以下に、本発明の実施の形態について添付図面にもとづいて説明する。まず、本発明の排泄物容器の洗浄方法、ポータブルトイレおよび洋風便器装置の各基本構成について説明する。
本排泄物容器11の洗浄方法は、図1に示すように、常設の洋風便器装置30を用いた洗浄方法である。その洗浄方法は、排泄物容器11を洋風便器装置30のボウル部31に装着、設置し、洋風便器装置30から洗浄水の供給を受けて排泄物容器11の内部を洗浄する手順となっている。
また、本ポータブルトイレ10は、図2に示すように、着脱自在の排泄物容器11を有した、トイレ空間以外の居室等で移動自在に利用され得るポータブル型のトイレである。排泄物容器11は、図1に示すように給水口12を有し、ポータブルトイレ10の本体21より取り外された状態で、底部11a側が常設の洋風便器装置30のボウル部31内に装着、設置されるようになっている。
一方、洋風便器装置30は、ボウル部31と、ボウル部31に対して吐水する吐水部33とを備えた便器装置である(図1および図5参照。図1には吐水部33の吐水口を破線で図示)。このボウル部31は、その内部に、給水口12を有した排泄物容器11が設置される形状となっている。吐水部33は、ボウル部31内に設置された排泄物容器11の給水口12に装着されるようになっている(図3参照)。
ついで、本ポータブルトイレ10および本洋風便器装置30の各構成、ならびに、ポータブルトイレ10の排泄物容器11の洗浄方法について、具体的に説明する。
ポータブルトイレ10は、図2(a)(b)に示すように、胴部21a、肘掛部21b、背もたれ部21cなどよりなる本体21を備えている。本体21は、胴部21a内に上部が開口した収容空間を有し、その空間に防汚トレイ22に収納された状態で排泄物容器11が収容されるようになっている。また、排泄物容器11には蓋26が被せられるようになっている。
本体21には、開口を塞ぐように、回動自在の便座23、便蓋24が連結してある。また、本体21は脚部25によって支持されている。なお、図2(b)の分解斜視図では、脚部25の図示を省略した。
このポータブルトイレ10は、排泄物容器11の蓋26を外し、便蓋24を起立させ、便座23を着座位置に回動させた状態で、洋風便器と同様の着座スタイルで用を足すことができるようになっている。
排泄物容器11内に溜まった排泄物を含む汚水等の排出および排泄物容器11内の洗浄は、排泄物容器11を本体21より取り外して行うことができる。このような汚水等の排出および容器内の洗浄の一連の洗浄作業は、常設の洋風便器装置30を利用して行うことができる。
この排泄物容器11は、図6に示すように、上部開口が概ね楕円形状であり、下方に向けてややすぼんだ形状とされる。また、前部は下部が奥方に凹んでおり、2段形状とされる。また、排泄物容器11の内外面は撥水性を有していることが望ましい。
本ポータブルトイレの排泄物容器11は、図1(a)(b)に示すように、常設の洋風便器装置30のボウル部31内に装着できるようになっている。これらの図に示すように、排泄物容器11はボウル部31の真上よりリム部32で囲まれたボウル部31内に落とし込むようにして装着、設置され得る。図1(b)に示すように、排泄物容器11は、ボウル部31へ装着されると、その上部がリム部32の上端よりも少し突出した状態となる。
この排泄物容器11の装着は、図5の例に示すように、排泄物容器11の底部11aがボウル部31の内面に載置され、支持されるような装着でもよいし、排泄物容器11の周壁11bがリム部32に嵌合(内嵌)するような装着でもよい。
この排泄物容器11は、このようにボウル部31に装着されることで、その状態での洋風便器装置30の洗浄水を用いた洗浄を行えるようになっている。そのような容器内の洗浄がより簡易にできるように、排泄物容器11の周壁11bに、洋風便器装置30の吐水部33から洗浄水を受けるための給水口12が形成されている。
なお、排泄物容器11に給水し内部を洗浄する前に、容器内に溜まった排泄物の大部分を上部開口よりボウル部31に排出しておくことが望ましい。また、排泄物が溜まったままで排泄物容器11をボウル部31に設置し、設置された状態で、後述する排水機構13を用いて排水するようにしてもよい。
以下に詳述するように、排泄物容器11の洗浄については、ポータブルトイレ10(排泄物容器11)と洋風便器装置30との協働によりなされる。なお、洋風便器装置30に関するボウル部31、リム部32、吐水部33等を除く内部基本構成を含むその他の各部については、洋風便器装置30の水位変動制御、洗浄制御の説明とともに後述する。
