなるので、磁場発生部20からの垂直磁化(z方向)に応答してz方向となる。また、磁性体10にスキルミオン40が存在しない場合、磁性体10の磁気モーメントも同様にz方向となる。この場合、磁性金属35の磁気モーメントと磁性体10の磁気モーメントは上向きに揃う。このため、絶縁体36を流れるトンネル電流は、磁性金属35の磁気モーメントと磁性体10の磁気モーメントの向きが揃わない場合と比較して大きい電流値を示す。
一方、磁性体10にスキルミオン40が存在する場合、磁性体10にはスキルミオン40の螺旋状の磁気モーメントが存在するので、+z方向以外の多くの向きの磁気モーメントが存在する。このため、磁性体10にスキルミオン40が存在すると、トンネル電流に大きな散乱効果を与えるので、磁性体10の抵抗が大きくなる。したがって、絶縁体36に流れるトンネル電流は、スキルミオン40が存在しない場合と比較して小さくなる。
以上の通り、磁気素子100は、スキルミオン40の生成及び消去を制御するスキルミオン制御部30を備える。また、磁気素子100は、磁性体10にスキルミオン40が存在するか否かに応じた電流値を検出することができる。例えば、磁気素子100は、ビット情報"1"のときはスキルミオン40の"生成"、ビット情報"0"のときはスキルミオン40の"生成なし"とする。つまり、磁気素子100は、ビット情報に同期させてスキルミオン40を生成することにより、スキルミオンメモリ200として動作できる。
また、磁気素子100は、ビット情報を、磁性体10において等間隔のスキルミオン40の有無に変換することができる。例えば、円板形状の磁性体10を一定の速さで回転させて、磁性体10の第2面14に熱エネルギーを供給する。これにより、ビット情報を、スキルミオン40の有無として、高速で回転する磁性体10に保持できる。ここで、スキルミオン40は、磁性体10の第2面14だけではなく第1面12まで同じ渦構造をもつ磁気モーメントであるから、安定にビット情報を保持できる。
図8は、温度23Kにおける、スキルミオン40に応じた抵抗率の変化を示す。横軸は磁性体10に印加される磁場(T)を示し、縦軸はスキルミオン制御部30が検知する抵抗率−ρyx(nΩcm)を示す。本例の磁性体10は、温度23Kに保持される。なお、抵抗率−ρyx(nΩcm)は、ホール電圧の測定により得られる。
磁場0T〜0.6Tの範囲において、スキルミオン40が生成されていない場合、磁場の増加と共に抵抗率−ρyx(nΩcm)が線形的に増加する。また、磁場0.6T程度よりも大きくなると抵抗率−ρyx(nΩcm)が減少する。ここで、図面の×印において、磁性体10に電流パルスを印加した場合の抵抗率−ρyx(nΩcm)を〇印で示す。磁性体10に電流パルスが印加されると、抵抗率−ρyx(nΩcm)が増加する。即ち、電流パルスの印加によりスキルミオン40が生じたことを示す。
図9は、温度20Kにおける、スキルミオン40に応じた抵抗率の変化を示す。横軸は磁性体10に印加される磁場(T)を示し、縦軸はスキルミオン制御部30が検知する抵抗率−ρyx(nΩcm)を示す。本例の磁性体10は、温度20Kに保持される。なお、抵抗率−ρyx(nΩcm)は、ホール電圧の測定により得られる。
磁場0T〜0.7Tの範囲において、スキルミオン40が生成されていない場合、磁場の増加と共に抵抗率−ρyx(nΩcm)が線形的に増加する。また、磁場0.7T程度よりも大きくなると抵抗率−ρyx(nΩcm)が減少する。ここで、図面の×印において、磁性体10に電流パルスを印加した場合の抵抗率−ρyx(nΩcm)を〇印で示す。磁性体10に電流パルスが印加されると、抵抗率−ρyx(nΩcm)が増加する。即ち、電流パルスの印加によりスキルミオン40が生じたことを示す。
図10は、温度10Kにおける、スキルミオン40に応じた抵抗率の変化を示す。横軸は磁性体10に印加される磁場(T)を示し、縦軸はスキルミオン制御部30が検知する抵抗率−ρyx(nΩcm)を示す。本例の磁性体10は、温度10Kに保持される。なお、抵抗率−ρyx(nΩcm)は、ホール電圧の測定により得られる。
