JP6607191B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
液晶配向膜は、液晶の配向状態を制御する目的で使用されるが、液晶表示素子の高精細化に伴い、液晶表示素子のコントラスト低下の抑制や残像現象の低減といった要求から、液晶配向膜には、電圧保持率が高いことや、直流電圧を印加した際の残留電荷が少ないこと、及び/又は直流電圧により蓄積した残留電荷の緩和が速いという特性が重要となっている。
また、液晶表示素子は、軽量、薄型かつ低消費電力の表示デバイスとして知られている。近年では、急速にシェアを拡大してきた携帯電話、スマートホン、タブレット型素子などの小型、高精細の液晶表示素子でも、高い表示品位が求められるほどの目覚ましい発展を遂げている。
また、本発明の特定の構造を有するジアミンを使用するポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体から得られるポリイミドは、溶媒に対する溶解度も大きいため、高ポリマー濃度の液晶配向剤が得られる利点も有する。
本発明の液晶配向剤を得るために使用されるジアミン成分に含有されるジアミンは、下記式(1)で表される構造を分子中に有するジアミンである。
式(1)及び(2)中、R1、R2及びAは、上記で定義したとおりである。なかでも、R1及びR2は、その少なくとも一方、又は両方とも、式(2)で表される基が好ましく、ラビング時の配向膜強度の観点から、R1及びR2のどちらか一方のみが、式(2)で表される基であるのが好ましい。
Aは、好ましくは単結合である。ここで、Aが単結合の場合、式(2)の基は、t−ブトキシカルボニル基(本発明では、Boc基ともいう。)である。
また、式[1]中、それぞれのベンゼン環におけるアミノ基(−NH2)は、アルキレン基の結合位置に対して、オルト、メタ、又はパラのいずれの位置でもよいが、合成の容易性、及び重合反応性の点から、メタ、又はパラの位置が好ましく、パラの位置がより好ましい。
還元反応に用いられる触媒は、市販品として入手できる活性炭担持金属が好ましく、例えば、パラジウム−活性炭、白金−活性炭、ロジウム−活性炭などが挙げられる。また、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケルなど、必ずしも活性炭担持型の金属触媒でなくてもよい。一般的に広く使用されているパラジウム−活性炭が、良好な結果が得られるので好ましい。
同様な理由により、加圧下で反応を実施する場合もある。この場合、ベンゼン核の還元を避けるため、20気圧までの加圧範囲で行う。好ましくは10気圧までの範囲で反応を実施する。
例えば、非プロトン性極性有機溶媒(DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)など);エーテル類(Et2O(ジエチルエーテル)、i−Pr2O(ジiso−プロピルエーテル)、TBME(メチルtert-ブチルエーテル)、CPME(シクロペンチルメチルエーテル)、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサンなど);脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど);芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど);ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど);低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等);ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等);などが使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。必要に応じて、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて溶媒を乾燥し、非水溶媒として用いることもできる。
反応温度は特に限定されないが、−100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、−50〜150℃である。反応時間は、通常0.05〜350時間、好ましくは0.5〜100時間である。
一方、ジニトロ化合物X1の合成方法は特に限定されず、任意の方法により合成することができる。その具体例としては、化合物X2と二炭酸ジ-tert-ブチルとを、溶媒中、場合により塩基の存在下で反応させる。
反応における塩基の存在は必ずしも必要ではないが、塩基を用いる場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、キノリン、コリジンなどのアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウムなどの塩基;等を使用できる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、ジニトロ化合物X2に対し、0.1〜100質量倍の溶媒を用いてもよい。好ましくは0.5〜30質量倍であり、さらに好ましくは1〜10質量倍である。反応温度は特に限定されないが、−100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。反応時間は、通常0.05〜200時間、好ましくは0.5〜100時間である。
カルボニル化合物(α)において、Y及びZは、1〜2価の有機基であり、カルボニル化合物(α)としては、例えば、ホスゲン、トリホスゲン、ジフェニルカーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、1.1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、クロロギ酸メチル、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸4−ニトロフェニル等が挙げられる。また、カルボニル化合物(α)の代わりにカーボンオキサイドを使用してもよい。
なお、上記した化合物は一例であり、特に限定されるものではない。
塩基の添加は必ずしも必要ではないが、塩基を用いる場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、コリジンなどのアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウムなどの塩基;等を使用できる。
イソシアネート化合物X4とアミン化合物X2との反応において、アミン化合物X2の使用量は、イソシアネート化合物X4に対し、0.98〜1.2当量倍を反応させればよい。より好ましくは、1.0〜1.02当量倍である。
