JP6602630B2 - X線検査装置及びx線検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、X線検査装置及びX線検査方法に関する。
本発明の背景技術として、特許文献1がある。特許文献1には「異物が存在すれば、その異物はX線を吸収して、異物の無い部分と比べてX線透過量が抑えられることとなる。そこで、抑えられるX線透過量以下となるような閾値を設定して、その閾値以下であれば異物有り、閾値を超えれば異物無しと判定することができる」と記載されている。
特開2002−323461号公報 国際公開2015/064723号明細書
仮に異物によるX線吸収量が極端に小さい場合、上記「X線透過量以下となるような閾値を設定して、その閾値以下であれば異物有り、閾値を超えれば異物無しと判定する」ことは困難となる。上記問題は異物の材質が比較的軽い元素から主としてなる場合に顕著に起こり得る。物体サイズが一定と仮定すると、物体によるX線吸収量は、物体を構成する元素の原子番号依存性があり、原子番号が小さくなると(軽い元素ほど)X線吸収量が顕著に低下するからである。
ところで、X線が物体を透過する際、X線の波動性の観点でみると、一般的にはX線の振幅低下と同時に位相シフトが起こる。なお、X線の位相シフトはX線の屈折と言い換えてもよい。X線の位相シフト量は物体を構成する元素の原子番号依存性を持つが、上記X線吸収量のそれと比較すると依存性は相対的に緩やかである。
そこで、X線の位相情報を用いて軽元素からなる物体を撮像する試みが広くなされている。タルボ−ロー干渉計はその手段のひとつであり、一般に広く知られている(たとえば、特許文献2)。タルボ−ロー干渉計は比較的小型のX線源を用いることができるので、工業用検査装置に搭載するのに適した撮像手段であるといえる。
なお、可干渉性を有するX線源を用意することができる場合は、タルボ干渉計を選択してもよい。タルボ−ロー干渉計とタルボ干渉計のX線光学系における違いは、いわゆるロー効果を生じさせるための吸収格子の有無である。
タルボ−ロー干渉計(タルボ干渉計でもよい)を用いて、被検体(バイアル瓶等)内の異物を検査することを想定すると、当然X線が被検体を透過した場合にX線の位相シフトが起こることが考えられる。上記したようにX線の位相シフトはX線の屈折とも言い換えてよく、X線の進行方向と物質界面(誘電率の異なる物質が隣り合ったときにできる。たとえば、空気とガラスの界面)のなす角度が垂直から外れるとX線の屈折が起こる。その結果、被検体の形状に起因して、X線の屈折程度がX線の入射する被検体の場所によって異なることが起こり得る。
たとえば、被検体としてバイアル瓶を仮定した場合、バイアル瓶を、その高さ方向が鉛直方向と一致するように置き(瓶を縦向きに置く)、かつX線をバイアルの高さ方向に対して垂直に照射した場合、バイアル瓶の両脇でより強くX線が屈折する。また、バイアル瓶を、その高さ方向が水平方向と一致するように置き(瓶を横向きに置く)、かつ高さ方向に対して垂直にX線を照射した場合、バイアル瓶の底面部分でより強くX線が屈折する(これは、バイアル瓶の底面と側面の接合部が丸みをおびていることに起因する)。
上記の結果として、X線の位相情報をもとに得られる像(以下、位相コントラスト像と呼ぶ)において、バイアル瓶自身に起因した信号が現れる。このバイアル瓶に起因した信号が異物に起因した信号の近傍に現れる場合、これらの信号を切り分けることが困難になる。その結果、被検体内において検出可能な領域が限られる課題が生じる。
そこで、本発明は、被検体内において広範囲に存在する異物を検出することが可能なX線検査装置及びX線検査方法を提供する。
例えば、上記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例をあげるならば、複数のスリットを備える回折格子と、前記回折格子に向けてX線を照射するX線源と、前記回折格子の前記スリットの長手方向と被検体の軸との間の角度を第1の角度から第2の角度に変える機構と、前記第1の角度の状態と前記第2の角度の状態とにおいて、前記被検体及び前記回折格子を透過した前記X線を検出するX線検出器と、を備えるX線検査装置が提供される。
また、他の例によれば、複数のスリットを備える回折格子の前記スリットの長手方向と被検体の軸との間の角度が第1の角度となる状態で、X線源から前記回折格子に向けてX線を照射する第1の照射ステップと、X線検出器によって、前記第1の角度の状態において前記被検体及び前記回折格子を透過した前記X線を検出する第1の検出ステップと、前記回折格子の前記スリットの長手方向と前記被検体の軸との間の角度を前記第1の角度から第2の角度に変える角度変更ステップと、前記第2の角度の状態で、前記X線源から前記回折格子に向けてX線を照射する第2の照射ステップと、前記X線検出器によって、前記第2の角度の状態において前記被検体及び前記回折格子を透過した前記X線を検出する第2の検出ステップと、を含むX線検査方法が提供される。
本発明によれば、被検体内において広範囲に存在する異物を検出することができる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
本発明の第1実施例に係るX線検査装置の構成を示す図である。 被検体であるバイアル瓶の側面図である。 被検体であるバイアル瓶の底面の形状を示す図である。 本発明の第1実施例に係る位相格子の構成を示す図である。 本発明の第1実施例に係るX線検査装置において、X線の進行方向を回転軸として位相格子と被検体の相対角度を変える機構を示す図である。 本発明の第1実施例に係るX線検査装置と比較例とに関して、暗視野配置におけるバイアル瓶側面の輝度プロファイルの予測図である。 本発明の第1実施例に係るX線検査装置において、暗視野配置にてガラス球異物を撮像したときにX線検出器に現れる異物像の予測図である。 図7のC−C’線における輝度の断面プロファイルを示した図である。 図6のバイアル瓶の輝度プロファイルと図8の異物の輝度プロファイルとを同一図面で示したものである。 第1実施例に係るX線検査装置において、明視野配置でガラス球異物を撮像したときにX線検出器に現れる異物像の予測図である。 図10のF−F’線における輝度の断面プロファイルを示した図である。 X線検査装置で異物検出を行う場合の動作フローを示すフロー図である。 本発明の第1実施例に係るX線検査装置における表示部での表示例である。 本発明の第2実施例に係るX線検査装置の構成を示す図である。 本発明の第2実施例に係るX線検査装置においてX線の進行方向を回転軸として回折格子と被検体の相対角度を変える機構を示す図である。 本発明の第3実施例に係るX線検査装置の構成を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