図3は、洋風便器装置30の吐水部33と、排泄物容器11の給水口12との連結構造の説明図である。この洋風便器装置30は、ボウル部31内の側面に吐水部33を有した、オープンリムタイプの便器装置である。
図3(a)に示すように、この洋風便器装置30では、ボウル部31内面の後部のリム部32の下方に吐水部33の開口(吐水口)が設けられている。この吐水部33は、水道などより洗浄水の供給を受け、開口よりボウル部31内面に吐水するようになっている。この開口は、リム部32の下方において洗浄水を旋回させことができるように周回方向の一方向を向いている。その開口からの吐水によって、ボウル部31内面の上部から下部にいたるまでの全体に洗浄水が行き渡るようになっている。図例のものでは、吐水部33がボウル部31の内面の右側(人が着座したときの右側)に設けられている。
一方、排泄物容器11は、図1および図3に示すように、周壁11bの後方右側に給水口12が形成されている。この給水口12は、排泄物容器11をボウル部31に装着した際に吐水部33の開口よりも高い位置に形成されており、排泄物容器11内の、より高い位置からの洗浄水の供給が可能となっている。吐水部33と給水口12は、図3(b)に示したような折曲形状の連結具17で連結され、吐水部33からの水勢により洗浄水を連結具17内を通して上方に向かわせて排泄物容器11内に供給する構成となっている。
また、吐水部33と給水口12との接続構造としては、図4(a)(b)のように、より簡単に連結できる構造としてもよい。この排泄物容器11には、排泄物容器11をボウル部31に装着したときにおいて、吐水部33の開口に対応した高さ位置に、外方に突出した、管状の給水口12(給水管)が形成されている。排泄物容器11は、図4(a)のように排泄物容器11をボウル部31に仮装着した後、白抜き矢印のように水平移動することで、給水口12を吐水部33に連結することで接続でき、同時に排泄物容器11の装着が完了するようになっている。
このように、連結具17を用いない、簡易に相互連結ができる構造としてもよい。連結具17を用いる場合、直管であってもよいし、図3に示したような折曲形状のものであってもよい。また、ホースを用いてもよい。
図4に示したように吐水部33と給水口12とを同じ高さで連結する場合は、容器内において給水口12が低くなりすぎないように、排泄物容器11をボウル部31に、より深くまで装着できるような装着構造とすることが望ましい。
このように、この排泄物容器11の洗浄方法は、排泄物容器11に給水口12が形成されており、ボウル部31に設置された排泄物容器11の給水口12に、洋風便器装置30の吐水部33を接続して排泄物容器11に洗浄水を供給するようになっている。
図5は、排泄物容器11を洋風便器装置30のボウル部31に装着した状態を模式的に示した概略縦断面図である。この図には、洋風便器装置30の吐水部33と排泄物容器11の給水口12とがほぼ同じ高さで連結されたものを示した。
図5に示すように、排泄物容器11は、吐水部33から洗浄水の供給を給水口12を通じて受けるようになっている。排泄物容器11内では、図5の矢印で示すように、供給を受けた洗浄水が上から下へ旋回しながら全体を洗浄する。なお、給水口12は、吐水部33によるボウル部31内の洗浄と同様、内側面に沿って旋回洗浄ができるような位置に形成されていることが望ましいが、これには限定されず、どのような位置に形成されていてもよい。なお、図5における34は可動式のトラップ部であるが、図5では模式的に示した。
このような排泄物容器11およびその洗浄方法によれば、排泄物容器11を洋風便器装置30のボウル部31に装着した安定した状態で、洋風便器装置30から洗浄水の供給を受けて容器内を洗浄することができる。したがって、排泄物容器11内の洗浄を簡単、迅速に行うことができる。また、排泄物容器11をボウル部31に装着した安定した状態で洗浄できるので、洗浄の際などに排泄物容器11が揺れにくく、容器内の汚水等が外部にこぼれるおそれがなく、そのためトイレ空間を汚すおそれはほとんどない。
また、排泄物容器11の給水口12を洋風便器装置30の吐水部33に接続する構成のものでは、排泄物容器11に対して、ボウル部31の洗浄態様と同様の洗浄を実施することができる。図3や図4の例のように、吐水部33からの洗浄水の水勢および吐水方向をそのまま生かして洗浄する構成とすれば、ボウル部31の洗浄と同様の旋回洗浄を行うことができる。
