以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る点灯装置を模式的に表すブロック図である。
図2(a)は、図1の点灯装置の主要部を模式的に表すブロック図である。図2(b)は、第1の実施形態の点灯装置において、保護回路の一例を示す回路図である。
図3(a)は、第1の実施形態の点灯装置の主要部の具体的な回路の一例を示す回路図である。図3(b)は、図3(a)の回路例にしたがって計算した出力特性の例である。図3(c)は、図3(a)の回路例にしたがって主要部の電圧値を計算した例である。
図1に表したように、点灯装置10は、制御部12と、電力供給部16と、検出部18と、を備える。点灯装置10は、接続部14をさらに備えるようにしてもよい。
点灯装置10は、たとえば、交流電源4に電気的に接続される。点灯装置10には、交流電源4から交流電力が供給される。交流電源4は、たとえば、商用電源である。交流電源4は、たとえば、自家発電機などでもよい。なお、点灯装置10に供給される電力は、直流電力であってもよい。点灯装置10に供給される電力が直流電力である場合は、後述する整流回路26が省略される。以下では、点灯装置10に交流電力が供給される場合を例に説明を行う。
点灯装置10は、光源モジュール100と電気的に接続される。点灯装置10は、交流電源4から供給される交流電力を光源モジュール100に対応した直流電力に変換して光源モジュール100に供給する。これにより、点灯装置10は、光源モジュール100を点灯させる。光源モジュール100は、たとえば1つ以上の光源102を含む。光源モジュール100が複数の光源102を含む場合には、各光源102は、直列に接続される。
接続部14は、光源モジュール100の接続部104と着脱可能に接続され、光源モジュール100と電気的に接続される。接続部14は、たとえばコネクタである。後述するように、接続部104を有する光源モジュール100は、異なる種類の光源を含んでいてもよい。光源モジュール100は、異なる明るさおよび色温度を有する光源を有することによって、光源モジュール100の動作に必要な電流値および動作時の電圧値が相違していてもよい。異なる種類の光源モジュール100であっても、点灯装置10の接続部14と着脱可能に接続することができるので、点灯装置10から供給される電流値および電圧値は、種類ごとに異なる場合があってもよい。
電力供給部16は、第1入力端子16aと、第2入力端子16bと、第1出力端子16cと、第2出力端子16dと、を有する。第1入力端子16aは、平滑コンデンサ34の高電位側の一端と電気的に接続される。第2入力端子16bは、平滑コンデンサ34の低電位側と電気的に接続される。これにより、電力供給部16には、直流電圧が供給される。
電力供給部16は、後述する整流回路26および平滑コンデンサ34によって交流電源4からの交流電力が変換された直流電力を入力し、これと異なる直流電力に変換して出力する。そして、電力供給部16は、第1出力端子16cと第2出力端子16dとから変換された直流電力を、検出部18、接続部14および光源モジュール100の接続部104を介して光源モジュール100に供給する。電力供給部16が出力する直流電圧の電圧値は、たとえば、入力電圧の電圧値よりも低く設定される。
電力供給部16に入力される入力電力は、脈流電力や交流電力でもよい。たとえば、入力電力が交流である場合、電力供給部16は、入力電力を整流する整流器や整流された電圧を平滑する平滑コンデンサなどを含んでもよい。
電力供給部16は、たとえば、スイッチング素子45と、ダイオード46と、インダクタ47と、出力コンデンサ48と、を含む。スイッチング素子45は、電極45aと、電極45bと、電極45cと、を含む。電極45aは、第1入力端子16aと電気的に接続されている。電極45bは、ダイオード46のカソードと電気的に接続されている。ダイオード46のアノードは、低電位出力端子26dと電気的に接続されている。インダクタ47の一端は、電極45bと電気的に接続されている。インダクタ47の他端は、第1出力端子16cと電気的に接続されている。第2出力端子16dは、低電位出力端子26d(第2入力端子16b)と電気的に接続されている。