以下の実施例は、被検体(たとえば、容器)内において広範囲に存在する異物を検出することが可能なX線検査装置及びX線検査方法に関する。以下の実施例によれば、たとえば、ガラス片や毛髪、ゴム片などが容器の側面の両脇部付近または底面部付近に存在した場合でも、異物として検出することができる。
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係るX線検査装置の構成を示す。X線検査装置10は、被検体であるバイアル瓶201内の異物を検査するものである。X線検査装置10は、複数のX線源101と、線源格子(回折格子)102と、搬送機構103と、位相格子(回折格子)104と、吸収格子(回折格子)105と、複数のX線検出器106と、X線遮蔽部107と、欠陥判定部108と、制御部109と、表示部110と、入力部111とを備える。
上記の構成要素のうち、X線源101と、線源格子102と、位相格子104と、吸収格子105と、X線検出器106とによって、X線光学系が構成される。本実施例では、X線光学系が第1の光学系121と第2の光学系122とを備える。第1の光学系121を用いて第1回目のバイアル瓶201の撮像を行い、さらに、第2の光学系122を用いて第2回目のバイアル瓶201の撮像を行う。なお、X線光学系が3個以上の光学系を備え、3回以上の撮像を行えるようにしてもよい。以下では、X線光学系の構成要素の詳細について説明する。
複数のX線源101(図面では2個)は、図中X方向に沿って配置される。X線源101は、バイアル瓶201に向かってX線を照射する(図中Z方向)。X線源101から照射されるX線のエネルギー領域(波長領域と言い換えてもよい)は、バイアル瓶201によるX線の吸収、X線検出器106の感度、及び必要となる検査装置のスループット等を考慮して選択される。以下に本実施例におけるX線検査装置10が使用するX線のエネルギー領域について詳しく記述する。
X線をバイアル瓶201に照射した際に起こるバイアル瓶201によるX線の吸収量は、照射するX線のエネルギー依存性がある。具体的には、X線のエネルギーが高いほど、バイアル瓶201によるX線の吸収量が少なくなる(X線が透過しやすくなる)。したがって、極端にエネルギーの低いX線を用いると、バイアル瓶201で多くX線が吸収され、X線検出器106に到達するX線量が低下する。その結果、X線検出器106での検出感度不足の問題、あるいは、検査装置のスループットの低下の問題が生じる。
逆に極端にエネルギーの高いX線を用いると、バイアル瓶201によるX線の吸収は抑えられるが、同時に異物によるX線の吸収量も低下する。その結果、1度のX線照射で位相情報と振幅情報から、それぞれ位相コントラスト像及び吸収コントラスト像を撮像することを想定すると、吸収コントラスト像のコントラストが低下することになる。また、X線の屈折の大きさはX線のエネルギー依存性を持つため、鮮明なX線位相コントラスト像を得るためには使用するX線のエネルギーバンド幅はある程度狭いほうが望ましい。
上記したX線エネルギーの観点から、本実施例に係るX線検査装置10において使用するX線のエネルギーには適切な領域が存在する。具体的には、X線エネルギーは、1キロエレクトロンボルトから100キロエレクトロンボルトの範囲から選択される。所望のエネルギー領域のX線を得るため、X線源101のターゲット材を適当に選択して特性X線を利用してもよいし、X線源101から発生したX線に対して適宜公知のフィルターを用いて不要なエネルギー領域のX線をカットしてもよい。
X線源101の線源は、ミリフォーカス線源またはマイクロフォーカス線源から選択される。高い線量のX線を得るという観点では、ミリフォーカス線源が選択される。この場合、検査装置のスループットに良い影響を与える。一方、長いコヒーレント長のX線を得るという観点では、マイクロフォーカス線源が選択される。この場合、線源格子102を省略できる場合がある。また、ミリフォーカス線源を用い、かつ一次元単スリットを用いて、仮想的なマイクロフォーカス線源を形成してもよい。
X線の位相情報を用いて撮像を行う場合、X線の可干渉性の観点から、位相格子104に照射されるX線は、ある程度長いコヒーレント長を有する必要がある。X線のコヒーレント長は、線源の焦点大きさに依存し、線源の焦点大きさが小さくなるほどX線のコヒーレント長は長くなる。したがって、線源の焦点大きさが小さいマイクロフォーカス線源を用いることで、ロー効果による可干渉性の付与が不要となり、線源格子102が省略できる。その結果、X線光学系を簡素な構成にできる。
線源格子102は、X線源101とバイアル瓶201との間に配置される。また、線源格子102は、X線が透過する複数の一次元スリットを備える。X線源101から照射されたX線が前記スリットを透過した際に、ロー効果によりX線に可干渉性を付与することができる。
線源格子102の基材は、作製の容易さ、劣化しにくさ等の観点から、金を用いることが望ましいが、目的に応じて変更することも可能である。また、線源格子102の基材は、ある程度の厚みも必要であり、X線源101から発生するX線の線量、エネルギー等の観点から厚みが選択される。また、スリットの開口幅は、ロー効果を生じさせる程度まで狭くする。また、線源格子102の平面サイズ(面積)は、X線源101の平面サイズより大きくしておけばよい。
