JP2003138366A - 溶射皮膜、溶射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末 - Google Patents

溶射皮膜、溶射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末

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JP2003138366A
JP2003138366A JP2001331736A JP2001331736A JP2003138366A JP 2003138366 A JP2003138366 A JP 2003138366A JP 2001331736 A JP2001331736 A JP 2001331736A JP 2001331736 A JP2001331736 A JP 2001331736A JP 2003138366 A JP2003138366 A JP 2003138366A
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thermal spray
sprayed
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thermal
material powder
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English (en)
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Mitsumasa Sasaki
光正 佐々木
Tadaoki Arakawa
忠興 荒川
Hidetada Mima
秀忠 美馬
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Oerlikon Metco Japan Ltd
Original Assignee
Sulzer Metco Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高回転、高負荷、無潤滑の運転条件におい
て、優れた耐焼付性、耐摩耗性有する溶射皮膜、更には
斯かる溶射皮膜を高速度で且つ容易に被溶射基材表面に
成膜することのできる形成方法及び溶射原料粉末を提供
する。 【解決手段】 本発明の溶射被膜は、Mo硫化物及びそ
の固溶体、Fe−Mo硫化物及びその固溶体、Fe硫化
物及びその固溶体、Fe−Mo金属間化合物及びその固
溶体、Mo固溶体、S固溶体、及びFeとMoの酸化物
及び気孔を含むFe及び/又はFe合金組織から成る構
成とされる。又、本発明によれば、被溶射基材表面に溶
射原料粉末を溶射して、被溶射基材表面に皮膜を形成す
る方法は、溶射原料粉末に、Moを10〜40重量%、
Sを1〜5重量%含むFe及び/又はFe合金粉末を使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動性に優れた溶
射皮膜の形成技術に関するものであり、耐焼付性、耐摩
耗性が必要とされる、例えば、Al合金、Cu合金、鋳
鉄及び鉄鋼系合金にて作製された機器部品、特に、エア
ーコンプレッサーポンプ用斜板の一部或いは全部の表面
に形成される潤滑性、耐摩耗性に優れた溶射皮膜、該溶
射被膜の形成方法及び溶射原料粉末に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばエアーコンプレッサーポン
プ用斜板は、回転することによって、斜板の両面円周上
に当接しているシューを介してピストンを往復運動させ
る機構を有し、従って、斜板の円周上をシューが摺動す
る構成となっている。
【0003】通常、斜板はAl合金、Cu合金、鋳鉄又
は鉄鋼系合金で作製され、摺動する相手部品のシューは
SUJ2にて形成されており、そのために、潤滑が不十
分になると焼付きが発生する。従って、従来、斜板の表
面には、Snメッキ、テフロン(イー・アイ・デュポン
社製商品名)コーティング、MoS2(固体潤滑剤)の
塗布、Pb入りCu合金の焼結及びPb入りCu合金溶
射(特開平10−8231号公報)などの処理が施され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Snメ