出力コンデンサ48は、第1電極48aと、第2電極48bと、を含む。第1電極48aは、第1出力端子16cと電気的に接続されている。第2電極48bは、第2出力端子16dと電気的に接続されている。出力コンデンサ48は、第1出力端子16cと第2出力端子16dとの間に並列に接続される。出力コンデンサ48は、スイッチング素子45のスイッチングによって、スイッチング素子45の各電極45a、45b間に流れる電流を平滑化する。これにより、第1出力端子16cおよび第2出力端子16dから直流電力が出力される。
この例において、電力供給部16は、降圧チョッパ回路である。電力供給部16は、入力電圧を降圧することにより、直流電圧を生成する。電力供給部16は、たとえば、定電流回路であり、実質的に一定の電流を光源モジュール100に供給する。
第1出力端子16cは、高電位側の出力端子であり、第2出力端子16dは、低電位側の出力端子である。第1出力端子16cの電位は、第2出力端子16dの電位よりも高い。これにより、第1電極48aの電位は、第2電極48bの電位よりも高く設定される。出力コンデンサ48は、たとえばアルミ電解コンデンサであり、第1電極48aは、陽極であり、第2電極48bは、陰極である。なお、これとは反対に、第2出力端子16dの電位を第1出力端子16cの電位より高くしてもよい。
接続部14は、第1接続端子14aと、第2接続端子14bと、を有する。第1接続端子14aは、電力供給部16の第1出力端子16cと電気的に接続されている。第2接続端子14bは、電力供給部16の第2出力端子16dと電気的に接続されている。
電力供給部16は、抵抗器(第1検出部)51をさらに含む。抵抗器51は、第2入力端子16bと出力コンデンサ48の第2電極48bとの間に電気的に接続されている。換言すれば、抵抗器51は、ダイオード46のアノードと出力コンデンサ48の第2電極48bとの間に電気的に接続されている。第2出力端子16dは、抵抗器51を介して低電位出力端子26dと電気的に接続される。抵抗器51は、点灯装置10の接続部14と、光源モジュール100の接続部104とを接続することによって、点灯装置10の負荷として光源モジュール100を接続した場合に、光源モジュール100に流れる電流の経路に直列に接続される。
制御部12は、抵抗器51と電気的に接続されている。抵抗器51の両端に発生する電圧が、検出電圧Vdet1として後述する加算部72に入力される。制御部12は、検出電圧Vdet1に基づいて、インダクタ47に流れる電流を検出する。すなわち、抵抗器51は、インダクタ47に流れる電流を検出するための電流検出抵抗である。抵抗器51の抵抗値は、たとえば1Ωである。インダクタ47に流れる電流の電流値が200mAの場合には、検出電圧Vdet1は、0.2V(200mA×1Ω)となる。
制御部12は、駆動回路60を含む。駆動回路60は、スイッチング素子45の電極45cと電気的に接続されている。電極45cは、いわゆる制御電極である。駆動回路60は、スイッチング素子45のスイッチングを制御する。すなわち、駆動回路60は、スイッチング素子45のオン・オフを切り替える。駆動回路60は、電極45cに入力する電圧(制御信号)によって、スイッチング素子45のオン・オフを切り替える。駆動回路60は、たとえば、スイッチング素子45をスイッチングさせることにより、直流電圧を出力コンデンサ48の各電極48a、48b間に生じさせる。これにより、電力供給部16から光源モジュール100に電力が供給される。
ここで、スイッチング素子45のオフ状態とは、たとえば、主電極である電極45a、45bの間に実質的に電流が流れない状態であるが、電力供給部16の動作に影響を与えない程度の微弱な電流が電極45a、45bの間に流れてもよい。すなわち、スイッチング素子45のオン状態とは、換言すれば、電極45a、45bの間に電流が流れる第1状態であり、オフ状態とは、電極45a、45bの間に流れる電流が、第1状態よりも小さい第2状態である。
駆動回路60は、たとえば、スイッチング素子45をオフ状態にすることにより、電力供給部16から光源モジュール100への電力の供給を停止させる。
