JP6606803B2 - 周波数変調cars計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、周波数変調CARS(コヒーレント反ストークスラマン散乱、以下、単に「CARS」と言う。)計測装置に関する。
分子同定の技術には、赤外振動吸収分光法がある。これは図6(a)に示したように、各分子の指紋領域の分子振動数の赤外光の吸収(周波数差 Δ ω のある基底状態 V0 から励起状態 V 1 )を測定するものである。しかし生体内分子の測定には、生体組織の主成分が水であり赤外光は吸収が大きいため、適用する事が困難である。これに対してラマン散乱測定法は入射光に対し分子振動周波数分だけ周波数シフトしたラマン散乱光を測定するので、水に対する吸収が少なくて生体内を透過させる入射光として近赤外光を選択することで該方法は生体内分子の測定への適用が可能である。しかしラマン散乱光は極めて弱く、高感度化が課題である。
この感度の問題を解決したのがCARS(コヒーレント反ストークスラマン散乱)技術である。CARSは、図6(b)に示すように分子の振動吸収バンドに対応した周波数差 Δ ω のあるポンプ光パルスとストークス光パルスを時空間的において同時に照射すると、分子はポンプ光パルスにより基底準位 V = 0 から上準位へ上がるとともに、ストークス光パルスにより励起準位 V = 1に誘導される。さらに、ポンプ光パルスにより上準位へ上がった後、基底準位 V = 0 に緩和する過程でアンチストークス光を生じる。エネルギー準位の関係から、ストークス光とアンチストークス光のそれぞれの周波数は6図(c)に示すようにポンプ光 ω p を中心に Δ ω 折り返された周波数であり、 ω s= ω p − Δ ω、ω a s = 2 ω p − ω s となる。
ω p とω s はあらかじ設定可能なので、近赤外域でこれを設定すれば近赤外域の2波長のポンプ光、ストークス光により、赤外振動吸収の Δ ω の情報をアンチストークス光により計測できる。
しかし、CARSの課題として非共鳴信号がある。CARS信号には、分子振動の V = 1準位を介したアンチストークス光生成による V = 0 準位への緩和である共鳴過程(図7(a))と V = 1 準位を介さない(仮想準位aを介した)アンチストークス光生成による V = 0 準位への緩和である非共鳴過程(図7(b))に基づく2種類がある。従って、CARS信号のS/N比は、該非共鳴信号のCARS信号に占める割合を最小限に抑制する(共鳴信号/非共鳴信号比の最大化)事で向上する。このため共鳴信号/非共鳴信号比がとれるパルス幅としてP秒パルスが用いられたりするものの、共鳴信号/非共鳴信号比の向上が常に課題となっている。
この共鳴信号/非共鳴信号比の向上を実現するものとして、周波数変調CARS技術が知られている。CARSは3次の非線形光学効果の一種で、CARS光の光電界は3次非線形感受率χ (3) に比例し、CARS信号強度I CARS (Ω)は、下記の数式1によって定まることが既に知られている。
Figure 0006606803

となる。ここで、χ (3) R(Ω)は共鳴信号の3次非線形感受率、χ (3) NRは非共鳴信号の3次非線形感受率である。図8(a)は[数1]の3つの項の特性を共鳴周波数近傍について示したものである。図8(b)は[数1]の3つの項の和としてI CARS (Ω) と(χ (3) NR) 2 を示したものである。いまポンプ光とストークス光の差周波数 δ = ω p −ω s を時間的に変化させる(周波数変調)と、I CARS (Ω)は直流成分の非共鳴信号に交流成分の共鳴信号が重畳した信号となる。すなわちI CARS (Ω)の直流成分は非共鳴信号、交流成分は共鳴信号のため、交流成分の振幅レベルを測定することで、共鳴信号のみの選択的検出が可能となる。