反応温度は特に限定されないが、例えば−90〜150℃、好ましくは−30〜100℃で、さらに好ましくは0〜80℃である。反応時間は、通常0.05〜200時間、好ましくは0.5〜100時間である。
本発明の液晶配向剤は、上記の式[1]で表されるジアミンのいずれかを含有するジアミン成分と、テトラカルボン酸成分と、を反応させて得られるポリイミド前駆体、及び/又は該ポリイミド前駆体から得られるポリイミドを含有する。
[テトラカルボン酸成分]
テトラカルボン酸成分の好ましい例は、下記の式[8]〜[10]のいずれかで表される。
また、ポリイミドは、かかるポリアミック酸あるいはポリアミック酸エステルをイミド化することにより合成することができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミド前駆体を得る場合、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ジアミン成分として、上記特定のジアミン以外に、下記式[11]で表される、その他のジアミンを併用することができる。
ポリアミック酸(以下、ポリマーともいう)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン(以下、モノマーともいう)との重付加反応により合成できる。
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエンなどが挙げられる。
ポリアミック酸エステルは、以下の(A)〜(C)のいずれかの方法で合成できる。
(A)ポリアミック酸からポリアミック酸エステルを合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成できる。
塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等が使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒は、できるだけ脱水されていることが良く、反応は窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
(C)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンからポリアミック酸を合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを、縮合剤により重縮合することにより合成できる。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで、反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量は、ジアミン成分に対して、0〜1.0倍モルであることが好ましい。
上記3つのポリアミック酸エステルの合成方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、(A)及び(B)の合成法が特に好ましい。
ポリイミド前駆体の分子量は、ワニスの粘度や、ポリイミド膜の物理的な強度に影響を与える。ワニスの良好な塗布作業性や塗膜の良好な均一性を得るという点からは、重量平均分子量で500,000以下が好ましく、十分な強度のポリイミド膜を得るという点からは2,000以上が好ましく、より好ましくは2,000〜300,000であり、さらに好ましくは、5,000〜100,000である。ポリイミド前駆体の分子量は、前記重合反応に用いるジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体の比率を調整することで制御できる。この比率としては、モル比で1:0.7〜1.2を例示することができる。このモル比が1:1に近いほど得られるポリイミド前駆体の分子量は大きくなる。
本発明のポリイミドは、前記ポリイミド前駆体をイミド化することにより合成することができる。ポリイミド前駆体からポリイミドを合成する簡便で好ましい方法としては、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に、触媒を添加する化学的イミド化であり、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で、重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
本発明の液晶配向剤は、上記のようにして得られたポリイミド前駆体及び/又はポリイミド(以下、これらをポリマー成分ともいう。)を含有するワニス状の溶液である。本発明の液晶配向剤は、2種類以上のポリイミド前駆体や2種類以上のポリイミドを含有していてもよく、ポリイミド前駆体とポリイミドの両方を含有していてもよい。更には、液晶配向剤は、本発明のポリイミド前駆体又は本発明のポリイミド以外のポリマーを含有してもよい。
ポリイミド前駆体又はポリイミドを溶解させるための有機溶媒としては、ポリマー成分が均一に溶解するものであれは特に限定されない。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、単独ではポリマー成分を均一に溶解できない溶媒であっても、重合体が析出しない範囲であれば、上記の有機溶媒に混合してもよい。
本発明の液晶配向剤は、その他に、シランカップリング剤や架橋剤などの各種添加剤を含有してもよい。
シランカップリング剤は、液晶配向剤が形成される基板と、そこに形成される液晶配向膜との密着性を向上させる目的で添加される。シランカップリング剤の具体例は、国際公開公報WO2010/050523号(国際出願PCT/JP2009/068523)の段落0164の1行〜末行)に記載されるものが挙げられる。
本発明の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られた塗膜であり、必要に応じて、この塗膜面に既知の配向処理を実施する。液晶配向剤を塗布する基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができ、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることが、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、電極はアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
焼成後の塗膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nm、好ましくは10〜200nmである。液晶を水平配向、又は傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜はラビング、又は光配向処理される。
本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