制御部12は、後述する検出部18によって、抵抗器51で検出された出力電流に比例する検出電圧Vdet1と、出力電圧に比例する検出電圧Vdet2との実質的な加算値を制御対象電圧として入力される。制御対象の電圧が検出電圧Vdet3である。たとえば、あらかじめ設定された基準電圧Vref1と検出電圧Vdet3とを比較して、検出電圧Vdet3が基準電圧Vref1と等しくなるように駆動回路60を制御して、スイッチング素子45のオン・オフの周期(デューティ比)を変化させる。これによって、点灯装置10は、電力供給部16に入力される電圧が変化しても、出力される直流電流を一定に維持することができる。また、光源モジュール100を構成する光源102の直列数が変化しても、出力される直流電流を一定に維持することができる。抵抗器51の抵抗値を変化させることによって、光源モジュール100に供給する電流を変えることもできる。
制御部12は、1チップ化された1つの集積回路で構成してもよいし、複数の集積回路を組み合わせて構成してもよい。駆動回路60は、1つの集積回路内に設けられた論理ブロックでもよいし、独立した制御ICでもよい。
スイッチング素子45は、たとえば、nチャネル形のMOSFETであり、電極45aは、ドレインであり、電極45bは、ソースであり、電極45cは、ゲートである。スイッチング素子45は、たとえば、pチャネル形のFETでもよいし、バイポーラトランジスタやIGBTなどでもよい。
電力供給部16は、上記の回路に限ることなく、直流電力を光源モジュール100に対して供給可能な任意の回路でよい。
検出部18は、図2(a)に示すように、電圧検出部(第2検出部)71と加算部(第3検出部)72とを有する。電圧検出部71は、第1出力端子16cと第2出力端子16dとの間に接続された抵抗器71aと、抵抗器71aと第2出力端子16dとの間に接続された抵抗器71bとを含む。2つの抵抗器71a,71bは、直列に接続され、両端が第1出力端子16cおよび抵抗器51を介して第2出力端子16dにそれぞれ接続されている。加算部72は、一端が抵抗器51の検出電圧Vdet1の電位を発生しているノード50に接続され、他端が電圧検出部71の2つの抵抗器71a,71bの検出電圧Vdet2の電位を発生しているノード73に接続された抵抗器72a,72bを含んでいる。抵抗器72a,72bは、直列に接続されている。抵抗器72a,72bが接続されているノード74からは、第3検出電圧Vdet3が出力される。ノード74は、制御部12に電気的に接続され、第3検出電圧Vdet3が制御部12に入力される。したがって、ノード73,74の電圧は、電流検出のための抵抗器51の一端の電圧(ノード50の電圧)に、点灯回路10の出力電圧Voに応じて加算された電圧として表される。
制御部12では、たとえば、図2(b)に示すように、ノード74の出力は、基準電圧Vref2が反転入力に接続されたコンパレータ61の非反転入力に接続される。コンパレータ61の出力は、ラッチ回路62のセット入力に接続されている。ラッチ回路62の出力は、駆動回路60に接続されている。この例においては、ノード74の電圧値が基準電圧値Vref2を上回ると、駆動回路60の動作を停止するようにラッチ回路62の出力がセットされる。駆動回路60の動作が停止することによってスイッチング素子45がオフ状態となって、電力供給部16の動作が停止する。そのため点灯装置10は、光源モジュール100への電力供給を停止する。
点灯装置10は、フィルタ回路24、整流回路26、突入防止回路28、電源電圧検出回路30、力率改善回路32、平滑コンデンサ34、および、制御用電源回路36をさらに含む。これらの各部は、点灯装置10に必要に応じて設けられ、省略可能である。
フィルタ回路24は、交流電源4と電気的に接続される。フィルタ回路24は、たとえば、交流電源4から供給される交流電力に含まれるノイズを抑制し、点灯装置10の回路がスイッチング動作することによって発生するノイズが交流電源4の側に流出するのを合わせて防止する。
整流回路26は、フィルタ回路24に電気的に接続される。整流回路26は、フィルタ回路24を介して入力された交流電圧を整流して整流電圧に変換する。整流回路26には、例えば、4つの整流素子を組み合わせたダイオードブリッジが用いられる。すなわち、整流回路26は、全波整流器である。整流電圧は、たとえば、脈流電圧である。
