以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る照明システムを例示するブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の照明システム100は、AC−DCコンバータ10と、照明装置20と、を備える。照明システム100は、交流入力端子11a,11bを介して、交流電源1に接続される。交流電源1は、たとえば商用電源である。交流電源1は、実効値が100Vまたは200Vの交流電圧を、50Hzまたは60Hzで照明システム100に供給する。
照明システム100は、調光信号入力端子11eを介して調光装置2に接続される。照明システム100は、調光信号入力端子11eを介して、調光装置2から出力される調光信号Sdを受信する。
調光信号Sdは、照明システム100によって点灯される照明ユニット50の光量を示す調光度Dを設定する信号である。たとえば、調光信号Sdが最小の調光度Dminを示す場合には、照明ユニット50の光量は最小となる。このときには、照明ユニット50に流れる出力電流IFは最小値に設定され、照明ユニット50は消灯状態となる。調光信号Sdが最大の調光度Dmaxを示す場合には、照明ユニット50の光量は最大となる。このときには、照明ユニット50に流れる出力電流IFは最大値に設定され、照明ユニット50は全点灯状態となる。
調光装置2は、入力された調光度Dの設定値等にしたがって、調光信号Sdを生成し、出力する。生成される調光信号Sdは、アナログ値であってもよく、ディジタル値であってもよい。調光信号Sdは、たとえば照明ユニット50の光量に応じて増大する電圧値を有するアナログ信号であり、あるいはDALI(Digital Addressable Lighting Interface)等にもとづくデータを含む信号等である。
この例では、調光装置2は、照明システム100の外部に設けられているが、調光装置2の機能は、照明システム100に含まれていてもよい。たとえば、調光装置2の機能は、AC−DCコンバータ10に含まれていてもよい。AC−DCコンバータ10は、調光装置2から供給されるDALI等にもとづく調光信号Sdのデータを受信して、受信したデータを、光量に応じて増大する電圧値を有するアナログまたはディジタルの信号に変換するコンバータ等を含むようにしてもよい。
AC−DCコンバータ10は、交流入力端子11a,11bと、直流出力端子11c,11dと、調光信号入力端子11eと、を含む。交流入力端子11a,11bから入力された交流電圧は、直流電圧に変換されて直流出力端子11c,11dから出力される。この例では、AC−DCコンバータ10は、直流出力端子11dから直流出力端子11cに向かって正の電圧値を有する直流電圧VDCを出力する。直流出力端子11c,11dから出力される直流電圧VDCの値は、調光信号Sdに応じて設定される。たとえば、調光信号Sdが最小の調光度Dminを示す場合には、AC−DCコンバータ10は、最小直流電圧Vaを出力する。調光信号Sdが最大の調光度Dmaxを示す場合には、AC−DCコンバータ10は、最大直流電圧Vbを出力する。
照明装置20は、電力変換部30と、照明ユニット50と、を含む。電力変換部30は、入力端子31a,31bと、出力端子31c,31dと、を含む。電力変換部30は、入力端子31a,31bを介して、配線4a,4bに接続されている。したがって、電力変換部30は、入力端子31a,31bおよび配線4a,4bを介して、AC−DCコンバータ10の直流出力端子11c,11dに接続されている。
電力変換部30の出力端子31c,31dには、照明ユニット50が接続されている。電力変換部30は、AC−DCコンバータ10から直流電圧VDCの供給を受けて、入力端子31a,31bに入力された直流電圧の電圧値に応じた出力電流IFを照明ユニット50に供給する。そのため、照明ユニット50は、調光信号Sdが示す調光度Dに応じた光量で点灯し、消灯する。
たとえば、照明装置20は、AC−DCコンバータ10から直流電圧VDCの最小値である最小直流電圧Vaを供給された場合には、照明ユニット50の光量が最小値になるように出力電流IFを設定する。照明装置20は、AC−DCコンバータ10から直流電圧VDCの最大値である最大直流電圧Vbを供給された場合には、照明ユニット50の光量が最大値になるように出力電流IFを設定する。
このように、本実施形態の照明システム100では、調光信号Sdを受信したAC−DCコンバータ10が、調光信号Sdに応じた電圧値を有する直流電圧VDCを照明装置20に供給する。照明装置20は、供給された直流電圧に応じた光量で照明ユニット50を点灯させる。
後に詳述するように、照明装置20は、AC−DCコンバータ10から供給される直流電圧VDCの配線4a,4bによる電圧降下を補正して、調光信号Sdによって設定された光量で照明ユニット50を点灯させる。
照明装置20は、AC−DCコンバータ10の出力に1つまたは複数台が接続されている。この例では、4台の照明装置20が、配線4a,4bを介して、AC−DCコンバータ10の出力に並列に接続されている。照明装置20を並列に接続することができる台数は、AC−DCコンバータ10の出力電力容量に応じて決定され、1台〜3台であってもよく、5台以上とすることもできる。