ッキ、テフロンコーティングなどで処理された斜板は、
高回転・高負荷がかかる運転条件で、摩耗が激しく、且
つ、無潤滑状態になり易く、ついには、斜板とシューと
焼付くこととなる。又、これらの成膜処理に、特に、S
nメッキは厚さ10μmの皮膜作製におよそ30分を要
し、不要部のマスキング作業に多くの時間を要するた
め、作業性の点でも問題がある。
【0005】同様に、テフロンコーティングされた斜板
は、高回転・高負荷がかかる運転条件で摩耗が激しく、
ついには、斜板とシューとが焼付くこととなる。又、S
nメッキ以上に不要部のマスキング作業に多くの時間を
要するため、作業性の点でも問題がある。
【0006】MoS2(固体潤滑剤)の塗布では、高回
転・高負荷がかかる運転条件で、塗布膜の減少が激し
く、膜が無くなると、直ちに、斜板とシューが焼付くこ
ととなる。
【0007】Pb入りCu合金の焼結及びPb入りCu
合金溶射(特開平10−8231号公報)皮膜は、Pb
の環境に対する安全性の問題で、近々使用が不可能にな
ることが予想される。
【0008】現在、本発明者らの知る限りにおいて、益
々要求仕様が厳しくなる高回転・高負荷の運転条件にお
いて、優れた耐焼付性及び耐摩耗性を示す、例えば、A
l合金、Cu合金、鋳鉄又は鉄鋼軽合金などで作製され
た摺動部材などの表面に施す適当な被覆材料は見当たら
ない。しかも、作業工程が短く、皮膜形成(成膜)速度
の速い表面改質方法は存在しない。
【0009】従って、本発明の目的は、高回転、高負
荷、無潤滑の運転条件において、優れた耐焼付性、耐摩
耗性有する溶射皮膜、更には斯かる溶射皮膜を高速度で
且つ容易に被溶射基材表面に成膜することのできる形成
方法及び溶射原料粉末を提供することである。
【0010】本発明の他の目的は、仕上げ加工時におい
て、皮膜からの粒子の脱落がなく、仕上げ面に欠陥の無
い、密着性の良好な溶射皮膜、更には斯かる溶射皮膜の
形成方法及び溶射原料粉末を提供することである。
【0011】本発明の他の目的は、特に、Al合金、C
u合金、鋳鉄及び鉄鋼系合金などで作製したエアーコン
プレッサーポンプ用斜板の一部或いは全部の表面に優れ
た潤滑性、耐摩耗性を与える溶射皮膜、更には斯かる溶
射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末を提供することであ
る。
【0012】本発明の更に他の目的は、機器部品の寿命
を伸ばすと共に、Pb入り摺動部材の代替として用いる
ことができ、環境に対するの安全性を向上させ得る溶射
皮膜、更には斯かる溶射皮膜の形成方法及び溶射原料粉
末を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく多くの実験研究を行い鋭意検討を重ねた結
果、Mo及びSを含むFe合金粉末をアトマイズ法で作
製し、この粉末を用いて溶射法で皮膜を形成することに
より、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0014】つまり、上記目的は本発明に係る溶射皮
膜、溶射皮膜の形成方法及び溶射原料粉末にて達成され
る。要約すれば、本発明の第1の態様は、Mo硫化物及
びその固溶体、Fe−Mo硫化物及びその固溶体、Fe
硫化物及びその固溶体、Fe−Mo金属間化合物及びそ
の固溶体、Mo固溶体、S固溶体、及びFeとMoの酸
化物及び気孔を含むFe及び/又はFe合金組織から成
ることを特徴とする溶射皮膜である。
【0015】本発明の一実施態様によると、溶射原料粉
末として、Moを10〜40重量%、Sを1〜5重量%
含むFe及び/又はFe合金粉末を被溶射基材表面に溶
射して形成される。
【0016】本発明の一実施態様によると、前記溶射原
料粉末は、アトマイズ法により作製され、成分としてF
eを40〜85重量%、Moを10〜40重量%、Sを
1〜5重量%含み、硫化物及びその固溶体を含んでい
る。前記溶射原料粉末の粒径範囲は、10〜75μmで
あることが好ましい。
【0017】本発明において、一実施態様によると、溶
射被膜は、燃焼ガスとしてプロパンガス、プロピレンガ
ス、ブタン、エタン、エチレン、天然ガス、水素ガス又
は灯油、助燃ガスとして酸素又は空気を用いてフレーム
温度が1500〜2800℃、フレーム速度が1000
〜2500m/秒の高速フレームを形成し、この高速フ
レームを用いて溶射距離150〜350mmに保持して