整流回路26は、一対の入力端子26a,26bと、高電位出力端子26cと、低電位出力端子26dと、を有する。入力端子26a,26bは、フィルタ回路24と電気的に接続されている。整流回路26は、入力端子26a,26bを介して入力される交流電圧を整流し、高電位出力端子26cおよび低電位出力端子26dから出力する。低電位出力端子26dの電位は、基準電位(例えば接地電位)に設定される。高電位出力端子26cの電位は、低電位出力端子26dの電位よりも高い電位に設定される。整流回路26は、たとえばダイオードブリッジを用いた全波整流回路である。
整流回路26は、半波整流器などでもよい。整流後の電圧は、全波整流された脈流でもよいし、半波整流された脈流でもよい。
突入防止回路28は、高電位出力端子26cと電気的に接続されている。突入防止回路28は、電源投入時に生じる突入電流を抑制する。突入防止回路28は、たとえば温度上昇にともなって抵抗値が低下するNTCサーミスタ等である。
電源電圧検出回路30は、突入防止回路28の出力に接続されている。電源電圧検出回路30は、たとえば、突入防止回路28の出力と低電位出力端子26dとの間に接続される。電源電圧検出回路30は、交流電源4から供給される交流電圧の異常を検出する。電源電圧検出回路30は、たとえば、整流回路26で整流された電圧を基に、交流電圧の異常を検出する。電源電圧検出回路30は、たとえば、整流回路26の出力電圧の実効値が所定の範囲内にあるか否かを判定し、所定の範囲内にないときに、交流電圧を異常と判定する。すなわち、電源電圧検出回路30は、交流電圧の実効値が過度に小さいときや過度に大きいときに、交流電圧を異常と判定する。
電源電圧検出回路30は、制御部12と電気的に接続されている。電源電圧検出回路30は、交流電圧の異常の検出結果を示す信号を制御部12に出力する。制御部12は、電源電圧検出回路30によって交流電圧の異常が検出されたときに、電力供給部16に光源モジュール100への直流電力の供給を停止させる。これにより、たとえば、異常な電圧の印加による光源モジュール100の故障などを抑制することができる。
力率改善回路32は、突入防止回路28の出力と低電位出力端子26dとの間に接続される。力率改善回路32は、整流回路26の出力電圧を入力して、電源周波数の整数倍の高調波の発生を抑制電圧を出力する。これにより、力率改善回路32は、整流電圧の力率を改善する。
力率改善回路32は、たとえば、スイッチング素子41と、インダクタ42と、ダイオード43と、を含む。スイッチング素子41は、電極41a〜電極41cを有する。インダクタ42の一端は、突入防止回路28の出力(高電位出力端子26c)と電気的に接続されている。インダクタ42の他端は、電極41aと電気的に接続されている。電極41bは、低電位出力端子26dと電気的に接続されている。ダイオード43のアノードは、電極41aと電気的に接続されている。ダイオード43のカソードは、平滑コンデンサ34の一端と電気的に接続されている。平滑コンデンサ34の他端は、低電位出力端子26dと電気的に接続されている。すなわち、この例において、力率改善回路32は、昇圧チョッパ回路である。力率改善回路32は、これに限ることなく、整流電圧の力率を改善することができる任意の回路でよい。
電極41cは、制御部12と電気的に接続されている。電極41cは、いわゆる制御電極である。スイッチング素子41は、制御部12からの信号に応じてスイッチングする。力率改善回路32は、たとえば、スイッチング素子41をスイッチングさせ、入力電流を正弦波の半波波形に近づけることにより、力率を改善する。
スイッチング素子41は、たとえば、nチャネル形のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。たとえば、電極41aは、ドレインであり、電極41bは、ソースであり、電極41cは、ゲートである。スイッチング素子41は、例えば、pチャネル形のMOSFETでもよいし、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでもよい。
平滑コンデンサ34は、力率改善後の脈流電圧を平滑化することにより、脈流電圧を直流電圧に変換する。
制御用電源回路36は、たとえば、平滑コンデンサ34の高電位側の一端と電気的に接続される。これにより、制御用電源回路36には、平滑コンデンサ34によって平滑された直流電圧が入力される。制御用電源回路36は、平滑コンデンサ34によって平滑された直流電圧を、制御部12の駆動電圧に変換して、制御部12に供給する。制御部12は、制御用電源回路36からの電力供給に応じて駆動する。