位相格子104は、バイアル瓶201と吸収格子105との間に配置される。位相格子104は、線源格子102と同様に、複数の一次元スリットを備える。また、位相格子104は、前記スリットを透過したX線と、基材を透過したX線とに位相差を付与する。位相格子104の基材の材料は、作製の容易さ、X線検出器106の感度、検査装置のスループット等を勘案して、適宜、有機材料又は無機材料(金属、シリコンなど)から選択される。
また、位相格子104の格子周期は、製作の容易さ、使用するX線のエネルギー、X線光学系の全長の制約などから決定される。また、位相格子104の平面サイズ(面積)は、バイアル瓶201の平面サイズより大きくしておくことが望ましいが、検査目的に応じて変更してもよい。
吸収格子105は、位相格子104とX線検出器106との間に配置される。吸収格子105は、線源格子102及び位相格子104と同様に、複数の一次元スリットを備える。吸収格子105の基材及び厚みは、上記した線源格子102と同様の観点で選択される。吸収格子105の格子周期は、X線源101と位相格子104との間の距離及び位相格子104と吸収格子105との間の距離の相対関係、位相格子104の格子周期に応じて選択される。吸収格子105の平面サイズ(面積)は、X線検出器106で撮像されるバイアル瓶201の像より大きくしておくことが望ましいが、検査目的に応じて変更してもよい。
搬送機構103は、線源格子102と位相格子104の間に配置され、すなわち、位相格子104から見てX線源101側に配置される。搬送機構103は、X線進行方向(図中のZ方向)に対して垂直方向(図中のX方向)にバイアル瓶201を一次元的に搬送する。搬送機構103には、X線検査装置10のスループット、位置決め正確性などを考慮して、ベルトコンベヤなどの各種公知の搬送装置から選択される。
複数のX線検出器106(図面では2個)は、図面X方向に沿って配置される。複数のX線検出器106は、搬送機構103の搬送方向に沿って複数個所でバイアル瓶201を撮像する。
また、X線検出器106は、吸収格子105の近傍かつ吸収格子105側からみてX線進行方向側に設置される。X線検出器106は、吸収格子105のスリットを透過したX線を検出する。X線検出器106は、公知のX線検出器から選択される。バイアル瓶201を搬送しながら異物の検査ができる点から、X線検出器106としてTDI(時間遅延積分)型検出器を選択できる。この場合、搬送機構103によってバイアル瓶201をX方向に搬送させながら、TDI型検出器によってバイアル瓶201を撮像する。
また、X線検出器106としてエリアセンサを選択することも可能である。エリアセンサを用いる場合、搬送機構103は、いわゆるステップ・アンド・リピート動作を行う(撮像するときだけバイアル瓶201の搬送を停止させる)。したがって、搬送機構103によってバイアル瓶201をステップ・アンド・リピート動作させながら、エリアセンサによってバイアル瓶201を撮像する。エリアセンサの検出面積が十分広ければ、前記TDI型検出器と比較しても検査装置のスループットの問題はない。
X線検出器106の画素サイズは、検査目的に応じて選択されることが望ましい。画素サイズを検出すべき異物のサイズより小さくしておけば、拡大倍率を極端に大きくする必要がなくなる。なお、ここでいう拡大倍率は、実際の異物サイズと、X線検出器106で得られる像のサイズとの比と言い換えてもよい。拡大倍率が等倍(実際の異物サイズと、得られる像のサイズとの比が1:1)に近くなると、いわゆる半影が小さくなり、その結果より鮮明な像が得られる利点がある。
X線遮蔽部107は、上記したX線光学系全体を覆うように設置される。X線遮蔽部107は、X線を透過させにくい材質(たとえば鉛)からなり、X線源101から照射されたX線が周囲の人間に曝露されることを防ぐ。また必要に応じて、X線遮蔽部107は、インターロックを備えてもよい。たとえば、操作者がX線遮蔽部107を開放した際に、X線源101を図示しない鉛シャッターなどで遮蔽してもよいし、X線源101の管電流又は管電圧を遮断してもよい。
欠陥判定部108及び制御部109は、例えば、汎用のコンピュータ(情報処理装置)により構成されてもよい。当該情報処理装置は、中央演算処理装置と、補助記憶装置と、主記憶装置とを備えてよい。例えば、中央演算処理装置は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ(又は演算部ともいう)で構成されている。例えば、補助記憶装置はハードディスクであり、主記憶装置はメモリである。欠陥判定部108及び制御部109の処理は、それらの処理に対応するプログラムコードをメモリなどの記憶装置に格納し、プロセッサが各プログラムコードを実行することによって実現されてもよい。
欠陥判定部108は、X線検出器106で検出されたバイアル瓶201の像(以下、被検体像)をもとに、バイアル瓶201に存在する欠陥を判別する。欠陥判定部108は、判定の結果として、欠陥の存在の有無、欠陥の数、欠陥の位置、又は欠陥の大きさを出力する。ここで、欠陥とは、たとえば、医薬品の液剤バイアル、凍結乾燥剤バイアル、錠剤の検査では、それらに混入した異物(金属、ガラス、樹脂、ゴム、虫、体毛など)が挙げられる。なお、欠陥は、上述した異物に限定されず、被検体像から判定できるものであれば他の欠陥でもよい。
制御部109は、X線検査装置10の構成要素の制御を行うものである。制御部109は、入力部111から信号を受けて、X線源101、搬送機構103、X線検出器106、及び欠陥判定部108のパラメータ設定及制御を行う。
表示部110及び入力部111は、制御部109に接続されている。表示部110は、ディスプレイ、プリンタなどである。入力部111は、キーボード、ポインティングデバイス(マウスなど)などからの入力を受付ける。なお、入力部111は、別の機器などからネットワークを介して入力値を受け取ってもよい。
表示部110は、X線検査装置10のパラメータ設定値、装置の状態、検査条件、欠陥判定結果(欠陥の有無、欠陥個数、位置、欠陥寸法、欠陥画像)を操作者に表示する。入力部111は、操作者からの入力(又は外部からの入力情報)を受け取り、その情報を制御部109に送る。入力情報は、装置の設定パラメータ、検査条件の設定値、バイアル瓶201に関する情報などを含む。