被溶射基材表面に溶射原料粉末を溶射することによって
形成される。又、他の実施態様によると、溶射被膜は、
He、Ar、N2から成る群から選択される不活性ガス
を300℃以上に加熱して速度1000m/秒以上の高
速ジェットを形成し、この高速ジェットを用いて被溶射
基材表面に溶射原料粉末を溶射することによって形成さ
れる。本発明の好ましい一実施態様によると、溶射被膜
は、粗さμmRz=25〜90に粗面化処理した被溶射
基材表面に形成される。
【0018】本発明において、溶射被膜は、Al合金、
Cu合金、鋳鉄又は鉄鋼系合金にて作製された機器部品
に形成することができる。特に、前記機器部品は、エア
ーコンプレッサーポンプ用斜板であってよい。
【0019】本発明の第2の態様によると、被溶射基材
表面に溶射原料粉末を溶射して、被溶射基材表面に皮膜
を形成する方法において、前記溶射原料粉末に、Moを
10〜40重量%、Sを1〜5重量%含むFe及び/又
はFe合金粉末を使用することを特徴とする溶射皮膜の
形成方法が提供される。
【0020】又、本発明の第3の態様によると、アトマ
イズ法により作製され、成分としてFeを40〜85重
量%、Moを10〜40重量%、Sを1〜5重量%含
み、硫化物及びその固溶体を含むことを特徴とする溶射
原料粉末が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る溶射皮膜、溶
射皮膜の形成方法、溶射原料粉末及び溶射皮膜が形成さ
れた物品を図面に則して更に詳しく説明する。
【0022】図6に、本発明を実施し得る高速フレーム
溶射装置(溶射ガン)1の概略構成を示す。簡単に説明
すると、溶射ガン1は、中心部に溶射原料を投入する粉
末投入ポート2が配置され、そして、その回りに同中心
にて、内方より外方へと、ノズル(インサート3a、シ
ェル3b)3、エアキャップ4が配置され、燃焼・助燃
混合ガス通路7並びに圧縮空気通路(補助冷却用)6及
び8を形成している。更に、エアキャップ4の外側には
エアキャップボディ5が配置されている。斯かる溶射ガ
ン1の構造は当業者には周知であるので、これ以上の詳
しい説明は省略する。
【0023】溶射原料粉末は、窒素ガスなどの不活性ガ
スで搬送されて粉末投入ポート2へと供給され、ポート
先端より燃焼炎中に噴出される。一方、燃焼・助燃混合
ガス通路7から供給される高圧ガスは、ノズル(インサ
ート3a、シェル3b)3の先端外周部にて燃焼する。
この燃焼炎は、圧縮空気に包まれ、高温高圧でエアキャ
ップ4より噴出し、円筒状の超高速フレーム(火炎)9
となる。この超高速フレーム9によりポート2の先端か
ら噴出された溶射原料粉末は、フレーム中心部にて加熱
され、溶融され、そして加速されて、溶射ガン1より高
速で噴出される。そして、溶射原料液滴は、所定の距離
に配置された所望の被溶射基材100へと衝突し、その
表面に溶射皮膜102を形成する。
【0024】次に、本発明に従う溶射原料粉末について
説明する。
【0025】本発明では、溶射原料粉末としては、Mo
及びSを含むFe及び/又はFe合金粉末が使用され
る。この溶射原料粉末は、成分としてFeを40〜85
重量%、Moを10〜40重量%、Sを1〜5重量%含
んでいる。
【0026】溶射原料粉末にて、Feが40重量%未満
では、脆性が起こり、一方85重量%を超えると、他の
添加金属の効果(後述)を損なう。従って、溶射原料粉
末中のFeの量は、40〜85重量%、好ましくは60
〜80重量%とされる。
【0027】又、本発明者らの検討により、溶射皮膜の
摺動性に影響を及ぼす固体潤滑剤であるMo系硫化物の
適切な量を含む成分にすることが重要であることが分か
った。
【0028】Moは、Feと金属間化合物(Fe3
o)を形成し、溶射原料粉末中でMoが40重量%を超
えると溶射皮膜の強度が著しく低下し、脆性が高くな
る。一方、溶射原料粉末中でMoが10重量%未満であ
ると、Mo系の硫化物の量が少なく、耐焼付性に効果が
無い。従って、溶射原料粉末中のMoの量は、10〜4
0重量%、好ましくは15〜30%とされる。
【0029】Sは、Fe、Mo及びFe−Moと硫化物
を作り、固体潤滑剤の働きが摺動性を向上させるが、溶
射原料粉末中でSが1重量%未満では効果が少なく、一
方、5重量%を超えると溶射皮膜の引張り強度が低下
し、脆性が高くなる。従って、溶射原料粉末中のSの量
は、1〜5重量%、好ましくは2〜3.5%とされる。