点灯装置10は、調光回路55をさらに含む。調光回路55には、たとえば、外部の壁スイッチなどから調光信号が入力される。調光信号は、たとえば、調光器などによって導通角制御された交流電圧などでもよい。調光回路55は、制御部12と電気的に接続されている。調光回路55は、たとえば、調光信号に基づいて、調光度を表す信号を生成し、その信号を制御部12に入力する。調光度を表す信号とは、たとえば、調光度に応じたデューティ比のPWM信号などである。駆動回路60は、たとえば、調光回路55から入力された信号に基づいて、スイッチング素子45の電極45cに適切な電圧を印加してスイッチング素子45を駆動する。これにより、調光信号に応じた調光度で光源モジュール100が調光される。光源モジュール100の明るさが、調光信号に応じて制御される。
次に本実施形態の点灯装置10の動作を説明する。
一般に、光源モジュールを点灯させる点灯装置では、光源モジュールや光源モジュールを構成する光源が短絡故障した場合に光源モジュール等の発煙や点灯装置自体の故障を防止するために、過電流保護機能が内蔵されている。また、光源モジュール等と点灯装置との接続がはずれた場合やレアショート状態となった場合でも、点灯装置が過大な電圧を出力することを防止するために、過電圧保護機能が内蔵されている。このような点灯装置では、過電流保護のしきい値および過電圧保護のしきい値の範囲内の定格電流および定格電圧の範囲内において、異なる種類の光源モジュールを接続して用いることができる。
しかしながら、光源の直列数を増やして明るさを増大させた光源モジュールと、電流を増大させて、直列数の多い光源モジュールと同程度の明るさを実現させた光源モジュールとを、同一の過電流しきい値および過電圧しきい値で用いた場合には保護が十分でないおそれがある。たとえば光源の直列数の多い高電圧タイプの光源モジュールAの動作時の端子間電圧を300V、動作時電流を150mAとする。直列数の少ない低電圧タイプの光源モジュールBの動作時端子間電圧を150V、動作時電流を300mAとする。点灯装置の過電流のしきい値を400mA、過電圧のしきい値を400Vとする。点灯装置にこのような光源モジュールAを接続して、過電流保護を実現するには、400mA以上の電流が流れた際に過電流保護を動作させる必要があり、過電流保護を動作させるには動作時電流に比べて非常に大きい電流が流れることになる。150mA程度の電流容量の光源、たとえば発光ダイオードに定格電流の倍以上の電流を流した場合に、安全に過電流保護できるか問題となる。また、光源モジュールBを点灯装置に接続して、過電圧保護を行う場合には、光源モジュールBには、2倍以上の電圧が印加されるようになるまで保護動作が開始されないという問題がある。
本実施形態の点灯装置10では、検出部18において、光源に供給される電流を検出して定電流制御を行う。より具体的には、光源に流れる電流Ioを抵抗器51で電圧値に変換して、検出電圧Vdet3として制御部12へ入力する。制御部12に入力された検出電圧Vdet3は、一定の電圧に維持されるように、制御部12によって、フィードバック制御される。
光源が短絡したり、点灯装置10の出力端が短絡した場合等には、過大な電流が流れる。過大な電流が流れると、抵抗器51が接続されたノード50の電位が上昇するが、点灯装置の出力電圧Voが一定である場合には、抵抗器71a,72bが接続されたノード73の電圧も一定である。ノード74の電圧は、検出電圧Vdet1およびVdet2の電位差と抵抗器72a,72bのそれぞれの抵抗値とによって決定される。ノード74の電圧、すなわち検出電圧Vdet3が所定のしきい値を超えると、点灯装置10は、過電流と判断して、動作を停止する。
ノード73の電圧、すなわち検出電圧Vdet2は、電圧検出部71の抵抗器71a,71bの抵抗比に応じた電圧を出力する。ノード73に発生した電圧は、過電流状態のときには、ノード73から加算部72の抵抗器72a,72bを介して、ノード50において抵抗器51に流れる。点灯装置10の出力電圧Voが高い場合には、抵抗器71a,71bを通る電流の経路のほかに、ノード73から分岐して抵抗器72a,72bにも電流が流れる。抵抗器72a,72bの両端には、出力電圧Voに応じて電圧が発生するので、出力電圧Voが高いほど、ノード73に現れる電圧、すなわち検出電圧Vdet2は高くなる。したがって、抵抗器72a,72bが接続されたノード74の電圧、すなわち検出電圧Vdet3は、定電流制御のときの検出電圧Vdet1よりも高くなる。制御部12は、検出電圧Vdet3に基づいて制御される。