磁場0T〜1.0Tの範囲において、スキルミオン40が生成されていない場合、磁場の大きさによらずほぼ一定の抵抗率−ρyx(nΩcm)を示す。ここで、図面の×印において、磁性体10に電流パルスを印加した場合の抵抗率−ρyx(nΩcm)を〇印で示す。磁性体10に電流パルスが印加されると、抵抗率−ρyx(nΩcm)が増加する。即ち、電流パルスの印加によりスキルミオン40が生じたことを示す。
図11は、温度5Kにおける、スキルミオン40に応じた抵抗率の変化を示す。横軸は磁性体10に印加される磁場(T)を示し、縦軸はスキルミオン制御部30が検知する抵抗率−ρyx(nΩcm)を示す。本例の磁性体10は、温度5Kに保持される。なお、抵抗率−ρyx(nΩcm)は、ホール電圧の測定により得られる。
磁場0T〜1.0Tの範囲において、スキルミオン40が生成されていない場合、磁場が増加するにつれてわずかに抵抗率−ρyx(nΩcm)が減少する。ここで、図面の×印において、磁性体10に電流パルスを印加した場合の抵抗率−ρyx(nΩcm)を〇印で示す。磁性体10に電流パルスが印加されると、抵抗率−ρyx(nΩcm)が増加する。即ち、電流パルスの印加によりスキルミオン40が生じたことを示す。
以上の通り、スキルミオン制御部30は、スキルミオン40の存在の有無を抵抗率の大きさの変化により検出する。また、スキルミオン制御部30は、磁性体10の温度によらず、スキルミオン40の存在の有無を検出する。本例のスキルミオン制御部30は、抵抗率の変化を分かりやすくするために、多数(例えば、数十億個)のスキルミオン40の生成を検出している。しかしながら、スキルミオン40が多数の場合と同一の原理により、単一のスキルミオン40の存在の有無を抵抗率の大きさの変化により検出できる。
図12は、急冷スキルミオン相の消滅に関する緩和時間τを示す。横軸は時間(s)を示し、縦軸はスキルミオン制御部30が検知する抵抗率−ρyx(nΩcm)を示す。本例の磁性体10には、0.22Tの磁場が印加される。また、各曲線は、スキルミオン40を消去するための加熱温度がそれぞれ異なる。加熱温度は、それぞれ23.0K、23.5K、24.0K、24.5Kである。
緩和時間τとは、準安定状態のスキルミオン40を有する磁性体10に、消去用のパルスを印加してから、スキルミオン40が消去されるまでに要する時間である。各温度における緩和時間τは、スキルミオン40が存在する場合の抵抗率である約36(nΩcm)から、スキルミオン40の消去後の抵抗率(nΩcm)に低下するまでにかかる時間により表される。スキルミオン40が消去されると、抵抗率(nΩcm)が低下しなくなり一定の値となる。温度23.0K〜24.5Kの緩和時間τをそれぞれ比較すると、温度が小さくなるにつれて緩和時間τが大きくなることが分かる。
図13は、急冷スキルミオン相の緩和時間τの温度依存性を示す。横軸は磁性体10の温度(K)を示し、縦軸は緩和時間τ(s)を示す。本例の磁性体10には、0.22Tの磁場が印加される。また、本例のグラフは、図12のグラフのフィッティング結果から算出される。
緩和時間τは、磁性体10の温度が上昇するにつれて、指数関数的に減少する。即ち、磁性体10は、高温の熱運動により、比較的短時間で熱力学的に安定な状態に落ち着く。例えば、磁性体10の加熱温度を27Kにすることにより、緩和時間τを10s以下とすることも可能である。なお、本例では、所定の領域に多数(例えば、数十億個)のスキルミオン40を生成し、それらを一度に消去している。つまり、実際にスキルミオンメモリ200として動作させる場合には、1つのスキルミオン40を制御すればよいことになるので、さらに短時間でスキルミオン40を消去できる。
図14は、試料ホルダの温度5Kでの抵抗率分布を示す。横軸は電流密度(×10Am−2)及び電流密度に対応する推定サンプル温度(K)を示す。縦軸は、磁性体10に印加される磁場(T)を示す。本例のグラフは、抵抗率−Δρyx(nΩcm)の分布を示し、色が濃くなるにつれて抵抗率が大きくなる。即ち、色の濃い領域では、スキルミオン40を生成する確率が高いことを示す。例えば、抵抗率30(nΩcm)以上の濃い領域では、ほぼ100%の確率でスキルミオン40の生成に成功していることを示す。