図2は、バイアル瓶201の側面図を示す。バイアル瓶201は、側面202と、底面203とを有する。本例では、側面202と底面203のなす角度は垂直である。バイアル瓶201の材質はガラス、合成樹脂などであるが、X線が透過するものであれば上記材質に限定はされない。また、バイアル瓶201は、バイアル瓶201の用途に応じて固体又は液体などの物質を内包している。
図3は、バイアル瓶201の底面の形状を示す。バイアル瓶201の底面は円形であることが想定されるが、楕円、多角形等であってもよい。なお、被検体は上記のバイアル瓶201に限定されず、他の容器などでもよい。
図4は、第1実施例における位相格子104の構成を示す。位相格子104は、複数のスリットを備える。複数のスリットは、第1のスリット群401と、第2のスリット群402とから構成される。第1のスリット群401を構成するスリットの長手方向は図面上の上下方向(第1の方向)であり、第2のスリット群402を構成するスリットの長手方向は図面上の左右方向(第2の方向)である。したがって、第1のスリット群401を構成するスリットの長手方向と第2のスリット群402を構成するスリットの長手方向は異なる。本例では、第1のスリット群401を構成するスリットの長手方向と第2のスリット群402を構成するスリットの長手方向とがなす角度は、垂直である。また、第1のスリット群401の格子周期と第2のスリット群402の格子周期は同じ設計値である。
なお、図示はしていないが、線源格子102及び吸収格子105も位相格子104と同じ構成を有する。すなわち、線源格子102及び吸収格子105は、それぞれ、2つのスリット群(第1及び第2のスリット群)を有する。線源格子102及び吸収格子105に関しても、第1のスリット群を構成するスリットの長手方向と第2のスリット群を構成するスリットの長手方向とがなす角度は垂直にしている。また、線源格子102及び吸収格子105に関しても、第1のスリット群の格子周期と第2のスリット群の格子周期は同じ設計値である。
また、X線は、線源格子102、位相格子104、及び吸収格子105を透過する際、同一長手方向のスリット群に照射されるようにしている。より具体的には、第1の光学系121に対応する線源格子102の第1のスリット群、位相格子104の第1のスリット群、及び吸収格子105の第1のスリット群の長手方向は同じであり、第2の光学系122に対応する線源格子102の第2のスリット群、位相格子104の第2のスリット群、及び吸収格子105の第2のスリット群の長手方向は同じである。
第1の光学系121のX線源101から照射されたX線は、線源格子102の第1のスリット群、バイアル瓶201、位相格子104の第1のスリット群、及び吸収格子105の第1のスリット群を透過し、第1の光学系121のX線検出器106に到達する。第1の光学系121のX線検出器106によりX線透過像(第1の被検体像)が検出される。また、第2の光学系122のX線源101から照射されたX線は、線源格子102の第2のスリット群、バイアル瓶201、位相格子104の第2のスリット群、及び吸収格子105の第2のスリット群を透過し、第2の光学系122のX線検出器106に到達する。第2の光学系122のX線検出器106によりX線透過像(第2の被検体像)が検出される。
図5は、本実施例のX線検査装置10において、X線の進行方向を回転軸として位相格子104と被検体(バイアル瓶201)の相対角度を変える機構を示す。バイアル瓶201は、搬送機構103によりX方向に搬送される。搬送機構103は、容器支持部103a及びベルト状部材103bを備える。バイアル瓶201はベルト状部材103b上に横向きの状態(バイアル瓶201の軸が水平方向となる状態)で置かれる。バイアル瓶201は、容器支持部103aによってその頂部及び底面が支持されながら、ベルト状部材103bによって紙面左から右方向(X方向)に搬送される。
搬送機構103は、バイアル瓶201を、X線源101と第1のスリット群401との間から、X線源101と第2のスリット群402との間に移動させるように構成される。まず、搬送機構103によって、バイアル瓶201が第1のスリット群401の前を通過する。このとき、位相格子104の第1のスリット群401の長手方向とバイアル瓶201の軸との間の角度は第1の角度(90度)である。まず、バイアル瓶201が第1のスリット群401を通過する際に(すなわち、第1の角度の状態で)、第1の光学系121のX線源101からX線を照射し、第1の光学系121のX線検出器106によって第1の被検体像が撮像される。
引き続き、搬送機構103が、紙面左から右方向にバイアル瓶201を搬送する。そして、バイアル瓶201が第2のスリット群402の前を通過する。このとき、位相格子104の第2のスリット群402の長手方向とバイアル瓶201の軸との間の角度は第2の角度(0度)である(互いに平行の状態となる)。バイアル瓶201が第2のスリット群402を通過する際に(すなわち、第2の角度の状態で)、第2の光学系122のX線源101からX線を照射し、第2の光学系122のX線検出器106によって第2の被検体像が撮像される。このような構成により、位相格子104のスリットの長手方向とバイアル瓶201の軸との間の角度を第1の角度から第2の角度に変える機構が実現される。
なお、図5では、第1のスリット群401を構成するスリットの長手方向と、バイアル瓶201の高さ方向とがなす角度を90度となるようにしたが、この角度が90度からずれてもよい。この角度が90度からずれるとバイアル瓶201の側面202に起因する信号が像に現れる場合もあるが、目的とする検査が実行可能な程度の像が得られるのであれば、必ずしもこの角度が90度である必要はない。また、図5では、第2のスリット群402を構成するスリットの長手方向と、バイアル瓶201の高さ方向とが平行となるようにしたが、これらの長手方向が平行の状態からずれてもよい。これら2つの方向が平行の状態からずれるとバイアル瓶201の底面203に起因する信号が像に現れる場合もあるが、目的とする検査が実行可能な程度の像が得られるのであれば、必ずしも平行である必要はない。