また、上述のような過電流状態でない場合には、検出電圧Vdet1は低い状態にあるが、点灯装置10の出力電圧Voが過度に高くなった場合には、点灯装置10は、過電流保護の場合と同様に、過電圧保護動作をすることができる。
点灯装置10の出力電流Ioが一定である場合には、抵抗器51の両端の電圧は一定である。一方、電圧検出部71のノード73の電圧、すなわち検出電圧Vdet2は、点灯装置10の出力電圧Voの上昇とともに、上昇する。ノード74の電圧は、検出電圧Vdet1と検出電圧Vdet2の抵抗値で決定されるので、出力電圧Voの上昇とともに、検出電圧Vdet3も上昇する。したがって、加算部72では、検出電圧Vdet1に検出電圧Vdet2が実質的に加算されて出力されることとなり、たとえば光源がオープンモードで破壊されることにより、検出電圧Vdet3が、所定のしきい値電圧を超えた場合には、点灯装置10は、過電圧保護動作となって動作が停止する。
図3(a)には、電圧検出部71および加算部72を構成する抵抗器71a,71b,72a,72bの抵抗値を具体的に設定した場合の過電流制限値の計算例を示す。図3(a)に示すように、電圧検出部71の抵抗器71aの抵抗値は、950kΩであり、抵抗器71bの抵抗値は1.2kΩである。加算部72の抵抗器72aおよび抵抗器72bに相当する抵抗値は、それぞれ33Ωおよび10Ωである。抵抗器72aと抵抗器72bとが接続されたノードから検出電圧Vdet2が出力される。電流検出のための抵抗器51の抵抗値は、1Ωである。
図3(b)には、出力電圧Voを変化させたときの出力電流Ioの値プロットしている。また、図3(c)には、各プロットP1〜P3それぞれの主要部の電圧値が示されている。プロットP1では、出力電圧Voが300Vの場合に、過電流制限で点灯装置10が停止するときの出力電流Ioの値は、210mAである。プロットP2では、出力電圧が200Vの場合に、過電流制限で点灯装置10が停止するときの出力電流Ioは、240mAである。プロットP3では、出力電圧が143Vの場合に、過電流制限で点灯装置10が停止するときの出力電流Ioは、310mAである。
このように、本実施形態の点灯装置10では、出力電圧Voが高いときには、より小さな出力電流Ioを流し、出力電圧Voが低いときには、より大きな出力電流Ioを流すことができる。すなわち、本実施形態の点灯装置10は、ほぼ定電力で出力を制限する出力特性を有する。
一般に、負荷の動作電圧に応じて過電流制限値を変更したり、負荷の動作電流に応じて過電圧制限値を変更したりする場合には、負荷の電流および電圧を定電力となるように制御する必要がある。しかしながら、負荷電力は、負荷電流と負荷電圧の積であるため、直流負荷の場合には、アナログ回路で乗算回路を組むことができない。そのため、定電力値を算出するためにはマイコンやDSPを用いて、検出した負荷電流値および負荷電圧値をA−D(Analog to Digital)コンバータを用いてデジタル値に変換してその後デジタル演算を行う必要がある。このような電力値算出による定電力制御を行うには、制御部の規模が大きくなる傾向があり、コストアップにもつながる。本実施形態の点灯装置10では、検出したアナログ値をそのままアナログ値として積算(加算)して、制御電圧Vdet3として用いるので、制御部の規模が大きくなることなく、簡便の定電力制御に近い制御を実現することができる。
したがって、上述の例で、光源モジュールAおよび光源モジュールBのように同じ消費電力の光源モジュールであり、出力電流が異なるような場合に、光源モジュールの両端に印加される電圧値に応じて過電流制限をかけることができる。そのため、光源モジュールに過大な電力を印加することなく、過電流制限を行うことができるので、より安全に点灯装置10を用いることができる。また、過電流制限と同様に、光源モジュールに流れる電流値に応じて過電圧制限をかけることができ、光源モジュールに過大な電力を印加せずに過電圧制限を行うことができる。