本実施形態の照明システム100では、複数の照明装置20が設けられた場合には、照明装置20ごとに入力された直流電圧の補正を行う。そのため、すべての照明装置20における照明ユニット50の光量は、調光信号Sdによって設定された値とされることができる。
以下では、本実施形態の照明システム100の各部の構成について詳述する。
(AC−DCコンバータ)
図2は、本実施形態の照明システムのAC−DCコンバータを例示するブロック図である。
図2に示すように、AC−DCコンバータ10は、整流回路12と、PFC回路13と、平滑回路14と、電力変換部15と、を含む。
整流回路12は、交流入力端子11a,11bを介して交流電源1に接続される。整流回路12は、交流電圧を整流して、脈流の交流電圧に変換する。整流回路12は、たとえば全波整流回路であり、ダイオードブリッジにより構成されている。
PFC回路13は、整流回路12の出力に接続されている。PFC回路13は、整流回路12から出力される脈流の交流電圧を入力して、直流電圧に変換して出力する。PFC回路13は、たとえば昇圧電源回路である。この例では、PFC回路13は、コイル131と、スイッチング素子132と、ダイオード133と、制御回路134と、を含む。スイッチング素子132は、制御端子(たとえばMOSFETのゲート端子)を介して制御回路134によって駆動される。スイッチング素子132は、制御回路134によって設定されるオン時間またはオフ時間でスイッチングする。
PFC回路13は、入力される脈流の電圧が低いときには、スイッチング素子132がオンする期間が長く、脈流の電圧が高いときにはスイッチング素子132がオンする期間が短くなるように動作する。そのため、平滑回路14に入力される電流波形の歪が低減され、高調波が抑制される。
PFC回路13は、昇圧電源回路に限らず、昇降圧電源回路や降圧電源回路であってもよい。また、PFC回路13は、AC−DCコンバータ10の出力電力容量が大きい場合、たとえば25Wを超える場合に用いられる。AC−DCコンバータ10の出力電力容量が、たとえば25W以下の場合には、PFC回路13を用いずに、整流回路12の出力をそのまま平滑回路14に接続するようにしてもよい。
平滑回路14は、たとえば平滑コンデンサである。入力される電流の変動を吸収して、安定した直流電圧を後段の電力変換部15に供給する。平滑回路14は、たとえば電解コンデンサを含む。電解コンデンサに並列にフィルムコンデンサやセラミックコンデンサ等の高周波ノイズを吸収することができるコンデンサを接続するようにしてもよい。
電力変換部15は、制御回路152と、スイッチング素子153と、トランス154と、ダイオード155と、平滑コンデンサ156と、を含む。電力変換部15は、オペアンプ158と、可変電源回路159と、抵抗器160a,160bと、をさらに含む。
電力変換部15は、平滑回路14を介して供給される直流電圧を他の電圧値を有する直流電圧VDCに変換する。変換する直流電圧VDCは、調光装置2から供給される調光信号Sdによって設定される。
制御回路152は、スイッチング素子153の制御端子(たとえばMOSFETのゲート端子)に接続されており、制御端子を介してスイッチング素子153のオンオフを制御する。制御回路152は、フォトカプラの受光部151に接続されている。制御回路152は、フォトカプラの受光部151から出力される電圧または電流によって、スイッチング素子153のオン時間またはオフ時間を設定する。
スイッチング素子153は、主端子(たとえばMOSFETのドレイン端子)を介してトランス154の一次巻線に直列に接続されている。スイッチング素子153の他方の主端子(たとえばMOSFETのソース端子)は、平滑回路14の低電位側の端子に接続されている。スイッチング素子153は、制御回路152から出力される駆動パルスに応じてトランス154の一次巻線を駆動する。
トランス154は、一次巻線と二次巻線とを含んでおり、一次巻線は、上述のとおり、スイッチング素子153によって駆動される。二次巻線の一方の端子は、ダイオード155を介して平滑コンデンサ156の高電位側に接続されており、他方の端子は、平滑コンデンサ156の低電位側に接続されている。ダイオード155のアノードは、トランス154に接続され、カソードは平滑コンデンサ156に接続されている。そのため、二次巻線から出力される交流電圧は、ダイオード155によって整流されて、平滑コンデンサ156を充電して直流電圧に変換される。
トランス154は、この例ではフライバック巻きされている。トランス154は、一次巻線に電流が流れたときに、エネルギを蓄積し、一次巻線の電流が遮断されたときに、蓄積されたエネルギが二次巻線から放出される。
電力変換部15の構成は上述に限らず、入出力の電圧の範囲や出力電力容量等によって適切の他の回路構成を用いることができる。たとえば、電力変換部15は、フォワード形式やハーフブリッジ形式等であってもよい。
オペアンプ158の一方の入力には、可変電源回路159の出力が接続されている。オペアンプ158の他方の入力には、直列に接続された抵抗器160a,160bの接続ノードが接続されている。抵抗器160a,160bは、直列に接続され、この直列接続体の両端は、直流出力端子11c,11dに接続されている。