さらに、このような吐水部33からの洗浄水の供給は、洋風便器装置30の排水洗浄操作にもとづくものとすればよい。そうすれば、排泄物容器11の洗浄においても、ボウル部31の洗浄と同様の操作で行うことができる。
また、図3に示したような折曲形状の連結具17を用いれば、排泄物容器11内の高い位置に洗浄水を供給でき、ボウル部31の洗浄と同様、容器内のほぼ全面を洗浄することができる。また、図4のような簡易な操作で接続できるようにすれば、すばやく装着でき、その結果、迅速な洗浄作業を実施することができる。
なお、排泄物容器11を上記の方法で洗浄する場合、排泄物容器11内に溜まった汚水等を、洗浄作業の前に、上部の開口よりボウル部31に排出し流しておくことが望ましい。また、洗浄水の供給により溜まった洗浄後の汚水等も上部の開口より、ボウル部31に排出するようにしてもよい。
また、排泄物容器11は、下部に設けた排水口13aを少なくとも含んだ排水機構13をさらに備えている。具体的には、本実施形態では、排泄物容器11の底部11aなどの下部に開閉自在な排出口13aを設けて、排泄物容器11をボウル部31に装着した後に、その排出口13aを開いて洗浄後の汚水等を排出する構成となっている。
この排水機構13は、図6(a)(b)に示すように、底部11aに排水口13aを有した湾曲状の排水トラップ機構である。また、排泄物容器11の底部11aには排水口13aから下方に延びた排水管13bが形成されている。図6(b)に示すように、排水管13bは、その下端がボウル部31内の溜め水の喫水面(水位L)よりも下方に位置するように突出している。こうして、排泄物容器11は排水管13b以外の部位がボウル部31内の貯水に接触しないように設置され得る。
このように、排泄物容器11が排出口13a付きの排水機構13を有しているため、洗浄後に容器内に溜まった汚水等を、排泄物容器11をボウル部31より取り外すことなく排出することができる。図6に示した排水機構13は排水トラップ機構で構成されているため、洗浄中に容器内で一定水位を超えた段階で汚水等を排出することができる。そのため、多くの洗浄水を供給しても上部開口から溢れ出るおそれはない。
排水機構13としては、手動で栓を着脱して排水口13aを開閉するものでもよく、電磁弁を用いて電気的な開閉ができるものでもよい。
なお、上述したように、排泄物を事前に流すことなく排泄物容器11に溜められた状態でボウル部31に設置し、排泄物自体を排水機構13を用いて流し出すようにしてもよい。その場合には、排泄物容器11の下部に大きめの排水口13aを設ければよい。
また、排泄物容器11の排水管13b以外の部位がボウル部31内の溜め水に接触しない構成であるため、排泄物容器11の排水管13b以外の外面がボウル部31内の溜め水によって濡れることなく容器内の洗浄を実施することができる。さらに、排水管13bの先端がボウル部31内の溜め水に浸かっているため、排水の際には水はねを防止でき、排泄物容器11の底部11aや周壁11bの外面に水はねによる水滴が付着することを防止することができる。また、排泄物容器11の外面に撥水性があれば、たとえ底部11a等が濡れた場合でも外面への水滴の付着を少なくでき、清掃を迅速に行うことができる。
このように、排泄物容器11を、排水管13b以外の部位がボウル部31内の溜め水に接触しないようにすることが望ましい。そのようにするために本洋風便器装置30は、図9に示すように、通常の貯水水位L1よりも低い中間水位L2の状態で貯水され、その状態で排泄物容器11を設置して洗浄できるようになっている。
この洋風便器装置30は、排泄物容器11を設置する場合にボウル部31への貯水を中間水位L2とすることなどの特有の動作に対応して、洗浄モードとして、通常モードとは異なる容器洗浄モードを設定することが可能となっている。
図7は、排泄物容器11の洗浄に関する、洋風便器装置30の要部基本構成を示すブロック図である。図7に示すように、内部の基本構成として、CPU等で構成された制御部41と、水位変動部42と、洗浄水供給部43とを備えている。
