JP6603776B2 - ブレーキ用アクチュエータおよびブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ用アクチュエータおよびブレーキ装置 Download PDF

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Description

本発明は、ブレーキ装置に設けられ、パッドを押圧するピストンを駆動するブレーキ用アクチュエータに関する。
自動車等の車両には、車輪に対応してそれぞれブレーキ装置が設けられている。ブレーキ装置として広く採用されているディスクブレーキは、車軸とともに回転するロータ(ディスク)と、ロータを挟んで対向配置された一対のパッド(摩擦材)と、一方のパッドをロータに向けて押圧する爪部および他方のパッドをロータに向けて押圧するピストンを備えたキャリパと、を有している。そして、運転者のブレーキペダル操作により、キャリパにブレーキ液が供給されてピストンがロータに向けて移動する。これにより、一対のパッドがロータを挟み込むようにそれぞれ押し付けられて制動力が発生する。
ところで、自動車技術の進歩に伴い、上述のようなブレーキ液の液圧により作動する機械的なブレーキ装置の開発に換えて、電気信号により制御されるアクチュエータを備えた電動式のブレーキ装置の開発が進んでいる。このブレーキ装置は、マスタシリンダ,液圧配管,倍力装置等を不要にして装置全体の小型軽量化を図ることができ、かつ高精度で制動力を制御することができる。したがって、例えば、前方を走行する他の車両の挙動に合わせて加速力や制動力を自動で制御する自動追尾機能を有する車両にも、容易に適用することができる。また、ブレーキ装置として運転者のブレーキペダル操作により制動力が得られるフットブレーキ装置の機能も兼ね備えた電動パーキングブレーキ装置の開発も進んでいる。
このような電動式のブレーキ装置は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたブレーキ装置は、電動パーキングブレーキ装置を備えている。特許文献1のブレーキ装置は、車体に固定されるマウンティング(ブラケット)と、当該マウンティングに一対のスライドピンを介して移動自在に設けられたブレーキハウジング(キャリパ)とを有している。
ブレーキハウジングは、ディスクロータを跨ぐように断面がU字形状とされ、ディスクロータの軸方向に移動可能となっている。ブレーキハウジングは、一方のパッドを保持する爪部を備え、かつ他方のパッドを押圧するピストンを有している。ピストンは、車室内等に設けられたパーキングブレーキスイッチの操作等によって作動する電動モータにより駆動される。
電動モータは、ピストンを移動自在に収容するシリンダ部に対して平行に設けられ、略L字形状に形成されたギヤボディ(ケース)内に収容されている。また、ギヤボディ内には、電動モータの回転を減速して高トルク化する減速機構が収容されている。これにより、小型の電動モータを採用可能としつつ、シリンダ部の軸方向寸法が大きくなるのを抑制して、車両への搭載性を向上させている。ギヤボディとしては、車両の足回りの軽量化,耐候性の観点から樹脂製が多く採用されている。
特開2012−229741号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載された電動式のブレーキ装置においては、樹脂製でかつ断面が略L字形状に形成されたケースを備え、その内部に電動モータおよび減速機構が収容されている。これにより、ブレーキ装置の作動時において、ケースが捩れて歪むようなことが起こり得る。そして、ケースが捩れると、ブレーキ装置の作動音が大きくなったり、減速機構を形成する歯車間のバックラッシが変化したりする等の問題が発生する。
そこで、ケースの肉厚を厚くして剛性を高めることが考えられるが、単にケースの肉厚を厚くしたのでは、ケース自身の重量が増大することに加えて、射出成形後にヒケやボイド等を発生させる原因にもなる。これらのヒケやボイド等が発生した場合には、ケースの成形精度が著しく低下し、かつケースの剛性が製品毎に大きくばらつく等の問題が発生する。
本発明の目的は、ケースの成形精度を低下させること無くケースの剛性を高めて、小型軽量化に容易に対応できるブレーキ用アクチュエータおよびブレーキ装置を提供することにある。
