JP6603323B2 - 電磁音響変換器 - Google Patents

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Description

本開示は、電磁音響変換器の分野に関する。
従来の超音波試験では、変換器と試験構造との間に流体継手の使用が必要である。電磁音響変換器(EMAT)は、変換器と試験対象との間に、流体継手または直接接続でさえも必要としないので魅力的である。そのような特徴は、例えば、(塗料などの)防食層を介した検知が要求される場合に、腐食を監視する際に利点がある。しかしながら、これらEMATの利点は、一般に、EMATが低い感度を有するという欠点を伴う。この低い感度を解決するために、1つの対策は、EMAT内にハイパワーの励起信号および高い励起電圧を使用することである。
しかしながら、この対策はいくつかの実装における安全上の理由から可能でない場合があり得る。
1つの態様から、本発明の開示は、試験対象内に超音波振動を励起する電磁音響変換器を提供し、当該電磁音響変換器は、
磁界を発生するように構成された少なくとも1つの磁石と、
当該試験対象に対向して配置するための試験面を有する磁束ガイドであって、当該少なくとも1つの磁石からの当該磁界を受けるように、かつ当該磁束ガイド内の磁力線間の反発作用が当該磁界の少なくとも一部を当該試験面に向けて方向付けるように当該磁界を方向付けるように成形された当該磁束ガイドと、
電気コイルであって、その少なくとも活性部分が当該試験面を被覆するように配置された当該電気コイルと、を備え、
当該活性部分内で当該電気コイルの導体が、実質的に並行で真直ぐで、かつ同じ方向において電流を流す。
本開示は、いくつかの実施形態において試験面における磁束密度が増加されて、試験面における磁束密度が磁石による磁束密度の2倍を超え得る場合には、電磁音響変換器の感度が向上され得ることを認識する。従来の永久磁石は、それらが個々に発生することができる磁束密度に限界がある。本開示は、磁力線の間の反発作用が磁界を試験面に向けて方向付けるために、1つ以上に磁石からの磁界を受ける適切に成形された磁束ガイドを使用することで、試験面における磁束密度の増幅を生じ得ることを認識する。
変換器による音響波の励起は、電気コイルを使用して、この電気コイルの少なくとも一部が試験面の上に配置されることで実現される。試験面と試験対象との間のコイルの活性部分内において、電気コイルの導体は、実質的に並行で真直ぐで、かつ同じ方向において電流を流す。これは、単一偏光の超音波(例えば、一方向に偏光された横波)を生成する。これは、モード純度を向上する。向上されたモード純度(例えば、励起された単一モード)は、戻り信号の処理および判定をより簡単にする(例えば、同じ時間に受信された異なるモード(例えば、縦波モードおよび横波モード)に対応する受信された重複信号のために、反発作用における不正確さおよび低減を避ける)。
良好な性能(例えば、感度)を提供するために見出されている例示の実施形態は、電気コイルが反対方向に巻かれた2つの隣接する渦巻コイルを有するバタフライコイルである。そのようなバタフライコイルは、隣接する渦巻コイルの間のバタフライコイルの中間部が試験面と試験対象との間に直接配置されるように、磁束ガイドと試験対象との間に都合よく配置され得る。このことによって、高いモード純度を有する超音波の発生が可能になる。
磁石に対する磁束ガイドの寸法は、小型の変換器で強い磁界を提供するために重要である。試験面は、その試験面を通って通過する磁力線の平均方向に対して垂直な平面において試験面の射影を完全に含む円の最小半径がRであるような寸法を有する。磁石は、その平面において磁石の射影を完全に含む円の最小半径がRであり、かつ、R/Rが0.2から0.8の範囲、またはいくつかの実施形態では0.45から0.55の範囲であるような寸法を有する。
の値は、好ましくは、2.5mmから25mmの範囲、または同じ実施形態において5mmから10mmの範囲であってもよい。
その平面に垂直な磁束ガイドの高さHは、0.2Rから10Rの範囲であってもよい。小型サイズが有する良好な性能は、HがRから4Rの範囲、または5mmから50mmの範囲である場合に実現され得る。