このように、本実施形態の点灯装置10では、出力電流に比例した検出電圧Vdet1の電圧値と、出力電圧に応じて生成される電流に比例する検出電圧Vdet2の電圧値とを実質的に加算することによって、異なる種類の光源モジュールに対して、その光源モジュールに適した電圧値における過電流保護を行うことができるとともに、その光源モジュールに適した電流値における過電圧保護を行うことができる。したがって、光源モジュールに対して過大な電流を供給したり、過大な電圧を印加することがないので、より安全に動作させることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態の点灯装置では、過電流検出のしきい値電圧に達した場合に、点灯装置の動作を停止させた。電圧検出のための検出電圧Vdet2と定電流制御のための検出電圧Vdet1との加算値に基づいてフィードバック制御を行うようにすることもできる。
図4は、第2の実施形態の点灯装置の主要部の一例を示す回路図である。
図2(a)の構成に、帰還回路80が追加され、制御部12は、帰還回路80の出力によって制御される点で第1の実施形態の点灯装置10と相違する。以下では、相違する点について主に説明し、第1の実施形態の点灯装置10と同一の部分については、同じ符号を付して適宜説明を省略する。
第2の実施形態に係る点灯装置10aは、第1の実施形態の点灯装置10が備える検出部18とは相違する検出部18aを備えている。
検出部18aは、検出部18にさらに帰還回路80を有している。帰還回路80は、抵抗器83と、演算増幅器84と、基準電源回路85と、有する。電流検出のための検出電圧Vdet1は、抵抗器72aを介して演算増幅器84の反転入力端子に入力される。電圧検出のための検出電圧は、抵抗器72bを介して演算増幅器84の反転入力端子に入力される。換言すれば、検出電圧Vdet1,Vdet2は加算部72で実質的に加算されて、帰還増幅回路80の反転入力端子に入力される。演算増幅器84の非反転入力端子には、基準電源回路85が接続され、たとえば基準電圧Vref3として0.2Vが印加されている。演算増幅器84の反転入力端子と出力端子との間には抵抗器83が接続される。
帰還回路80は、演算増幅器84とフィードバックゲインを設定する抵抗器83によって構成される負帰還増幅回路である。帰還回路80は、出力電流Ioを検出する抵抗器51の出力端側のノード50の検出電圧Vdet1と、電圧検出部71の抵抗器71a,71bの接続ノード73における検出電圧Vdet2とが実質的に加算された電圧、すなわち検出電圧Vdet3を帰還増幅する。帰還回路80の出力は、検出電圧Vdet4として、制御部12へ入力されて、制御部12が内蔵する基準電圧と比較してたとえばPWM制御を行う。したがって、本実施形態の点灯装置10aでは、定電流制御を行うための抵抗器51によって検出される検出電圧Vdet1に、検出電圧Vdet2を加算した加算値である検出電圧Vdet3を一定に制御する。この検出部18aにおいては、第1の実施形態における検出部18に対して、帰還回路80を有しているので、フィードバックのゲインを適切な値に設定することができる。
このように、本実施形態の点灯装置10aでは、出力電力の増加にともなって、出力電圧を低減するように動作するので、異なる種類の光源モジュールを接続することができる。そのため、本実施形態の点灯装置10aでは、より安全に動作させることができる。
(第3の実施形態)
図5(a)および図5(b)は、第3の実施形態に係る照明器具を模式的に表す斜視図である。
図5(a)および図5(b)に表したように、照明器具200(照明装置)は、点灯装置10と、光源モジュール100と、器具本体120と、を備える。点灯装置10と光源モジュール100とには、上記第1の実施形態で説明したものが用いられる。器具本体120は、点灯装置10と光源モジュール100とを支持する。
照明器具200は、例えば、光源モジュール100を下方に向けた状態で室内の天井に取り付けられる。照明器具200は、光源モジュール100から照射される光によって、室内を照明する。なお、照明器具200は、天井に限ることなく、例えば、壁面などに取り付けてもよい。器具本体120は、例えば、ネジなどによって天井に取り付けられる。このように、器具本体120は、点灯装置10および光源モジュール100の支持に用いられるとともに、天井などの取付対象への照明器具200の取り付けに用いられる。