【0030】上記組成の溶射原料粉末は、アトマイズ法
で作製することが重要である。アトマイズ法を用いて溶
射原料粉末を作製すると、溶射原料粉末を作製する原料
に含まれるFe、S、Moは、凝固過程で硫化物、金属
間化合物及びその固溶体を含む粉末を形成する。好まし
くは、不活性ガスを用いたアトマイズ法により、酸素含
有量を1000ppm未満にする。アトマイズ法で溶射
原料粉末を作製すると、上記硫化物、金属間化合物が微
細に分散したFe合金を形成する。
【0031】溶射原料粉末を作製する出発原料中のFe
成分は、Feが含有する不純物がJISに規定される一
般構造用圧延鋼材(JIS G 3101)又は機械構
造用炭素鋼鋼材(JIS G 4051)と同程度の純
度を有するFeとする。Feに含まれる不純物として
は、通常、P、Ni、Mn、Siなどが挙げられる。出
発原料中のFeで、合金を形成しない部分は、単体とし
て存在する。
【0032】アトマイズ法は、原料金属を溶融させて、
水或いは不活性ガスにて噴霧することによって溶射原料
粉末を形成する方法である。アトマイズ法自体は当業者
には周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略す
る。
【0033】又、溶射原料粉末の粒径範囲は、10〜7
5μm、好ましくは20〜60μmとすることが望まし
い。溶射原料粉末の粒径が10μm未満であると、フレ
ームの熱影響で皮膜内に硫化物が残らず、Feに固溶さ
れて効果が低下する。一方、溶射原料粉末の粒径が75
μmを超えると、多くの未溶融粒子が溶射皮膜に含ま
れ、皮膜の引張り強度を低下させるので好ましくない。
従って、溶射原料粉末の粒径範囲は、10〜75μm、
好ましくは20〜60μmとされる。上記アトマイズ
法、特にガスアトマイズ法によれば、溶射原料粉末の粒
径範囲を上記範囲に好適に調節することができる。尚、
本明細書にて、粉末の粒径はレーザートラック法により
測定した。
【0034】本発明の溶射皮膜は、上記組成の溶射原料
粉末を用いて、溶射法により、主にFe及び/又はFe
合金組織で構成された溶射皮膜内に、Mo硫化物及びそ
の固溶体、Fe−Mo硫化物及びその固溶体、Fe硫化
物及びその固溶体、Fe−Mo金属間化合物及びその固
溶体、Mo固溶体、S固溶体、及びFeとMoの酸化物
及び気孔を含むように形成される。溶射被膜中には、合
金を形成しないFe単体組織も存在する。
【0035】この溶射皮膜を、好ましくは、高速フレー
ム溶射法(高速ガスフレーム溶射法)を用いて成膜する
と、溶射原料粉末の成分変化が少なく、粒子間の密着強
さが大きく、硫化物の分解、固溶を防ぐことができる。
これにより、溶射皮膜の引張り強度が安定し、高荷重で
の優れた耐焼付性及び耐摩耗性を有する溶射皮膜が得ら
れる。このため、皮膜を機械加工する時に皮膜から粒子
(硫化物、酸化物)が脱落するのを防止することがで
き、巣の無い健全な加工仕上げが可能となる。
【0036】本発明に従う高速フレーム溶射法は、燃焼
ガスとしてプロパンガス、プロピレンガス、ブタン、エ
タン、エチレン、天然ガス、水素ガス又は灯油、助燃ガ
スとして酸素又は圧縮空気を用い、これら燃焼ガスと助
燃ガスとの混合燃焼による燃焼エネルギーを利用した溶
射法である。
【0037】フレーム温度は、1500〜2800℃、
好ましくは1800〜2700℃の範囲である。フレー
ム温度が2800℃を超えると、溶射原料粉末に含まれ
る、特に、硫化物が酸化及び気化し、成分の減少及びF
e合金への固溶が起きる。これによって、本発明の効果
が低下する。又、溶射皮膜内の粒界に過度の酸化物が積
層し、粒子間の密着強さを小さくする。一方、フレーム
温度が1500℃未満であると、溶射原料粉末の温度が
低くなり、未溶融粒子が多くなり好ましくない。ここ
で、温度は、CCDカメラで測定した値である。
【0038】又、フレーム速度は、1000〜2500
m/秒、好ましくは1500〜2500m/秒の範囲で
ある。フレーム速度が1000m/秒未満であると、加
熱時間が長くなり、溶射原料粉末に含まれる、特に、硫
化物が酸化及び気化し、成分の減少及びFe合金への固
溶が起きる。このため、本発明の効果が低下する。又、
加速が不十分なため、被溶射基材表面の密着強さ及び溶
射皮膜内の粒子間の密着強さが不足し、剥離の原因とな
るため好ましくない。一方、上述のような構成をした現