本発明に係るブレーキ用アクチュエータでは、キャリパに移動自在に保持されるピストンを駆動するブレーキ用アクチュエータであって、回転軸を有する電動モータと、前記回転軸と並んで設けられ、前記電動モータの動力を前記ピストンに伝達する出力軸と、前記回転軸と前記出力軸との間に設けられる減速機構と、前記電動モータおよび前記減速機構を収容するケースと、前記ケースの前記出力軸が配置される部分に設けられ、前記キャリパに固定されるキャリパ固定部と、前記ケースの前記回転軸が配置される部分に設けられ、前記電動モータを収容するモータ収容部と、を有し、前記モータ収容部の軸方向長さは、前記キャリパ固定部の軸方向長さよりも長くされ、前記モータ収容部は、当該モータ収容部の軸方向一端から軸方向他端に亘って延びる一対の補強リブを備え、前記一対の補強リブは、前記モータ収容部の外部に設けられ、かつ前記キャリパ固定部がある側に配置され、さらに、前記一対の補強リブは、前記回転軸の軸心と前記出力軸の軸心とを通る直線を中心に、互いに線対称となるように配置されており、前記一対の補強リブの前記モータ収容部の軸方向に沿う長さが、前記モータ収容部の軸方向長さよりもそれぞれ短くなっている。
本発明に係るブレーキ装置では、ロータと、前記ロータに押し付けられるパッドと、前記パッドを押圧するピストンと、前記ピストンを移動自在に保持するキャリパと、前記キャリパに設けられ、前記ピストンを駆動するアクチュエータと、を備えたブレーキ装置であって、前記アクチュエータは、回転軸を有する電動モータと、前記回転軸と並んで設けられ、前記電動モータの動力を前記ピストンに伝達する出力軸と、前記回転軸と前記出力軸との間に設けられる減速機構と、前記電動モータおよび前記減速機構を収容するケースと、前記ケースの前記出力軸が配置される部分に設けられ、前記キャリパに固定されるキャリパ固定部と、前記ケースの前記回転軸が配置される部分に設けられ、前記電動モータを収容するモータ収容部と、を有し、前記モータ収容部の軸方向長さは、前記キャリパ固定部の軸方向長さよりも長くされ、前記モータ収容部は、当該モータ収容部の軸方向一端から軸方向他端に亘って延びる一対の補強リブを備え、前記一対の補強リブは、前記モータ収容部の外部に設けられ、かつ前記キャリパ固定部がある側に配置され、さらに、前記一対の補強リブは、前記回転軸の軸心と前記出力軸の軸心とを通る直線を中心に、互いに線対称となるように配置されており、前記一対の補強リブの前記モータ収容部の軸方向に沿う長さが、前記モータ収容部の軸方向長さよりもそれぞれ短くなっている。
本発明の他の態様では、前記キャリパ固定部の径方向外側に、前記キャリパに固定される一対の固定部が設けられ、前記一対の補強リブは、前記モータ収容部を軸方向から見たときに、前記一対の固定部に向けてそれぞれ突出されている。
本発明の他の態様では、前記回転軸の軸心と前記出力軸の軸心とを通る直線と、前記出力軸の軸心と前記一対の固定部のそれぞれ軸心とを通る直線とが、互いに直交している。
本発明の他の態様では、前記一対の補強リブの前記モータ収容部の軸方向に沿う長さが、前記モータ収容部の軸方向長さよりもそれぞれ短くなっている。
本発明の他の態様では、前記減速機構が、遊星歯車減速機構である。
本発明によれば、モータ収容部は、当該モータ収容部の軸方向一端から軸方向他端に亘って延びる補強リブを備え、補強リブは、モータ収容部のキャリパ固定部がある側に配置されている。
これにより、ケースの剛性を高めることができ、電動モータの駆動時において、キャリパ固定部とモータ収容部とが互いに捩れるのを抑制できる。したがって、ケースをより小型軽量化することができ、かつ作動音の発生および減速機構の歯車のバックラッシの変化等を抑制することが可能となる。
また、ケースを樹脂材料で射出成形しても、ヒケ等に起因したモータ収容部のキャリパ固定部側への倒れを抑制することができる。したがって、ケースの成形精度を向上させて製造上の問題を無くして、歩留まりを向上させることが可能となる。
本発明に係るブレーキ装置の概要を示す斜視図である。 図1のブレーキ装置(ロータ省略)を矢印A方向から見た平面図である。 図2のB−B線に沿う部分拡大断面図である。 アクチュエータ単体を示す斜視図である。 図4のアクチュエータを矢印C方向から見た平面図である。 図5のD−D線に沿う断面図である。
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係るブレーキ装置の概要を示す斜視図を、図2は図1のブレーキ装置(ロータ省略)を矢印A方向から見た平面図を、図3は図2のB−B線に沿う部分拡大断面図を、図4はアクチュエータ単体を示す斜視図を、図5は図4のアクチュエータを矢印C方向から見た平面図を、図6は図5のD−D線に沿う断面図をそれぞれ示している。
図1ないし図3に示すように、ブレーキ装置10は、電動パーキングブレーキ装置(Electric Parking Brake)を備えたものであって、車両の車軸(図示せず)に一体回転可能に取り付けられたロータ11を備えている。ロータ11は、複数のハブボルト12(図示では4つ)を有するロータ本体11aと、当該ロータ本体11aの径方向外側に一体に設けられたディスク部11bとを備えている。ディスク部11bは、一対のパッド13a,13bによって挟まれる摩擦面を形成している。また、ロータ本体11aにはホイール(図示せず)が装着され、各ハブボルト12にはホイールナット(図示せず)がねじ結合されるようになっている。