制御部41は、ボウル部31または排泄物容器11を洗浄するために、各部を制御する。また、水位変動部42は、ボウル部内の水位を、貯水水位よりも低い水位に維持させるように変動させる構成部であり、後述するように、トラップ部34を動作させることで水位変動がなされるようになっている。洗浄水供給部43は、ボウル部に設置した排泄物容器の内部に洗剤入りの洗浄水を供給する構成部であり、後述するように、洗剤タンク53、空気取り入れ管57などを用いて、そのような洗浄水のボウル部31への供給を行っている。水位変動部42および洗浄水供給部43は、制御部41との協働により作動される。
また、制御部41は、ボウル部31内を洗浄する通常洗浄モードと、ボウル部31に設置した排泄物容器11の内部を洗浄する容器洗浄モードとを切り替え可能に実行する構成となっている。この洋風便器装置30は、通常モード、容器洗浄モード間の切り替え操作をするための操作部44を備えている。
洋風便器装置30は、図8、図9に示すように、ボウル部31の排水口31aに連結され、貯水位置側と排水位置側との間で自由端を上下に回動自在とした、蛇腹筒状の可動式のトラップ部34を備えた便器装置である。
洋風便器装置30には、便器本体内の装置構成として、図8、図9に示すように、吐水部33に通じる給水管51と、給水管51の途中に配した電磁弁52と、トラップ部34を動作させる駆動モータ(不図示)とが設けてある。電磁弁52および駆動モータは制御部41によって制御される。
また、洋風便器装置30は、図8、図9に示すように、洗剤タンク53と、洗剤タンク53に両端が接続された循環流路54と、循環流路54に配設されるポンプ55と、循環流路54から分岐して給水管51に接続された分岐供給流路56とを備えている。さらに、給水管51の電磁弁52の下流側に空気取り入れ管57が接続されている。このような構成により、空気が混入された洗剤入りの洗浄水が泡洗浄水となってボウル部31内を洗浄できるようになっている。
以下、容器洗浄モードでの水位変動、洗浄制御について説明する。まず、洋風便器装置30の水位変動の制御について、図8(a)(b)および図9を参照して説明する。
通常モードにおけるボウル部31の洗浄の場合、制御部41は、トラップ部34を、貯水位置側(図8(a)参照)と、排水位置側(図8(b)参照)とに回動させ、それぞれの位置で停止させる制御を行う。トラップ部34が貯水位置側にある場合、ボウル部31内に封水状態に貯水がなされ、貯水水位L1となる。また、トラップ部34が排水位置側にあるときは、ボウル部31内の貯水が排水されて空になる。
これに対して水位変動部42は、制御部41との協働により動作し、駆動モータを作動させて、トラップ部34の位置を他の位置に変動させるようになっている。この制御により、トラップ部34を、排泄物容器11の洗浄するための中間位置側に回動、停止できるようにしている。つまり、水位変動部42は制御部41との協働により、ボウル部31内の水位を、通常モードにおける貯水水位L1よりも低い位置の中間水位L2に維持させるように、トラップ部34を変動制御する。
このような水位変動の制御は、操作部44で容器洗浄モードへの切り替えがなされたタイミングで実施してもよいし、その後に操作部44で水位変動指令の操作がなされたタイミングで実施してもよい。あるいは、モードにかかわらず、操作部44で水位変動指令の操作がなされたタイミングで実施してもよい。
図9に示すように、この状態でボウル部31に排泄物容器11を装着すると、溜め水の喫水面が貯水水位L1よりも低い中間水位L2に変動しているため、排泄物容器11の底部11aは喫水面には接触しない。そのため、底部11aを濡らさないように、排泄物容器11をボウル部31に装着することができる。
また、洋風便器装置30は、排泄物容器11の着脱を検知するスイッチ45が設けられており、そのスイッチ45が排泄物容器11の着脱を検知できるようになっている。排泄物容器11の洗浄が終了し、排泄物容器11がボウル部31より取り外されると、洋風便器装置30はスイッチ45の検知動作により排泄物容器11の取り外しを検出する。
排泄物容器11が取り外された後に、容器洗浄モードから通常モードに切り替え操作がなされると、その後の排水洗浄操作にもとづき、ボウル部31の洗浄を実施することができる。なお、排泄物容器11の取り外しの検出により、容器洗浄モードから通常モードに自動的に切り替えられるようにしてもよい。