図9は周波数変調CARSの構成である。Nd:YVO4 p秒レーザーAからの1064 nm光をビームスプリッターBSで2分し、一方をストークス光とする。他方はNd:YVO4 p秒レーザーAからの1064 nm光を非線形結晶SHG(例えば、リチウムトリボレート、以下、「LBO」と言う。)で532 nm光に変換し(C)、光パラメトリック発振器OPOの励起光とする。光パラメトリック発振器OPOからのシグナル光を、ミラーMを経由してCARS励起のポンプ光1(周波数ω 1 )とする。またNd:YVO4 p秒レーザーAからの同期信号で駆動するTi:Al2O3 p秒レーザー光BをCARS励起のポンプ光2(周波数 ω2 )とし、ポンプ光1とポンプ光2の偏光を利用してグランテーラープリズムGTayP上で同軸に重ね合わせる。(ポンプ光1及びポンプ光2のODLは後述する如く、ポンプ光1及びポンプ光2の時間をグランテーラープリズムGTayPに合わせるための遅延機構である。)グランテーラープリズムGTayP上で同軸に重ね合わせられたポンプ光1とポンプ光2はポッケルズセルPCとグラントンプソンプリズムGThoPでポッケルズセルPCのON−OFFにより時間的に切り替えられて、ダイクロイックミラーDM上でストークス光と同軸上に重ね合わされ、測定対象へと照射される。ポッケルズセルPC のON−OFFに同期してポンプ光とストークス光の差周波数は ω 2 −ω stokes とω 1 −ω stokes に周波数変調される。
Nd:YVO4 p秒レーザーAに同期して光パラメトリック発振器CならびにTi:Al2O3 p秒レーザー光Bは発振するが、DM上でのタイミングはストークス光、ポンプ光1、ポンプ光2は一致しない。時間タイミングを一致させるためにポンプ光1およびポンプ光2の光路内に光学遅延装置ODLが必要となる。Nd:YVO4レーザーAおよびTi:Al2O3 p秒レーザー光Bはモードロックレーザーのため、繰返し周波数は通常80MHz程度である。すなわちパルス周期は12.5nsである。このため光学遅延装置ODLは1/2周期以上の調整範囲が必要で、7ns×3×108 = 2.1mより 2m程度となる。また数p秒のパルス幅のパルス同士を時間的に一致させる必要があるため、光学遅延装置ODLに求められる移動精度は1ps×3×108 = 3×10-4 m = 0.3mmとなる。このような長距離を高い移動精度で調整可能な光学遅延装置は小型化、経時安定化は極めて困難である。また周波数変調CARSでは同期発振する3つの光源、即ち、Nd:YVO4 p秒レーザーA、Ti:Al2O3 p秒レーザーB及び非線形結晶SHGで532nm光に変換する光源Cが必要となり、低コスト化も難しいのが現状である。このように周波数変調CARSには実用面で大きな課題を内包している。
特開2010−5062公報 特開2013−174530公報
Optics Letters. 2006 Vol.31(12):1872-1874
周波数変調CARSの小型化、経時安定化、低コスト化の課題を解決し、実用性の高い周波数変調CARS計測を実現する。
周波数変化に伴うシグナル光およびアイドラー光の出射位置不変の光パラメトリック発振器と、光パラメトリック発振のシグナル光とアイドラー光を励起2波長とし、シグナル光とアイドラー光の差周波数を変調しCARS光の強度変調成分を計測することを特徴とするCARS計測装置。
光パラメトリック発振器は、光パラメトリック増幅の励起光を閉じ込める光閉じ込め器と、光パラメトリック増幅光を発振させる光共振器が光パラメトリック増幅非線形素子を共有することを特徴とする上記記載のCARS計測装置。
シグナル光とアイドラー光の差周波数δ の変調範囲が複数分子のラマン振動数ω n を含む範囲(δ min <ω <δ max )であり、この変調範囲内で発生する複数のCARS信号を波長分離したCARS強度変調信号として計測することを特徴とする上記記載のCARS計測装置。
複数分子がグルコース、ヘモクロビン、ヘモクロビンA1cであることを特徴とする上記記載のCARS計測装置。
周波数変化に伴うシグナル光およびアイドラー光の出射位置不変の光パラメトリック発振器と、光パラメトリック発振のシグナル光とアイドラー光を励起2波長とし、シグナル光とアイドラー光の差周波数を変調しCARS光の強度変調成分を計測することで、共鳴信号を選択的に検出し、特定分子の測定を実現する。
光パラメトリック増幅の励起光を閉じ込める光閉じ込め器と、光パラメトリック増幅光を発振させる光共振器が光パラメトリック増幅非線形素子を共有することを特徴とするCARS計測装置により実現する。
光パラメトリック発振のシグナル光とアイドラー光をCARS励起光とすることで、CARS励起のポンプ光とストークス光の空間的および時間的重なりのための調整機構を不要とし、システムの簡略化、小型化および安定化を実現する。