オペアンプ158の出力には、フォトカプラの発光部157が接続されている。電力変換部15は、AC−DCコンバータ10の直流出力端子11c,11dから出力される電圧を検出して、可変電源回路159が出力する電圧に一致するようにオペアンプ158の出力電圧または出力電流を制御する。フォトカプラの発光部157は、受光部151を駆動する。
可変電源回路159は、調光信号Sdに応じた基準電圧Vref1を出力する。たとえば、照明ユニット50の光量を最小に設定する調光信号Sdが入力された場合には、可変電源回路159は、最小基準電圧Vref1aを出力する。照明ユニット50の光量を最大にする調光信号Sdが入力された場合には、可変電源回路159は、最大基準電圧Vref1bを出力する。
抵抗器160a,160bの抵抗値をそれぞれRa,Rbとすると、AC−DCコンバータ10が出力する直流電圧VDCは、以下の式(1)のように表される。
VDC=(1+Ra/Rb)×Vref1 (1)
したがって、AC−DCコンバータ10は、調光信号Sdに応じて基準電圧Vref1を設定することによって、調光信号Sdに応じた直流電圧VDCを出力することができる。
(照明装置の構成)
図3は、本実施形態の照明システムの照明装置を例示するブロック図である。
図4は、照明装置の調光の特性例を表す模式的なグラフである。
図3に示すように、照明装置20は、電力変換部30と、照明ユニット50と、を含む。照明ユニット50は、電力変換部30の出力に接続されており、電力変換部30から直流電力の供給を受けて点灯する。
照明ユニット50は、発光素子52を含む。発光素子52は、複数含まれてもよく、その場合には、発光素子52は、直列に接続され、もしくは並列に接続され、または、直列接続されたものが並列に接続されていてもよい。
電力変換部30は、入力端子31a,31bと、出力端子31c,31dと、を含む。入力端子31a,31bには、配線4a,4bを介して、AC−DCコンバータ10の直流出力端子11c,11dが接続される。出力端子31c,31dには、照明ユニット50が接続されている。
電力変換部30は、入力端子31a,31bに入力される直流電圧VDC’に応じた出力電流IF’を照明ユニット50に供給する。直流電圧VDC’は、理想的には、AC−DCコンバータ10が出力する直流電圧VDCに等しい。したがって、照明装置20は、調光信号Sdにしたがう光量に対応する出力電流IFを出力する。しかし、配線4a,4bを流れる電流による電圧降下のため、電力変換部30に入力される直流電圧VDC’は、AC−DCコンバータ10から出力される直流電圧VDCよりも低い。そのため、電力変換部30は、直流電圧VDC’が入力された場合に、直流電圧VDCが供給されたときの出力電流IFを出力するように、直流電圧VDC’に対する出力電流の設定を補正する。
電力変換部30は、この例では、降圧電源回路である。電力変換部30は、入力コンデンサ32と、スイッチング素子33と、ダイオード34と、制御回路35と、コイル36と、平滑コンデンサ37と、オペアンプ38と、可変電源回路39と、抵抗器40と、を含む。
入力コンデンサ32の両端は、入力端子31a,31bに接続されている。入力コンデンサ32の両端は、スイッチング素子33およびダイオード34の直列回路に接続されている。スイッチング素子33とダイオード34との接続ノードには、コイル36の一端が接続されている。平滑コンデンサ37の両端には、コイル36の他端およびダイオードのアノードが接続されている。
上述の電力変換部30の回路形式は、入力電圧の範囲や出力電圧の範囲、出力する電力容量等によって適切に選定される。たとえば、電力変換部30の回路形式として、昇圧電源回路や、昇降圧電源回路等を用いてもよい。
抵抗器40は、この例では、低電位の出力端子31dと平滑コンデンサ37の低電位側の端子との間に接続されている。抵抗器40は、電力変換部30の出力電流IFを検出して、検出電圧Vsに変換する。抵抗器40は、出力電流IFを検出することができれば、他の箇所に接続されていてもよい。たとえば、高電位側の出力端子31cと平滑コンデンサ37の高電位側の端子との間に接続されてもよい。
オペアンプ38の一方の入力端子は、抵抗器40に接続されている。この入力端子によって、検出電圧Vsがオペアンプ38に入力される。オペアンプ38の他方の入力端子は、可変電源回路39の出力が接続されている。この入力端子によって、オペアンプ38には、可変電源回路39が出力する基準電圧Vref2が入力される。
制御回路35は、出力電流IFに比例した検出電圧Vsが、可変電源回路39が出力する基準電圧Vref2に等しくなるように、スイッチング素子33のオン時間またはオフ時間を設定する。制御回路35は、設定されたオン時間またはオフ時間でスイッチング素子33を駆動する。これによって、出力電流IFは、基準電圧Vref2によって設定された電流値に制御される。たとえば、最小の照明ユニット50の光量を最小にする最小直流電圧Vaが入力された場合には、可変電源回路39は、最小基準電圧Vref2aを出力する。最大の照明ユニット50の光量を最大にする最大直流電圧Vbが入力された場合には、可変電源回路39は、最大基準電圧Vref2bを出力する。
出力電流IFは、基準電圧Vref2によって以下のように表される。
IF=Vref2/Rs