液晶セルの製造方法は特に限定されないが、一例を挙げるならば、液晶配向膜が形成された1対の基板を、液晶配向膜面を内側にして、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmのスペーサーを挟んで設置した後、周囲をシール剤で固定し、液晶を注入し、封止する方法が一般的である。液晶封入の方法については特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後、液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後、封止を行う滴下法などが例示できる。
上記の液晶配向層とは、液晶を配向させるための樹脂膜であり、液晶配向剤を用いて基板上に液晶配向層を形成する方法は、前記の液晶配向膜で記載した塗布方法及び塗布した後の焼成方法が適用できる。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン BCS:ブチルセロソルブ
DMAP:ジメチルアミノピリジン
Boc2O:二炭酸ジ−tert−ブチル
DMAP:ジメチルアミノピリジン Pd/C:パラジウムカーボン
DIEPA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
装置:Varian NMR system 400NB(400MHz)(Varian社製)、及びJMTC−500/54/SS(500MHz)(JEOL社製)
測定溶媒:CDCl3(重水素化クロロホルム),DMSO−d6(重水素化ジメチルスルホキシド)
基準物質:TMS(テトラメチルシラン)(δ:0.0ppm,1H)及びCDCl3(δ:77.0ppm,13C)
常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、及びカラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000、及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000、及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
1H-NMR(500MHz, CDCl3); 8.76(1H, s), 8.17(4H, m), 7.39(4H, m), 3.93(2H, t), 3.57(2H, t), 2.97(4H, m), 1.49(9H, s)
1H-NMR(500MHz, CDCl3); 8.70(1H, s), 7.00(4H, m), 6.64(4H, m), 3.82(2H, t), 3.57(1H, br), 3.45(4H, m), 2.74(4H, m), 1.47(9H, s)
1H-NMR(CDCl3,δppm):8.19-8.15(m,2H),7.42-7.27(m,2H),3.86(br,4H),3,07(br,4H),1.50(s,18H)
1H-NMR(CDCl3,δppm):7.06-7.02(m,2H),6.65-6.62(m,2H),3.78(br,4H),3.56(s,4H),2.86(br,4H),1.48(s,18H)
撹拌装置及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、DA−1(0.42g,2.8mmol)、及びDA−3(1.67g、4.2mmol)を計量した後、NMP21.7gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA−1(0.534g,2.45mmol)及びCA−2(0.837g、4.27mmol)を加え、さらにNMPを5.4g加えた。その後、3時間攪拌し、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、320mPa・sであった。このポリアミック酸の分子量はMn=10,550、Mw=32,000であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、DA−1(0.42g,2.8mmol)、及びDA−4(2.09g、4.2mmol)を計量した後、NMP21.7gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA−1(0.534g,2.45mmol)及びCA−2(0.837g、4.27mmol)を加え、さらにNMPを5.4g加えた。その後、3時間攪拌し、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、370mPa・sであった。このポリアミック酸のMnは19,000、Mwは50,500であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、DA−1(0.42g,2.8mmol)、及びDA−2(1.25g、4.2mmol)を計量した後、NMP21.7gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA−1(0.534g,2.45mmol)及びCA−2(0.837g、4.27mmol)を加え、さらにNMPを5.4g加えた。その後、3時間攪拌し、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、330mPa・sであった。このポリアミック酸の分子量はMn=9,900、Mw=21,800であった。
合成例1で得られたポリアミック酸溶液10.0gに、NMPを5.65g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液を1.0g、及びBCS5.55gを加え、濃度が4.5質量%の液晶配向剤(A−1)を得た。この液晶配向剤(A−1)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例2で得られたポリアミック酸溶液10.0gに、NMPを5.65g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液を1.0g、及びBCS5.55gを加え、濃度が4.5質量%の液晶配向剤(A−2)を得た。この液晶配向剤(A−2)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
比較合成例1で得られたポリアミック酸溶液10.0gに、NMPを5.65g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液を1.0g、及びBCS5.55g加え、濃度が4.5質量%の液晶配向剤(B−1)を得た。この液晶配向剤(B−1)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