ブレーキ装置10は、車両のナックル等の非回転部分(図示せず)に固定されるマウンティングブラケット14を備えている。このマウンティングブラケット14は、鋳造成形により所定形状に形成され、一対のスライドピン15がそれぞれ摺動自在に装着される一対のピン装着部14aが一体に設けられている。各ピン装着部14aはロータ11の軸方向に延びており、各スライドピン15はロータ11の軸方向に移動自在となっている。そして、各ピン装着部14aの間には橋渡し部14bが一体に設けられ、各ピン装着部14aは、ロータ11の周方向に所定の間隔を持って配置されている。
ブレーキ装置10は、マウンティングブラケット14に移動自在に取り付けられるキャリパ16を備えている。このキャリパ16は、マウンティングブラケット14と同様に鋳造成形により所定形状に形成され、キャリパ本体16aと、一対のピン固定部16bとを備えている。キャリパ本体16aは、ロータ11のディスク部11bを跨ぐように断面が略U字形状に形成され、爪部16c,シリンダ部16dおよび連結部16eを備えている。連結部16eは、爪部16cとシリンダ部16dとを連結している。
爪部16cは、ロータ11の軸方向に沿うハブボルト12側に配置され、シリンダ部16dは、ロータ11の軸方向に沿うハブボルト12側とは反対側に配置されている。ここで、ロータ11の軸方向に沿うハブボルト12側とは反対側には、車両の振動を減衰するショックアブソーバ(図示せず)が配置される。そのため、ブレーキ装置10は、ショックアブソーバを避けて車両に固定されている。
図3に示すように、シリンダ部16dは有底筒状に形成されており、当該シリンダ部16dの内部には、ピストン17が摺動自在に設けられている。つまり、ピストン17は、キャリパ16に移動自在に保持されており、ロータ11の軸方向に摺動するようになっている。ここで、シリンダ部16dの径方向内側は、切削加工や研磨加工等によって平滑化されており、ピストン17はスムーズに摺動可能となっている。
また、シリンダ部16dの内部であって、かつピストン17の背面側(図中右側)には、ブレーキペダル(図示せず)の操作によりブレーキ液(図示せず)が供給されるようになっている。つまり、運転者のブレーキペダル操作による通常の制動時には、ブレーキ液の供給により制動力が発生するようになっている。
図1に示すように、一対のピン固定部16bは、シリンダ部16dの径方向外側に、互いに対向するよう相反する方向に突出して設けられている。各ピン固定部16bの先端部にはボルト18がそれぞれ挿通され、これらのボルト18はスライドピン15にそれぞれ固定されている。これにより、キャリパ16は、マウンティングブラケット14に対して、ロータ11の軸方向に移動自在となっている。
図3に示すように、爪部16cは、ディスク部11bのハブボルト12側にある一方のパッド(アウターパッド)13aを、ディスク部11bに向けて押し付ける。また、ピストン17は、ディスク部11bのハブボルト12側とは反対側にある他方のパッド(インナーパッド)13bを、ディスク部11bに向けて押し付ける。
より具体的には、運転者のブレーキペダル操作により、ピストン17の背面側にブレーキ液が供給されると、ピストン17がシリンダ部16dの内部から外部に押し出されて、図3中左側に移動する。これにより、ピストン17はパッド13bをディスク部11bに向けて押圧する。一方、ピストン17がパッド13bを押圧する際の反力によって、キャリパ16がマウンティングブラケット14に対して、図3中右側に移動する。これにより、爪部16cはパッド13aをディスク部11bに向けて押圧する。
ピストン17は中空となっており、その内部には送りねじ機構17a(詳細図示せず)が収容されている。送りねじ機構17aは、アクチュエータ20によって正逆回転される雄ねじ部材17bを備えている。また、送りねじ機構17aは、雄ねじ部材17bがねじ結合される雌ねじ部材(図示せず)を備えている。これにより、運転者が車室内のパーキングブレーキスイッチ(図示せず)を操作することで、アクチュエータ20によって雄ねじ部材17bが正逆方向に回転駆動され、ひいてはピストン17がシリンダ部16dに対して進退駆動される。なお、パーキングブレーキスイッチは、車両が停車して車速が「0km/h」のときに操作可能となっている。