状の溶射ガン1の構造上から、フレームの最高速度は2
500m/秒程度に制限される。ここで、速度は、レー
ザーストロボで測定した値である。
【0039】溶射時の溶射距離(溶射ガン1と被溶射基
材100との距離)は、150〜350mm、好ましく
は180〜300mmの範囲に保持する。この溶射距離
が150mm未満である場合、被溶射基材へのフレーム
の熱影響が大きく、溶射皮膜の密着強さが低下する。一
方、溶射距離が350mmを超えると、硫化物の残量が
少なく且つ酸化量が多く、溶射皮膜内の粒子間の密着強
さが不足して剥離の原因となるため好ましくない。
【0040】被溶射基材の表面は、密着表面を拡大し、
溶射皮膜との密着強さを維持するために、皮膜形成する
前に溶射すべき被溶射基材表面の一部或いは全部のスケ
ールを取り除き、予め洗浄化し、粗面化処理をおこなう
ことが必要である。粗面化処理は、グリットブラスト処
理にて行うのが好適であり、SiC、アルミナなどのグ
リットを0.5MPa程度の圧力で被溶射基材表面に吹
き付けて行う。
【0041】主にブラスと処理により、粗面化処理後の
被溶射基材の溶射面は、表面粗さ、μmRz(JIS
B 0601:十点平均粗さ)=25〜90にする。μ
mRzが25未満であると、高荷重に対し溶射皮膜と被
溶射基材との密着強さが不足し、剥離の原因になる。μ
mRzが90を超えると、溶射皮膜の厚さが均一となる
ように薄膜にすることが難しい。好ましくは、μmRz
=30〜60の粗さにする。
【0042】尚、ブラスト処理をした後、被溶射基材を
50〜150℃に加熱した後に溶射することが好ましい
が、必ずしも加熱する必要はない。温度を50℃以上に
上げるのは結露の発生を抑えたり、密着力を増す効果が
ある。又、基材の熱変形や基材の強度劣化を防ぐために
基材を150℃以下にする。更に、溶射中の皮膜及び基
材の温度は皮膜の酸化を防ぐために200℃以下、好ま
しくは150℃以下に制御することが望ましい。又、被
膜の厚みは耐摩耗性効果を得るためには0.02mm以
上に、又溶射中の剥離や摺動中の熱応力による剥離を防
ぐために0.5mm以下にすることが好ましい。又、溶
射後の被膜表面粗度は、μmRa(JIS B 060
1:中心線平均粗さ)=0.4〜6.0に仕上げ加工す
るのが好ましい。μmRaが6.0を超えると耐焼付性
を損ない、0.4未満ではコスト高になる。
【0043】又、本発明に従う溶射皮膜は、He、A
r、N2などの不活性ガスを300℃以上に加熱して、
速度1000m/秒以上の高速ジェットを形成し、この
高速ジェットを用いて被溶射基材に溶射原料を溶射する
ことによっても得られる。この高速ジェット溶射法を用
いて成膜しても、溶射原料粉末の成分変化が少なく、粒
子間の密着強さが大きく、硫化物の分解、固溶を防ぐこ
とができ、上記高速フレーム溶射法の場合と同様の効果
を得ることができる。斯かる方法を実施し得る溶射装置
を簡単に説明すると、図7に示すように、高速低温ジェ
ット溶射装置10は、キャリアガスとしてHe、Ar、
2などの不活性ガスを供給する高圧ボンベ11、粉末
量及びキャリアガスの量と速度の制御を行う高圧粉末供
給装置12、ノズル14を備える高速燃焼ガン13を有
している。溶射原料粉末は、高圧粉末供給装置12で上
記不活性ガスにより高速で噴射され、出口の高速燃焼ガ
ン13において高圧燃料15が供給されると共にフレー
ムの熱量、速度制御がなされて、ノズル14の先端から
は300度以上、1000m/秒以上の高速ジェットフ
レーム16が形成される。この高速ジェットフレーム1
6により、粉末は加熱、加速されて高速で噴出される。
そして、粉末は、被溶射基材100の表面へと衝突し
て、その表面に溶射皮膜102を形成する。
【0044】本発明に従って形成された溶射皮膜の断面
組織を光学顕微鏡で観察した(倍率200倍)結果を図
1に示す。灰色、灰黒色に示される硫化物、及び黒色で
示される酸化物が点在するFe合金組織が観察された。
図2は、本発明に従ってアトマイズ法にて作製した溶射
原料粉末であり、Fe、Fe−Mo、Moとの硫化物、
Fe3Moを含むFe合金粉末の外観のSEM観察画像
(倍率400倍)を示す。
【0045】次に、本発明を実施例と比較例とを参照し
て更に説明する。
【0046】実施例 溶射原料粉末として、下記の表に示す組成の溶射原料粉
末を用いて作製した溶射皮膜の、耐圧力、耐摩耗性、耐