少なくとも1つの磁石および磁束ガイドについては広い様々な異なる可能性の形状がある。試験面での磁束密度における望ましい増幅の程度は、いくつかの例示の実施形態において実現される可能性があり、その場合には、少なくとも1つの磁石は、磁束ガイドに近接する1つ以上の磁石面を有し、かつ磁界は、1つ以上の磁石面と磁束ガイドとの間を、試験面に対して非垂直なそれぞれの方向に通過する。そのような配列は、試験面の周りの磁界の集中を促進する。
いくつかの例示の実施形態において、磁石面に対して垂直な方向は、試験面に対する法線から90度〜15度の範囲内であってもよい。そのような角度の範囲は、磁束密度における実用的な増幅を発生させる形状を提供する。増幅がより大きい他の例示の実施形態では、磁界が磁石から磁束ガイドへ通過する方向は、試験面に対する法線から90度〜30度の範囲内であってもよい。小型形状に対してバランスが取れた磁束密度における有利な増幅が特に強いさらなる例示の実施形態は、磁束ガイドに進入する磁力線の方向が試験面の法線に対して実質的に垂直である。
磁束ガイドは様々な異なる形状を有することが理解されるであろう。磁束ガイドは磁石を有する円筒の形状を有することが可能であり、それはこの円筒を囲繞する環として構成された単一の磁石である。他の実施形態において、磁束ガイドはプリズムまたは錐台の形状を有し、試験面はこのプリズムまたは錐台の多角形の底面である。磁束ガイドは直角プリズムの形状に限定されず、傾斜プリズム、ピラミッドおよび錐台も可能である。実施例は、直角プリズムまたは傾斜三角プリズムから、正方形ピラミッドまたは多角形ピラミッドだけでなく、キャップ付きの円錐に近づく限界内の多角形錐台までの範囲である。いくつかの実施形態における磁束ガイドの底面は、Nが4から8の範囲のN個の辺を有する。
そのような配列によれば、少なくとも1つの磁石は、それぞれの極面を有する複数の磁石として好都合に提供され得、プリズムもしくは錐台には、プリズムもしくは錐台の側面のうちの少なくともいくつかに当接する磁石の少なくともいくつかの極面のうちのいくつかに試験面を接合させる、複数の側面が提供される。磁石の極の同じ極性は、プリズムまたは錐台のすべての側面のすべてに当接してもよい。
試験面における磁束密度の増加は、複数の側面の各々が極面の1つに当接する場合に実現される。規則的な磁界を与えるような変換器の形状および構成は、プリズムが直角プリズムである場合に向上され得る。
多角形の面が広い様々な異なる規則的または不規則な多角形の形状を有し得ることが理解される一方で、性能と複雑さとの間の良好なバランスを提供するいくつかの例示の実施形態は、試験面が四辺形であり、かつプリズムが立方体である。対称性および規則性は、試験面が正方形の場合に向上され得る。
簡略化された開発および変換器の固定を可能にする変換器全体の好都合な実装は、電気コイルによって占有される全体の領域が試験対象の上に垂直に突き出された電磁音響変換器によって占有された全体の断面領域の内部に含まれる例示の実施形態において実現される。このように、コイルは、変換器の背後に突き出ず、変換器本体自身の中に保護および保持され得る。
変換器のノイズ耐性および/または性能は、電気コイルと試験対象との間に配置された容量シールドを提供することによるいくつかの例示の実施形態において向上され得る。そのような容量シールドは、電界を少なくとも部分的に阻止し、かつ送信にかかるコイルからおよび受信にかかる渦電流からの動的磁界の実質的にすべてを通過させる働きをする。このように、望ましい磁界は、通過され、かつコイル内に望ましい超音波振動および望ましい電圧を励起するために使用されるのに対して、システムの中にノイズを誘導し得る電界は減衰される。
容量シールドは、1つ以上の切欠きを内部に有する導電性プレートとして構成されてもよく、それらの切欠きは電気コイルによってそのプレート内に渦電流の誘導を抑制するように位置決めされる。電気コイルの構成は、誘導されたいかなる渦電流の方向も規制し、切欠きは、導電性プレート内の渦電流の発生を抑制するように電気コイルに対して位置決めされることができる。
いくつかの例示の実施形態において、容量シールドもまた過酷な開発環境になり得る中で電気コイルを保護するように働く装着プレートとして働く。