またシグナル光とアイドラー光の差周波数δ の変調範囲が被測定複数分子のラマン振動数 ω n を含む範囲(δ min <ω n <δ max)であり、この変調範囲内で発生する複数のCARS信号を波長分離したCARS強度変調信号として計測することで、複数分子の同時計測を実現する。
本発明の第1実施例を示す構成図。 本発明の第2実施例を示す構成図。 本発明の第3実施例を示す構成図。 本発明の第4実施例を示す構成図。 本発明のOPO発信波長特性と分子振動バンドおよびCARS波長の関係を示す説明図。 (a)ないし(c )は、赤外振動吸収分光特性及びCARS特性を示す図。 (a)及び(b )は、共鳴過程及び非共鳴過程を表す図。 (a)及び(b )は、アンチストークス光の直流成分及び交流成分を表す図。 従来の周波数変調CARSを表す構成図。
実施例1を図1、実施例2を図2、実施例3を図3にそれぞれ示す。それぞれの違いは、光パラメトリック発振の波長を変化させても発振光の出射位置が不変な光パラメトリック発振器の構成の相違である。
図1に示す実施例1の光パラメトリック発振器は、基本波を発生する基本波レーザーKLで発生する基本波ω 0 (1064 nm)を第二高調波発生用の非線形光学結晶SHGに入射し、そこで発生した2ω 0 光(例えば532nm)を、ダイクロイックミラーDMを経由して光パラメトリック結晶KTP(カリウムチタンリン酸塩)に入射してω 1 とω 2 への波長変換が行われる。また、ω 1 とω 2 は全反射ミラーM1で反射し、再び光パラメトリック結晶KTP、ダイクロイックミラーDMを経由して、出力ミラーM2に導くものである。出力ミラーM2は2ω 0 光(例えば532nm)の光路からずらされている。ここで、ダイクロイックミラーDMのS1面が532nmに対するAR(Anti - Reflection)特性を、S2面が900〜1200nmに対するTR(Total Reflection)特性かつ532nmに対しAR特性を有している。全反射ミラーM1のS3面は532nm 及び900〜1200nmに対するTR特性を有している。また、出力ミラーM2のS5面は900〜1200nmに対しAR特性を、S6面は900〜1200nmに対し70%PR(Partial Reflection)特性を有している。このようにして、2ω 0 光(532nm)の励起光を光パラメトリック結晶KTPに戻すこと(ダブルパス励起)し、出力ミラーM2を経由して出力することで、光パラメトリック結晶の角度変化に伴う発振光の位置ずれを補償している。
図2に示す実施例2の光パラメトリック発振器は、基本レーザーKLから発するレーザー光(1064nm)が、ダイクロイックミラーDM1を経由して第二高調波発生用の非線形光学結晶SHGに入射して2ω 0 光(例えば532nm)を発生させる。2ω 0 光(例えば532nm)は、ダイクロイックミラーDM2を経由して光パラメトリック結晶KTPに入射して、ω 1 とω 2 への波長変換が行われる。ここで、ダイクロイックミラーDM1のS1面が1064nmに対するAR特性を、S2面が1064nmに対するAR特性かつ532nmに対するTR特性となっている。ダイクロイックミラーDM2のS3 面は532nmに対するAR特性を、S4面は900〜1200nm に対するTR特性及び532nmに対するAR特性を持つ。全反射ミラーM1のS5面は532nm及び900〜1200nmに対しTR特性を有している。出力ミラーM2のS7面は900〜1200nmに対するAR特性を、S8面は900〜1200nmに対し70%PR特性を有している。
ダイクロイックミラーDM1及び全反射ミラーM1で構成される空間(cavity)が532 nmに対する閉じ込め空間を形成する。2ω 0 光(例えば532nm)は光パラメトリック結晶KTPを通過する度にω 1 とω 2 への光増幅が生じる。また、全反射ミラーM1、ダイクロイックミラーDM2及び出力ミラーM2で形成されるL型の空間(OPO cavity)が光共振器を形成し、光共振器内のω 1 とω 2 は光増幅を繰返し、発振閾値を超えると出力ミラーM2から光エネルギーが取り出される(発振する)。このようにして、2ω 0 (例えば532nm)の励起光を光パラメトリック結晶KTPに戻し(ダブルパス励起)、出力ミラーM2を経由して出力するとこで光パラメトリック結晶の角度変化に伴う発振光の位置ずれを補償している。