焼付性を評価した。試験は、本発明に従う実施例1及び
2、及び本発明に従わない比較例1〜5について行い、
比較検討した。比較例4、5は、従来のPb入りCu合
金溶射被膜である。
【0047】溶射原料粉末は、全て不活性ガスを用いた
アトマイズ法により作製したものである。混合粉末は、
それぞれアトマイズ法により作製した粉末を下記の割合
で混合した。
【0048】被溶射基材としては、外径85mm×内径
42mm×厚さ5.5mmの寸法を有し、SS400で
作製したリング状の試験片を使用した。
【0049】先ず、上記リング状の試験片の溶射面をμ
mRz=30〜60の粗面に処理した。この粗面化処理
は、アルミナグリット(粒度#20(JIS R 60
01、JIS R 6111);710〜1700μ
m)を圧力0.5MPaで吹き付けるグリットブラスト
処理にて行った。
【0050】次いで、図6に示す溶射ガン1を使用し
て、予熱処理を行った。このとき、溶射ガン1は、下記
に示す溶射条件にて、但し、溶射原料粉末を供給しない
で、溶射距離を300mmに保ち、フレームのみを噴射
するように作動させ、試験片を100℃に加熱して、各
試験片表面の湿気、水、水蒸気を除去した。
【0051】次いで、この面に、図6に示す溶射ガン1
を用いて、下記条件の高速フレーム溶射法により250
μmの厚さの溶射皮膜を施した。更に溶射皮膜の表面を
切削加工にてμmRa=0.8〜1.0、厚さ100〜
120μmに仕上げた。仕上げ面には、0.01mm径
以上の巣は存在しなかった。
【0052】溶射は、溶射ガン1を使用して、下記溶射
施工条件にて行った。 (高速フレーム溶射条件) ・燃焼ガス プロピレンガス:圧力=6.5Bar(0.65MPa) 流量=50〜75SLM ・助燃ガス 酸素 :圧力=12Bar(1.2MPa)、 流量=300〜350SLM ・補助冷却 圧縮空気 :圧力=6Bar(0.6MPa) 流量=350〜450SLM ここで、「SLM」は、標準状態に換算したガス流量(リットル/分)を意味 する。 ・フレーム温度 :約2500℃ ・フレーム速度 :約2000m/秒 ・溶射距離 :200〜300mm ・粉末供給量 :30〜50g/分
【0053】
【表1】
【0054】耐圧力は、上述のようにして作製した溶射
皮膜を有するリング状の試験片を用い、万能試験機にて
圧縮し、その溶射皮膜と基材とが剪断剥離する耐圧力を
測定した。その結果を図3に示す。
【0055】同様に、上述のようにして作製した溶射皮
膜を有するリング状の試験片を用い、ピンオンデスク試
験を行い、耐摩耗性、耐焼付性を評価した。相手材とし
ては、SUJ2を硬さRc(ロックウェル硬さ試験機:
C硬さ)=58〜60に処理してμmRa=0.3以下
に仕上げたもの(SUJ2ブロック)を用いた。ピンオ
ンデスク試験では、リング状の試験片表面にSUJ2ブ
ロックを面圧220MPaで押圧し、且つ試験片を周速
20m/秒で回転することにより、皮膜(リング)の摩
耗量とSUJ2ブロックの摩耗量、即ち、相手攻撃性と
を測定した。その結果を図4に示す。
【0056】更に、上述のようにして作製した溶射皮膜
を有するリング状の試験片にSUJ2ブロックを面圧2
20MPaで押圧し、且つ試験片を周速20m/秒で回
転して、焼付くまでの荷重を測定した。その結果を図6
に示す。
【0057】尚、対照として、上記リング状の試験片の
表面に、従来のSnメッキを施したもの(メッキ厚さ
0.01mm)を使用し、同じ条件にて耐圧力、耐摩耗
性、耐焼付性を試験した。
【0058】図3〜図5に示す結果から総合評価して、
本発明に従って作製した実施例1及び2は、比較例と比
べて、高回転、特に、高負荷がかかる運転条件におい
て、優れた耐焼付性及び耐摩耗性を示すことが分かる。
対照とした従来品のSnメッキを施したものでは、最大
摩耗深さが0.01mm以上にまで摩耗し、下地のSS
400が露出して焼付いたのに対して、本発明従って溶
射被膜が形成された試験片では、耐摩耗性、耐焼付性、
耐圧強度に優れていることが分かった。
【0059】このように、本発明に従う溶射被膜は、例
えば、Pbの環境に対する安全性の問題でPbを含む合
金系の使用が不可能となった場合でも、これに替わっ
て、例えばエアーコンプレッサーポンプ用斜板に施す溶
射被膜として十分に使用が可能であり、優れた摺動性及
び耐摩耗性により機器部品の寿命を延ばすことができ
る。又、溶射被膜は主にFe又はFe合金組織からなる