少なくともいくつかの例示の実施形態の電磁音響変換器は、磁束ガイド/磁石と試験対象との間の1箇所以上の磁気吸引、非平面の試験対象への付着に対応する弾性係止物、およびパイプ状の試験対象を取り囲む係止物によって、試験対象に保持されてもよい。実際は、本技術による電磁音響変換器と適切な試験対象との間の強力な磁気吸引が、非常に簡単に変換器を試験対象に固定し、かつ変換器のずれによる離反を阻止するのを補助するので、試験面はもはや試験対象に密接に接触することはなく、耐えられ得る。
磁束ガイドおよび磁石を囲繞するハウジングは、磁束に対して「透明」であってもよく、例えば、2μより小さい透磁率を有してもよい。ここで、μは自由空間の透磁率である。
別の態様から、本開示は、試験対象内に超音波振動を励起する電磁音響変換器を提供し、当該電磁音響変換器は、
磁界を発生するように構成された少なくとも1つの磁石と、
当該試験対象に対向して配置するための試験面を有する磁束ガイドであって、当該少なくとも1つの磁石からの当該磁界を受けるように、かつ当該磁束ガイド内の磁力線間の反発作用が当該磁界の少なくとも一部を当該試験面に向けて方向付けるように当該磁界を方向付けるように成形された当該磁気ガイドと、を備え、
当該試験面は、当該試験面を通って通過する磁力線の平均方向に対して垂直な平面において当該試験面の射影を完全に含む円の最小半径がRaであるような寸法を有し、
当該少なくとも1つの磁石は、当該平面において当該少なくとも1つの磁石の射影を完全に含む円の最小半径がRbであるような寸法を有し、
Ra/Rbが、0.2〜0.8の範囲である。
さらなる態様から、本開示は、電磁音響変換器を用いて試験対象内に超音波振動を励起する方法を提供し、当該方法は、
当該試験対象に対向する試験面を有する磁束ガイドを配置するステップと、
少なくとも1つの磁石によって磁界を発生させるステップと、
当該少なくとも1つの磁石からの当該磁界を当該磁束ガイド内で受けるステップと、
磁力線間の反発作用が当該磁界の少なくとも一部を当該試験面に向けて方向付けるように、当該磁束ガイド内に当該磁界を方向付けるステップと、
当該試験面を被覆するように配置された電気コイルの少なくとも活性部分を配置するステップと、を有し、
当該活性部分内において、当該電気コイルの導体が実質的に並行で真直ぐで、かつ同じ方向において電流を流す。
本開示の例示の実施形態について、添付する図面を参照して、例としてここで説明する。
システム内においてパイプの形状の試験対象に固定された電磁音響変換器を概略的に示し、システムはそのパイプの遠隔監視(例えば、腐食監視および/または欠陥検出)を実行する。 電磁音響変換器の部分的に透明な斜視図を概略的に示す図である。 図2の電磁音響変換器の中の切欠図を概略的に示す図である。 変換器に用いる複数の磁石、磁束ガイドおよびコイルを概略的に示す。 図2の変換器内の磁力線を概略的に示す。 磁力線が、試験面に対する法線に対して磁束ガイドに進入する異なる角度を概略的に示す。 磁束ガイドの試験面と磁石および磁束ガイド間の接触面との間の距離の制限を概略的に示す。 磁束ガイドのプリズムまたは錐台の断面図の多数の実施例を概略的に示す。 バタフライコイル、D字型コイルおよび競技トラックコイルを概略的に示す。 バタフライコイル、D字型コイルおよび競技トラックコイルを概略的に示す。 バタフライコイル、D字型コイルおよび競技トラックコイルを概略的に示す。 試験対象と図8のバタフライコイルとの間に使用する容量シールドを概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 様々な異なる高さおよび試験面の法線から様々な異なる角度において永久磁石および磁束ガイド間を通過する磁界を有する磁束ガイドについて試験面における磁力線の経路および磁束密度を概略的に示す。 異なる構成のコイルによるモード純度の信号および非モード純度の信号を励起した場合の異なる動作を概略的に示す。 異なる構成のコイルによるモード純度の信号および非モード純度の信号を励起した場合の異なる動作を概略的に示す。 異なる構成のコイルによるモード純度の信号および非モード純度の信号を励起した場合の異なる動作を概略的に示す。