ここで、Rsは、抵抗器40の抵抗値である。
電力変換部30は、直流電圧VDC’に対する出力電流IF’を設定し、その設定を補正して、出力電流IFを設定する電圧制御部41をさらに含む。電圧制御部41は、抵抗器411と、電圧測定部412と、電圧設定部413と、を含んでいる。
電圧制御部41は、高電位側の入力端子31aに接続されている。電圧制御部41は、可変電源回路39に接続されている。電圧制御部41は、入力端子31aから直流電圧VDC’を入力して、出力電流IFを出力するように、配線4a,4bに流れる電流による電圧降下分を補正する。
電圧測定部412は、抵抗器411を介して、高電位側の入力端子31aに接続されている。電圧測定部412は、抵抗器411を介して入力端子31a,31b間の直流電圧VDC’を測定する。
電圧設定部413は、記憶部414と、演算部415と、を含む。記憶部414は、たとえば、直流電圧VDCとその直流電圧VDCに対する出力電流IFとの組を含むテーブルを含む。このテーブルは、AC−DCコンバータ10が出力する直流電圧VDCと照明装置20の出力電流IFとの関係と同一である。直流電圧VDCは、AC−DCコンバータ10において、調光信号Sdに関連付けられているので、照明装置20は、このテーブルによって調光信号Sdにしたがう出力電流IFを出力することができる。
図4の実線の特性曲線Aに示すように、出力電流IFは、直流電圧VDCに対して単調に増加する。このテーブルは、直流電圧VDCの各値に対する出力電流IFの組として記憶部414に記憶されているたとえば、最小直流電圧Vaに対しては、最小の出力電流Ia、すなわち消灯が対応している。最大直流電圧Vbに対しては、最大の出力電流Ib、すなわち全点灯が対応している。
図4の実線の特性Bに示すように、直流電圧VDCが最大直流電圧Vb以上の場合には、出力電流IFは、最大出力電流Ibで一定となる。
なお、図4の一点鎖線の特性曲線Cに示すように、電力変換部30に入力される直流電圧VDCが最大直流電圧Vbよりも高い電圧Vc以上の場合には、出力することができる出力電流IFを低減するようにしてもよい。Vcよりも高い電圧Vdに達した場合には、過電圧入力であるとして、出力を遮断するようにしてもよい。
また、照明ユニット50がLED等の半導体発光素子を用いている場合には、低電流領域において、半導体発光素子は、電流変化に対する光量の変化が小さくなる。一方で、半導体発光素子は、印加電圧による光量の変化が大きくなる。そのため、最小直流電圧Vaよりも低い電圧Veを設定し、VeとVaとの間で電圧制御を行うことによって照明ユニット50の光量の制御を行うようにしてもよい。
電圧Va〜Veは、点灯する照明ユニット50に印加すべき電圧や、照明ユニット50に供給する電力等にもとづいて適切な値を任意に設定することができる。電圧Va〜Veを任意に設定することによって、電力変換部30の回路形式については、適切な形式を選定することができる。
本実施形態の照明システム100では、照明装置20は、配線4a,4b等による電圧降下のために、入力される直流電圧VDC’が、AC−DCコンバータ10から出力される直流電圧VDCよりも低い値となる。入力された直流電圧VDC’にしたがって出力電流が設定された場合には、照明装置20は、直流電圧VDCによって設定されるべき出力電流IFよりも低い値となる。
そこで、照明装置20は、既知の出力電流である最大出力電流Ibに対する直流電圧VDCである第1電圧値としての初期値VDC0および第2電圧値としての実測のVDC0’にもとづいて、直流電圧VDC’の補正値ΔVDCを計算する。照明装置20は、直流電圧VDCに応じた出力電流IFを出力するように、補正値ΔVDCを用いて直流電圧VDC’を補正する。
照明装置20は、補正値ΔVDCを取得するための補正モードを有する。照明装置20は、補正値ΔVDCを用いて直流電圧VDC’を補正し、出力電流IFを設定して出力する通常モードを有する。
記憶部414には、あらかじめ初期値VDC0が格納されている。初期値VDC0は、想定される最大の電圧降下が生じても直流電圧VDC’の値が少なくとも最大直流電圧Vbを下回らないように設定される。たとえば、初期値VDCは、最大直流電圧Vbよりも大きい判定電圧Vgを下回らないように設定される。記憶部414には、補正モードにおいて計算された補正値ΔVDCが格納される。補正モードおよび通常モードにおいて、取得される直流電圧のデータを記憶部414に格納するようにしてもよい。
演算部415は、照明装置20が補正モードで動作するか通常動作を行うかを判定する。この例では、補正モードは、照明装置20に入力される直流電圧VDC’の実測値VDC0’が所定の値以上であるか否かで判定される。好ましくは、この判定電圧Vgは、最大直流電圧Vbよりも高い値に設定される。
演算部415は、通常の動作のときには、補正値ΔVDCを用いて直流電圧VDC’の値を補正して、直流電圧VDCによって設定される出力電流IFを出力するように設定する。
演算部415は、プログラムにしたがって各ステップを実行する回路素子等であり、たとえばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等である。記憶部414は、半導体メモリでもよく、磁気記憶素子からなる記憶装置等であってもよい。記憶部414には、上述のテーブル等のほかに演算部415で実行するプログラムを格納することができる。