ω 0 とω 1 およびω 2 を分離するため、SHG結晶と出力ミラーM2の間にダイクロイックミラーDM2を配置し、発振したω 1 とω 2 を取り出す。更に、この例では出力ミラーM2を2ω 0 光(例えば532nm)の光軸上から外し、ダイクロイックミラーDM2と全反射ミラーM1及び出力ミラーM2でL型光共振器(OPO cavity)を構成したものである。更にこの例ではω 1 とω 2 が光パラメトリック結晶KTPを往復した後に光共振器から光を取り出す構成のため、光パラメトリック結晶KTPの回転に伴う光出射位置ずれは発生しない。
図3に示す実施例3の光パラメトリック発振器は、励起レーザーがp秒あるいはf秒のモードロックレーザーになると、パルス時間が極短なので1パルス時間内での光パラメトリック増幅と発振は困難である。しかし励起パルス2ω 0 光(例えば532nm)を閉じ込めてパルス周期内で光パラメトリック結晶KTPを複数回励起できれば光パラメトリック増幅と発振は可能となる。(ダイクロイックミラーDM1と全反射ミラーM1で形成される2ω 0 光(例えば532nm)の光閉じ込め器にダイクロイックミラーDM1を載置し光路長を制御する移動ステージMV1を設けて、ダイクロイックミラーDM1と全反射ミラーM1との間の空間に532 nmに対する閉じ込め空間(cavity)を形成する。また、出力ミラーM2にこれを載置し光路長を制御する移動ステージMV2を設けて、全反射ミラーM1、ダイクロイックミラーDM2及び出力ミラーM2からなるL 型の空間(OPO cavity)に光共振器を形成し、2ω 0 (例えば532 nm)光がKTP結晶を通過する度にω 1 とω 2 への光増幅が生じる。全反射ミラーM1と出力ミラーM2で構成される光共振器内のω 1 とω 2 は光増幅を繰返し、発振閾値を超えると出力ミラーM2から光エネルギーが取り出される(発振する)。2ω 0 光(例えば532nm)の光閉じ込め器往復時間と光パラメトリック発振のω 1 とω 2 の光パラメトリック共振器往復時間を一致させ、2ω 0 光(例えば532nm)の1パルス内で2ω 0 光(例えば532nm)による光パラメトリック結晶の複数回励起を行うことで、光パラメトリック増幅と発振を実現する。
実施例2の光パラメトリック発振器は、光パラメトリック発振の励起レーザーがn秒レーザー用のもの。実施例3の光パラメトリック発振器はn秒、p秒、f秒いずれの励起レーザーにも対応可能なものである。いずれの光パラメトリック発振器からも、直交した偏光成分のシグナル光とアイドラー光が空間的にも時間的にも重なりあった状態で出射される。また該シグナル光とアイドラー光の波長が変化しても発振光の出射位置と出射方向は常に同一である。
実施例1、2、3いずれもの励起2ω 0 光を光パラメトリック結晶KTPに戻し(ダブルパス励起)、出力ミラーM2で出力するので、光パラメトリック結晶KTPの角度変化に伴う発振光の位置ずれを補償している。実施例2及び3の光パラメトリック発振器は、前記光閉じ込め器と前記光共振器とが光パラメトリック増幅非線形素子(KTP)を共有することを特徴とする。
また、実施例1、2、3いずれも光パラメトリック発振器から以降は共通なので、その後の動作説明は図3に示す実施例3で行うこととする。直交偏光2周波のシグナル光ωとアイドラー光ωは、光軸方向を直交軸に対し45°傾けた偏光子Hを通過し、45°方向に偏光方向が一致したシグナル光ωとアイドラー光ωとなる。この両光はロングパス特性のダイクロイックミラーDM3を透過し、レンズLにより測定対象試料T(皮下血管)へ集束される。集束点近傍ではCARS光が誘起され、発生したCARS光はレンズLにより集められ、ロングパス特性のダイクロイックミラーDM3で反射される。その後CARS光よりも長波長の雑音光がショートパスフィルターSPFでカットされ、CARS光のみが光検出器Dによって検出され、ログインアンプLIAに入力される。本実施例ではCARS励起・検出光学系を反射型で示しているが、透過型であっても構わない。