磁場0.16T〜0.26Tの領域において、サンプル温度が25K程度以上となるように電流密度を印加した場合に、スキルミオン40の生成確率が高い。また、磁場0.19T〜0.24Tの領域において、サンプル温度が27K程度以上となるように電流密度を印加すると、ほぼ100%の確率でスキルミオン40を生成できる。このように、スキルミオン40の生成確率を高めるためには、電流密度と磁場の大きさを最適な大きさに設定する必要がある。
図15は、試料ホルダの温度10Kでの抵抗率分布を示す。試料ホルダの温度以外の条件は、図14と同様である。
磁場0.16T〜0.26Tの領域において、サンプル温度が25K程度以上となるように電流密度を印加した場合に、スキルミオン40の生成確率が高いことが分かる。また、磁場0.19T〜0.24Tの領域において、サンプル温度が27K程度以上となるように電流密度を印加すると、ほぼ100%の確率でスキルミオン40を生成できる。このように、スキルミオン40の生成確率を高めるためには、電流密度と磁場の大きさを最適な大きさに設定する必要がある。
図16は、試料ホルダの温度23Kでの抵抗率分布を示す。試料ホルダの温度以外の条件は、図14及び図15と同様である。但し、本例では、抵抗率10(nΩcm)以上の濃い領域では、ほぼ100%の確率でスキルミオン40の生成に成功していることを示す。
磁場0.18T〜0.25Tの領域において、サンプル温度が27K程度以上となるように電流密度を印加した場合に、スキルミオン40の生成確率が高いことが分かる。また、磁場0.20T〜0.24Tの領域において、サンプル温度が27K程度以上となるように電流密度を印加すると、ほぼ100%の確率でスキルミオン40を生成できる。このように、スキルミオン40の生成確率を高めるためには、電流密度と磁場の大きさを最適な大きさに設定する必要がある。
図17は、スキルミオン相の設定工程及びリセット工程を示す。横軸は時間(s)を示し、縦軸は抵抗率−ρyx(nΩcm)及び電流密度(×10Am−2)を示す。本例の磁性体10は10Kの温度に保持され、0.22Tの磁場が印加される。
設定工程は、磁性体10をコニカル相からスキルミオン相に相転移させる工程である。設定工程において、スキルミオン制御部30は、予め定められたパルス強度及びパルス幅の電流パルスを磁性体10に印加する。パルス強度は、電流密度に対応する。本例のスキルミオン制御部30は、電流密度3.1×10Am−2の電流を100msのパルス幅で磁性体10に印加する。
リセット工程は、磁性体10をスキルミオン相からコニカル相に相転移させる工程である。リセット工程において、スキルミオン制御部30は、予め定められた電流密度及びパルス幅の電流パルスを磁性体10に印加する。例えば、スキルミオン制御部30は、設定工程におけるパルス強度よりも小さなパルス強度の電流パルスを磁性体10に印加する。また、スキルミオン制御部30は、設定工程における電流パルスよりも大きなパルス幅の電流パルスを磁性体10に印加する。即ち、スキルミオン制御部30は、リセット工程において、設定工程よりも低い温度で、長時間、磁性体10を加熱することが好ましい。本例のスキルミオン制御部30は、電流密度1.7×10Am−2の電流を10sのパルスで磁性体10に印加する。
図18は、スキルミオン相の設定工程及びリセット工程のスイッチング動作を示す。横軸は時間(s)を示し、縦軸は抵抗率−ρyx(nΩcm)を示す。本例の磁性体10は、10Kの温度に保持され、0.22Tの磁場が印加される。抵抗率が30(nΩcm)の場合にスキルミオン相が設定され、抵抗率が2(nΩcm)の場合にスキルミオン相がリセットされてコニカル相が設定される。本グラフより、所定の周期でスキルミオン相の設定及びリセットの繰り返しが可能であることが分かる。このように、スキルミオンメモリ200は、電流による発熱を利用して磁性体10の温度を制御し、準安定状態のスキルミオン40の生成及び消滅を制御できる。