図1は、鋼鉄製パイプの形状の例示の試験対象2を概略的に示し、それは1箇所以上の磁気吸引、パイプ2の曲面に対する弾性係止物および/またはパイプ2の周囲を通る取り囲み係止物によってパイプ2の表面に保持された電磁音響変換器4を使用して、内部腐食監視、欠陥検出などの対象にされる。変換器4は、バッテリー駆動である(商用電源またはエネルギー取得も使用され得る)とともに、遠隔監視システム6と無線通信を行う。遠隔監視システムは、パイプ2上の変換器4によって定期的に実行される超音波試験の結果を受信しかつ判定する。パイプ2は、外面の腐食を防止するように電気的に非導電性の被膜で覆われてもよい。例えば、パイプ2は、そのような被膜で塗装されてもよい。電磁音響変換器4は、この非導電性の被膜にもかかわらず、パイプ2の内部において超音波信号を励起しかつ検出することができる。
電磁音響変換器4は遠隔監視における使用に限定されず、例えば、それは標準の検査目的または他の用途にも使用され得ることは理解されよう。
図2は、変換器4の部分的に透明な斜視図である。変換器4は、複数の強力な永久磁石10によって囲繞された磁束ガイド8を有する。バタフライコイル12は、磁束ガイド8の底面における試験面と試験対象2との間に配置される。(切欠きを有する導電性プレートで構成される)容量シールド14は、バタフライコイル12と試験対象との間に配置される。容量シールド14は、磁界を通過させかつ電界を減衰するように働く。容量シールド14は、バタフライコイル12に対する破壊を防止する装着プレートとしても働く。変換器は、μが自由空間の透磁率で、μが2μより小さい場合に、透磁率μを有するハウジング9内に収容される。このためハウジング9は磁界に与える影響が小さい。
バタフライコイル12は、試験対象2上に垂直に突き出された変換器4によって占有される断面全体の中に含まれる領域を占有することが図2から分かる。したがって、電気コイル12は、変換器4の中に完全に収容され、かつ変換器本体によって保護され得る。他の実施形態においては、電気コイル12は磁石配列および変換器本体の外側に延び得る可能性もある。
この例示の実施形態において、永久磁石10および磁束ガイド8は、高さが40mmで幅が20mmである。他の寸法が用いられてもよく、通常、磁束ガイドおよび磁石の高さは0.001メートル以上で0.1メートル以下であることが理解されよう。
図3は、図2の変換器4の部分的な切欠図である。図3に見られるように、磁束ガイド8は、(コイル12および容量シールド14などの、介在する構造が存在し得る場合であっても)試験対象2に対向する試験面11を構成する正方形の多角形面を有する直角プリズムを有する。いくつかの実施形態では、試験面11は、試験対象上の磁束ガイド断面の射影であってもよい。永久磁石10は、この例示の実施形態における磁界が永久磁石10から試験面11に対する法線に対して実質的に垂直な法線を有する面を通って磁束ガイド8の中を通過するように、磁束ガイド8の側面に当接する磁石面を有する。磁力線の多くは、磁束ガイド8を離れて試験面11を通り、その後、試験対象2に進入する。
磁束ガイド8は、(示されるように)試験面を通って通過する磁力線の平均方向に対して垂直な平面において試験面11の射影を完全に含む円の最小半径がRであるような寸法を有する。Rは、2.5mm〜25mmの範囲であり、またはいくつかの実施形態では、5mm〜10mmである。磁石10は、磁石10の射影を完全に含む円の最小半径がRであるような寸法を有し、R/Rは0.2〜0.8の範囲であり、またはいくつかの実施形態では、0.45〜0.55の範囲である。
磁束ガイド8は、コイルに起因する表面上の渦電流を低減するように、鉄または積層鉄などの軟磁性材料で作られてもよい。永久磁石10は、1テスラを超える磁束密度を有することができる強力な磁石であってもよい。この例示の実施形態に見られるように、すべての永久磁石は、それらのS極が磁束ガイド10に接触するように配列される。永久磁石10の各々から磁束ガイド8に進入する磁界は、磁石10の残りから進入する磁界から相応の反発を受けることになる。このことは、永久磁石10単独内の磁束密度を上回って試験面11における磁束密度に増加を生じる方法で、磁界(または磁界の少なくとも一部)を試験面11に向かって方向付ける効果を有する。実際には、約3倍程度の磁束密度の増幅が実現できる。このことは、電磁音響変換器4の感度を向上し、その感度は試験面における磁束密度の二乗にほぼ比例する。