ので、特に、鋳鉄又は鉄鋼系合金部材の面に形成するこ
とで、リサイクルが比較的容易であるといった利点も有
する。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Mo及びSを含むFe又はFe合金粉末(Fe−Mo−
S系合金粉末)を用いて被溶射基材表面に溶射を行うこ
とで、 (1)高回転、高負荷、無潤滑条件で、優れた耐焼付
性、耐摩耗性を有する皮膜を、高速で且つ容易に被溶射
基材表面に成膜することができる。 (2)仕上げ加工時において、皮膜から粒子の脱落がな
く、仕上げ面に欠陥の無い密着性の良好な皮膜を作製す
ることができる。 (3)特に、Al合金、Cu合金、鋳鉄又は鉄鋼系合金
などで作製したエアーコンプレッサーポンプ用斜板の一
部或いは全部の表面に潤滑性、耐摩耗性に優れた溶射皮
膜を形成することができる。 (4)機器部品の寿命を延ばすと共に、Pb入り摺動部
材の代替として用いることができ、環境に対する安全性
を向上させることができる。といった多くの効果を達成
し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って形成された溶射皮膜の断面組織
図(光学顕微鏡観察画像)である。
【図2】本発明に従う溶射原料粉末の外観図(SEM観
察画像)である。
【図3】本発明に従って形成された溶射皮膜と、比較例
とにおける耐圧力を示すグラフ図である。
【図4】本発明に従って形成された溶射皮膜と、比較例
とにおける耐摩耗性を示すグラフ図である。
【図5】本発明に従って形成された溶射皮膜と、比較例
とにおける焼付け荷重を示すグラフ図である。
【図6】本発明を実施するために用い得る溶射装置の一
例の概略構成を示す図である。
【図7】本発明を実施するために用い得る溶射装置の他
の例の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 高速フレーム溶射装置 2 粉末投入ポート 3 ノズル 4 エアキャップ 5 エアキャップボディー 6,8 圧縮空気 7 燃焼・助燃混合ガス 9 高速フレーム 10 高速低温ジェット溶射装置 100 被溶射基材 102 溶射皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 美馬 秀忠 東京都練馬区氷川台3丁目4番2号 スル ザーメテコジャパン株式会社内 Fターム(参考) 4K031 AA02 AB02 AB08 BA01 CB09 CB23 CB29 DA01 EA10 EA12

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mo硫化物及びその固溶体、Fe−Mo
    硫化物及びその固溶体、Fe硫化物及びその固溶体、F
    e−Mo金属間化合物及びその固溶体、Mo固溶体、S
    固溶体、及びFeとMoの酸化物及び気孔を含むFe及
    び/又はFe合金組織から成ることを特徴とする溶射皮
    膜。
  2. 【請求項2】 溶射原料粉末として、Moを10〜40
    重量%、Sを1〜5重量%含むFe及び/又はFe合金
    粉末を被溶射基材表面に溶射して形成されることを特徴
    とする請求項1の溶射皮膜。
  3. 【請求項3】 前記溶射原料粉末は、アトマイズ法によ
    り作製され、成分としてFeを40〜85重量%、Mo
    を10〜40重量%、Sを1〜5重量%含み、硫化物及
    びその固溶体を含んでいることを特徴とする請求項2の
    溶射皮膜。
  4. 【請求項4】 前記溶射原料粉末の粒径範囲は、10〜
    75μmであることを特徴とする請求項3の溶射皮膜。
  5. 【請求項5】 燃焼ガスとしてプロパンガス、プロピレ
    ンガス、ブタン、エタン、エチレン、天然ガス、水素ガ
    ス又は灯油、助燃ガスとして酸素又は空気を用いてフレ
    ーム温度が1500〜2800℃、フレーム速度が10
    00〜2500m/秒の高速フレームを形成し、この高
    速フレームを用いて溶射距離150〜350mmに保持
    して被溶射基材表面に溶射原料粉末を溶射することによ
    って形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かの項に記載の溶射皮膜。