図1ないし図3に示すように、ブレーキ装置10は、送りねじ機構17aを駆動するアクチュエータ(ブレーキ用アクチュエータ)20を備えている。アクチュエータ20は、シリンダ部16dのロータ11側とは反対側の底部側に固定されている。以下、パーキングブレーキスイッチの操作時に作動するアクチュエータ20の構造について、図面を用いて詳細に説明する。
図4ないし図6に示すように、アクチュエータ20は、略L字形状に形成されたケース21を備えている。このケース21の開口部21a(図3および図6参照)は、カバー22によって密閉され、これによりケース21の内部に雨水や埃等が進入するのを防止している。ケース21およびカバー22は、いずれも耐熱性に優れた樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成されている。ケース21の内部には、電動モータ30および減速機構50が収容されている。
ここで、ケース21の詳細構造を説明する前に、電動モータ30および減速機構50の構造について説明する。
図6に示すように、電動モータ30はモータケース31を備えている。モータケース31は、鋼板(磁性材料)をプレス加工等することで有底の略円筒形状に形成されている。モータケース31の内側には、断面が略円弧形状に形成された複数のマグネット32(図示では2つのみ示す)が固定されている。そして、これらのマグネット32の内側には、コイル33が巻装されたアーマチュア34が、所定の隙間(エアギャップ)を介して回転自在に収容されている。
アーマチュア34の回転中心には、アーマチュア軸(回転軸)35の基端側が固定されている。アーマチュア軸35の先端側はモータケース31の外部にまで延ばされており、アーマチュア軸35の先端部にはピニオンギヤ36が固定されている。アーマチュア軸35の軸方向に沿うアーマチュア34とピニオンギヤ36との間には、コイル33の端部が電気的に接続されたコンミテータ37が固定されている。コンミテータ37の外周部分には、一対のブラシ38が摺接するようになっている。なお、コンミテータ37および各ブラシ38についても、モータケース31の内部にそれぞれ収容されている。
そして、車両の停車時にパーキングブレーキスイッチを操作することで、各ブラシ38に駆動電流が供給される。すると、各ブラシ38およびコンミテータ37を介してコイル33に駆動電流が供給され、これによりアーマチュア34に電磁力が発生する。よって、アーマチュア軸35(ピニオンギヤ36)が所定の回転数で所定の方向に回転駆動される。ここで、各ブラシ38に供給される駆動電流は、ケース21に設けたコネクタ接続部25に接続される車両側コネクタ(図示せず)から供給される。
図6に示すように、ケース21には、雄ねじ部材17b(図3参照)に一体回転可能に連結され、電動モータ30の動力をピストン17に伝達する出力軸39が設けられている。この出力軸39は、減速機構50を形成する遊星キャリヤ56に一体に設けられており、高トルク化された回転力を雄ねじ部材17bに伝達するようになっている。そして、アーマチュア軸35と出力軸39とは、それぞれ平行に並んでケース21に設けられており、アーマチュア軸35と出力軸39との間に、減速機構50が設けられている。
また、減速機構50とピニオンギヤ36との間には、アーマチュア軸35と平行に並べられた出力軸39に動力を伝達するための入力側二段ギヤ40が設けられている。この入力側二段ギヤ40は、ピニオンギヤ36に噛み合わされる大径ギヤ41と、減速機構50を形成する出力側二段ギヤ51の大径ギヤ52に噛み合わされる小径ギヤ42とを備えている。
減速機構50は遊星歯車減速機構であって、出力側二段ギヤ51を有している。この出力側二段ギヤ51は、入力側二段ギヤ40の小径ギヤ42に噛み合わされる大径ギヤ52と、サンギヤ(太陽歯車)として機能する小径ギヤ53とを備えている。また、減速機構50は、4つのプラネタリギヤ(遊星歯車)54(図示では2つのみ示す)を備えており、これらのプラネタリギヤ54は、それぞれ小径ギヤ53および内歯車55の双方に噛み合わされている。
各プラネタリギヤ54は、遊星キャリヤ56に支持ピン57を介してそれぞれ回転自在に支持されている。なお、内歯車55は、ケース21にインサート成形により固定され、遊星キャリヤ56は内歯車55に対して相対回転可能となっている。
これによりアーマチュア軸35の回転が、入力側二段ギヤ40および出力側二段ギヤ51を介して減速機構50に伝達され、減速機構50により減速される。そして、減速機構50により減速されて高トルク化された回転力は、出力軸39から雄ねじ部材17b(図3参照)に伝達されて、ピストン17が大きな力で移動される。したがって、小型の電動モータ30を用いて電動パーキングブレーキ装置を構築することができる。