図6は、第1実施例に係るX線検査装置10において、第1のスリット群401を通過したときのバイアル瓶側面の輝度(X線検出器に届いたX線量)プロファイルの予測図を示す。以下に、予測にあたって仮定した条件を示す。
まず、X線光学系のベースは、計算を簡素化するためタルボ干渉計とした。上記したようにタルボ干渉計とタルボ−ロー干渉計の違いは線源格子の有無である。タルボ干渉計の線源焦点サイズを、タルボ−ロー干渉計の線源格子のスリット幅と同じにすれば、タルボ干渉計であってもタルボ−ロー干渉計による予測結果と定性的には同じ結果が得られる。(X線検出器に届くX線量の絶対値は異なる)。
X線源101のパラメータは下記のように設定した。線源焦点サイズを5マイクロメートルとし、X線エネルギーを22.1キロエレクトロンボルトとした。なお、上記したX線エネルギー値は銀をターゲット材としてその特性X線を用いたと仮定したことに由来している。なお、計算の簡便化のため、制動X線の寄与は考慮にいれていない。位相格子104のパラメータは下記のように設定した。材質は金、周期は3.34マイクロメートル、スリット幅は1.67マイクロメートル、厚みは2.13マイクロメートル、線源との距離は300ミリメートルとした。
吸収格子105のパラメータは、以下とした。材質は金、格子周期は5マイクロメートル、スリット幅は2.5マイクロメートル、厚みは30マイクロメートル、位相格子104との距離は149ミリメートルとした。
上記したX線光学系において、位相格子104と吸収格子105のX方向相対位置は以下の設定とした。すなわちX線進行方向(Z方向)からみて、位相格子104のスリットと吸収格子105のスリットがほぼ互い違いになるように配置されている。上記の配置により、位相格子104を透過したX線が吸収格子105によって、より吸収される。以下ではこの配置を暗視野配置と呼ぶ。
以上の仮定のもと、物体によるX線の屈折、回折、透過等を考慮して数値シミュレーションを行った。図6の(1)は、第1のスリット群401とバイアル瓶201との関係での輝度プロファイルであり、バイアル瓶201の高さ方向をスリット長手方向(図中Y方向)と直交する向きにバイアル瓶201を設置したときの結果である。プロファイル中央がくぼんでみえるのは、バイアル瓶201によるX線の吸収によるものである。
図6の(2)は、比較例の輝度プロファイルであり、バイアル瓶201を、バイアル瓶201の高さ方向がスリット長手方向(図中Y方向)と平行になるように設置したときの結果である。バイアル瓶201の吸収によるプロファイルのくぼみとともに、鋭いピークが2箇所現れる。これはバイアル瓶側面の両脇部でX線が強く屈折したことに起因する信号である。仮に、ある輝度値(図中点線)を閾値として異物検出を試みる場合に、上記屈折に起因した信号により誤検出を招く可能性がある。また、異物による信号がバイアル瓶による信号と接近したと仮定すると、両信号が重なり合い、本来異物として検出すべき異物を検出できなくなる可能性がある。
図6の(1)の実施例において鋭いピークが現れないのは、以下の理由のためである。タルボ−ロー干渉計(またはタルボ干渉計)において、位相コントラスト像が生じるのは、スリット長手方向に対して、直交する向き(図中X方向)にX線が屈折した場合のみである。(1)の実施例の場合、バイアル瓶201の側面202の湾曲によってX線は図中Y方向のみに屈折するため、位相コントラスト像としての信号は生じない。一方、(2)の比較例ではバイアル瓶側面の湾曲によってX線が図中X方向に屈折するため、X線の屈折に起因する信号が生じる。
また、図示はしていないが、バイアル瓶201の底面203においてもX線の屈折が起こる。この場合、X線進行方向(Z方向)を軸にバイアル瓶201とスリットの長手方向の向きを(1)の実施例の状態から相対的に90度回転させれば、X線がバイアル瓶201の底面203で屈折することに起因する信号は排除できる。上記回転をさせる方法は、既に図5で記述した通りである。
図7は、第1実施例に係るX線検査装置10において、暗視野配置でガラス球異物を撮像したときにX線検出器106に現れる異物像の予測図である。予測にあたって仮定した内容は図6の説明において上記した通りである。上記仮定した条件を、直径100マイクロメートルの真球ガラスの撮像に適用した。X線検出器に届いたX線量が多いほど白く明るく表示している。ガラス球異物による屈折に伴い、球の周囲が明るくなっている。
図8は、図7のC−C’線における輝度の断面プロファイルを示す。断面プロファイルには2箇所の鋭いピークが現れる。これは当該箇所でX線が強く屈折していることに起因する。図8には、異物を検出するための閾値も示されている。閾値を用いて、背景の暗部に対して局所的な明部を異物として検出することができる。
図9は、図6のバイアル瓶201の輝度プロファイルと図8の異物の輝度プロファイルとを同一図面で示したものである。バイアル瓶内に異物が存在したとすると、異物に由来する2箇所のピークが現れる。このピークの現れる位置がバイアル瓶201の側面202に接近した場合を想定すると、図9の(2)の比較例の場合は、異物に由来するピークと、バイアル瓶201の側面202に由来するピークとが接近することになる。仮にそれぞれに由来するピークが重なり合った場合、異物として検出することが困難になる。一方、図9の(1)の実施例の場合、バイアル瓶201の側面202に由来するピークがないのでその問題はない。
上記では、位相格子104を透過したX線が吸収格子105によって、より吸収されるように、位相格子104と吸収格子105の相対位置を調整した、いわゆる暗視野配置の例に示した。逆によりX線が透過するように位相格子104と吸収格子105の相対位置を調整することもできる(以下、明視野配置と呼ぶ)。具体的には、明視野配置では、X線進行方向(Z方向)から見て、位相格子104と吸収格子105のスリットがほぼ重なるように配置される。