本例のスイッチング動作では、所定の領域にスキルミオン40を形成することにより、多数(例えば、数十億個)のスキルミオン40を一度に生成及び消去している。しかしながら、実際にスキルミオンメモリ200として動作させる場合は、個別のスキルミオン40を単独にスイッチングさせればよいので、より短時間にスキルミオン40の生成及び消去を制御できる。スキルミオン40の生成及び消去は磁気モーメントの制御により行われるので、アモルファス相と結晶相との間で状態を変化させる従来の相変化メモリと比較して、短時間のスイッチングを実現できる。
図19は、演算処理装置300の構成例を示す。演算処理装置300は、スキルミオンメモリ200及び中央演算処理デバイス310を備える。
中央演算処理デバイス310は、例えば、Si基板上に形成したCMOS‐LSIデバイスである。中央演算処理デバイス310は、各種の演算処理データをスキルミオンメモリ200へ書き込む。また、中央演算処理デバイス310は、スキルミオンメモリ200からのデータ処理基本ソフトプログラム及び各種データの読み出しの機能を有してよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10・・・磁性体、12・・・第1面、14・・・第2面、20・・・磁場発生部、30・・・スキルミオン制御部、31・・・レーザ光源、32・・・レーザ光、33・・・第1電極、34・・・第2電極、35・・・磁性金属、36・・・絶縁体、37・・・電源、38・・・電流計、40・・・スキルミオン、50・・・絶縁体、100・・・磁気素子、200・・・スキルミオンメモリ、300・・・演算処理装置、310・・・中央演算処理デバイス

Claims (6)

  1. 安定状態において、螺旋型の磁気構造を有する磁性体と、
    前記螺旋型の磁気構造を有する前記磁性体にエネルギーを供給することにより、前記磁性体にスキルミオンを発生させるスキルミオン制御部と
    を備え、
    前記スキルミオン制御部は、前記磁性体に熱エネルギーのパルスを供給することにより前記磁性体を非安定状態にし、
    前記スキルミオン制御部は、前記磁性体の磁気相図において、平衡スキルミオン相よりも高温側に前記磁性体を加熱し、
    前記スキルミオン制御部は、前記磁性体へのエネルギー供給後、前記磁性体を20K/s以上の冷却速度で前記磁性体を急冷することにより、前記スキルミオンを発生させる
    磁気素子。
  2. 前記スキルミオン制御部は、前記磁性体の磁気相図において、前記平衡スキルミオン相よりも低温側に前記磁性体を冷却する
    請求項に記載の磁気素子。
  3. 前記スキルミオン制御部は、前記磁性体の加熱を終了することにより、前記磁性体を冷却する
    請求項又はに記載の磁気素子。
  4. 安定状態において、螺旋型の磁気構造を有する磁性体と、
    前記螺旋型の磁気構造を有する前記磁性体にエネルギーを供給することにより、前記磁性体にスキルミオンを発生させるスキルミオン制御部と
    を備え、
    前記スキルミオン制御部は、前記磁性体に熱エネルギーのパルスを供給することにより前記磁性体を非安定状態にし、
    前記スキルミオン制御部は、前記磁性体にエネルギーを供給することにより、前記磁性体に発生した前記スキルミオンを消去し、
    前記スキルミオン制御部は、スキルミオン生成時のパルス強度よりも小さなパルス強度であって、前記スキルミオン生成時のパルス幅よりも大きなパルス幅により前記スキルミオンを消去する
    磁気素子。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載の磁気素子を備え、前記スキルミオン制御部は、前記スキルミオンの有無を検出する
    スキルミオンメモリ。
  6. 請求項に記載のスキルミオンメモリを備える演算処理装置。
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