通常モードに切り替えられた後に、排泄物容器11から排出されボウル部31に溜まった汚水等を、排水洗浄操作により排水すればよい。具体的には、排水洗浄操作がなされたときには、制御部41の制御により、トラップ部34が排水位置側(図8(b)参照)へ回動する排水動作が実行され、その後、トラップ部34が貯水位置側(図8(a)参照)へ回動する貯水動作が実行される。こうして、ボウル部31には通常の貯水水位L1の洗浄水が貯水される。
また、排泄物容器11を装着した状態でボウル部31の排水洗浄操作がなされたときには、スイッチ45が排泄物容器11の取り外しを検知していないため、制御部31の制御により、ボウル部31の排水の後、トラップ部34が中間位置側(図9参照)へ回動する貯水動作が実行される。なお、排泄物容器11への水はねを回避するために、排泄物容器11を装着した状態でのボウル部31の洗浄は禁止するようにしてもよい。
つぎに、洋風便器装置30の制御による排泄物容器11の洗浄について説明する。
この洋風便器装置30は、容器洗浄モードで排泄物容器11内を洗浄する場合、排泄物容器11の洗浄に必要な洗浄水の量を考慮して、制御部41が適切な量の洗浄水を排泄物容器11に供給するように制御する。
このように、容器洗浄モードでは、そのモードに対応した量の洗浄水を排泄物容器11内に供給する構成となっているので、洗浄水の排泄物容器11からの溢れ出しを防止することができる。
このような洗浄を行うために、洋風便器装置30は、上述したように洗浄水供給部43を備えている。洗浄水供給部43は、ボウル部31に設置した排泄物容器11の内部に洗浄水を供給する動作を実行する。この動作は、排水洗浄操作がなされた時に、容器洗浄モードが設定され、かつ排泄物容器11が設置され(スイッチ45がオンし)ていることを条件として実行される。なお、排泄物容器11への誤給水を防止するために、給水口12と吐水部33とが連結していることを給水の実行条件に付加することが望ましい。たとえば、吐水部33に連結スイッチ(不図示)を設け、その連結スイッチで給水口12や連結具17を装着したときに装着が検出されるようにしてもよい。
洗浄水供給部43は、制御部41との協働により上述した、給水管51、電磁弁52、洗剤タンク53、循環流路54、ポンプ55、分岐供給流路56、吐水部33などを用いて、排泄物容器11内へ洗剤入りの洗浄水の供給するようになっている。また、空気取り入れ管57により、洗剤入りの洗浄水に空気を混入させることで、微小気泡が混入された洗剤入りの洗浄水を排泄物容器11内へ供給できるようになっている。
このように、洗浄水供給部43は、ボウル部31に設置した排泄物容器11の内部に洗剤入りの洗浄水を供給するようになっている。また、洗浄水供給部43は、排泄物容器11の内部に気泡を付加した洗浄水を供給する構成ともなっている。
また、洗浄水の洗剤の有無、微小気泡の有無は、それぞれの選択を操作部44で設定できるようになっている(図7参照)。つまり、洗浄水供給部43は、容器洗浄モードのときに洗剤なしの洗浄水の供給も可能とし、さらに容器洗浄モードのときに微小気泡なしの洗浄水の供給も可能としている。
このように、排泄物容器11に洗剤入りの洗浄水を供給することができるので、洗浄効果が高められ、迅速な洗浄作業を実施することができる。また、そのような洗浄水を排泄物容器11の溜め水としても用いることができる。
洗剤入りの洗浄水を排泄物容器11の溜め水として用いれば、溜め水の表面に泡の層を形成することができ、その泡の層により表面からの臭気上昇を防止することができる。そのため、ポータブルトイレ10の使用の際の臭気防止策となり得る。
また、微小気泡が混入された洗浄水を用いて洗浄する場合にも、水道水以上の洗浄効果が得られ、これによっても迅速な洗浄作業を実施することができる。洗剤入り、微小気泡入りの場合には、さらに洗浄能力を高められる。洗剤入り、微小気泡入りの洗浄水を排泄物容器11の溜め水として用いれば、より多くの泡を形成でき、溜め水の表面に厚みのある泡の層を形成することができる。
このように洗浄水を複数目的に利用するために、使用目的に応じて洗浄水の種別(洗剤の有無、気泡の有無の組み合わせ)の選択設定をすればよい。
上述したように、この洗浄水供給部43は、上記各部を動作させながら吐水部33より、給水口12を通じて排泄物容器11内に洗浄水を供給するものであり、通常モード下におけるボウル部31への洗浄水の供給動作と基本的に同じである。
しかしながら、容器洗浄モード下における排泄物容器11への洗浄水の供給動作は、ボウル部31への洗浄水の供給動作とは異なり、トラップ部34を連動させない。つまり、ボウル部31からの排水動作、ボウル部31への貯水動作には連動しないようになっている。