(照明システムおよび照明装置の動作)
本実施形態の照明システム100および照明装置20の動作について説明する。
図5(a)および図5(b)は、照明システムの動作を説明するための模式的なブロック図である。
図6は、照明装置の動作を説明するための、照明装置の調光の特性例を表す模式的なグラフである。
図7は、照明装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図5(a)に示すように、照明システム100には、AC−DCコンバータ10と、照明装置20とを接続する配線4a,4bは、有限の抵抗値r1〜r8を有する。この例では、照明装置20(201〜204)は、4台接続されている。照明装置201は、AC−DCコンバータ10にもっとも近い位置に配置されている。他の照明装置は、照明装置202,203,204の順で照明装置201からさらに離れて配置されている。すべての照明装置201〜204は、調光装置2によって設定された調光信号Sdによって設定された同一の光量で点灯する。
配線4a,4bの抵抗値r1〜r8は、配線の断面積が一定の場合には、配線4a,4bの長さに比例して大きくなる。つまり、AC−DCコンバータ10と照明装置201〜204との距離が離れるほど、配線4a,4bの抵抗値r1〜r8は加算されて大きくなる。そのため、照明装置201〜204にそれぞれ入力される直流電圧VDC1’〜VDC4’は、照明装置201〜204の配置等によって変化し、直流電圧VDC1’〜VDC4’の補正を行わない場合には、照明装置201〜204ごとに光量が異なることとなる。
図5(a)を簡略化した図5(b)を用いて、本実施形態の照明装置20の動作を説明する。図5(b)に示すように、AC−DCコンバータ10は、調光信号Sdに応じて出力電圧VDCを出力する。配線4a,4bは、抵抗値rを有する。照明装置20は、AC−DCコンバータ10から配線4a,4bを介して、入力電流Iが供給される。照明装置20の入力端子31a,31b間には、直流電圧VDC’が印加される。照明装置20は、電力変換部30の電圧制御部41が照明ユニット50に出力電流IFを供給するように、この直流電圧VDC’を補正する。
図6では、照明装置20に入力される直流電圧VDC’に対する出力電流IFの特性曲線が示されている。実線の特性曲線A,Bは、図4の特性曲線と同一である。照明装置20の記憶部414には、この特性を含むテーブルが格納されている。電圧値Va,Vb,Vgは、図4における電圧値と同一であり、特性曲線A,Bも図の特性曲線A,Bと同一である。
照明装置20は、補正モードか否かを、入力された直流電圧VDC’の大きさによって判定する。直流電圧VDC’が補正モードの判定電圧Vg以上の場合には、この直流電圧VDC’は、実測値VDC0’として記憶部414に格納される。
初期値VDC0は、出力電流IFが最大出力電流Ibとなる直流電圧VDCのうち補正モードのために設定された値であり、あらかじめ記憶部414に格納されている。
演算部415は、初期値VDC0および実測値VDC0’にもとづいて、補正値ΔVDCを計算し、計算した補正値ΔVDCを記憶部414に格納する。補正値ΔVDCは、最大出力電流Ibにおける補正値である。したがって、照明装置20に入力される直流電圧VDC’は、出力電流IF(=Ib)を設定するために、Vb’=Vb−ΔVDCに補正される。
照明装置20は、入力された直流電圧VDC’が補正モードの判定電圧Vgよりも低い場合には、通常モードで動作を行う。直流電圧VDCの電圧降下は、図5(b)に示したようにr×Iであり、配線4a,4bに流れる電流Iによって変化する。そのため、照明装置20に入力される直流電圧VDC’は、電流Iに依存する。つまり、補正値ΔVDCは、電流Iの関数となる。そこで、通常モードにおける補正は、電流Iの分を見込んで行う。つまり、直流電圧VDC’ごとに補正値ΔVDCを修正するようにしてもよい。たとえば、既知のVa,Ia、Vb,IbおよびVb’,Ibにもとづいて、フィッティングを行い、所定の出力電流IFに対応する直流電圧VDCの値を補正する。そして、図6の一点鎖線の特性曲線A’を得て、直流電圧VDC’と特性曲線A’を用いて直流電流IFを演算してもよい。また、演算部415は入力された直流電圧VDC’を、補正値ΔVDCを用いて補正してもよい。すなわち、特性曲線A’における直流電圧VDC’に対する出力電流IFと同じ値になるように、直流電圧VDC’を補正し、特性曲線Aを使って直流電流IFを演算してもよい。以下、直流電圧VDC’を補正値ΔVDCで補正し、特性曲線Aに基づいて直流電流IFを演算する方法で説明するが、特性曲線A自体を補正して特性曲線A’を用いて直流電流IFを演算してもよいし、直流電圧VDC’を補正して特性曲線Aを用いて直流電流IFを演算してもよい。
図7のフローチャートを用いて、全体の手順について、より具体的に説明する。本実施形態の照明システム100では、たとえば照明システム100の施工時に補正モードを用いて、照明装置20ごとに直流電圧VDC’の補正値ΔVDCを計算する。