光パラメトリック発振器ではガルバノモーター駆動部GMKに設置されたガルバノ駆動信号GMSがKTP結晶の角度を変化させる。これにより励起レーザーの532nm光の入射角とKTP結晶の光学軸の角度を変化させて、位相整合条件を変えることで発振するシグナル光とアイドラー光の波長(周波数)が変化する。
図5にOPO発振2波長特性(KTP結晶)の角度とシグナル光とアイドラー光の波長の関係を示している。図5の特性のKTPは結晶光軸を64°でカットしているので、図5のグルコースC−Oバンドに示す如くKTP結晶の入射面への励起光の入射角が0°が光軸角64°となり、図中のシグナル光1004nm、アイドラー光1132nmで、シグナル光とアイドラー光の差周波数δ は1130cm-1となる。図中の実細線が入射角に対するシグナル光とアイドラー光の波長(周波数)の変化特性を示している。したがって被測定分子(皮下血管)の振動バンドに対応した差周波数のなる角度を中心にプラスマイナスにKTPの角度を変化させることで、被測定分子(皮下血管)の振動バンドを中心とした周波数変調が生じる。すると図8にあるようにCARS光は強度変調される。
再び、図3に戻ってKTP結晶駆動のガルバノモーターGMKの駆動信号GMSを参照信号としてロックインアンプLIAに入力し、光検出器Dからの強度変調されたCARS信号を同期検出し、変調信号のレベル検出出力を計測することで、被測定分子の共鳴CARS信号の選択的検出が行える。
図4に実施例4を示す。ここではシグナル光とアイドラー光の差周波数δ の変調範囲が複数分子のラマン振動数ω n を含む範囲(δ min ω n δ max )であり、この変調範囲内で発生する複数のCARS信号を波長分離したCARS強度変調信号として計測することで、複数の被測定分子の同時測定を可能とする構成である。
動作説明には被測定分子が具体的である方が記載しやすくまた理解しやすいので、被測定分子を血中のグルコース、ヘモグロビン(以降、Hbと略記する。)、ヘモグロビンエイワンシー(以降、HbA1cと略記する。)として説明する。図5に示す通りグルコースは1130cm-1にC-Oの振動バンドがある。Hbは1652cm-1に、HbA1cは827cm-1にそれぞれ振動バンドがある。図5にはシグナル光とアイドラー光の波長(周波数)特性の線上に両光の差周波数が各振動バンドと一致する位置を●で示してある。また図中の太実線はシグナル光に対し差周波数分だけ高周波数の波長(周波数)すなわち、シグナル光(CARSポンプ光)とアイドラー光(CARSストークス光)によって生じるCARS光の波長(周波数)位置を示している。したがってグルコースでは901nm、Hbでは842nm、HbA1cでは940nmがそれぞれCARS光の波長となる。
いまシグナル光とアイドラー光の差周波数δ をHbA1c、グルコース、Hbの3つの振動バンドを含む範囲、例えば700cm-1 δ 1800cm-1 で変化させると、シグナル光(CARSポンプ光)の最短波長は971nmで、CARS光の最長波長は940nmとなり、被測定分子が複数であってもCARS励起の光とCARS光は波長で分離できる。したがって光パラメトリック発振のシグナル光とアイドラー光の差周波数δを700cm-1 δ 1800cm-1 で変調すれば、グルコース、Hb、HbA1cを波長の異なる変調信号で同時に弁別検出できる。
図4の光パラメトリック発振器以降の動作で説明する。直交偏光2周波のシグナル光とアイドラー光は、光軸方向を直交軸に対し45°傾けた偏光子Hを通過し、45°方向に偏光方向が一致したシグナル光とアイドラー光となる。この両光は960nmロングパス特性のダイクロイックミラーLPDM960を透過し、レンズLにより測定対象試料(皮下血管)Tへ集束される。集束点近傍ではCARS光が誘起され、発生したCARS光はレンズLにより集められ、960nmロングパスダイクロイックミラーLPDM960で反射される。反射された光は次に920nmロングパスダイクロイックミラーLPDM920で940nmCARS光は透過し、901nmCARS光と842nmCARS光は反射される。920nmロングパスダイクロイックミラーLPDM920を透過した940nmCARS光は光検出器D1で検出される。920nmロングパスダイクロイックミラーLPDM920で反射された光はさらに880nmロングパスダイクロイックミラーLPDM880で842nmCARS光は反射され、901nmCARS光は透過し、それぞれ光検出器D2及びD3で検出される。