上記したように異物がX線を吸収すると、X線検出器の特定画素の輝度が低下するため異物が存在することを認知できるが、X線の吸収が起こりにくい材質の異物の場合、この認知が困難になる。一方、上記暗視野配置で撮像を行う場合、異物存在位置がX線の屈折に伴って、背景に比べて明るくなるため、この問題を解決できる。また、X線の吸収が起こりやすい材質の異物の場合、明視野配置とし、異物存在位置を背景に比べて暗くなるようにして異物検査を行ってもよい。この場合は、背景が暗い暗視野配置と比べて検出ダイナミックレンジの観点で優位である。
図10は、第1実施例に係るX線検査装置10において、明視野配置でガラス球異物を撮像したときにX線検出器に現れる異物像の予測図に示す。この場合、明るい背景に対して異物の周囲に暗い像が得られる。
図11は、図10のF−F’線における輝度の断面プロファイルを示す。断面プロファイルには2箇所の鋭いピークが現れる。この場合、暗視野配置の場合とピークの向きは逆になる(輝度が暗い方向のピークが現れる)。図11には、異物を検出するための閾値も示されている。閾値を用いて、背景の明部に対して局所的な暗部を異物として検出することができる。
図12は、第1実施例に係るX線検査装置10で異物検出を行う場合の動作フローを示すフロー図である。まず、X線検査装置10の製造者または使用者等が暗視野配置で行うか、明視野配置で行うか、検査目的に合わせて決定し、位相格子104と吸収格子105の相対位置を設定する(Step1200)。
次に、入力部111(又は外部の他の構成部品からの入力情報)を用いて、X線検査装置10の検査条件(パラメータ設定値など)を設定する(Step1201)。このとき、欠陥を検出するための閾値の設定も行われる。検査条件及び閾値などの情報は、制御部109に入力される。
次に、制御部109が、検査条件及び閾値などの情報を、各構成要素(X線源101、搬送機構103、X線検出器106、欠陥判定部108)に設定する(Step1202)。
次に、X線源101によりStep1202で設定した条件にてX線を照射する(Step1203)。そして、Step1203にて照射されたX線をX線検出器106により検出する(Step1204)。このとき、搬送機構103によって、バイアル瓶201が第1のスリット群401の前を通過したときに、第1の光学系121のX線源101からX線を照射し、第1の光学系121のX線検出器106によってX線を検出する。また、搬送機構103によって、バイアル瓶201が第2のスリット群402の前を通過したときに、第2の光学系122のX線源101からX線を照射し、第2の光学系122のX線検出器106によってX線を検出する。
次に、欠陥判定部108がStep1204で検出した被検体像(X線透過像)を処理してバイアル瓶201内に存在する欠陥(異物)を検出する(Step1205)。欠陥判定部108は、バイアル瓶201が第1のスリット群401の前を通過したときに検出された第1の被検体像(第1の情報)と、バイアル瓶201が第2のスリット群402の前を通過したときに検出された第2の被検体像(第2の情報)のそれぞれに対して欠陥の判定処理を行う。
欠陥判定方法として、たとえば閾値による判定が適用できる。欠陥判定部108は、X線検出器106で得た輝度情報を用いて、検査したい範囲の画素において得られた輝度が閾値を上回る、あるいは下回る場合に欠陥(異物)が存在すると判定する。
また、バイアル瓶201が第1のスリット群401を通過した際に得られる第1の被検体像と、バイアル瓶201が第2のスリット群402を通過した際に得られる第2の被検体像と、において欠陥判定を行う場合、それぞれの像で欠陥判定を行う際に異なる閾値を用いてもよい。異なる閾値を用いることで、バイアル瓶201の側面202、または底面203に起因する信号が現れたとしても適宜閾値を設定することにより、当該信号を異物であると誤判定することを防ぐことができる。
欠陥判定部108は、判定の結果として、欠陥の存在の有無、欠陥の数、欠陥の位置、又は欠陥の大きさを出力する。欠陥の存在は、上述したように閾値を用いて判定されてもよい。また、欠陥の数は、閾値を超えたピークの数に基づいて判定されてもよい。また、欠陥の位置は、閾値を超えたピークの座標情報に基づいて判定されてもよい。さらに、欠陥の大きさは、閾値を超えたピーク間の距離に基づいて判定されてもよい。
次に、表示部110が、Step1205による欠陥の検出結果を表示する(Step1206)。図13は、表示部110に表示される画面の一例である。画面には、バイアル瓶201が第1のスリット群401を通過した際に得られた輝度プロファイル1301と、バイアル瓶201が第2のスリット群402を通過した際に得られた輝度プロファイル1302とが表示される。輝度プロファイル1301は、非底面領域での欠陥の検出に使用され、輝度プロファイル1302は、底面領域での欠陥の検出に使用される。また、画面には、輝度プロファイルの断面の位置を示すウィンドウ1303、1304が、表示されてもよい。また、ウィンドウ1303、1304には、閾値を超えたピークの位置(図中の黒丸)が欠陥検出位置として表示されてもよい。
表示部110での表示は、図13の例に限定されない。表示部110には、欠陥判定部108から出力された各種検出結果(欠陥の存在の有無、欠陥の数、欠陥の位置、欠陥の大きさ)、被検体像、欠陥画像などが適宜表示されてよい。
上述の実施例によれば、バイアル瓶201の側面202から底面203までの広範囲に存在する異物を検出することができる。X線の進行方向を回転軸として位相格子104とバイアル瓶201の軸との相対角度を変えて被検体像を撮像することにより、バイアル瓶201の側面202及び底面203に起因する信号を抑え、バイアル瓶201の側面202及び底面203の近傍位置に存在する欠陥を検出することが可能となる。
[第2実施例]
図14は、第2実施例に係るX線検査装置20の構成を示す。第2実施例に係るX線検査装置20の基本となるX線光学系は第1実施例で説明した通りである。なお、本実施例の形態を説明する際、上述した実施例と同一の構成要素は原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略する。