補正モードでは、AC−DCコンバータ10は、最大出力電流Ibを出力する直流電圧VDCである初期値VDC0を出力するように設定される。たとえば、照明システム100の施工時に施工を行う者は、AC−DCコンバータ10が初期値VDC0を出力するように設定する。式(1)にもとづいて、Vref1の値を設定したり、Ra,Rbの比率を変更したりすることによって、初期値VDC0を設定することができる。Vref1の値を設定するために、たとえば調光装置2によって、補正モードの設定ができるようにしてもよい。あるいは、AC−DCコンバータ10に、補正モードの動作を行うための設定スイッチ等をあらかじめ設けるようにしてもよい。
図7のフローチャートでは、ステップS1〜S4が補正モードの動作に対応し、補正モードにおいて、照明装置20は、補正値ΔVDCを計算して記憶部414に格納する。
初期値VDC0がAC−DCコンバータ10から出力されると、ステップS1において、電圧制御部41の電圧測定部412は、入力された直流電圧VDC’を測定する。
ステップS2において、演算部415は、測定された直流電圧VDC’が電圧値Vgよりも小さいか否かを判定する。補正モードの場合には、直流電圧VDC’は、補正モードの判定電圧Vg以上の値を有するので、演算部415は、ステップS3へ状態を遷移させる。
ステップS3において、演算部415は、測定された直流電圧VDC’を実測値VDC0’のデータとして記憶部414に格納する。
ステップS4において、演算部415は、実測値VDC0’のデータおよび初期値VDC0のデータを読み出して、補正値ΔVDCを計算し、計算結果を記憶部414に格納する。
以上のようにして、補正モードの動作が完了する。
次に通常モードの動作について説明する。通常モードでは、照明装置20には、最大直流電圧Vb以下の直流電圧VDC’が入力される。
ステップS1において、電圧測定部412は、入力された直流電圧VDC’を測定する。
ステップS2において、演算部415は、測定された直流電圧VDC’が補正モードの判定電圧Vgよりも小さいか否か判定する。
通常モードにおける動作のため、ステップS2では、直流電圧VDC’は、補正モードの判定電圧Vgよりも低いと判定され、演算部415は、状態をステップS5に遷移させる。
ステップS5において、演算部415は、入力されている直流電圧VDC’が最小直流電圧Va以上であるか否かを判定する。直流電圧VDC’が最小直流電圧Va以上の場合には、演算部415は、状態をステップS6に遷移させる。
直流電圧VDC’が最小直流電圧Vaよりも低い場合には、演算部415は、状態をステップS7に遷移させる。ステップS7において、演算部415は、可変電源回路39が最小基準電圧Vref2aを出力するように制御信号を出力する。照明ユニット50は消灯し、演算部415は、状態をステップS1に遷移させる。
直流電圧VDC’が最小直流電圧Va以上と判定された場合には、ステップS6において、演算部415は、直流電圧VDC’が最大直流電圧Vbよりも低いか否かを判定する。
演算部415は、直流電圧VDC’が最大直流電圧Vb以上と判定した場合には、ステップS8に状態を遷移させる。ステップS8において、演算部415は、可変電源回路39が最大基準電圧Vref2bを出力するように制御信号を出力する。照明ユニット50は全点灯し、演算部415は、状態をステップS1に遷移させる。
演算部415は、直流電圧VDC’が最大直流電圧Vbよりも低いと判定した場合には、ステップS9に状態を遷移させる。ステップS9において、演算部415は、記憶部414から補正値ΔVDCを読み出し、電流に対する補正をさらに行い、直流電圧VDC’に加算し、補正後の直流電圧VDC1’を計算する。
ステップS10において、演算部415は、補正値ΔVDCによって補正された直流電圧に対応する出力電流をテーブルから検索して、検索された出力電流に応じた基準電圧Vref2を出力するように、可変電源回路39に制御信号を供給する。
このようにして、AC−DCコンバータ10から出力された直流電圧VDCによって設定される出力電流IFとなるように、照明装置20は、直流電圧VDC’と出力電流IF’との関係を補正して出力する。
なお、上述では、電圧値の初期値VDC0および実測値VDC0’は、最大出力電流Ibにおける値としたが、これに限らない。たとえば、調光度が50%に相当する出力電流IFの場合に初期値を設定し、直流電圧を測定して実測値としてもよい。ただし、この場合には、初期値を設定する出力電流と、直流電圧を実測する際の出力電流が異なるため、最大出力電流Ibにおける初期値および実測値を用いた場合に比べて、補正誤差が大きくなる場合がある。
上述では、直流電圧VDC’を取得するごとに、補正を行うこととしたが、補正モードの段階において、直流電圧VDC’および出力電流IFの組を含むテーブル自体を補正値ΔVDCにもとづいて更新するようにしてもよい。
本実施形態の照明システムおよび照明装置の作用および効果について説明する。
本実施形態の照明装置20は、記憶部414と演算部415とを含む電圧制御部41を含む。そのため、演算部415は、入力された直流電圧の実測値VDC0’、および直流電圧VDCの初期値VDC0にもとづいて、直流電圧VDC’に対する補正値ΔVDCを計算することができる。演算部415は、補正値ΔVDCを記憶部414に格納し、必要なときに補正値ΔVDCを読み出すことによって、照明装置20に入力された直流電圧VDC’を補正して、適切な出力電流IFを設定することができる。したがって、照明装置20は、配線4a,4bにおける電圧降下にかかわらず、調光信号Sdで設定された出力電流IFを得ることができ、照明ユニット50を所望の光量で点灯させることができる。