光パラメトリック発振器ではシグナル光とアイドラー光の差周波数δ が700cm-1 δ 1800cm-1 の範囲で連続的に変化するようにKTPの角度がガルバノモーター駆動部GMKで制御される。これにより差周波数δ は700cm-1 δ 1800cm-1 の範囲で変調され、それぞれのCARS光は強度変調される。ガルバノ駆動信号GMSを参照信号としてロックインアンプLIAに入力し、それぞれ波長分離された光検出器(D1 〜D3)からの強度変調された3つCARS信号を3チャンネルロックインアンプLIAで同期検出し、それぞれの変調信号のレベル検出出力を計測することで、グルコース、Hb、HbA1c、コレステロールの共鳴CARS信号が同時に弁別検出される。
現在糖尿病管理の指標として用いられるHbA1cは総ヘモグロビン量Hbに対するHbA1cの比率(%)である。図5に示す1652cm-1のバンド信号はすべての型のヘモグロビンHbから、827cm-1のバンド信号はHbA1cのみからの信号であるので、図4に示すロックインアップLIA の出力信号からの940nmCARS信号レベル及び842nmCARS信号レベルを信号処理SSすることで、現行のHbA1cの指標値を検出することができる。
周波数変化に伴うシグナル光およびアイドラー光の出射位置不変の光パラメトリック発振器と、光パラメトリック発振のシグナル光とアイドラー光を励起2波長とし、シグナル光とアイドラー光の差周波数を変調しCARS光の強度変調成分を計測し共鳴信号を選択的に検出することで、特定分子の高感度測定が実現する。
また光パラメトリック発振のシグナル光とアイドラー光をCARS励起光とすることで、CARS励起のポンプ光とストークス光の空間的および時間的重なりのための調整機構を不要とし、システムの簡略化、小型化および安定化が実現する。
さらにシグナル光とアイドラー光の差周波数δ の変調範囲が被測定複数分子のラマン振動数ω nを含む範囲(δ min ωn δ max )にあり、この変調範囲内で発生する複数のCARS信号を波長分離したCARS強度変調信号として計測することで、複数分子の同時弁別計測が実現する。
これらは従来実用性が極めて乏しかった周波数変調CARSに、大きな実用性をもたらし、本来CARS技術が有する生体内分子計測の特徴を汎用化させる効果がある。
KL 基本レーザー
SHG 非線形結晶
DM ダイクロイックミラー
KTP 光パラメトリック結晶
M1 全反射ミラー
M2 出力ミラー
H 45度偏光子
DM3 ロングパスダイクロイックミラー
SPF ショートパスフィルター
D、D1〜3 光検出器
LPDM960 960nm以上の光を透過するダイクロイックミラー
LPDM920 920nm以上の光を透過するダイクロイックミラー
LPDM880 880nm以上の光を透過するダイクロイックミラー
GMK ガルバノモーター駆動部
GMS ガルバノ駆動信号
LIP ロックインアンプ
SS 信号処理機構

Claims (4)

  1. 励起光の光パラメトリック結晶への入射方向とは反対方法に光発振出力する周波数変化に伴うシグナル光およびアイドラー光の出射位置不変の光パラメトリック発振器と、光パラメトリック発振のシグナル光とアイドラー光を励起2波長とし、シグナル光とアイドラー光の差周波数を変調しCARS光の強度変調成分を計測することを特徴とするCARS計測装置
  2. 前記光パラメトリック発振器は、光パラメトリック増幅の励起光を閉じ込める光閉じ込め器と、光パラメトリック増幅用非線形素子を用いて光パラメトリック増幅光を発振させる為の光共振器とを共有する事を特徴とした請求項1記載のCARS計測装置。
  3. 前記シグナル光と前記アイドラー光の差周波数δ の変調範囲が複数分子のラマン振動数ω n を含む範囲(δ min < ω n < δ max)であり、この変調範囲内で発生する複数のCARS信号を波長分離したCARS強度変調信号として計測することを特徴とする請求項1記載のCARS計測装置。
  4. 複数分子がグルコース、ヘモクロビン、ヘモクロビンA1cであることを特徴とする請求項3記載のCARS計測装置。
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