第2実施例では、搬送機構1403が、X線の進行方向を回転軸としてバイアル瓶201を回転させる回転機構を備えている。図15は、本実施例に係るX線検査装置20においてX線の進行方向を回転軸として回折格子と被検体(バイアル瓶201)の相対角度を変える機構を示す。
位相格子1404は、スリット群1501を備える。本実施例では、第1実施例とは異なり、位相格子1404は、1つの方向(図面上の上下方向)に延びるスリット群1501を備える。
搬送機構1403は、第1の容器支持部1511と、第1のベルト状部材1512と、第2の容器支持部1513と、第2のベルト状部材1514とを備える。第1のベルト状部材1512の高さと第2のベルト状部材1514の高さは異なる。
バイアル瓶201は、その高さ方向をスリット群1501を構成するスリットの長手方向(図中Y方向)に対して直交する向きの状態で、第1のベルト状部材1512に配置される。まず、バイアル瓶201は、第1の容器支持部1511によってその頂部及び底面が支持されながら、第1のベルト状部材1512によって紙面左から右方向(X方向)に搬送される。このとき、位相格子1404のスリット群1501の長手方向とバイアル瓶201の軸との間の角度は第1の角度(90度)である。まず、この第1の角度の状態で、第1の光学系121のX線源101によってX線を照射し、第1の光学系121のX線検出器106によって第1の被検体像が撮像される。
引き続き、搬送機構1403により、バイアル瓶201は、紙面左から右方向(X方向)に搬送される。バイアル瓶201は、第1のベルト状部材1512の端部に到着すると、第1のベルト状部材1512と第2のベルト状部材1514との段差により、バイアル瓶201が回転する。バイアル瓶201が、X線進行方向(図中Z方向)を回転軸として、90度回転する。これにより、位相格子1404のスリット群1501の長手方向とバイアル瓶201の軸との間の角度は第2の角度(0度)となる(互いに平行の状態となる)。段差によって回転したバイアル瓶201は、その底面203が第2のベルト状部材1514に接触した状態となる。そして、バイアル瓶201は、第2の容器支持部1513によってその側面202が支持されながら、第2のベルト状部材1514によって紙面左から右方向(X方向)に搬送される。このとき、第2の角度の状態で、第2の光学系122のX線源101によってX線を照射し、第2の光学系122のX線検出器106によって第2の被検体像が撮像される。
バイアル瓶201を格子(位相格子、吸収格子)に対して相対的に回転させることにより得られる効果については、図6で説明した通りである。なお、上記では搬送機構1403の段差を利用してバイアル瓶201を回転させる機構を説明したが、被検体(バイアル瓶201)を回転させることが可能であれば、他の機構を用いてもよい。たとえば、アームなどによって被検体を把持して回転させるような機構を用いてもよい。また、検査目的や検査装置のスループット等を勘案して公知の搬送装置を用いてもよい。
また、図示はしていないが、線源格子1402及び吸収格子1405は、位相格子1404と同様に、1つの方向に延びるスリット群を備える。線源格子1402、位相格子1404、及び吸収格子1405は、それらのスリットの長手方向が互いに平行となるように配置されている。線源格子1402、吸収格子1405、及び位相格子1404の材質、格子周期、厚みに関しては、第1実施例で説明した線源格子102、吸収格子105、及び位相格子104のそれらと同様の構成としてもよい。
本実施例によれば、X線の進行方向を回転軸としてバイアル瓶201を回転させて被検体像を撮像することにより、バイアル瓶201の側面202から底面203までの広範囲に存在する異物を検出することができる。また、線源格子1402、位相格子1404、及び吸収格子1405は、1つの方向に延びるスリット群から構成され、それらのスリットの長手方向が互い平行であるため、例えば、欠陥検出を始める前の位相格子1404と吸収格子1405の相対位置の調整などが、第1実施例に比べて容易になる。
[第3実施例]
図16は、第3実施例に係るX線検査装置30の構成を示す。なお、本実施例の形態を説明する際、上述した実施例と同一の構成要素は原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略する。
本実施例に係るX線検査装置30の基本となるX線光学系は、第1実施例と同様であるが、線源格子を廃して、X線源は単一とした点で異なる。第1実施例及び第2実施例がタルボ−ロー干渉計をベースとしたX線検査装置であるのに対して、第3実施例のX線検査装置30はタルボ干渉計をベースとしている。
X線源1601は、タルボ効果を生じさせるに十分長いコヒーレント長を有するX線を照射する。具体的には、X線源1601として、マイクロフォーカス線源が採用されるのが望ましい。X線源1601から可干渉性を有するX線を照射することが可能になるので、ロー効果を生じさせる線源格子は不要となる。その結果、X線光学系の構成が簡素になる利点がある。マイクロフォーカス線源を使用する利点は上記したようにX線光学系が簡素になる点であるが、線源の焦点大きさが小さくなると、X線源から照射されるX線量が低下するため、X線検出器106の感度及び必要とされる検査装置のスループットを勘案して、第1実施例(あるいは第2実施例)の構成をとるか、又は第3実施例の構成をとるかが選択される。
また、X線検出器106の画素サイズが十分小さければ、吸収格子105を省略することができる。この場合、吸収格子105の調整が不要となる利点がある。
また、言うまでもないが、第3実施例では、第1実施例と同じ、X線の進行方向を回転軸として位相格子と被検体(バイアル瓶201)の相対角度を変える機構が設けられている。なお、第2実施例と同じ、X線の進行方向を回転軸として位相格子と被検体の相対角度を変える回転機構が選択されてもよい。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることもできる。また、各実施例の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することもできる。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