得られた液晶配向剤5.0gの攪拌溶液中に、γ-ブチルラクトン(GBL)を加えながら、固体が析出するまでの溶媒量を記録することで溶解性の評価を実施した。
液晶配向剤A−1、A−2、及びB−1に関して実施したGBLの添加量の結果を表1に示す。
液晶配向剤を1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で2分間乾燥した後、230℃で20分間焼成して、膜厚が100nmの塗膜を得た。このようにして得られた2枚の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に、直径が4μmのビーズスペーサーを散布した後、シール剤(協立化学社製XN−1500T)を点状に塗布した。次いで、他方の基板の液晶配向膜面を内側にし、基板の重なり幅が1cmになるようにして、基板が重なっている部分の中心にシール剤が位置するように貼り合わせを行った。その際、貼り合わせ後のシール剤の直径が約3mmとなるようにシール剤滴下量を調整した。貼り合わせた2枚の基板をクリップにて固定した後、120℃で1時間熱硬化させて、接着性評価用のサンプルを作製した。
作製したサンプルを島津製作所社製の卓上形精密万能試験機(AGS−X 500N)にて、上下基板の端の部分を固定した後、基板重なり部分の上部から押し込みを行い、剥離する際の圧力(N)を測定した。
計測したシール剤の直径より見積もった面積(mm2)で圧力(N)を割り算して規格化した値を接着力の指標とした。
液晶配向剤A−1、及びB−1の接着力の結果を表1に示す。
液晶配向剤を1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で2分間乾燥した後、230℃で20分間焼成して、膜厚が100nmの塗膜を得た。このイミド化重合体膜をレーヨン布でラビング(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度20mm/sec、押し込み量0.4mm)した後、純水中にて1分間超音波照射を行い、80℃で10分間乾燥した。このようにして得られた液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜面に4μmのスペーサーを設置した後、2枚の基板のラビング方向が逆平行になるように組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが4μmの空セルを作製した。このセルに液晶(MLC−2041、メルク社製)を常温で真空注入し、注入口を封止してアンチパラレル液晶セルとした。
この液晶セルの配向状態を偏光顕微鏡にて観察し、配向欠陥がないものを「良好」、配向欠陥があるものは「不良」とした。液晶配向剤A−1、A−2及びB−1の配向性の評価結果を表3に示す。
FFS(Fringe Field Switching)方式の液晶表示素子の構成を備えた液晶セルを作製した。
始めに、電極付きの基板を準備した。基板は、30mm×35mmの大きさで、厚さが0.7mmのガラス基板であり、基板上には第1層目として対向電極を構成する、ベタ状のパターンを備えたIZO(Indium Tin Oxide)電極が形成されていた。第1層目の対向電極の上には第2層目として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されていた。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目としてIZO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素及び第2画素の2つの画素を形成されていた。各画素のサイズは、縦10mmで横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により電気的に絶縁されていた。
各画素の第1領域と第2領域とを比較すると、それらを構成する画素電極の電極要素の形成方向が異なるものとなっている。すなわち、後述する液晶配向膜のラビング方向を基準とした場合、画素の第1領域では、画素電極の電極要素が+10°の角度(時計回り)をなすように形成され、画素の第2領域では、画素電極の電極要素が−10°の角度(時計回り)をなすように形成されている。すなわち、各画素の第1領域と第2領域とでは、画素電極と対向電極との間の電圧印加によって誘起される液晶の、基板面内での回転動作(インプレーン・スイッチング)の方向が互いに逆方向となるように構成されている。
上記液晶セル(通常液晶を使用)を、偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、画素電極と対向電極とを短絡して同電位にした状態で、2枚の偏光板の下からLEDバックライトを照射しておき、2枚の偏光板の上で測定するLEDバックライト透過光の輝度が最小となるように、液晶セルの角度を調節した。
次に、この液晶セルに周波数30Hzの矩形波を印加しながら、23℃の温度下でのV−T特性(電圧−透過率特性)を測定し、相対透過率が23%となる交流電圧を算出した。この交流電圧は電圧に対する輝度の変化が大きい領域に相当するため、輝度を介して残留電荷を評価するのに都合がよい。
蓄積した電荷の緩和が速いほど、直流電圧を重畳したときの液晶セルへの電荷蓄積も速いことから、蓄積電荷の緩和特性は、直流電圧を重畳した直後の相対透過率が40%以上の状態から35%に低下するまでに要した時間で評価した。この時間が短いほど蓄積電荷の緩和特性が良好であると定義し、評価を行なった。液晶配向剤A−1、及びB−1の緩和特性を表4に示す。
なお、2014年9月18日に出願された日本特許出願2014−190292号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (8)
- 前記式(1)で表される構造を有するジアミンを、前記ジアミン成分中、5〜100モル%含有する請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
- ポリイミド前駆体及びポリイミドの合計含有量が、1〜20重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 式[1]で表されるジアミンのベンゼン環におけるアミノ基の置換位置が、アルキレン基の結合位置に対して、メタ位、又はパラ位である、請求項2〜4のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 前記1〜5のいずれかに記載の液晶配向剤から形成される液晶配向膜。
- 膜の厚さが、5〜500nmである、請求項6に記載の液晶配向膜。
- 請求項6又は7に記載の液晶配向膜を有する基板が、ガラス基板又はプラスチック基板である液晶表示素子。
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