  6. 【請求項6】 不活性ガスを300℃以上に加熱して速
    度1000m/秒以上の高速ジェットを形成し、この高
    速ジェットを用いて被溶射基材表面に溶射原料粉末を溶
    射することによって形成されることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかの項に記載の溶射皮膜。
  7. 【請求項7】 粗さμmRz=25〜90に粗面化処理
    した被溶射基材表面に形成されることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかの項に記載の溶射皮膜。
  8. 【請求項8】 Al合金、Cu合金、鋳鉄又は鉄鋼系合
    金にて作製された機器部品に形成されることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかの項に記載の溶射皮膜。
  9. 【請求項9】 前記機器部品は、エアーコンプレッサー
    ポンプ用斜板であることを特徴とする請求項8の溶射皮
    膜。
  10. 【請求項10】 被溶射基材表面に溶射原料粉末を溶射
    して、被溶射基材表面に皮膜を形成する方法において、
    前記溶射原料粉末に、Moを10〜40重量%、Sを1
    〜5重量%含むFe及び/又はFe合金粉末を使用する
    ことを特徴とする溶射皮膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 前記溶射原料粉末は、アトマイズ法に
    より作製され、成分としてFeを40〜85重量%、M
    oを10〜40重量%、Sを1〜5重量%含み、硫化物
    及びその固溶体を含んでいることを特徴とする請求項1
    0の溶射皮膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 前記溶射原料粉末の粒径範囲は、10
    〜75μmであることを特徴とする請求項11の溶射皮
    膜の形成方法。
  13. 【請求項13】 燃焼ガスとしてプロパンガス、プロピ
    レンガス、ブタン、エタン、エチレン、天然ガス、水素
    ガス又は灯油、助燃ガスとして酸素又は空気を用いてフ
    レーム温度が1500〜2800℃、フレーム速度が1
    000〜2500m/秒の高速フレームを形成し、この
    高速フレームを用いて溶射距離150〜350mmに保
    持して被溶射基材表面に溶射原料粉末を溶射することを
    特徴とする請求項10、11又は12の溶射皮膜の形成
    方法。
  14. 【請求項14】 不活性ガスを300℃以上に加熱して
    速度1000m/秒以上の高速ジェットを形成し、この
    高速ジェットを用いて被溶射基材表面に溶射原料粉末を
    溶射することを特徴とする請求項10、11又は12の
    溶射皮膜の形成方法。
  15. 【請求項15】 被溶射基材の溶射皮膜を施す面を粗さ
    μmRz=25〜90に粗面化処理した後、その表面に
    溶射を行うことを特徴とする請求項10〜14のいずれ
    かの項に記載の溶射皮膜の形成方法。
  16. 【請求項16】 被溶射基材は、Al合金、Cu合金、
    鋳鉄又は鉄鋼系合金にて作製された機器部品であること
    を特徴とする請求項10〜15のいずれかの項に記載の
    溶射皮膜の形成方法。
  17. 【請求項17】 前記機器部品は、エアーコンプレッサ
    ーポンプ用斜板であることを特徴とする請求項16の溶
    射皮膜の形成方法。
  18. 【請求項18】 アトマイズ法により作製され、成分と
    してFeを40〜85重量%、Moを10〜40重量
    %、Sを1〜5重量%含み、硫化物及びその固溶体を含
    むことを特徴とする溶射原料粉末。
  19. 【請求項19】 前記溶射原料粉末の粒径範囲は、10
    〜75μmであることを特徴とする請求項18の溶射原
    料粉末。
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JP2018058093A (ja) * 2016-10-07 2018-04-12 株式会社豊田中央研究所 肉盛合金および肉盛部材

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