図4ないし図6に示すように、ケース21は、キャリパ16のシリンダ部16d(図3参照)に固定されるキャリパ固定部23と、電動モータ30(図6参照)を収容するモータ収容部24とを備えている。キャリパ固定部23は、ケース21の出力軸39が配置される部分に設けられ、出力軸39および減速機構50と同軸上に配置されている。キャリパ固定部23の径方向内側には、シリンダ部16dの底部側が嵌合して固定される円筒固定部23aが設けられ、キャリパ固定部23の径方向外側には、ケース21の外郭の一部を形成する外周壁部23bが設けられている。
一方、モータ収容部24は、ケース21の電動モータ30が配置される部分に設けられ、アーマチュア軸35と同軸上に配置されている(図6参照)。モータ収容部24は、アーマチュア軸35の軸方向に延びる円筒本体部24aと、この円筒本体部24aの軸方向に沿うカバー22側とは反対側にある段付き形状の底壁部24bとを備えている。そして、電動モータ30は、モータ収容部24に挿入され、かつモータ収容部24に対して相対回転不能に図示しない締結手段によって強固に固定されている。
図4に示すように、モータ収容部24の軸方向長さL1は、キャリパ固定部23の軸方向長さL2よりも長い寸法となっている(L1>L2)。ここで、モータ収容部24の軸方向長さL1は、ケース21の開口部21a(図6参照)からモータ収容部24の底壁部24bまでの長さ寸法であり、キャリパ固定部23の軸方向長さL2は、ケース21の開口部21aからキャリパ固定部23の円筒固定部23aの先端部分までの長さ寸法である。また、軸方向長さL1は、軸方向長さL2の略2倍となっている。
これにより、アクチュエータ20をキャリパ16に固定した際に、アーマチュア軸35および出力軸39が互いに平行となるよう、図2に示すように、シリンダ部16dの真横に電動モータ30を配置することができる。よって、シリンダ部16dの軸方向寸法が増大するのを抑制して、ブレーキ装置10がショックアブソーバ等に接触されるのを回避することができる。
ここで、図5および図6に示すように、ケース21の長手方向(図中左右方向)に沿うモータ収容部24を挟むキャリパ固定部23側とは反対側には、車両側コネクタが電気的に接続されるコネクタ接続部25が一体に設けられている。このコネクタ接続部25の内部には、車両側コネクタからの駆動電流を各ブラシ38に供給するための給電端子(図示せず)が設けられている。図2に示すように、コネクタ接続部25は、アクチュエータ20をキャリパ16に固定した状態のもとで、シリンダ部16d側とは反対側に向けられている。これにより、ブレーキ装置10を車両に取り付けた状態のもとで、車両側コネクタを容易かつ確実にコネクタ接続部25に接続することができる。
図4ないし図6に示すように、キャリパ固定部23は、円筒固定部23aと外周壁部23bとを備えている。外周壁部23bには、径方向外側に部分的に突出するようにして、一対のねじ挿通部(固定部,フランジ部)23cが一体に設けられている。つまり、各ねじ挿通部23cは、キャリパ固定部23の径方向外側に配置されている。各ねじ挿通部23cには、アクチュエータ20をキャリパ16(図2参照)に固定するための固定ねじS(図1および図2参照)が挿通され、各ねじ挿通部23cはキャリパ16に固定されるようになっている。
各ねじ挿通部23cは、円筒固定部23aを中心として互いに対向配置されており、これにより図3に示すように、出力軸39の軸心がピストン17の軸心に対してずれないように、アクチュエータ20がキャリパ16に均等な固定力にて固定される。なお、各ねじ挿通部23cは、ケース21の長手方向と交差するケース21の短手方向に所定間隔を持って配置されている。
図2および図4に示すように、各ねじ挿通部23cと外周壁部23bとの間には、各ねじ挿通部23cの外周壁部23bに対する固定強度を高めるための固定部用補強リブ23dが一体に設けられている。これにより、アクチュエータ20の作動時におけるケース21のキャリパ16に対する捩れやがたつきが抑制される。
モータ収容部24の径方向外側には、一対の補強リブ24dが一体に設けられている。これらの補強リブ24dは、図4に示すように、軸方向長さがL1のモータ収容部24が、軸方向長さがL2のキャリパ固定部23に対して、特にキャリパ固定部23側へ傾斜(倒れ)したり捩れたりするのを抑制するために設けたものである。また、ケース21は樹脂材料を射出成形することで形成されるため、その硬化時には樹脂が収縮してヒケが発生する。各補強リブ24dは、ケース21の硬化時において、ヒケの発生に起因するモータ収容部24のキャリパ固定部23に対する傾斜や歪みも抑制する。
各補強リブ24dは、モータ収容部24の軸方向一端(図4中上方)からモータ収容部24の軸方向他端(図4中下方)に亘って設けられている。各補強リブ24dは断面が略三角形形状に形成されており、モータ収容部24の径方向外側への各補強リブ24dの突出量は、モータ収容部24の軸方向一端側から軸方向他端側に行くに連れて徐々に大きくなっている。