変換器4は、通常、コイル12を駆動するだけでなくコイル12において信号を受信するのに多くの電子部品を備えていることは理解されよう。これらの電子部品は、理解を容易にするため現在の図面からは省略されているが、電磁音響変換器の当業者によく知られているように実質的に従来の形態を採ることができる。
この例示の実施形態における試験面は、磁束ガイド8の底面において正方形の多角形面を有する。この正方形の試験面を横切る対角線は、試験面の最大の寸法を表す。本技術は、様々な異なる大きさの変換器で使用することができ、通常は、0.001メートル以上かつ0.1メートル以下の範囲にわたる最大寸法(例えば、対角線)を有する。いくつかの実施形態では、この寸法(2R)は5mm〜50mmの範囲または10mm〜20mmの範囲でもよい。
図4は、変換器4の一部を構成する永久磁石10、磁束ガイド8およびコイル12の斜視図を概略的に示す。この実施例に示されるように、磁束ガイド10の側面の各々は、永久磁石10のS極に当接する。永久磁石10から磁束ガイド8に進入する磁力線間の反発作用は、これらの磁力線の少なくとも一部を試験対象2に当接する磁束ガイド10の端における下方の試験面に向かって方向付けるように働く。バタフライコイル12は、この試験面と試験対象2との間に配置される。磁束ガイド8の高さHは、0.2R〜10Rの範囲でもよく、また、いくつかの実施形態ではR〜4Rの範囲または5mm〜50mmの範囲である。
図5は、磁束ガイド8の反対側の側面上に配置された2つの永久磁石10から磁束ガイド8に進入する磁力線の経路を表す変換器4および試験対象2の中を通る断面を概略的に示す。示されるように、磁石面は、磁束ガイド8の底面における試験面からの法線に対して実質的に垂直である。磁束ガイド8の反対側の側面から進入する磁力線は、互いに反発し、かつそれらが試験対象2に進入するように試験面に向かって方向付けられる。試験対象2は、磁界がそれらのそれぞれの磁石10に誘導するための戻り経路を提供する。試験対象2を通る戻り経路は、試験対象2が構成される材料の磁気特性および試験対象2の形状に応じて、優先的な戻り経路を提供してもよい(例えば、試験対象2を構成する鋼鉄製パイプは、磁力線のための即応可能な戻り経路を提供し得る)。変換器4は、試験対象2の表面から変換器4(磁石)の離脱に対して相当に高い抗力が提供されるような形状である。したがって、試験対象2との理想的な接触からの変換器4の僅かばかりのずれは、変換器4の性能、例えば、その感度に対して過度に悪い影響を与えることはない。このことは、曲がった試験対象、例えば、異なる/小さい直径のパイプ上で使用するために、変換器4の性能を小さい感度にする。このことは、下記の図6Bにおいて説明する。
図6Aは、磁束ガイド8の中心軸16の片側における磁束ガイド8および磁石10の中を通る断面を概略的に示す。この実施例は、配置された磁石10の磁性面に対面する磁束ガイド8の側面18が、ある角度範囲内に水平に置かれた試験面20からの法線に対して、ある角度を有する法線をどのようにして決めることができるかを示す。図に示されるように、受け入れ可能な性能は、その角度が15度以上の範囲または90度以下の範囲に位置する場合に実現され得る。より良好な性能は、この角度が30度以上の範囲または90度以下の範囲に位置する場合に実現される。実質的に90度の角度は、製造および実装のために好都合であり、図2、3、4および5に示された例示の実施形態と一致する。
図6Bは、磁束ガイド8および磁石10の中を通る断面を概略的に示す。性能(試験面20における磁束密度)を低下させる試験対象2から変換器4の「離脱」に対する感受性を低減するために、試験面20と磁石10および磁束ガイド8間の接触部との間の距離は、6mm以下に制限されてもよい。
磁束ガイド8がプリズムまたは錐台の形状を有し得ることは理解されるであろう。これは、例えば、直角プリズムでもよい。この直角プリズムまたは錐台の一端における多角形の面は、図7に示されるような様々な形状を有することができる。これらの形状には、例えば、正三角形、正方形、正六角形、長方形および二等辺三角形が含まれる。直角プリズムの端面を構成する多角形の辺の数が増加するような場合を制限することは、プリズムの端面が円形になり、かつプリズムが円筒(または錐台の場合は円錐形の錐台)になることである。そのような実施形態では、磁石は円環の磁石の形状を採用してもよい。この場合、円筒の側面に接触する内面が磁石の1つの極を構成し、円環の反対側の面が磁石の他の極を構成する。そのような円環の磁石は、例えば、個別に構成されかつ分極化された円環の複数の部分を互いに固定することによって構成されて、完全な円環を構成できる。いくつかの実施形態では、磁束ガイド8の試験面TFは、4〜8の範囲のN個の多くの辺を有する多角形である。