上述の実施例において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
10、20、30 …X線検査装置
101 …X線源
102 …線源格子
103 …搬送機構
103a …容器支持部
103b …ベルト状部材
104 …位相格子
105 …吸収格子
106 …X線検出器
107 …X線遮蔽部
108 …欠陥判定部
109 …制御部
110 …表示部
111 …入力部
121 …第1の光学系
122 …第2の光学系
201 …バイアル瓶
202 …バイアル瓶の側面
203 …バイアル瓶の底面
401 …第1のスリット群
402 …第2のスリット群
1402 …線源格子
1403 …搬送機構
1404 …位相格子
1405 …吸収格子
1501 …スリット群
1511 …第1の容器支持部
1512 …第1のベルト状部材
1513 …第2の容器支持部
1514 …第2のベルト状部材
1601 …X線源

Claims (13)

  1. 複数のスリットを備える回折格子と、
    前記回折格子に向けてX線を照射するX線源と、
    前記回折格子の前記スリットの長手方向と被検体の軸との間の角度を第1の角度から第2の角度に変える機構と、
    前記第1の角度の状態と前記第2の角度の状態とにおいて、前記被検体及び前記回折格子を透過した前記X線を検出するX線検出器と、
    前記第1の角度の状態で検出した第1の情報と前記第2の角度の状態で検出した第2の情報とを用いて、前記被検体内の欠陥を検出する欠陥判定部と、
    を備え
    前記欠陥判定部は、前記第1の情報及び前記第2の情報のそれぞれに対して閾値を適用して、前記欠陥を判定することを特徴とするX線検査装置。
  2. 請求項1に記載のX線検査装置において、
    前記回折格子は、前記スリットの長手方向が異なる第1のスリット群及び第2のスリット群を少なくとも備え、
    前記機構は、前記被検体を、前記X線源と前記第1のスリット群との間から、前記X線源と前記第2のスリット群との間に移動させる搬送機構を備えることを特徴とするX線検査装置。
  3. 請求項1に記載のX線検査装置において、
    前記複数のスリットは、いずれも1つの方向に延伸し、
    前記機構は、前記被検体を前記X線の照射方向を回転軸として回転させる回転機構を備えることを特徴とするX線検査装置。
  4. 請求項1に記載のX線検査装置において、
    前記X線源と前記被検体との間に配置される線源格子をさらに備えることを特徴とするX線検査装置。
  5. 請求項1に記載のX線検査装置において、
    前記回折格子と前記X線検出器との間に配置される吸収格子をさらに備えることを特徴とするX線検査装置。
  6. 請求項に記載のX線検査装置において、
    前記欠陥判定部は、前記X線検出器によって検出されたX線透過像において、背景の暗部に対して局所的な明部となる部分を前記欠陥として判定することを特徴とするX線検査装置。
  7. 請求項に記載のX線検査装置において、
    前記欠陥判定部は、前記X線検出器によって検出されたX線透過像において、背景の明部に対して局所的な暗部となる部分を前記欠陥として判定することを特徴とするX線検査装置。
  8. 複数のスリットを備える回折格子の前記スリットの長手方向と被検体の軸との間の角度が第1の角度となる状態で、X線源から前記回折格子に向けてX線を照射する第1の照射ステップと、
    X線検出器によって、前記第1の角度の状態において前記被検体及び前記回折格子を透過した前記X線を検出する第1の検出ステップと、
    前記回折格子の前記スリットの長手方向と前記被検体の軸との間の角度を前記第1の角度から第2の角度に変える角度変更ステップと、
    前記第2の角度の状態で、前記X線源から前記回折格子に向けてX線を照射する第2の照射ステップと、
    前記X線検出器によって、前記第2の角度の状態において前記被検体及び前記回折格子を透過した前記X線を検出する第2の検出ステップと、
    前記第1の検出ステップで検出した第1の情報と前記第2の検出ステップで検出した第2の情報のそれぞれに対して閾値を適用して、前記被検体内の欠陥を判定する欠陥判定ステップと、
    を含むX線検査方法。
  9. 請求項に記載のX線検査方法において、
    前記回折格子は、前記スリットの長手方向が異なる第1のスリット群及び第2のスリット群を少なくとも備え、
    前記角度変更ステップは、前記被検体を、前記X線源と前記第1のスリット群との間から、前記X線源と前記第2のスリット群との間に移動させることを含むことを特徴とするX線検査方法。
  10. 請求項に記載のX線検査方法において、
    前記複数のスリットは、いずれも1つの方向に延伸し、
    前記角度変更ステップは、前記被検体を前記X線の照射方向を回転軸として回転させることを含むことを特徴とするX線検査方法。
  11. 請求項に記載のX線検査方法において、
    前記第1及び第2の照射ステップは、前記X線を、前記X線源と前記被検体との間に配置された線源格子に照射することをさらに含むことを特徴とするX線検査方法。
  12. 請求項に記載のX線検査方法において、
    前記第1及び第2の照射ステップは、前記X線を、前記回折格子と前記X線検出器との間に配置された吸収格子に照射することをさらに含むことを特徴とするX線検査方法。
  13. 請求項に記載のX線検査方法において、
    前記欠陥判定ステップは、前記X線検出器によって検出されたX線透過像において、背景の暗部に対して局所的な明部となる部分を前記欠陥として判定することを含むことを特徴とするX線検査方法。
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