また、各補強リブ24dは、図5に示すように、モータ収容部24のキャリパ固定部23がある側(図中左側)にそれぞれ配置され、かつ各補強リブ24dの突出方向は、モータ収容部24をその軸方向から見たときに、キャリパ固定部23の各ねじ挿通部23cに向けられている。このように、各補強リブ24dの突出方向を、各ねじ挿通部23cにそれぞれ向けることで、ケース21のデッドスペースDSに各補強リブ24dが配置される。よって、各補強リブ24dを比較的大きく形成して、各補強リブ24d自身の剛性を高めることができる。
また、ケース21のデッドスペースDSに各補強リブ24dを配置することで、モータ収容部24のキャリパ固定部23側へ傾斜を抑制しつつ、図5の二点鎖線円で示すように、シリンダ部16dとモータ収容部24とが干渉しない範囲、つまりシリンダ部16dを避けた位置で互いに近接させて配置可能となっている。つまり、各補強リブ24dの配置箇所は、ブレーキ装置10の小型軽量化に有利な配置箇所となっている。
図4に示すように、各補強リブ24dにおけるモータ収容部24の軸方向他端側は、キャリパ固定部23の外周壁部23bに向けて設けられている。これにより、図5に示すように、各補強リブ24dに負荷される応力Fがねじ挿通部23c(フランジ部)を介して外周壁部23bに逃がされる。よって、モータ収容部24のキャリパ固定部23に対する傾斜や捩れがより確実に抑制される。ここで、出力軸39の軸方向に沿う外周壁部23bの肉厚は厚く、出力軸39の軸方向に沿う外周壁部23bの剛性は高くなっている。また、外周壁部23bは、ねじ挿通部23cと連設されている。したがって、各補強リブ24dから負荷される応力Fにより、外周壁部23bが変形することが抑制される。
図4および図5に示すように、キャリパ固定部23には、複数の肉盗み部23eが設けられている。これらの肉盗み部23eは、キャリパ固定部23のシリンダ部16d側(図5中手前側)で、かつ円筒固定部23aの周囲に設けられている。各肉盗み部23eは、円筒固定部23aと外周壁部23bとの間に配置され、円筒固定部23aの周方向に並んで配置されている。各肉盗み部23eは、キャリパ固定部23のヒケに起因した変形を防止し、かつケース21を軽量化するために設けたものであり、出力軸39の軸方向に窪んで設けられている。
各肉盗み部23eは、出力軸39を中心に放射状に設けられた複数の放射状リブ23fによって互いに仕切られている。これらの放射状リブ23fは、円筒固定部23aと外周壁部23bとの間,円筒固定部23aと各ねじ挿通部23cとの間,円筒固定部23aとモータ収容部24との間にそれぞれ設けられている。
そして、これらの放射状リブ23fのうち、円筒固定部23aと各ねじ挿通部23cとの間にある放射状リブ23f1は、両者間の剛性を高めてケース21のキャリパ16に対する捩れやがたつきを抑制する機能を有している。また、各放射状リブ23fのうち、円筒固定部23aとモータ収容部24との間にある放射状リブ23f2は、モータ収容部24のキャリパ固定部23に対する傾斜や歪みを抑制する機能を有している。
ここで、図5に示すように、一対の補強リブ24dは、モータ収容部24を軸方向から見たときに、各肉盗み部23eと重ならない位置で、かつ外周壁部23bに一体に設けられている。これにより、ケース21を射出成形する際に用いる金型の形状を簡素化することができるとともに、各補強リブ24dから負荷される応力Fが、ケース21の薄肉となった肉盗み部23eに負荷されるのを防止している。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、モータ収容部24は、当該モータ収容部24の軸方向一端から軸方向他端に亘って延びる補強リブ24dを備え、補強リブ24dは、モータ収容部24のキャリパ固定部23がある側に配置されている。
これにより、ケース21の剛性を高めることができ、電動モータ30の駆動時において、キャリパ固定部23とモータ収容部24とが互いに捩れるのを抑制できる。したがって、ケース21をより小型軽量化することができ、かつ作動音の発生および減速機構50の歯車のバックラッシの変化等を抑制することが可能となる。
また、ケース21を樹脂材料で射出成形しても、ヒケ等に起因したモータ収容部24のキャリパ固定部23側への倒れを抑制することができる。したがって、ケース21の成形精度を向上させて製造上の問題を無くして、歩留まりを向上させることが可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、キャリパ固定部23の径方向外側に、キャリパ16に固定されるねじ挿通部23cが設けられ、補強リブ24dは、モータ収容部24を軸方向から見たときに、ねじ挿通部23cに向けて突出されている。したがって、ケース21のデッドスペースDSに補強リブ24dを配置することができ、ひいては補強リブ24dを比較的大きく形成して、補強リブ24d自身の剛性も高めることができる。