以上のように、この洋風便器装置30は、排泄物容器11の洗浄を前提とした、ボウル部31の水位変動や排泄物容器11の洗浄水の供給が、容器洗浄モード下において実行できるようになっている。
つぎに、他の洋風便器装置30の水位変動の例について、図10および図11を参照して説明する。
この洋風便器装置30は、サイホンゼット式の便器装置である。つまり、この洋風便器装置30のボウル部31の底部には、ゼット孔31cが設けられ、ゼット孔31cに対向するようにトラップ部34(排水路)が設けてある。
トラップ部34は、ボウル部31の底部に連通するトラップ入り口となる端部から斜め上方に延び、トラップ頂部から下方側に向けて屈曲するように形成され、外部排水管(不図示)に接続される。このトラップ部34とボウル部31とによって形成された貯水空間に、洗浄水が貯水されるようになっている。
この洋風便器装置30は、ボウル部31に連通し、ボウル部31の溜め水の一部を返水可能に貯水する一時貯水部61を備えている。洋風便器装置30は水位変動部42を備えており、水位変動部42が制御部41と協働しながら動作して、一時貯水部61へ洗浄水を移動させ、喫水面を中間水位L2に変動するようにしている。
排泄物容器11の洗浄のための水位変動は、図7〜図9の説明で上述したものと同様、容器洗浄モードへの切り替え、あるいは、その後の操作部44での水位変動指令の操作などのタイミングで実施する構成とすればよい。
具体的には、上記操作がなされれば、水位変動部42および制御部41が動作し、ボウル部31の貯水の一部を一時貯水部61に移動させてボウル部31の水位を貯水水位L1からその水位より低い中間水位L2に低下させる。
この一時貯水部61は、ボウル部31の溜め水の一部が自重によって流入される構成となっている。一時貯水部61とボウル部31とを接続する管路としての接続管路62に、洗浄制御部41によって開閉される開閉弁63が設けてある。
接続管路62は、ボウル部31の貯水の一部を一時貯水部61に流入させ得るように、かつボウル部31に返水可能なように設けられている。図例では、この接続管路62のボウル部側開口62aを、排水路のトラップ入り口近傍のボウル部31の底側において開口させた例を示している。
開閉弁63は、接続管路62を開放または閉鎖する構成とされる。つまり、この開閉弁63を閉鎖すれば、ボウル部31と一時貯水部61とが水密的に遮断され、開閉弁62を開放すれば、一時貯水部61への貯水の一部の流入および一時貯水部61からボウル部31への貯水の返水が可能とされている。
本実施形態では、一時貯水部61に、変動底64を下方側に変位させて貯水させ、変動底64を上方側に変位させて返水させる変位機構65が設けてある。本実施形態では、この変位機構65として、一時貯水部61に弾性部材65aが設けてある。
弾性部材65aは、洗浄水の自重で弾性変形する構成とされている。つまり、ボウル部31が貯水状態で、容器洗浄モードへの切り替え、あるいは、その後の操作部44での水位変動指令があれば、水位変動部42が開閉弁63を開放し、洗浄水が一時貯水部61に貯水される。そしてその後、ボウル部31内の汚水等が排水され、水位が低下すれば、弾性部材65aは、変動底64を上方側に変位させるように弾性復元する。
本洋風便器装置30は、以上のような構成により、排泄物容器11の洗浄が可能なように、水位が中間水位に変動し、その水位で維持され、その後の排水洗浄操作による排水動作で貯水水位に復帰できるようになっている。
図10、図11に示した洋風便器装置30は、図示したように、中空のリム部32に洗浄水を流通させ、リム部32に設けた複数の孔部(不図示)を通じてボウル部31に給水するようになっている。
このような洋風便器装置30では、ボウル部31に供給する孔部から吐水される洗浄水を排泄物容器11に供給することはできないが、たとえば給水管(本例では不図示)から分岐した吐水部より洗浄水を排泄物容器11の給水口12に供給するようにすればよい。また、水洗タンク(不図示)から他の給水管を通じて排泄物容器11に給水するようにしてもよい。
また、上記の種々の例では、排泄物容器11の給水口12が周壁11bに設けられたものを示したが、水洗タンクなどから給水する構成のものでは、排泄物容器11の上部開口を給水口として洗浄水を供給するようにしてもよい。