上述の補正動作は照明装置ごとに行うことができるので、AC−DCコンバータ10が出力する直流電圧VDCの値に応じて、複数の照明装置20のそれぞれは、同一の出力電流IFを設定し、同一の光量で照明ユニット50を点灯させることができる。したがって、調光用の配線を増設することなく、2線式調光方式を用いた施設照明を容易に施工することができる。
本実施形態の照明装置20は、全点灯時の出力電流における直流電圧である最大直流電圧Vb以上の電圧範囲では、出力電流IFが一定となる特性を有する。そのため、全点灯時のおける出力電流Ibに対する初期値VDC0および直流電圧VDC’の実測値にもとづいて補正値ΔVDCを得ることができ、出力電流に対する補正の誤差を小さくすることができる。
本実施形態の照明システムでは、初期値VDC0および実測値VDC0’の値を通常用いる直流電圧の範囲よりも高い値としているので、たとえば照明システムの施工時等で補正値ΔVDCを取得する。そのため、通常動作時においては、低い電圧範囲で動作させることができ、安全に利用することができる照明システムが実現される。
本実施形態の照明システムでは、施工時に補正値ΔVDCを取得する場合には、施工後の通常動作において、直流電圧VDC’の補正に要する時間が短くて済み、自然な調光制御を実現することができる。
最小直流電圧Vaおよび最大直流電圧Vbをそれぞれ任意に設定することができるので、照明ユニット50の印加電圧や消費電力等に応じて、適切な回路方式を選定することができ、回路規模の削減等を通して、コストを低減することが可能になる。
上述では、LEDやOLED等の電流制御形の発光デバイスを含む照明ユニットの調光を行う場合について説明したが、電流制御を電圧制御に置き換えることによって、白熱電球を含む電圧制御形の発光デバイスの調光制御を同様に行うことができる。
(第2の実施形態)
図8は、本実施形態の照明システムを例示するブロック図である。
図9(a)は、本実施形態の照明システムのAC−DCコンバータの一部を例示するブロック図である。図9(b)は、本実施形態の照明システムの照明装置の一部を例示するブロック図である。
図10は、照明装置の動作を説明するためのフローチャートである。
第1の実施形態の照明システムの場合には、照明システムの施工時や導入時に、AC−DCコンバータが出力する補正値取得用の直流電圧VDC0によって、直流電圧VDC’のための補正値ΔVDCを取得した。この場合には、補正値ΔVDCを取得した後には、照明システムおよび照明装置は、補正モードで動作することはない。本実施形態の照明システムでは、電源投入ごとに補正値ΔVDCを取得する。
図8に示すように、本実施形態の照明システム100aは、AC−DCコンバータ10aと、照明装置20aと、を備える。本実施形態の照明システム100aでは、交流電源1とAC−DCコンバータ10aとの間に電源の投入および遮断のための電源スイッチ6が設けられている。電源スイッチ6は、機械式スイッチでもよく、リレーや半導体スイッチ等を用いたものでもよい。電源スイッチ6は、照明システム100aへの電力供給と電力遮断を行えればよく、接続位置は他の位置であってもよい。
本実施形態の照明システム100aでは、電源スイッチ6の投入によって起動し、起動時に補正値ΔVDCを取得する。つまり、照明システム100aの起動のたびに、補正値ΔVDCが取得される。
図9(a)に示すように、AC−DCコンバータ10aの電力変換部15aでは、出力電圧制御のための構成が第1の実施形態の場合と相違する。AC−DCコンバータ10aは、タイマ回路161をさらに含む。
タイマ回路161の出力は、この例では、調光装置2の出力に接続されており、可変電源回路159に制御信号を供給する。調光信号Sdは、調光度Dに関連したアナログの電圧値を有する。タイマ回路161の出力と調光装置2の出力とのうち、より高い電圧が可変電源回路159の制御信号となる。つまり、タイマ回路161の出力と調光装置2の出力とは、ワイアードOR接続されている。
タイマ回路161は、タイマ時間t0を有している。タイマ回路161は、電源投入により動作を開始し、タイマ時間t0が経過すると、動作を停止する。タイマ回路161が動作すると、タイマ回路161は、調光装置2が出力する調光信号Sdの電圧値よりも高い電圧を出力する。可変電源回路159は、タイマ回路161から出力される電圧で決定される基準電圧Vref1を出力する。式(1)にしたがって、AC−DCコンバータ10aは、直流電圧VDC0を出力する。タイマ回路161が動作を停止すると、タイマ回路161の出力はハイインピーダンスとなり、可変電源回路159には、調光装置2から調光信号Sdが入力される。
起動時にAC−DCコンバータ10aが初期値VDC0を出力するための構成については、上述に限らない。たとえば、調光装置2がAC−DCコンバータ10aの起動を検出し、起動時から一定の時間t0、初期値VDC0を出力するように可変電源回路159を設定する等してもよい。