また、本実施の形態によれば、キャリパ固定部23の径方向外側に、外周壁部23bが設けられ、補強リブ24dは、外周壁部23bに向けて設けられている。したがって、補強リブ24dに負荷される応力Fを外周壁部23bに逃がすことができ、ひいてはモータ収容部24のキャリパ固定部23に対する傾斜や捩れをより確実に抑制することができる。
さらに、本実施の形態によれば、キャリパ固定部23に、複数の肉盗み部23eが設けられ、補強リブ24dは、モータ収容部24を軸方向から見たときに、肉盗み部23eと重ならない位置に設けられている。したがって、ケース21を射出成形する際に用いる金型の形状を簡素化することができるとともに、補強リブ24dから負荷される応力Fが、ケース21の薄肉となった肉盗み部23eに負荷されるのを防止できる。
また、本実施の形態によれば、複数の肉盗み部23eは、出力軸39を中心に放射状に設けられた放射状リブ23fにより仕切られている。したがって、ケース21の軽量化を図ることができるとともに、ケース21の十分な剛性を確保することができる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、ブレーキ装置10を電動パーキングブレーキ装置としたものを示したが、本発明はこれに限らず、運転者のブレーキペダル操作により作動するアクチュエータを備え、電気配線のみで繋がったバイワイヤ方式のブレーキ装置(Brake by wire)にも適用することができる。
また、上記実施の形態においては、図5に示すように、ケース21のデッドスペースDSに一対の補強リブ24dをそれぞれ配置し、各補強リブ24dの突出方向を各ねじ挿通部23cにそれぞれ向けたものを示したが、本発明はこれに限らない。例えば、キャリパ固定部23とモータ収容部24との間に、比較的大きなスペースを確保できるのであれば、モータ収容部24からキャリパ固定部23の軸心に向けて突出した1つの補強リブを設けても良い。さらには、補強リブを設ける個数は任意である。
また、上記実施の形態においては、図6に示すように、電動モータ30をブラシ付きの電動モータとしたものを示したが、本発明はこれに限らず、ブラシレスの電動モータを採用することもできる。この場合、電動モータからのノイズの発生を抑えて、他の車載機器への悪影響をより効果的に低減することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施の形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
10 ブレーキ装置
11 ロータ
11a ロータ本体
11b ディスク部
12 ハブボルト
13a,13b パッド
14 マウンティングブラケット
14a ピン装着部
14b 橋渡し部
15 スライドピン
16 キャリパ
16a キャリパ本体
16b ピン固定部
16c 爪部
16d シリンダ部
16e 連結部
17 ピストン
17a 送りねじ機構
17b 雄ねじ部材
18 ボルト
20 アクチュエータ(ブレーキ用アクチュエータ)
21 ケース
21a 開口部
22 カバー
23 キャリパ固定部
23a 円筒固定部
23b 外周壁部
23c ねじ挿通部(固定部,フランジ部)
23d 固定部用補強リブ
23e 肉盗み部
23f,23f1,23f2 放射状リブ
24 モータ収容部
24a 円筒本体部
24b 底壁部
24d 補強リブ
25 コネクタ接続部
30 電動モータ
31 モータケース
32 マグネット
33 コイル
34 アーマチュア
35 アーマチュア軸(回転軸)
36 ピニオンギヤ
37 コンミテータ
38 ブラシ
39 出力軸
40 入力側二段ギヤ
41 大径ギヤ
42 小径ギヤ
50 減速機構
51 出力側二段ギヤ
52 大径ギヤ
53 小径ギヤ(太陽歯車)
54 プラネタリギヤ(遊星歯車)
55 内歯車
56 遊星キャリヤ
57 支持ピン
DS デッドスペース
F 応力
S 固定ねじ

Claims (10)

  1. キャリパに移動自在に保持されるピストンを駆動するブレーキ用アクチュエータであって、
    回転軸を有する電動モータと、
    前記回転軸と並んで設けられ、前記電動モータの動力を前記ピストンに伝達する出力軸と、
    前記回転軸と前記出力軸との間に設けられる減速機構と、