図8Aは、バタフライコイル12の形状をした電気コイルを概略的に示す。このバタフライコイル12は、反対方向、すなわち、上または下から見た場合に1つは時計回り、1つは反時計回りに巻かれた2つの渦巻コイルを有する。2つの渦巻コイルの縁が当接するバタフライコイル12の中間部は、渦巻を構成するワイヤを通る電流が(試験面と試験対象との間に配置された活性部分を含む)中間部においてすべて同じ方向に流れるようになっている。中間部におけるワイヤ(導体)は、実質的に真直ぐで並行で、かつ同じ方向において電流を流す。このことにより、単一の偏波の波を生成できるので、発生され/受け取られる振動におけるモード純度を向上させる(これについては、さらに後述する)。これは、中間部によって強い渦電流を試験対象の中に誘導し、したがって、これが磁界と相互作用する場合には、超音波振動を発生するために利用され得る。図8Aに示されるように、バタフライコイル12は、試験対象2の表面上の変換器4の垂直な射影内に完全に含まれる。電気コイルの他の構成、例えば、パンケーキコイルも利用され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、バタフライコイル12は、変換器4の垂直な射影の外に延びてもよい。バタフライコイル12はまた、中心領域でワイヤが交差するのを防止するように、1つのコイルの中心で開始し、他のコイルの中心で終了するように構成されてもよい。
図8Bは、D字型のコイル13の形状をした別の実施例のコイルを示す。このD字型コイル13もまた、磁束ガイド8の試験面を被覆するように配置された活性部分を有する。活性部分内の導体(ワイヤ)は、実質的に真直ぐで並行で、かつ同じ方向において電流を流す。
図8Cは、競技場トラック型コイル15の形状をした別の実施例のコイルを示す。この競技場トラック型コイル15もまた、磁束ガイド8の試験面を被覆するように配置された活性部分を有する。活性部分内の導体(ワイヤ)は、実質的に真直ぐで並行で、かつ同じ方向において電流を流す。励起された波が実質的に単一モード内にあることを依然として保証しつつ、様々なコイル12、13、15の真直ぐかつ並行な配列からの小さいずれが可能である。
図9は、容量シールド14を概略的に示す。これは、バタフライコイル12の近傍の容量プレート内に誘導される渦電流を低減するように、切欠き24が設けられている導体プレートの形状を採用する。図面には2つの切欠きしか示されてないが、もっと多くの切欠きが使用されてもよく、この場合には性能を向上できる。容量シールドの効果は、それがバタフライコイル12と試験対象2の間を通過する電界を減衰(阻止)する働きをすることであり、その一方で、磁界が検査対象2とバタフライコイル12との間を通過できるようにする。容量シールド14はまた、バタフライコイル12を物理的破壊から保護する装着プレートとして働く。
図10〜18は、試験対象2の表面に垂直で異なる高さで、かつ、試験対象2の法線に対して異なる角度を有する磁束ガイド8に進入する磁界が通る側面を有する磁束ガイド8を使用して実現できる試験対象2内の磁力線ならびに半径方向の磁束密度および軸方向の磁束密度を概略的に示す。上記された永久磁石10は、実際には、磁束ガイド8の他の側面上の別の永久磁石10と向き合って配置されるが、このことは図10〜18には示されない。図10〜18の実施例は、円筒型対称を有するシステムに属する。
そのように近接する2つの永久磁石10の効果は、磁束ガイド8内の磁力線が互いに反発し、試験対象2に進入する磁力線が磁束ガイド8の試験面に向かって方向付けられることである。試験対象2は、例えば、試験対象2が強磁性材料で作られている場合には、永久磁石10に向かうこれらの磁力線のための即応可能な戻り経路を提供してもよい。図示された実施例において、永久磁石10がその本体内に1テスラより小さい磁束密度を有してもよい一方で、試験対象2内で実現される磁束密度はこのレベルの2倍を超えてもよい。たとえ試験対象2が強磁性材料でなくても、磁界が通過する磁束ガイド8と試験対象2との間では、磁束密度の増加が実現されてもよい。
