JP6602737B2 - 肉盛合金および肉盛部材 - Google Patents
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(1)本発明の肉盛合金は、Cu、Fe、NiおよびSiからなる第1元素群と、Mo、WおよびVからなる第2元素群より選択された一種以上の第2元素とを含み、溶融時にCuを含む合金液相と第2元素およびFeを含む合金液相とが分離した状態となり得る肉盛合金であって、さらに、チタン硫化物を含み、全体を100質量%(単に「%」という。)として、下記の組成を満たす銅基合金からなることを特徴とする。
Fe :3〜20%、
Ni :5〜30%、
Si :0.5〜5%、
第2元素の合計:3〜20%
チタン硫化物 :0.1〜2%
残部:Cuおよび不純物
本発明は、上述した肉盛合金としてのみならず、その肉盛合金からなる肉盛部を有する肉盛部材としても把握できる。すなわち、本発明は、基材と、基材に形成された肉盛部とを備える肉盛部材であって、この肉盛部が上述した肉盛合金からなることを特徴とする肉盛部材でもよい。
(1)本発明に係る「硬質」粒子は、銅基マトリックスよりも硬さが大きい粒子という意味であるが、適宜、分散粒子と換言してもよい。
本発明に係る硫化物は、液相分離状態となる高温域(例えば1200〜1800℃さらには1400〜1600℃)でも、殆ど、分解したり他元素と反応せず、安定的に存在する化合物であると好ましい。このような硫化物として、例えば、TiとSからなる金属硫化物がある。より具体的にいうと、TiS、Ti2S3、Ti2S、Ti3 S等である。なお、本発明でいう硫化物には複合硫化物も含まれる。複合硫化物は、例えば、TiとS以外の他元素(金属元素または非金属元素)とを含む硫化物等である。
本発明の肉盛合金は、主元素であるCu(残部)と、上述した硫化物を構成する元素(Sと第3元素)の他、少なくとも、Fe、Ni、Si、第2元素(Mo、W、Vの一種以上)を含む。NiおよびSiはCuと共に銅基マトリックスを構成する主要元素である。Feは、Cuと共に、溶融時に液相分離状態となるために重要な元素である。またFeは、Si(さらにはNi)および第2元素と共に銅基マトリックス中に分散した硬質粒子を構成する元素である。
(1)本発明の肉盛合金は、溶融から凝固に至る形成過程を調整することにより、種々の金属組織をとり得る。肉盛部の耐摩耗性と被削性を両立する観点から、その金属組織は、銅基マトリックス(Cu−Ni−Si系マトリックス)と、この銅基マトリックス中に分散している略球状の硬質粒子(Fe−Mo−Si等の化合物粒子)と、銅基マトリックスまたは硬質粒子の少なくとも一方に分散している硫化物とからなると好ましい。
本発明の肉盛合金を肉盛する相手材(基材)は、鉄系材(ステンレス鋼を含む。)、非鉄系材(アルミニウム系材、マグネシウム系材、チタン系材、銅系材等)など、種々考えられる。
本発明では肉盛部の形成過程を問わないが、例えば、レーザークラッド法により、所望の金属組織または特性を有する肉盛部を形成することができる。
(1)基材
肉盛する基材として、アルミニウム合金(JIS AC2C)を用意した。基材の形状は、組織観察:板状(100mm×100mm×20mm)、耐摩耗性:リング状(外径φ80mm×内径φ20mm×高さ50mm)および被削性:丸棒状(外径φ60mm)とした。
原料粉末には、表1に示す成分組成を有するガスアトマイズ粉末を用意した。ガスアトマイズ粉末は、1800℃で調製された合金溶湯を、不活性ガス雰囲気に噴霧して製造した。入手したガスアトマイズ粉末を篩い分けにより分級した。こうして粒度:32〜180μmに調整した粉末を肉盛に供した。
肉盛は、半導体レーザービーム(LD)を熱源とするレーザークラッド装置(レーザライン製)を用いて行った。照射条件は、出力:2.8kW、移動速度:900mm/min、雰囲気:N2フローとした。こうして、肉盛厚み:約2mm、肉盛幅:約4mm となる半円形状の肉盛部を形成した。
(1)組織観察
各試料の肉盛部のビード中央部断面を湿式研磨処理して、光学顕微鏡で観察して得られた金属組織を図1A、図1B(両者を併せて単に「図1」という。)に示した。