    前記電動モータおよび前記減速機構を収容するケースと、
    前記ケースの前記出力軸が配置される部分に設けられ、前記キャリパに固定されるキャリパ固定部と、
    前記ケースの前記回転軸が配置される部分に設けられ、前記電動モータを収容するモータ収容部と、
    を有し、
    前記モータ収容部の軸方向長さは、前記キャリパ固定部の軸方向長さよりも長くされ、
    前記モータ収容部は、当該モータ収容部の軸方向一端から軸方向他端に亘って延びる一対の補強リブを備え、
    前記一対の補強リブは、前記モータ収容部の外部に設けられ、かつ前記キャリパ固定部がある側に配置され、
    さらに、前記一対の補強リブは、前記回転軸の軸心と前記出力軸の軸心とを通る直線を中心に、互いに線対称となるように配置されており、
    前記一対の補強リブの前記モータ収容部の軸方向に沿う長さが、前記モータ収容部の軸方向長さよりもそれぞれ短くなっている、
    ブレーキ用アクチュエータ。
  2. 請求項1記載のブレーキ用アクチュエータにおいて、
    前記キャリパ固定部の径方向外側に、前記キャリパに固定される一対の固定部が設けられ、前記一対の補強リブは、前記モータ収容部を軸方向から見たときに、前記一対の固定部に向けてそれぞれ突出されている、
    ブレーキ用アクチュエータ。
  3. 請求項2記載のブレーキ用アクチュエータにおいて、
    前記回転軸の軸心と前記出力軸の軸心とを通る直線と、前記出力軸の軸心と前記一対の固定部のそれぞれ軸心とを通る直線とが、互いに直交している、
    ブレーキ用アクチュエータ。
  4. 請求項2または3記載のブレーキ用アクチュエータにおいて、
    前記キャリパ固定部と前記一対の固定部との間に、放射状リブがそれぞれ設けられている、
    ブレーキ用アクチュエータ。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のブレーキ用アクチュエータにおいて、
    前記減速機構が、遊星歯車減速機構である、
    ブレーキ用アクチュエータ。
  6. ロータと、
    前記ロータに押し付けられるパッドと、
    前記パッドを押圧するピストンと、
    前記ピストンを移動自在に保持するキャリパと、
    前記キャリパに設けられ、前記ピストンを駆動するアクチュエータと、
    を備えたブレーキ装置であって、
    前記アクチュエータは、
    回転軸を有する電動モータと、
    前記回転軸と並んで設けられ、前記電動モータの動力を前記ピストンに伝達する出力軸と、
    前記回転軸と前記出力軸との間に設けられる減速機構と、
    前記電動モータおよび前記減速機構を収容するケースと、
    前記ケースの前記出力軸が配置される部分に設けられ、前記キャリパに固定されるキャリパ固定部と、
    前記ケースの前記回転軸が配置される部分に設けられ、前記電動モータを収容するモータ収容部と、
    を有し、
    前記モータ収容部の軸方向長さは、前記キャリパ固定部の軸方向長さよりも長くされ、
    前記モータ収容部は、当該モータ収容部の軸方向一端から軸方向他端に亘って延びる一対の補強リブを備え、
    前記一対の補強リブは、前記モータ収容部の外部に設けられ、かつ前記キャリパ固定部がある側に配置され、
    さらに、前記一対の補強リブは、前記回転軸の軸心と前記出力軸の軸心とを通る直線を中心に、互いに線対称となるように配置されており、
    前記一対の補強リブの前記モータ収容部の軸方向に沿う長さが、前記モータ収容部の軸方向長さよりもそれぞれ短くなっている、
    ブレーキ装置。
  7. 請求項記載のブレーキ装置において、
    前記キャリパ固定部の径方向外側に、前記キャリパに固定される一対の固定部が設けられ、前記一対の補強リブは、前記モータ収容部を軸方向から見たときに、前記一対の固定部に向けてそれぞれ突出されている、
    ブレーキ装置。
  8. 請求項記載のブレーキ装置において、
    前記回転軸の軸心と前記出力軸の軸心とを通る直線と、前記出力軸の軸心と前記一対の固定部のそれぞれ軸心とを通る直線とが、互いに直交している、
    ブレーキ装置。
  9. 請求項または記載のブレーキ装置において、
    前記キャリパ固定部と前記一対の固定部との間に、放射状リブがそれぞれ設けられている、
    ブレーキ装置。
  10. 請求項のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
    前記減速機構が、遊星歯車減速機構である、
    ブレーキ装置。
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