図10〜18は、磁束ガイド8の様々な異なる高さとともに、永久磁石10が磁束ガイド8に当接する様々な異なる角度により実現される磁力線経路および磁束密度を示す。試験対象10に進入する磁束密度の許容可能な増幅が実現されてもよいのは、その角度が15度〜90度の範囲である場合である。さらに良好な増幅が実現されてもよいのは、その角度が30度〜90度にわたる場合である。図に示されるように様々な高さの磁束ガイド8が採用されてもよい。
磁束ガイド8が様々な異なる形状および構成を有しながら、試験面での磁束密度が永久磁石10単独内の磁束密度より大きくなるように、磁束ガイド8内における磁界間の反発作用を利用してその磁界を試験面および試験対象に向かって方向付ける効果を実現することを図10〜18が実証することは理解されるであろう。
図19は、試験面と試験対象との間のコイルの活性部分に対応する半径Raの開口部を概略的に示す。活性部分内では、弾性波(超音波)がローレンツ力のメカニズムによって励起され、それは(導電性の)検査対象の中に誘導された渦電流の相互作用およびバイアス磁界の結果である。図19の左側部分に示されるように、導体が開口部を横切って実質的に並行である場合には、その力は単一方向に並行に働くのでモード純度の横波の励起を生じる。これと反対に、図19の右側部分に示されるように、コイルが活性部分においてループを構成する場合には、これが表面を半径方向に伸長しかつ半径方向に圧縮する表面力を生じるので、より低いモード純度、すなわち、ループの中心部分に向かう縦波の励起を生じる。
図20は、それぞれの厚さの鋼鉄製プレートの1つの面(励起面)における2MHzのモード純度の信号の励起、および、反対側の面(反射面)から受信された反射された(反射の順序は異なる)信号を概略的に示す。図21は、それぞれの厚さの鋼鉄製プレートの1つの面(励起面)における2MHzの非モード純度の信号の励起、および、反対側の面(反射面)から受信され反射された(反射の順序は異なる)信号を概略的に示す。図20において受信された信号を図21の受信された信号と比較すると、モード純度の励起された波は、より明確に分離され、かつより半径方向に区別された受信された信号(反射された信号)を生じることが分かる。
本発明の実例となる実施形態について、添付した図面を参照しながら本明細書において詳細に説明したが、本発明はこれらの正確な実施形態に限定されないこと、ならびに、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者による様々な変更、追加、および修正は、本明細書の中に達成され得ることが理解されよう。例えば、従属請求項の特徴の様々な組み合わせは、本発明の範囲から逸脱することなく、独立請求項の特徴とともに行うことができる。

Claims (16)

  1. 試験対象内において超音波振動を励起する電磁音響変換器であって、
    磁界を発生するように構成された少なくとも1つの磁石と、
    前記試験対象に対向して配置するための試験面を有する磁束ガイドであって、前記少なくとも1つの磁石からの前記磁界を受けるように、かつ前記磁束ガイド内の磁力線間の反発作用が前記磁界の少なくとも一部を前記試験面に向けて方向付けるように前記磁界を方向付けるように成形された前記磁束ガイドと、
    電気コイルと、
    を備え、
    前記電気コイルは、活性部分と別部分とを少なくとも備え、
    前記電気コイルの前記活性部分が、前記試験面を被覆するように配置され、前記活性部分内で前記電気コイルの導体が、実質的に並行で真直ぐで、かつ同じ方向に電流を流し、
    前記電気コイルの前記別部分が、前記試験面上に配置されず、前記別部分内で前記電気コイルの導体が、前記活性部分内の前記導体に対して異なる方向に電流を流し、
    前記磁束ガイドは、プリズムまたは錐台の形状を有し、前記試験面は、前記プリズムまたは錐台の多角形の底面であり、
    前記少なくとも1つの磁石の一面は、前記磁束ガイドの側面と少なくとも部分的に当接しており、
    前記電磁音響変換器は、前記電気コイルを通る電流を駆動して、試験対象内において超音波振動を励起する手段を有する、電磁音響変換器。