器具本体120は、光源モジュール100の少なくとも一部を収容する凹部120aを有する。点灯装置10は、例えば、凹部120aの内底面に取り付けられる。点灯装置10は、例えば、凹部120a内に収容される。
点灯装置10は、例えば、ネジなどによって凹部120aの内底面に取り付けられ、器具本体120に支持される。光源モジュール100は、例えば、取付バネやネジなどによって器具本体120に取り付けられ、器具本体120に支持される。
図6は、第3の実施形態に係る光源モジュールを模式的に表す分解斜視図である。
図6に表したように、光源モジュール100は、支持体111と、カバー112と、保持部材113と、を備える。
支持体111は、基板115を支持する。基板115は、接着などによって支持体111に固定してもよいし、ネジ止めなどによって着脱可能に支持体111に取り付けてもよい。支持体111は、基板115を着脱可能に支持してもよい。基板115には、各光源102が設けられる。各光源102は、基板115の表面115aに並べて配置される。
基板115には、図示を省略した配線層が設けられている。各光源102は、配線層を介して互いに電気的に接続されている。また、配線層には、配線を介して接続部104が電気的に接続されている。接続部104は、例えば、配線および基板115の配線層を介して各光源102と電気的に接続される。
カバー112は、支持体111に取り付けられ、支持体111に支持された基板115を覆う。カバー112は、例えば、外力や塵埃などから基板115および各光源102を保護する。カバー112は、光透過性を有する。カバー112は、各光源102の放出する光に対して光透過性である。カバー112は、例えば、透明である。カバー112は、例えば、光拡散性を有してもよい。カバー112には、例えば、光透過性の樹脂材料が用いられる。これにより、各光源102から放出された光が、カバー112を透過して外部に照射される。
保持部材113は、カバー112を支持体111に保持する。すなわち、保持部材113は、カバー112を支持体111から外れないようにする。光源モジュール100には、例えば、複数の保持部材113が設けられる。この例では、3つの保持部材113が設けられる。保持部材113の数は、任意でよい。保持部材113の数は、例えば、1つまたは2つでもよいし、4つ以上でもよい。
照明器具200を天井に設置する場合には、例えば、器具本体120を室内側から天井板などにネジ止めする。器具本体120には、例えば、光源モジュール100の落下を抑制するための少なくとも2本のチェーン(図示は省略)が設けられている。例えば、2本のチェーンが、長手方向の両端付近に設けられる。光源モジュール100の支持体111には、例えば、各チェーンに対応した複数のフックが設けられている。器具本体120を天井にネジ止めした後、これらの各チェーンの端部を光源モジュール100のフックに引っ掛けて、光源モジュール100を吊るす。
光源モジュール100を吊るした後、接続部14と接続部104とを接続することにより、点灯装置10と光源モジュール100とを電気的に接続する。配線の後、光源モジュール100を器具本体120に支持させる。これにより、照明器具200が天井に取り付けられる。
このように、照明器具200において、点灯装置10を用いる。これにより、例えば、光源モジュール100の明るさや発光色の異なる複数の品種の照明器具200において、点灯装置10を共通に適用することができる。例えば、複数の品種の照明器具200の製造において、部品点数を削減することができる。例えば、照明器具200の製造コストを抑えることができる。
例えば、照明器具200を天井などに取り付けた後、光源モジュール100の明るさや発光色などを変更したい場合がある。光源モジュール100の品種毎に点灯装置が設定されている場合には、光源モジュール100の交換に合わせて点灯装置も変更する必要がある。
これに対して、本実施形態に係る照明器具200では、光源モジュール100のみを交換して点灯装置10に接続するだけでよい。従って、例えば、明るさや発光色などを変更する際のコストも抑えることができる。例えば、明るさや発光色などを変更する際に、点灯装置10を着脱する必要がなく、交換の作業性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。