図6に示す試験装置を用いて、各試料の肉盛部からなる模擬的なバルブシートに、表面を窒化処理した耐熱鋼からなるバルブを繰返し離着座させる実機模擬試験を行った。この試験は、バルブ側をバーナー加熱すると共にバルブシート側を水冷することにより、バルブシート近傍の温度(試験温度)を約300℃に保持しつつ行った。その他の試験条件は、対象エンジンの仕様に近いものとした。シート側(試料側)とバルブ側(相手材側)とについて、試験後の摩耗深さを摩耗量として測定した。こうして各試料について得られた各摩耗量を図4に示した。
各試料の肉盛部を超硬刃具で旋削し、その刃具の逃げ面における摩耗量を測定した。このときの加工条件は、被削材(試料)の回転数:2450rpm、刃具送り量:0.075mm/rev、切込み量:3.0mm、切削油:不使用とした。こうして各試料について得られた加工数と逃げ面の摩耗量(相手攻撃性)の関係を図5に示した。なお、ここでいう加工数は、肉盛り部全周のトレース数をカウントしたものである。また逃げ面の摩耗量は、加工数:25毎に刃具先端形状を実体顕微鏡により観察し、摩耗深さを測定した。
(1)金属組織
図1から明らかなように、いずれの試料の肉盛部も、マトリックス中に(硬質)粒子が分散した複合組織となっていた。このことから、レーザーで加熱された原料粉末は、溶融して二液相分離状態となった後に、急冷凝固したことがわかる。
図4から明らかなように、試料1は試料C2よりも、少なくともシート側(肉盛部側)の摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることがわかった。この傾向は試験温度に依らない。
図5から明らかなように、試料1は加工数が増加しても逃げ面の摩耗量が僅かにしか増加していない。従って、試料1の肉盛部は、相手攻撃性が低く、工具寿命の長期化を図れるという点で被削性に優れることがわかる。一方、試料C1は、その摩耗量が加工数に比例して急激に増加し、被削性に劣ることがわかる。
Claims (11)
- Cu、Fe、NiおよびSiからなる第1元素群と、
Mo、WおよびVからなる第2元素群より選択された一種以上の第2元素とを含み、
溶融時にCuを含む合金液相と第2元素およびFeを含む合金液相とが分離した状態となり得る肉盛合金であって、
さらに、チタン硫化物を含み、
全体を100質量%(単に「%」という。)として、下記の組成を満たす銅基合金からなることを特徴とする肉盛合金。
Fe :3〜20%、
Ni :5〜30%、
Si :0.5〜5%、
第2元素の合計:3〜20%
チタン硫化物 :0.1〜2%
残部:Cuおよび不純物 - 前記チタン硫化物はTiSを含む請求項1に記載の肉盛合金。
- 前記第2元素はMoである請求項1または2に記載の肉盛合金。
- 前記銅基合金は、C:0.01〜0.5%をさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の肉盛合金。
- 前記銅基合金は、Cr≦1%および/またはCo≦1%である請求項1〜4のいずれかに記載の肉盛合金。
- NiおよびSiを含む銅基マトリックスと、
Siおよび前記第2元素を含み、該銅基マトリックス中に分散している略球状の硬質粒子とを有し、
前記チタン硫化物は、該銅基マトリックスと該硬質粒子の少なくとも一方に分散している請求項1〜5のいずれかに記載の肉盛合金。 - 前記チタン硫化物は、略針状である請求項6に記載の肉盛合金。
- 肉盛に供される原料粉末である請求項1〜5のいずれかに記載の肉盛合金。
- 基材と、
該基材に形成された肉盛部と、
を備えた肉盛部材であって、
前記肉盛部は、請求項1〜7のいずれかに記載した肉盛合金からなることを特徴とする肉盛部材。 - 前記基材は、アルミニウム合金からなる請求項9に記載の肉盛部材。
- 前記肉盛部は、内燃機関用のシリンダーヘッドの吸気ポートおよび/または排気ポートに形成されたバルブシートである請求項10に記載の肉盛部材。
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