  2. 前記電気コイルは、反対方向に巻かれた2つの隣接する渦巻コイルを備えるバタフライコイルである、請求項1に記載の電磁音響変換器。
  3. 前記隣接する渦巻コイルの間の前記バタフライコイルの中間部は、前記活性部分であり、かつ前記試験面と前記試験対象との間に配置される、請求項2に記載の電磁音響変換器。
  4. 前記試験面は、前記試験面を通過する磁力線の平均方向に対して垂直な平面において、前記試験面の射影を完全に含む円の最小半径がRaであるような寸法を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁音響変換器。
  5. 前記少なくとも1つの磁石は、前記平面における前記少なくとも1つの磁石の射影を完全に含む円の最小半径がRbであるような寸法を有し、
    Ra/Rbが、0.2〜0.8の範囲である、請求項4に記載の電磁音響変換器。
  6. Ra/Rbが、0.45〜0.55の範囲である、請求項4に記載の電磁音響変換器。
  7. Raが、2.5mm〜25mmである、請求項4、5および6のいずれか1項に記載の電磁音響変換器。
  8. Raが、5mm〜10mmである、請求項7に記載の電磁音響変換器。
  9. 前記磁束ガイドは、前記平面に垂直な高さHを有し、Hが、0.2Ra〜10Ra、およびRa〜4Raのうちの1つの範囲である、請求項4〜8のいずれか1項に記載の電磁音響変換器。
  10. Hが、5mm〜50mmの範囲である、請求項9に記載の電磁音響変換器。
  11. 前記少なくとも1つの磁石は、前記磁束ガイドに近接する1つ以上の磁石面を有し、前記磁界は、前記1つ以上の磁石面と前記磁束ガイドとの間を、前記試験面に対して非垂直であるそれぞれの方向において通過する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電磁音響変換器。
  12. 前記磁力線間の前記反発作用は、前記磁束ガイドおよび前記試験面内の磁束密度を前記少なくとも1つの磁石内の磁束密度を超えて増加させる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電磁音響変換器。
  13. 前記磁束ガイドおよび前記試験面内の磁束密度は、前記少なくとも1つの磁石内の磁束密度の2倍よりも大きい、請求項12に記載の電磁音響変換器。
  14. 前記多角形の底面は、N個の辺を有する多角形であり、Nが4〜8の範囲である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の電磁音響変換器。
  15. 前記少なくとも1つの磁石および前記磁束ガイドを囲繞するハウジングを備え、前記ハウジングは、透磁率μを有し、μが2μ未満であり、μが自由空間の透磁率である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の電磁音響変換器。
  16. 電磁音響変換器を用いて試験対象内において超音波振動を励起する方法であって、
    前記試験対象に対向する試験面を有する磁束ガイドを配置するステップと、
    少なくとも1つの磁石によって磁界を発生させるステップと、
    前記少なくとも1つの磁石からの前記磁界を前記磁束ガイド内で受けるステップと、
    磁力線間の反発作用が前記磁界の少なくとも一部を前記試験面に向けて方向付けるように、前記磁束ガイド内に前記磁界を方向付けるステップと、
    前記試験面を被覆するように配置された電気コイルの少なくとも活性部分と前記試験面上に配置されない別部分とを提供するステップであって、前記活性部分内において、前記電気コイルの導体が実質的に並行で真直ぐで、かつ同じ方向において電流を流し、前記別部分内において、前記活性部分内の前記導体に対して異なる方向電流を流す、ステップと、
    前記電気コイルを通る電流を駆動して、前記試験対象に実質的にモード純度および一方向に偏光された横波を励起するステップと、を含み、
    前記磁束ガイドは、プリズムまたは錐台の形状を有し、前記試験面は、前記プリズムまたは錐台の多角形の底面であり、
    前記少なくとも1つの磁石の一面は、前記磁束ガイドの側面と少なくとも部分的に当接している、方法。
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