図9(b)に示すように、照明装置20aの電力変換部30aは、第1の実施形態の照明装置20の電圧制御部41とは異なる電圧制御部41aを含む。電圧制御部41aは、電圧設定部413aを含んでおり、電圧設定部413aは、記憶部414aと、演算部415aと、を含んでいる。
記憶部414aおよび演算部415aは、第1の実施形態の場合と異なる手順の処理を実行する。たとえば演算部415aがCPU等の場合には、記憶部414aに第1の実施形態の場合とは異なるプログラムが格納されており、このプログラムが演算部415a上で動作する。
本実施形態の照明システムおよび照明装置の動作について説明する。
図10に示すように、本実施形態の照明システムは、補正モードと通常モードとを有する。ステップS11〜S15では、補正モードの処理が実行される。補正モードの処理では、照明装置20aに入力される直流電圧VDC’のための補正値ΔVDCを計算する。ステップS16〜S22では、通常モードの処理が実行される。通常モードの処理では、補正値ΔVDCを用いて、直流電圧VDC’を補正し、出力電流IFを設定する。
ステップS11において、電源スイッチ6が投入されて、AC−DCコンバータ10aおよび照明装置20aは起動する。起動時には、AC−DCコンバータ10aは、タイマ時間t0の間、初期値VDC0を出力する。
ステップS12において、照明装置20aの電圧測定部412は、電力変換部30の入力端子31a,31b間に印加されている直流電圧VDC’を測定する。
ステップS13において、演算部415aは、直流電圧VDC’の測定時間がタイマ時間t0を経過したか否かを判定する。タイマ時間t0を経過していない場合には、演算部415aは、ステップS14に状態を遷移させる。
ステップS14において、演算部415aは、タイマ時間t0の間に測定された直流電圧VDC’を補正のための実測値VDC0’として記憶部414aに格納する。
ステップS15において、演算部415aは、記憶部414aに格納された実測値VDC0’およびあらかじめ記憶部414aに格納されている初期値VDC0を読み出して、これらの差をとり、補正値ΔVDCとして記憶部414aに格納する。
ステップS13で、演算部415aは、タイマ時間t0を経過したことを検出した場合には、ステップS16に状態を遷移させる。AC−DCコンバータ10aの出力は、初期値VDC0から調光信号Sdによって設定された直流電圧VDCに切り替わる。以上、補正モードは完了する。
ステップ16においては、AC−DCコンバータ10aは、直流電圧VDCを出力しており、電圧測定部412は、直流電圧VDCに応じて入力されている直流電圧VDC’の値を測定する。
ステップS17において、演算部415aは、直流電圧VDC’が最小直流電圧Va以上であるか否かを判定する。直流電圧VDC’が最小直流電圧Va以上の場合には、演算部415aは、ステップS18に状態を遷移させる。直流電圧VDC’が最小直流電圧Vaよりも低い場合には、演算部415aは、ステップS19に状態を遷移させる。ステップS19では、演算部415aは、可変電源回路39に対して最小基準電圧Vref2aを出力するように制御信号を出力する。照明ユニット50は消灯する。
ステップS18において、演算部415aは、直流電圧VDC’が最大直流電圧Vbよりも低いか否かを判定する。直流電圧VDC’が最大直流電圧Vbよりも低い場合には、演算部415aは、ステップS20に状態を遷移させる。直流電圧VDC’が最大直流電圧Vb以上の場合には、演算部415aは、ステップS21に状態を遷移させる。ステップS21においては、演算部415aは、可変電源回路39に対して最大基準電圧Vref2bを出力するように制御信号を出力する。照明ユニット50は全点灯する。
ステップS20において、演算部415aは、記憶部414aから補正値ΔVDCを読み出して、電流に対する補正をさらに行い、直流電圧VDC’に加算する。
ステップS22において、演算部415aは、補正値ΔVDCによって補正された直流電圧VDC1’に対応する出力電流IF1をテーブルから検索して、検索された出力電流IF1に応じた基準電圧Vref2を出力するように、可変電源回路39に制御信号を供給する。
このようにして、AC−DCコンバータ10から出力された直流電圧VDCによって設定される出力電流IFとなるように、照明装置20は、直流電圧VDC’と出力電流IF’との関係を補正して出力する。
本実施形態の照明システムおよび照明装置の作用および効果について説明する。
本実施形態の照明システムおよび照明装置では、演算部415aは、電源の投入ごとに補正値ΔVDCを計算し、記憶部414aに格納する。そのため、電源の投入前後で配線4a,4bが有する抵抗値や、配線4a,4bに流れる電流に変更があった場合でも、自動的に適正な補正値ΔVDCを用いて直流電圧VDC’を補正することができる。
施設用の照明システムでは、照明装置間の配線の変更や、照明装置の増設、削減等を行う場合がある。本実施形態の照明システムおよび照明装置では、電源の投入ごとに自動的に補正値ΔVDCを取得することができるので、照明システムの調整に対する省力化が可能になる。
以上説明した実施形態によれば、LEDやOLED等の調光制御を簡素な2線式で行うことができる照明装置および照明システムを実現することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。